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Oracle Application Serverインストレーション・ガイド
10g リリース3(10.1.3.2.0) for Microsoft Windows

E05051-01
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6 高可用性環境へのインストール

この章では、Oracle Application Serverでサポートされている高可用性構成の概要とインストール手順について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

6.1 高可用性構成の概要

この章では、Oracle Application Serverでの高可用性構成の概要のみを説明します。構成の詳細は、『Oracle Application Server高可用性ガイド』を参照してください。

Oracle Application Serverがインストール時にサポートする高可用性構成のタイプは次のとおりです。それぞれのタイプには複数のバリエーションがあることに注意してください。

高可用性構成の比較一覧は、6.1.4項「相違の概要」を参照してください。

6.1.1 アクティブ-アクティブ・トポロジ: OracleAS Cluster

Oracle Application Serverでは、そのすべてのコンポーネントに対してアクティブ-アクティブな冗長モデルが提供されます。アクティブ-アクティブ・トポロジでは、2つ以上のOracle Application Serverインスタンスが同じワークロードを処理するように構成されます。これらのインスタンスは、同じマシン上で実行することも、別のマシン上で実行することもできます。

これらのインスタンスのフロントエンドには外部のロード・バランサが配置され、このロード・バランサによって、任意のアクティブなインスタンスにリクエストが送信されます。外部のロード・バランサではなく、ソフトウェア・ロード・バランサを実行してリクエストを分散することもできます。ただし、本番環境ではハードウェア・ロード・バランサの使用をお薦めします。

アクティブ-アクティブ・トポロジの一般的なプロパティは次のとおりです。

アクティブ-アクティブ・トポロジの利点は次のとおりです。

OracleAS Cluster構成の作成方法については、6.2項「アクティブ-アクティブ・トポロジの作成」を参照してください。

6.1.2 アクティブ-パッシブ・トポロジ: OracleAS Cold Failover Cluster

Oracle Application Serverでは、OracleAS Cold Failover Cluster環境のすべてのコンポーネントでアクティブ-パッシブ・モデルを利用できます。OracleAS Cold Failover Clusterトポロジでは、2つのOracle Application Serverインスタンスが同じアプリケーションのワークロードを処理するように構成されますが、常に一方のインスタンスのみがアクティブになります。パッシブなインスタンスは、アクティブなインスタンスに障害が発生した場合にのみ実行されます(つまり、アクティブになります)。これらのインスタンスは、ハードウェア・クラスタ内のノードで実行されます。

OracleAS Cold Failover Clusterトポロジの一般的なプロパティは次のとおりです。

OracleAS Cold Failover Clusterトポロジの利点は次のとおりです。

OracleAS Cold Failover Cluster構成の作成方法については、6.3項「アクティブ-パッシブ・トポロジの作成」を参照してください。

6.1.3 OracleAS Disaster Recovery

OracleAS Disaster Recovery構成には、次の特性があります。

詳細は、6.4項「OracleAS Disaster Recovery構成の作成」を参照してください。

6.1.4 相違の概要

表6-1に、高可用性構成間の相違の概要を示します。

表6-1    高可用性構成間での相違 
  OracleAS Cold Failover Cluster  OracleAS Cluster  OracleAS Disaster Recovery 

ノード構成 

アクティブ-パッシブ 

アクティブ-アクティブ 

アクティブ-パッシブ 

ハードウェア・クラスタ 

あり 

なし 

オプション(OracleAS InfrastructureをOracleAS Cold Failover Cluster構成にインストールする場合にのみハードウェア・クラスタが必要です) 

仮想ホスト名 

あり 

なし 

あり 

ロード・バランサ 

なし 

あり 

なし 

共有記憶域 

あり 

なし 

なし 

6.2 アクティブ-アクティブ・トポロジの作成

この項では、OracleAS Clusterを使用したアクティブ-アクティブ・トポロジにOracle Application Serverをインストールする方法について説明します。OracleAS Clusterは、Oracle Application Serverがサポートする高可用性環境の1つです。

この項の内容は次のとおりです。

6.2.1 アクティブ-アクティブ・トポロジ: 概要

アクティブ-アクティブ・トポロジは、単一インスタンスよりもスケーラビリティと可用性が強化された冗長なOracle Application Serverインスタンスで構成されています。アクティブ-アクティブ・トポロジでは、単一インスタンスで発生するシングル・ポイント障害が排除されます。単一のOracle Application Serverインスタンスでは単一ホストのリソースが利用されるのに対し、Oracle Application Serverインスタンスのクラスタでは複数のホストのリソースが使用され、より多くのCPUにアプリケーションの実行が分散されます。単一のOracle Application Serverインスタンスは、そのホストとオペレーティング・システムの障害に対して脆弱ですが、アクティブ-アクティブ・トポロジは、オペレーティング・システムやホストで障害が発生しても継続して機能し、その障害をクライアントから見えなくします。

アクティブ-アクティブ・トポロジでは、すべてのインスタンスが同時にアクティブになります。これが、常に1つのインスタンスのみがアクティブなアクティブ-パッシブ・トポロジとの相違点です。

アクティブ-アクティブ・トポロジのノードは、ハードウェア・クラスタに属しません。

ロード・バランサの要件

アクティブ-アクティブ・トポロジでは、ロード・バランサによってトポロジ内のOracle Application Serverインスタンスの1つにリクエストが送信されます。つまり、ロード・バランサがOracle Application Serverインスタンスの前に配置されています。

ロード・バランサの構成時に、HTTPおよびHTTPSトラフィック用の仮想サーバー名を指定します。クライアントは、この仮想サーバー名を使用してリクエストを送信します。ロード・バランサは、利用可能なOracle Application Serverインスタンスにリクエストを送信します。

ロード・バランサで利用できる機能のリストは、『Oracle Application Server高可用性ガイド』を参照してください。

Oracle Metadata Services(MDS)用の共有記憶域

各ノード上のローカル・ドライブの他に、アクティブ-アクティブ・トポロジ内のすべてのノードからアクセス可能な共有記憶域が必要です。共有記憶域には、Oracle Metadata Services(MDS)用のディレクトリを作成する必要があります。MDSディレクトリには、デプロイされたアプリケーションに関するデータが格納されます。

共有記憶域にMDSディレクトリを作成することによって、すべてのOracle Application Serverインスタンスが同じデータにアクセスするため、データをレプリケートする必要がなくなります。

MDSディレクトリのマウント・ポイントは、アクティブ-アクティブ・トポロジ内のすべてのノードで同じである必要があります(たとえば、S:¥oracle¥mdsなどです)。

共有記憶域は、インストール時には必要ありませんが、アプリケーションのデプロイ時に必要となります。アプリケーションのデプロイ時に、MDSディレクトリへのパスを指定します。

アクティブ-アクティブ・トポロジの図

次の図は、2つのアクティブ-アクティブ・トポロジを示しています。この2つのトポロジは、Oracle HTTP Server、Oracle WebCenter FrameworkおよびOracle Content DBを同じOracleホームにインストールするか、別々のOracleホームにインストールするかという点が異なります。

図6-1は、Oracle HTTP Server、Oracle WebCenter FrameworkおよびOracle Content DBを同じOracleホームにインストールしたアクティブ-アクティブ・トポロジを示しています。図6-2は、Oracle HTTP Server、Oracle WebCenter FrameworkおよびOracle Content DBを別々のOracleホームにインストールしたアクティブ-アクティブ・トポロジを示しています。

図6-1    Oracle HTTP ServerおよびWebCenter Suiteが同じOracleホームにインストールされているアクティブ-アクティブ・トポロジ


画像の説明

図6-2    Oracle HTTP Server、Oracle WebCenter FrameworkおよびOracle Content DBが別々のOracleホームにインストールされているアクティブ-アクティブ・トポロジ


画像の説明

6.2.2 アクティブ-アクティブ・トポロジ内のOracleAS Cluster

アクティブ-アクティブ・トポロジ内のOracle Application Serverインスタンスはすべて同じクラスタに属します。Oracle HTTP Serverは、同じクラスタ内のすべてのOC4Jインスタンスにアプリケーションのリクエストを転送できます。Oracle WebCenter FrameworkおよびOracle Content DBコンポーネントはOC4Jコンテナで実行されるため、この機能が役に立ちます。

表6-2    Oracle WebCenter FrameworkとOracle Content DBおよびそれらのOC4Jインスタンス 
コンポーネント  実行場所となるOC4Jインスタンス 

Oracle WebCenter Framework 

OC4J_WebCenter 

Oracle Content DB 

OC4J_WebCenter 

次のいずれかの方法を使用して、クラスタ内のインスタンスをグループ化できます。

OracleAS Clusterでは、一部のopmnctlコマンドで@clusterパラメータを使用することもできます。@clusterパラメータを使用するコマンドは、クラスタ内のすべてのインスタンスに適用されます。たとえば、@clusterパラメータを使用して、クラスタ内の全インスタンスのすべてのコンポーネントを起動できます。

クラスタのOC4Jインスタンスには、次の機能があります。

詳細は、『Oracle Containers for J2EE構成および管理ガイド』の「クラスタの構成と管理」を参照してください。

6.2.3 アクティブ-アクティブ・トポロジのOracle Application Serverインスタンスのプロパティ

ロード・バランサはトポロジ内の任意のOracle Application Serverインスタンスにリクエストを送信できるため、リクエストを処理するインスタンスに関係なくクライアントが同じレスポンスを受信できるように、同じ方法でインスタンスを構成する必要があります。この方法の例を次に示します。

6.2.4 アクティブ-アクティブ・トポロジのインストール手順

図6-1または図6-2に示すトポロジを作成するには、次の手順を実行します。

手順1: 高可用性Oracleデータベースのインストール

手順2: Oracle HTTP Server、Oracle WebCenter FrameworkおよびOracle Content DBのインストールとOPMNを使用したインスタンスのクラスタ化

手順3: Oracle Content DBが含まれているノード上のOracle HTTP Serverの無効化(分散インストールのみ)

手順4: ロード・バランサでの仮想サーバー名の構成

手順5: (オプション)両方のノードに対するSSLの構成

手順6: Oracle Content DBのドメイン・プロパティの更新

手順7: OPMNのリロード

次の各項で、手順について詳しく説明します。

手順1    高可用性Oracleデータベースのインストール

Oracle Content DB用のデータベースが必要です。高可用性トポロジでは、コールド・フェイルオーバー・クラスタ・データベース、Real Application Clustersデータベースなどの高可用性データベースを使用する必要があります。

Oracle Content DBのデータベース要件の詳細は、2.3項「Oracle Content Databaseの要件」を参照してください。

手順2    Oracle HTTP Server、Oracle WebCenter FrameworkおよびOracle Content DBのインストールとOPMNを使用したインスタンスのクラスタ化

Oracle HTTP Server、Oracle WebCenter FrameworkおよびOracle Content DBは、同じOracleホームにインストールすること(図6-1を参照)も、別のOracleホームにインストールすること(図6-2を参照)もできます。

同一のアクティブ-アクティブ・トポロジにグループ化するOracle Application Serverインスタンスは、同じクラスタにデプロイする必要があります。これにより、Oracle HTTP ServerとOC4Jインスタンス間の通信が可能になり、Oracle Application Serverインスタンスの管理が簡素化されます。OracleAS Clusterでは、@clusterパラメータをopmnctlコマンドで使用して、クラスタ内のすべてのインスタンスを管理できます。

次のいずれかの方法でクラスタを作成できます。

統合インストールまたは分散インストールを実行できます。

手順3    Oracle Content DBが含まれているノード上のOracle HTTP Serverの無効化(分散インストールのみ)

この手順は、手順2で分散インストールを実行した場合にのみ実行する必要があります。

Oracle Content DBをインストールしたOracleホーム上のOracle HTTP Serverを無効にします。

  1. ORACLE_HOME¥opmn¥conf¥opmn.xmlファイルでOracle HTTP Serverのステータスをdisabledに設定します。

    <ias-component id="HTTP_Server" status="disabled">
    
    
  2. Oracleホーム内のすべてのコンポーネントを停止し、再起動します。

    C:¥> ORACLE_HOME¥bin¥opmnctl stopall
    C:¥> ORACLE_HOME¥bin¥opmnctl startall
    
    
手順4    ロード・バランサでの仮想サーバー名の構成

構成手順については、ロード・バランサのドキュメントを参照してください。ロード・バランサで、HTTPトラフィック用に仮想サーバー名とポートを構成し、さらにHTTPSトラフィック用に別の仮想サーバー名とポートを構成する必要があります。仮想サーバー名のポート番号は、Oracle HTTP Serverがリスニングしているポート番号と一致している必要があります。クライアントは、この仮想サーバー名とポートを使用してOracle Application Serverインスタンスにアクセスします。

手順5    (オプション)両方のノードに対するSSLの構成

この手順は、SSLを使用している場合にのみ実行する必要があります。

各ノードでORACLE_HOME¥Apache¥Apache¥conf¥httpd.confファイルを次のように編集します。

  1. httpd.confに次の行を追加してcertheaders_moduleをロードします。

    LoadModule certheaders_module modules/ApacheModuleCertHeaders.dll
    
    
  2. 仮想ホスト・ディレクティブを追加します。

    <VirtualHost *:7777>
    ServerName myworkplace.com
    Port 443
    ServerAdmin you@youraddress.com
    RewriteEngine On
    RewriteOptions inherit
    SimulateHTTPS On
    </VirtualHost>
    
    
  3. すべてのノードでOracle HTTP Serverを再起動します。

手順6    Oracle Content DBのドメイン・プロパティの更新

各ノードでApplication Server Controlを使用して次のドメイン・プロパティを更新します。

Application Server Controlを使用してこれらのプロパティを編集するには、次の手順を実行します。

  1. 「クラスタ・トポロジ」ページで、「OC4J_Content」を展開します。

  2. OC4J_Content」の下にある「コンテンツ」をクリックします。これによって、「アプリケーション: コンテンツ」ページが表示されます。

  3. 「アプリケーション: コンテンツ」ページで、「Content DBの拡張」をクリックします。これによって、「Content DB: コンテンツ」ページが表示されます。

  4. 「Content DB: コンテンツ」ページで、「管理」タブをクリックします。

  5. ドメインのプロパティ」の「タスクに移動」列内のアイコンをクリックします。

  6. 「ドメインのプロパティ」ページで、「IFS.DOMAIN.APPLICATION.ApplicationHost」プロパティをクリックし、その値をロード・バランサに構成されている仮想ホスト名に設定します。「OK」をクリックします。

  7. 「ドメインのプロパティ」ページで、「IFS.DOMAIN.APPLICATION.ApplicationPort」プロパティをクリックし、その値をロード・バランサに構成されているポート番号に設定します。「OK」をクリックします。

手順7    OPMNのリロード

各ノードでOPMNをリロードします。

> ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl reload

6.2.5 アクティブ-アクティブ・トポロジの作成でサポートされる手順

この項では、アクティブ-アクティブ・トポロジの保持に必要な一般的な手順について説明します。

6.2.5.1 動的検出方法によるクラスタの設定

この方法では、クラスタ内の各Oracle Application Serverインスタンスに同じマルチキャスト・アドレスおよびポートを定義します。この方法には、クラスタ内の各Oracle Application Serverインスタンスの名前を指定する必要がなくなるという利点があります。マルチキャスト・アドレスおよびポートを編集することによって、クラスタに対してインスタンスの追加または削除を行うことができます。

  1. 同じクラスタにグループ化するそれぞれのOracle Application Serverインスタンスに対して、次のコマンドを実行します。

    opmnctl config topology update discover="*<multicastAddress>:<multicastPort>"
    
    

    multicastAddressには、このクラスタで使用するマルチキャスト・アドレスを指定します。マルチキャスト・アドレスは、224.0.1.0〜239.255.255.255の有効なアドレス範囲内である必要があります。前述のコマンドのマルチキャスト・アドレスの前に*文字が付けられていることに注意してください。

    multicastPortには、未使用の任意のポート番号を指定できます。

    例:

    > ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl config topology update
                             discover="*225.0.0.20:8001"
    
    

    分散インストール(Oracle HTTP ServerおよびOC4Jを別々のOracleホームにインストール)では、すべてのOracle Application Serverインスタンスを同じクラスタにクラスタ化する必要があります。すべてのインスタンスで同じマルチキャストIPおよびポートを使用する必要があります。

  2. opmnctl config topology updateコマンドを実行したそれぞれのOracle Application Serverインスタンスに対してopmnctl reloadコマンドを実行し、更新されたopmn.xmlファイルをOPMNに読み込みます。

    > ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl reload
    
    

6.2.5.2 検出サーバー方法によるクラスタの設定

マルチキャスト方法を使用しない場合は、Oracle Application Serverインスタンスを実行するノードの名前を各インスタンスのopmn.xmlファイルで指定することにより、クラスタを定義できます。

たとえば、4つのインスタンス(inst1.node1.mycompany.com、inst2.node2.mycompany.com、inst3.node3.mycompany.com、inst4.node4.mycompany.com)をクラスタ化する場合は、次の手順を実行します。

  1. 検出サーバーとして動作する1つ以上のインスタンスを指定します。検出サーバーは、このクラスタのトポロジを保持します。

    この例では、inst1.node1.mycompany.comとinst2.node2.mycompany.comがクラスタの検出サーバーであると想定します。

    分散インストール(Oracle HTTP ServerとOC4Jを別々のOracleホームにインストール)では、Oracle HTTP ServerまたはOC4Jを実行しているすべてのインスタンスが検出サーバーとして機能できます。

  2. クラスタ内のすべてのインスタンスのopmn.xmlファイルで、検出サーバー(この例ではnode1.mycompany.comとnode2.mycompany.com)を実行するノードを指定します。

    この例では、opmn.xmlファイルが変更されて次の各行が挿入されます。

    <notification-server>
       <topology>
          <discover
              list="node1.mycompany.com:6201,node2.mycompany.com:6201"/>
       </topology>
    ...
    </notification-server>
    
    

    6201は通知サーバーがリスニングを行うポート番号を表します。この値は、そのインスタンスのopmn.xmlファイルに格納されています。

    複数の検出サーバーを使用する場合は、各サーバーをカンマで区切ります。

  3. すべてのインスタンスでopmnctl reloadを実行し、OPMNに更新済のopmn.xmlファイルを読み取らせます。

    > ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl reload
    
    

6.3 アクティブ-パッシブ・トポロジの作成

この項では、OracleAS Cold Failover Clusterを使用したアクティブ-パッシブ・トポロジにOracle Application Serverをインストールする方法について説明します。OracleAS Cold Failover Clusterは、Oracle Application Serverがサポートする高可用性環境の1つです。

この項の内容は次のとおりです。

6.3.1 アクティブ-パッシブ・トポロジ: 概要

アクティブ-パッシブ・トポロジは、次のコンポーネントで構成されます。

Oracleホームは共有記憶域にインストールします。アクティブ-パッシブ・トポロジの実行時には、1つのノードのみがアクティブになります。もう1つのノードはパッシブになります。アクティブ・ノードは共有記憶域をマウントすることにより、ファイルにアクセスしてすべてのプロセスを実行し、すべてのリクエストを処理します。クライアントは、仮想ホスト名を介してアクティブ・ノードにアクセスします。クライアントは、トポロジ内のノードの物理的なホスト名を認識する必要はありません。

なんらかの理由によりアクティブ・ノードに障害が起きると、フェイルオーバー・イベントが発生し、パッシブ・ノードが引き継いでアクティブ・ノードとなります。このノードは共有記憶域をマウントしてすべてのプロセスを実行し、すべてのリクエストを処理します。仮想ホスト名とIPは、このパッシブ・ノードを指すようになります。クライアントは仮想ホスト名を使用してノードにアクセスするため、そのリクエストを処理しているのがパッシブ・ノードであることを認識しません。

フェイルオーバーを可能にするには、ノードがハードウェア・クラスタに属している必要があります。


注意:

OracleAS Cold Failover Clusterトポロジの各ノードのローカル記憶域にOracleホームをインストールすることはできません。Oracleホームは共有記憶域にインストールする必要があります。 


ベンダー・クラスタウェア

アクティブ-パッシブ・トポロジの2つのノードはハードウェア・クラスタに属します。通常、このハードウェア・クラスタにはベンダー・クラスタウェアが含まれています。動作が保証されているクラスタウェアのリストは、OTN(Oracle Technology Network)のWebサイト(http://www.oracle.com/technology)にあります。

Windowsを実行している場合は、次の製品がクラスタに必要です。

これらの製品は、トポロジ内の両方のノード(アクティブとパッシブ)にインストールする必要があります。

共有記憶域上のOracle Metadata Services(MDS)用のディレクトリ

共有記憶域には、Oracle Metadata Services(MDS)用のディレクトリも作成する必要があります。MDSディレクトリには、デプロイされたアプリケーションに関するデータが格納されます。

共有記憶域にMDSディレクトリを作成することによって、すべてのOracle Application Serverインスタンスが同じデータにアクセスするため、データをレプリケートする必要がなくなります。

MDSディレクトリのマウント・ポイントは、アクティブ-パッシブ・トポロジ内のすべてのノードで同じである必要があります(たとえば、S:¥oracle¥mdsなどです)。

共有記憶域は、インストール時には必要ありませんが、アプリケーションのデプロイ時に必要となります。アプリケーションのデプロイ時に、MDSディレクトリへのパスを指定します。

アクティブ-パッシブ・トポロジの図

図6-3は、Oracle Application ServerのOracleホームを共有記憶域にインストールしたアクティブ-パッシブ・トポロジの図を示しています。このOracleホームには、Oracle HTTP ServerおよびWebCenter Suiteの両方が格納されています。図6-4は、分散型のアクティブ-パッシブ・トポロジを示しています。ここでは、Oracle HTTP Server、Oracle WebCenter FrameworkおよびOracle Content DBが別々のOracleホームにインストールされています。このトポロジは、ノードがWeb層とアプリケーション層に分けられ、それらの層内のノードがファイアウォールで分離されている場合に使用できます。

MDSディレクトリは、共有記憶域に構成する必要があります。

図6-3    Oracle HTTP ServerおよびWebCenter Suiteが同じOracleホームにインストールされているアクティブ-パッシブ・トポロジ


画像の説明

図6-4    コンポーネントが別々のOracleホームにインストールされているアクティブ-パッシブ・トポロジ


画像の説明

6.3.2 OracleAS Cold Failover Clusterのインストール手順の概要

表6-3の手順に従ってOracleAS Cold Failover Cluster構成を作成します。Oracle HTTP ServerとOC4Jを同じOracleホームにインストールする場合は(図6-3)、ハードウェア・クラスタでこの手順を実行します。Oracle HTTP ServerとOC4Jを別々のOracleホームにインストールする場合は(図6-4)、両方のハードウェア・クラスタでそれぞれの手順を実行します。

表6-3    OracleAS Cold Failover Clusterのインストール手順の概要 
  手順  説明 

1. 

インストール前の手順の実行 

インストール前の作業の詳細は、6.3.3項を参照してください。内容は次のとおりです。

 

2. 

高可用性Oracleデータベースのインストール 

Oracle Content DB用の高可用性データベースをインストールします。 

3. 

環境変数VIRTUAL_HOST_NAMEの設定 

VIRTUAL_HOST_NAME変数を仮想ホスト名に設定します。 

4. 

Oracle Application Serverの共有ディスクへのインストール 

この手順では、インストーラを実行して共有ディスクにOracle Content DB、Oracle WebCenter FrameworkおよびOracle HTTP Serverをインストールします。 

5. 

(オプション)SSLに対応したOracle Application Serverインスタンスの構成 

Oracle Application ServerインスタンスでSSLを使用する場合は、Oracle Application ServerインストールでSSLを有効にします。 

6. 

(オプション)共有ディスクでのOracleAS JMSのファイルベースの永続性用のファイル・システムの作成 

OracleAS JMSを使用する場合は、共有ディスクでファイル・システムを作成します。 

7. 

OPMNの高可用性設定 

Oracle Fail Safeで作成したグループに、リソースとしてOPMNを追加します。 

6.3.3 OracleAS Cold Failover Clusterのインストール前の手順

Oracle Application ServerをOracleAS Cold Failover Clusterにインストールする前に、次の手順を実行します。

6.3.3.1 Event Logサービスの実行の確認

クラスタ内の両方のノード上で、Event Logサービスが実行されている必要があります。これは、「サービス」ダイアログ・ボックスで確認できます。「サービス」ダイアログ・ボックスを表示するには、次の手順を実行します。

6.3.3.2 クラスタの仮想アドレスの取得

クラスタに関連付ける仮想アドレスが必要です。仮想アドレスは、仮想ホスト名およびIPアドレスで構成されます。クライアントは、仮想ホスト名を使用してOracleAS Cold Failover Clusterにアクセスします。各ノードには、ノード自体のホスト名およびIPアドレスに加えて、仮想アドレスが必要です。図6-3は、クラスタ内の2つのノードの仮想アドレスを示しています。

仮想アドレスを取得するには、ネットワーク管理者に連絡してください。仮想ホスト名と仮想IPアドレスは、クラスタを含むサブネットのコンテキスト内で有効な任意のホスト名およびIPアドレスです。


注意:

仮想ホスト名と仮想IPアドレスは、アクティブ・ノードにのみマップします。仮想ホスト名と仮想IPアドレスは、アクティブ・ノードとパッシブ・ノードの両方へ同時にマップしないでください。フェイルオーバー時にのみ、アクティブ・ノードになったパッシブ・ノードに仮想ホスト名と仮想IPアドレスをマップします。 


6.3.3.3 両方のノードへのMicrosoft Cluster Server(MSCS)のインストールの確認

MSCSがコンピュータにインストールされていることを確認するには、「スタート」メニューから「クラスタ アドミニストレータ」を起動できることを確認します。

Windows 2000の場合: 「スタート」→「プログラム」→「管理ツール」→「クラスタ アドミニストレータ」を選択します。

Windows 2003の場合: 「スタート」→「管理ツール」→「クラスタ アドミニストレータ」を選択します。

MSCSが使用するクラスタIPアドレスおよびクラスタ名は、前述の手順で作成した仮想IPおよび仮想ホスト名とは異なります。

6.3.3.4 クラスタの名前の確認

クラスタ・アドミニストレータを使用すると、クラスタの名前を確認できます。

6.3.3.5 Oracle Fail Safeを管理するドメイン・ユーザーの決定

OracleMSCSServicesサービスを所有するドメイン・ユーザーが必要です。このサービスは、Oracle Fail Safeのインストール時にインストールされます。

このユーザーの要件は、次のとおりです。

Oracle Fail Safeのインストール時に、domainname¥username形式を使用して、ドメインおよびユーザーを指定します。Microsoft Windows 2000のドメインを実行している場合は、username@dnsDomainName形式を使用することもできます。

6.3.3.6 各ノードのローカル記憶域へのOracle Fail Safeのインストール

両方のノードのローカル記憶域にOracle Fail Safeをインストールする必要があります。たとえば、図6-3では、両方のノードにOracle Fail Safeがインストールされています。

Oracle Fail Safeは、Oracle Application Serverに付属しています。Oracle Fail Safeは、Oracle Fail SafeのCD-ROMからインストールできます。

両方のノードへOracle Fail Safeをインストールする手順の概要

各ノードにOracle Fail Safeをインストールする手順の概要は、次のとおりです。

  1. Oracle Fail Safeのインストールを開始する前に、OracleMSCSServicesサービスを所有するドメインおよびユーザーを知っておく必要があります。このサービスは、Oracle Fail Safeのインストール時にインストールされます。このユーザーの詳細は、6.3.3.5項「Oracle Fail Safeを管理するドメイン・ユーザーの決定」を参照してください。

  2. ノード1にOracle Fail Safeをインストールします。詳細は、「Oracle Fail Safeのインストール手順」(次の項)を参照してください。

  3. ノード1を再起動します。

  4. ノード2にOracle Fail Safeをインストールします。

  5. ノード2を再起動します。

  6. Oracle Fail Safe Managerを使用して、クラスタを検証します。

Oracle Fail Safeのインストール手順

この項では、Oracle Fail Safeのインストールに使用する画面について説明します。画面の詳細は、『Oracle Fail Safeインストレーション・ガイド』を参照してください。

  1. Oracle Fail SafeのCD-ROMを挿入します。setup.exeをダブルクリックして、インストーラを起動します。

  2. 「ようこそ」画面: 「次へ」をクリックします。

  3. 「ファイルの場所の指定」画面:

    名前: このOracleホームの名前を入力します。たとえば、ofsと入力します。

    パス(「インストール先」セクション内): Oracle Fail Safeのインストール先をフルパスで入力します。Oracle Fail Safeは、ローカル記憶域にインストールする必要があります。たとえば、C:¥oracle¥OFSと入力します。


    注意:

    両方のノードのOracle Fail Safeインストールに対して同じ名前とパスを使用する必要があります。 


    次へ」をクリックします。

  4. 「インストール・タイプの選択」画面: 「標準」を選択して「次へ」をクリックします。

    次のコンポーネントがインストールされます。

    • Oracle Fail Safe Manager

    • Oracle Services for MSCS

  5. 「インストール終了後リブートしてください」画面: この画面では、インストール終了後にコンピュータを再起動する必要があることを示すメッセージが表示されます。「次へ」をクリックします。

  6. 「サマリー」画面: 「インストール」をクリックします。

  7. 「Oracle Services for MSCS アカウント/パスワード」画面:

    ドメイン¥ユーザー名」: OracleMSCSServicesサービスを実行するドメイン名およびユーザー名を入力します。

    パスワード」および「パスワードの確認」: ユーザーのパスワードを指定して、確認します。

    OK」をクリックします。

  8. 「Configuration Assistant」画面: この画面には、Configuration Assistant実行時の進捗状況が表示されます。

  9. 「インストールの終了」画面: 「終了」をクリックします。

クラスタの検証

Oracle Fail Safeのインストール後、Oracle Fail Safe Managerを使用してクラスタを検証します。

  1. 「スタート」メニューからOracle Fail Safe Managerを起動します。

    スタート」→「プログラム」→「Oracle - OracleHomeName」→「Oracle Fail Safe Manager」を選択します。

    ここで、OracleHomeNameは、Oracle Fail SafeをインストールしたOracleホームの名前です。

  2. 「ツリーにクラスタを追加」ダイアログ・ボックスの「クラスタ別名:」に、クラスタ名を入力します(図6-5)。クラスタ名は、クラスタ・アドミニストレータを使用して定義します。「OK」をクリックします。

    図6-5    Oracle Fail Safe Manager: 「ツリーにクラスタを追加」ダイアログ・ボックス


    画像の説明

  3. 左フレームでクラスタを選択します。「ようこそ」ダイアログ・ボックスが表示されます(図6-6)。この図では、「FSWIN-CLU1」がクラスタ名です。

    クラスタの検証」をクリックします。

    Oracleソフトウェアに関連する警告が表示される場合があります。この警告は、クラスタにまだ製品がインストールされていないために表示されます。この警告は無視できます。ただし、システム警告が表示された場合は、調査する必要があります。

    図6-6    Oracle Fail Safe Manager: 「ようこそ」ダイアログ・ボックスおよび「クラスタの検証」


    画像の説明

6.3.3.7 Oracle Fail Safeのグループの作成

Oracle Fail Safeのグループとは、スタンバイ・ノードに一括してフェイルオーバーされるリソースの論理的な集合です。OracleAS Cold Failover ClusterにOracle Application Serverをインストールする前に、Oracle Fail Safe Managerを使用してグループを作成し、そのグループに次のリソースを追加する必要があります。

表6-4    Oracle Application Serverのインストール前にグループに追加するリソース 
グループに追加するリソース  使用するツール 

仮想ホストのIP 

Oracle Fail Safe Manager 

仮想ホスト名 

Oracle Fail Safe Manager 

共有ディスク 

クラスタ・アドミニストレータ 

グループを作成および設定するには、次の手順を実行します。この手順を実行すると、(フェイルオーバー・ポリシーやフェイルバック・ポリシー用の)デフォルト属性を持つグループが作成されます。これらの属性は、必要に応じて後で変更できます。詳細は、『Oracle Application Server高可用性ガイド』およびOracle Fail Safeのドキュメントを参照してください。

  1. 「スタート」メニューからOracle Fail Safe Managerを起動します。

    スタート」→「プログラム」→「Oracle - OracleHomeName」→「Oracle Fail Safe Manager」を選択します。

    ここで、OracleHomeNameは、Oracle Fail SafeをインストールしたOracleホーム・ディレクトリの名前です。

  2. 左側でクラスタを展開します。

  3. グループ」を右クリックし、ポップアップ・メニューから「作成」を選択します。グループの作成ウィザードが起動されます。

  4. グループの作成ウィザードの画面に従って、「OracleAS」というグループを作成します。

    1. 「一般: ステップ1」画面: Oracle Application Serverリソースのグループ名を入力し、「次へ」をクリックします。このマニュアルでは、「OracleAS」というグループを使用します。

      図6-7    Oracle Fail Safe Manager: グループの作成ウィザードの「一般: ステップ1」画面


      画像の説明

    2. 「フェイルバック・ポリシー: ステップ2」画面: 「フェイルバックしない」を選択して、「次へ」をクリックします。

      図6-8    Oracle Fail Safe Manager: グループの作成ウィザードの「フェイルバック・ポリシー: ステップ2」画面


      画像の説明

    3. 「グループ作成の終了」画面: 情報を確認して、「OK」をクリックします。

      図6-9    Oracle Fail Safe Manager: グループの作成ウィザードの「グループ作成の終了」画面


      画像の説明

    4. 「仮想アドレスの追加」画面: 「はい」をクリックします。

      図6-10    Oracle Fail Safe Manager: グループの作成ウィザードの「仮想アドレスの追加」画面


      画像の説明

    5. 「リソースをグループに追加 - 仮想アドレス」画面:

      クライアントからアクセス可能なネットワークの表示」を選択します。

      ネットワーク: ノードのプライマリ・ネットワーク・インタフェース・カードに関連付けられている名前を選択します。デフォルトでは、これは「ローカル・エリア接続」です。

      ホスト名: 仮想ホスト名を入力します。たとえば、vhostを入力します。

      IPアドレス: 仮想ホスト名のIPを入力します。たとえば、138.2.229.77を入力します。

      次へ」をクリックします。

      図6-11    Oracle Fail Safe Manager: グループの作成ウィザードの「リソースをグループに追加 - 仮想アドレス」画面


      画像の説明

    6. 「仮想アドレスのグループへの追加の完了」画面: 情報を確認して、「OK」をクリックします。

      図6-12    Oracle Fail Safe Manager: グループの作成ウィザードの「仮想アドレスのグループへの追加の完了」画面


      画像の説明

  5. Oracle Fail Safe Manager(図6-13)で、作成したグループが表示されていること、およびそのグループに次の2つのリソースが定義されていることを確認します。

    • 仮想ホストのIPアドレス

    • 仮想ホスト名(ネットワーク名として表示)

      図6-13    Oracle Fail Safe Managerでの新しいグループのリソースの表示


      画像の説明

  6. クラスタ・アドミニストレータを使用して、Oracle Application Serverをインストールする共有ディスクを、Oracle Fail Safe Managerで作成したグループに移動します。

    1. 「スタート」メニューからクラスタ・アドミニストレータを起動します。

      Windows 2000の場合: 「スタート」→「プログラム」→「管理ツール」→「クラスタ アドミニストレータ」を選択します。

      Windows 2003の場合: 「スタート」→「管理ツール」→「クラスタ アドミニストレータ」を選択します。

    2. 左側で、共有ディスクを含むディスク・グループを選択します。図6-14では、Disk Iが共有ディスクです。

      左側の「OracleAS」グループに注意してください。これは、Oracle Fail Safe Managerで作成したグループです。

      図6-14    クラスタ・アドミニストレータでの共有ディスクの表示


      画像の説明

    3. 右側の共有ディスク(この例ではDisk I)を左側の「OracleAS」グループへドラッグ・アンド・ドロップします。確認を求めるダイアログ・ボックスが表示されたら(図6-15)、「はい」をクリックします。

      図6-15    クラスタ・アドミニストレータ: 「Move Resources」ダイアログ・ボックス


      画像の説明

  7. Oracle Fail Safe Managerで、グループに共有ディスクが追加されたことを確認します。

    図6-16    グループへ共有ディスクを追加した後のOracle Fail Safe Managerの表示


    画像の説明

6.3.3.8 staticports.iniファイルの設定

中間層のインストール時に使用するstaticports.iniファイルを設定します。staticports.iniファイルの作成の詳細は、2.5.4項「カスタムのポート番号の使用(「静的ポート」機能)」を参照してください。


注意:

ポートは、同じノードの他のOralceホームで使用するポートと異なっている必要があります。Oracleホームのコンポーネントに割り当てられたポートを確認するには、次のコマンドを実行します。

C:¥> ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl startall
C:¥> ORACLE_HOME/opmn/bin/opmnctl status -l
 

6.3.4 OracleAS Cold Failover Cluster: インストール手順の詳細

この項では、OracleAS Cold Failover Clusterをインストールする手順について説明します。

Oracle HTTP ServerとOC4Jを別々のOracleホームにインストールする場合は、両方のクラスタでそれぞれの手順を実行します。

手順1    インストール前の手順の実行

6.3.3項「OracleAS Cold Failover Clusterのインストール前の手順」に記載されているインストール前の手順を実行します。

手順2    高可用性Oracleデータベースのインストール

Oracle Content DB用のデータベースが必要です。高可用性トポロジでは、コールド・フェイルオーバー・クラスタ・データベース、Real Application Clustersデータベースなどの高可用性データベースを使用する必要があります。

Oracle Content DBのデータベース要件の詳細は、2.3項「Oracle Content Databaseの要件」を参照してください。

手順3    環境変数VIRTUAL_HOST_NAMEの設定

ハードウェア・クラスタの両方のノードで環境変数VIRTUAL_HOST_NAMEを仮想ホスト名に設定します。環境変数の設定方法の詳細は、2.7項「環境変数」を参照してください。

手順4    Oracle Application Serverの共有ディスクへのインストール

ハードウェア・クラスタの共有ディスクにOracle Application Serverをインストールするには、次の手順を実行します。

  1. ハードウェア・クラスタの共有ディスクに、ノード1からOracle Application Serverをインストールします。

    • Oracle HTTP ServerおよびWebCenter Suiteを同じOracleホームにインストールするOracleAS Cold Failover Clusterの場合

      第4章「基本インストール」で説明しているとおりに、基本インストールを実行します。

    • コンポーネントを別々のOracleホームにインストールするOracleAS Cold Failover Clusterの場合

      Oracle HTTP Serverを実行するハードウェア・クラスタにインストールする場合は、5.2.5項「Oracle HTTP Serverのインストール」の手順を実行します。インストール時に、次の操作を行います。

      • 「ポート構成オプションの指定」画面で、6.3.3.8項「staticports.iniファイルの設定」で作成したstaticports.iniファイルを指定します。

      • すべてのリクエストをOracle HTTP Serverを介してOC4Jにルーティングする場合は、「クラスタ・トポロジ構成」画面で「このOracle HTTP ServerインスタンスをOracle Application Serverクラスタの一部として構成」を選択します。クラスタ内のすべてのノードで共有されるマルチキャスト・アドレスの「IPアドレス」および「ポート」を指定します。

      • すべてのリクエストをOracle HTTP Serverを介してOC4Jにルーティングしない場合は、「クラスタ・トポロジ構成」画面で「このOracle HTTP ServerインスタンスをOracle Application Serverクラスタの一部として構成」の選択を解除します。

      Oracle WebCenter FrameworkおよびOracle Content DBを実行するハードウェア・クラスタへのインストールを実行する場合は、次の2つのタイプのインストールを実行する必要があります。

      Oracle WebCenter Frameworkのインストール時に、次の操作を行います。

      • 「ポート構成オプションの指定」画面で、6.3.3.8項「staticports.iniファイルの設定」で作成したstaticports.iniファイルを指定します。

      • OC4Jインスタンスを管理するためにApplication Server Controlを構成する場合は、「管理(Administration)設定」画面で「このインスタンスでOracle Enterprise Manager 10g ASControlを起動」を選択します。それ以外の場合は、このオプションの選択を解除します。クラスタ・トポロジに存在するOracleホームが1つのみの場合は、このオプションを選択する必要があります。

      • すべてのリクエストをOracle HTTP Serverを介してOC4Jにルーティングする場合は、「クラスタ・トポロジ構成」画面で「このインスタンスをOracle Application Serverクラスタ・トポロジの一部として構成」を選択します。クラスタ内のすべてのノードで共有されるマルチキャスト・アドレスの「IPアドレス」および「ポート」を指定します。「このOC4Jインスタンスに別のOracle HTTP Serverからアクセス」を選択します。

      • すべてのリクエストをOracle HTTP Serverを介してOC4Jにルーティングしない場合は、「クラスタ・トポロジ構成」画面で「このインスタンスをOracle Application Serverクラスタ・トポロジの一部として構成」の選択を解除します。

      Oracle Content DBのインストール時に、次の操作を行います。

      • 「ポート構成オプションの指定」画面で、6.3.3.8項「staticports.iniファイルの設定」で作成したstaticports.iniファイルを指定します。

      • OC4Jインスタンスを管理するためにApplication Server Controlを構成する場合は、「管理(Administration)設定」画面で「このインスタンスでOracle Enterprise Manager 10g ASControlを起動」を選択します。それ以外の場合は、このオプションの選択を解除します。クラスタ・トポロジに存在するOracleホームが1つのみの場合は、このオプションを選択する必要があります。

      • すべてのリクエストをOracle HTTP Serverを介してOC4Jにルーティングする場合は、「クラスタ・トポロジ構成」画面で「このインスタンスをOracle Application Serverクラスタ・トポロジの一部として構成」を選択します。クラスタ内のすべてのノードで共有されるマルチキャスト・アドレスの「IPアドレス」および「ポート」を指定します。

      • すべてのリクエストをOracle HTTP Serverを介してOC4Jにルーティングしない場合は、「クラスタ・トポロジ構成」画面で「このインスタンスをOracle Application Serverクラスタ・トポロジの一部として構成」の選択を解除します。

  2. OPMN用にWindowsサービスを構成します。

    • OracleAS Cold Failover Cluster、Oracle HTTP ServerおよびWebCenter Suiteを同じOracleホームにインストールする場合:

      基本インストールでは、インストーラによりOPMN用のWindowsサービスは作成されません。インストール後にWindowsサービスを作成する必要があります。

      OPMN用のWindowsサービスを作成するには、SCツール(sc.exe)を使用できます。これは、Microsoftにより提供されているサービス制御管理ツールです。SCツールは、Windows Resource Kitに含まれています。


      注意:

      この手順を使用する前に、ご使用のsc.exeプログラムのバージョンが5.0.2134.1以上であることを確認してください。詳細は、MicrosoftのWebサイトを参照してください。 


      次のコマンドを実行して、OPMN用のサービスを作成します。SCツールでは、各オプションの後に空白が必要であることに注意してください。

      sc create Oracle-<instance_name>ProcessManager 
           binPath= "<oracle_home>¥opmn¥bin¥opmn.exe -S"
      
      
    • OracleAS Cold Failover Clusterとコンポーネントを別々のOracleホームにインストールする場合:

      ノード1でOracle Application Serverサービスを停止し、スタートアップの種類を手動に設定します。

      • 「サービス」ウィンドウを表示します。

        Windows 2000の場合: 「スタート」→「プログラム」→「管理ツール」→「サービス」を選択します。

        Windows 2003の場合: 「スタート」→「管理ツール」→「サービス」を選択します。

      • 次のサービスを停止します。

        Oracle-<InstanceName>ProcessManager

        サービスを停止するには、サービスを右クリックし、ポップアップ・メニューから「停止」を選択します。

      • 前述のサービスのスタートアップの種類を手動に設定します。

        サービスを右クリックして、「プロパティ」を選択します。

        「スタートアップの種類」セクションで「手動」を選択して、「OK」をクリックします。

  3. ORACLE_HOMEディレクトリを削除します。

  4. インストール前の作業で作成したクラスタ・グループを、ノード2にフェイルオーバーします。

    • Oracle Fail Safeを使用して、Oracle Fail Safeで作成したグループを移動します。

    • Oracle Fail Safe Managerを起動します。

    • グループを右クリックして「別のノードに移動」を選択します。

  5. 手順1のインストール手順を使用して、ハードウェア・クラスタの共有ディスクにOracle HTTP Server、Oracle Content DBまたはOracle WebCenter Framework(あるいはその両方)をノード2からインストールします。以前のインストールで使用したのと同じ値を使用してください。

手順5    Oracle Content DBが含まれているノード上のOracle HTTP Serverの無効化(分散インストールのみ)

この手順は、手順4で分散インストールを実行した場合にのみ実行する必要があります。

Oracle Content DBをインストールしたOracleホーム上のOracle HTTP Serverを無効にします。

  1. ORACLE_HOME¥opmn¥conf¥opmn.xmlファイルでOracle HTTP Serverのステータスをdisabledに設定します。

    <ias-component id="HTTP_Server" status="disabled">
    
    
  2. Oracleホーム内のすべてのコンポーネントを停止し、再起動します。

    C:¥> ORACLE_HOME¥bin¥opmnctl stopall
    C:¥> ORACLE_HOME¥bin¥opmnctl startall
    
    
手順6    (オプション)SSLに対応したOracle Application Serverインスタンスの構成

この手順は、SSLを使用している場合にのみ実行する必要があります。

各ノードでORACLE_HOME¥Apache¥Apache¥conf¥httpd.confファイルを次のように編集します。

  1. httpd.confに次の行を追加してcertheaders_moduleをロードします。

    LoadModule certheaders_module modules/ApacheModuleCertHeaders.dll
    
    
  2. 仮想ホスト・ディレクティブを追加します。

    <VirtualHost *:7777>
    ServerName myworkplace.com
    Port 443
    ServerAdmin you@youraddress.com
    RewriteEngine On
    RewriteOptions inherit
    SimulateHTTPS On
    </VirtualHost>
    
    
  3. すべてのノードでOracle HTTP Serverを再起動します。

手順7    (オプション)共有ディスクでのOracleAS JMSのファイルベースの永続性用のファイル・システムの作成

ファイルベースの永続性があるOracleAS JMSを使用する場合は、共有ディスクでOracleAS JMSキュー用のファイル・システムを作成します。クラスタ・アドミニストレータを使用して、この共有ディスクをOracle Fail Safeグループに追加します。これは、6.3.3.7項「Oracle Fail Safeのグループの作成」の手順67を実行して行うことができます。

手順8    OPMNの高可用性設定

Oracle Fail Safeで作成したグループにリソースとしてOPMNを追加します。詳細は、6.3.5項「インストール後の手順: OPMNの高可用性設定」を参照してください。

6.3.5 インストール後の手順: OPMNの高可用性設定

OPMNの高可用性設定を行うには、6.3.3.7項「Oracle Fail Safeのグループの作成」で作成したOracle Fail SafeグループにOPMNを追加します。OPMNは、Oracle-<InstanceName>ProcessManagerサービスに対応します。

  1. 「スタート」メニューからOracle Fail Safe Managerを起動します。

    スタート」→「プログラム」→「Oracle - OracleHomeName」→「Oracle Fail Safe Manager」を選択します。

    ここで、OracleHomeNameは、Oracle Fail SafeをインストールしたOracleホーム・ディレクトリの名前です。

  2. 左側で「グループ」を展開して、6.3.3.7項「Oracle Fail Safeのグループの作成」で作成したグループを右クリックし、「リソースをグループに追加」を選択します。リソースをグループに追加ウィザードが起動されます。

    図6-17    Oracle Fail Safe Manager: 「リソースをグループに追加」


    画像の説明

  3. リソースをグループに追加ウィザードで、次の手順を実行します。

    1. 「リソース: ステップ1」

      汎用サービス」を選択して、グループが正しいことを確認し、「次へ」をクリックします。

      図6-18    「リソースをグループに追加」ウィザード(OPMNの追加)の「リソース: ステップ1」画面


      画像の説明

    2. 「汎用サービスの識別情報: ステップ2」

      表示名」で「Oracle-<InstanceName>ProcessManager」を選択し、「次へ」をクリックします。

      図6-19    「リソースをグループに追加」ウィザード(OPMNの追加)の「汎用サービスの識別情報: ステップ2」画面


      画像の説明

    3. 「汎用サービスのアカウント: ステップ3」

      OPMNの起動パラメータは存在しません。「次へ」をクリックします。

      図6-20    「リソースをグループに追加」ウィザード(OPMNの追加)の「汎用サービスのアカウント: ステップ3」画面


      画像の説明

    4. 「汎用サービスのディスク: ステップ4」

      選択済ディスク」には、何も表示されていない必要があります。「次へ」をクリックします。

      図6-21    「リソースをグループに追加」ウィザード(OPMNの追加)の「汎用サービスのディスク: ステップ4」画面


      画像の説明

    5. 「汎用サービスの依存性: ステップ5」

      ネットワーク名を「リソースの依存性」列に移動します。「次へ」をクリックします。

      図6-22    「リソースをグループに追加」ウィザード(OPMNの追加)の「汎用サービスの依存性: ステップ5」画面


      画像の説明

    6. 汎用サービスのレジストリ: ステップ6: 「終了」をクリックします。

      図6-23    「リソースをグループに追加」ウィザード(OPMNの追加)の「汎用サービスのレジストリ: ステップ6」画面


      画像の説明

    7. 「汎用サービスのグループへの追加の終了」

      情報を確認して、「OK」をクリックします。特に、クラスタの両方のノードが、「可能所有者ノード」の下に表示されていることを確認します。

      図6-24    「リソースをグループに追加」ウィザード(OPMNの追加)の「汎用サービスのグループへの追加の終了」画面


      画像の説明

    8. 「グループへ汎用サービスの追加の確認」画面: 「はい」をクリックします。

      図6-25    「リソースをグループに追加」ウィザード(OPMNの追加)の「グループへ汎用サービスの追加の確認」画面


      画像の説明

      クラスタ内の両方のノードがProcess Managerサービスを実行できるように、Oracle Fail Safe ManagerによってProcess Managerサービスが構成されます。構成が完了すると、図6-26に類似した画面が表示されます。成功したことを示すダイアログ・ボックスで「OK」をクリックします。

      図6-26    「リソースをグループに追加」ウィザード(OPMNの追加)の最後の画面


      画像の説明

    9. Oracle Fail Safe Managerで、グループの下にProcess Managerサービスが表示されていることを確認します。

      図6-27    Process Managerサービスをグループに追加した後のOracle Fail Safe Managerの表示


      画像の説明

6.4 OracleAS Disaster Recovery構成の作成

この項では、OracleAS Disaster Recovery構成にOracle Application Serverをインストールする方法について説明します。OracleAS Disaster Recoveryは、Oracle Application Serverがサポートする高可用性環境の1つです。

この項の内容は次のとおりです。

6.4.1 OracleAS Disaster Recovery: 概要

使用している環境に2つの物理的に分離したサイトが必要な場合は、OracleAS Disaster Recovery環境を使用します。1つは本番サイトであり、もう1つはスタンバイ・サイトです。本番サイトがアクティブの間、スタンバイ・サイトはパッシブです。本番サイトが停止すると、スタンバイ・サイトがアクティブになります。

OracleAS Disaster Recoveryでは、本番サイトおよびスタンバイ・サイトでInfrastructureおよび中間層の構成に使用できる、多数の基本トポロジをサポートしています。OracleAS Disaster Recoveryがサポートする基本トポロジは次のとおりです。

対称トポロジでは、スタンバイ・サイトの各ノードは本番サイトのノードに対応しています。この中には、OracleAS Infrastructureおよび中間層の両方を実行しているノードも含まれます。非対称トポロジのスタンバイ・サイトに必要なインスタンスの数は、本番サイトよりも少なく、スイッチオーバーまたはフェイルオーバー操作時のサイトの運用に最低限必要な数です。サポートされる最後の2つのトポロジは、OracleASリリース10.1.3.2.0で特に重要です。これらのトポロジの詳細は、『Oracle Application Server高可用性ガイド』を参照してください。

OracleAS Cold Failover Cluster環境の本番サイトにOracleAS Infrastructureを設定し、この環境を少し変更できます。詳細は、6.4.2.4項「本番サイトでOracleAS Cold Failover Clusterを使用する場合(OracleAS 10.1.2.n.nのみ)」を参照してください。

これらのサポートされているトポロジでは、OracleAS Disaster Recoveryソリューションとして構成された本番およびスタンバイ・トポロジ内のすべてのシステムのOracleホームに、OracleAS Guardがインストールされます。

OracleAS GuardはOracleAS Companion CD #2に収録されており、スタンドアロン・インストール・キットとしてインストールできます。このスタンドアロン・キットをインストールするタイミングの詳細は、6.4.4項「OracleホームへのOracleAS 10g (10.1.3.2.0)のOracleAS Guardスタンドアロン・インストール」を参照してください。

図6-28に、対称型のOracleAS Disaster Recovery環境の例を示します。各サイトには、中間層を実行するノードが2つとOracleAS Infrastructureを実行するノードが1つあります。

データの同期化

OracleAS Disaster Recoveryを機能させるには、フェイルオーバーが即座に実行されるように本番サイトとスタンバイ・サイトのデータを同期化する必要があります。本番サイトで行った構成の変更は、スタンバイ・サイトにも反映させる必要があります。

2つのタイプのデータを同期化する必要があります。同期化の方法は、データのタイプによって異なります。

Oracle Data Guard、およびバックアップおよびリカバリ・スクリプトの使用方法の詳細は、『Oracle Application Server高可用性ガイド』を参照してください。

図6-28    OracleAS Disaster Recovery環境


画像の説明

6.4.2 OracleAS Disaster Recovery環境の設定

OracleAS Disaster Recovery環境内にOracle Application Serverをインストールする前に、次の手順を実行する必要があります。

6.4.2.1 オペレーティング・システム・レベルでノードが同じであることの確認

次の条件についてノードが同じであることを確認します。

6.4.2.2 staticports.iniファイルの設定

同じコンポーネントでは、本番サイトでもスタンバイ・サイトでも同じポート番号を使用する必要があります。たとえば、Oracle HTTP Serverが本番サイトでポート80を使用している場合は、スタンバイ・サイトでもポート80を使用する必要があります。これを確実にするためには、インストール時に使用するstaticports.iniファイルを作成します。このファイルで各コンポーネントのポート番号を指定できます。詳細は、2.5.4項「カスタムのポート番号の使用(「静的ポート」機能)」を参照してください。

6.4.2.3 本番およびスタンバイの両方のサイトでの同じホスト名の設定

サイト間でデータを同期化するときにデータを編集してホスト名を修正する必要がないように、本番サイトおよびスタンバイ・サイトの対応するノードの名前は同じである必要があります。

インフラストラクチャ・ノードの場合

インフラストラクチャを実行するノードの場合、仮想名を設定します。これを行うには、C:¥Windows¥system32¥drivers¥etc¥hostsファイルにノードの別名を指定します。

たとえば、本番サイトのインフラストラクチャ・ノードでは、hostsファイル内の次の行は別名をasinfraに設定します。

138.1.2.111   prodinfra   asinfra

スタンバイ・サイトでは、次の行はノードの別名をasinfraに設定します。

213.2.2.110   standbyinfra   asinfra

本番サイトおよびスタンバイ・サイトにOracleAS Infrastructureをインストールする場合は、「仮想ホストの指定」画面でこの別名(asinfra)を指定します。構成データには、インフラストラクチャ・ノード用のこの別名が含まれます。

中間層ノードの場合

中間層を実行するノードの場合、中間層のインストール時にインストーラによって「仮想ホストの指定」画面が表示されないため、インフラストラクチャ・ノードの場合のように別名を指定できません。中間層のインストールでは、インストーラによってgethostname()関数がコールされ、自動的にホスト名が確認されます。本番サイトの各中間層ノードに対して、スタンバイ・サイトの対応するノードが同じホスト名を戻すようにする必要があります。


注意:

10.1.3.x以降の中間層のインストールでは、インストールの前にVIRTUAL_HOST_NAME環境変数を適切に設定して、インストールに適した仮想名をインストーラで検出することもできます。この場合、プライマリとスタンバイで、同じホスト名を使用することも、異なるホスト名を使用することもできます。 


これを行うには、ローカルまたは内部のホスト名を設定します。このホスト名はパブリックまたは外部のホスト名と同じである必要はありません。スタンバイ・サイトのノードの名前を本番サイトの対応するノードの名前にあわせて変更するか、本番サイトとスタンバイ・サイトの両方のノードの名前が同じになるように変更できます。どちらの方法を使用するかは、ノード上で実行されている他のアプリケーション、およびノード名の変更によってこれらのアプリケーションが影響を受けるかどうかによって決定します。

  1. ローカル名を変更するノードで、環境変数_CLUSTER_NETWORK_NAME_に、新しいローカルの完全修飾名(asmid1.oracle.comなど)を指定します。


    注意:

    環境変数_CLUSTER_NETWORK_NAME_は、システム環境変数ではなくユーザー環境変数に設定する必要があります。 


  2. OracleAS Disaster Recovery環境内の他のノードが新しいローカル・ホスト名を使用してこのノードを解決できるようにします。これは、次のいずれかの方法で行うことができます。

    方法1: 両サイトの各ノードのC:¥Windows¥system32¥drivers¥etc¥hostsファイルを編集します。この方法にはDNSサーバーの構成は含まれませんが、OracleAS Disaster Recovery環境内の各ノードのhostsファイルをメンテナンスする必要があります。たとえば、IPアドレスが変更されたら、すべてのノード上のファイルを更新し、ノードを再起動する必要があります。

    方法1の詳細

    1. 本番サイトの各ノードで、C:¥Windows¥system32¥drivers¥etc¥hostsファイルに次の行を含めます。IPアドレスは、本番サイトのノードで解決します。

      127.0.0.1    localhost
      138.1.2.333  asmid1.oracle.com   asmid1
      138.1.2.444  asmid2.oracle.com   asmid2
      138.1.2.111  asinfra.oracle.com  asinfra
      
      
    2. スタンバイ・サイトの各ノードで、hostsファイルに次の行を含めます。IPアドレスは、スタンバイ・サイトのノードで解決します。

      127.0.0.1    localhost
      213.2.2.330  asmid1.oracle.com   asmid1
      213.2.2.331  asmid2.oracle.com   asmid2
      213.2.2.110  asinfra.oracle.com  asinfra
      
      
    3. ホスト名の解決順序を設定して、ノードがホスト名を解決する際にhostsファイルが最初に読み取られるようにします。hostsファイルに目的のホスト名のエントリが含まれていない場合、ノードはDNSを介してホスト名を解決します。

      これを行うには、hostsファイルにエントリを追加した後でnbtstat -Rコマンドを実行し、キャッシュされた情報の消去および名前表の再ロードを実行します。詳細は、システム管理者に問い合せてください。

方法2: 本番サイトとスタンバイ・サイトに異なる内部DNSサーバーを設定します。この構成によって、各サイト(本番またはスタンバイ)のノードがサイト内でホスト名を解決できるようになります。内部DNSサーバーの上には、企業、つまり外部のDNSサーバーがあります。内部DNSサーバーは、信頼できないリクエストは外部DNSサーバーへ転送します。外部DNSサーバーは、内部DNSサーバーの存在を知りません。詳細は、図6-29を参照してください。

図6-29    方法2: DNSサーバーの使用


画像の説明

方法2の詳細

  1. 外部DNS名が外部DNSゾーンに定義されていることを確認します。例:

    prodmid1.us.oracle.com     IN  A  138.1.2.333
    prodmid2.us.oracle.com     IN  A  138.1.2.444
    prodinf.us.oracle.com      IN  A  138.1.2.111
    standbymid1.us.oracle.com  IN  A  213.2.2.330
    standbymid2.us.oracle.com  IN  A  213.2.2.331
    standbyinf.us.oracle.com   IN  A  213.2.2.110
    
    
  2. 本番サイトで、外部ドメイン名とは異なるドメイン名を使用して本番サイトに新しいゾーンを作成します。これを行うには、OracleAS Disaster Recovery環境内の各ノードのエントリをゾーン・データ・ファイルに移入します。

    インフラストラクチャ・ノードの場合、仮想名または別名を使用します。

    中間層ノードの場合、ノード名(環境変数_CLUSTER_NETWORK_NAME_内の値)を使用します。

    次の例では、新しいゾーンのドメイン名として「asha」を使用します。

    asmid1.asha    IN  A  138.1.2.333
    asmid2.asha    IN  A  138.1.2.444
    asinfra.asha   IN  A  138.1.2.111
    
    

    スタンバイ・サイトに対しても同じことを行います。本番サイトに使用したドメイン名を使用します。

    asmid1.asha    IN  A  213.2.2.330
    asmid1.asha    IN  A  213.2.2.331
    asinfra.asha   IN  A  213.2.2.110
    
    
  3. 本番サイトの各ノードで、外部DNSサーバーではなく内部DNSサーバーを指すようにDNSリゾルバを構成します。

    表6-5     内部DNSサーバーを指すようにDNSリゾルバを構成する方法
    Windows 2000またはWindows 2003の場合 
    1. 「ローカル エリア接続 状態」ダイアログ・ボックスを表示します。

      Windows 2000の場合: 「スタート」→「設定」→「コントロール パネル」を選択します。「ネットワークとダイヤルアップ接続」をダブルクリックし、 次に「ローカル エリア接続」をダブルクリックします。

      Windows 2003の場合: 「スタート」→「コントロール パネル」→「ネットワーク接続」→「ローカル エリア接続」を選択します。

    2. プロパティ」をクリックして、「ローカル エリア接続のプロパティ」ダイアログ・ボックスを表示します。

    3. 「全般」タブでリスト・ボックスから「インターネット プロトコル (TCP/IP)」を選択して、「プロパティ」をクリックします。「インターネット プロトコル (TCP/IP)のプロパティ」ダイアログ・ボックスが表示されます。

    4. 既存のネーム・サーバーのIPアドレスを、本番サイトの内部DNSサーバーのIPアドレスに変更します。

    5. 詳細設定」をクリックします。「TCP/IP 詳細設定」ダイアログ・ボックスが表示されます。

    6. 「DNS」タブを選択して、DNSサーバーのアドレスを更新します。

     

    スタンバイ・サイトのノードに対しても同じ手順を実行します。ただし、スタンバイ・サイト用の内部DNSサーバーのIPアドレスを使用します。

  4. 内部DNSサーバー内のOracle Data Guard用に別のエントリを作成します。このエントリは、Oracle Data Guardがスタンバイ・サイトのデータベースにREDOデータを送るために使用します。

    次の例では、「remote_infra」エントリはスタンバイ・サイトのインフラストラクチャ・ノードを示します。この名前は、スイッチオーバーが発生した場合にTNSエントリを変更しなくてもよいように、本番サイトとスタンバイ・サイトの両方のTNSエントリで使用されます。

    図6-30    内部DNSサーバー内のOracle Data Guardエントリ


    画像の説明

    本番サイトでは、DNSエントリは次のようになります。

    asmid1.asha        IN  A  138.1.2.333
    asmid2.asha        IN  A  138.1.2.444
    asinfra.asha       IN  A  138.1.2.111
    remote_infra.asha  IN  A  213.2.2.110
    
    

    スタンバイ・サイトでは、DNSエントリは次のようになります。

    asmid1.asha        IN  A  213.2.2.330
    asmid2.asha        IN  A  213.2.2.331
    asinfra.asha       IN  A  213.2.2.110
    remote_infra.asha  IN  A  138.1.2.111
    
    
ノードがホスト名を正しく解決することの確認

変更を行い、ノードを再起動した後で、次のコマンドを実行して、ノードがホスト名を適切に解決することを確認します。

6.4.2.4 本番サイトでOracleAS Cold Failover Clusterを使用する場合(OracleAS 10.1.2.n.nのみ)


注意:

このインストールは、OracleASリリース10.1.2.n.n環境で実行する必要があります。n.nは0.0以上を表します。この情報は、情報目的でのみ提供されます。 


OracleAS Disaster Recoveryシステムの本番サイトでOracleAS Infrastructureを設定し、OracleAS Cold Failover Cluster構成で実行できます。この場合、1つのハードウェア・クラスタに2つのノードがあり、OracleAS Infrastructureを共有ディスクにインストールします。詳細は、10g リリース2(10.1.2)のOracle Application Serverのインストレーション・ガイドで、第11章「高可用性環境へのインストール: OracleAS Cold Failover Cluster」を参照してください。

図6-31    OracleAS Cold Failover Cluster構成内のインフラストラクチャ


画像の説明

この環境でOracleAS Cold Failover Clusterを設定するには、本番サイト上のasinfra.ashaに対して(物理IPアドレスのかわりに)仮想IPアドレスを使用します。次の例では、138.1.2.120が仮想IPアドレスであると仮定します。

asmid1.asha          IN  A  138.1.2.333
asmid2.asha          IN  A  138.1.2.444
asinfra.asha         IN  A  138.1.2.120         仮想IPアドレス
remote_infra.asha    IN  A  213.2.2.110

スタンバイ・サイトでは、asinfra.ashaには引き続き物理IPアドレスを使用しますが、remote_infra.ashaには仮想IPアドレスを使用します。

asmid1.asha          IN  A  213.2.2.330
asmid2.asha          IN  A  213.2.2.331
asinfra.asha         IN  A  213.2.2.110         物理IPアドレス
remote_infra.asha    IN  A  138.1.2.120         仮想IPアドレス

Oracle Fail Safeに作成が必要なパスワード・ファイル

OracleAS Disaster Recovery環境でOracleAS Cold Failover Clusterを設定する場合は、OracleAS Metadata RepositoryをOracle Fail Safeグループに追加するときにパスワード・ファイルを作成する必要があります。つまり、Oracleデータベースのリソース・タイプを追加します。

Oracle Application Server 10g リリース2(10.1.2)のインストレーション・ガイドで、OracleAS Metadata Repositoryの高可用性設定に関する項を参照してください。

手順3cで、「はい、パスワード・ファイルを作成します(推奨)」を選択します。

ユーザー名」で、SYSと入力します。

パスワード」と確認のために「パスワードの確認」にも、SYSユーザーに設定するパスワードを入力します。

6.4.3 OracleAS Disaster Recovery環境へのOracle Application Serverのインストール

OracleASリリース10.1.3.2.0では、本番サイトとスタンバイ・サイトでの中間層インストールのみを行うことができます。

次のようにしてOracle Application Serverをインストールします。


注意:

すべてのインストールに対して、staticports.iniを使用してコンポーネントのポート番号を指定します。詳細は、6.4.2.2項「staticports.iniファイルの設定」を参照してください。 


中間層のインストール(OracleASリリース10.1.3.2.0のみ)
  1. 本番サイトで中間層をインストールします。

  2. スタンバイ・サイトで中間層をインストールします。

OracleAS Infrastructureと中間層のインストール(リリース10.1.2.n.nのみ)


注意:

このインストールは、OracleASリリース10.1.2.n.n環境で実行する必要があります。n.nは0.0以上を表します。この情報は、情報目的でのみ提供されます。 


  1. 本番サイトでOracleAS Infrastructureをインストールします。

  2. スタンバイ・サイトでOracleAS Infrastructureをインストールします。

  3. サイトに中間層をインストールする前に、各サイトでOracleAS Infrastructureを起動します。

  4. 本番サイトで中間層をインストールします。

  5. スタンバイ・サイトで中間層をインストールします。

6.4.3.1 OracleAS Infrastructureのインストール(OracleASリリース10.1.2.n.nのみ)


注意:

このインストールは、OracleASリリース10.1.2.n.n環境で実行する必要があります。n.nは0.0以上を表します。この情報は、情報目的でのみ提供されます。 


OracleASリリース10.1.2.0.0環境では、OracleAS InfrastructureのOracle Identity ManagementおよびOracleAS Metadata Repositoryコンポーネントを同じノードにインストールする必要があります。コンポーネントを複数のノードに分散することはできません。OracleASリリース10.1.2.0.2環境では、コンポーネントを複数のノードに分散できます。

インストール手順は、OracleAS Cold Failover Clusterの場合の手順と同様です。表示される一連の画面については、10g リリース2(10.1.2)のOracle Application Serverのインストレーション・ガイドの「OracleAS Cold Failover Cluster(Infrastructure)構成のインストール」を参照してください。

次の点に注意してください。

6.4.3.2 中間層のインストール(OracleASリリース10.1.3.2.0および10.1.2.n.n)

構成に応じて、OracleAS 10.1.3.2.0中間層またはOracleAS 10.1.2n.n中間層をインストールできます。n.nは0.0以上を表します。

OracleASリリース10.1.3.2.0

OracleASリリース10.1.3.2.0では、任意の中間層タイプをインストールできます。

Oracle WebCenter FrameworkおよびOracle HTTP Serverのインストールについては、5.2.2項「Oracle WebCenter FrameworkおよびOracle HTTP Serverのインストール」を参照してください。

Oracle WebCenter Frameworkのインストールについては、5.2.4項「Oracle WebCenter Frameworkのインストール」を参照してください。

Oracle HTTP Serverのインストールについては、5.2.5項「Oracle HTTP Serverのインストール」を参照してください。

OracleASリリース10.1.2.n.n


注意:

このインストールは、OracleASリリース10.1.2.n.n環境で実行する必要があります。n.nは0.0以上を表します。この情報は、情報目的でのみ提供されます。 


OracleASリリース10.1.2.n.nでは、任意の中間層タイプをインストールできます。

J2EE and Web Cacheのインストールについては、10g リリース2(10.1.2)のOracle Application Serverのインストレーション・ガイドで「Database-Based Farm RepositoryへのJ2EE and Web Cacheのインストール(Oracle Identity Management Accessを使用する場合)」を参照してください。

Portal and WirelessまたはBusiness Intelligence and Formsのインストールについては、Portal and WirelessまたはBusiness Intelligence and Formsのインストールに関する項を参照してください。

OracleAS 10.1.2.n.nでは、次の点に注意してください。

6.4.4 OracleホームへのOracleAS 10g (10.1.3.2.0)のOracleAS Guardスタンドアロン・インストール

OracleAS 10g (10.1.3.2.0)のOracleAS Guardスタンドアロン・インストールは、Companion CDのDisk 2に収録されています。このOracleAS Guardスタンドアロン・インストールは、次の環境にインストールできます。

OracleAS Guardがアップグレード・インストールされた場合は、dsa.conf構成ファイルのコピーを作成して、現在のOracleAS Guard環境の設定を保存します。OracleAS 10g (10.1.3.2.0)のOracleAS Guardスタンドアロン・インストール・キットを実行後、保存しておいたdsa.conf構成ファイルをリストアして、アップグレードされたOracleAS Guard環境で以前と同じ設定を使用できます。

OracleAS 10g (10.1.3.2.0)のOracleAS Guardスタンドアロン・インストール・キットを実行するには、次のディレクトリ・パスから実行します。

Windowsシステムの場合:

Disk2¥asg¥Disk1¥install¥setup.exe

実行するインストールの種類を選択します。一般のインストールには、「標準」を選択します。OracleAS Guardの旧リリースから現行リリースへアップグレードする場合は、「カスタムまたは再インストール」を選択します。

oc4jadminアカウントのパスワードを入力し、インストールを続行します。

6.4.5 OracleAS Guardリリース10.1.3.2.0へのリリース10.1.2.n.nのアップグレード

OracleAS Guardリリース10.1.2.n.nn.nは0.0以上を表します)を使用してすでにOracleAS Disaster Recovery環境が設定されている場合は、その環境内のOracleAS Guardをアップグレードして、新しい機能および6.4.1項「OracleAS Disaster Recovery: 概要」に記載されているトポロジのサポートを利用できます。OracleAS Disaster Recovery環境をアップグレードする基本的な手順は、次のとおりです。

  1. 本番サイトおよびスタンバイ・サイトのすべてのOracleAS 10.1.2.n.nのOracleホームで、次のopmnctlコマンドを使用して、OracleAS Guardサーバーを停止します。

    Windowsシステムの場合:

    <ORACLE_HOME>¥opmn¥bin¥opmnctl stopall
    
    
  2. OracleAS 10g (10.1.3.2.0)のOracleAS Guardスタンドアロン・インストールを、本番およびスタンバイ・サイトのそれぞれのOracleホームにインストールします。

    同じシステムに複数のOracleホームが存在する場合は、構成ファイルでOracleAS Guardサーバーごとに異なるポートが構成されていることを確認します。

    ここではOracleAS Guardをアップグレード・インストールするので、dsa.conf構成ファイルのコピーを作成して、現在のOracleAS Guard環境の設定を保存します。OracleAS 10g (10.1.3.2.0)のOracleAS Guardスタンドアロン・インストール・キットを実行後、保存しておいたdsa.conf構成ファイルをリストアして、アップグレードされたOracleAS Guard環境で以前と同じ設定を使用できます。

    Windowsシステムの場合:

    <ORACLE_HOME>¥dsa¥dsa.conf
    
    
  3. 本番およびスタンバイ・サイトの両方のすべてのOracleAS 10.1.3.2.0のOracleホームで、次のopmnctlコマンドを使用してOracleAS Guardサーバーを起動します。

    Windowsシステムの場合:

    <ORACLE_HOME>¥opmn¥bin¥opmnctl startall
    <ORACLE_HOME>¥opmn¥bin¥opmnctl startproc ias-component=ASG
    
    

6.4.6 次に読むマニュアル

Oracle Data Guardの設定やOracleAS Metadata Repositoryデータベースの構成などの、OracleAS Disaster Recovery環境の管理方法については、『Oracle Application Server高可用性ガイド』を参照してください。


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