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Oracle Collaboration Suiteデプロイメント・ガイド
10g リリース1(10.1.2)
B25656-03
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1 Oracle Collaboration Suiteアーキテクチャの理解

この章では、Oracle Collaboration Suiteアーキテクチャの概要について説明します。次のトピックがあります。

Oracle Collaboration Suiteの配置の概要

このマニュアルでは、Oracle Collaboration Suiteのアーキテクチャ、配置計画の問題および配置構成の例について説明します。また、個々のOracle Collaboration Suiteアプリケーションの配置についても説明します。このマニュアルの内容は、通信量、信頼性、スケーラビリティ、セキュリティなどの考慮事項に基づいて組織のネットワークやアーキテクチャ要件を評価し、Oracle Collaboration Suiteを最適に配置する場合に役立ちます。この目的でOracle Collaboration Suiteをインストールして管理する場合は、このマニュアルを参照してください。

Oracle Collaboration Suiteアーキテクチャ

Oracle Collaboration Suiteアーキテクチャは、Oracle Collaboration SuiteインフラストラクチャおよびOracle Collaboration Suiteアプリケーションによって構築されています。Oracle Collaboration Suiteインフラストラクチャはインフラストラクチャ層に配置され、Oracle Collaboration Suiteアプリケーションはアプリケーション層に配置されています。次の図に、Oracle Collaboration Suiteアーキテクチャの概要を示します。

図1-1 Oracle Collaboration Suiteのアーキテクチャ

Oracle Collaboration Suiteのアーキテクチャ
「図1-1 Oracle Collaboration Suiteのアーキテクチャ」の説明


注意:

必要に応じて、Identity Managementのバイナリとスキーマを別々のホームに配置できます。

Oracle Collaboration Suiteインフラストラクチャ

インフラストラクチャ層は、Oracle Collaboration Suiteの基本となる層であるため、アプリケーション層より先に配置する必要があります。インフラストラクチャ層は、アプリケーション層にID管理やメタデータ・ストレージなどのサービスを提供するコンポーネントで構成されています。インフラストラクチャ層のコンポーネントには、Oracle Collaboration SuiteデータベースおよびOracle Internet Directoryがあります。

Identity Management

Oracle Collaboration Suite Identity Managementのコンポーネントは、次のとおりです。

Oracle Collaboration Suiteデータベース

Oracle Collaboration Suiteデータベースは、Oracle Collaboration Suiteコンポーネントのスキーマ情報のリポジトリおよびOracle Application Serverリリース10.1.2.0.2のメタデータ・リポジトリとして機能するOracle10gのリレーショナル・データベース管理システム(RDBMS)です。RDBMSがインストールされる場合、そのデフォルトのバージョンは10.1.0.5となります。このデータベースには、Oracle10g Databaseを作成した後で、Oracle Collaboration Suiteコンポーネント・スキーマおよびOracle Application Server Metadata Repositoryをインストールすることもできます。この層のプロセスは、データベース・インスタンス・プロセスおよびデータベース・リスナーです。

Oracle Internet Directory(OID)

Oracle Internet Directoryは、Oracle Application ServerとOracle Collaboration Suiteのインスタンス、コンポーネントおよびインフラストラクチャに関するセキュリティ情報や管理情報が格納される汎用ディレクトリ・サービスです。認証と一元化されたユーザー・モデルを提供し、企業規模でのユーザーの作成と管理を可能にします。また、分散ユーザーやネットワーク・リソースに関する迅速な情報検索と情報の中央管理も可能にします。

Oracle Internet Directoryは、Lightweight Directory Access Protocolバージョン3(LDAP v3)とOracle 10g Databaseテクノロジの組合せです。このため、LDAP v3の特性である拡張性と軽量性に加えて、Oracle 10g Databaseの優れたパフォーマンス、セキュリティ、スケーラビリティ、耐久性および可用性機能が提供されます。

Oracle Internet Directoryのアーキテクチャ

Oracle Internet DirectoryはOracle Database 10g上のアプリケーションとして動作します。オペレーティング・システムは異なっていてもかまいません。Oracle Internet Directoryは、Oracle Net Servicesを使用してデータベースと通信します。Oracle Net Servicesは、Oracleが提供する、オペレーティング・システムに依存しないデータベース接続ソリューションです。

図1-2 Oracle Internet Directoryのアーキテクチャ

Oracle Internet Directory
「図1-2 Oracle Internet Directoryのアーキテクチャ」の説明

Oracle Internet Directoryのコンポーネント

Oracle Internet Directoryは、次のコンポーネントで構成されています。

  • Oracleディレクトリ・サーバー。複数層アーキテクチャを使用し、TCP/IPを介して直接、人員とリソースの情報に関するクライアントのリクエストに応答します。

  • Oracleディレクトリ・レプリケーション・サーバー。Oracleディレクトリ・サーバー上のLDAPデータをレプリケートします。

  • ディレクトリ管理ツールは、次のとおりです。

    • Oracle Directory Manager。Javaベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェースによってディレクトリの管理を簡素化します。

    • 各種のコマンドライン管理ツールとデータ管理ツール。これらはLDAPクライアントからコールできます。

    • Oracle Enterprise Manager Application Server Control内のディレクトリ・サーバー管理ツール。これらのツールで次の処理を実行できます。

      • ブラウザを使用したリアルタイム・イベントや統計の監視

      • 新規リポジトリ内の統計データの照合

    • Oracle Internet Directory Software Developer Kit(SDK)。

Oracle Internet Directoryの利点

Oracle Internet Directoryは、スケーラビリティ、高可用性、セキュリティおよびOracle環境との緊密な統合を提供します。次の各項で、これらの利点について説明します。

スケーラビリティ

Oracle Internet Directoryは、Oracle 10g データベースを利用して大量のディレクトリ情報をサポートします。また、共有LDAPサーバーとデータベース接続プーリングを使用し、後続の検索レスポンス時間内で千単位の同時クライアントをサポートします。

Oracle Internet Directoryには、Oracle Directory Managerなどのデータ管理ツールおよび大量のLDAPデータを操作するための様々なコマンドライン・ツールが用意されています。

高可用性

Oracle Internet Directoryは、Oracle 10g Databaseの高可用性も活用しています。Oracle 10g Databaseはディレクトリ情報を安全に格納し、Databaseのバックアップ機能を活用します。また、Oracle 10g Databaseでは、大規模なデータ・ストア、高負荷およびRACがサポートされ、システム障害からは迅速にリカバリできます。

セキュリティ

Oracle Internet Directoryは、安全で柔軟なアクセス制御を提供します。管理者は、特定のディレクトリ・オブジェクトまたはサブディレクトリのリスト全体に対するアクセス権限を付与または制限できます。さらに、Oracle Internet Directoryは、認証アクセスとデータ・プライバシについて、Secure Socket Layer(SSL)バージョン3を使用し、匿名、パスワードベース、証明書ベースという3つのレベルのユーザー認証を実装しています。

Oracle環境との統合

Oracle Internet Directoryは、Oracle Directory Integration and Provisioningプラットフォームを使用して、次の項目との間でシングル・ポイント統合を提供します。

  • Oracle環境とその他のディレクトリ(ネットワーク・オペレーティング・システム(NOS)ディレクトリなど)

  • サード・パーティのエンタープライズ・ディレクトリ

  • アプリケーション固有のユーザー・リポジトリ

Oracle Application Server Single Sign-On

Oracle Application Server Single Sign-On(OracleAS Single Sign-On)によって、ユーザーは1組のユーザー名とパスワードを使用して、Oracle Collaboration Suiteとその他のWebアプリケーションのすべての機能、アプリケーションおよびアカウントにアクセスできます。OracleAS Single Sign-On機能を使用すると、権限のあるすべてのWebアプリケーションに、各アプリケーションでユーザー名とパスワードを再入力することなくアクセスできます。ユーザー情報は、OracleAS Single Sign-OnによってOracle Internet Directoryから取得されます。

図1-3 ユーザー認証時のOracleAS Single Sign-Onの役割

OracleAS Single Sign-On
「図1-3 ユーザー認証時のOracleAS Single Sign-Onの役割」の説明

OracleAS Single Sign-Onのコンポーネント

  • Oracle Application Server Single Sign-On Server: OracleAS Single Sign-On Serverは、アプリケーションへの安全なログインを可能にします。Oracle Application Serverデータベース、Oracle HTTP ServerおよびOC4Jサーバーとともに動作します。

  • パートナ・アプリケーション: パートナ・アプリケーションは、Oracle Application Server Single Sign-Onによる認証に従って、アプリケーション自体にユーザー・アプリケーション権限があるかどうかを判別します。パートナ・アプリケーションの例には、Oracle Application Server Portal、Oracle Application Server DiscovererおよびOracleAS Single Sign-On Server自体などがあります。

  • 外部アプリケーション: 外部アプリケーションは、認証をOracleAS Single Sign-On Serverに委譲しません。かわりに、HTMLログイン・フォームが表示され、アプリケーションのユーザー名とパスワードが要求されます。外部アプリケーションでは、それぞれに一意のユーザー名とパスワードが要求される場合があります。HTMLログイン・フォームを使用する外部アプリケーションの例には、Yahoo Mailなどがあります。

  • mod_osso: Oracle Application Serverアプリケーションに認証を提供するOracle HTTP Serverモジュールです。このモジュールは、OracleAS Single Sign-Onの以前のリリースでパートナ・アプリケーションを統合するために使用されていたOracleAS Single Sign-On SDKにかわるものです。mod_ossoは、アプリケーション・サーバーに配置すると、OracleAS Single Sign-On Serverの唯一のパートナ・アプリケーションとして機能して認証プロセスを単純化します。このようにして、mod_ossoは、透過的なOracle Application Serverアプリケーションの認証を実現します。また、これらのアプリケーションの管理者は、SDKとの統合作業から解放されます。

これらのコンポーネントに加えて、Oracle Application Server Single Sign-Onは、次のコンポーネントと連携して、ユーザー資格証明を認証します。

  • Oracle Internet Directory: すべてのOracleAS Single Sign-Onユーザーとパスワード、つまり、管理者や非管理者のアカウントとパスワード用のリポジトリです。OracleAS Single Sign-On Serverは、このディレクトリ内のユーザー・エントリに基づいてユーザーを認証すると同時に、アプリケーションでのユーザー検証が可能となるユーザー属性をこのディレクトリから取得します。

  • Oracle Identity Managementインフラストラクチャ: Oracle Application Server Single Sign-Onは、統合されたインフラストラクチャのリンクの1つで、このインフラストラクチャには、Oracle Internet Directory、Oracle Directory Integration and Provisioning、Oracle Delegated Administration ServicesおよびOracle Application Server Certificate Authorityも組み込まれています。Oracle Identity Managementインフラストラクチャを構成するこれらのコンポーネントは、連携して、ユーザーのセキュリティ・ライフ・サイクルとその他のネットワーク・エンティティを効率的かつ経済的に管理します。

Delegated Administration Services(DAS)

Delegated Administration Services(DAS)の詳細は、『Oracle Collaboration Suite概要』の第2章にあるIdentity Managementコンポーネントに関する説明を参照してください。

Directory Integrated Provisioning(DIP)

Directory Integrated Provisioning(DIP)の詳細は、『Oracle Collaboration Suite概要』の第2章にあるIdentity Managementコンポーネントに関する説明を参照してください。

アプリケーション・サーバーのメタデータ

  • Oracle Internet Directory

  • OracleAS Single Sign-On

  • Portal

  • Windows

Oracle Collaboration Suiteアプリケーション・スキーマ

  • Calendar

  • Content Services

  • Mail

  • Real-Time Collaboration

  • Workspaces

Oracle Collaboration Suiteアプリケーション

アプリケーション層は、インフラストラクチャ層に依存しています。次のアプリケーションが含まれます。

  • Oracle Calendar

  • Oracle Content Services

  • Oracle Discussions

  • Oracle Mail

  • Oracle Mobile Collaboration

  • Oracle Real-Time Collaboration

  • Oracle Collaboration Suite Search

  • Oracle Voicemail & Fax

  • Oracle Workspaces

ユーザーは、Web、FAX、ボイスから、または電話やPDAなどの様々な方法を使用し、ワイヤレス・ネットワークを介してこれらのサービスにアクセスできます。

サービスおよびプロトコル

アプリケーション層で使用できるサービスおよびプロトコルは、次のとおりです。

  • 電子メール・プロトコル

    • Simple Mail Transfer Protocol(SMTP): このプロトコルは、インターネット上で電子メールを伝送する場合に使用します。

    • Post Office Protocolバージョン3(POP3): このプロトコルは、電子メールを受信する場合に使用します。POP3を使用すると、すべての電子メール・メッセージがサーバーからコンピュータにダウンロードされるため、後でオフラインでアクセスできます。電子メール・メッセージをダウンロードした後は、格納したコンピュータからのみこのメッセージにアクセスできます。

    • Internet Message Access Protocolバージョン4(IMAP4): このプロトコルは、メール・サーバーの電子メールにアクセスする場合に使用します。IMAPを使用すると、電子メールを受信したり、サーバー上で電子メールを操作できます。電子メールがサーバー上にあるため、任意のコンピュータからアクセスできます。

  • ファイル・プロトコル

    • File Transfer Protocol(FTP): このプロトコルは、あるコンピュータから別のコンピュータにファイルを送信する場合に使用します。FTPは、ファイルをインターネットにアップロードしたり、インターネットからダウンロードする場合に最も一般的に使用されているプロトコルです。

    • FTP Over SSL(FTPS): FTPに加えて、FTPSがサポートされます。Oracle Content Servicesには、暗黙的または明示的なFTPSを使用してアクセスできます。FTPSでは、暗号化されていないパスワードはネットワークを介して送信されないため、FTPパスワードは必要ありません。

    • Hypertext Transfer Protocol(HTTP): Hypertext Transfer Protocolは、Webブラウザベースのアクセスに使用されます。

    • Web-based Distributed Authoring and Versioning(WebDAV): このプロトコルは、Hypertext Transfer Protocol(HTTP)の拡張機能を集めたもので、リモート・サーバーでのファイルの編集や管理など、すべてのオーサリング操作の標準が定義されています。

  • Webプロトコル

    • Hypertext Transfer Protocol(HTTP): このプロトコルには、インターネット上でファイルを送受信するためのルールが定義されています。

    • HTTP-Secure(HTTPS): HTTPSは、Secure Socket layer(SSL)またはTransport Layer Security(TLS)上に実装されるHTTPプロトコルです。

  • 電子メール・サービス(Oracle Mail Webコンポーネント/HTTPを含む): Oracle Mail Webコンポーネントを使用すると、ユーザーは任意のWebブラウザから電子メール・メッセージにアクセスできます。

  • ファイル・サービス(Oracle Files/HTTPを含む): Oracle Content Servicesは、エンタープライズ・ファイル・サーバーのかわりになるものとして設計され、ユーザーが効率的に共同作業できるコンテンツ管理機能が追加されています (Oracle FilesはOracle Content Servicesの前の製品です)。

  • カレンダ・サービス

    • SyncML/HTTP: SyncMLは、様々なデバイスとネットワーク間でのリモート・データと個人情報の同期化を可能にするために使用する標準言語です。

    • Oracle Calendar Access Protocol(OCAP): OCAPは、Oracle Calendarアプリケーション・システム(OCAS)のセッションがOracle Calendarサーバー(OCAL)と通信するとき、およびデスクトップ・クライアントがOCALと通信するときに使用されるアクセス・プロトコルです。OCAP接続は固定で永続的であることが必要であり、ロード・バランシングできません。

  • ワイヤレス・サービス(Wireless/HTTPを含む): ワイヤレス・サービスを使用すると、従業員は、ブラウザを備えた任意のモバイル機器、電話から音声を介して、またはSMSを使用して、即時に自分の電子メールとボイスメールへのアクセス、予定の管理、コーポレート・ディレクトリの検索、共有オンライン・ファイルの参照およびFAXを行うことができます。

  • ポータル・サービス(Oracle10g Application Server Portal/HTTPを含む): Oracle10g Application Server Portalを使用すると、企業は、標準準拠、スケーラブル、セキュアかつ動的なエンタープライズ・ポータルを迅速に構築、管理および配置できます。

  • Oracle Collaboration Suite Searchサービス(Oracle UltraSearchおよびOracle Collaboration Suite Content Searchを含む): Oracle Collaboration Suite Searchは、Oracle Mail、Oracle CalendarおよびOracle Content Services間の適応性の高いオール・イン・ワンの検索ソリューションを提供します。Oracle Collaboration Suite Searchは、Oracle UltraSearchでアクセス可能なHTMLページの検索もできます。Oracle UltraSearchを使用すると、異なるソース間のテキストやマルチメディアなど、様々なコンテンツを検索できます。Ultra Searchには、Webインタフェース、Webクロール、検索管理機能およびプログラマブルJava APIがあり、エンタープライズ・ポータルおよびバーティカル・ポータルの検索アプリケーションのための統一されたインタフェースが提供されています。

  • Web Cache: Web Cacheではクライアントからのリクエストが監視され、サーバーから検索した情報が格納されます。同じ情報に対する次回のリクエストに対して、サーバーにリクエストが渡されるのではなく、メモリーからコンテンツが配信されます。これにより、アクセス時間が短縮されて効率がよくなり、全体的な通信量が削減されます。

配置構成

この項では、Oracle Collaboration Suiteの様々なタイプの配置構成の概要を説明します。後続の各章では、詳細なガイドラインについて説明します。配置の際は、最初に必ずインフラストラクチャ層を構成する必要があります。この手順を完了すると、必要なアプリケーションを1つまたは複数のアプリケーション層に構成できます。

単一コンピュータの配置

単一コンピュータの配置は、Oracle Collaboration Suiteの最も単純な配置構成です。通常は、小規模な組織で、テストやデモンストレーション用またはパイロット・プログラム用に使用します。単一コンピュータの配置は小規模な組織に対する費用効率を高くできますが、すべてのコンポーネントが同一マシンに格納されるため、高可用性は提供されません。図1-4に、Oracle Collaboration Suiteのシングルボックス配置を示します。

図1-4 単一コンピュータの配置

シングルボックス構成
「図1-4 単一コンピュータの配置」の説明

この図では、インフラストラクチャ層とアプリケーション層のコンポーネントがすべて同じコンピュータに格納されています。Oracle 10g Databaseは、すべてのインフラストラクチャ層のコンポーネントを格納し、メール・サーバーおよびファイル・サーバーとして機能します。また、Oracle Internet Directory、Oracle Application Server Single Sign-On、Delegated Administration ServicesなどのIdentity Managementコンポーネントも格納しています。アプリケーションには、Oracle Calendar、Oracle Content Services、Oracle Discussions、Oracle Mail、Oracle Mobile Collaboration、Oracle Real-Time Collaboration、Oracle Collaboration Suite Search、Oracle Voicemail & FaxおよびOracle Workspacesがあります。

別々のコンピュータのインフラストラクチャ層およびアプリケーション層

インフラストラクチャ層およびアプリケーション層は、別々のコンピュータに配置できます。これによってメンテナンス性やスケーラビリティは向上しますが、インフラストラクチャおよびアプリケーション・コンポーネントは、引続きシングル・ポイント障害になります。図1-5は、別々のコンピュータに配置されたインフラストラクチャ層およびアプリケーション層を示しています。

図1-5 別々のコンピュータでのインフラストラクチャ層およびアプリケーション層の配置

インフラストラクチャ層およびアプリケーション層
「図1-5 別々のコンピュータでのインフラストラクチャ層およびアプリケーション層の配置」の説明

図1-5は、別々のコンピュータに配置されたインフラストラクチャ層およびアプリケーション層を示しています。インフラストラクチャ層は1台のコンピュータ上にあり、その中にOracle Collaboration Suiteスキーマ、Identity ManagementのバイナリおよびOracle Application Serverメタデータ・スキーマなどのインフラストラクチャ層のコンポーネントを含むOracle Collaboration Suiteデータベースが配置されています。

アプリケーション層は別のコンピュータ上にあり、その中にはOracle Calendar、Oracle Content Services、Oracle Discussions、Oracle Mail、Oracle Mobile Collaboration、Oracle Real-Time Collaboration、Oracle Collaboration Suite Search、Oracle Voicemail & FaxおよびOracle Workspacesが含まれています。

複数のインフラストラクチャ層コンピュータ

インフラストラクチャ層は複数のコンピュータに配置でき、Oracle Calendar、Oracle Content Services、Oracle Mail、Oracle Real-Time Collaboration、Oracle Workspacesなどのアプリケーションは、そのコンピュータにあるそれぞれの専用データベースを使用します。この構成によってパフォーマンスが向上し、メンテナンスと管理が容易になります。この構成では、少なくとも1台のコンピュータにOracle Collaboration Suiteデータベースが含まれている必要があります。

図1-6 複数のインフラストラクチャ層コンピュータの配置

複数のインフラストラクチャ層
「図1-6 複数のインフラストラクチャ層コンピュータの配置」の説明

この図は、1台のコンピュータに配置されたアプリケーション層および6台のコンピュータに渡って配置されたインフラストラクチャ層を示しています。この図では、Calendarデータベース、Content Servicesデータベース、メール・ストア、インフラストラクチャ層のコンポーネントを含むOracle Collaboration Suiteデータベース、Real-Time CollaborationデータベースおよびWorkspacesリポジトリは、インフラストラクチャ層の個別のコンピュータにそれぞれ配置されています。

アプリケーション層のアプリケーションはすべて同じコンピュータ上で実行され、対応するインフラストラクチャ層の関連リポジトリ、およびOracle Collaboration Suiteデータベースと通信します。

  • Calendarデータベース: Calendarデータベースには、Oracle Calendar、Oracle Mobile Collaboration、Oracle Collaboration Suite SearchおよびOracle Workspacesがアクセスします。

  • Content Servicesデータベース: Content Servicesデータベースには、Oracle Content Services、Oracle Collaboration Suite SearchおよびOracle Workspacesがアクセスします。

  • メール・ストア: メール・ストアには、Oracle Calendar、Oracle Discussions、Oracle Mail、Oracle Mobile Collaboration、Oracle Collaboration Suite Search、Oracle Voicemail & FaxおよびOracle Workspacesがアクセスします。

  • Oracle Collaboration Suiteデータベース: Oracle Collaboration Suiteデータベースには、すべてのアプリケーションがアクセスします。

  • Real-Time Collaborationリポジトリ: Real-Time Collaborationリポジトリには、Oracle Real-Time Collaborationがアクセスします。

  • Workspacesリポジトリ: Workspacesリポジトリには、Oracle Workspacesがアクセスします。

複数のアプリケーション層コンピュータ

この項で説明するオプションを使用すると、Oracle Collaboration Suiteを複数のアプリケーション層コンピュータに配置できます。

専用アプリケーション層の配置

専用アプリケーション層の配置では、個々のOracle Collaboration Suiteアプリケーションはそれぞれ専用コンピュータに配置されています。

図1-7 専用アプリケーション層の配置

専用アプリケーション層
「図1-7 専用アプリケーション層の配置」の説明

専用アプリケーション層の配置では、特定のサーバー機能を柔軟にチューニングしたり、コンポーネントごとに実装を調整できます。コンポーネントを段階的な方法で実装する場合、および組織の予算によってリソース集中型の配置が可能な場合は、この構成が適しています。

複製したアプリケーション層

複製したアプリケーション層の配置では、すべてのOracle Collaboration Suiteアプリケーションが単一のマシンにまとめて配置され、この複製が必要な台数分配置されます。

図1-8 複製したアプリケーション層の配置

複製したアプリケーション層
「図1-8 複製したアプリケーション層の配置」の説明

複製したアプリケーション層の配置では、各コンピュータを管理する統一したプロセスが提供され、アプリケーション層の管理が簡略化されます。また、この配置構成は、1日を通じて発生するアプリケーション要求の変化に対して、すべてのアプリケーション層コンピュータで対応できるため、アプリケーション層のリソースを効率よく使用できます。たとえば、通常、1日の始めは電子メールの使用がピークであり、1日の後半を通してファイルの使用のピークが分散しています。

複数のインフラストラクチャ層コンピュータおよび複数のアプリケーション層コンピュータ

インフラストラクチャ層とアプリケーション層の両方を複数のコンピュータに配置できます。この構成を使用すると、パフォーマンスが向上し、メンテナンス性と管理を簡素化できるだけでなく、1つの障害によってOracle Collaboration Suite全体が停止する可能性を低減できます。この構成を使用すると、いずれか一方の層に障害が発生するとアプリケーションが停止する可能性はありますが、残りのOracle Collaboration Suiteは継続して稼働します。ただし、このことは、高可用性のソリューションとは異なります。

図1-9 複数のインフラストラクチャ層コンピュータおよび複数のアプリケーション層コンピュータの配置

複数のインフラストラクチャ層および複数のアプリケーション層
「図1-9 複数のインフラストラクチャ層コンピュータおよび複数のアプリケーション層コンピュータの配置」の説明

図1-9は、2台のコンピュータに配置されたアプリケーション層と6台のコンピュータに渡って配置されたインフラストラクチャ層を示しています。この図では、Oracle Calendar、Oracle Content Services、Oracle DiscussionsおよびOracle Mailは1つのアプリケーション層コンピュータで実行されますが、Oracle Mobile Collaboration、Oracle Real-Time Collaboration、Oracle Collaboration Suite SearchおよびOracle Workspacesは別のアプリケーション層コンピュータで実行されます。Calendarデータベース、Content Servicesデータベース、メール・ストア、Oracle Collaboration Suiteデータベース、Real-Time CollaborationデータベースおよびWorkspacesリポジトリは、インフラストラクチャ層の個別のコンピュータにそれぞれ配置されます。

アプリケーション層のアプリケーションはすべて、対応するインフラストラクチャ層の関連リポジトリ、およびOracle Collaboration Suiteデータベースと通信します。

  • Calendarデータベース: Calendarデータベースには、Oracle Calendar、Oracle Mobile Collaboration、Oracle Collaboration Suite SearchおよびOracle Workspacesがアクセスします。

  • Content Servicesデータベース: Content Servicesデータベースには、Oracle Content Services、Oracle Collaboration Suite SearchおよびOracle Workspacesがアクセスします。

  • メール・ストア: メール・ストアには、Oracle Calendar、Oracle Discussions、Oracle Mail、Oracle Mobile Collaboration、Oracle Collaboration Suite Search、Oracle Voicemail & FaxおよびOracle Workspacesがアクセスします。

  • インフラストラクチャ層のコンポーネントを含むOracle Collaboration Suiteデータベース: Oracle Collaboration Suiteデータベースには、すべてのアプリケーションが、ID管理およびメタデータ・リポジトリ・サービスのためにアクセスします。

  • Real-Time Collaborationリポジトリ: Real-Time Collaborationリポジトリには、Oracle Real-Time Collaborationがアクセスします。

  • Workspacesリポジトリ: Workspacesリポジトリには、Oracle Workspacesがアクセスします。

高可用性

システムまたはそのシステム内のコンポーネントの可用性は、正常に動作している時間の割合で定義されます。たとえば、1日12時間正常に動作しているシステムの可用性は50%です。可用性が99%のシステムは、平均で毎年3.65日停止します。重要なシステムは、高可用性の標準を非常に高い確率で満たし、停止時間を毎年4〜5分程度に抑える必要がある場合があります。システムの高可用性を実現するには、クラスタ化などの別の方法もあります。図1-10に、Oracle Collaboration Suiteハードウェア・コンポーネントの高可用性配置の例を示します。

図1-10 高可用性配置の例

高可用性配置
「図1-10 高可用性配置の例」の説明

この例では、ネットワーク・サービス・サーバーを含む2つの層がすべて複製されています。ロード・バランサを使用して、HTTPおよびHTTPSのトラフィックが分散されます。NATを使用して、Web Conferencingがアプリケーション層にトンネリングされます。ポート25のPostfixメール・リレーやポート80(HTTP)と443(HTTPS)のApache 2.0リバース・プロキシなど、ネットワーク・サービスはDMZ内のサーバーで実行されます。ここでは示されていませんが、ポート53ではBIND DNSサーバーが実行されています。

2番目の内部DNSサーバーを使用すると、内部ユーザーは内部サーバーに直接接続できます。外部ユーザーは、ルーティング可能なIPアドレス12.x.x.xのOracle Collaboration Suiteドメインに接続し、ファイアウォールを介してOracle Collaboration Suiteと通信するプロキシ・サーバーからコンテンツの提供を受けます。

内部ネットワークは、そのユーザーに対してオープン・アクセスを提供します。外部ネットワーク(インターネット)は、HTTPS、SMTPおよびWeb Conferencingのトラフィックにアクセスできます。Web ConferencingとFilesのトラフィックは引続き算出中で、必要に応じて帯域幅を適切に広くする必要があります。

1,000名から1,500名のユーザー・ベースに対しては、2CPUの中規模サーバーが4台使用されます。ユーザー・ベースがさらに大きい場合は、必要に応じてサイズを変更します。たとえば、ユーザー数4,000名の場合は、4CPUから8CPUで大容量RAMを搭載したサーバーをお薦めします。

クライアントは、内部ネットワークまたは論理的には物理的に離れた場所にある別個の近隣ネットワークに配置できます。