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Oracle Application Server インストレーション・ガイド
10gリリース2(10.1.2)for Microsoft Windows (64-bit) on Intel Itanium
B25633-02
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3
要件

Oracle Application Serverをインストールする前に、使用するコンピュータがこの章で説明している要件を満たしていることを確認してください。

表3-1    この章の内容 
  説明 

第3.1項「最新のOracle Application Serverのハードウェアとソフトウェア要件を取得するOracleMetaLinkの使用」 

Oracle Application Server 10gリリース2(10.1.2)の最新の要件を検索する方法を説明します。 

第3.2項「システム要件」 

サポートされているオペレーティング・システム、プロセッサ速度、メモリー、ディスク領域、スワップ領域などの要件を一覧表示します。  

第3.3項「Windowsシステム・ファイル(wsf.exe)」 

wsf.exeを実行してWindowsシステム・ファイルを更新する方法について説明します。インストーラによって、更新するように求められた場合にのみ該当します。 

第3.4項「ポート」 

デフォルト・ポート以外のポートを使用するようにコンポーネントを構成する方法について説明します。 

第3.5項「オペレーティング・システム・ユーザー」 

Oracle Application Serverをインストールするために、オペレーティング・システム・ユーザーを作成する必要がある理由について説明します。 

第3.6項「環境変数」 

インストールに必要な環境変数を設定または設定解除する方法について説明します。 

第3.7項「%WINDIR%¥system32¥drivers¥etc¥hostsファイル」 

インストーラがどのようにhostsファイル内の情報を使用するかについて説明します。ファイルを編集せずに同じ情報を指定する方法についても説明します。 

第3.8項「ネットワーク関連項目」 

リモート・コンピュータへのOracle Application Serverのインストール、リモートCD-ROM/DVD-ROMドライブの使用、ハード・ディスクからのインストールなど、ネットワークの問題について説明します。 

第3.9項「インストーラにより実行される前提条件チェック」 

Oracleホーム名の長さや、Oracleホーム・ディレクトリに別のOracle製品がすでにインストールされているかどうかなど、インストーラによってチェックされる項目を一覧表示します。 

3.1 最新のOracle Application Serverのハードウェアとソフトウェア要件を取得するOracleMetaLinkの使用

このマニュアルに含まれるOracle Application Server 10g(10.1.2.0.2)のハードウェアとソフトウェア要件は、このマニュアルの作成された時点での情報です。ハードウェアとソフトウェア要件の最新情報については、OracleMetaLinkを参照してください。

http://metalink.oracle.com/

OracleMetaLinkにログインした後、「Certify and Availability」をクリックします。表示されたWebページから、製品、プラットフォーム、製品の可用性ごとに、最新の動作保証リストを閲覧できます。

3.2 システム要件

表3-2に、Oracle Application Serverを実行するためのシステム要件を示します。インストーラにより、この要件の多くがインストール・プロセス開始時にチェックされ、満たされていない要件がある場合には警告されます。ユーザーはインストーラによってチェックされない要件のみを確認して時間を節約できます。インストーラによりチェックされない要件については、表3-2を参照してください。

また、次に示すsetup.exeコマンドを実行すると、実際にインストールを行わずに、インストーラによるシステム・チェックのみを実行することもできます。setup.exeコマンドは、Oracle Application Server CD-ROM(Disk 1)またはDVD(application_serverディレクトリ)にあります。

CD-ROMの場合(E:がCD-ROMドライブであると想定します):

E:¥> setup.exe -executeSysPrereqs

DVDの場合(E:がDVDドライブであると想定します):

E:¥> cd application_server
E:¥application_server> setup.exe -executeSysPrereqs

結果は画面に表示され、ログ・ファイルにも書き込まれます。実行されるチェックの種類の詳細は、第3.9項「インストーラにより実行される前提条件チェック」を参照してください。

表3-2    システム要件 
項目  要件 

オペレーティング・システム 

Microsoft Windows Server 2003(64-bit)Service Pack 1以降

インストーラによるチェック: あり 

64ビットの動作保証 

Oracle Application Server for Windowsの32ビット版は、Intel x86、AMD64およびIntel EM64Tプロセッサで動作します。詳細は、OracleMetaLink(http://metalink.oracle.com)を参照してください。

次の64ビットのオペレーティング・システムがサポートされています。

  • Microsoft Windows XP Professional x64 Edition

  • Microsoft Windows Server 2003, Standard x64 Edition

  • Microsoft Windows Server 2003, Enterprise x64 Edition

  • Microsoft Windows Server 2003, Datacenter x64 Edition

注意: OracleAS Infrastructureを除くすべての製品およびコンポーネントは、AMD64プロセッサおよびIntel EM64Tプロセッサでの動作が保証されています。 

ネットワーク 

Oracle Application Serverは、ネットワークに接続されているコンピュータまたは接続されていないコンピュータ(スタンドアロン・コンピュータ)にインストールできます。

Oracle Application Serverをスタンドアロン・コンピュータにインストールする場合、インストール後にそのコンピュータをネットワークに接続できます。コンピュータをネットワークに接続する際、いくつかの構成作業を実行する必要があります。

詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。

インストーラによるチェック: なし 

IP 

Oracle Application Serverは、静的IPまたはDHCPベースのIPを使用するコンピュータにインストールできます。

注意:

インストーラによるチェック: なし 

ホスト名 

ホスト名は255文字以下にする必要があります。 

プロセッサ速度 

Intel Itanium 2(900MHz以上)

インストーラによるチェック: なし 

メモリー 

OracleAS Infrastructure:

  • OracleAS Metadata RepositoryおよびOracle Identity Management: 3.7GB

  • Oracle Identity Managementのみ: 1.25GB

  • OracleAS Metadata Repositoryのみ: 3.7GB

Oracle Application Serverの中間層:

  • J2EE and Web Cache: 846MB

  • Portal and Wireless: 1.2GB

  • Business Intelligence and Forms: 1.7GB

OracleAS Developer Kits: 256MB

注意:

  • インストーラによってコンピュータのメモリーの容量がチェックされ、コンピュータが最小メモリー要件を満たしていない場合は、警告されます。

  • これらの値は、コンピュータごとにOracle Application Serverインスタンスが1つだけ実行されていると想定した場合のものです。同じコンピュータ上で複数のインスタンスを実行する場合は、第3.2.1項「同じコンピュータ上で複数のインスタンスを実行する場合のメモリーおよびページング・ファイルの要件」を参照してください。

  • これらは、Oracle Application Serverをインストールおよび実行するのに必要な最小値です。ほとんどの本番サイトでは1 GB以上の物理メモリー構成が必要です。通信量の多いサイトでは、メモリーをさらに増やすことによってパフォーマンスを向上させることができます。Javaアプリケーションで増量したメモリーを活用するには、OC4Jプロセスに割り当てられた最大ヒープを増やすか、OC4Jプロセスを追加構成する必要があります。詳細は、『Oracle Application Serverパフォーマンス・ガイド』を参照してください。

  • 実際のインストールに最適なメモリーの容量を決定するには、サイトの負荷テストを行うのが最善です。アプリケーションや利用パターンによって、リソースの要件は大幅に異なることがあります。また、メモリーを監視するオペレーティング・システムのユーティリティでは、共有メモリーを示すなどの理由で、メモリー使用を実際より多く報告するものもあります。メモリー要件を決定するには、負荷テストの際に、物理メモリーの追加によるパフォーマンスの向上を監視することをお薦めします。メモリーおよびプロセッサ・リソースをテスト用に構成する方法は、各プラットフォーム・ベンダーのドキュメントを参照してください。

インストーラによるチェック: あり 

ファイル・システム・タイプ 

NTFSにはファイルに対する権限の制限を設定するなどのセキュリティ機能が含まれているため、FAT32またはFATファイル・システム・タイプよりもNTFSの使用をお薦めします。

インストーラによるチェック: なし 

ディスク領域 

OracleAS Infrastructure:

  • OracleAS Metadata RepositoryおよびOracle Identity Management: 3.07GB

    OracleAS Metadata Repositoryデータベースのデータ・ファイルを、OracleAS Infrastructureをインストールするディスクとは異なるディスクにインストールできます。これを実行するには、データ・ファイル用のディスクに1.85GB以上の空き領域があることを確認してください。

  • Oracle Identity Managementのみ: 1.25GB

  • OracleAS Metadata Repositoryのみ: 3.7GB

Oracle Application Serverの中間層:

  • J2EE and Web Cache: 846MB

  • Portal and Wireless: 1.2GB

  • Business Intelligence and Forms: 1.7GB

OracleAS Developer Kits: 256MB

インストーラによるチェック: なし 

TEMPディレクトリ内の領域 

インストーラの実行には55MBを必要としますが、インストールに256MBを必要とするインストール・タイプがあります。

TEMPディレクトリに十分な空き領域がない場合は、環境変数TMPを設定することにより、別のディレクトリを指定できます。詳細は、第3.6.5項「TEMP」を参照してください。

インストーラによるチェック: あり 

総ページング・ファイル・サイズ(仮想メモリー) 

ここに示す値は概算です。コンピュータのメモリー容量に基づいたWindowsの推奨値を使用する必要があります。

OracleAS Infrastructure:

  • OracleAS Metadata RepositoryおよびOracle Identity Management: 1GB

  • Oracle Identity Managementのみ: 1GB

  • OracleAS Metadata Repositoryのみ: 1GB

Oracle Application Serverの中間層:

  • J2EE and Web Cache: 512 MB

  • Portal and Wireless: 512MB

  • Business Intelligence and Forms: 1GB

OracleAS Developer Kits: 512MB

OracleAS Personalizationを使用する場合は、ページング・ファイルのサイズを、コンピュータ上の物理メモリーの容量の1.5倍以上にする必要があります。

OracleAS Clustersを使用する場合は、1GB以上に設定することをお薦めします。

本番環境では、仮想メモリーを1 GB以上に設定することをお薦めします。

総ページング・ファイル・サイズ(仮想メモリー)を表示および変更するには、次の手順を実行します。

  1. 「システムのプロパティ」コントロール・パネルを表示します。

    これを行うには、「スタート」→「コントロール パネル」→「システム」を選択します。

  2. 詳細設定」タブを選択します。

  3. 「パフォーマンス」セクションの「設定」をクリックします。

  4. 詳細設定」タブを選択します。

  5. 変更」をクリックして、仮想メモリーの設定を表示および変更します。

インストーラによるチェック: あり 

モニター 

256色表示機能

インストーラによるチェック: あり 

サポートされているブラウザ 

Oracle Enterprise Manager 10gは、次のブラウザでサポートされています。

  • Microsoft Internet Explorer 6.0(Microsoft Windowsの場合のみ)

  • Netscape 7.2

  • Mozilla 1.7。Mozillaはhttp://www.mozilla.orgからダウンロードできます。

  • Firefox 1.0.4。Firefoxはhttp://www.mozilla.orgからダウンロードできます。

  • Safari 1.2(Apple Macintoshコンピュータ)

サポートされるブラウザの最新のリストは、OracleMetaLinkのサイト(http://metalink.oracle.com)を参照してください。

インストーラによるチェック: なし。ただし、サポートされていないブラウザでOracle Enterprise Manager 10gにアクセスすると、警告メッセージが表示されます。 

3.2.1 同じコンピュータ上で複数のインスタンスを実行する場合のメモリーおよびページング・ファイルの要件

同じコンピュータ上でOracleAS Infrastructureと中間層を実行する場合、そのコンピュータが表3-3に示すメモリーとページング・ファイルの要件を満たしていることを確認してください。

表に示すページング・ファイルの値は、コンピュータのメモリー容量に基づいたWindowsの推奨値です。この推奨値を使用してください。

ここに示す値は、少人数のユーザーに対してテストされたものです。ユーザー数が多い場合は、メモリーの容量を増やす必要があります。

表3-3    同じコンピュータ上で複数のインスタンスを実行する場合のメモリーおよびページング・ファイルの要件 
説明  メモリー  ページング・ファイル 

OracleAS InfrastructureおよびJ2EE and Web Cache 

1GB 

1.5GB 

OracleAS InfrastructureおよびPortal and Wireless 

1.5GB 

2.0〜2.5GB 

OracleAS InfrastructureおよびBusiness Intelligence and Forms 

1.5GB 

2.0〜2.5GB 

3.2.2 メモリー使用量を削減するためのヒント

メモリー使用量を削減する必要がある場合は、次の手順を実行します。

3.3 Windowsシステム・ファイル(wsf.exe)


注意

この手順はインストーラによって求められた場合にのみ実行します。 


Oracle Application Serverでは、Windowsシステム・ディレクトリ(通常、C:¥Windows¥system32またはC:¥Winnt¥system32)の一部のシステム・ファイルに最低限のバージョンが必要です。Oracle Application Serverのインストーラを実行する際に、コンピュータのWindowsシステム・ファイルがチェックされます。これらの古いバージョンのファイルが検出され、そのファイルを他のプロセスが使用している場合は、インストーラを終了してwsf.exeを実行し、最新のWindowsシステム・ファイルをインストールするように求められます。(古いバージョンのファイルが検出されても、そのファイルを他のプロセスが使用していない場合は、インストーラによってファイルが置き換えられるため、wsf.exeを実行する必要はありません。)

wsf.exeは、インストーラと同じディレクトリにあります。

wsf.exeを実行するには(インストーラによって要求された場合のみ)、次の手順を実行します。

  1. 次のコマンドを使用してwsf.exeを実行します。Oracle Universal Installerが起動され、Windowsシステム・ファイルがインストールされます。

    CD-ROMの場合(E:がCD-ROMドライブであると想定します):

    E:¥> wsf.exe
    
    

    DVDの場合(E:がDVDドライブであると想定します):

    E:¥> cd application_server
    E:¥> wsf.exe
    
    
  2. インストーラの画面に従います。

    表3-4    Windowsシステム・ファイルのインストール画面 
      画面  操作 

    1. 

    ようこそ 

    次へ」をクリックします。 

    2. 

    ファイルの場所の指定 

    名前: wsfのOracleホームの名前を入力します。

    パス: 任意のフルパスを入力します。インストーラは、このフィールドに入力された値に関係なく、適切なシステム・ディレクトリにファイルをインストールします。

    次へ」をクリックします。 

    3. 

    警告: システムを再起動してください 

    この画面が表示された場合、インストーラはこのインストールの終わりにコンピュータを自動的に再起動して、Windowsシステム・ファイルのインストールを完了させます。コンピュータで実行しているアプリケーション(インストーラ以外)を保存して閉じます。

    次へ」をクリックします。 

    4. 

    サマリー 

    次へ」をクリックして、Windowsシステム・ファイルのインストールを開始します。 

    5. 

    インストールの終了 

    終了」をクリックして、インストーラを終了します。 

  3. インストール時に「警告: システムを再起動してください」という画面が表示されると、インストーラによってコンピュータが再起動されます。再起動されない場合は、続行する前にコンピュータを再起動します。

3.4 ポート

Oracle HTTP Server、OracleAS Web Cache、Oracle Enterprise Manager 10gなど、多くのOracle Application Serverコンポーネントでポートを使用します。インストーラにデフォルトのポート番号を割り当ててもらうことも、ユーザーが指定したポート番号を使用することもできます。

3.4.1 エフェメラル・ポートの概要

エフェメラル・ポートは、オペレーティング・システムがサービスやプロセスに一時的に割り当てることのできるポート番号です。従来、一部のサービスやプロセスには、永続的なポート番号が割り当てられます。それ以外の場合は、割り当てられたポート番号の範囲からエフェメラル・ポート番号が、一時的に(リクエストが完了するまでの期間)割り当てられます。

エフェメラル・ポートの範囲

Microsoft Windowsでのエフェメラル・ポートの範囲は、1024〜5000です。

Windowsでは、この範囲の上限値のみ調整できます。他のほとんどのオペレーティング・システムでは、エフェメラル・ポートのデフォルトの範囲が広く、範囲の上限と下限の両方を調整できます。

Oracle HTTP Server、OracleAS Web Cache、Oracle Enterprise Manager 10g Application Server ControlおよびOC4JなどのOracle Application Serverプロセスの一部では、エフェメラル・ポートの範囲内のポートを使用します。これらのプロセスは、必要なポートがクライアントで使用されている場合に起動できません。

問題: エフェメラル・ポートが競合しているためにコンポーネントを起動できない

まれに、必要なポートが使用不可なためにOracle Application Serverプロセスを起動できない場合があります。プロセスの起動が失敗するか、またはポートにバインドできないことがレポートされる場合があります。この問題は一時的な場合があり、影響を受けたプロセスを後で再起動すると、正常に起動する場合があります。

この問題の原因は、Oracle Application Serverがデフォルトでエフェメラル・ポートの範囲内のポート番号を使用することです。エフェメラル・ポートは通常、クライアント/サーバーのTCP/IP接続のクライアント側で使用されます。通常、クライアント・プロセスは接続のクライアント側で使用されるポートの値と関係ないため、すべてのTCP/IP実装では、クライアント側で使用するポート値の選択をオペレーティング・システムに依存させることができます。オペレーティング・システムは、このタイプの各クライアント接続用のエフェメラル・ポートの範囲から1つのポートを選択します。

一方、サーバー・プロセス(たとえば、Oracle Application Serverプロセス)はエフェメラル・ポートを使用できません。サーバー・プロセスでは、クライアントが常に同じサーバー・ポートに接続してサーバーと通信できるように、固定のポート値を使用する必要があります。

エフェメラル・ポートとのポートの競合は、Oracle Application Serverプロセスがエフェメラル・ポートの範囲内のポートを使用するように構成されている場合に発生します。Oracle Application Serverプロセスが起動しようとすると、必要なポートがクライアント・プロセス(オペレーティング・システムからエフェメラル・ポートを割り当てられたクライアント)によって使用されていることを検出します。このクライアントは、TCP/IPを介して通信可能なコンピュータ上の任意のプロセスである可能性があります。Oracle Application Serverプロセスは、必要なポートが使用不可である場合、起動に失敗します。

この問題は、他のオペレーティング・システムと比較してMicrosoft Windowsで頻繁に発生します。これは、Windowsで使用されるエフェメラル・クライアント接続用のポートの範囲が狭いためです。

エフェメラル・ポートとの競合を回避する方法

エフェメラル・ポートとの競合を回避するには、次の方法があります。

3.4.2 ポートが使用中かどうかの確認

ポートが使用されているかどうかを確認するには、netstatコマンドを次のように実行します。

C:¥> netstat -an | find "portnum"

ポート番号は、二重引用符で囲む必要があることに注意してください。

3.4.3 デフォルトのポート番号の使用

コンポーネントでデフォルトのポート番号を使用する場合は、特に何もする必要はありません。デフォルトのポート番号および範囲のリストについては、付録C「デフォルトのポート番号」を参照してください。各コンポーネントに対し、ポート範囲内で1つ以上のポートが使用できることを確認します。インストーラが空きポートを範囲内で検出できない場合、そのインストールは失敗します。

次の点に注意してください。

OracleAS Infrastructureと中間層を同じコンピュータにインストールする場合

同じコンピュータに複数のインスタンス(OracleAS Infrastructureと中間層、または複数の中間層)をインストールする場合、最初にインストールされるインスタンスのみがデフォルト・ポートを使用します。追加のインスタンスをインストールする際、インストーラによってデフォルト・ポートが最初のインスタンスによって使用されていることが検出され、追加のインスタンスに他のポートが割り当てられます。

これを最もわかりやすく表すコンポーネントがOracle HTTP ServerとOracleAS Web Cacheです(次の表を参照)。

表3-6    異なるシナリオでのOracle HTTP Serverのポート 
シナリオ  非SSLポート  SSLポート 

OracleAS Infrastructureと中間層が同じコンピュータにインストールされている場合 

OracleAS InfrastructureのOracle HTTP Server: 7777

中間層のOracle HTTP Server: 80 

OracleAS InfrastructureのOracle HTTP Server: 4443

中間層のOracle HTTP Server: 443 

2つの中間層が同じコンピュータにインストールされている場合 

1つ目の中間層のOracle HTTP Server: 80

2つ目の中間層のOracle HTTP Server: 7777 

1つ目の中間層のOracle HTTP Server: 443

2つ目の中間層のOracle HTTP Server: 4443 

3.4.4 カスタムのポート番号の使用(「静的ポート」機能)

インストーラがコンポーネントにカスタムのポート番号を割り当てるようにするには、次の手順を実行します。

  1. コンポーネント名とポート番号の入ったファイルを作成します。ファイルの書式は、第3.4.4.1項「staticports.iniファイルの書式」を参照してください。このファイルは通常staticports.iniファイルという名前ですが、任意の名前を付けることができます。

  2. インストーラの「ポート構成オプションの指定」画面で、「手動」を選択し、staticports.iniファイルへのフルパスを指定します。

    ファイルへのフルパスを指定しないと、インストーラはファイルを見つけることができません。この場合、インストーラはすべてのコンポーネントにデフォルトのポートを割り当てますが、警告は一切表示されません。

3.4.4.1 staticports.iniファイルの書式

staticports.iniファイルの書式は次のとおりです。port_numは、コンポーネントに使用するポート番号に置き換えます。

# J2EE and Web Cache
Oracle HTTP Server port = port_num
Oracle HTTP Server Listen port = port_num
Oracle HTTP Server SSL port = port_num
Oracle HTTP Server Listen (SSL) port = port_num
Oracle HTTP Server Diagnostic port = port_num
Java Object Cache port = port_num
DCM Java Object Cache port = port_num
DCM Discovery port = port_num
Oracle Notification Server Request port = port_num
Oracle Notification Server Local port = port_num
Oracle Notification Server Remote port = port_num
Application Server Control port = port_num
Application Server Control RMI port = port_num
Oracle Management Agent port = port_num
Web Cache HTTP Listen port = port_num
Web Cache HTTP Listen (SSL) port = port_num
Web Cache Administration port = port_num
Web Cache Invalidation port = port_num
Web Cache Statistics port = port_num
Log Loader port = port_num
ASG port = port_num

# Business Intelligence and Forms
Discoverer Preference port = port_num
Reports Services SQL*Net port = port_num
Reports Services discoveryService port = port_num
Reports Services bridge port = port_num

# Infrastructure
Oracle Internet Directory port = port_num
Oracle Internet Directory (SSL) port = port_num
Oracle Certificate Authority SSL Server Authentication port = port_num
Oracle Certificate Authority SSL Mutual Authentication port = port_num
Ultra Search HTTP port number = port_num

このファイルを作成する最も簡単な方法は、CD-ROM(Disk 1)またはDVDにあるstaticports.iniファイルをテンプレートとして使用することです。

  1. staticports.iniファイルをCD-ROMまたはDVDからハード・ディスクにコピーします。

    表3-7    CD-ROMおよびDVD内のstaticports.iniファイルの場所 
    メディア  staticports.iniファイルの場所(E:がCD-ROMまたはDVDドライブであると想定) 

    CD-ROM 

    Disk 1: E:¥stage¥Response¥staticports.ini 

    DVD 

    E:¥application_server¥stage¥Response¥staticports.ini 

  2. ローカル・コピー(ハード・ディスク上にあるファイル)を編集して必要なポート番号を含めます。

    staticports.iniファイルですべてのコンポーネントのポート番号を指定する必要はありません。ファイルにないコンポーネントでは、インストーラによりデフォルトのポート番号が使用されます。

    インストール中にOracleAS Metadata Repositoryで使用されるポート(ポート1521)の変更はできませんが、インストール後に変更できます。詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。

    次の例では、Application Server ControlのポートといくつかのOracleAS Web Cacheのポートを設定します。指定されていないコンポーネントには、インストーラによってデフォルトのポート番号が割り当てられます。

    Application Server Control port = 2000
    Web Cache Administration port = 2001
    Web Cache Invalidation port = 2002
    Web Cache Statistics port = 2003
    
    

    インストールが完了したら、%ORACLE_HOME%¥install¥portlist.iniファイルで、割り当てられたポートを確認できます。


    ポート番号の選択に関する注意

     

インストーラでは、メモリーをチェックすることにより、ファイルに指定されたポートが使用可能であることが確認されます。つまり、インストーラが検出できるのは、実行中のプロセスで使用されているポートのみです。アプリケーションで使用されているポートを調べるために構成ファイルが確認されることはありません。

指定されたポートが使用できないことが検出されると、インストーラにより警告が表示されます。インストーラでは、使用できないポートの割当ては行われません。この問題を解決するには、次の手順を実行します。

  1. staticports.iniファイルを編集して別のポートを指定するか、そのポートを使用しているアプリケーションをシャットダウンします。

  2. 再試行」をクリックします。インストーラはstaticports.iniファイルの再読取りを行い、ファイル内のエントリを再確認します。

staticports.iniファイルとしてのportlist.iniの使用

staticports.iniファイルは、Oracle Application Serverのインストール後に作成される%ORACLE_HOME%¥install¥portlist.iniファイルと同じ書式を使用しています。Oracle Application Serverをすでにインストールしている場合で、同じポート番号を別のインストールでも使用するには、最初のインストールのportlist.iniファイルを、それ以降のインストールのstaticports.iniファイルとして使用できます。

ただし、staticports.iniでは「Oracle Management Agent port」の行は、portlist.iniの「Enterprise Manager Agent port」に相当するという違いに注意してください。

3.4.4.2 インストーラが指定されたポートではなくデフォルトのポートを使用する原因となるエラー条件

staticports.iniファイルは念入りに確認してください。間違いがあると、インストーラでは警告を表示せずにデフォルトのポートを使用します。次のような点を確認します。

3.4.4.3 Oracle HTTP ServerおよびOracleAS Web Cacheのポート

これらのコンポーネントのポートを設定する場合は、次の点を理解しておく必要があります。

Oracle HTTP Serverのhttpd.confファイルでは、PortおよびListenの各ディレクティブに、OracleAS Web CacheとOracle HTTP Serverで使用するポートを指定します。staticports.iniファイルでこれらのポートを設定するための行は、どのコンポーネントを構成するかによって異なります。

OracleAS Web CacheおよびOracle HTTP Serverを構成する場合
  1. OracleAS Web Cacheのポートを設定します。

    OracleAS Web Cacheでは、Portディレクティブで指定されたポートを使用します(図3-1)。このポートを設定するには、staticports.iniファイルで次の行を使用します。

    Web Cache HTTP Listen port = port_number
    
    

    OracleAS Web CacheのSSLポートを構成するには、次の行を使用します。

    Web Cache HTTP Listen (SSL) port = port_number
    
    

    この場合、「Oracle HTTP Server port」の行を使用してポート番号を設定することはできません。staticports.iniファイルに「Oracle HTTP Server port」と「Web Cache HTTP Listen port」の両方の行がある場合、「Oracle HTTP Server port」行は無視されます。たとえば、staticports.iniに次の行があるとします。

    Web Cache HTTP Listen port = 7979
    Oracle HTTP Server port = 8080
    
    

    Portディレクティブは7979に設定されます。

  2. Oracle HTTP Serverのポートを設定します。

    Oracle HTTP Serverでは、Listenディレクティブで指定されたポートを使用します。このポートを設定するには、staticports.iniファイルで次の行を使用します。

    Oracle HTTP Server Listen port = port_number
    
    

    SSLのリスニング・ポートを構成するには、次の行を使用します。

    Oracle HTTP Server Listen (SSL) port = port_number
    
    
    

    図3-1    OracleAS Web CacheおよびOracle HTTP Serverの構成


    画像の説明

Oracle HTTP Serverのみを構成する場合(OracleAS Web Cacheは構成しない)

Oracle HTTP Serverのみを構成する場合、Oracle HTTP ServerでPortListenの両方のディレクティブを使用します(図3-2)。この場合、両方のディレクティブが同じポート番号を使用するように設定する必要があります。

これらのポートを設定するには、staticports.iniファイルの「Oracle HTTP Server port」と「Oracle HTTP Server Listen port」の行を使用します。たとえば、次のようになります。

Oracle HTTP Server port = 8080
Oracle HTTP Server Listen port = 8080

これらのポートのSSLバージョンを設定するには、次の行を使用します。SSL非対応バージョンと同様、ポート番号は同じである必要があります。

Oracle HTTP Server SSL port = 443
Oracle HTTP Server Listen (SSL) port = 443

staticports.iniのWeb Cacheの行を指定しても、OracleAS Web Cacheは構成していないため、それらの行は無視されます。

図3-2    Oracle HTTP Serverのみの構成


画像の説明

3.4.5 ポート1521が使用されている場合

インストーラはポート1521をOracleAS Metadata Repositoryのリスナー(リリース10.1.0.3)用に構成します。このポートはstaticports.iniファイルでは変更できません。


注意

コンピュータに、EXTPROCキーでIPCプロトコルを使用するリスナーがある場合、そのキーが別の値を持つように変更する必要があります。これは、OracleAS Metadata RepositoryのリスナーがEXTPROCキーを使用する必要があるためです。 


Oracleデータベース・リスナーなどの既存のアプリケーションがポート1521をすでに使用している場合、インストーラを実行する前になんらかの措置が必要になることがあります。詳細は次の項を参照してください。

3.4.5.1 ポート1521が既存のOracleデータベースで使用されている場合

Oracleデータベースをすでに実行しているコンピュータにOracleAS Metadata Repository用の新規のデータベースをインストールする場合は、両方のデータベースのリスナーが競合しないことを確認してください。

既存のデータベースとOracleAS Metadata Repositoryのデータベースの両方で同じリスナーが使用できる場合があります。これには、既存のリスナーのリリースとポート番号を考慮する必要があります。表3-8に、各種シナリオとその結果を示します。

インストール後、OracleAS Metadata Repositoryのリスナーが別のポートを使用するように変更できます。詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。

表3-8    OracleAS Metadata Repositoryをインストールするコンピュータに既存のデータベースがある場合のシナリオとその結果 
既存のリスナーのリリース  既存のリスナーがポート1521を使用  既存のリスナーがポート1521以外を使用 

10.1.0.2より前 

既存データベース用とOracleAS Metadata Repository用の2つのリスナーが必要です。 

既存データベース用とOracleAS Metadata Repository用の2つのリスナーが必要です。 

10.1.0.2以上 

既存のリスナーは、既存のデータベースとOracleAS Metadata Repositoryの両方をサポートします。 

既存データベース用とOracleAS Metadata Repository用の2つのリスナーが必要です。 

リスナーのリリースを確認するには、次のコマンドを実行します。

C:¥> cd %ORACLE_HOME%¥bin
C:¥> lsnrctl version

ここでORACLE_HOMEは、データベースのホーム・ディレクトリです。

同じコマンドを使用して、リスナーのポートを確認することもできます。

コマンドの出力例を次に示します。

C:¥OraHome_1¥BIN>lsnrctl VERSION
LSNRCTL for 64-bit Windows: Version 10.1.0.4.2 - Production on 13-JUL-2005 16:47:00
Copyright (c) 1991, 2004, Oracle.  All rights reserved.
Connecting to 
(DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=as-pc.oracle.com)(PORT=1521)))
TNSLSNR for 64-bit Windows: Version 10.1.0.4.2 - Production
        TNS for 64-bit Windows: Version 10.1.0.4.0 - Production
        Oracle Bequeath Windows 2003 Protocol Adapter for 64-bit Windows: Version 
10.1.0.4.0 - Production
        Windows 2003 Named Pipes NT Protocol Adapter for 64-bit Windows: Version 
10.1.0.4.0 - Production
        Windows 2003 TCP/IP NT Protocol Adapter for 64-bit Windows: Version 10.1.0.4.0 
- Production,,
The command completed successfully

3.4.5.2 ポート1521が他のアプリケーションで使用されている場合

ポート1521でリスニングしているアプリケーションが他にある場合、それらが別のポートでリスニングするように再構成する必要があります。それが可能ではない場合は、OracleAS Metadata Repositoryのインストール中はそのアプリケーションをシャットダウンしてください。インストール後、OracleAS Metadata Repositoryが1521以外のポートを使用するように再構成できます。手順については、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。

3.5 オペレーティング・システム・ユーザー

インストールを実行するオペレーティング・システム・ユーザーは、Administratorsグループに所属している必要があります。


注意

ユーザーはAdministratorsグループに直接リストされている必要があります。ユーザーは間接的にAdministratorsグループに所属することはできません(たとえば、Administratorsグループに属するグループのメンバーになるなど)。 


自分がAdministratorsグループに所属しているかどうかを確認するには、次の手順を実行します。

  1. 「コンピュータの管理」ダイアログ・ボックスを表示します。

    Windows Server 2003の場合: デスクトップ上でローカル・コンピュータのアイコンを右クリックし、「管理」を選択します。

  2. 左側で「ローカル ユーザーとグループ」を展開し、「ユーザー」を選択します。

  3. 右側のフレームで、ユーザーを右クリックして「プロパティ」を選択します。そのプロパティ・ダイアログ・ボックスが表示されます。

  4. プロパティ・ダイアログ・ボックスで、「所属するグループ」タブをクリックします。

自分がAdministratorsグループのメンバーでない場合、自分をAdministratorsグループに追加するように管理者に依頼するか、またはAdministratorsグループのメンバーであるユーザーでログオンします。

3.6 環境変数

Oracle Application Serverをインストールするオペレーティング・システム・ユーザーは、次の環境変数を設定(または設定解除)する必要があります。

表3-9に、環境変数の設定または設定解除の概要を示します。

表3-9    環境変数の概要 
環境変数  設定または設定解除 

ORACLE_HOMEおよびORACLE_SID 

設定しないでください。 

PATH 

最大1023文字です。 

TNS_ADMIN 

設定しないでください。 

TEMP 

任意です。設定解除した場合、デフォルトでC:¥tempに設定されます。 

3.6.1 環境変数の設定方法

この項では、Windowsで環境変数を設定する方法を説明します。

  1. 「システムのプロパティ」コントロール・パネルを表示します。

    Windows Server 2003の場合: 「スタート」→「コントロール パネル」→「システム」を選択します。

  2. 詳細設定」タブを選択します。

  3. 環境変数」をクリックします。

  4. 変数の値を変更するには、変更する変数を選択し、「編集」をクリックします。

3.6.2 ORACLE_HOMEおよびORACLE_SID

これらの環境変数は設定しないでください。

3.6.3 PATH

環境変数PATHは最大1023文字です。これを超えると、インストールは失敗します。

3.6.4 TNS_ADMIN

インストーラの実行時に環境変数TNS_ADMINが設定されていないことを確認します。設定されている場合、インストール中にエラーが発生する可能性があります。このようなエラーについては、第H.3.12項「Database Configuration Assistant(DBCA)の失敗」を参照してください。

3.6.5 TEMP

インストール中、インストーラでは一時ファイルを一時ディレクトリに書き込む必要があります。デフォルトでは、C:¥tempが一時ディレクトリです。

インストーラでC:¥temp以外のディレクトリを使用するには、環境変数TEMPにかわりのディレクトリのフルパスを設定します。このディレクトリは、表3-2に示した要件を満たしている必要があります。

この環境変数を設定していないと、デフォルトのディレクトリの領域が十分でない場合に、環境変数が設定されていないことを示すエラー・メッセージが表示されます。異なるディレクトリを指すように環境変数を設定するか、またはデフォルトのディレクトリに十分な領域を確保する必要があります。いずれの場合でも、インストールをやり直す必要があります。

3.7 %WINDIR%¥system32¥drivers¥etc¥hostsファイル

%WINDIR%¥system32¥drivers¥etc¥hostsファイルの内容は、次の項目に影響します。

ただし、hostsファイルを編集せずに別の方法で必要な値を入力できます。詳細は、次の項を参照してください。

%WINDIR%は、Windowsオペレーティング・システム・ディレクトリを示します。通常、Windows Server 2003の場合はC:¥WINDOWSです。

3.7.1 デフォルトのOracle Identity Managementレルムの場所

インストーラによってhostsファイルが読み取られ、デフォルトのOracle Identity Managementレルムの場所が作成されます。「Internet Directoryのネームスペースの指定」画面にこの場所が表示されます。

hostsファイルは次のような書式になっている必要があります。

ip_address   fully_qualified_hostname   short_hostname

例:

123.45.67.89   primaryHost.mydomain.com   primaryHost

この例では、デフォルトのOracle Identity Managementレルムの場所は、「dc=mydomain,dc=com」のようになります。

このファイルが別の書式を使用している場合は、インストーラは正しくない値を画面に表示します。たとえば、hostsファイルに次の行が含まれていると想定します。

123.45.67.89   primaryHost   primaryHost.mydomain.com  <--- incorrect format

この場合、インストーラは、デフォルトのOracle Identity Managementレルムとして「dc=primaryHost,dc=com」を表示します。通常、これは、デフォルトのOracle Identity Managementレルムとして指定する値ではありません。

ヒント

hostsファイルに別の書式を使用する必要がある場合は、必要な書式が使用できるようにファイルを編集し、インストールを実行してから、インストール後にファイルを元の書式に戻すことができます。

hostsファイルを編集できない、または編集しない場合は、デフォルトのOracle Identity Managementレルムに設定する値を「Internet Directoryのネームスペースの指定」画面の「カスタム・ネームスペース」フィールドに入力できます。 

3.7.2 OracleAS Single Sign-Onのホスト名

OracleAS Single Sign-Onをインストールするときに、hostsファイルにコンピュータのホスト名しかなく、ドメイン名が含まれていない場合は、ホスト名(ドメイン名なし)を使用したSingle Sign-On Serverへのサインオンのみが可能になります。

Single Sign-On Serverへの接続にドメイン名が必要になるようにするには、hostsファイルを編集し、ドメイン名を入れます。このファイルを編集しない場合は、インストーラのコマンドライン・パラメータOUI_HOSTNAMEを使用し、hostsの値を変更できます。たとえば、次のようになります。

E:¥> setup.exe OUI_HOSTNAME=myserver.mydomain.com

3.8 ネットワーク関連項目

通常、Oracle Application Serverをインストールするコンピュータはネットワークに接続されており、Oracle Application Serverインストールが入るだけのローカル記憶域があり、表示モニターとCD-ROMドライブまたはDVDドライブがあります。

この項では、このような典型的なシナリオとは異なるコンピュータにOracle Application Serverをインストールする方法について説明します。次のような場合を扱います。

3.8.1 DHCP接続のコンピュータへのインストール

次の制限はDHCP接続のコンピュータでOracle Application Serverを実行している場合にのみ適用されることに注意してください。DHCP接続のコンピュータ上のOracle Application Serverインスタンスは、他のコンピュータで実行されている他のインスタンスと通信できません。たとえば、2台のコンピュータのいずれか1台でもDHCPを使用している場合、OracleAS Infrastructureを1台のコンピュータで実行し、中間層をもう1台のコンピュータで実行することはできません。通信する必要があるすべてのインスタンスは、同じコンピュータで実行する必要があります。クライアントに制限はありません。クライアント・コンピュータがネットワーク上のDHCP接続のコンピュータを解決できるかぎり、そのコンピュータのクライアントからDHCP接続のコンピュータで実行されているインスタンスにアクセスできます。

DHCP接続のコンピュータにOracle Application Serverをインストールする前に、次の手順を実行します。

  1. DHCP接続のコンピュータにループバック・アダプタをインストールします。

    ループバック・アダプタをインストールすると、ループバック・アダプタによってコンピュータにローカルIPが割り当てられます。ループバック・アダプタをインストールしてローカルIPアドレスを取得すると、Oracle Application Serverのインストール後に(DHCPによって)IPアドレスが変更されるたびにchgiphostスクプリトを実行する必要がなくなります。

    プライマリ・ネットワーク・アダプタの決定方法

    Windowsでは、ループバック・アダプタがネットワーク・アダプタの一種としてみなされます。コンピュータにループバック・アダプタをインストールした後、コンピュータにはネットワーク・アダプタとループバック・アダプタの少なくとも2つのネットワーク・アダプタがインストールされています。

    Windowsには、ループバック・アダプタをプライマリ・アダプタとして使用させる必要があります。プライマリ・アダプタは、アダプタをインストールした順序によって決まります。

    • Windows Server 2003では、最後にインストールしたアダプタがプライマリ・アダプタになります。そのため、ループバック・アダプタをインストールするのみで済みます。ただし、ループバック・アダプタのインストール後に追加のネットワーク・アダプタをインストールした場合、ループバック・アダプタを削除して再インストールする必要があります。

    様々なWindowsプラットフォームにループバック・アダプタをインストールする方法については、第3.8.6項「ループバック・アダプタのインストール」を参照してください。

  2. Oracle Application Serverをインストールする各コンピュータにpingします。

    • ホスト名のみを使用して、また完全修飾名を使用して、コンピュータからそのコンピュータ自体にpingします。

      たとえば、mycomputerというコンピュータにループバック・アダプタをインストールした場合、次のコマンドを実行します。

      prompt> ping mycomputer                Ping itself using just the hostname.
      Reply from 10.10.10.10                    Returns loopback adapter IP.
      prompt> ping mycomputer.mydomain.com   Ping using a fully qualified name.
      Reply from 10.10.10.10                    Returns loopback adapter IP.
      
      


      注意

      コンピュータからそのコンピュータ自体にpingコマンドを実行すると、ループバック・アダプタのIPが戻されます。コンピュータのネットワークIPは戻されません。 


    • ホスト名のみを使用して、また完全修飾名を使用して、ネットワーク上の他のコンピュータからループバック・アダプタをインストールしたコンピュータにpingします。

      この場合、pingコマンドを実行するとコンピュータのネットワークIPが戻されます。

      prompt> ping mycomputer                Ping using the hostname.
      Reply from 139.185.140.166                Returns network IP.
      prompt> ping mycomputer.mydomain.com   Ping using a fully qualified name.
      Reply from 139.185.140.166                Returns network IP.
      
      

    pingが失敗した場合は、ネットワーク管理者に問い合せてください。

3.8.2 複数のホーム(複数のIP)を持つコンピュータへのインストール

Oracleデータベースを複数のホームを持つコンピュータにインストールできます。複数のホームを持つコンピュータは、複数のIPアドレスに関連付けられます。通常、これはコンピュータに複数のネットワーク・カードを取り付けることによって実現されます。各IPアドレスは1つのホスト名に関連付けられます。また、ホスト名に別名を設定することもできます。デフォルトでは、Oracle Universal Installerは環境変数ORACLE_HOSTNAMEの設定を使用してホスト名を検索します。複数のネットワーク・カードを持つコンピュータが設置されているがORACLE_HOSTNAMEが設定されていない場合、Oracle Universal Installerはhostsファイル(一般的な場所はDRIVE_LETTER:¥WINDOWS¥system32¥drivers¥etc)の最初の名前を使用して、ホスト名とします。

クライアントは、このホスト名を使用して(またはこのホスト名の別名を使用して)、そのコンピュータにアクセスできる必要があります。これを確認するには、短縮名(ホスト名のみ)とフルネーム(ホスト名とドメイン名)を使用して、クライアント・コンピュータからホスト名にpingします。いずれのコマンドも正常に実行される必要があります。

環境変数の設定の詳細は、第3.6.1項「環境変数の設定方法」を参照してください。

3.8.3 複数の別名を持つコンピュータへのインストール

複数の別名を持つコンピュータは、1つのIP(ただし複数の別名)でネーミング・サービスに登録されます。ネーミング・サービスは、これらのすべての別名を同じコンピュータに解決します。このようなコンピュータにOracle Application Serverをインストールする場合は、環境変数ORACLE_HOSTNAMEを、使用するホスト名を持つコンピュータにあらかじめ設定しておきます。

環境変数の設定の詳細は、第3.6.1項「環境変数の設定方法」を参照してください。

3.8.4 ネットワークに接続されていないコンピュータへのインストール

Oracle Application Serverは、ノート型コンピュータなどの、ネットワークに接続されていないコンピュータにインストールできます。ネットワークに接続されていないコンピュータは他のコンピュータにアクセスできないため、そのコンピュータに必要なすべてのコンポーネントをインストールする必要があります。次に例を示します。

ネットワークに接続されていないコンピュータにOracle Application Serverをインストールする場合でも、コンピュータにはネットワーク機能が必要であることに注意してください。ネットワークに接続されていないとは、コンピュータがネットワークに接続されていない状態を意味します。

ネットワークに接続されていないコンピュータにOracle Application Serverをインストールし、インストール後もそのコンピュータをネットワークに接続しない場合は、先に進み、そのコンピュータにOracle Application Serverをインストールできます。

ただし、ネットワークに接続されていないコンピュータへのインストール後にそのコンピュータをネットワークに接続する場合は、Oracle Application Serverのインストール前に次の手順を実行します。

  1. コンピュータにループバック・アダプタをインストールします。詳細は、第3.8.6項「ループバック・アダプタのインストール」を参照してください。

    ループバック・アダプタとローカルIPアドレスによって、仮想的にネットワークに接続されたコンピュータとして動作します。そのコンピュータをネットワークに接続した場合、Oracle Application Serverは同じローカルIPとホスト名を使用します。

  2. ホスト名のみを使用して、また完全修飾名を使用して、コンピュータからそのコンピュータ自体にpingします。

    たとえば、mycomputerというコンピュータにループバック・アダプタをインストールした場合、次のコマンドを実行します。

    prompt> ping mycomputer                Ping itself using just the hostname.
    Reply from 10.10.10.10                    Returns loopback adapter IP.
    prompt> ping mycomputer.mydomain.com   Ping using a fully qualified name.
    Reply from 10.10.10.10                    Returns loopback adapter IP.
    
    


    注意

    コンピュータからそのコンピュータ自体にpingコマンドを実行すると、ループバック・アダプタのIPが戻されます。 


    pingが失敗した場合は、ネットワーク管理者に問い合せてください。

インストール後のネットワークへのコンピュータの接続

インストール後にコンピュータをネットワークに接続した場合、そのコンピュータ上のOracle Application Serverインスタンスは、ネットワーク上の他のインスタンスと連携して機能します。コンピュータにループバック・アダプタをインストールしている必要があることに注意してください。接続しているネットワークに応じて、コンピュータに静的IPまたはDHCPを使用できます。

詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。

3.8.5 後でネットワークから切断する、静的IPを持つコンピュータへのインストール

ネットワークに接続された静的IPを持つコンピュータにOracle Application Serverをインストールして、そのコンピュータをネットワークから切断した後でもOracle Application Serverを実行可能にする場合、Oracle Application Serverのインストール前に次の手順を実行します。

  1. コンピュータにループバック・アダプタをインストールします。詳細は、第3.8.6項「ループバック・アダプタのインストール」を参照してください。

    ループバック・アダプタをインストールしないと、ネットワークからコンピュータを切断した際に静的IPが使用不可になるため、Oracle Application Serverが正常に機能しません。

  2. ループバック・アダプタがプライマリ・ネットワーク・アダプタであることを確認します。詳細は、「プライマリ・ネットワーク・アダプタの決定方法」を参照してください。これを行うには、(1)ホスト名のみを使用して、また(2)完全修飾名を使用して、コンピュータからそのコンピュータ自体にpingコマンドを実行します。

    たとえば、mycomputerというコンピュータにループバック・アダプタをインストールした場合、次のコマンドを実行します。

    prompt> ping mycomputer                Ping itself using just the hostname.
    Reply from 10.10.10.10                    Returns loopback adapter IP.
    prompt> ping mycomputer.mydomain.com   Ping using a fully qualified name.
    Reply from 10.10.10.10                    Returns loopback adapter IP.
    
    

    コンピュータからそのコンピュータ自体にpingコマンドを実行すると、ループバック・アダプタのIPが戻されます。コンピュータのネットワークIPは戻されません。

これらの手順は、コンピュータが静的IPを使用するかDHCPを使用するかにかかわらず実行する必要があります。DHCP接続のコンピュータにループバック・アダプタが必要であることについては、第3.8.1項「DHCP接続のコンピュータへのインストール」を参照してください。

ネットワークからコンピュータを切断すると、そのコンピュータはすべてのネットワーク・リソースにアクセスできなくなります。コンピュータに必要なすべてのインスタンス(OracleAS Infrastructureや中間層など)がインストールされていることを確認します。

3.8.6 ループバック・アダプタのインストール

ループバック・アダプタは、次のすべてのシナリオで必要です。

ループバック・アダプタのインストール手順は、Windowsのバージョンによって異なります。

3.8.6.1 コンピュータにループバック・アダプタがインストールされているかどうかの確認

コンピュータにループバック・アダプタがインストールされているかどうかを確認するには、ipconfig /allコマンドを実行します。

prompt> ipconfig /all

ループバック・アダプタがインストールされている場合、ループバック・アダプタの値が表示されます。たとえば、次のようになります。

Ethernet adapter Local Area Connection 2:
  Connection-specific DNS Suffix  . :
  Description . . . . . . . . . . . : Microsoft Loopback Adapter
  Physical Address. . . . . . . . . : 02-00-4C-4F-4F-50
  DHCP Enabled. . . . . . . . . . . : Yes
  Autoconfiguration Enabled . . . . : Yes
  Autoconfiguration IP Address. . . : 169.254.25.129
  Subnet Mask . . . . . . . . . . . : 255.255.0.0

3.8.6.2 Windows Server 2003へのループバック・アダプタのインストール

Windows Server 2003にループバック・アダプタをインストールするには、次の手順を実行します。

  1. Windowsのコントロール・パネルを開きます。

    Windows Server 2003の場合: 「スタート」→「コントロール パネル」→「システム」を選択します。

  2. ハードウェアの追加」をダブルクリックして、ハードウェアの追加ウィザードを開始します。

  3. 「ようこそ」ウィンドウで「次へ」をクリックします。

  4. 「ハードウェアは接続されていますか?」ウィンドウで、「はい、ハードウェアを接続しています」を選択して、「次へ」をクリックします。

  5. 「次のハードウェアは既にコンピュータ上にインストールされています。」ウィンドウに、インストールされているハードウェアの一覧が表示されます。「新しいハードウェア デバイスの追加」を選択して、「次へ」をクリックします。

  6. 「ウィザードで、ほかのハードウェアをインストールできます。」ウィンドウで、「一覧から選択したハードウェアをインストールする」を選択して、「次へ」をクリックします。

  7. 「次の一覧からインストールするハードウェアの種類を選択してください。」ウィンドウで、「ネットワーク アダプタ」を選択して、「次へ」をクリックします。

  8. 「ネットワーク アダプタの選択」ウィンドウで、次の手順を実行します。

    • 製造元: Microsoftを選択します。

    • ネットワーク アダプタ: Microsoft Loopback Adapterを選択します。

  9. 次へ」をクリックします。

  10. 「ハードウェアをインストールする準備ができました。」ウィンドウで、「次へ」をクリックします。

  11. 「ハードウェアの追加と削除ウィザードの完了」ウィンドウで、「完了」をクリックします。

  12. Windows Server 2003を使用している場合は、コンピュータを再起動します。

  13. デスクトップ上で、「マイ ネットワーク」を右クリックし、「プロパティ」を選択します。「ネットワーク接続」コントロール・パネルが表示されます。

  14. 前述の手順で作成した接続を右クリックします。通常、この名前は「ローカル エリア接続2」です。「プロパティ」を選択します。

  15. 全般」タブで、「インターネット プロトコル (TCP/IP)」を選択して、「プロパティ」をクリックします。

  16. 「インターネット プロトコル (TCP/IP)のプロパティ」ダイアログ・ボックスで、「次の IP アドレスを使う」をクリックして、次の手順を実行します。

    1. IPアドレス: ループバック・アダプタのプライベートIPを入力します。次のプライベート・アドレスを使用することをお薦めします。

      • 192.168.x.xxは1〜255の数字)

      • 10.10.10.10

    2. サブネット マスク: 255.255.255.0と入力します。

    3. 入力した値を記録しておきます。この値は、この後の手順で必要になります。

    4. 他のフィールドは空白のままにします。

    5. OK」をクリックします。

  17. 「ローカル エリア接続2のプロパティ」ダイアログ・ボックスで「OK」をクリックします。

  18. ネットワーク接続」を閉じます。

  19. コンピュータを再起動します。

  20. C:¥winnt¥system32¥drivers¥etc¥hostsファイルで、localhost行のすぐ後に、次の書式の行を追加します。

    IP_address   hostname.domainname   hostname
    
    

    説明:

    • IP_addressは、手順14で入力したプライベートIPアドレスに置き換えます。

    • hostnameは、コンピュータの名前です。

    • domainnameは、ドメインの名前です。

    たとえば、次のようになります。

    10.10.10.10   mycomputer.mydomain.com   mycomputer
    
    
  21. ネットワーク構成を確認します。

    1. コントロール・パネルで「システム」を開き、「コンピュータ名」タブを選択します。「フル コンピュータ名」に、ホスト名とドメイン名が表示されていることを確認します(例: sales.us.mycompany.com)。

    2. 変更」をクリックします。「コンピュータ名」にホスト名が表示され、「フル コンピュータ名」にホスト名とドメイン名が表示されていることを確認します。前の例を使用すると、ホスト名はsales、ドメイン名はus.mycompany.comとなります。

    3. 詳細」をクリックします。「このコンピュータのプライマリ DNS サフィックス」に、ドメイン名が表示されます(例: us.mycompany.com)。

3.8.6.3 ホスト名の確認

DHCPサーバーによって(IPアドレスの割当て以外に)コンピュータのホスト名も割り当てられる場合、インストーラは、ユーザーがローカルに定義したホスト名のかわりにこのホスト名を使用する場合があります。

インストーラでローカルのホスト名を使用するには、2つの方法があります。

Oracle Application Serverをインストール済である場合は、『Oracle Application Server管理者ガイド』に記載されているIP/ホスト名の変更手順を使用して、インストール後にホスト名を変更できます。

3.8.6.4 Windows Server 2003からのループバック・アダプタの削除

Windows Server 2003からループバック・アダプタを削除するには、次の手順を実行します。

  1. 「システムのプロパティ」コントロール・パネルを表示します。

    Windows Server 2003の場合: 「スタート」→「コントロール パネル」→「システム」を選択します。

  2. 「ハードウェア」タブで、「デバイス マネージャ」をクリックします。

  3. 「デバイス マネージャ」ウィンドウで、「ネットワーク アダプタ」を展開します。「Microsoft Loopback Adapter」が表示されます。

  4. Microsoft Loopback Adapter」を右クリックし、「削除」を選択します。

  5. OK」をクリックします。

3.8.7 CD-ROMまたはDVDからハード・ドライブへのコピーとハード・ドライブからのインストール

Oracle Application ServerのCD-ROMまたはDVDからインストールするかわりに、CD-ROMまたはDVDの内容をハード・ドライブにコピーし、そこからインストールを行うこともできます。これは、ネットワーク上にOracle Application Serverインスタンスを多数インストールする場合、またはOracle Application ServerをインストールするコンピュータにCD-ROMまたはDVDドライブがない場合に便利です。

(リモート・コンピュータのCD-ROMまたはDVDドライブからもインストールできます。第3.8.8項「リモート・コンピュータのCD-ROMまたはDVD-ROMドライブからのインストール」を参照してください。)

ハード・ドライブからインストールする場合、インストーラにより、CD-ROMを交換するよう要求されません。ファイルが正しい場所にあれば、検出されます(図3-3を参照)。

他のコンピュータからのハード・ドライブへのアクセス

CD-ROMまたはDVDの内容をコピーしたハード・ドライブからリモート・コンピュータにOracle Application Serverをインストールするには、次の手順を実行します。

  1. ローカル・コンピュータで、ハード・ドライブを共有化します。

  2. Oracle Application Serverをインストールするコンピュータで、共有化したハード・ドライブを割り当てます。

  3. Oracle Application Serverをインストールするリモート・コンピュータからインストーラを実行します。

    インストーラにアクセスするには、割り当てたドライブのドライブ文字(たとえば、H:¥appserver10_1_2¥setup.exe)を使用する必要があります。

    汎用命名規則(UNC)の構文(¥¥hostname¥sharename)を使用してインストーラにアクセスすることはできません。

領域の要件

ハード・ドライブに、CD-ROMの内容またはDVDのapplication_serverディレクトリの内容が入るだけの十分な空き領域があることを確認してください。各CD-ROMは、約650MBです。つまり、4枚のCD-ROMをコピーする場合、約2.1GBのディスク領域を必要とします。

DVDのapplication_serverディレクトリは約1.6GBです。

この領域を、Oracle Application Serverのインストールに必要な領域(表3-2を参照)に加えます。

CD-ROMの内容をコピーする方法
  1. 図3-3に示すようなディレクトリ構造をハード・ドライブ上に作成します。

    親ディレクトリ(この例ではOracleAS_10gになっていますが、任意の名前を付けることができます)を作成し、親ディレクトリの下にDisk1Disk2などのサブディレクトリを作成します。サブディレクトリの名前はDiskNにします。ここでNはCD-ROMの番号です。

    図3-3    CD-ROMをハード・ディスクにコピーするためのディレクトリ構造


    画像の説明

  2. 各CD-ROMの内容を、対応するディレクトリにコピーします。

    Windowsのエクスプローラまたはコマンドラインを使用してファイルをコピーできます。コマンドラインを使用する場合、xcopyコマンドを使用します。

    次の例では、E:がCD-ROMドライブ、C:¥OracleAS_10g¥DiskNがCD-ROMの内容をコピーするディレクトリであると想定しています。

    E:¥> xcopy /e /i  E:¥1012disk1  C:¥OracleAS_10g¥Disk1
    E:¥> xcopy /e /i  E:¥1012disk2  C:¥OracleAS_10g¥Disk2
    ... Repeat for each CD-ROM.
    
    

コピーしたファイルからインストーラを実行するには、Disk1ディレクトリからsetup.exe実行可能ファイルを実行します。Oracle Application Serverを実行するコンピュータから実行します。

C:¥> cd OracleAS_10g¥Disk1
C:¥OracleAS_10g¥Disk1> setup.exe

DVDのapplication_serverディレクトリの内容をコピーする方法

Windowsのエクスプローラまたはコマンドラインを使用してapplication_serverディレクトリをコピーできます。コマンドラインを使用する場合、次の手順を実行します。

  1. (オプション)application_serverディレクトリをコピーするディレクトリを作成します。

  2. application_serverディレクトリをDVDからハード・ディスクにコピーします。

    次の例では、E:がDVDドライブ、C:¥application_serverがコピー先のディレクトリであると想定しています。

    E:¥> xcopy /e /i  E:¥application_server  C:¥application_server
    
    

コピーしたファイルからインストーラを実行するには、Oracle Application Serverを実行するコンピュータからsetup.exe実行可能ファイルを実行します。

C:¥> cd application_server
C:¥application_server> setup.exe

3.8.8 リモート・コンピュータのCD-ROMまたはDVD-ROMドライブからのインストール

Oracle Application ServerをインストールするコンピュータにCD-ROMまたはDVDドライブがない場合は、リモート・コンピュータのCD-ROMまたはDVDドライブからインストールを実行することができます。次の手順が実行済であることを確認します。

リモート・コンピュータのCD-ROMまたはDVDドライブの共有化

使用するリモート・コンピュータのCD-ROMまたはDVDドライブは、共有化する必要があります。これを行うには、リモート・コンピュータ(CD-ROMまたはDVDドライブがあるコンピュータ)で次の手順を実行します。

  1. 管理者ユーザーとしてログオンします。

  2. Windowsエクスプローラを起動します。

  3. CD-ROMまたはDVDドライブ文字を右クリックし、「共有」または「共有とセキュリティ」を選択します(Windows Server 2003の場合)。

  4. 共有」タブ(図3-4)で、次の手順を実行します。

    このフォルダを共有する」を選択します。

    共有名: cdromdvdなどの共有名を指定します。ローカル・コンピュータでCD-ROMまたはDVDドライブを割り当てる際にこの名前を使用します。詳細は、手順dを参照してください。

    アクセス許可」をクリックします。CD-ROMまたはDVDドライブにアクセスしてOracle Application Serverをインストールするユーザーに、少なくとも読取り権限が必要です。

    終了時に「OK」をクリックします。

    図3-4    CD-ROMドライブの共有


    画像の説明

  5. CD-ROMの場合: Oracle Application Server Disk 1をCD-ROMドライブに挿入します。

    DVDの場合: Oracle Application Server DVDをDVDドライブに挿入します。

ローカル・コンピュータでのCD-ROMまたはDVDドライブの割当て

ローカル・コンピュータでCD-ROMまたはDVDドライブを割り当てて、インストーラを実行するには、次の手順を実行します。

  1. リモート・コンピュータのCD-ROMドライブまたはDVDドライブを割り当てます。

    1. ローカル・コンピュータでWindowsエクスプローラを起動します。

    2. ツール」→「ネットワーク ドライブの割り当て」を選択します。「ネットワーク ドライブの割り当て」ダイアログ・ボックスが表示されます。

    3. リモート・コンピュータのCD-ROMまたはDVDドライブに使用するドライブ文字を選択します。

    4. フォルダ」に、次の書式を使用してリモート・コンピュータのCD-ROMまたはDVDドライブの場所を入力します。

      ¥¥remote_hostname¥share_name
      
      

      remote_hostnameは、CD-ROMまたはDVDドライブがあるリモート・コンピュータの名前に置き換えます。

      share_nameは、手順4で入力した共有名に置き換えます。

      例: ¥¥computer2¥cdrom

    5. 別のユーザーとしてリモート・コンピュータに接続する必要がある場合、次の操作を実行します。

      異なるユーザー名」をクリックし、ユーザー名を入力します。

    6. 完了」をクリックします。

  2. 割り当てたCD-ROMまたはDVDドライブからインストーラを実行します。

    インストーラによってCD-ROMを交換するように要求されたら、CD-ROMを取り出して、必要なCD-ROMを挿入します。


    注意

    CD-ROMを交換するときには、インストーラが実行中である必要があります。CD-ROMを交換するときにインストーラを終了しないでください。インストーラを終了すると、中断したところから再開することができません。また、インストーラにより作成された部分的なインストールは使用できないため、手動で削除する必要があります。 


3.8.9 リモート制御ソフトウェアを介したリモート・コンピュータへのインストール

リモート・コンピュータにOracle Application Serverをインストールして実行する(つまり、ハード・ドライブがあるリモート・コンピュータでOracle Application Serverコンポーネントを実行する)場合、そのコンピュータに物理的にアクセスできない場合でも、VNCやSymantec pcAnywhereなどのリモート制御ソフトウェアを実行している場合は、そのリモート・コンピュータにインストールを実行できます。この場合、ローカル・コンピュータでもリモート制御ソフトウェアを実行している必要があります。

リモート・コンピュータには、次の2つの方法のいずれかでOracle Application Serverをインストールできます。

ハード・ドライブからのインストール

Oracle Application ServerのCD-ROMまたはDVDの内容をハード・ドライブにコピーしている場合、ハード・ドライブからインストールできます。

これを行うには、次の手順を実行します。

  1. リモート制御ソフトウェアがリモート・コンピュータとローカル・コンピュータにインストールされ、実行されていることを確認します。

  2. Oracle Application ServerのCD-ROMまたはDVDを含むハード・ドライブを共有化します。

  3. リモート・コンピュータで、共有化したハード・ドライブにドライブ文字を割り当てます。リモート・コンピュータで、リモート制御ソフトウェアを使用してこの操作を実行します。

  4. リモート制御ソフトウェアを介して、リモート・コンピュータでインストーラを実行します。共有ハード・ドライブからインストーラを実行します。

リモート・コンピュータのCD-ROMまたはDVDドライブからのインストール

CD-ROMまたはDVDをローカル・コンピュータのドライブに挿入して、そのCDまたはDVDからインストールできます。これは、第3.8.8項「リモート・コンピュータのCD-ROMまたはDVD-ROMドライブからのインストール」のシナリオに類似しています。

これを行うには、次の手順を実行します。

  1. リモート制御ソフトウェアがリモート・コンピュータとローカル・コンピュータにインストールされ、実行されていることを確認します。

  2. ローカル・コンピュータで、CD-ROMまたはDVDドライブを共有化します。

    リモート・コンピュータで、共有化したCD-ROMまたはDVDドライブにドライブ文字を割り当てます。リモート・コンピュータで、リモート制御ソフトウェアを使用してこの操作を実行します。

    これらの手順の詳細は、第3.8.8項「リモート・コンピュータのCD-ROMまたはDVD-ROMドライブからのインストール」を参照してください。

  3. リモート制御ソフトウェアを介して、リモート・コンピュータでインストーラを実行します。共有化したCD-ROMまたはDVDドライブからインストーラを実行します。

3.9 インストーラにより実行される前提条件チェック

表3-10に、インストーラにより実行される前提条件チェックを示します。

表3-10    インストーラにより実行される前提条件チェック 
項目  説明 

ユーザー 

インストーラにより、ユーザーが管理権限を持っているかどうかがチェックされます。 

モニター 

インストーラにより、モニターが256色以上を表示できるように構成されていることがチェックされます。 

オペレーティング・システムのバージョン 

サポートされているバージョンについては、表3-2を参照してください。 

WindowsのService Pack 

サポートされているService Packについては、表3-2を参照してください。 

メモリー 

推奨値については、表3-2を参照してください。 

総ページング・ファイル(仮想メモリー)・サイズ 

推奨値については、表3-2を参照してください。 

TEMPディレクトリ内の領域 

推奨値については、表3-2を参照してください。 

インスタンス名 

インストーラにより、Oracle Application Serverのインストール先のコンピュータに同じ名前のインスタンスがすでに存在しないことがチェックされます。 

Oracleホーム・ディレクトリ名 

インストーラにより、Oracleホーム・ディレクトリ名に空白が含まれていないことがチェックされます。 

Oracleホーム・ディレクトリへのパス 

インストーラにより、Oracleホーム・ディレクトリへのパスが127文字を超えていないことがチェックされます。 

Oracleホーム・ディレクトリの内容 

インストーラにより、Oracleホーム・ディレクトリにインストールの妨げとなるファイルがないことがチェックされます。 

ポート1521 

ポート1521が、すべてのリリースのデータベース・リスナーを含む他のアプリケーションによって使用されている場合、インストーラにより警告が表示されます。ポート1521を使用しているアプリケーションを停止してから、警告ダイアログの「OK」をクリックします。

データベース・リスナーがポート1521を使用している場合は、それをメタデータ・リポジトリ・データベースに使用できる可能性があります。詳細は、第3.4.5項「ポート1521が使用されている場合」を参照してください。

他のアプリケーションがポート1521を使用している場合、そのアプリケーションを停止するか、別のポートを使用するように構成する必要があります。または、データベース・リスナーが1521以外のポートを使用するように変更することもできますが、これはインストール終了後に行います。詳細は、『Oracle Application Server管理者ガイド』を参照してください。 

静的ポートの競合 

指定されている場合、インストーラにより、staticports.iniファイルに一覧表示されているポートがチェックされます。詳細は、第3.4項「ポート」を参照してください。 

環境変数DBCA_RAW_CONFIG 

OracleAS InfrastructureをReal Application Clusters環境にインストールする場合、RAWパーティションの場所が記載されているファイルを示すように、この環境変数を設定する必要があります。 

クラスタ・ファイル・システム 

インストーラにより、Oracle Application Serverをクラスタ・ファイル・システム(CFS)にインストールするのではないことがチェックされます。 

Oracle Enterprise Manager 10gディレクトリが書込み可能か 

インストーラがこのチェックを実行するのは、中間層を拡張する場合と、Oracle Application Serverを同じOracleホームに再インストールする場合のみです。インストーラを実行するオペレーティング・システム・ユーザーが次のディレクトリに書き込めることがチェックされます。

  • %ORACLE_HOME%¥sysman¥emd

  • %ORACLE_HOME%¥sysman¥config

  • %ORACLE_HOME%¥sysman¥webapps¥emd¥WEB-INF¥config

 

Oracle Enterprise Manager 10gファイルの存在 

インストーラがこのチェックを実行するのは、中間層を拡張する場合と、Oracle Application Serverを同じOracleホームに再インストールする場合のみです。インストーラにより、次のファイルがあることがチェックされます。

  • %ORACLE_HOME%¥sysman¥config¥iasadmin.properties

  • %ORACLE_HOME%¥sysman¥webapps¥emd¥WEB-INF¥config¥consoleConfig.xml

 

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