コンフィグレーション ウィザードを使用した WebLogic ドメインの作成
この節では、コンフィグレーション ウィザードを使用したドメイン コンフィグレーションの概要を説明します。
注意 : この節では、ドメインについて簡単に説明します。ドメインの主な機能をすでに理解している場合は、次の節に進んでかまいません。
ドメインとは、WebLogic Server の基本的な管理単位です。ドメインは、1 つまたは複数の WebLogic Server インスタンス、および論理的に関連し、1 つの単位としてまとめて管理されるリソースとサーバで構成されます。
上の図に示したように、ドメインの基本的なインフラストラクチャは、1 つの 管理サーバと任意の管理対象サーバおよびクラスタで構成されます。これらのコンポーネントについて、次の表で説明します。
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注意 : ドメイン内のすべての管理対象サーバは、同じバージョンの WebLogic Server ソフトウェアを実行する必要があります。管理サーバは、ドメイン内の管理対象サーバと同じバージョンを実行しても、それ以降の Service Pack を実行してもかまいません。
ドメインでは、インフラストラクチャ コンポーネントのほかに、そのドメイン内のサーバ インスタンスの基本的なネットワーク コンフィグレーションが定義されます。特に、アプリケーションのデプロイメント、サポートされるアプリケーション サービス (データベースおよびメッセージ サービスなど)、セキュリティ オプション、および物理的なホスト マシンが定義されます。
ドメイン コンフィグレーション情報は、ドメイン ディレクトリのコンフィグレーション ディレクトリに格納されます。
システム管理者の役割、アプリケーションの論理的な分類、サーバの地理的な場所、規模など、特定の基準に基づいて複数のドメインをコンフィグレーションすると便利です。次の表では、最も一般的なドメイン コンフィグレーションについて簡単に説明します。
注意 : プロダクション環境では、管理対象サーバのみにアプリケーションをデプロイし、管理サーバは管理作業のみに使用することをお勧めします。
WebLogic Server ドメインの詳細については、次の URL にある『ドメインのコンフィグレーションについて』の「WebLogic Server ドメインについて」を参照してください。
http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs91/domain_config/understand_domains.html
WebLogic ベースのアプリケーションを開発して実行するには、最初にドメインを作成する必要があります。ドメインは WebLogic Server の基本的な管理単位です。図 1-2 に示すように、Configuration Wizard を使用すると、ドメインの作成または拡張のプロセスが簡略化されます。コンフィグレーション ウィザードを使用してドメインを作成または拡張するときは、ドメインに組み込む製品コンポーネント (または、要件に最も近いテンプレート) を選択し、基本的なコンフィグレーション情報を指定するだけです。指定したコンポーネント機能を含むテンプレートの設定を使用して、コンフィグレーション ウィザードでドメインが作成または拡張されます。
コンフィグレーション ウィザードを使用してドメインを作成したら、WebLogic Server インスタンスを起動し、アプリケーションの開発、テスト、またはプロダクション環境での使用を目的としてドメインで実行できます。
BEA では、テンプレートを作成するプロセスを簡略化するために、Domain Template Builder を用意しています。Domain Template Builder に表示される手順に従って、カスタム ドメインおよび拡張テンプレートを作成できます。後からコンフィグレーション ウィザードおよび WLST Offline を使用して、これらのテンプレートを基にしてドメインを作成したり拡張したりできます。Domain Template Builder の詳細については、『Domain Template Builder を使用したテンプレートの作成』(http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/common/docs91/tempbuild/index.html
) を参照してください。
注意 : WLST Offline の詳細については、『WebLogic Scripting Tool ガイド』の「WLST オフラインを使用した WebLogic ドメインの作成とコンフィグレーション」(http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs91/config_scripting/domains.html
) を参照してください。
コンフィグレーション ウィザードは、オフライン、つまりサーバが稼働していない状態でのみ使用できます。コンフィグレーション ウィザードは次の操作モードをサポートしています。
注意 : サイレント モードでのコンフィグレーション ウィザードの操作は、WebLogic Server 9.0 では非推奨です。スクリプトを使用したサイレント モード操作には、BEA WebLogic Scripting Tool を使用することをお勧めします。詳細については、次の URL にある『WebLogic Scripting Tool ガイド』を参照。http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs91/config_scripting/index.html
コンフィグレーション ウィザードを使用して作成したドメインには、次のディレクトリがあります。
autodeploy
- このディレクトリからデプロイメント サーバにアプリケーションをすばやくデプロイできます。WebLogic Server インスタンスがデプロイメント モードで実行中の場合、このディレクトリに配置したアプリケーションまたはモジュールは WebLogic Server インスタンスによって自動的にデプロイされます。bin
- 管理サーバおよび必要に応じて管理対象サーバの起動と停止に使用するスクリプトが格納されます。 config
- 次の項目を含みます。config.xml
。ドメインの名前を指定し、ドメイン内の各サーバ インスタンス、クラスタ、リソース、およびサービスのコンフィグレーション パラメータを設定します。deployments
、diagnostics
、jdbc
、jms
、lib
、nodemanager
、security
などがあります。これらのサブディレクトリには、中心的な config.xml
ファイルに参照によって取り込まれるコンフィグレーション ファイルが格納されます。 console_ext
- 管理サーバによって使用されるコンソール拡張機能が格納されます。init-info
- コンフィグレーション ウィザードでドメインの作成および拡張をサポートするために使用されるファイルが格納されます。lib
- ドメイン ライブラリが格納されます。このディレクトリに配置した jar
ファイルは、サーバ起動時にサーバ クラスパスの末尾に動的に追加されます。security
- ドメイン内のすべてのサーバの共通セキュリティ ファイルが格納されます。 servers
- ドメイン内の各サーバ用のサブディレクトリがあります。サーバ サブディレクトリには、さらにサブディレクトリがあり、ドメイン内のサーバごとに異なるディレクトリやファイルが含まれます。たとえば、bin
、cache
、data
、logs
、security
、tmp
などです。user_staged_config
- ドメインのコンフィグレーション情報がユーザによってステージングされるようにコンフィグレーションされている場合、config
ディレクトリの代わりに使用されます。つまり、管理者はこのコンフィグレーション情報を管理対象サーバにステージング (コピー) します。ドメインの作成に使用したテンプレートにアプリケーションが含まれている場合、アプリケーション ファイルはデフォルトで次のディレクトリに配置されます。
user_projects/applications/
domain_name
WebLogic ドメインのディレクトリ構造の詳細については、次の URL にある『ドメインのコンフィグレーションについて』の「ドメイン コンフィグレーション ファイル」を参照してください。
http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs91/domain_config/config_files.html
コンフィグレーション ウィザードを使用する際、「テンプレート」という用語は、ドメインの作成または拡張に必要なファイルとスクリプトを含む Java アーカイブ (JAR) ファイルを指します。コンフィグレーション ウィザードでのドメインの作成または拡張に使用できるテンプレートには、次のタイプのテンプレートがあります。
pack
コマンドを使用して既存のドメインから作成できます。作成したテンプレートは、コンフィグレーション ウィザードで新しいドメインを作成するときに使用できます。 ご購入の製品には、Base WebLogic Server ドメイン テンプレートが付属しています。このテンプレートでは、ドメイン内の中核的なリソース セットを定義しています。これには、管理サーバと基本的なコンフィグレーション情報、インフラストラクチャ コンポーネント、および一般的な環境とオペレーティング システムのオプションが含まれます。サンプル アプリケーションは含まれません。このテンプレートを使用して基本的な WebLogic Server ドメインを作成し、アプリケーションとサービスまたは追加の製品コンポーネント機能を使用して拡張できます。
pack
コマンドを使用して作成できます。 事前定義済みのドメイン テンプレートと拡張テンプレートのセットが製品とともにインストールされます。このテンプレート セットには、基本的な WebLogic Server ドメイン テンプレートと、さまざまな拡張テンプレートが含まれています。拡張テンプレートを使用すると、基本ドメインに製品コンポーネント機能とサンプルを追加できます。これらのテンプレートおよび各テンプレートの相互関係の詳細については、次の URL にある『ドメイン テンプレート リファレンス』を参照してください。
http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/common/docs91/tempref/index.html
コンフィグレーション ウィザードでは、ドメインに組み込む製品コンポーネントを選択するか、ドメイン テンプレートを使って、対象の環境で使用するドメインを手順に従って作成できます。必要に応じて、特定の環境の要件に合わせてドメインをカスタマイズすることもできます。そのために、管理対象サーバ、クラスタ、およびマシン定義を追加してコンフィグレーションしたり、事前定義済みの JDBC データ ソースや JMS ファイル ストア ディレクトリをカスタマイズしたりできます。ドメインのカスタマイズは次のような場合に行います。
図 1-3 は、コンフィグレーション ウィザードを使用して新しいドメインを作成するときに必要な手順を示しています。
事前に定義されたアプリケーションとサービスを追加するか、追加の製品コンポーネント機能を組み込んで、既存のドメインを拡張することもできます。たとえば、基本の WebLogic Server ドメインを作成した後、WebLogic Server の例を追加する場合は、WebLogic Server Examples 拡張を追加してドメインを拡張する必要があります。
コンフィグレーション ウィザードを使用してドメインを拡張するには、拡張するドメインのディレクトリを選択し、追加の製品コンポーネント機能を選択します。または、追加のアプリケーションとサービスを組み込むために使用する拡張テンプレートを指定して、既存のドメインを拡張することができます。データベースの JDBC 接続をカスタマイズしたり、JMS ファイル ストアを変更したりすることもできます。コンフィグレーション ウィザードで入力した値に基づいて、ドメイン ディレクトリにある config.xml
などのコンフィグレーション関連ファイルとその他すべての生成済みコンポーネントが、必要に応じて更新されます。
図 1-4 は、コンフィグレーション ウィザードを使用して既存のドメインを拡張するときに必要な手順を示しています。
WebLogic Server には、1 つまたは複数のドメインをインストール、コンフィグレーション、モニタ、および管理するための充実したシステム管理ツールのセットが用意されています。すでに説明したように、コンフィグレーション ウィザードを使用して、ドメインの作成および拡張を行うことができます。コンフィグレーション ウィザードは、初期ドメイン コンフィグレーションのプロセス、製品コンポーネント機能および適切に定義されたアプリケーションとサービスの既存ドメインへの追加を簡略化し、自動化するように設計されています。コンフィグレーション ウィザードはオフラインで、つまり WebLogic Server が稼働していない状態で動作します。コンフィグレーション ウィザードは、WebLogic Server インスタンスが実行中のときにオンラインで使用するようには設計されていません。また、モニタ ツールとして使用するようにも設計されていません。
次の表に示すツールを使用してドメインを作成、拡張、および管理することもできます。BEA Products のコンポーネントのコンソールを使用して、実行時コンフィグレーションを行うことも可能です。
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