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メンテナンス更新ファイルおよび Service Pack のインストール

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システム パスへのパッチの挿入

この節では、以下のトピックを取り上げます。

 


概要

クラスパス (WebLogic システム クラスパスや、WebLogic Server 上にデプロイされたアプリケーションのクラスパスなど) 内にロードされるクラスを含んだパッチをダウンロードして適用した後は、それらのクラスを適切なクラスパスに対して正しく挿入したことを必ず確認してください。挿入方法が不適切な場合はパッチが有効になりません。同様に、ライブラリ パス内に挿入されるライブラリ ファイルを含んだパッチについては、それらを使用するサーバ インスタンスやアプリケーションにおいて、ライブラリ ファイルを示すパスが正しく処理されることを必ず確認してください。

この節では、ドメインに適用したパッチを確実に有効にするために必要な、2 つの基本的な作業について説明します。

システム パスに対するパッチ追加の確認

次の条件に該当する場合は、起動スクリプトに変更を加えなくても、クラスパスおよびライブラリ パスに対するパッチがドメイン サーバの起動時に正しく取り込まれると考えられます。

それ以外の場合は、BEA Products サーバの起動時にパッチが適切なクラスパスやライブラリ パスに挿入されるようにするために必要な作業があります。追加の作業手順が必要となるのは、パッチを適用した対象 BEA Products の使用環境に次のいずれかが該当する場合です。

起動スクリプトの修正

カスタム起動スクリプトを使用しているか、パッチの適用対象を特定のドメインまたはサーバに限定する必要がある場合は、次のとおり起動スクリプトを変更する必要があります。

クラスパスやライブラリ パスに適用したパッチが正しく使用されるように起動スクリプトを変更する方法については、以下の節を参照してください。

 


Smart Update における適用済みパッチの管理方法

製品インストールに対するパッチ適用の際に Smart Update で使用される方法は一律ではなく、パッチの種類および内容に応じて異なります。パッチには、場合によって次の内容が収められています。

パッチが BEA ホーム ディレクトリに対して適用される方法と、マシン上でパッチが Smart Update により管理される方法については、以下の節を参照してください。起動スクリプトに変更を加えることが必要かどうかを判断し、必要な場合にその変更方法を認識するためには、これらを理解しておく必要があります。

起動スクリプトによる参照が必要とされるパッチ

起動スクリプトによってロードされるクラスまたはライブラリ ファイルを含んだパッチの場合、それらのクラスやファイルは Smart Update によって、マシン上にあるインストールレベルのパッチ ディレクトリに一元的に格納されます。これにより、クラスやライブラリ ファイルは、それらを使用する WebLogic Server インスタンスの起動時にロードできる状態になります。

このカテゴリに属するパッチに含まれる内容の例を次に示します。

注意 : パッチの検証および対象インストールへの適用はいつでも実行できますが、すぐに有効にならないパッチもあります。(a) クラスパスにロードされるクラス、または (b) ライブラリ パスにロードされるネイティブ ライブラリ ファイルのいずれかが含まれるパッチは、次の手順を実行するまで有効になりません。
(1) 必要に応じて、適切なドメインまたはサーバ起動スクリプトに変更を加え、パッチが参照されるようにする。
(2) 該当するドメインまたはサーバを再起動する。

すべてのドメインおよびサーバに対して自動的に有効になるパッチ

製品インストールに含まれる既存のリソースを置き換えるパッチは、適用と同時に、そのインストール全体に対して自動的に有効になります。起動スクリプトによって有効化されるのではありません。したがって、システム リソースの置き換えを含んだパッチの場合、起動スクリプトに変更を加える必要はありません。

置き換えリソースを含んだパッチの一般的な内容の例を次に示します。

注意 : 置き換えられた以前のファイルは、Smart Update では、インストールレベルのパッチ ディレクトリにある backup サブディレクトリに保管されます。置き換えを含んだパッチを後で削除すると、元のリソースが backup から復元されます (backup の詳細については、表 5-1 を参照)。ただし、最大限の安全性を確保するために、置き換えを含んだパッチを適用する前には、置き換え予定のシステム リソースすべてについて別途バックアップを作成することをお勧めします。

システム上での Smart Update によるパッチ ファイル格納方法

BEA カスタマサポートからパッチまたはパッチ セットをダウンロードすると、パッチ ダウンロード ディレクトリにパッチ コンテナが置かれます。パッチ コンテナには次の内容が収められています。

パッチ プロファイルに対してパッチが適用されると、そのパッチに含まれる個々のファイルは次のように処理されます。

インストールレベルのパッチ ディレクトリの構造

BEA Products ソフトウェアをインストールし、Smart Update を実行すると、パッチ ディレクトリ BEA_HOME\patch_weblogic910 が作成されます。このディレクトリの構造を 図 5-1 に示し、ディレクトリの内容を 表 5-1 で説明します。

図 5-1 インストールレベルのパッチ ディレクトリ

インストールレベルのパッチ ディレクトリ


 

表 5-1 インストールレベルのパッチ ディレクトリ内にあるディレクトリおよびファイル 

ディレクトリ

内容

backup

パッチ バックアップ マニフェスト (マシン上に以前のパッチ レベルを復元するために必要なファイルおよび情報を含む)。

このディレクトリは、製品インストール ディレクトリ内に配置されるファイルを含んだ、インストール全体を対象とするパッチを適用すると作成される。

patch_jars

パッチ JAR ファイル (マシン上の該当する BEA Products インストールに対して適用済みの各種パッチに収められていたクラス JAR ファイルを含む)。1 つのパッチ JAR ファイルには、次のうち 1 つまたは複数の内容が含まれる。

  • インストール内にある同名のクラスに対する置き換えとして提供されたクラス。これらのクラスは、WebLogic システム クラスパスに挿入する必要がある。

  • 何らかの BEA Products に必要なクラス。これらのクラスは、WebLogic Server 上にデプロイされたアプリケーションに挿入する必要がある。

注意 : システム リソースに対する置き換えを含んだパッチ JAR ファイルは、このディレクトリ (patch_jars) には格納されない。

注意 : 追加するパッチ JAR ファイルを格納できる十分なディスク スペースをマシン上に確保しておくことが望ましい。JAR ファイルを含んだパッチのサイズに関する詳細については、「パッチ情報の表示」を参照。

profiles

特定の製品インストールに対して作成されるすべてのパッチ プロファイルが格納されるディレクトリ。次のディレクトリを含む。

profiles\default - デフォルト パッチ プロファイル用のディレクトリ。パッチを適用すると、場合によって次のうち 1 つまたは複数のサブディレクトリが作成される。

  • profiles\default\sys_manifest_classpath - パッチ マニフェスト JAR ファイル (weblogic_patch.jar) が格納される。このファイルには、WebLogic システム クラスパスに挿入されるパッチ JAR ファイル内 (patch_jars ディレクトリ内) にあるクラスへの参照が含まれる。パッチ マニフェスト JAR ファイルについては、「パッチ マニフェスト JAR ファイル」の説明を参照 (注意 : BEA カスタマサポートから発行されるパッチの多くは、weblogic_patch.jar で参照される)。

  • profiles\default\sysext_manifest_classpath - WebLogic 拡張ディレクトリ パッチ マニフェスト JAR ファイル (weblogic_ext_patch.jar) が格納される。このファイルには、何らかの BEA Products に必要とされ、その製品に基づいて WebLogic Server 上にデプロイされるアプリケーションのクラスパスに挿入する必要があるパッチ JAR ファイル内にあるクラスへの参照が含まれる。weblogic_ext_patch.jar で参照されるパッチ JAR ファイルも、patch_jars ディレクトリに格納される。注意 : sysext_manifest_classpath ディレクトリは、WebLogic Server 9.1 では使用されない。

  • profiles\default\native - システム ライブラリ パスに挿入され、インストール内にある同名の既存ライブラリに (置き換えではなく) 取って代わる、ネイティブ ライブラリ ファイルが格納される。詳細については、「ネイティブ ライブラリ ファイル」を参照。

profiles\custom-profile-name - カスタム パッチ プロファイル用のディレクトリ。カスタム パッチ プロファイルの名前がディレクトリ名となる。カスタム パッチ プロファイルが 1 つ作成されるたびに、そのプロファイルの名前を持つディレクトリが自動的に作成される。カスタム パッチ プロファイルの各ディレクトリには、次のうち 1 つまたは複数のサブディレクトリが含まれる。

  • profiles\custom-profile-name\sys_manifest_classpath - パッチ マニフェスト JAR ファイル (weblogic_patch.jar) が格納される。このファイルには、このカスタム パッチ プロファイルを参照するサーバ インスタンスの WebLogic システム クラスパスに挿入されるパッチ JAR ファイルに収められたクラスへの参照が含まれる。

  • profiles\custom-profile-name\sysext_manifest_classpath - WebLogic 拡張ディレクトリ パッチ マニフェスト JAR ファイル (weblogic_ext_patch.jar) が格納される。このファイルには、このカスタム パッチ プロファイルを参照する WebLogic Server インスタンス上にデプロイされたアプリケーションのクラスパスに挿入される、patch_jars ディレクトリ内のパッチ JAR ファイルに収められたクラスへの参照が含まれる。注意 :sysext_manifest_classpath ディレクトリは、WebLogic Server 9.1 では使用されない。

  • profiles\custom-profile-name\native - このカスタム パッチ プロファイルを参照するサーバ インスタンスのシステム ライブラリ パスに挿入されるネイティブ ライブラリ ファイルが格納される。

registry

次の事項に関する情報が含まれる。

  • その製品インストールに適用されているすべてのパッチ

  • パッチによって置き換えられた製品インストール ファイル

この情報は、パッチ検証などの処理を実行するために Smart Update 内部で使用される。


 

パッチ マニフェスト JAR ファイル

同名の既存クラスに取って代わるためにクラスパスに挿入されるクラスを含んだパッチは、パッチ マニフェスト JAR によって参照されます。そのようなクラスを含んだパッチをパッチ プロファイルに適用すると、対象プロファイルのパッチ マニフェスト JAR ファイルが Smart Update によって自動的に更新され、新しいパッチ内にあるクラスを参照するようになります。

たとえば、パッチに CR99004.jar という JAR ファイルが含まれ、この JAR ファイルには WebLogic システムレベル クラスが収められているとします。このパッチをデフォルト パッチ プロファイルに適用すると、Smart Update により次の処理が実行されます。

  1. CR99004.jar が、BEA_HOME\patch_weblogic910\patch_jars ディレクトリに追加される。
  2. 次のファイルが (まだ存在しなければ) 作成される。
  3. BEA_HOME\patch_weblogic910\profiles\default\sys_manifest_classpath\weblogic_patch.jar

  4. weblogic_patch.jar 内に、CR99004.jar 内の WebLogic システム クラスを指す次の参照が追加される。
  5. Class-Path: C:\bea\patch_weblogic910\patch_jars\CR99004.jar

  6. BEA_HOME\patch_weblogic910\registry ディレクトリ内のパッチ レジストリ情報が更新される。

ネイティブ ライブラリ ファイル

該当する WebLogic Server インスタンスの起動時にシステム ライブラリ パスにロードされるネイティブ ライブラリ ファイルを含んだパッチの場合は、適用先パッチ プロファイルの native サブディレクトリにそれらのライブラリ ファイルが格納されます。

たとえば、サーバ起動時にシステム ライブラリ パスにロードされる libmuxer.so というファイルがパッチに含まれているとします。このパッチをデフォルト パッチ プロファイルに適用すると、Smart Update により次の処理が実行されます。

  1. 次のディレクトリが (まだ存在しなければ) 作成される。
  2. BEA_HOME\patch_weblogic910\profiles\default\native

  3. 次のディレクトリに libmuxer.so が格納される。
  4. BEA_HOME\patch_weblogic910\profiles\default\native

  5. 次のディレクトリ内で管理されているパッチ レジストリ情報が更新される。
  6. BEA_HOME\patch_weblogic910\registry

 


起動スクリプトに対するパッチの場所の指定について

WebLogic Server インスタンスの起動時、パッチが確実にクラスパスまたはシステム ライブラリ パスにロードされるようにするために、該当するサーバの起動スクリプトにパッチへのポインタを追加することが必要な場合があります。以下の節では、Smart Update の動作と、場合によって起動スクリプトに加える必要がある変更内容について説明します。

すべてのドメインおよびサーバで使用されるクラスパスとライブラリ パスを定義したデフォルト スクリプト

WebLogic Server インスタンスが起動する際には、いくつかの起動スクリプトが実行されます。そうしたスクリプトで実行される処理の 1 つに、システムで使用されるクラスパスとライブラリ パス (WebLogic システム クラスパスなど) の定義があります。デフォルトでは、すべての WebLogic Server インスタンスで、次のいずれかのスクリプト内で設定されるクラスパスおよびライブラリ パス定義が使用されます。

Windows :

WL_HOME\common\bin\commEnv.cmd

UNIX :

WL_HOME/common/bin/commEnv.sh

デフォルト パッチ パス環境変数

commEnv スクリプトには、表 5-2 で説明する環境変数のデフォルトの定義が含まれています。デフォルトでは、それらの「パッチ パス変数」はすべての WebLogic Server インスタンスが起動する際に使用され、また、クラスパスとライブラリ パスに挿入されるパッチを指しています。

表 5-2 commEnv スクリプト内で定義されるパッチ パス変数 

変数

設定される参照先

PATCH_CLASSPATH

デフォルト パッチ プロファイル用のパッチ マニフェスト JAR ファイル (weblogic_patch.jar) - この JAR ファイルには、WebLogic システム クラスパスにロードされるパッチ JAR ファイル内にあるクラスへの参照が含まれる。たとえば、Windows の場合、commEnv スクリプトのデフォルトの定義は次のとおり。

if "%PATCH_CLASSPATH%" == "" set PATCH_CLASSPATH=
%BEA_HOME%\patch_weblogic910\profiles\default
\sys_manifest_classpath\weblogic_patch.jar

注意 : BEA カスタマサポートから提供されるパッチの多くは、PATCH_CLASSPATH で参照される WebLogic システム クラスパス パッチである。

WEBLOGIC_EXTENSION_DIRS

デフォルト パッチ プロファイル用の WebLogic 拡張ディレクトリ パッチ マニフェスト JAR ファイル (weblogic_ext_patch.jar) - このファイルには、WebLogic Server 上にデプロイされたアプリケーションのクラスパスにロードされるパッチ JAR ファイル内にあるクラスへの参照が含まれる。たとえば、Windows の場合、commEnv スクリプトのデフォルトの定義は次のとおり。

if "%WEBLOGIC_EXTENSION_DIRS%" == "" set WEBLOGIC_EXTENSION_DIRS=
%BEA_HOME%\patch_weblogic901\profiles\default
\sysext_manifest_classpath

注意 : この変数は、WebLogic Server 上にデプロイされたアプリケーションのクラスパスにロードされるパッチ JAR ファイル内にあるクラスを必要とする BEA Products のために予約されている。デプロイされたアプリケーションに対するパッチ用のこのメカニズムは、現在、WebLogic Server 9.1 では使用されていない。

PATCH_LIBPATH
(UNIX の場合のみ)

デフォルト パッチ プロファイル用のインストールレベル ディレクトリにある native フォルダ - このフォルダには、LIBPATH 環境変数を介してシステム ライブラリ パスにロードされるファイルが格納される。たとえば、UNIX の場合、commEnv スクリプトのデフォルトの定義は次のとおり。

if [ "${PATCH_LIBPATH}" = "" ]; then
PATCH_LIBPATH=${BEA_HOME}/patch_weblogic901/profiles
/default/native
fi

PATCH_PATH
(Windows の場合のみ)

デフォルト パッチ プロファイル用のインストールレベル パッチ ディレクトリにある native フォルダ - このフォルダには、PATH 環境変数を介してシステム パスにロードされるファイルが格納される。たとえば、Windows の場合、commEnv スクリプトのデフォルトの定義は次のとおり。

if "%PATCH_PATH%" == ""
set PATCH_PATH=%BEA_HOME%\patch_weblogic910\profiles
\default\native


 

パッチ パス変数がクラスパスおよびライブラリ パスに挿入される際の規則

commEnv スクリプト内では、表 5-2 で説明するパッチ パス変数が、システム クラスパス、ライブラリ パスなどを設定するステートメントで必要に応じて挿入されます。たとえば、commEnv スクリプト内にある次のデフォルト ステートメントでは、WebLogic システム クラスパスを設定しています。クラスパス定義の冒頭で変数 PATCH_CLASSPATH が使用されている箇所を太字で示します。

set WEBLOGIC_CLASSPATH=%PATCH_CLASSPATH%;%JAVA_HOME%\lib\tools.jar;
%WL_HOME%\server\lib\weblogic_sp.jar;%WL_HOME%\server\lib\weblogic.jar;
%WL_HOME%\server\lib\webservices.jar

サーバの起動時に commEnv スクリプトが実行されると、これらのパッチ パス変数で参照されているクラスおよびライブラリ ファイルがロードされ、classpath ステートメントまたは path ステートメント内でそれ以降に参照されている同名のクラスまたはライブラリ ファイルに取って代わります。

図 5-2 は、PATCH_CLASSPATH 環境変数を介して参照され、commEnv スクリプトによって WebLogic システム クラスパスにロードされるクラスを含んだパッチ JAR ファイルを示しています。

図 5-2 PATCH_CLASSPATH 変数によって参照されるパッチ JAR ファイルのクラス

commEnv 内にある PATCH_CLASSPATH 環境変数の定義によりパッチ マニフェスト JAR が参照される。さらに、パッチ マニフェスト JAR によりパッチ JAR 内のシステム クラスが参照される。


 

サーバ起動スクリプト内でのパッチ パス変数の設定について

すべてのドメインおよびサーバで使用されるクラスパスとライブラリ パスを定義したデフォルト スクリプト」で説明するパッチ パス変数が、WebLogic Server インスタンスの起動に先立って実行されるスクリプト (startWebLogicsetDomainEnv など) の中で定義されている場合、該当するサーバ インスタンスに対してはそうした既存の定義内容が使用されます。commEnv 内の変数定義によって上書きされることはありません。

たとえば、MyTestDomain ドメインの setDomainEnv スクリプトに、MyTestDomain 内のすべての WebLogic Server インスタンスで使用する PATCH_CLASSPATH 変数の定義が含まれている場合、該当するサーバ インスタンスに対してはその定義内容が使用され、commEnv スクリプト内の PATCH_CLASSPATH よりも優先されます。したがって、起動スクリプト内にパッチ パス変数の定義を追加する際は、別の起動スクリプトを呼び出すステートメントよりも前に定義を記述する必要があります。

個々の WebLogic Server インスタンスそれぞれについて、必要なすべてのパッチを使用して起動が正しく行われるようにしてください。カスタマイズされた使用環境において、いずれかのパッチ パス変数を定義して WebLogic Server インスタンスを起動することが要求される場合は、次の事項を理解しておく必要があります。

起動スクリプトの実行順序

使用環境内にある各種の起動スクリプトが実行される順序と、起動スクリプトが呼び出される場所について理解していれば、どのスクリプトに変更を加える必要があるかを判断でき、対象サーバ インスタンスすべてに対する必要なパッチ パス変数すべてについて、確実に正しい値が代入されるようにすることができます。

BEA から提供されているデフォルト スクリプトで行われる処理は次のとおりです。

それらのスクリプトは、各スクリプトの内容に応じて決まる特定の順序に従って実行されます。

次の点について、表 5-3 で説明します。

デフォルト スクリプト内のパッチ パス変数定義用プレースホルダ

コンフィグレーション ウィザードを使用してドメインを作成すると、次に説明するとおり、パッチ パス変数定義用のプレースホルダを含んだスクリプトがそのドメイン用に作成されます。

 


起動スクリプトの修正

プロファイルに含まれるクラスまたはライブラリ ファイルのパッチが起動スクリプトから確実に参照されるようにするために必要な実際の作業内容は、該当するパッチについて想定される適用範囲に、ご使用の BEA Products インストールの上で動作するドメインやサーバすべてが含まれるのか、それとも、インストール内にある特定のドメインまたはサーバのみが該当するのかによって異なります。

起動スクリプトに加える変更内容の詳細については、次の表で該当する手順説明を参照してください。

内容

参照するトピック

起動スクリプト エディタの使用

起動スクリプト エディタの使用

起動スクリプトを開く方法

起動スクリプトを開く方法

すべてのドメインとサーバで使用するクラスパスおよびライブラリ パスのパッチを参照するために起動スクリプトに加える変更の内容

すべてのドメインに対するカスタム スクリプトでのパッチの参照

特定のドメインまたはサーバのみで使用するクラスパスおよびライブラリ パスのパッチを参照するために起動スクリプトに加える変更の内容

個別のドメインまたはサーバへのパッチ適用

カスタム パッチ プロファイルの作成 (ドメインまたはサーバからパッチを参照するためにスクリプトを修正する前に必要)

カスタム パッチ プロファイルの作成


 

 


起動スクリプト エディタの使用

起動スクリプト エディタは Smart Update に用意されているツールです。使用環境内で目的の起動スクリプトを見つけ、スクリプト内にパッチ パス変数の定義を作成する作業を簡単に実行できます。起動スクリプト エディタを使用するには、次の手順を実行します。

  1. Smart Update の [Target Installation] パネルで、対象インストールを選択します。
  2. [PatchesStart Script Editor] メニュー オプションを選択します。
  3. [Start Script Editor] ダイアログ ボックスで、次のとおり操作します。
    1. ドメインまたはサーバから参照するパッチ プロファイルを選択します。カスタム パッチ プロファイルを使用してパッチの適用範囲を特定のドメインまたはサーバに限定する方法の詳細については、「個別のドメインまたはサーバへのパッチ適用」を参照してください。
    2. 変更を加える起動スクリプトを開きます。
    3. 詳細については、「起動スクリプトを開く方法」を参照してください。

    4. パッチ プロファイルに、適切なパッチ パス変数定義を追加します。
    5. PATCH_CLASSPATHWEBLOGIC_EXTENSION_DIRSPATCH_LIBPATHPATCH_PATH の各変数に対して、以前に選択したパッチ プロファイル用にカスタマイズされた定義内容の候補が起動スクリプト エディタによって示されます。それらの定義内容は必要に応じて変更することもできます。

      - デフォルト パッチ プロファイル内のパッチを参照するようにスクリプトを修正する場合は、すべてのドメインに対するカスタム スクリプトでのパッチの参照」の手順説明を参照してください。

      - カスタム パッチ プロファイル内のパッチを参照するようにスクリプトを修正する場合は、個別のドメインまたはサーバへのパッチ適用」で、カスタム パッチ プロファイルの作成方法と、ドメインまたはサーバの起動スクリプトに目的のプロファイルへのポインタを追加する方法を参照してください。

    6. 起動スクリプトを保存します。

注意 : 起動スクリプト内にパッチ パス変数の定義を追加する際は、別の起動スクリプトを呼び出すステートメントよりも前に定義を記述する必要があります。たとえば、setDomainEnv スクリプトにパッチ パス変数の定義を追加する場合、commEnv スクリプトを呼び出すステートメントよりも前に追加してください。この位置関係を守れば、追加した定義がその後呼び出される別の起動スクリプト内の定義によって上書きされることはありません。

起動スクリプトの変更方法は、Smart Update によって強制または制限されることはありません。ただし、コンフィグレーション ウィザードなどの標準ツールによってデフォルトで作成される起動スクリプトの内容と、ツールによって決定されるデフォルトの格納場所にはそのまま従うことをお勧めします。そうすることで、パッチ プロファイル内のパッチを参照するよう修正が必要な適切な起動スクリプトを見つけるための機能が期待どおりに動作し、Smart Update をより便利に利用できます。

[Start Script Editor] ダイアログ ボックスはウィザードではないため、次のような処理はできません。

起動スクリプトを開く方法

[Start Script Editor] ダイアログ ボックスで [Open] をクリックして起動スクリプトを開くと、Smart Update の [Open Start Script] ダイアログ ボックスが表示されます。このダイアログ ボックスは、ドメイン、管理対象サーバ、クラスタ、または個別のサーバについて、パッチ プロファイル内のパッチへのポインタを追加する対象の起動スクリプトを見つけるために使用します。

[Start Script Editor] ダイアログ ボックスでは、表 5-4 で説明するアイコンが、修正対象の起動スクリプトが格納されているディレクトリへとユーザを誘導するために使用されています。

表 5-4 [Open Start Script] ダイアログ ボックスのアイコン

アイコン

意味

ドメイン ディレクトリ


 

ドメイン内にある bin サブディレクトリ (修正対象のスクリプトがあるデフォルトの格納場所) の親ディレクトリ。

ドメイン スクリプト サブディレクトリ (開いていない状態)


 

ドメイン サブディレクトリ (スクリプト ファイルがある bin など)。サブディレクトリを開いて中のスクリプトを表示するには、このアイコンをクリックする。


 

コンフィグレーション ウィザードによってドメイン用に作成されたディレクトリ構造を使用している場合は、Smart Update により、修正が必要な起動スクリプトのあるディレクトリへと誘導されます。

修正対象となる特定の起動スクリプトを見つける場合の詳細については、以下のトピックを参照してください。

ドメイン起動スクリプトの修正

ドメインの起動スクリプトに変更を加えるには、対象ドメインの bin サブディレクトリにある setDomainEnv または startWebLogic スクリプトを選択します。図 5-3 は、Windows システムで setDomainEnv スクリプトを選択する方法を示しています。

図 5-3 [Select Start Script] ダイアログ ボックスでの setDomainEnv スクリプトの選択

[Select Start Script] ダイアログ ボックスでの setDomainEnv スクリプトの選択


 

setDomainEnv スクリプト内には、PATCH_CLASSPATHPATCH_LIBPATHPATCH_PATH 各変数の定義用プレースホルダがあります。このスクリプトに対する修正の詳細については、次の表を参照してください。

修正に関する情報

参照するトピック

PATCH_CLASSPATHPATCH_LIBPATHPATCH_PATH 各変数の定義用プレースホルダについて

デフォルト スクリプト内のパッチ パス変数定義用プレースホルダ

このスクリプトからデフォルト パッチ プロファイル内のパッチを参照する方法について

すべてのドメインに対するカスタム スクリプトでのパッチの参照

このスクリプトからカスタム パッチ プロファイル内のパッチを参照する方法について

ドメインおよびサーバからカスタム パッチ プロファイルへの参照


 

すべての管理対象サーバまたはクラスタの起動スクリプトの修正

ドメイン内にある管理対象サーバすべて (デフォルトではクラスタ内のサーバ全てを含む) に対する起動スクリプトに変更を加えるには、対象ドメインの bin サブディレクトリにある startManagedWebLogic スクリプトを選択します。図 5-4 は、Windows システムの場合についてその方法を示しています。

図 5-4 [Select Start Script] ダイアログ ボックスでの startManagedWebLogic スクリプトの選択

[Select Start Script] ダイアログ ボックスでの startManagedWebLogic スクリプトの選択


 

このスクリプトに対する修正の詳細については、次の表を参照してください。

このスクリプトに対する修正に関する情報

参照するトピック

デフォルト パッチ プロファイル内のパッチを参照する方法について

すべてのドメインに対するカスタム スクリプトでのパッチの参照

カスタム パッチ プロファイル内のパッチを参照する方法について

ドメインおよびサーバからカスタム パッチ プロファイルへの参照


 

特定サーバの起動スクリプトの修正

ドメイン内の特定のサーバに対する起動スクリプトに変更を加えるには、対象ドメインの bin サブディレクトリにある、対象サーバ用に固有の名前を付けた起動スクリプトを選択します。図 5-5 は、Windows システムで startWebLogicServer1 スクリプトを選択する方法を示しています。

図 5-5 [Select Start Script] ダイアログ ボックスでのサーバ起動スクリプトの選択

[Select Start Script] ダイアログ ボックスでのサーバ起動スクリプトの選択


 

このスクリプトに対する修正の詳細については、次の表を参照してください。

このスクリプトに対する修正に関する情報

参照するトピック

デフォルト パッチ プロファイル内のパッチを参照する方法について

すべてのドメインに対するカスタム スクリプトでのパッチの参照

カスタム パッチ プロファイル内のパッチを参照する方法について

ドメインおよびサーバからカスタム パッチ プロファイルへの参照


 

 


すべてのドメインに対するカスタム スクリプトでのパッチの参照

クラスおよびライブラリのパッチは、実際のドメインで使用されるクラスパスおよびライブラリ パスに確実に正しくロードされるようにすることが重要です。WebLogic ドメイン内でサーバ起動や環境設定に使用している起動スクリプトから、「すべてのドメインおよびサーバで使用されるクラスパスとライブラリ パスを定義したデフォルト スクリプト」に示すとおり commEnv スクリプトの呼び出しが行われない場合は、次のようにスクリプトを修正する必要があります。

次の方法を必要に応じて使用することにより、デフォルト commEnv スクリプトに組み込まれているこの機能を、確実にカスタム スクリプトに追加してください。

ドメインおよびサーバの WebLogic システム クラスパスからデフォルト パッチ プロファイル内のパッチ JAR への参照

使用環境内にあるドメインおよびサーバが起動する際には、デフォルト パッチ プロファイルに適用されているパッチ JAR が WebLogic システム クラスパスに挿入される必要があります。パッチ JAR がクラスパスに確実に挿入されるようにするには、使用する起動スクリプトに、この節で説明するコードを必ず追加しなくてはなりません。

  1. PATCH_CLASSPATH 環境変数のデフォルトの定義を追加します。次に例を示します。
  2. if "%PATCH_CLASSPATH%" == "" set PATCH_CLASSPATH=BEA_HOME\patch_weblogic910\profiles\default\sys_manifest_classpath\weblogic_patch.jar

    このように定義すれば、個別のサーバやドメインにおいて、カスタム パッチ プロファイル内のパッチを参照する必要がある場合には定義内容を上書きできます。定義内の BEA_HOME は、BEA ホーム ディレクトリのパスを表します。この定義には絶対パスを指定することも、事前に定義した BEA_HOME などの環境変数を使用する (推奨) こともできます。

  3. WebLogic システム クラスパスを設定するステートメントの冒頭に PATCH_CLASSPATH を追加します。次に例を示します。
  4. set WEBLOGIC_CLASSPATH=
    %PATCH_CLASSPATH%;%JAVA_HOME%\lib\tools.jar;%WL_HOME%\server\lib\weblogic_sp.jar;%WL_HOME%\server\lib\weblogic.jar;%WL_HOME%\server\lib\webservices.jar

    このように定義すれば、パッチ JAR に収められたクラスが、クラスパス内でそれより後に参照されている同名の既存クラスに取って代わります。

デフォルト パッチ プロファイルに、WebLogic Server 上にデプロイされたアプリケーションで何らかの BEA Products のために使用されるパッチ JAR が含まれる場合は、次のように WEBLOGIC_EXTENSION_DIRS 環境変数を定義することで当該アプリケーション用のパッチ JAR を参照します。

if "%WEBLOGIC_EXTENSION_DIRS%" == "" set WEBLOGIC_EXTENSION_DIRS=%BEA_HOME%\patch_weblogic910\profiles\default\sysext_manifest_classpath

注意 : WEBLOGIC_EXTENSION_DIRS 変数は、WebLogic Server 上にデプロイされたアプリケーションのクラスパスにロードされるパッチ JAR ファイル内にあるクラスを必要とする BEA Products のために予約されています。デプロイされたアプリケーションに対するパッチ用のこのメカニズムは、現在、WebLogic Server 9.1 では使用されていません。

ドメインおよびサーバからデフォルト パッチ プロファイル内のライブラリ パッチへの参照

デフォルト パッチ プロファイルに適用されたネイティブ ファイルは、使用環境内にあるどのドメインまたはサーバが起動する際にも、システム ライブラリ パスに確実に挿入される必要があります。それらのファイルが正しく挿入されるようにするには、デフォルト パッチ プロファイルに適用されたパッチを参照するスクリプトに、この節で説明するコードを追加してください。

このコードをスクリプトに追加するには、次に示す適切な手順説明に従ってください。

UNIX システムの場合

  1. PATCH_CLASSPATH 環境変数のデフォルトの定義を追加します。次に例を示します。
  2. if [ "${PATCH_LIBPATH}" = "" ]; then
    PATCH_LIBPATH=${BEA_HOME}/patch_weblogic910/profiles/default/native
    fi

    このように定義すれば、個別のサーバやドメインにおいて、カスタム パッチ プロファイル内のパッチを参照する必要がある場合には定義内容を上書きできます。定義内の BEA_HOME は、BEA ホーム ディレクトリのパスを表します。この定義には絶対パスを指定することも、事前に定義した $BEA_HOME などの環境変数を使用する (推奨) こともできます。

  3. 使用するマシンのシステム ライブラリ パスを設定するステートメントの冒頭に PATCH_LIBPATH を追加します。このスクリプトを、BEA Products のサポート対象となっているすべてのオペレーティング システムおよびハードウェア アーキテクチャで使用できるようにするには、パスを設定するステートメントを各システムごとに個別に用意します。次に例を示します。
  4. if [ -n "${LIBPATH}" ]; then
    LIBPATH=${LIBPATH}:${WL_HOME}/server/native/aix/ppc
    else
    LIBPATH=${WL_HOME}/server/native/aix/ppc
    fi
    LIBPATH=${PATCH_LIBPATH}:${LIBPATH}
    export LIBPATH

    このように定義すれば、デフォルト パッチ プロファイル内のライブラリ ファイル パッチが、パス内でそれより後に参照されている同名の既存ファイルに取って代わります。

Windows システムの場合

  1. PATCH_PATH 環境変数のデフォルトの定義を追加します。次に例を示します。
  2. if "%PATCH_PATH%" == "" set PATCH_PATH=%BEA_HOME%\patch_weblogic910\profiles\default\native

    このように定義すれば、個別のサーバやドメインにおいて、カスタム パッチ プロファイル内のパッチを参照する必要がある場合には定義内容を上書きできます。定義内の BEA_HOME は、BEA ホーム ディレクトリのパスを表します。この定義には絶対パスを指定することも、事前に定義した %BEA_HOME% などの環境変数を使用する (推奨) こともできます。

  3. システム ライブラリ パスを設定するステートメントの冒頭に PATCH_PATH を追加します。このスクリプトを、BEA Products のサポート対象となっているすべてのオペレーティング システムおよびハードウェア アーキテクチャで使用できるようにするには、パスを設定するステートメントを各システムごとに個別に用意します。次に例を示します。
  4. if "%WL_USE_X86DLL%" == "true" set PATH=%PATCH_PATH%;%WL_HOME%\server\native\win\32;%WL_HOME%\server\bin;%JAVA_HOME%\jre\bin;%JAVA_HOME%\bin;%PATH%;%WL_HOME%\server\native\win\32\oci920_8

    このように定義すれば、デフォルト パッチ プロファイル内のライブラリ ファイル パッチが、パス内でそれより後に参照されている同名の既存ファイルに取って代わります。

 

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