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Oracle Application Server インストレーション・ガイド
10gリリース2(10.1.2)for HP-UX Itanium
B25904-03
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要件

Oracle Application Serverをインストールする前に、使用するコンピュータがこの章で説明している要件を満たしていることを確認してください。

表3-1    この章の内容 
  説明 

第3.1項「OracleMetaLinkの使用による、Oracle Application Serverの最新のハードウェアおよびソフトウェア要件の取得」 

Oracle Application Server 10gリリース2(10.1.2)の最新の要件を検索する方法について説明します。 

第3.2項「システム要件」 

サポートされているオペレーティング・システム、プロセッサ速度、メモリー、ディスク領域、スワップ領域などの要件を示します。  

第3.3項「ソフトウェア要件」 

HP-UX Itaniumのオペレーティング・システム要件について説明します。 

第3.4項「カーネル・パラメータ」 

カーネル・パラメータに必要な値を示します。 

第3.5項「ポート」 

デフォルト・ポート以外のポートを使用するようにコンポーネントを構成する方法について説明します。 

第3.6項「オペレーティング・システム・グループ」 

Oracle Application Serverをインストールするオペレーティング・システム・ユーザーが特定のオペレーティング・システム・グループに属している必要がある理由について説明します。 

第3.7項「オペレーティング・システム・ユーザー」 

Oracle Application Serverをインストールするために、オペレーティング・システム・ユーザーを作成する必要がある理由について説明します。 

第3.8項「環境変数」 

インストールに必要な環境変数を設定または設定解除する方法について説明します。 

第3.9項「/etc/hostsファイル」 

Oracle Universal Installerがどのようにhostsファイル内の情報を使用するかについて説明します。ファイルを編集せずに同じ情報を指定する方法についても説明します。 

第3.10項「仮想ホスト名を持つマシンへのインストールまたは高可用性のUNIXソフトウェアにおけるパッケージでのインストール」 

仮想ホスト名を使用するマシンへのインストール方法について説明します。 

第3.11項「ネットワーク関連項目」 

リモート・コンピュータへのOracle Application Serverのインストール、リモートCD-ROM/DVDドライブの使用、ハード・ディスクからのインストールなど、ネットワークの問題について説明します。 

第3.12項「Oracle Universal Installerにより実行される前提条件チェック」 

Oracleホーム名の長さや、Oracleホーム・ディレクトリに別のOracle製品がすでにインストールされているかどうかなど、Oracle Universal Installerによってチェックされる項目を示します。 

3.1 OracleMetaLinkの使用による、Oracle Application Serverの最新のハードウェアおよびソフトウェア要件の取得

このマニュアルに記載されているOracle Application Server 10gリリース2(10.1.2.0.2)のハードウェアおよびソフトウェア要件は、このマニュアルが作成された時点では正確でした。ハードウェアおよびソフトウェア要件の最新情報については、OracleMetaLinkを参照してください。

https://metalink.oracle.com/

OracleMetaLinkにログインした後、「Certify and Availability」をクリックします。表示されたWebページから、製品、プラットフォーム、製品の可用性ごとに、最新の動作保証リストを閲覧できます。

3.2 システム要件

表3-2に、Oracle Application Serverを実行するためのシステム要件を示します。Oracle Universal Installerにより、この要件の多くがインストール・プロセス開始時にチェックされ、満たされていない要件がある場合には警告されます。ユーザーはOracle Universal Installerによってチェックされない要件のみを確認して時間を節約できます。Oracle Universal Installerによりチェックされない要件については、表3-2を参照してください。

また、次に示すrunInstallerコマンドを実行すると、実際にインストールを行わずに、Oracle Universal Installerによるシステム・チェックのみを実行することもできます。runInstallerコマンドは、Oracle Application ServerのCD-ROM(Disk 1)またはDVD(application_serverディレクトリ)にあります。

CD-ROMの場合:

prompt> mount_point/1012disk1/runInstaller -executeSysPrereqs

DVDの場合:

prompt> mount_point/application_server/runInstaller -executeSysPrereqs

結果はログ・ファイルに書き込まれると同時に、画面にも表示されます。実行されるチェックの種類の詳細は、第3.12項「Oracle Universal Installerにより実行される前提条件チェック」を参照してください。

表3-2    システム要件 
項目  要件 

ネットワーク 

Oracle Application Serverは、ネットワークに接続されているコンピュータまたは接続されていないコンピュータ(スタンドアロン・コンピュータ)にインストールできます。

Oracle Application Serverをスタンドアロン・コンピュータにインストールする場合、インストール後にそのコンピュータをネットワークに接続できます。コンピュータをネットワークに接続する際は、いくつかの構成作業を実行する必要があります。

詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。

インストーラによるチェック: しない 

IP 

コンピュータのIPアドレスは静的である必要があります。Oracle Application Serverでは、DHCPを使用するHP-UX Itaniumシステムはサポートされていません。 

ホスト名 

  • ホスト名は最大255文字です。

  • ホスト名とノード名の文字列は同じである必要があります。

 

プロセッサの種類 

64ビットHP-UX Itaniumプロセッサ

プロセッサが64ビットの場合、次のコマンドで値64が戻されます。

# /bin/getconf KERNEL_BITS

 

プロセッサ速度 

400MHz以上

インストーラによるチェック: する 

メモリー 

次に示す各種インストール・タイプのメモリー要件は、Oracle Application Serverをインストールおよび実行するのに十分な物理メモリーです。ただし、ほとんどの本番サイトでは少なくとも1 GBの物理メモリー構成が必要です。通信量の多いサイトでは、メモリーをさらに増やすことによってパフォーマンスを向上させることができます。Javaアプリケーションで増量したメモリーを活用するには、OC4Jプロセスに割り当てられた最大ヒープを増やすか、OC4Jプロセスを追加構成する必要があります。詳細は、『Oracle Application Serverパフォーマンス・ガイド』を参照してください。

実際のインストールに最適なメモリーの容量を決定するには、サイトの負荷テストを行うのが最善です。アプリケーションや利用パターンによって、リソースの要件は大幅に異なることがあります。また、メモリーを監視するオペレーティング・システムのユーティリティでは、(共有メモリーを示すなどの理由で)メモリー使用を実際より多く報告するものもあります。メモリー要件を決定するには、負荷テストの際に、物理メモリーの追加によるパフォーマンスの向上を監視することをお薦めします。メモリーおよびプロセッサ・リソースをテスト用に構成する方法は、各プラットフォーム・ベンダーのドキュメントを参照してください。

OracleAS Infrastructure:

  • OracleAS Metadata RepositoryおよびIdentity Management: 1GB

  • Identity Managementのみ: 1GB

  • OracleAS Metadata Repositoryのみ: 1GB

Oracle Application Serverの中間層:

  • J2EE and Web Cache: 512MB

  • Portal and Wireless: 1GB

  • Business Intelligence: 1GB

OracleAS Developer Kits: 256MB(512MB推奨)

注意:

  • Oracle Universal Installerによってコンピュータのメモリーの容量がチェックされ、コンピュータが最小メモリー要件を満たしていない場合は、警告されます。

  • これらの値は、コンピュータごとにOracle Application Serverインスタンスが1つだけ実行されていると想定した場合のものです。同じコンピュータ上で複数のインスタンスを実行する場合は、第3.2.1項「同じコンピュータ上で複数のインスタンスを実行する場合のメモリー要件」を参照してください。

メモリー容量を確認するには、次のコマンドを入力します。

# /usr/sbin/dmesg | grep "Physical

インストーラによるチェック: する 

ディスク領域 

OracleAS Infrastructure: 5.77GB

Oracle Application Serverの中間層:

  • J2EE and Web Cache: 2.24GB

  • Portal and Wireless: 2.68GB

  • Business Intelligence and Forms: 3.36GB

OracleAS Developer Kits: 1.4GB

Oracle Universal Installerでは、ディスク領域の要件の数値が正確でない場合があります。ディスク領域の要件については、前述の数値を参照してください。

空きディスク領域を確認するには、次のbdfコマンドを使用します。

prompt> bdf dir

dirをOracleホーム・ディレクトリに、あるいは、Oracleホーム・ディレクトリがまだ存在しない場合はその親ディレクトリに置き換えます。たとえば、Oracle Application Serverを/opt/oracle/infraにインストールする場合は、dirを/opt/oracleまたは/opt/oracle/infraに置き換えます。

インストーラによるチェック: しない 

/tmpディレクトリの領域 

400MB

/tmpディレクトリの空きディスク領域を調べるには、次のdfコマンドを使用します。

prompt> bdf /tmp

/tmpディレクトリに十分な空き領域がない場合は、環境変数TMPまたはTMPDIRを設定することにより、別のディレクトリを指定できます。詳細は、第3.8.5項「TMPおよびTMPDIR」を参照してください。

インストーラによるチェック: する 

スワップ領域 

使用可能なスワップ領域が1.5GB

使用可能なスワップ領域の大きさを確認するには、次のコマンドを入力します。

# /usr/sbin/swapinfo -a

必要であれば、追加のスワップ領域の構成方法について、ご使用のオペレーティング・システムのドキュメントを参照してください。

インストーラによるチェック: する 

モニター 

256色表示機能

モニターの表示機能を調べるには、次のコマンドを実行します。

prompt> /usr/X11R6/bin/xdpyinfo

「depths」の行を探します。8(ピクセル当たりのビット数)以上の深さが必要です。

インストーラによるチェック: する 

3.2.1 同じコンピュータ上で複数のインスタンスを実行する場合のメモリー要件

同じコンピュータ上でOracleAS Infrastructureと中間層を実行する場合、そのコンピュータが表3-3に示すメモリーの要件を満たしていることを確認してください。

ここに示す値は、少人数のユーザーに対してテストされたものです。ユーザー数が多い場合は、メモリーの容量を増やす必要があります。

表3-3    同じコンピュータ上で複数のインスタンスを実行する場合のメモリー要件 
説明  メモリー 

OracleAS Infrastructure と J2EE and Web Cache 

1GB 

OracleAS Infrastructure と Portal and Wireless 

1.5GB 

OracleAS Infrastructure と Business Intelligence and Forms 

1.5GB 

3.2.2 コンソールまたはX Windowからのインストール

コンソールまたはX Windowからインストールを実行する場合は、/etc/pamd.d/xdmファイルに次の行を追加します。

session required pam_limits.so

3.2.3 メモリー使用量を削減するためのヒント

メモリー使用量を削減する必要がある場合は、次の手順を実行します。

3.3 ソフトウェア要件

表3-4に示すソフトウェアがシステムにインストールされていることを確認します。表の後に続く手順に、正しいソフトウェアがシステムにインストールされていることを確認する方法を示します。


注意

Oracle Application Server 10gリリース2(10.1.2)は、次のオペレーティング・システム固有のソフトウェアとの動作が保証されています。サポートされるオペレーティング・システム固有のソフトウェア(JDKバージョン、オペレーティング・システム・バージョンなど)の最新のリストについては、OracleMetaLinkを確認してください(https://metalink.oracle.com)。 


表3-4    HP-UX 11iバージョン2 Itaniumシステムのソフトウェア要件 
項目  要件 

オペレーティング・システム 

HP-UX 11iバージョン2(11.23)Itanium以上 

11.11用パッチ(またはこれ以上のバージョン) 

  • BUNDLE11i B.11.23.0409.3(Patch Bundle for HP-UX 11i v2 (B.11.23), September 2004)

  • PHSS_31850(11.23アセンブラ・パッチ)

  • PHSS_31851(11.23整合性unwindライブラリ)

  • PHSS_31854(11.23 milli累積パッチ)

  • PHSS_31855(11.23 aC++ Runtime (IA: A.05.60, PA A.03.60))

  • PHSS_33275 + PHSS_32213(11.23リンカーおよびfdp累積パッチ)

  • PHSS_33276(11.23数学ライブラリ累積パッチ)

JDK 1.4.2.05以上には、次のパッチが必要です。このリリースには、JDK 1.4.2.05がインストールされています。JDKパッチの全リストは、HPのサポート・サイトを参照してください。

  • PHCO_31553: pthreadライブラリ累積パッチ

  • PHKL_31500: 11.23 Sept04ベース・パッチ

  • PHSS_32213: 11.23 Aries累積パッチ

システムにANSI CおよびC++がインストールされている場合は、次のパッチが必要です。

  • PHSS_33278: aC++コンパイラ(A.06.02)

  • PHSS_33277: HP Cコンパイラ(A.06.02)

  • PHSS_33279: u2comp/beパッチ

 

システムがこれらの要件を満たしているかどうかを確認するには、次の手順に従います。

  1. インストールされたHP-UX Itaniumのバージョンを確認するには、次のコマンドを入力します。

    # uname -a
    HP-UX hostname B.11.23 U ia64 1221911087 unlimited-user license
    
    

    この例では、HP-UX Itanium 11iのバージョンは11.23です。

  2. バンドルがインストールされているかどうかを確認するには、次のコマンドを入力します。

    # /usr/sbin/swlist | grep BUNDLE
    
    

    バンドルがインストールされていない場合は、次のWebサイトからダウンロードしてインストールしてください。

    http://www.software.hp.com/SUPPORT_PLUS/qpk.html
    
    
  3. バンドルまたは製品がインストールされているかどうかを確認するには、次のコマンドを入力します。

    # /usr/sbin/swlist -l product | more
    
    

    必要な製品がインストールされていない場合は、インストールしてください。製品のインストール方法は、オペレーティング・システムまたはソフトウェアのドキュメントを参照してください。

  4. パッチがインストールされているかどうかを確認するには、次のコマンドを入力します。

    # /usr/sbin/swlist -l patch | grep PHKL_29198
    
    

    また、インストールされているすべてのパッチを一覧表示するには、次のコマンドを入力します。

    # /usr/sbin/swlist -l patch | more
    
    

    必要なパッチがインストールされていない場合は、次のURLからダウンロードしてインストールします。

    http://itresourcecenter.hp.com
    
    

3.4 カーネル・パラメータ

OracleAS Metadata RepositoryまたはOracleAS Web Cacheをインストールするコンピュータでは、そのカーネル・パラメータを次の項に示す最小値に設定する必要があります。

3.4.1 OracleAS Web Cacheのカーネル・パラメータの設定

この項の説明は、OracleAS Web Cacheをインストールする場合に適用されます。

OracleAS Web Cacheのカーネル・パラメータを設定するには、次のタスクを完了します。

  1. rootユーザーとしてSystem Administration Manager(SAM)を起動します。

    # /usr/sbin/sam
    
    
  2. 「Kernel Configuration」領域、「Configurable Parameters」領域の順に選択します。

  3. maxfiles_limの値が65536以上であることを確認します。必要に応じて、値を変更します。この手順の詳細は、SAMのオンライン・ヘルプを参照してください。

  4. SAMを終了します。

  5. 値を変更した場合は、システムを再起動します。

    # /sbin/shutdown -r now
    

3.4.2 OracleAS Metadata Repositoryのカーネル・パラメータの設定

次の表に示すカーネル・パラメータが、表示されている計算式、または表示されている推奨値と同じかそれ以上に設定されていることを確認します。表の後に示す手順は、値を確認して設定する方法について説明しています。

パラメータ  推奨される計算式または値 

ksi_alloc_max 

(nproc*8) 

max_thread_proc 

3000 

maxdsiz 

2063835136(2GB) 

maxdsiz_64bit 

2147483648(2GB) 

maxfiles 

2048 

maxfiles_lim 

2048 

maxssiz 

134217728(128MB) 

maxssiz_64bit 

1073741824(1GB) 

maxuprc 

((nproc*9)/10) 

msgmap 

(2+msgmni) 

msgmni 

4096 

msgseg 

32767 

msgtql 

4096 

ncsize 

(ninode+1024) 

nfile 

(15*nproc+2048) 

nflocks 

4096 

ninode 

(8*nproc+2048) 

nkthread 

(((nproc*7)/4)+16) 

nproc 

4096 

semmni 

4096 

semmns 

(semmni*2) 

semmnu 

(nproc-4) 

semvmx 

32767 

shmmax 

物理メモリーのサイズまたは0X40000000(1073741824)の、どちらか大きいほう。

注意: パフォーマンスの低下を避けるために、この値はSGAのサイズと同じか、またはそれ以上にする必要があります。  

shmmni 

512 

shmseg 

120 

tcp_conn_request_max 

2048 

vps_ceiling 

64 

これらのカーネル・パラメータに指定された現在の値を表示し、必要に応じてその値を変更するには、次の手順に従います。

  1. オプションで、環境変数DISPLAYがローカル・システムのディスプレイを指定するように設定します。

    • Bourne、BashまたはKornシェル:

      $ DISPLAY=localhost:0.0 ; export DISPLAY
      
      
    • Cシェル:

      $ setenv DISPLAY localhost:0.0
      
      
  2. System Administration Manager(SAM)を起動します。

    # /usr/sbin/sam
    
    
  3. 「Kernel Configuration」領域、「Configurable Parameters」領域の順に選択します。

  4. 各パラメータに指定された値または計算式を確認して、必要な場合にはその値または計算式を変更します。

    この手順を実行するための詳細は、必要に応じて、SAMのオンライン・ヘルプを参照してください。

  5. SAMを終了します。

  6. パラメータの値を変更した場合は、システムを再起動します。

    # /sbin/shutdown -r now
    
    
  7. 必要に応じて、システムの再起動時にログインおよびrootユーザーへの切替えを行います。

3.5 ポート

Oracle HTTP Server、OracleAS Web Cache、Oracle Enterprise Manager 10gなど、多くのOracle Application Serverコンポーネントでポートを使用します。Oracle Universal Installerにデフォルトのポート番号を割り当ててもらうことも、ユーザーが指定したポート番号を使用することもできます。

Oracle HTTP Serverのデフォルトのポートがポート7777でありポート80でない理由

デフォルトでは、Oracle Universal Installerによって、ポート80でなくポート7777を使用するようにOracle HTTP Serverが構成されます。ポート7777がデフォルトのポートである理由は、UNIXでは1024未満のポート番号を使用するコンポーネントに対しrootユーザーとして追加の手順を実行しないと、コンポーネントを実行できないためです。Oracle Universal Installerはrootアクセス権限を所有していないため、1024より大きいポートを使用する必要があります。

Oracle HTTP Serverでポート80などの異なるポートを使用する場合は、「静的ポート」機能を使用します。これにより、コンポーネントのポート番号を指定できます。インストール後にポート番号を変更することもできますが、インストール中にポート番号を設定する方が簡単です。

3.5.1 ポートが使用中かどうかの確認

ポートが使用されているかどうかを確認するには、netstatコマンドを次のように実行します。

prompt> netstat -an | grep portnum

3.5.2 デフォルトのポート番号の使用

コンポーネントでデフォルトのポート番号を使用する場合は、特に何もする必要はありません。デフォルトのポート番号および範囲のリストについては、付録C「デフォルトのポート番号」を参照してください。各コンポーネントに対し、ポート範囲内で1つ以上のポートが使用できることを確認します。Oracle Universal Installerが空きポートを範囲内で検出できない場合、そのインストールは失敗します。


注意

  • /etc/servicesファイルのデフォルトの構成では、ポート389および636が含まれています(LDAPおよびLDAP/SSL用)。これらは、Oracle Internet Directoryのデフォルトのポートでもあります。つまり、これらのポート番号をOracle Internet Directoryで使用するには、/etc/servicesファイル内のこれらの行を削除するか、コメント・アウトする必要があります。行をコメント・アウトするには、次のように行の先頭に#を付けます。

    # ldap   389/tcp   # Lightweight Directory Access Protocol
    # ldap   389/udp   # Lightweight Directory Access Protocol
    # ldaps  636/tcp   # LDAP protocol over TLS/SSL (was sldap)
    # ldaps  636/udp   # LDAP protocol over TLS/SSL (was sldap)
    
    

    /etc/servicesの行のコメント・アウトまたは削除を行わないと、Oracle Universal Installerでポート389と636の割当てが行われず、Oracle Internet Directoryのポート番号の範囲から別の数値が割り当てられます。デフォルトのポート番号のリストについては、付録C「デフォルトのポート番号」を参照してください。

  • Oracle Universal Installerでは、/etc/servicesファイルで指定されたポート番号の割当ては行いません。特定のポート番号でOracle Universal Installerによる割当てを行わないようにするには、そのポート番号を/etc/servicesファイルに追加します。たとえば、あるアプリケーション用にポート7777を予約するには、次のような行を/etc/servicesに追加します。

    myApplication      7777/tcp
    
    

    この行が/etc/servicesファイル内にあると、Oracle Universal Installerではポート7777をどのコンポーネントにも割り当てません。

 

3.5.3 カスタムのポート番号の使用(「静的ポート」機能)

Oracle Universal Installerがコンポーネントにカスタムのポート番号を割り当てるようにするには、次の手順を実行します。

  1. コンポーネント名とポート番号の入ったファイルを作成します。ファイルの書式は、第3.5.3.1項「staticports.iniファイルの書式」を参照してください。このファイルは通常staticports.iniファイルという名前ですが、任意の名前を付けることができます。

  2. Oracle Universal Installerの「ポート構成オプションの指定」画面で、「手動」を選択し、staticports.iniファイルにフルパスを入力します。

    ファイルへのフルパスを指定しないと、Oracle Universal Installerはファイルを見つけることができません。この場合、Oracle Universal Installerはすべてのコンポーネントにデフォルトのポートを割り当てますが、警告は一切表示されません。


    以前のリリースとの違い

    10g(9.0.4)では、コマンドライン・オプションを使用してstaticports.iniファイルを指定しました。今回のリリースでは、新しい「ポート構成オプションの指定」画面でファイルを指定します。 


3.5.3.1 staticports.iniファイルの書式

staticports.iniファイルの書式は次のとおりです。port_numは、コンポーネントに使用するポート番号に置き換えます。

# J2EE and Web Cache
Oracle HTTP Server port = port_num
Oracle HTTP Server Listen port = port_num
Oracle HTTP Server SSL port = port_num
Oracle HTTP Server Listen (SSL) port = port_num
Oracle HTTP Server Diagnostic port = port_num
Java Object Cache port = port_num
DCM Java Object Cache port = port_num
DCM Discovery port = port_num
Oracle Notification Server Request port = port_num
Oracle Notification Server Local port = port_num
Oracle Notification Server Remote port = port_num
Application Server Control port = port_num
Application Server Control RMI port = port_num
Oracle Management Agent port = port_num
Web Cache HTTP Listen port = port_num
Web Cache HTTP Listen (SSL) port = port_num
Web Cache Administration port = port_num
Web Cache Invalidation port = port_num
Web Cache Statistics port = port_num
Log Loader port = port_num
ASG port = port_num

# Business Intelligence and Forms
Reports Services SQL*Net port = port_num
Reports Services discoveryService port = port_num
Reports Services bridge port = port_num

# Infrastructure
Oracle Internet Directory port = port_num
Oracle Internet Directory (SSL) port = port_num
Oracle Certificate Authority SSL Server Authentication port = port_num
Oracle Certificate Authority SSL Mutual Authentication port = port_num
Ultra Search HTTP port number = port_num

このファイルを作成する最も簡単な方法は、CD-ROM(Disk 1)またはDVDにあるstaticports.iniファイルをテンプレートとして使用することです。

  1. staticports.iniファイルをCD-ROMまたはDVDからハード・ディスクにコピーします。

    表3-5    CD-ROMおよびDVD内のstaticports.iniファイルの場所 
    メディア  staticports.iniファイルの場所 

    CD-ROM 

    Disk 1: mount_point/1012disk1/stage/Response/staticports.ini 

    DVD 

    mount_point/application_server/stage/Response/staticports.ini 

  2. ローカル・コピー(ハード・ディスク上にあるファイル)を編集して必要なポート番号を含めます。

    staticports.iniファイルですべてのコンポーネントのポート番号を指定する必要はありません。ファイルにないコンポーネントでは、Oracle Universal Installerによりデフォルトのポート番号が使用されます。

    インストール中にOracleAS Metadata Repositoryで使用されるポート(ポート1521)の変更はできませんが、インストール後に変更できます。詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。

    次の例では、Application Server ControlのポートといくつかのOracleAS Web Cacheのポートを設定します。指定されていないコンポーネントには、Oracle Universal Installerによってデフォルトのポート番号が割り当てられます。

    Application Server Control port = 2000
    Web Cache Administration port = 2001
    Web Cache Invalidation port = 2002
    Web Cache Statistics port = 2003
    
    

    インストールが完了したら、ORACLE_HOME/install/portlist.iniファイルで、割り当てられたポートを確認できます。

ポート番号の選択に関するヒント

次に、ポート番号の選択に関するガイドラインを示します。

Oracle Universal Installerでは、メモリーをチェックすることにより、ファイルに指定されたポートが使用可能であることが確認されます。つまり、インストーラが検出できるのは、実行中のプロセスで使用されているポートのみです。アプリケーションで使用されているポートを調べるために構成ファイルが確認されることはありません。

指定されたポートが使用できないことが検出されると、Oracle Universal Installerにより警告が表示されます。Oracle Universal Installerでは、使用できないポートの割当ては行われません。この問題を解決するには、次の手順を実行します。

  1. staticports.iniファイルを編集して別のポートを指定するか、そのポートを使用しているアプリケーションをシャットダウンします。

  2. 再試行」をクリックします。Oracle Universal Installerはstaticports.iniファイルの再読取りを行い、ファイル内のエントリを再確認します。

staticports.iniファイルとしてのportlist.iniの使用

staticports.iniファイルは、Oracle Application Serverのインストール後に作成されるORACLE_HOME/install/portlist.iniファイルと同じ書式を使用しています。Oracle Application Serverをすでにインストールしている場合で、同じポート番号を別のインストールでも使用するには、最初のインストールのportlist.iniファイルを、それ以降のインストールのstaticports.iniファイルとして使用できます。

ただし、staticports.iniでは「Oracle Management Agent port」の行は、portlist.iniの「Enterprise Manager Agent port」に相当するという違いに注意してください。

3.5.3.2 Oracle Universal Installerが指定されたポートではなくデフォルトのポートを使用する原因となるエラー条件

staticports.iniファイルは念入りに確認してください。間違いがあると、Oracle Universal Installerでは警告を表示せずにデフォルトのポートを使用します。次のような点を確認します。

3.5.3.3 Oracle HTTP ServerおよびOracleAS Web Cacheのポート

これらのコンポーネントのポートを設定する場合は、次の点を理解しておく必要があります。

Oracle HTTP Serverのhttpd.confファイルでは、PortおよびListenの各ディレクティブでOracleAS Web CacheとOracle HTTP Serverで使用するポートを指定します。staticports.iniファイルでこれらのポートを設定するための行は、どのコンポーネントを構成するかによって異なります。

OracleAS Web CacheおよびOracle HTTP Serverを構成する場合
  1. OracleAS Web Cacheのポートを設定します。

    OracleAS Web Cacheでは、Portディレクティブで指定されたポートを使用します(図3-1)。このポートを設定するには、staticports.iniファイルで次の行を使用します。

    Web Cache HTTP Listen port = port_number
    
    

    OracleAS Web CacheのSSLポートを構成するには、次の行を使用します。

    Web Cache HTTP Listen (SSL) port = port_number
    
    

    この場合、「Oracle HTTP Server port」の行を使用してポート番号を設定することはできません。staticports.iniファイルに「Oracle HTTP Server port」と「Web Cache HTTP Listen port」の両方の行がある場合、「Oracle HTTP Server port」行は無視されます。たとえば、staticports.iniに次の行があるとします。

    Web Cache HTTP Listen port = 7979
    Oracle HTTP Server port = 8080
    
    

    Portディレクティブは7979に設定されます。

  2. Oracle HTTP Serverのポートを設定します。

    Oracle HTTP Serverでは、Listenディレクティブで指定されたポートを使用します。このポートを設定するには、staticports.iniファイルで次の行を使用します。

    Oracle HTTP Server Listen port = port_number
    
    

    SSLのリスニング・ポートを構成するには、次の行を使用します。

    Oracle HTTP Server Listen (SSL) port = port_number
    
    
    

    図3-1    OracleAS Web CacheおよびOracle HTTP Serverの構成


    画像の説明

Oracle HTTP Serverのみを構成する場合(OracleAS Web Cacheは構成しない)

Oracle HTTP Serverのみを構成する場合、Oracle HTTP ServerでPortListenの両方のディレクティブを使用します(図3-2)。この場合、両方のディレクティブが同じポート番号を使用するように設定する必要があります。

これらのポートを設定するには、staticports.iniファイルの「Oracle HTTP Server port」と「Oracle HTTP Server Listen port」の行を使用します。たとえば、次のようになります。

Oracle HTTP Server port = 8080
Oracle HTTP Server Listen port = 8080

これらのポートのSSLバージョンを設定するには、次の行を使用します。SSL非対応バージョンと同様、ポート番号は同じである必要があります。

Oracle HTTP Server SSL port = 443
Oracle HTTP Server Listen (SSL) port = 443

staticports.iniのWeb Cacheの行を指定しても、OracleAS Web Cacheは構成していないため、それらの行は無視されます。

図3-2    Oracle HTTP Serverのみの構成


画像の説明

3.5.3.4 例

この項では、staticports.iniを使用するための一般的なシナリオについていくつか説明します。

OracleAS Web Cacheをフロントエンドとして使用しOracle HTTP Serverでポート80とポート443を使用するように構成する

このシナリオでは、次の行を含むstaticports.iniファイルを作成します。

Web Cache HTTP Listen port = 80
Oracle HTTP Server Listen port = 81
Web Cache HTTP Listen (SSL) port = 443
Oracle HTTP Server Listen (SSL) port = 444

Oracle HTTP Serverのリスニング・ポートおよびSSLリスニング・ポートは、使用できるポートのいずれでもかまいません。例では、ポート81と444を使用しています。これらのポート番号は、1024未満である必要はありません。1024未満のポート番号を選択した場合は、rootユーザーとしてOracle HTTP ServerおよびOracleAS Web Cacheを起動する必要があります。


注意

1024より小さいポート番号を使用しているため、Oracle HTTP ServerとOracleAS Web Cacheはrootユーザーとして実行するように構成する必要があります。構成は、インストール中またはインストール後に行うことができます。

  • インストール中に構成を行うには、root.shを実行した後、第6.15項「インストールの一部: インストールの最後のいくつかの画面」に示した手順に従い、その後で「OK」をクリックする必要があります。root.shはインストールの最後の方で実行します。

  • インストール後に構成を行うように選択することもできますが、Oracle Universal Installerではコンポーネントを起動できないことに注意してください(まだ構成されていないため)。

詳細は、『Oracle HTTP Server管理者ガイド』および『Oracle Application Server Web Cache管理者ガイド』を参照してください。 


Oracle HTTP ServerでOracleAS Web Cacheを使用せずにポート80およびポート443を使用するように構成する

このシナリオでは、次の行を含むstaticports.iniファイルを作成します。

Oracle HTTP Server port = 80
Oracle HTTP Server Listen port = 80
Oracle HTTP Server SSL port = 443
Oracle HTTP Server Listen (SSL) port = 443


注意

1024より小さいポート番号を使用しているため、Oracle HTTP Serverはrootユーザーとして実行するように構成する必要があります。 詳細は、「注意」を参照してください。 


3.5.4 ポート1521が使用されている場合

Oracle Universal Installerはポート1521をOracleAS Metadata Repositoryのリスナー(リリース10.1.0.3)用に構成します。このポートはstaticports.iniファイルでは変更できません。


注意

コンピュータに、EXTPROCキーでIPCプロトコルを使用するリスナーがある場合、そのキーが別の値を持つように変更する必要があります。これは、OracleAS Metadata RepositoryのリスナーがEXTPROCキーを使用する必要があるためです。 


Oracleデータベース・リスナーなどの既存のアプリケーションがポート1521をすでに使用している場合、Oracle Universal Installerを実行する前になんらかの措置が必要になることがあります。詳細は次の項を参照してください。

3.5.4.1 ポート1521が既存のOracle Databaseで使用されている場合

Oracleデータベースをすでに実行しているコンピュータにOracleAS Metadata Repository用の新規のデータベースをインストールする場合は、両方のデータベースのリスナーが競合しないことを確認してください。

既存のデータベースとOracleAS Metadata Repositoryのデータベースの両方で同じリスナーが使用できる場合があります。これには、既存のリスナーとポート番号を考慮する必要があります。表3-6に、各種シナリオとその結果を示します。

インストール後、OracleAS Metadata Repositoryのリスナーが別のポートを使用するように変更できます。詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。

表3-6    OracleAS Metadata Repositoryをインストールするコンピュータに既存のデータベースがある場合のシナリオとその結果 
既存のリスナーのリリース  既存のリスナーがポート1521を使用  既存のリスナーがポート1521以外を使用 

10.1.0.2より前 

既存データベース用とOracleAS Metadata Repository用の2つのリスナーが必要です。

シナリオ1: 既存のリスナーがポート1521を使用し、リスナーのリリースは10.1.0.2より前である」を参照してください。 

既存データベース用とOracleAS Metadata Repository用の2つのリスナーが必要です。

シナリオ3: 既存のリスナーがポート1521以外を使用」を参照してください。 

10.1.0.2以上 

既存のリスナーは、既存のデータベースとOracleAS Metadata Repositoryの両方をサポートします。

シナリオ2: 既存のリスナーがポート1521を使用し、リスナーのリリースは10.1.0.2以上である」を参照してください。 

既存データベース用とOracleAS Metadata Repository用の2つのリスナーが必要です。

シナリオ3: 既存のリスナーがポート1521以外を使用」を参照してください。 

リスナーのリリースを確認するには、次のコマンドを実行します。

prompt> $ORACLE_HOME/bin/lsnrctl VERSION

ここでORACLE_HOMEは、データベースのホーム・ディレクトリです。

同じコマンドを使用して、リスナーのポートを確認することもできます。

コマンドの出力例を次に示します。

bin/lsnrctl VERSION
 
LSNRCTL for HPUX: Version 10.1.0.4.2 - Production on 23-SEP-2005 19:15:32
 
Copyright (c) 1991, 2004, Oracle.  All rights reserved.
 
Connecting to 
(DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=plhpxm11.us.oracle.com)(PORT=1521)))
TNSLSNR for HPUX: Version 10.1.0.4.2 - Production
        TNS for HPUX: Version 10.1.0.4.0 - Production
        Unix Domain Socket IPC NT Protocol Adaptor for HPUX: Version 10.1.0.4.0 - 
Production
        Oracle Bequeath NT Protocol Adapter for HPUX: Version 10.1.0.4.0 - Production
        TCP/IP NT Protocol Adapter for HPUX: Version 10.1.0.4.0 - Production,,
The command completed successfully
シナリオ1: 既存のリスナーがポート1521を使用し、リスナーのリリースは10.1.0.2より前である

リリース10.1.0.2より前のリスナーには、このOracle Application ServerリリースのOracleAS Metadata Repositoryと互換性がありません。リリース10.1.0.3のリスナーがインストールされるOracleAS Metadata Repositoryをインストールする必要があります。この後で、この新しいリスナーを使用して、既存のデータベースおよびOracleAS Metadata Repositoryデータベースに対しサービスを提供することができます。

  1. OracleAS Metadata Repositoryをインストールする前に、既存のリスナーを停止します。

    prompt> $ORACLE_HOME/bin/lsnrctl stop
    
    

    ORACLE_HOMEは、既存のデータベースのホーム・ディレクトリです。

    既存のリスナーを停止しない場合、インストールに失敗します。

  2. OracleAS Metadata Repositoryをインストールします。

    第5章「OracleAS Infrastructureのインストール」にあるOracleAS Metadata Repositoryの任意のインストール手順を参照してください(第5.20項「OracleAS Infrastructureのインストール」第5.21項「既存のOracle Internet Directoryに対するOracleAS Infrastructureのインストール」など)。

  3. 必要に応じて、新しいリスナーの構成ファイルを更新します。リスナーの構成ファイルの名前はlistener.oraで、ORACLE_HOME/network/adminディレクトリにあります。

    1. 既存のリスナーの構成ファイルのネットワーク・アドレスのエントリを確認します。

      既存のリスナーの構成ファイルにTCP Port 1521およびIPC key EXTPROCのネットワーク・アドレスしかない場合は、OracleAS Metadata Repositoryのリスナーの構成ファイルのネットワーク・アドレスを編集する必要はありません。

      構成ファイルに他のネットワーク・アドレスがある場合は、それらをOracleAS Metadata Repositoryのリスナーの構成ファイルに追加する必要があります。

    2. 既存のリスナーの構成ファイルのSID_DESCエントリを確認します。

      既存のリスナーの構成ファイルに、既存のデータベースのSID_DESCエントリがある場合は、それらのエントリをOracleAS Metadata Repositoryのリスナーの構成ファイルに追加する必要があります。

    3. 既存のリスナー(リリース10.1.0.2より前のもの)は起動しないでください。新しいリスナーが両方のデータベースをサポートできるようになったため、既存のリスナーを実行する必要はなくなりました。

シナリオ2: 既存のリスナーがポート1521を使用し、リスナーのリリースは10.1.0.2以上である

既存のリスナーは、既存のデータベースとOracleAS Metadata Repositoryの両方をサポートします。Oracle Universal Installerでは、この構成を自動的に行います。

インストール中、リスナーを実行しておくことができます。

シナリオ3: 既存のリスナーがポート1521以外を使用

リスナーを2つ実行します。既存のリスナーのリリースには関係なく、1つは既存のデータベース用で、もう1つはOracleAS Metadata Repository用になります。

既存のリスナーはポート1521を使用しないため、インストール中に実行していてもかまいません。

3.5.4.2 ポート1521が他のアプリケーションで使用されている場合

ポート1521でリスニングしているアプリケーションが他にある場合、それらが別のポートでリスニングするように再構成する必要があります。それが可能ではない場合は、OracleAS Metadata Repositoryのインストール中はそのアプリケーションをシャットダウンしてください。インストール後、OracleAS Metadata Repositoryが1521以外のポートを使用するように再構成できます。手順については、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。

3.6 オペレーティング・システム・グループ

次の場合、オペレーティング・システム・グループを作成する必要があります。

oinstallグループを作成するには、次のコマンドを入力します。

# /usr/sbin/groupadd oinstall

オペレーティング・システムのユーザーとグループの詳細は、オペレーティング・システムのドキュメントを参照するか、システム管理者に問い合せてください。

3.6.1 インベントリ・ディレクトリのグループの作成

Oracle製品が入っていないコンピュータにOracle Application Serverをインストールする場合は、インベントリ・ディレクトリを所有するためのグループを作成します。Oracle Universal Installerでは、コンピュータにインストールされているOracle製品を把握するために、インベントリ・ディレクトリにファイルを書き込みます。

このマニュアルでは、このオペレーティング・システム・グループにoinstallという名前を使用します。

インベントリ・ディレクトリ用に別のグループを用意することによって、様々なユーザーがコンピュータにOracle製品をインストールできるようにします。ユーザーは、インベントリ・ディレクトリへの書込み権限が必要です。これは、oinstallグループに所属します。

コンピュータにOracle製品を初めてインストールするとき、Oracle Universal Installerにより、インベントリ・ディレクトリのグループ名を入力する画面と、インベントリ・ディレクトリの場所を入力する画面が表示されます。

インベントリ・ディレクトリのデフォルトの名前はoraInventoryです。

コンピュータにインベントリ・ディレクトリがすでにあるかどうかが不明な場合は、/var/opt/oracle/oraInst.locファイルを参照します。このファイルには、インベントリ・ディレクトリの場所と、それを所有するグループが一覧表示されます。ファイルがない場合は、そのコンピュータにはOracle製品がインストールされていません。

3.6.2 データベース管理者のグループの作成

この項の内容は、Oracle Universal Installerによって作成された新規データベースにOracleAS Metadata Repositoryをインストールする場合にのみ適用されます。

データベースがマウントされておらず、データベースの認証が使用できない場合、データベースではオペレーティング・システム・グループを使用してユーザー権限を判断します。データベースでは、次のグループと権限を認識します。

表3-7    OSDBAグループとOSOPERグループの権限 
グループ  説明 

OSDBA 

データベース管理者のグループです。このグループのユーザーには、SYSDBA権限が付与されます。 

OSOPER 

このグループのユーザーには、基本的なメンテナンスに必要な権限から構成されるSYSOPER権限が付与されます。これには、データベースの起動とシャットダウン、およびデータベース操作に必要なその他の権限が含まれます。SYSOPER権限はSYSDBA権限のサブセットです。 

これらのグループのオペレーティング・システム・グループを作成する必要があります。

dbaというオペレーティング・システム・グループがSYSDBA権限を持つようにするには、次の手順を実行します。

  1. dbaグループを作成します。

  2. Oracle Universal Installerを実行するユーザーが必ずdbaグループのメンバーであるようにします。

別のオペレーティング・システム・グループがSYSDBA権限を持つようにするには、またはSYSDBA権限とSYSOPER権限を別のグループに関連付けるには、Oracle Universal Installerを実行するユーザーがdbaグループに所属しないようにします。

Oracle Universal Installerを実行するユーザーがdbaグループに所属していない場合、Oracle Universal Installerにより、データベース管理者権限を持つグループの名前を入力する画面が表示されます。画面には2つのフィールドがあります。1つはOSDBAグループ用で、もう1つはOSOPERグループ用です(表3-7を参照)。2つのフィールドに同じオペレーティング・システム・グループを入力することもできます。

3.7 オペレーティング・システム・ユーザー

Oracle製品のインストールとアップグレードを行うオペレーティング・システム・ユーザーを作成します。このマニュアルでは、このユーザーをoracleユーザーと呼びます。Oracle Universal Installerを実行するoracleユーザーは、次のディレクトリに対する書込み権限を所有している必要があります。

コンピュータに他のOracle製品がある場合、すでにこのためのユーザーが作成されている可能性があります。/var/opt/oracle/oraInst.locファイルを確認します。このファイルには、インベントリ・ディレクトリの場所と、それを所有するグループが一覧表示されます。ファイルがない場合は、そのコンピュータにはOracle製品がインストールされていません。

Oracle製品のインストール用のユーザーがまだない場合は、表3-8に示されているプロパティを持ったユーザーを作成します。

表3-8    Oracle Universal Installerを実行するオペレーティング・システム・ユーザーのプロパティ 
項目  説明 

ログイン名 

ユーザーには任意の名前を使用できます。このマニュアルではoracleユーザーと呼びます。 

グループ識別子 

oracleユーザーのプライマリ・グループは、oraInventoryディレクトリに対する書込み権限を持っている必要があります。このグループの詳細は、第3.6.1項「インベントリ・ディレクトリのグループの作成」を参照してください。

グループには任意の名前を使用できます。このマニュアルでは、oinstallという名前を使用します。 

ホーム・ディレクトリ 

oracleユーザーのホーム・ディレクトリは、他のユーザーのホーム・ディレクトリと同じにすることができます。 

ログイン・シェル 

デフォルトのログイン・シェルはC、BourneまたはKornシェルです。 


注意

oracleユーザーは、Oracle製品のインストールおよび実行のみに使用します。rootをoracleユーザーとして使用しないでください。 


oracleユーザーを作成するには、次の手順に従います。

  1. 次のようなコマンドを入力します。

    # /usr/sbin/useradd -g oinstall -G dba[,oper] oracle
    
    

    このコマンドのオプションは次のとおりです。

    • -gオプションでプライマリ・グループを指定します。このグループは、oinstallのようにOracleインベントリのグループである必要があります。

    • -Gオプションでは、セカンダリ・グループを指定します。このグループには、OSDBAグループおよび必要に応じてOSOPERグループ(dbadba,operなど)を含める必要があります。

  2. oracle ユーザーのパスワードを設定します。

    # passwd oracle
    
    

オペレーティング・システム・ユーザーが所属するグループを確認するには、groupsコマンドにユーザー名を指定して実行します。たとえば、次のようになります。

prompt> groups oracle

オペレーティング・システムのユーザーとグループの詳細は、オペレーティング・システムのドキュメントを参照するか、システム管理者に問い合せてください。

3.8 環境変数

Oracle Application Serverをインストールするオペレーティング・システム・ユーザーは、次の環境変数を設定(または設定解除)する必要があります。

表3-9に、環境変数の設定または設定解除の概要を示します。

表3-9    環境変数の概要 
環境変数  設定または設定解除 

ORACLE_HOMEおよびORACLE_SID 

設定しないでください。 

PATH、CLASSPATHおよび共有ライブラリ・パスの環境変数 

Oracleホーム・ディレクトリ内のディレクトリを参照するパスは含めないでください。 

DISPLAY 

Oracle Universal Installerのウィンドウを表示するモニターに設定します。 

TMPおよびTMPDIR 

任意です。設定解除した場合、デフォルトで/tmpに設定されます。 

TNS_ADMIN 

設定しないでください。 

3.8.1 環境変数のヒント

次に、環境変数を扱う際のヒントを示します。

3.8.2 ORACLE_HOMEおよびORACLE_SID

これらの環境変数は設定しないでください。

3.8.3 PATH、CLASSPATHおよび共有ライブラリ・パスの環境変数

環境変数PATHCLASSPATHSHLIB_PATHおよびLD_LIBRARY_PATHは、Oracleホーム・ディレクトリを参照しないように編集します。

3.8.4 DISPLAY

環境変数DISPLAYをXサーバーを示すように設定すると、Oracle Universal Installerが表示されます。環境変数DISPLAYのフォーマットは次のとおりです。

hostname:display_number.screen_number

例(Cシェル):

% setenv DISPLAY test.mydomain.com:0.0

例(Bourne/Kornシェル):

$ DISPLAY=test.mydomain.com:0.0; export DISPLAY

次のように、xclockプログラムを実行してディスプレイをテストできます。

$ /bin/x11/xclock

Oracle Application Serverではインストール中のみXサーバーを実行する必要があります。オペレーティング・システムにインストールされているフレーム・バッファXサーバーでは、インストール中はログインしたままの状態でフレーム・バッファが動作していることが必要です。これを行わない場合は仮想フレーム・バッファを使用します。仮想フレーム・バッファには、X Virtual Frame Buffer(XVFB)やVirtual Network Computing(VNC)があります。

XVFBなどの仮想フレーム・バッファ・ソリューションを取得してインストールする方法については、OTN(Oracle Technology Network)のサイトで「フレーム・バッファ」を検索してください。このサイトには、次のURLでアクセスできます。

http://www.oracle.com/technology

3.8.5 TMPおよびTMPDIR

Oracle Universal Installerは、スワップ領域として一時ディレクトリを使用します。Oracle Universal Installerは、環境変数TMPおよびTMPDIRを確認して一時ディレクトリを見つけます。この環境変数が存在しない場合は、/tmpディレクトリが使用されます。

Oracle Universal Installerで/tmp以外の一時ディレクトリを使用するには、環境変数TMPおよびTMPDIRにかわりのディレクトリのフルパスを設定します。oracleユーザーにはこのディレクトリの書込み権限が必要です。また、このディレクトリは表3-2に示した要件を満たしている必要があります。

例(Cシェル):

% setenv TMP /tmp2
% setenv TMPDIR /tmp2

例(Bourne/Kornシェル):

$ TMP=/tmp2; export TMP
$ TMPDIR=/tmp2; export TMPDIR

この環境変数を設定していないと、デフォルトのディレクトリの領域が十分でない場合に、環境変数が設定されていないことを示すエラー・メッセージが表示されます。異なるディレクトリを指すように環境変数を設定するか、またはデフォルトのディレクトリに十分な領域を確保する必要があります。いずれの場合でも、インストールをやりなおす必要があります。

3.8.6 TNS_ADMIN

この項では次の2つの要件について説明します。

これらの要件は、異なるOracle製品のNet構成ファイル間の競合を避けるために必要です。

TNS_ADMINを設定する必要がある場合、あるいは/var/opt/oracletnsnames.oraファイルがある場合は、Oracle Application Serverをインストールする前に次の手順を行ってください。

  1. /var/opt/oracletnsnames.oraファイルがある場合は、ファイルをこれらのディレクトリから別のディレクトリに移動します。または、ファイルの名前を変更します。

  2. 環境変数TNS_ADMINが設定されていないことを確認します。

    例(Cシェル):

    % unsetenv TNS_ADMIN
    
    

    例(Bourne/Kornシェル):

    $ unset TNS_ADMIN
    
    

インストールの後、新しく作成されたtnsnames.oraファイルの内容を既存のtnsnames.oraファイルにマージできます。

3.9 /etc/hostsファイル

この項では、/etc/hostsファイルの内容に影響される項目について説明します。内容は次のとおりです。

ただし、hostsファイルを編集せずに別の方法で必要な値を入力できます。

3.9.1 デフォルトのOracle Identity Managementレルムの場所

Oracle Universal Installerによってhostsファイルが読み取られ、デフォルトのOracle Identity Managementレルムの場所が作成されます。「Internet Directoryのネームスペースの指定」画面にこの場所が表示されます。

hostsファイルは次のような書式になっている必要があります。

ip_address   fully_qualified_hostname   short_hostname

例:

123.45.67.89   primaryHost.mydomain.com   primaryHost

この例では、デフォルトのOracle Identity Managementレルムの場所は、「dc=mydomain,dc=com」のようになります。

このファイルが別の書式を使用している場合は、Oracle Universal Installerは正しくない値を画面に表示します。たとえば、hostsファイルに次の行が含まれていると想定します。

123.45.67.89   primaryHost   primaryHost.mydomain.com  <--- incorrect format

この場合、Oracle Universal Installerは、デフォルトのOracle Identity Managementレルムとして「dc=primaryHost,dc=com」を表示します。通常、これは、デフォルトのOracle Identity Managementレルムとして指定する値ではありません。


注意

hostsファイルに別の書式を使用する必要がある場合は、必要な書式が使用できるようにファイルを編集し、インストールを実行してから、インストール後にファイルを元の書式に戻すことができます。

hostsファイルを編集できない、または編集しない場合は、デフォルトのOracle Identity Managementレルムに設定する値を「Internet Directoryのネームスペースの指定」画面の「カスタム・ネームスペース」フィールドに入力できます。 


3.9.2 OracleAS Single Sign-Onのホスト名

OracleAS Single Sign-Onをインストールするときに、hostsファイルにコンピュータのホスト名しかなく、ドメイン名が含まれていない場合は、ホスト名(ドメイン名なし)を使用したSingle Sign-On Serverへのサインオンのみが可能になります。

Single Sign-On Serverへの接続にドメイン名が必要になるようにするには、hostsファイルを編集し、ドメイン名を入れます。このファイルを編集しない場合は、Oracle Universal Installerのコマンドライン・パラメータOUI_HOSTNAMEを使用し、hostsの値を変更できます。たとえば、次のようになります。

prompt> mount_point/1012disk1/runInstaller OUI_HOSTNAME=myserver.mydomain.com

3.10 仮想ホスト名を持つマシンへのインストールまたは高可用性のUNIXソフトウェアにおけるパッケージでのインストール

OracleAS Infrastructureのインストール時に、仮想ホスト名を使用しているマシンにインストールしている場合は、「高可用性およびレプリケーション」オプションを選択することによって、インストーラで仮想ホスト名を指定できます。インストール手順の詳細は、次の項を参照してください。

3.11 ネットワーク関連項目

通常、Oracle Application Serverをインストールするコンピュータはネットワークに接続されており、Oracle Application Serverインストールが入るだけのローカル記憶域があり、表示モニターとCD-ROMドライブまたはDVDドライブがあります。

この項では、このような典型的なシナリオとは異なるコンピュータにOracle Application Serverをインストールする方法について説明します。次のような場合を扱います。

3.11.1 複数のホーム(複数のIP)を持つコンピュータへのインストール

Oracleデータベースを複数のホームを持つコンピュータにインストールできます。複数のホームを持つコンピュータは、複数のIPアドレスに関連付けられます。通常、これは複数のネットワーク・カードをコンピュータに取り付けることによって実現されます。各IPアドレスは1つのホスト名に関連付けられます。また、ホスト名に別名を設定することもできます。デフォルトでは、Oracle Universal InstallerはORACLE_HOSTNAME環境変数の設定を使用してホスト名を検索します。ORACLE_HOSTNAMEの設定なしで、複数のネットワーク・カードを持つコンピュータにインストールする場合、Oracle Universal Installerは/etc/hostsファイルの最初の名前を使用してホスト名を決定します。

クライアントは、このホスト名を使用して(またはこのホスト名の別名を使用して)、そのコンピュータにアクセスできる必要があります。これを確認するには、短縮名(ホスト名のみ)とフルネーム(ホスト名とドメイン名)を使用して、クライアント・コンピュータからホスト名にpingします。どちらのpingも正常に実行される必要があります。

3.11.2 CD-ROMまたはDVDからハード・ドライブへのコピーとハード・ドライブからのインストール

Oracle Application ServerのCD-ROMまたはDVDからインストールするかわりに、CD-ROMまたはDVDの内容をハード・ドライブにコピーし、そこからインストールを行うこともできます。これは、ネットワーク上にOracle Application Serverインスタンスを多数インストールする場合、またはOracle Application ServerをインストールするコンピュータにCD-ROMまたはDVDドライブがない場合に便利です。

リモート・コンピュータのCD-ROMまたはDVDドライブからもインストールできます。第3.11.3項「リモート・コンピュータのCD-ROMまたはDVDドライブからのインストール」を参照してください。

ハード・ドライブからインストールする場合、Oracle Universal Installerにより、CD-ROMを交換するよう要求されません。ファイルが正しい場所にあれば、検出されます(図3-3を参照)。

領域の要件

ハード・ドライブに、CD-ROMの内容またはDVDのapplication_serverディレクトリの内容が入るだけの十分な空き領域があることを確認してください。各CD-ROMは、約650MBです。つまり、3枚のCD-ROMをコピーする場合、約1.9GBのディスク領域を必要とします。

DVDのapplication_serverディレクトリは約1.6GBです。

この領域を、Oracle Application Serverのインストールに必要な領域(表3-2を参照)に加えます。

CD-ROMの内容をコピーする方法
  1. 図3-3に示すようなディレクトリ構造をハード・ドライブ上に作成します。

    親ディレクトリ(この例ではOracleAS_10gになっていますが、任意の名前を付けることができます)を作成し、親ディレクトリの下にDisk1Disk2などのサブディレクトリを作成します。サブディレクトリの名前はDiskNにします。ここでNはCD-ROMの番号です。

    図3-3    CD-ROMをハード・ディスクにコピーするためのディレクトリ構造


    画像の説明

  2. 各CD-ROMの内容を、対応するディレクトリにコピーします。

    prompt> cp -pr /cdrom_mount_point/10.1.2disk1/* /path/to/hard/drive/Disk1/
    prompt> cp -pr /cdrom_mount_point/10.1.2disk2/* /path/to/hard/drive/Disk2/
    ... Repeat for each CD-ROM.
    
    

コピーしたファイルからOracle Universal Installerを実行するには、Disk1ディレクトリからrunInstallerコマンドを実行します。Oracle Application Serverを実行するコンピュータから実行します。

prompt> /path/to/hard/drive/Disk1/runInstaller

DVDのapplication_serverディレクトリの内容をコピーする方法
  1. (オプション)application_serverディレクトリをコピーするディレクトリを作成します。

  2. application_serverディレクトリをDVDからハード・ディスクにコピーします。

    prompt> cp -pr /dvd_mount_point/application_server /path/to/hard/drive
    
    

コピーしたファイルからOracle Universal Installerを実行するには、Oracle Application Serverを実行するコンピュータからrunInstallerコマンドを実行します。

prompt> /path/to/hard/drive/application_server/runInstaller

3.11.3 リモート・コンピュータのCD-ROMまたはDVDドライブからのインストール

Oracle Application ServerをインストールするコンピュータにCD-ROMまたはDVD-ROMドライブがない場合は、第3.11.2項に示す適切なディスク・ドライブにあるコンピュータのハード・ドライブにディスクをコピーし、第3.11.4項「リモート・コンピュータへのインストール」に示す手順に従って、そのコンピュータからリモート・インストールを実行できます。

3.11.4 リモート・コンピュータへのインストール

Oracle Universal Installerをリモート・コンピュータ(「remote_computer」)で実行する場合も、Oracle Universal Installerの画面をローカル・コンピュータ(「local_computer」)に表示できます。Oracle Universal Installerにより、Oracle Application Serverがリモート・コンピュータにインストールされます。

  1. remote_computerをlocal_computerに表示できるようにします。このコマンドは、ローカル・コンピュータのコンソールで実行する必要があります。

    local_computer> xhost +remote_computer
    
    

    xhostを実行しないと、Oracle Universal Installerの起動時に「サーバーへの接続に失敗しました」、「サーバーにより接続が拒否されました」または「ディスプレイを開けません」のようなXlibエラーが発生する場合があります。

  2. local_computerで、remote_computerへのリモート・ログインを実行します(telnetまたはrloginを使用します)。第3.7項「オペレーティング・システム・ユーザー」で説明しているように、oracleユーザーとしてログインします。第3.8項「環境変数」で説明しているように、ユーザーが環境変数を正しく設定していることを確認します。

    local_computer> rlogin -l oracle remote_computer.mydomain.com
    - OR -
    local_computer> telnet remote_computer.mydomain.com
    
    
  3. remote_computerの環境変数DISPLAYがlocal_computerを示すように設定します。

    例(Cシェル):

    remote_computer> setenv DISPLAY local_computer.mydomain.com:0.0
    
    

    例(Bourne/Kornシェル):

    remote_computer> DISPLAY=local_computer.mydomain.com:0.0; export DISPLAY
    
    
  4. Oracle Universal Installerを実行します。第4.15項「Oracle Universal Installer起動」を参照してください。


    注意

    PC XエミュレータがPseudoColorカラー・モデルまたはPseudoColorビジュアルをサポートする場合は、PC Xエミュレータを使用してOracle Universal Installerを実行できます。PC XエミュレータをPseudoColorビジュアルを使用するよう設定し、Oracle Universal Installerを起動します。カラー・モデルまたはビジュアル設定を変更する方法については、Xエミュレータのドキュメントを参照してください。 


3.11.5 NFSマウントされたストレージへのインストール

NFSシステムでOracle Application Serverを実行するには、動作保証されているNFSマウントされたストレージ・システムを使用する必要があります。

現在、Oracle Application Serverは、Network Appliance(NetApp)ファイラーNFSシステムでの動作が保証されています。

NetAppシステムは、少なくともリモート・インストール・ユーザーとリモートrootユーザーにエクスポートする必要があります。これには、exportfsコマンドを使用します。

prompt> exportfs -i /vol/vol1

インストールの前に、NFSマウントsetuid権限がsuidに設定されていることを確認します。nosuidオプションが設定されていると、インストールに失敗します。

最新の動作保証リストで更新情報を確認するには、次のOTN(Oracle Technology Network)のサイトを参照してください。

http://www.oracle.com/technology

3.11.6 1つのインストールからの複数のインスタンスの実行

Oracle Application Serverコンポーネントは、インストールされているコンピュータでのみ実行されることを想定しています。コンピュータがNFSを介してファイルにアクセスできても、リモート・コンピュータでコンポーネントを実行することはできません。

図3-4    Oracle Application Serverはインストールされているコンピュータでのみ実行


3.11.7 NISおよびNIS+のサポート

NISおよびNIS+環境にOracle Application Serverをインストールして実行できます。

3.12 Oracle Universal Installerにより実行される前提条件チェック

表3-10    Oracle Universal Installerにより実行される前提条件チェック 
項目  説明 

プロセッサ 

推奨値については、表3-2を参照してください。 

オペレーティング・システムのバージョン 

第3.3項「ソフトウェア要件」 

オペレーティング・システムのパッチ 

第3.3項「ソフトウェア要件」 

ソフトウェア・パッケージ 

第3.3項「ソフトウェア要件」 

オペレーティング・システムのカーネル・パラメータ 

必要なカーネル・パラメータのリストについては、第3.4.2項「OracleAS Metadata Repositoryのカーネル・パラメータの設定」を参照してください。 

メモリー 

推奨値については、表3-2を参照してください。 

スワップ領域 

推奨値については、表3-2を参照してください。 

TMP領域 

推奨値については、表3-2を参照してください。 

インスタンス名 

Oracle Universal Installerにより、Oracle Application Serverのインストール先のコンピュータに同じ名前のインスタンスがすでに存在しないことがチェックされます。 

Oracleホーム・ディレクトリ名 

Oracle Universal Installerにより、Oracleホーム・ディレクトリ名に空白が含まれていないことがチェックされます。 

Oracleホーム・ディレクトリへのパス 

Oracle Universal Installerにより、Oracleホーム・ディレクトリへのパスが127文字を超えていないことがチェックされます。 

Oracleホーム・ディレクトリの内容 

Oracle Universal Installerにより、Oracleホーム・ディレクトリにインストールの妨げとなるファイルがないことがチェックされます。 

Oracleホーム・ディレクトリ 

Oracle Application Serverは、新しいディレクトリにインストールしてください。ただし、中間層を拡張する場合(第6.13項「中間層の拡張」を参照)またはOracle Developer Suite 10gリリース2(10.1.2)を含むOracleホームに中間層をインストールする場合(第4.4項「Oracleホーム・ディレクトリ」を参照)は除きます。許可されていないインストールの例を次に示します。

  • Oracle Application Server(全種類)を8.0、8i、9.0.1または9.2のデータベースのOracleホームにインストールする

  • Oracle Application Server(全種類)をOracle Management ServiceのOracleホームにインストールする

  • Oracle Application Server(全種類)をOracle Collaboration SuiteのOracleホームにインストールする

  • Oracle Application Server(全種類)をOracle HTTP ServerのスタンドアロンのOracleホームにインストールする

  • Oracle Application Server(全種類)をOracleAS Web CacheのスタンドアロンのOracleホームにインストールする

  • Oracle Application Server(全種類)をOracle9i Developer Suite 9.0.2のOracleホームにインストールする

  • Oracle Application Server(全種類)をOracle Application Server Containers for J2EEのスタンドアロンのOracleホームにインストールする

  • Oracle Application Server(全種類)をOracle9iAS 1.0.2.2のOracleホームにインストールする

  • Oracle Application Serverの中間層をInfrastructure 9.0.2、9.0.4または10gリリース2(10.1.2)のOracleホームにインストールする

  • Oracle Application Serverの中間層をOracle9iAS 9.0.2、9.0.3または9.0.4の中間層のOracleホームにインストールする

  • OracleAS Developer KitsをInfrastructure 9.0.2、9.0.4または10gリリース2(10.1.2)のOracleホームにインストールする

  • OracleAS Developer KitsをOracle9iASの中間層の9.0.2、9.0.3、9.0.4または10.1.2のOracleホームにインストールする

  • OracleAS Developer KitsをOracle Developer Suite 9.0.2、9.0.4または10gリリース2(10.1.2)のOracleホームにインストールする

  • OracleAS Infrastructureを任意のOracle9iAS 9.0.2、9.0.3または9.0.4のOracleホームにインストールする

  • OracleAS InfrastructureをOracle Application Server 10gリリース2(10.1.2)の中間層またはOracleAS Developer KitsのOracleホームにインストールする

  • OracleAS InfrastructureをOracle Developer Suite 9.0.2、9.0.4または10gリリース2(10.1.2)のOracleホームにインストールする

  • OracleAS Infrastructureまたは中間層をBusiness IntelligenceのCD-ROMからインストールしたOracleホームにインストールする

 

ポート1521 

ポート1521が、すべてのリリースのデータベース・リスナーを含む他のアプリケーションによって使用されている場合、Oracle Universal Installerにより警告が表示されます。ポート1521を使用しているアプリケーションを停止してから、警告ダイアログの「OK」をクリックします。

データベース・リスナーがポート1521を使用している場合は、それをメタデータ・リポジトリ・データベースに使用できる可能性があります。詳細は、第3.5.4項「ポート1521が使用されている場合」を参照してください。

他のアプリケーションがポート1521を使用している場合、そのアプリケーションを停止するか、別のポートを使用するように構成する必要があります。または、データベース・リスナーが1521以外のポートを使用するように変更することもできますが、これはインストール終了後に行います。詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。 

静的ポートの競合 

指定されている場合、Oracle Universal Installerにより、staticports.iniファイルに一覧表示されているポートがチェックされます。第3.5項「ポート」を参照してください。 

モニター 

Oracle Universal Installerにより、モニターが256色以上を表示できるように構成されていることがチェックされます。 

表示権限 

Oracle Universal Installerにより、ユーザーに、環境変数DISPLAYによって指定されたモニターに表示する権限があることがチェックされます。 

環境変数DISPLAY 

Oracle Universal Installerにより、環境変数DISPLAYが設定されていることがチェックされます。 

環境変数TNS_ADMIN 

環境変数TNS_ADMINは設定しません。

/etcディレクトリにtnsnames.oraファイルが存在しないようにします。 

環境変数DBCA_RAW_CONFIG 

OracleAS InfrastructureをReal Application Clusters環境にインストールする場合、RAWパーティションの場所が記載されているファイルを示すように、この環境変数を設定する必要があります。 

クラスタ・ファイル・システム 

Oracle Universal Installerにより、Oracle Application Serverをクラスタ・ファイル・システム(CFS)にインストールするのではないことがチェックされます。 

Oracle Enterprise Manager 10gディレクトリが書込み可能か 

Oracle Universal Installerがこのチェックを実行するのは、中間層を拡張する場合と、Oracle Application Serverを同じOracleホームに再インストールする場合のみです。Oracle Universal Installerを実行するオペレーティング・システム・ユーザーが次のディレクトリに書き込めることがチェックされます。

  • ORACLE_HOME/sysman/emd

  • ORACLE_HOME/sysman/config

  • ORACLE_HOME/sysman/webapps/emd/WEB-INF/config

 

Oracle Enterprise Manager 10gファイルの存在 

Oracle Universal Installerがこのチェックを実行するのは、中間層を拡張する場合と、Oracle Application Serverを同じOracleホームに再インストールする場合のみです。Oracle Universal Installerにより、次のファイルがあることがチェックされます。

  • ORACLE_HOME/sysman/config/iasadmin.properties

  • ORACLE_HOME/sysman/webapps/emd/WEB-INF/config/consoleConfig.xml

 

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