15 Oracle Exadata System Softwareリリース11.xの新機能

Oracle Exadata System Softwareリリース11.xの様々なバージョンにいくつかの新機能が導入されました。

15.1 Oracle Exadata Database Machine 11gリリース2(11.2.3.3.1)の新機能

Oracle Exadata System Software 11gリリース2 (11.2.3.3.1)の新機能は次のとおりです。

15.1.1 Oracleデータベース・サーバーのキャパシティ・オンデマンド

ユーザーは、データベース・サーバーのアクティブ・コア数を制限することにより、必要なデータベース・ソフトウェアのライセンス数を制限できます。プロセッサ・コアの削減は、Oracle Exadata Database Machine Deployment Assistant (OEDA)を使用したソフトウェア・インストール時に実装されます。アクティブ・コア数は、後でより大きな容量が必要になった場合に増やすことができますが、減らすことはできません。アクティブ・プロセッサ・コアは、データベースの各ソケットにおいて同数必要です。

キャパシティ・オンデマンドは、Oracle Exadata Infrastructure as a Service (IaaS)と次の点で異なります。

  • キャパシティ・オンデマンドでは、初期インストール後にアクティブ・コア数を減らせません。

  • キャパシティ・オンデマンドを使用する場合、必要なソフトウェア・ライセンスはアクティブ・コア用のみです。

注意:

アクティブ・コア数を削減することにより、ソフトウェア・ライセンスの初期コストを抑えられます。ハードウェアのコストは変わりません。

関連項目:

15.1.2 Exadata I/Oレイテンシ制限

ディスク・ドライブまたはフラッシュ・デバイスは、まれに、内部リカバリ操作の実行中、わずかな時間に対し待機時間が長くなる場合があります。また、障害が発生しかけているドライブは、その発生前に待機時間が長くなる場合があります。この機能によってI/O読込み操作がミラー・コピーにリダイレクトされるため、非常にまれに発生するこうしたレイテンシ・スパイクはマスクされます。

Oracle Exadata Storage Server Softwareでは、読取りI/Oのレイテンシが適切な長さよりはるかに長くなった場合に、I/O読取り操作が自動的に別のセルにリダイレクトされます。リダイレクトは、I/O読取りを開始したデータベースにメッセージが返されることによって実行されます。データベースによって、データの別のミラー・コピーにI/Oがリダイレクトされます。データの最新の有効なミラー・コピーに対して実行されたI/Oは、リダイレクトされません。

最小ソフトウェア: Oracle Database 11gリリース2 (11.2)、Monthly Database Patch For Exadata (2014年6月 - 11.2.0.4.8)。Grid Infrastructureにも、同じリリースが必要です。

15.1.3 Oracle Exadata Storage ServerのI/Oタイムアウトしきい値

Oracle Exadata Storage Serverに対して、I/Oタイムアウトしきい値を構成できます。ストレージ・サーバーのI/Oは、定義されたしきい値を超える時間がかかると取り消されます。I/Oは、Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)によって、データの別のミラー・コピーにリダイレクトされます。データの最後の有効なミラー・コピーに対して発行された書込みI/Oは、タイムアウトしきい値を超えた場合でも取り消されません。

タイムアウトしきい値を低く設定しすぎると、システムのパフォーマンスに悪い影響を与えることがあります。ピークI/O負荷の自動ワークロード・リポジトリ(AWR)レポートを確認し、しきい値をピークI/Oレイテンシに十分な安全マージンを加えた、より長い値に設定することをお薦めします。

最小ソフトウェア: Oracle Database 11gリリース2 (11.2)、Monthly Database Patch For Exadata (2014年6月 - 11.2.0.4.8)。Oracle Grid Infrastructureにも、同じリリースが必要です。

関連項目:

I/Oしきい値タイムアウトのALTER CELL属性に関する詳細は、Oracle Exadata System Softwareユーザーズ・ガイドを参照してください

15.1.4 新しいハードウェアのサポート

このリリースには、次のハードウェアのサポートが含まれます。

  • Oracle Exadata Database Machine X4-8フル・ラック

  • Exadata Storage Server X4-2、Exadata Storage Server X3-2およびExadata Storage Server X2-2用の4TBの大容量ドライブ

最小ソフトウェア: Oracle Exadata Storage Server Softwareリリース11.2.3.3.1

15.2 Oracle Exadata Database Machine 11gリリース2(11.2.3.3.0)の新機能

Oracle Exadata System Software 11gリリース2 (11.2.3.3.0)の新機能は次のとおりです。

15.2.1 フラッシュ・キャッシュの圧縮

フラッシュ・キャッシュの圧縮では、ユーザー・データがフラッシュ・キャッシュにロードされる際にデータを透過的に圧縮することによって、フラッシュ・キャッシュの論理容量が大幅に増加します。そのため、より多くのデータをフラッシュに維持することができ、ディスク・ドライブのデータにアクセスする必要が減ります。フラッシュのデータへのI/Oは、ディスク上のデータへのI/Oよりも大幅に速くなります。圧縮操作および解凍操作は、アプリケーションおよびデータベースに対して完全に透過的で、1秒当たり何百万I/Oという速度で実行してもパフォーマンスのオーバーヘッドはありません。

ユーザー・データの圧縮率に応じて、Oracle Exadata System Softwareは、フラッシュ・キャッシュ・サイズを最大2倍に動的に拡張します。圧縮の効果はデータの冗長性に応じて変わります。圧縮されていない表および索引の場合は、削減される領域が最も多くなります。OLTP圧縮された表および索引の場合は、領域が大幅に削減されます。ハイブリッド列圧縮を使用する表の場合は、削除される領域が最も少なくなります。フラッシュ・キャッシュ圧縮を有効にするには、Oracle拡張圧縮オプションが必要です。

この機能は、CellCLI ALTER CELL flashCacheCompress=trueコマンドを使用して有効にします。

最小ハードウェア: Oracle Exadata Database Machine X3-2

15.2.2 表スキャン・ワークロードの自動フラッシュ・キャッシュ

Oracle Exadata Storage Server Softwareは、オブジェクトが読み取られる頻度に基づいて、表およびパーティションのスキャン・ワークロードで読み取られたオブジェクトをフラッシュ・キャッシュに自動的にキャッシュします。アルゴリズムでは、オブジェクトのサイズ、オブジェクトのアクセス頻度、キャッシュから削除されたデータへのオブジェクトによるアクセス頻度、およびデータベースによって実行されているスキャンのタイプが考慮されます。フラッシュ・キャッシュ・サイズおよびその他の同時発生するワークロードに応じて、表またはパーティションのすべてまたは一部のみがキャッシュされます。フラッシュ・キャッシュのサイズに比べて大きいオブジェクトのキャッシュを試行したり、メンテナンス操作でアクセスされる表をキャッシュすることによって、フラッシュ・キャッシュをスラッシングするリスクはありません。

この新機能により、フラッシュ・キャッシュに表を手動で維持する必要性がほとんどなくなりますが、例外として、特定のオブジェクトの場合は、合計ディスクI/Oを潜在的に増やすことにより、応答時間が確実に長くなります。以前のリリースでは、データベース管理者が大きなオブジェクトをKEEPとマークして、表スキャン・ワークロード用のフラッシュ・キャッシュにキャッシュする必要がありました。

この機能は主に、データ・ウェアハウス、データ・マートなどの表スキャン集中型のワークロードに効果があります。オンライン・トランザクション処理(OLTP)に実行されるようなランダムI/Oは、以前のリリースと同じ方法で引き続きフラッシュ・キャッシュにキャッシュされます。

最小ソフトウェア: Oracle Exadata Storage Server Softwareリリース11.2.3.3

15.2.3 高速データファイル作成

高速データファイル作成では、新規データファイルがフォーマットされる速度が2倍以上になります。フラッシュ・キャッシュでは、新しくフォーマットされたブロックをディスクまたはフラッシュに書き込むのではなく、単にブロックに関するメタデータをライトバック・フラッシュ・キャッシュに保持することにより、ディスクへの書込みの実際のフォーマットを排除します。たとえば、高速データファイル作成を使用すると、リリース11.2.3.3を実行しているOracle Exadataフル・ラックに1TBのデータファイルを作成する際に90秒かかります。以前のリリースで同じ1TBのデータファイルを作成すると、220秒かかります。この機能は、ライトバック・フラッシュ・キャッシュが有効であり、適切なソフトウェア・リリースが使用されている場合に自動的に機能します。

最小ソフトウェア: Oracle Database 11gリリース2 (11.2)リリース11.2.0.4またはOracle Database 12cリリース1 (12.1)リリース12.1.0.1を実行するOracle Exadata Storage Server Softwareリリース11.2.3.3

15.2.4 ネットワーク・リソース管理

ネットワーク・リソース管理では、InfiniBandファブリックを使用して重要なデータベース・ネットワーク・メッセージに自動的かつ透過的に優先度を付け、レイテンシが重大な影響を及ぼす操作に関する高速の応答時間を実現します。優先度付けは、InfiniBandファブリック全体に適用されるように、データベース、データベースのInfiniBandアダプタ、Oracle Exadata Storage Server Software、ExadataストレージのInfiniBandアダプタおよびInfiniBandスイッチに実装されます。

Oracle RACキャッシュ・フュージョン・メッセージなど、レイテンシの影響を受けるメッセージには、バッチ、レポート作成およびバックアップ・メッセージよりも高い優先度が付けられます。ログ・ファイル書込み操作には、トランザクション処理時間のレイテンシを低下させるために最上位の優先度が付けられます。

この機能はCPUおよびI/Oリソース管理と連携し、統合環境での高パフォーマンスと予測可能性を実現します。たとえば、オンライン・トランザクション処理(OLTP)のワークロードがあると仮定した場合、コミット・レイテンシはログ書込みの待機時間によって決定されます。この機能により、ログ・ライター・プロセス(LGWR)のネットワーク転送に、バックアップ、レポート作成など、同一または他のデータベースにおける他のデータベース・トラフィックよりも高い優先度を付けることができます。

この機能はデフォルトで有効になっており、構成または管理は必要ありません。

最小ソフトウェア: Oracle Database 11gリリース2 (11.2)リリース11.2.0.4またはOracle Database 12cリリース1 (12.1)リリース12.1.0.1、およびスイッチ・ファームウェア・リリース2.1.3-4を実行するOracle Exadata Storage Server Softwareリリース11.2.3.3

15.2.5 アクティブ・ボンディング・ネットワーク

Oracle Exadata Database Machine X4-2データベース・サーバーおよびストレージ・サーバーでは、InfiniBandカードの両方のポートのアクティブ・ボンディングのサポートが有効になります。ネットワーク・トラフィックの送信に両方のInfiniBandポートが同時に使用されるため、アクティブ・ボンディングでは以前のリリースのアクティブ・パッシブ・ボンディングに比べてネットワーク帯域幅がさらに高くなります。

アクティブ・ボンディング機能は、以前のInfiniBandカードよりもさらに高いスループットをサポートする新しいInfiniBandカードを特長としているため、Oracle Exadata Database Machine X4-2のネットワーク帯域幅を向上させます。以前のInfiniBandカードは最新世代のサーバーのPCIバスによって提供されるより高速な帯域幅を活用できるほど速くなかったため、アクティブ・ボンディングで古い世代のハードウェアの帯域幅は向上しません。

InfiniBandカードのアクティブ・ボンディングについて、次の点に注意してください。

  • Oracle Linuxを実行するデータベース・サーバーには、アクティブ・ボンディング機能があります。

  • Oracle Clusterwareでは、クラスタ内の各データベース・サーバーに同じインターコネクト名が必要です。既存のOracle Exadata Database Machine X3-2およびOracle Exadata Database Machine X2-2システムをOracle Exadata Database Machine X4-2システムで拡張する場合、データベース・サーバーにレガシー・ボンディングを保持することをお薦めします。

  • ネットワーク帯域幅を向上させるためには、InfiniBandカード1つ当たりに2つのIPアドレスが必要です。

次の表に、システムの構成方法のガイドラインを示します。

オペレーティング・システム Oracle Exadata Database Machine X4-2のデータベース・サーバー Oracle Exadata Database Machine X4-2のストレージ・サーバー Exadata Storage Server X4-2L Serverを使用したOracle Exadata Database Machine X3-8フル・ラックのデータベース・サーバー

Oracle Linux

アクティブ・ボンディング

アクティブ・ボンディング

従来のボンディング、HCAにつき1つのポートがアクティブ

Oracle Solaris

IPMP、1つのポートがアクティブ

アクティブ・ボンディング

IPMP、HCAにつき1つのポートがアクティブ

最小ハードウェア: Oracle Exadata Database Machine X4世代サーバー

最小ソフトウェア: Oracle Exadata Storage Server Softwareリリース11.2.3.3

15.2.6 アプライアンス・モードのOracle ASMディスク・グループ

Oracle ASMappliance.mode属性を使用すると、1つ以上のOracle ASMディスクを削除するときにディスクのリバランス完了時間が改善されます。これは、障害後に冗長性がより高速にリストアされることを意味します。属性は、新しいディスク・グループの作成時に自動的に有効になります。既存のディスク・グループでは、ALTER DISKGROUPコマンドを使用して明示的に属性を設定する必要があります。

属性は、次の要件を満たすディスク・グループのみで有効にできます。

  • Oracle ASMディスク・グループ属性compatible.asmが、リリース11.2.0.4以降に設定されている。

  • cell.smart_scan_capable属性がTRUEに設定されている。

  • ディスク・グループ内のすべてのディスクが同じタイプである(すべてハード・ディスクまたはExtreme Flashディスクなど)。

  • ディスク・グループのすべてのディスクが同じサイズである。

  • ディスク・グループのすべての障害グループのディスク数が等しい。

  • ディスク・グループにオフラインのディスクがない。

最小ソフトウェア: Oracle Database 11gリリース2 (11.2)リリース11.2.0.4またはOracle Database 12c リリース1 (12.1)リリース12.1.0.2を実行するOracle Exadata System Softwareリリース11.2.3.3

関連項目:

appliance.mode属性の詳細は、Oracle Exadata System Softwareユーザーズ・ガイドを参照してください

15.2.7 ハード・ディスクの自動修正および修復

Oracle Exadata System Softwareは、ハード・ディスクがアイドル状態のときに定期的にハード・ディスクを自動で検査して修復します。ハード・ディスクで不良セクターが検出された場合、Oracle Exadata System Softwareは、別のミラー・コピーからデータを読み取ることによって不良セクターを修復するようOracle ASMに自動的にリクエストを送信します。デフォルトでは、ハード・ディスクの修正は2週間ごとに実行されます。

最小ソフトウェア: Oracle Database 11gリリース2 (11.2)リリース11.2.0.4またはOracle Database 12cリリース1 (12.1)リリース12.1.0.2を実行するOracle Exadata System Softwareリリース11.2.3.3

関連項目:

修正間隔の設定の詳細は、Oracle Exadata System Softwareユーザーズ・ガイドを参照してください

15.2.8 交換のためのハード・ディスクの削除

障害ステータスではない正常なハード・ディスクを交換する場合、Oracle Exadata Database Machine管理者は事前にALTER PHYSICALDISK DROP FOR REPLACEMENTコマンドを実行して成功することを確認した後に、Oracle Exadata Storage Serverからハード・ディスクを削除する必要があります。このコマンドでは、ディスク・グループの強制ディスマウントを発生させずにそのハード・ディスクのグリッド・ディスクをOracle ASMから安全にオフラインにできることを確認します。ディスク・グループの強制ディスマウントを発生させずにすべてのグリッド・ディスクをオフラインにできる場合、このコマンドによってグリッド・ディスクがOracle ASMからオフラインにされ、ハード・ディスクが無効になり、ストレージ・サーバーのサービスLEDがオンになります。

最小ソフトウェア: Oracle Exadata System Softwareリリース11.2.3.3

関連項目:

ALTER PHYSICALDISKコマンドの詳細は、Oracle Exadata System Softwareユーザーズ・ガイドを参照してください

15.2.9 交換のためのBBUの削除

Oracle Exadata Database Machineデータベース・サーバーまたはストレージ・サーバーでオンラインのBBU (バッテリ・バックアップ・ユニット)を交換する前に、Oracle Exadata Database Machine管理者はALTER CELL BBU DROP FOR REPLACEMENTコマンドを実行してこのコマンドが成功することを確認する必要があります。このコマンドによって、コントローラがライトスルー・キャッシングに変更され、停電時にBBUが交換される際にデータ損失が発生しなくなります。

最小ハードウェア: ディスクフォームファクタBBUを搭載したOracle Exadata Database Machine X3-2またはOracle Exadata Database Machine X3-8 フル・ラック

最小ソフトウェア: Oracle Exadata System Softwareリリース11.2.3.3

関連項目:

15.2.10 Oracle Exadata Database Machineエイス・ラックの構成

ストレージ・セルのOracle Exadata Database Machineエイス・ラックの構成は、ALTER CELL eighthRackコマンドを使用して有効または無効にできます。エイス・ラックの構成を使用すると、ハード・ディスクに6個以下のセル・ディスクが作成され、フラッシュ・ディスクに8個以下のセル・ディスクが作成されます。

最小ソフトウェア: Oracle Exadata Storage Server Softwareリリース11.2.3.2.1

関連項目:

Oracle Exadata Database Machineエイス・ラックの構成の詳細は、『Oracle Exadata Database Machineメンテナンス・ガイド』を参照してください。

15.2.11 セル・アラートの概要

Oracle Exadata System Softwareは、Oracle Exadata Storage Serverのすべてのオープン・アラートのサマリーを電子メールで定期的に送信します。オープン・アラート電子メール・メッセージには、セル上のすべてのオープン状態の問題の簡潔なサマリーが示されています。サマリーには次の内容が含まれます。

  • セル名

  • イベント時間

  • アラートの重大度

  • アラートの説明

  • アラート・サマリーの構成に関する情報

前のサマリー以降に作成されたアラートには、アスタリスクが付けられます。

最小ソフトウェア: Oracle Exadata System Softwareリリース11.2.3.3

関連項目:

アラート・サマリーの構成の詳細は、Oracle Exadata System Softwareユーザーズ・ガイドを参照してください

15.2.12 大きいドライブの安全な消去

このリリースでは、Oracle Exadata Storage Server Softwareは、大きいハード・ドライブおよびフラッシュ・ドライブの安全な消去をサポートしています。次に、サポートされているアルゴリズムを使用してドライブを安全に消去するための所要時間を示します。

ドライブのタイプ 1パス(1pass) 3パス(3pass) 7パス(7pass)

1.2TBドライブ

1.67時間

5時間

11.67時間

4TBドライブ

8時間

24時間

56時間

186GBフラッシュ・ドライブ

該当なし

該当なし

36分

15.2.13 ILOMの定期的なリセット

Integrated Lights Out Manager (ILOM)は、管理サーバー(MS)ILOMハング検出モジュールにより、未然防止策として定期的にリセットされます。これは、ILOMが長期間稼働した後に、不安的な状態に陥るのを防ぐためです。リセット間隔は、90日です。

最小ソフトウェア: Oracle Exadata System Softwareリリース11.2.3.3.0

15.2.14 Oracle OSwatcherからOracle Exawatcherへの置換え

このリリースから、Oracle OSwatcherはOracle Exawatcherに置き換わりました。Oracle Exawatcherには、Oracle OSwatcherより高度なコレクションおよびレポート機能が備わっています。

関連項目:

Oracle Exawatcherの詳細は、Oracle Exadata System Softwareユーザーズ・ガイドを参照してください

15.2.15 ハードウェアおよびソフトウェアの拡張

ハードウェアおよびソフトウェアに次の拡張が追加されています。

  • Sun Datacenter InfiniBand Switch 36スイッチの拡張

    • Oracle Exadata Database MachineSun Datacenter InfiniBand Switch 36スイッチは、patchmgrユーティリティを使用してローリング方式でアップグレードされます。詳細は、ローリング更新および非ローリング更新の理解を参照してください。

    • スイッチ・ソフトウェア・リリース2.1.3-4には、断続的なリンクを自動的に無効にする機能があります。InfiniBandの仕様には、リンクのビット・エラー率は1012未満にする必要があると規定されています。シンボル・エラーの数が1日当たり3546ビット・エラーまたは1時間当たり144ビット・エラーよりも多い場合、リンクは無効になります。InfiniBandスイッチのソフトウェアにはautodisableコマンドがあり、スイッチがリリース2.1.3-4にアップグレードされる場合、この機能がpatchmgrユーティリティによって自動的に有効になります。

    • 新しいスイッチのソフトウェア・リリース2.1.3-4では、2台のスイッチ、またはファブリック内の複数のスパイン・スイッチ間に不均衡な数のリンクがあるファットツリー・トポロジを作成できます。

    • サブネット・マネージャのフェイルオーバーの実行にかかる時間は、複数ラック構成でも1秒未満に削減されます。

  • パッチ・アプリケーションの拡張

    • patchmgrユーティリティには、パッチ適用の完了時の電子メール・メッセージと、ローリングおよび非ローリング・パッチ・アプリケーションのステータスを送信する機能があります。詳細は、Patchmgrの構文およびパッチ・セットを参照してください。

    • データベース・サーバーにおけるILOM/BIOS、InfiniBand HCAおよびディスク・コントローラのファームウェア・アップグレードは、Oracle LinuxおよびOracle Solarisを実行するラックでコンポーネントを交換する際に自動的に実行されます。

  • ハードウェアの堅牢性の強化

    • ハード・ディスクの不良セクターからリカバリする時間は、12倍に削減されています。

    • ハード・ドライブまたはフラッシュ・ドライブの障害状態はまれにしかブールになりません。ほとんどのドライブでは、障害が発生する前に大幅に速度が低下します。低速で断続的なドライブがより早期に検出され、ドライブがpredictive failureまたはハード障害状態になる前にOracle Exadata System Softwareにより機能が停止されます。

    • ストレージ・サーバーのILOMが応答を停止すると、管理ソフトウェアはILOMを自動的にリセットできます。

  • Oracle Solaris 11.1 (SRU 9.5.1)のサポート

    このリリースでは、データベース・サーバーでOracle Solaris 11.1 SRU 9.5.1をサポートしています。

15.3 Oracle Exadata Database Machine 11gリリース2(11.2.3.2)の新機能

Oracle Exadata System Software 11gリリース2 (11.2.3.2)の新機能は次のとおりです。

15.3.1 Exadata Smart Flash Cacheを使用したライトバック・フラッシュ・キャッシュ

Exadata Smart Flash Cacheは、頻繁にアクセスされるデータを高速なソリッド状態の記憶装置に透過的にキャッシュし、問合せの応答時間とスループットを向上させます。ディスクではなくフラッシュによって処理される書込み操作は、ライトバック・フラッシュ・キャッシュと呼ばれます。ライトバック・フラッシュ・キャッシュでは、1秒当たりの書込みI/OをX3システムで20倍、X2システムで10倍多く実行できます。X3システムではフラッシュ容量がより大きいため、ほぼすべての書込みがフラッシュによって処理されます。

アクティブなデータ・ブロックを、ライトバック・フラッシュ・キャッシュに数か月または数年間保持できます。最近読取りが実行されていないブロックの場合、主要なコピーのみがキャッシュに保持されます。必要に応じて、すべてのデータはディスクにコピーされます。これにより、性能のよいフラッシュ領域を効率よく使用できます。

フラッシュ・キャッシュに問題がある場合、操作はフラッシュのミラー・コピーに透過的にフェイルオーバーされます。ユーザーが介入する必要はありません。フラッシュのデータは、割当て単位に基づいてミラー化されます。これは、書き込まれるデータ量がディスク・サイズではなく損失したキャッシュ・サイズに比例することを示します。

関連項目:

ライトバック・フラッシュ・キャッシュおよびライトスルー・フラッシュ・キャッシュの詳細は、Oracle Exadata System Softwareユーザーズ・ガイドを参照してください
15.3.1.1 セルの再起動後のExadataスマート・フラッシュ・キャッシュの持続性

Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュは、停電、停止操作、セルの再起動などを行っても持続します。フラッシュ・キャッシュのデータは、セルの再起動後にディスクから読み取ることで、再移入されることはありません。サーバーからの書込み操作はフラッシュ・キャッシュに直接実行されます。これにより、ディスクでのI/O操作の数が減少します。フラッシュ・ディスクでのデータのキャッシュは管理者が設定します。

15.3.2 CELLSRVサービスの正常シャットダウン

セルまたはディスクがオフラインになり、管理者がCELLSRVサービスを再起動または停止しようとすると、冗長性が低下しているために、セルを停止できないというメッセージが管理者に通知されます。

15.3.3 ストレージ・サーバー・ディスクの取外しのLED通知

ストレージ・サーバー・ディスクを取り外す必要がある場合は、青色のLEDライトがサーバーに表示されます。青色のライトにより、保守が必要なサーバー・ディスクを簡単に確認できます。

15.3.4 パフォーマンスが低下しているディスクの識別

ディスクのパフォーマンスが低下すると、作業がすべてのディスクに均等に分散されるため、すべてのディスクのパフォーマンスが影響を受けます。たとえば、あるディスクのパフォーマンスが他のディスクよりも30%低下すると、システム全体のI/O容量が30%低下します。

パフォーマンスが低下しているディスクが検出されると、そのディスクはアクティブな構成から削除されます。次に、Oracle Exadata Database Machineが一連のパフォーマンス・テストを実行します。ディスクの問題が一時的な場合は、テストに合格すると、そのディスクは構成に戻ります。ディスクがテストに合格しない場合は、poor performanceとしてマークされ、ディスクを交換するための自動サービス・リクエスト(ASR)のサービス・リクエストが開きます。この機能は、ハード・ディスクとフラッシュ・ディスクの両方に適用されます。

15.3.5 Oracle SolarisでのOracle Database File Systemのサポート

Oracle Database File System(DBFS)では、Oracleデータベースの非構造化データを管理します。DBFSのファイルはSecureFilesのデータベースに格納され、パフォーマンス、スケーラビリティ、セキュリティ、可用性、および圧縮、重複除外、暗号化、テキスト検索、XQueryなどの豊富な機能の利点のすべてを継承します。

以前のリリースでは、DBFSはLinuxを実行するOracle Exadata Database Machineでしか利用できませんでした。このリリースでは、DBFSは、Oracle Solarisを実行するOracle Exadata Database Machineでもサポートされます。

関連項目:

DBFSの詳細は、『Oracle Database SecureFilesおよびラージ・オブジェクト開発者ガイド』を参照してください。

15.3.6 予測障害ディスク・ドロップの状態要因

ハード・ディスクがOracle Exadata Storage Serverで予測障害になると、Oracle Exadata System SoftwareOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)リバランスを自動的にトリガーし、ディスクからデータを移動します。Oracle ASMリバランスでは、最初に正常なミラーから読み取り、冗長性をリストアします。他すべてのミラーが利用できない場合、Oracle ASMリバランスは予測障害ディスクからデータを読み取ります。最適なリバランスを進めることができる場合は、これにより予測障害ディスクからのリバランス読取りが回避され、リバランス・プロセスで最大限のデータ冗長性を維持できます。

ディスク・グループ内の正常な他のディスクにデータを完全に移動する前に、Oracle Exadata System Softwareは、予測障害ディスクの悪い状態をデータベース・インスタンスに通知し、そのディスクのデータに対する問合せとスマート・スキャンを他のミラーに迂回して、応答時間を改善します。

15.3.7 サーバーのハード・ディスク・ドライブの番号付け

Exadata Storage Server X3-2 Serverのドライブは、各行で左から右に番号付けされます。下段のドライブの番号は0、1、2および3です。中段のドライブの番号は4、5、6および7です。上段のドライブの番号は8、9、10および11です。

図15-1 Exadata Storage Server X3-2サーバーのディスク・レイアウト

図15-1の説明が続きます
「図15-1 Exadata Storage Server X3-2サーバーのディスク・レイアウト」の説明

Sun Fire X4270 M2サーバーおよび以前のサーバーを使用したExadata Storage Serverのドライブは左下から上へと番号が付けられ、左端の列のドライブが0、1および2となっていました。次の列のドライブは3、4および5になりました。その次の列のドライブは6、7および8になりました。右端の列のドライブは9、10および11になりました。

図15-2 Sun Fire X4270 M2サーバーを使用したExadata Storage Serverのディスク・レイアウト

図15-2の説明が続きます
「図15-2 Sun Fire X4270 M2サーバーを使用したExadata Storage Serverのディスク・レイアウト」の説明

15.4 Oracle Exadata Database Machine 11gリリース2(11.2.3.1)の新機能

Oracle Exadata System Software 11gリリース2 (11.2.3.1)の新機能は次のとおりです。

15.4.1 Oracle Solaris 11(SRU2a)のサポート

このリリースでは、データベース・サーバーでOracle Solaris 11(SRU2a)をサポートしています。

15.4.2 Unbreakable Linuxネットワークを使用したLinuxデータベース・サーバーの更新

Oracle Exadata Storage Server Software 11gリリース2(11.2)リリース11.2.3.1以降は、最小パックが非推奨になりました。データベース・サーバーの更新手順では、更新の配信にUnbreakable Linuxネットワーク(ULN)を使用し、yumユーティリティを使用して更新を適用します。

関連項目:

データベース・サーバーの更新に関する詳細は、『Oracle Exadata Database Machineメンテナンス・ガイド』を参照してください。

15.4.3 Oracle Enterprise Manager Cloud Control for Oracle Exadata Database Machine

Oracle Exadata Database Machineは、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用して管理できます。Oracle Enterprise Manager Cloud Controlでは、サーバー、オペレーティング・システム、ファームウェア、仮想マシン、ストレージおよびネットワーク・ファブリックの管理を単一のコンソールに結合します。

15.4.4 32を超えるデータベースのI/Oリソース管理のサポート

I/Oリソース管理(IORM)では、共有ベースのプランがサポートされるようになり、データベース間のプランで最大1024のデータベースと1024のディレクティブをサポートできます。共有ベースのプランでは、割合ではなく、共有に基づいてリソースを割り当てます。共有とは、I/Oリソースの相対分布です。また、新しいdefault指令で、データベース・プランで明示的に指定されていないすべてのデータベースのデフォルト値を指定します。

関連項目:

IORMの詳細は、Oracle Exadata System Softwareユーザーズ・ガイドを参照してください

15.4.5 Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.3)

Oracle Exadata System Software 11gリリース2 (11.2)リリース11.2.3.nのスマート・スキャンは、Oracle Databaseソフトウェア11gリリース2 (11.2)リリース11.2.0.3に存在しているテクノロジに基づいており、11.2.0.nリリースのデータベースと下位互換性があります。

15.4.6 Exadataセルの接続制限

Oracle Database、Oracle ASM、Oracle ClusterwareおよびOracleユーティリティは、ExadataセルでI/O操作を実行します。ExadataセルでI/O操作のプロセスを実行するには、プロセスでセルとの接続を最初に確立する必要があります。プロセスがExadataセルと接続されると、プロセス終了まで接続は維持されます。

このリリースでは、各Exadataセルで1台以上のデータベース・サーバーから最大60,000の同時接続をサポートできます。つまり、60,000を超えるプロセスを1つのセルに同時に接続してI/O操作を実行することはできません。リリース112.2.4での接続数の上限は32,000でした。リリース11.2.2.4より前は、接続数の上限は20,000でした。

15.5 Oracle Exadata Database Machine 11gリリース2(11.2.2.4)の新機能

Oracle Exadata System Software 11gリリース2 (11.2.2.4)の新機能は次のとおりです。

15.5.1 Oracle Exadataスマート・フラッシュ・ログ

ユーザー・トランザクションをコミットする時間は、ログ書込みのレイテンシにより大きく影響を受けます。また、領域管理や索引分割などのパフォーマンス・クリティカルな多くのデータベース・アルゴリズムも、ログ書込みのレイテンシにより影響を受けます。Oracle Exadata Storage Server Softwareでは、バッテリバックアップ式のDRAMキャッシュをディスク・コントローラで使用して、ログ書込みの速度を上げています。ディスク・コントローラ・キャッシュへの書込みは、通常は非常に高速ですが、ディスクI/Oが高い間は遅くなる場合があります。Oracle Exadataスマート・フラッシュ・ログでは、Exadata Storage Serverのフラッシュ・メモリーを利用することで、ログの書込みを高速化しています。

フラッシュ・メモリーの書込みレイテンシは平均して非常に少ないですが、平均より1から2等級遅くなるような異常値を示す場合もあります。Oracle Exadataスマート・フラッシュ・ログでは、フラッシュ・メモリーとディスク・コントローラ・キャッシュの両方に同時にREDO書込みを実行し、2つのうち最初の書込みが完了すると、書込みを完了します。これにより、ユーザー・トランザクションの応答時間が短縮し、I/Oが集中するワークロードで全体のデータベース・スループットを向上します。

Oracle Exadataスマート・フラッシュ・ログでは、REDOログ・データの一時的な格納にExadataフラッシュ・ストレージのみを使用します。Oracle Exadataスマート・フラッシュ・ログでは、デフォルトでフラッシュ・ディスクごとに32MB、各Exadataセル全体で合計512MBを使用します。自動的に構成および有効化されます。追加の構成は不要です。

15.6 Oracle Exadata Database Machine 11gリリース2(11.2.2.3)の新機能

Oracle Exadata System Software 11gリリース2 (11.2.2.3)の新機能は次のとおりです。

15.6.1 データベース・サーバー用Oracle Solarisオペレーティング・システム

Oracle Exadata Database Machineのデータベース・サーバーには、Linuxオペレーティング・システムおよびOracle Solarisオペレーティング・システムがあります。初期構成時に、各自の環境のオペレーティング・システムを選択します。オペレーティング・システムを選択したら、もう一方のオペレーティング・システムが使用しているディスク領域を再利用できます。

15.6.2 Exadataセキュア消去

Oracle Exadata System Softwareには、再デプロイする前に物理ディスクを安全に消去してクリーン・アップする方法が用意されています。ERASEオプションでは、1パス、3パスまたは7パスでディスク上の既存の内容を上書きします。1パス・オプションでは内容を0(ゼロ)で上書きします。3パス・オプションはNNSA(米国国家核安全保障局)の勧告に準拠し、7パス・オプションはDOD(米国国防総省)の勧告に準拠します。

次の表に、サポートされているアルゴリズムを使用してドライブを安全に消去するための所要時間を示します。

ドライブのタイプ 1パス 3パス 7パス

600GBドライブ

1時間

3時間

7時間

2TBドライブ

5時間

15時間

35時間

3TBドライブ

7時間

21時間

49時間

22.875GBフラッシュ・ドライブ

該当なし

該当なし

21分

93GBフラッシュ・ドライブ

該当なし

該当なし

32分

注意:

  • Oracle Exadata System Softwareの安全なデータ消去では、アクセス可能なすべてのデータの複数回上書き方式を使用します。上書き方式では、データ文字の様々な組合せを使用します。このデータ消去方式は、周知のアルゴリズムに基づきます。まれな条件下で、7パスによる消去でもデータ形跡を完全に削除できないことがあります。たとえば、ディスクに内部的なリマップ・セクターがあると、ディスク上に一部のデータが物理的に残ってしまう場合があります。通常のI/Oインタフェースでは、そのデータにアクセスできません。

  • データの保護に使用できる別の方法として、表領域暗号化があります。

15.6.3 最適化スマート・スキャン

Oracle Exadata Storage Server Softwareでは、CPU使用率を監視することにより、Exadata Storage Serverのリソースのボトルネックを検出します。ボトルネックが見つかると、処理の再割当てを行い、パフォーマンスを改善します。各Exadataセルでは、次の統計情報を保持します。

  • 直前の30分間を対象とするExadataセルのCPU使用率とプッシュバック(戻り)率のスナップショット。

  • プッシュバック(戻り)が決定された1MBのブロックの合計数。

  • データベース・サーバーに戻されたブロックの数。

  • Total cpu passthru output IO sizeの統計(KB)

15.7 Oracle Exadata Database Machine 11gリリース2(11.2.1.2)の新機能

Oracle Exadata System Software 11gリリース2 (11.2.1.2)の新機能は次のとおりです。

15.7.1 Exadataスマート・フラッシュキャッシュ

Exadataスマート・フラッシュキャッシュにより、各Exadataセル上で頻繁にアクセスされるデータ用にキャッシュ・メカニズムが提供されます。このキャッシュは、ランダムな反復読取りを処理するのに役立つライトスルー・キャッシュであり、オンライン・トランザクション処理(OLTP)に非常に適しています。これにより、表または索引レベルでデータベース側のSTORAGE句のヒントを使用して、KEEPモードでデータをキャッシュするメカニズムが提供されます。フラッシュ・ディスクのExadataスマート・フラッシュキャッシュ領域は、起動時にExadataセルに自動的に作成されます。

Oracle Exadata Storage Serverには、従来の回転型のハード・ディスクに加え、高性能なフラッシュ・ディスクが搭載されています。これらの高性能なフラッシュ・ディスクを使用して、Exadataグリッド・ディスクを作成し、頻繁にアクセスされるデータを格納できます。この場合、ユーザーは、正確な領域プランを作成して、性能のよいディスクに最もアクティブな表領域を配置する必要があります。推奨オプションとして、Exadataスマート・フラッシュキャッシュ用にフラッシュ・ディスク領域の一部または全部を提供できます。この場合、回転ディスク上で最も頻繁にアクセスされるデータは、高性能なフラッシュ・ディスクのExadataスマート・フラッシュキャッシュ領域に自動的にキャッシュされます。データベースがこのようなデータにアクセスする必要がある場合、Oracle Exadata Storage Serverでは、データを遅い回転ディスクから取得するかわりに、Exadataスマート・フラッシュキャッシュからフェッチします。

パーティションや表がデータベースによってスキャンされる場合、オブジェクトにCELL_FLASH_CACHE属性が設定されていれば、Exadata Storage Serverでは、Exadataスマート・フラッシュキャッシュからスキャン対象のデータをフェッチできます。また、Exadata Storage Serverでは、Exadataフラッシュキャッシュからデータを提供する以外に、ハード・ディスクからスキャン対象のオブジェクトをフェッチすることもできます。

Exadata Storage ServerによってExadataスマート・フラッシュキャッシュおよびハード・ディスクからスキャン・データをフェッチする場合、そのパフォーマンスは加算的です。Exadata Storage Serverでは、Exadataスマート・フラッシュキャッシュの最大帯域幅とハード・ディスクの最大帯域幅を使用してオブジェクトをスキャンできるため、双方からの同時スキャン中は最大帯域幅が加算されます。

Oracle DatabaseとExadataスマート・フラッシュキャッシュ・ソフトウェアは、相互に緊密に連携して動作します。データベースでは、Oracle Exadata Storage Serverに読取りまたは書込みリクエストを送信する際に、そのデータが再度アクセスされる可能性があるかどうかと、そのデータをキャッシュする必要があるかどうかに関する追加情報をリクエストに含めます。たとえば、ログ・ファイルやミラー・コピーにデータを書き込む場合、データベースではキャッシュを省略するようヒントを送信します。表の索引を読み取る場合、データベースではそのデータをキャッシュするようヒントを送信します。この連携動作により、最も頻繁にアクセスされるデータのみが格納されるようにExadataスマート・フラッシュキャッシュ領域の使用が最適化されます。

ユーザーは、他のデータベース・オブジェクトよりも優先的にキャッシュするオブジェクト(表領域や表など)と、まったくキャッシュしないオブジェクトについてより詳細に制御できます。この制御を行うには、データベース・オブジェクトに割当て可能な、STORAGE句の新規属性であるCELL_FLASH_CACHEを使用します。

たとえば、Exadataスマート・フラッシュキャッシュにCALLDETAIL表を確保する場合、次のコマンドを使用します。

ALTER TABLE calldetail STORAGE (CELL_FLASH_CACHE KEEP)

Exadata Storage Serverでは、CALLDETAIL表のデータを優先的にキャッシュし、そのデータを他の表のキャッシュ・データよりも長い間Exadataスマート・フラッシュキャッシュに保持するよう試みます。CALLDETAIL表が複数のOracle Exadata Storage Serverに分散されている場合、それぞれ独自のExadataスマート・フラッシュキャッシュに表の一部がキャッシュされます。キャッシュのサイズが十分であれば、多くの場合、CALLDETAIL表は一定期間にわたり完全にキャッシュされます。

15.7.2 ハイブリッド列圧縮

Exadata Hybrid Columnar Compressionにより、ダイレクト・パス・ロードが行われるデータに高度な圧縮レベルが提供されます。この新しい圧縮機能は、更新頻度の低いデータに推奨されます。ハイブリッド列圧縮は、パーティション、表および表領域のレベルで指定できます。また、希望の圧縮レベルを指定して、ディスク使用量とCPUオーバーヘッドの間のトレードオフ関係を適切に調整することもできます。さらに、現在のアプリケーションにとって適切な圧縮レベルを決定するのに役立つ圧縮アドバイザも付属しています。

この機能によって、データベースでは表をスキャンするI/Oの回数を減らすことができます。たとえば、データを10分の1に圧縮すれば、I/Oも10分の1に減少します。また、ハイブリッド列圧縮により、同じ容量分のディスク領域を節約できます。

同様に、この機能によって、データベースでは列圧縮表のスマート・スキャンをOracle Exadata Storage Serverにオフロードできます。圧縮表でスキャンが行われる場合、Oracle Exadata Storage Serverはスキャンのためにディスクから圧縮ブロックを読み取ります。次に、Oracle Exadata System Softwareが参照列を解凍し、データの条件評価を実行して、フィルタを適用します。その後、ストレージ・サーバーは、修飾データを非圧縮形式で返します。このオフロードがなければ、データ解凍はデータベース・サーバーで発生することになります。Oracle Exadata Storage Serverにデータを解凍させることで、データベース・サーバーのCPUを大幅に節約できます。

関連項目:

ハイブリッド列圧縮の詳細は、Oracle Exadata System Softwareユーザーズ・ガイドを参照してください

15.7.3 ストレージ索引

ストレージ索引は、I/O操作の回避に役立つ、Oracle Exadata System Softwareで提供される非常に優れた機能です。Oracle Exadata System Softwareでは、Exadataメモリーにストレージ索引を作成して管理します。ストレージ索引により、そのセルに格納されている表の列の最小値と最大値がストレージ・リージョン単位で追跡されます。この機能は透過的に実行されるため、ユーザーによる管理操作は必要ありません。

問合せでWHERE句が指定されると、Oracle Exadata System Softwareでは、ストレージ索引を調査して、指定された列値を含む行がセル内ディスクのリージョンに存在しないかどうかを判断します(この処理は、ストレージ索引に保持されている最小値および最大値と列値を比較することで行われます)。列値が最小値と最大値の範囲外の場合、その問合せのためのスキャンI/Oはそのリージョンで回避されます。多数のI/O操作が少数のインメモリー検索に自動的に置き換えられるため、多くのSQL操作の実行速度が大幅に向上します。操作上のオーバーヘッドを最小限に抑えるため、Oracle Exadata System Softwareによってストレージ索引が透過的かつ自動的に作成されて管理されます。

ストレージ索引は、暗号化された表領域で効果を発揮します。ただし、ストレージ索引では、暗号化された列の最小値と最大値は保持されません。

15.7.4 暗号化データのスマート・スキャン

Oracle Exadata System Softwareでは、復号化処理をオフロードし、暗号化された表領域や暗号化された列に対してスマート・スキャンを実行できます。以前のリリースのOracle Exadata System Softwareでも、暗号化された表領域と暗号化された列は完全にサポートされていましたが、Exadataオフロード処理によるメリットはありませんでした。暗号化された表領域の場合、Oracle Exadata System Softwareでは、ブロックを復号化してその復号化ブロックをOracle Databaseに返すか、または行および列を返すスマート・スキャンを実行できます。Oracle Exadata System Softwareがデータベースのかわりに復号化を実行すると、CPUの使用がExadataセルにオフロードされるため、CPU処理を大幅に節約できます。

15.7.5 インターリーブ・グリッド・ディスク

この機能は、Oracle Exadata System Softwareリリース19.1.0で非推奨となりました。

グリッド・ディスクの領域は、インターリーブ形式で割り当てることができます。このタイプの領域割当てを使用するグリッド・ディスクは、インターリーブ・グリッド・ディスクと呼ばれます。この方法では、内側のトラックのグリッド・ディスクを犠牲にして外側のトラックを占有するグリッド・ディスクに優れたパフォーマンスを発揮させるのではなく、同じセル・ディスク上に存在する各グリッド・ディスクのパフォーマンスを均等化するよう試みます。

セル・ディスクは、外側半分(上部)と内側半分(下部)の2つの等しい部分に分割されます。新規グリッド・ディスクが作成されると、そのグリッド・ディスク領域の半分はセル・ディスクの外側半分に割り当てられ、グリッド・ディスク領域の残りの半分はセル・ディスクの内側半分に割り当てられます。グリッド・ディスクの上部は、外側半分の空き領域または使用済領域に応じて、外側半分で最初に使用できる最も外側のオフセットから開始します。グリッド・ディスクの下部は、内側半分で最初に使用できる最も外側のオフセットから開始します。

たとえば、100GBの領域を持つセル・ディスクCD_01_cell01が完全に空で、そのセル・ディスクに50GBのサイズのグリッド・ディスクdata_CD_01_cell01を作成する場合、セル・ディスクのレイアウトは次のようになります。

- Outer portion of data_CD_01_cell01 - 25GB
- Free space - 25GB
------------ Middle Point ------------------
- Inner portion of data_CD_cell01 - 25GB
- Free space - 25GB

関連項目:

グリッド・ディスクの詳細は、Oracle Exadata System Softwareユーザーズ・ガイドを参照してください

15.7.6 データ・マイニング・スコアリングのオフロード

Oracle Exadata System Softwareでは、データ・マイニング・モデル・スコアリングがオフロードされるようになりました。これにより、Oracle Exadata Storage Server上のデータ・ウェアハウスのデプロイメントが、より優れた高性能なデータ分析プラットフォームになります。PREDICTION_PROBABILITYなどのすべてのデータ・マイニング・スコアリング関数は、Oracle Exadata Storage Serverにオフロードされて処理されます。これにより、データベース・サーバーのCPU使用量を抑制し、Oracle Exadata Database ServerOracle Exadata Storage Server間のI/O負荷を軽減しながら、ウェアハウス分析を高速化できます。

15.7.7 管理性機能の拡張

Oracle Exadata Storage Server Softwareには、現在、次の管理性機能が含まれます。

  • ディスク・グループに対する置換ディスクの自動追加: 物理ディスクの障害後に置換ディスクが追加された場合、ディスク・グループを再作成して元のディスク・グループに各グリッド・ディスクを追加するのに必要なすべてのExadata操作は、現在、自動的に実行されます。

  • セルの自動再起動: セルが障害から回復するか、再起動すると、各グリッド・ディスクは自動的にオンラインに変更されます。

  • ASMディスク・グループでのOCRおよび投票ディスクのサポート: Oracle Database 11gリリース2(11.2)では、ASMディスク・グループでOracle Cluster Registry(OCR)および投票ディスクがサポートされます(iSCSIパーティションは必要なくなりました)。

  • データベース・サーバーにおける最大4つのデュアルポートInfiniBandホスト・チャネル・アダプタのサポート。この機能により、Oracle Exadata Storage Server Softwareを使用するデータベース・サーバーとして、より大規模なOracle Exadata Database Machine X2-8フル・ラックを使用できます。

15.8 Oracle Exadata Database Machine 11gリリース2(11.2)の新機能

Oracle Exadata System Software 11gリリース2 (11.2)の新機能は次のとおりです。

15.8.1 このガイドの拡張コンテンツ

このリリースの『Oracle Exadata Database Machineシステム概要』には、保守手順、配線情報、サイト計画のチェックリストなどが含まれます。このガイドは、Oracle Exadata Database Machineの主要な参考資料です。