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Oracle Audit Vaultサーバー・インストレーション・ガイド
10gリリース2(10.2.2) for Linux x86-64
E05427-02
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2 Oracle Audit Vault Serverのインストール前の要件

この章では、Oracle Audit Vault Serverのインストール前の要件を説明します。この章に含まれる内容は次のとおりです。

2.1 Oracle Audit Vaultの機能についての知識の習得

インストール・プロセスを計画するには、Oracle Audit Vaultの機能を理解しておく必要があります。Oracle Audit Vaultの基本機能の説明は、『Oracle Audit Vault管理者ガイド』に記載されています。

2.2 rootユーザーとしてのシステムへのログイン

Oracleソフトウェアをインストールする前に、後述の一連のタスクをrootユーザーとして完了する必要があります。rootユーザーとしてシステムにログインしてください。

2.3 ハードウェア要件の確認

システムが最小限満たす必要があるハードウェア要件は次のとおりです。

システムがこれらの要件を満たしているかどうかを確認する手順は次のとおりです。

  1. 物理RAMサイズを確認するには、次のコマンドを入力します。

    # grep MemTotal /proc/meminfo
    

    物理RAMサイズが必要なサイズより小さい場合は、インストール処理を続行する前に、メモリーを追加する必要があります。

  2. 構成済のスワップ領域のサイズを確認するには、次のコマンドを入力します。

    # grep SwapTotal /proc/meminfo
    

    必要に応じて、使用するオペレーティング・システムのドキュメントに記載された追加のスワップ領域の構成方法の説明を参照してください。

  3. 使用可能なRAMとスワップ領域を確認するには、次のコマンドを入力します。

    # free
    

    注意:

    使用可能なRAMとスワップ領域は、1回目の値だけで断定せず、複数回調べることをお薦めします。これは、使用可能なRAMとスワップ領域が、ユーザーとコンピュータの対話に応じて変化するためです。

  4. /tmpディレクトリの使用可能なディスク領域を確認するには、次のコマンドを入力します。

    # df -k /tmp
    

    /tmpディレクトリの使用可能な空きディスク領域が400MB未満である場合は、次のいずれかの処置を行ってください。

    • /tmpディレクトリから不要なファイルを削除して、ディスク領域の要件を満たします。

    • oracleユーザーの環境の設定時に、TMPおよびTMPDIR環境変数を設定します。

    • /tmpディレクトリを含むファイルシステムを拡張します。必要に応じて、ファイルシステムの拡張の詳細をシステム管理者に問い合せてください。

  5. システムの空きディスク領域を確認するには、次のコマンドを入力します。

    # df -k
    
  6. ソフトウェアを実行できるシステム・アーキテクチャであるかどうかを確認するには、次のコマンドを入力します。

    # grep "model name" /proc/cpuinfo
    

    注意:

    このコマンドを実行すると、プロセッサの種類が表示されます。プロセッサのアーキテクチャが、インストールするOracleソフトウェア・リリースに適合していることを確認してください。必要なプロセッサが表示されない場合は、システムにソフトウェアをインストールできません。

2.4 オペレーティング・システム要件の確認

インストールする製品ごとに、次に示すソフトウェアがシステムにインストールされていることを確認します。これらの要件を満たしているかどうかを確認する手順が、表の後に記載されています。


注意:

Oracle Universal Installerを起動すると、システムのチェックが実行され、ここに示された要件を満たしているかどうかが検証されます。このチェックを通過できるように、Oracle Universal Installerを起動する前に要件を確認しておきます。

項目 要件
オペレーティング・システム 次のいずれかのオペレーティング・システムのバージョンが必要です。
  • Red Hat Enterprise Linux AS/ES 3.0(Update 4以降)

  • Red Hat Enterprise Linux AS/ES 4.0(Update 1以降)

  • SUSE Linux Enterprise Server 9.0(SP2以降)

  • SUSE Linux Enterprise Server 10

カーネル・バージョン システムで次のカーネル・バージョン(またはそれ以降)が実行されている必要があります。

Red Hat Enterprise Linux 3.0:

2.4.21-27.EL

注意: これはデフォルトのカーネル・バージョンです。

Red Hat Enterprise Linux 4.0:

2.6.9-11.EL

SUSE Linux Enterprise Server 9.0:

2.6.5-7.201

SUSE Linux Enterprise Server 10:

2.6.16.21-0.8-smp

注意: SUSE Linux Enterprise Server 10に関する最新の動作保証情報は、MetaLink Webサイトを参照してください。

http://metalink.oracle.com

パッケージ 次のパッケージ(またはそれ以降のバージョン)がインストールされている必要があります。

Red Hat Enterprise Linux 3.0:

make-3.79.1-17
compat-db 4.0.14-5.1
control-center-2.2.0.1-13
gcc-3.2.3-47
gcc-c++-3.2.3-47
gdb-6.1post-1.20040607.52
glibc-2.3.2-95.30
glibc-common-2.3.2-95.30
glibc-devel-2.3.2-95.30
glibc-devel-2.3.2-95.20 (32 bit)
compat-db-4.0.14-5
compat-gcc-7.3-2.96.128
compat-gcc-c++-7.3-2.96.128
compat-libstdc++-7.3-2.96.128
compat-libstdc++-devel-7.3-2.96.128
gnome-libs-1.4.1.2.90-34.2 (32 bit)
libstdc++-3.2.3-47
libstdc++-devel-3.2.3-47
openmotif-2.2.3-3.RHEL3
sysstat-5.0.5-5.rhel3
setarch-1.3-1
libaio-0.3.96-3
libaio-devel-0.3.96-3

Red Hat Enterprise Linux 4.0:

binutils-2.15.92.0.2-10.EL4
compat-db-4.1.25-9
control-center-2.8.0-12
gcc-3.4.3-9.EL4
gcc-c++-3.4.3-9.EL4
glibc-2.3.4-2
glibc-common-2.3.4-2
gnome-libs-1.4.1.2.90-44.1
libstdc++-3.4.3-9.EL4
libstdc++-devel-3.4.3-9.EL4
make-3.80-5
pdksh-5.2.14-30
sysstat-5.0.5-1
xscreensaver-4.18-5.rhel4.2

SUSE Linux Enterprise Server 9:

binutils-2.15.90.0.1.1-32.5
gcc-3.3.3-43.24
gcc-c++-3.3.3-43.24
glibc-2.3.3-98.28
gnome-libs-1.4.1.7-671.1
libstdc++-3.3.3-43.24
libstdc++-devel-3.3.3-43.24
make-3.80-184.1
pdksh-5.2.14-780.1
sysstat-5.0.1-35.1
xscreensaver-4.16-2.6
パッケージ SUSE Linux Enterprise Server 10:
glibc-devel-2.4-31.2.x86_64.rpm
gcc-4.1.0-28.4.x86_64.rpm
libstdc++-devel-4.1.0-28.4.x86_64.rpm
gcc-c++-4.1.0-28.4.x86_64.rpm
glibc-devel-32bit-2.4-31.2.x86_64.rpm
libaio-devel-0.3.104-14.2.x86_64.rpm

注意: SUSE Linux Enterprise Server 10に関する最新のパッケージ情報については、MetaLink WebサイトでデフォルトのRPMに関するトピックを参照してください。

http://metalink.oracle.com

PL/SQLのネイティブ・コンパイル、Pro*C/C++、Oracle Call Interface、Oracle C++ Call Interface、Oracle XML Developer's Kit(XDK) Intel C++ Compiler 8.1以降と、各ディストリビューションについてリストされている前述のバージョンのGNU CおよびC++コンパイラは、それらの製品とともに使用する場合にサポートされます。

注意: Intel C++ Compiler v8.1以降は、サポートはされていますが、インストールに必須ではありません。Red Hat Enterprise Linux 3では、OCCIはバージョン3.2のGNU C++コンパイラと使用する場合にサポートされます。これがデフォルトのコンパイラ・バージョンです。OCCIはまた、gcc 3.2.3標準テンプレート・ライブラリを使用したIntel Compiler v8.1と使用する場合にもサポートされます。

Oracle XML Developer's Kitは、Red Hat Linux 4.0上ではGCCとの使用がサポートされません。Intel C++ Compiler(ICC)との使用のみサポートされます。

Red Hat Enterprise Linux 4.0では、Oracle C++ Call Interface(OCCI)はGCC 3.4.3をサポートしません。Red Hat Enterprise Linux 4.0でOCCIを使用するには、GCC 3.2.3をインストールする必要があります。

Oracle JDBC/OCIドライバ 次のオプションのJavaバージョンをOracle JDBC/OCIドライバと併用できますが、インストールには必要ありません。
  • Sun JDK 1.5.0(64-bit)

  • Sun JDK 1.5.0(32-bit)

  • Sun JDK 1.4.2_09(32-bit)


システムがこれらの要件を満たしているかどうかを確認する手順は次のとおりです。

  1. インストールされているLinuxのディストリビューションとバージョンを確認するには、次のコマンドを入力します。

    # cat /proc/version
    

    注意:

    前述の表にリストされたディストリビューションとバージョンのみがサポートされます。他のLinuxバージョンにソフトウェアをインストールしないでください。

  2. 必要なカーネルがインストールされているかどうかを確認するには、次のコマンドを入力します。

    # uname -r
    

    このコマンドをRed Hat Enterprise Linux 3.0システムで実行した場合の出力のサンプルを次に示します。

    2.4.21-27.EL
    

    この例は、システムのカーネル・バージョン(2.4.27)とエラータ・レベル(27.EL)を示しています。

    カーネル・バージョンが前述の要件を満たしていない場合は、カーネル・アップデートの取得とインストールの詳細をオペレーティング・システム・ベンダーに問い合せてください。

  3. 必要なパッケージがインストールされているかどうかを確認するには、次のようなコマンドを入力します。

    # rpm -q package_name
    

    パッケージがインストールされていない場合は、Linuxディストリビューションのメディアからインストールするか、LinuxベンダーのWebサイトから必要なパッケージ・バージョンをダウンロードしてください。

  4. WebSphere MQのCSDが必要な場合は、次のWebサイトでダウンロードおよびインストールの情報を参照してください。

    http://www.ibm.com/software/integration/wmq/support/
    

2.5 ネットワーク設定の確認

通常、Oracle Audit Vaultをインストールするコンピュータは、ネットワークに接続され、Oracle Audit Vaultインストールを格納するためのローカル記憶域があり、ディスプレイ・モニター、CD-ROMドライブまたはDVDドライブが付属しています。

この項では、標準の使用例に合致しないコンピュータにOracle Audit Vaultをインストールする方法を説明します。この項の内容は次のとおりです。

2.5.1 名前解決の構成

名前解決が設定されていないと、Oracle Universal Installerの実行時にエラーが発生することがあります。このエラーを回避するには、インストールを開始する前に、ホスト名の解決に/etc/hostsファイルのみが使用されることを確認する必要があります。

ホスト名が/etc/hostsファイルでのみ解決されることを確認するには、次の手順を実行します。

  1. 名前解決のために/etc/hostsファイルが使用されることを確認します。確認するには、次のコマンドを入力してnsswitch.confファイル内のhostsファイル・エントリを調べます。

    # cat /etc/nsswitch.conf | grep hosts
    

    このコマンドの出力には、ファイル・エントリが含まれます。

  2. ホスト名が設定されていることを確認するには、次のようにhostnameコマンドを使用します。

    # hostname
    

    このコマンドの出力は、次のようになります。

    myhost.mycomputer.com
    
  3. ドメイン名が動的に設定されていないことを確認するには、次のようにdomainnameコマンドを使用します。

    # domainname
    

    このコマンドでは結果が戻されません。

  4. hostsファイルに完全修飾ホスト名が含まれていることを確認するには、次のコマンドを使用します。

    # cat /etc/hosts | grep `eval hostname`
    

    このコマンドの出力には、完全修飾ホスト名とlocalhostのエントリが含まれます。

    次に例を示します。

    192.168.100.16    myhost.us.mycompany.com   myhost
    127.0.0.1         localhost                 localhost.localdomain
    

    hostsファイルに完全修飾ホスト名が含まれていない場合は、ファイルを開いて必要な変更を加えます。

2.5.2 DHCPコンピュータへのインストール

Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP)は、ネットワークで動的なIPアドレスを割り当てます。動的アドレス指定では、コンピュータがネットワークに接続するたびに異なるIPアドレスを取得できます。場合によっては、コンピュータの接続中にIPアドレスが変更されることもあります。DHCPシステム内に、静的IPアドレス指定と動的IPアドレス指定を混在させることができます。

DHCP設定では、ソフトウェアによりIPアドレスが追跡され、ネットワークの管理が簡素化されます。DHCPを使用すると、ネットワークに新しいコンピュータを追加する際にコンピュータに一意のIPアドレスを手動で割り当てる必要がありません。

Audit Vault ServerまたはAudit Vault AgentのIPアドレスが変更される可能性がある環境に、Audit Vaultをインストールすることはできません。DHCPを使用する環境では、すべてのAudit Vaultシステムが静的IPアドレスを使用することを確認してください。

2.5.3 複数のホームを持つコンピュータへのインストール

Oracle Audit Vaultは、複数のホームを持つコンピュータにインストールできます。複数ホームのコンピュータは、複数のIPアドレスに関連付けられています。そのため、通常では複数のネットワーク・カードがコンピュータに搭載されています。各IPアドレスは、ホスト名に関連付けられます。また、ホスト名には別名を設定することもできます。デフォルトでは、Oracle Universal Installerは、ORACLE_HOSTNAME環境変数の設定を使用してホスト名を検索します。ORACLE_HOSTNAME環境変数を設定せずに、複数のネットワーク・カードを搭載したコンピュータでOracle Audit Vaultのインストールを実行すると、Oracle Universal Installerは/etc/hostsファイルにある最初のエントリを使用してホスト名を判別します。

クライアントは、このホスト名を使用するか、このホスト名の別名を使用して、コンピュータにアクセスできる必要があります。これを確認するには、短縮名(ホスト名のみ)および完全名(ホスト名とドメイン名)を使用してクライアント・コンピュータからホスト名をpingします。両方のテストが成功する必要があります。

ORACLE_HOSTNAME環境変数の設定

ORACLE_HOSTNAME環境変数の設定には、次の手順を使用します。

たとえば、完全修飾ホスト名がsomehost.us.acme.comであるとします。この名前を使用して、次のいずれかのコマンドを入力します。

Bourne、BashまたはKornシェルの場合

$ ORACLE_HOSTNAME=somehost.us.acme.com
$ export ORACLE_HOSTNAME

Cシェルの場合

% setenv ORACLE_HOSTNAME somehost.us.acme.com

2.5.4 複数の別名を持つコンピュータへのインストール

複数の別名を持つコンピュータは、1つのIPアドレスでネーミング・サービスに登録されます。ネーミング・サービスでは、このすべての別名を同じコンピュータに対して解決します。複数の別名を持つコンピュータにOracle Audit Vaultをインストールする場合は、その前にORACLE_HOSTNAME環境変数を、ホスト名を使用するコンピュータに設定しておきます。

2.6 必要なオペレーティング・システム・グループおよびユーザーの作成

このシステムにインストールする最初のOracleソフトウェアであるかどうか、およびどの製品をインストールするかに応じて、複数のオペレーティング・システム・グループおよびユーザーの作成が必要になる場合があります。

Oracle Audit Vaultをインストールする場合は、次のオペレーティング・システム・グループおよびユーザーが必要です。

すべてのインストールに必要なオペレーティング・システム・グループおよびユーザーは次のとおりです。

システムにインストールするすべてのOracleソフトウェアに対し、1つのOracleインベントリ・グループが必要です。最初のOracleソフトウェアのインストール以降は、このシステムへのすべてのOracleソフトウェアのインストールに、同じOracleインベントリ・グループを使用する必要があります。ただし、各インストールに対して異なるOracleソフトウェア所有者ユーザー、OSDBAグループおよびOSOPERグループ(oracledbaおよびoper以外)を作成することもできます。インストールごとに異なるグループを使用すると、各グループのメンバーは、システムのすべてのデータベースではなく、関連するデータベースに対してのみDBA権限を持つことになります。


関連資料:

OSDBAグループ、SYSDBA権限およびSYSOPER権限の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。


注意:

ローカル・ユーザーおよびグループの作成方法は、この後の項で説明します。ローカル・ユーザーおよびグループを作成するかわりに、たとえば、Network Information Service(NIS)などのディレクトリ・サービスに、適切なユーザーとグループを作成することもできます。ディレクトリ・サービスの使用の詳細は、システム管理者に問い合せるか、使用するオペレーティング・システムのドキュメントを参照してください。

次の項では、必要なオペレーティング・システム・ユーザーおよびグループの作成方法について説明します。

2.6.1 Oracleインベントリ・グループの作成

Oracleインベントリ・グループが存在しない場合は、作成する必要があります。ここでは、Oracleインベントリ・グループが存在する場合はその名前を調べる方法、および必要に応じてOracleインベントリ・グループを作成する方法を説明します。

Oracleインベントリ・グループが存在するかどうかの確認

システムにOracleソフトウェアを初めてインストールするとき、Oracle Universal InstallerによってoraInst.locファイルが作成されます。このファイルで、Oracleインベントリ・グループの名前とOracleインベントリ・ディレクトリのパスが識別されます。

Oracleインベントリ・グループが存在するかどうかを確認するには、次のコマンドを入力します。

# more /etc/oraInst.loc

このコマンドの出力にoinstallグループ名が表示された場合は、グループがすでに存在します。

oraInst.locファイルが存在する場合、このコマンドの出力は次のようになります。

inventory_loc=/u01/app/oracle/oraInventory
inst_group=oinstall

inst_groupパラメータは、Oracleインベントリ・グループ名がoinstallであることを示します。

Oracleインベントリ・グループの作成

oraInst.locファイルが存在しない場合は、次のコマンドを入力してOracleインベントリ・グループを作成します。

# /usr/sbin/groupadd oinstall

2.6.2 OSDBAグループの作成

次のような場合は、OSDBAグループを作成する必要があります。

  • OSDBAグループが存在しない場合。たとえば、システムにOracleソフトウェアを初めてインストールする場合です。

  • OSDBAグループが存在するが、新しいOracleインストールでは、別のオペレーティング・システム・ユーザー・グループにデータベース管理権限を付与する場合。

OSDBAグループが存在しない場合、または新しいOSDBAグループが必要な場合は、次のように作成します。

次のコマンドでは、同じ名前のグループが存在する場合以外は、dbaというグループ名を使用してください。

# /usr/sbin/groupadd dba

2.6.3 OSOPERグループの作成(オプション)

OSOPERグループは、制限されたデータベース管理権限(SYSOPERオペレータ権限)を持つオペレーティング・システム・ユーザー・グループを識別する場合にのみ作成します。ほとんどのインストールでは、OSDBAグループを作成するだけで十分です。OSOPERグループを使用する必要があり、次の状況に該当する場合は、作成する必要があります。

  • OSOPERグループが存在しない場合。たとえば、システムにOracleソフトウェアを初めてインストールする場合です。

  • OSOPERグループが存在するが、新しいOracleインストールでは、別のオペレーティング・システム・ユーザー・グループにデータベース・オペレータ権限を付与する場合。

新しいOSOPERグループが必要な場合は、次のように作成します。

次のコマンドでは、同じ名前のグループが存在する場合以外は、operというグループ名を使用してください。

# /usr/sbin/groupadd oper

2.6.4 Oracleソフトウェア所有者ユーザーの作成

次のような場合は、Oracleソフトウェア所有者ユーザーを作成する必要があります。

  • Oracleソフトウェア所有者ユーザーが存在しない場合。たとえば、システムにOracleソフトウェアを初めてインストールする場合です。

  • Oracleソフトウェア所有者ユーザーは存在するが、新しいOracleインストールでは、異なるグループ・メンバーシップを持つ別のオペレーティング・システム・ユーザーを使用して、これらのグループにデータベース管理権限を付与する場合。

2.6.4.1 Oracleソフトウェア所有者ユーザーが存在するかどうかの確認

oracleというOracleソフトウェア所有者ユーザーが存在するかどうかを確認するには、次のコマンドを入力します。

# id oracle

oracleユーザーが存在する場合、このコマンドの出力は次のようになります。

uid=440(oracle) gid=200(oinstall) groups=201(dba),202(oper)

ユーザーが存在する場合は、既存ユーザーを使用するか、別のOracleソフトウェア所有者ユーザー(oracle)を作成するかを決定します。既存ユーザーを使用する場合は、そのユーザーのプライマリ・グループがOracleインベントリ・グループであり、かつ適切なOSDBAグループおよびOSOPERグループのメンバーであることを確認してください。


注意:

既存ユーザーを使用または変更する前に、必要に応じて、システム管理者に連絡してください。

詳細は、次のいずれかの項を参照してください。

  • 既存のOracleソフトウェア所有者ユーザーを変更する場合は、2.6.4.3項を参照してください。

  • Oracleソフトウェア所有者ユーザーを作成する場合は、次の項を参照してください。

2.6.4.2 Oracleソフトウェア所有者ユーザーの作成

Oracleソフトウェア所有者ユーザーが存在しない場合、または新しいOracleソフトウェア所有者ユーザーが必要な場合は、次のように作成します。次の手順では、同じ名前のユーザーが存在する場合以外は、oracleというユーザー名を使用してください。

  1. oracleユーザーを作成するには、次のようなコマンドを入力します。

    # /usr/sbin/useradd -g oinstall -G dba[,oper] oracle
    

    このコマンドのオプションは次のとおりです。

    • -gオプションには、プライマリ・グループを指定します。プライマリ・グループは、oinstallなど、Oracleインベントリ・グループである必要があります。

    • -Gオプションには、セカンダリ・グループを指定します。セカンダリ・グループには、OSDBAグループおよび必要に応じてOSOPERグループを含める必要があります(たとえば、dbaまたはdba, operなどです)。

  2. oracleユーザーのパスワードを設定します。

    # passwd oracle
    

続行するには、2.6.5項を参照してください。

2.6.4.3 Oracleソフトウェア所有者ユーザーの変更

oracleユーザーは存在するが、ユーザーのプライマリ・グループがoinstallでない場合、またはユーザーが適切なOSDBAグループまたはOSOPERグループのメンバーでない場合は、次のようなコマンドを入力して変更します。-gオプションを使用してプライマリ・グループを指定し、-Gオプションを使用して必要なセカンダリ・グループを指定します。

# /usr/sbin/usermod -g oinstall -G dba[,oper] oracle

2.6.5 ユーザーnobodyが存在するかどうかの確認

ソフトウェアをインストールする前に、次の手順を実行してnobodyユーザーがシステムに存在することを確認します。

  1. ユーザーが存在するかどうかを確認するには、次のコマンドを入力します。

    # id nobody
    

    このコマンドでnobodyユーザーの情報が表示される場合は、このユーザーを作成する必要はありません。

  2. nobodyユーザーが存在しない場合は、次のコマンドを入力して作成します。

    # /usr/sbin/useradd nobody
    

2.7 カーネル・パラメータの確認

次の表で、カーネル・パラメータが表に示された推奨値以上の値に設定されていることを確認してください。値を確認および設定する方法は、表の後に記載されています。

パラメータ ファイル
semmsl

semmns

semopm

semmni

250

32000

100

128

/proc/sys/kernel/sem
shmall 2097152 /proc/sys/kernel/shmall
shmmax 物理メモリー・サイズの半分(バイト) /proc/sys/kernel/shmmax
shmmni 4096 /proc/sys/kernel/shmmni
file-max 65536 /proc/sys/fs/file-max
ip_local_port_range 最小値: 1024

最大値: 65000

/proc/sys/net/ipv4/ip_local_port_range
rmem_default 262144 /proc/sys/net/core/rmem_default
rmem_max 262144 /proc/sys/net/core/rmem_max
wmem_default 262144 /proc/sys/net/core/wmem_default
wmem_max 262144 /proc/sys/net/core/wmem_max


注意:

現在のパラメータ値がこの表に示されている値より大きい場合は、そのパラメータの値を変更しないでください。

これらのカーネル・パラメータに現在指定されている値を表示し、必要に応じて変更するには、次の手順を実行します。

  1. 次の表に示されたコマンドを入力して、現在のカーネル・パラメータの値を表示します。


    注意:

    現在の値をメモしておき、変更する必要がある値を特定します。

    パラメータ コマンド
    semmsl、semmns、semopmおよびsemmni # /sbin/sysctl -a | grep sem

    このコマンドは、セマフォ・パラメータ値をリストされた順序で表示します。

    shmall、shmmaxおよびshmmni # /sbin/sysctl -a | grep shm

    このコマンドは、共有メモリーのセグメント・サイズの詳細を表示します。

    file-max # /sbin/sysctl -a | grep file-max

    このコマンドは、ファイル・ハンドラの最大数を表示します。

    ip_local_port_range # /sbin/sysctl -a | grep ip_local_port_range

    このコマンドは、ポート番号の範囲を表示します。

    rmem_default # /sbin/sysctl -a | grep rmem_default
    rmem_max # /sbin/sysctl -a | grep rmem_max
    wmem_default # /sbin/sysctl -a | grep wmem_default
    wmem_max # /sbin/sysctl -a | grep wmem_max

  2. いずれかのカーネル・パラメータの値が推奨値と異なる場合は、次の手順を完了してください。

    任意のテキスト・エディタを使用して/etc/sysctl.confファイルを作成または編集し、次のような行を追加または編集します。


    注意:

    値を変更するカーネル・パラメータの行のみを含めます。セマフォ・パラメータ(kernel.sem)の場合は、4つの値をすべて指定する必要があります。ただし、現在の値が推奨値より大きい場合は、大きい方の値を指定してください。

    kernel.shmall = 2097152
    kernel.shmmax = 2147483648
    kernel.shmmni = 4096
    kernel.sem = 250 32000 100 128
    fs.file-max = 65536
    net.ipv4.ip_local_port_range = 1024 65000
    net.core.rmem_default = 262144
    net.core.rmem_max = 262144
    net.core.wmem_default = 262144
    net.core.wmem_max = 262144
    

    /etc/sysctl.confファイルに値を指定すると、システムの再起動後も値が維持されます。

    SUSEシステムの場合のみ、次のコマンドを入力して、再起動時に/etc/sysctl.confファイルがシステムに確実に読み込まれるようにします。

    # /sbin/chkconfig boot.sysctl on
    

oracleユーザーのシェル制限の設定

Linuxシステム上のソフトウェアのパフォーマンスを向上するには、次のようにoracleユーザーのシェル制限を引き上げる必要があります。

シェル制限 limits.confの項目 強い制限
オープン・ファイル記述子の最大数 nofile 65536
ユーザーごとに使用可能な最大プロセス数 nproc 16384

シェル制限を引き上げるには、次の手順を実行します。

  1. /etc/security/limits.confファイルに次の行を追加します。

    oracle              soft    nproc   2047
    oracle              hard    nproc   16384
    oracle              soft    nofile  1024
    oracle              hard    nofile  65536
    
  2. /etc/pam.d/loginファイルに、次の行を追加または編集します(存在しない場合)。

    session    required     pam_limits.so
    
  3. oracleユーザーのデフォルト・シェルに応じて、デフォルト・シェル起動ファイルを次のように変更します。

    • Bourne、BashまたはKornシェルの場合は、/etc/profileファイル(SUSEシステムの場合は/etc/profile.localファイル)に次の行を追加します。

      if [ $USER = "oracle" ]; then
              if [ $SHELL = "/bin/ksh" ]; then
                    ulimit -p 16384
                    ulimit -n 65536
              else
                    ulimit -u 16384 -n 65536
              fi
      fi
      
    • Cシェル(cshまたはtcsh)の場合は、/etc/csh.loginファイル(またはSUSEシステムの/etc/csh.login.localファイル)に次の行を追加します。

      if ( $USER == "oracle" ) then
              limit maxproc 16384
              limit descriptors 65536
      endif
      

2.8 必要なソフトウェア・ディレクトリの識別

次のOracleソフトウェア・ディレクトリを識別または作成する必要があります。

2.8.1 Oracleベース・ディレクトリ

Oracleベース・ディレクトリは、Oracleソフトウェア・インストールの最上位ディレクトリです。Linuxシステムでは、Oracleベース・ディレクトリに次のようなパスを使用することをOptimal Flexible Architecture(OFA)のガイドラインで推奨しています。

/mount_point/app/oracle_sw_owner

このパスの各要素の意味は次のとおりです。

  • mount_pointは、Oracleソフトウェアが格納されるファイルシステムのマウント・ポイント・ディレクトリです。

    このマニュアルの例では、/u01をマウント・ポイント・ディレクトリとして使用しています。ただし、/oracle/opt/oracleなどの別のマウント・ポイント・ディレクトリも選択できます。

  • oracle_sw_ownerは、oracleなど、Oracleソフトウェア所有者のオペレーティング・システム・ユーザー名です。

複数のインストールに対して同じOracleベース・ディレクトリを使用する場合と、インストールごとに異なるOracleベース・ディレクトリを作成する場合があります。異なるオペレーティング・システム・ユーザーが同じシステムにOracleソフトウェアをインストールする場合、各ユーザーは別個のOracleベース・ディレクトリを作成する必要があります。次の例に示されたすべてのOracleベース・ディレクトリが同じシステムに存在することが可能です。

/u01/app/oracle
/u01/app/orauser
/opt/oracle/app/oracle

インストールに適した既存のOracleベース・ディレクトリを識別する方法と、必要に応じてOracleベース・ディレクトリを作成する方法については、この後の項で説明します。

Oracleベース・ディレクトリを作成するか、既存のOracleベース・ディレクトリを使用するかにかかわらず、ORACLE_BASE環境変数を設定してこのディレクトリのフルパスを指定する必要があります。

2.8.2 Oracleインベントリ・ディレクトリ

Oracleインベントリ・ディレクトリ(oraInventory)には、システムにインストールされたすべてのソフトウェアのインベントリが格納されます。Oracleインベントリ・ディレクトリは、1つのシステム上のすべてのOracleソフトウェア・インストールに必要であり、かつ共有のものです。システムにOracleソフトウェアを初めてインストールするとき、Oracle Universal Installerにより、このディレクトリへのパスを指定するよう求められます。次のパスを選択することをお薦めします。

oracle_base/oraInventory

指定したディレクトリは、Oracle Universal Installerによって作成され、適切な所有者、グループおよび権限が設定されます。Oracleインベントリ・ディレクトリを手動で作成する必要はありません。


注意:

Oracleソフトウェアのすべてのインストールが、このディレクトリに依存しています。必ずバックアップを定期的に作成してください。

システムからすべてのOracleソフトウェアを完全に削除する場合以外は、このディレクトリを削除しないでください。


2.8.3 Oracleホーム・ディレクトリ

Oracleホーム・ディレクトリは、特定のOracle製品のソフトウェアをインストールするために選択するディレクトリです。異なるOracle製品、または同じOracle製品でもリリースが異なる場合は、別々のOracleホーム・ディレクトリにインストールする必要があります。Oracle Universal Installerを実行すると、このディレクトリのパスと識別名を指定するよう求められます。Oracleホーム・ディレクトリには、Oracleベース・ディレクトリのサブディレクトリを指定する必要があります。Oracleホーム・ディレクトリのパスは、次のように指定することをお薦めします。

oracle_base/product/10.2.2/av_1

Oracle Universal Installerにより、指定したディレクトリ・パスがOracleベース・ディレクトリの下に作成されます。また、適切な所有者、グループおよび権限も設定されます。Oracleホーム・ディレクトリを手動で作成する必要はありません。

2.9 Oracleベース・ディレクトリの識別または作成

インストールを開始する前に、既存のOracleベース・ディレクトリを識別するか、必要な場合は作成する必要があります。この項の内容は次のとおりです。


注意:

システムに他のOracleベース・ディレクトリが存在する場合でも、Oracleベース・ディレクトリの作成を選択できます。

2.9.1 既存のOracleベース・ディレクトリの識別

既存のOracleベース・ディレクトリのパスが、Optimal Flexible Architecture(OFA)のガイドラインに準拠していない場合があります。ただし、既存のOracleインベントリ・ディレクトリまたは既存のOracleホーム・ディレクトリを識別すると、通常ではOracleベース・ディレクトリを識別できます。次にその手順を示します。

  • 既存のOracleインベントリ・ディレクトリの識別

    次のコマンドを入力して、oraInst.locファイルの内容を表示します。

    # more /etc/oraInst.loc
    

    oraInst.locファイルが存在する場合、このコマンドの出力は次のようになります。

    inventory_loc=/u01/app/oracle/oraInventory
    inst_group=oinstall
    

    inventory_locパラメータは、Oracleインベントリ・ディレクトリ(oraInventory)を識別します。通常では、oraInventoryディレクトリの親ディレクトリがOracleベース・ディレクトリです。前述の例では、/u01/app/oracleがOracleベース・ディレクトリです。

  • 既存のOracleホーム・ディレクトリの識別

    次のコマンドを入力して、oratabファイルの内容を表示します。

    # more /etc/oratab
    

    oratabファイルが存在する場合、ファイルには次のような行が含まれます。

    *:/u03/app/oracle/product/1.0.0/db_1:N
    *:/opt/orauser/infra_904:N
    *:/oracle/9.2.0:N
    

    各行に指定されたディレクトリ・パスは、Oracleホーム・ディレクトリを識別します。使用するOracleソフトウェア所有者のユーザー名を末尾に持つディレクトリ・パスは、Oracleベース・ディレクトリとして有効な選択となります。前述の例で、oracleユーザーを使用してソフトウェアをインストールする場合は、次のいずれかのディレクトリを選択できます。

    /u03/app/oracle
    /oracle
    

    注意:

    できるかぎり、最初の例のようなディレクトリ・パス(/u03/app/oracle)を選択してください。このパスは、OFAのガイドラインに準拠しています。

このインストールに使用する既存のOracleベース・ディレクトリを決定する前に、次の条件を満たしているかどうかを確認してください。

  • オペレーティング・システムと同じファイルシステムに存在しないこと。

  • 2.3項の表に示された十分な空きディスク領域があること。

    Oracleベース・ディレクトリがあるファイルシステム上の空きディスク領域を確認するには、次のコマンドを入力します。

    # df -h oracle_base_path
    

Oracleベース・ディレクトリがシステムに存在しない場合、またはOracleベース・ディレクトリを作成する場合は、2.9.2項の手順を完了してください。

2.9.2 Oracleベース・ディレクトリの作成

Oracleベース・ディレクトリを作成する前に、2.3項の表で示している十分な空きディスク領域がある適切なファイルシステムを識別する必要があります。

適切なファイルシステムを識別するには、次の手順を実行します。

  1. df -hコマンドを使用して、マウントされている各ファイルシステム上の空きディスク領域を調べます。

  2. 表示された結果から、適切な空き領域があるファイルシステムを識別します。

  3. 識別したファイルシステムのマウント・ポイント・ディレクトリ名をメモしておきます。

Oracleベース・ディレクトリを作成し、適切な所有者、グループおよび権限を指定するには、次の手順を実行します。

  1. 次のようなコマンドを入力して、識別したマウント・ポイント・ディレクトリに推奨サブディレクトリを作成し、適切な所有者、グループおよび権限を設定します。

    # mkdir -p /mount_point/app/oracle_sw_owner
    # chown -R oracle:oinstall /mount_point/app/oracle_sw_owner
    # chmod -R 775 /mount_point/app/oracle_sw_owner
    

    たとえば、識別したマウント・ポイントが/u01で、Oracleソフトウェア所有者のユーザー名がoracleであれば、Oracleベース・ディレクトリのパスは次のようになります。

    /u01/app/oracle
    
  2. oracleユーザーの環境を構成する際に(2.6.4項を参照)、ORACLE_BASE環境変数の設定で、作成したOracleベース・ディレクトリを指定します。

2.10 Oracle Audit Vaultデータベース・ファイルのディレクトリの作成

Oracle Audit Vaultデータベース・ファイルをファイルシステムに格納する場合は、次のガイドラインを使用して格納場所を決定してください。

2.11 DISPLAY環境変数の設定

Audit Vault Serverのインストールを開始する前に、DISPLAY環境変数が適切な値に設定されていることを確認する必要があります。たとえば、Bourne、BashまたはKornシェルの場合は、次のコマンドを入力します。このコマンドで、myhost.us.oracle.comは使用するホスト名を表します。

$ DISPLAY=myhost.us.oracle.com:1.0
$ export DISPLAY

たとえば、Cシェルの場合は、次のコマンドを入力します。このコマンドで、myhost.us.oracle.comは使用するホスト名を表します。

% setenv DISPLAY myhost.us.oracle.com:1.0