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JRockit SDK ユーザーズ ガイド

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BEA JRockit Management Console の使い方

JRockit Management Console を使用すると、BEA JRockit JVM の動作中のインスタンスをモニタおよび制御できます。JRockit Management Console は、動作中のアプリケーションの特性に関するリアルタイムの情報を提供します。この情報を開発時に使用して、アプリケーションのライフ サイクルの中でメモリを多く消費している箇所を見極めたり、デプロイ済みの環境で使用して、動作中のアプリケーション サーバのシステム状態をモニタしたりできます。

この節の内容は以下のとおりです。

 


Console のオーバーヘッド

JRockit Management Console の実行にかかる追加のコストは、動作中の BEA JRockit JVM に対して非常に小さいため、ほとんど無視することができます。このため、非常に小さいコストでアプリケーションのモニタとプロファイリングが行えます。

注意 : モニタ対象の VM と同じマシン上で Management Console を実行することはお勧めしません。モニタ対象の BEA JRockit と同じマシン上で Console を実行すると、Management Console GUI は JVM 上で動作するアプリケーションから貴重なリソースを奪うことになり、その結果パフォーマンスが低下するおそれがあります。

 


Console の起動

Management Console は次の 2 つの手順で起動します。

また、起動プロセスの一部として次のタスクを完了することもできます。

管理サーバを有効にする

Management Console を BEA JRockit JVM に接続する前に、VM 内の管理サーバを起動する必要があります。サーバはデフォルトでは無効になっています。管理サーバを有効にするには、-Xmanagement オプションを指定して BEA JRockit JVM を起動します。

-Xmanagement

管理クライアントをアタッチする

次のように、-Xmanagement と class= および classpath= パラメータを使用して、管理クラスとそのクラスパスを指定できます。

-Xmanagement:class=<classname>,classpath=<path>

このオプションを指定するとクラスがロードされ、JVM 起動時の早い段階でそのクラスの空のコンストラクタが呼び出されます。このコンストラクタから、新しいスレッドが起動され、そのスレッドで管理クライアントが実行されます。この呼び出しは BEA JRockit の起動時の早い段階で行われるため、コンストラクタから制御をすぐに戻すようにしてください。

JRockit Management Console を起動する

コマンド プロンプトから次のように入力して JRockit Management Console を起動します。

console

注意 : Management Console を起動する前に、.jar ファイルの JRE パスとクラスパスを指定する必要があります。

ランチャを使用しないで Management Console を起動することもできます。コマンドラインで、次のように入力します。

java -jar <jrockit-install-directory>/console/ManagementConsole.jar

セキュリティ マネージャでの管理サーバの起動

セキュリティ マネージャを実行している状態で (-Djava.security.manager オプション) 管理サーバを起動 (-Xmanagement オプション) しようとすると、管理サーバが起動せず、次のようなエラー メッセージが出されます。

"ERROR: failed to initialize class com.jrockit.management.rmp.
RmpSocketListener."

セキュリティ マネージャの下で管理サーバを実行するには、コード リスト 4-1 に示すテキストをポリシー ファイルに追加します。ポリシー ファイルの標準の場所は以下のとおりです。

ポリシー ファイルの詳細については、以下を参照してください。

http://java.sun.com/products/jdk/1.2/docs/guide/security/PolicyFiles.html

コード リスト 4-1 セキュリティ マネージャで管理サーバを起動するためのコード

/* --- JRockit 管理サーバのパーミッション --- */
/* TODO 1: JAVA_HOME/jre/lib でインストール済みの managementserver.jar を見つける */
grant codeBase "file:C:/MY_JAVA_HOME/jre/lib/managementserver.jar" {

/* TODO 2: コンソール クライアントに対して接続のパーミッションを追加する*/
permission java.net.SocketPermission "my-console-client.com", "accept,
resolve";
   /* TODO 3: 管理サーバに対して接続をリスンするパーミッションを
追加する*/
permission java.net.SocketPermission "localhost:7090", "listen,
resolve";
   /* 管理サーバの標準の処理に対するパーミッションを追加する*/
permission com.bea.jvm.ManagementPermission "createInstance";
permission java.lang.RuntimePermission "modifyThreadGroup";
permission java.lang.RuntimePermission "modifyThread";
permission java.lang.RuntimePermission "shutdownHooks";
permission java.util.PropertyPermission "*", "read, write";
};

ポートを設定する

-Xmanagement オプションを設定して (かつ VM が「quiet」モードで動作していない場合に) BEA JRockit JVM を起動すると、コマンドラインに続いて、管理サーバが実行中であることと使用しているポートを示す短いメッセージが出力されます。コマンドライン引数として port プロパティにポート番号を設定して、使用するポートを選択することもできます。

java -Djrockit.managementserver.port=<portnumber> 

管理サーバが接続に使用するデフォルトのポートは 7090 です。このポートはファイアウォールでブロックすることをお勧めします。ブロックしないと、権限のないユーザが管理サーバにアクセスする可能性があります。

接続数を変更する

maxconnect プロパティを設定して、サーバに許可される接続の数を変更できます。

-Djrockit.managementserver.maxconnect=<maximum number of connections>

デフォルトの制限は 4 つの同時接続です。ほとんどのユーザはこれで十分ですが、必要に応じて変更できます。接続の制限によって、侵入者によるサービス拒否 (DoS) 攻撃を防御します。

 


Console の部分

図 4-1 に示すような JRockit Management Console ウィンドウが表示されると、コンソールが起動されたことになります。


 

図 4-1 BEA JRockit JVM Management Console

BEA JRockit JVM Management Console


 

JRockit Management Console のウィンドウは 2 つのペインに分かれています。左ペインが接続ブラウザ ツリー (図 4-2) で、右ペインがタブ インタフェース ペイン (図 4-3) です。

図 4-2 接続ブラウザ

接続ブラウザ


 

図 4-3 情報タブ (管理者モード)

情報タブ (管理者モード)


 

最初のタブには、選択した BEA JRockit JVM 接続 (接続ブラウザ ペインで強調表示される) に関する情報の概要が表示されます。他のタブには、VM のさまざまな領域に関する詳細情報が含まれています。「情報タブ」を参照してください。

図 4-3 に、コンソールの管理者操作モードで利用できる情報タブを示します。コンソールが開発者モードの場合は、図 4-4 のように追加のタブが表示されます。これらの 2 つの操作モードについては「操作モードの設定」で説明します。

図 4-4 情報タブ (開発者モード)

情報タブ (開発者モード)


 

コンソールには、一部のメニュー オプションに対応するコマンド ボタンを含むツールバーがあります (図 4-5)。ツールバーのオンとオフを切り替えるには、[View] メニューで [Tool Bar] を選択します。

図 4-5 Management Console ツールバー

Management Console ツールバー


 

ウィンドウの下部にあるステータス バー (図 4-6) には、ツールバー ボタンをポイントするかメニュー項目を選択したときに、情報メッセージとヒントが表示されます。JRockit Management Console が 1 つまたは複数の BEA JRockit JVM 実装に接続しているかどうかも示されます。ステータス バーのオンとオフを切り替えるには、[View] メニューで [Status Bar] を選択します。

図 4-6 ステータス バー

ステータス バー


 

 


Console の設定

コンソールを実行したら、ニーズに合わせてコンフィグレーションする必要があります。コンソールのコンフィグレーションまたは設定には以下のタスクがあります。

接続の確立

接続ブラウザには BEA JRockit JVM への保存された接続がフォルダに整理されて表示されます。必要に応じて、ツリー構造に独自のフォルダや接続ノードを追加できます。動作中の VM に現在接続しているアクティブな接続は緑色のアイコンで示されます。切断された接続は赤いアイコンで示されます。

新しいフォルダの作成

接続ブラウザに独自のフォルダを作成するには、次の手順に従います。

  1. サブフォルダを作成する既存のフォルダ (Connections など) を選択します。
  2. 次のいずれかの方法で [New Folder] ダイアログ ボックスを開きます。
  3. [Add new folder] ダイアログ ボックス (図 4-7) が表示されます。

    図 4-7 [Add new folder] ダイアログ ボックス

    [Add new folder] ダイアログ ボックス


     
  4. テキスト フィールドに新しいフォルダの名前を入力して、[OK] をクリックします。
  5. 接続ブラウザに新しいフォルダが表示されます。

新しい接続の作成

接続ブラウザで BEA JRockit JVM への新しい接続を作成するには、次の手順に従います。

  1. 接続を配置するフォルダを選択します。
  2. 次のいずれかの方法で [New Connection] ダイアログ ボックスを開きます。
  3. [Add new connection] ダイアログ ボックス (図 4-8) が表示されます。

    図 4-8 [Add new connection] ダイアログ ボックス

    [Add new connection] ダイアログ ボックス


     
  4. 該当するテキスト フィールドにサーバの名前、ポート、および新しい接続を入力するか、デフォルト値をそのまま使用します。次に、[Connect now] を選択または選択解除して [Add Connection] をクリックします。

BEA JRockit JVM への接続

BEA JRockit に接続するには、次の手順に従います。

  1. 接続させる BEA JRockit JVM 接続、または接続のサブフォルダを選択します。既存の接続をすべて接続させるには、Connections フォルダを選択します。
  2. 次のいずれかの方法で、選択した接続を接続させます。
  3. 接続が確立されると、ステータス バーに「Connected」と表示されて、コンソール上のアクティビティが始まります。

BEA JRockit JVM との接続の切断

BEA JRockit JVM から接続を切断するには、次の手順に従います。

  1. 切断する BEA JRockit JVM 接続、または接続のサブフォルダを選択します。既存の接続をすべて切断するには、Connections フォルダを選択します。
  2. 次のいずれかの方法で、選択した接続を切断します。
  3. 接続が失われて、ステータス バーには切断したことが示されます。コンソール上のすべてのアクティビティは停止します。

接続またはフォルダの名前の変更

接続または接続のフォルダの名前を変更するには、次の手順に従います。

  1. 名前を変更する BEA JRockit JVM 接続またはフォルダを選択します。
  2. 次のいずれかの方法で、選択した接続またはフォルダの名前を変更します。
  3. [Folder properties] ダイアログ ボックス (図 4-9) が表示されます。

    図 4-9 [Folder properties] ダイアログ ボックス

    [Folder properties] ダイアログ ボックス


     
  4. テキスト フィールドに新しい名前を入力して [OK] をクリックします。

注意 : 最後のオプション (項目ラベルをクリック) を選択した場合、[Folder properties] ダイアログ ボックスは表示されません。代わりに、ラベル自体が直接編集できる状態になります。古い名前の上に新しい名前を入力してから、ラベル以外の場所をクリックするか〔Enter〕を押します。

接続またはフォルダの削除

接続またはフォルダを削除するには、次の手順に従います。

  1. 削除する接続またはサブフォルダを選択します。
  2. 次のいずれかの方法で、選択した項目を削除します。
  3. 確認のダイアログ ボックスが表示されたら [Yes] をクリックします。
  4. 選択した項目が接続ブラウザに表示されなくなります。

切断された接続の非表示

アクティブな BEA JRockit JVM 接続に関する情報だけを表示することができます。切断された接続の情報を非表示にするには、次のいずれかを実行します。

切断された接続の情報を再び表示するには、選択したときと同じように [Hide Disconnected] を選択解除するだけです。

Console の設定の有効化

この節では、JRockit Management Console のさまざまな設定を有効にする方法について説明します。

操作モードの設定

Management Console は 2 つの異なる操作モードで実行できます。

操作モードを設定するには、次の手順に従います。

  1. [Tools] メニューから、[Preferences] を選択します。
  2. [Preferences] ダイアログ ボックス (図 4-10) が表示されます。

    図 4-10 [Preferences] メニュー ([General] タブ)

    [Preferences] メニュー ([General] タブ)


     
  3. [Mode of operation] ドロップダウン コントロールをクリックして、操作モードのリストを表示します (図 4-11)。
  4. 図 4-11 操作モードのリスト

    操作モードのリスト


     
  5. 使用するモードを選択して [OK] をクリックします。
  6. 選択しているモードによって、コンソールのタブが変わります。例については図 4-3 および図 4-4 を参照してください。

その他のプリファレンスの設定

操作モードの他に、[Preferences] ダイアログ ボックスを使用して以下の設定を変更できます。

これらの値を変更するには、[Tools] メニューから [Preferences] ダイアログ ボックスを開いて、以降の節で説明する手順に進みます。

電子メールのプリファレンスの設定

電子メールのプリファレンスを変更するには、次の手順に従います。

  1. [Preferences] ダイアログ ボックスの [General] タブを表示します。
  2. 図 4-12 に示すように、該当するテキスト フィールドに新しい電子メール情報 (SMTP サーバと電子メール アドレス) を入力します。
  3. [OK] をクリックします。
  4. 図 4-12 電子メール プリファレンスのパネル


     


     

    電子メール プリファレンスのパネル


     

永続性の有効化

永続性を有効にすると、側面の値がファイルに保存され、[View] メニューを開いて [View Historical Data] を選択するとその値をチャートで確認することができます (「履歴データの表示」を参照)。

永続化する側面の選択 永続性のプリファレンスを設定するには、次の手順に従います。

  1. BEA JRockit JVM 接続を切断します。
  2. 注意 : 接続を切断しないでこのダイアログ ボックスを使用しようとすると、切断するように求められます。

    [Aspects to persist] パネルのチェックボックスが有効になります (図 4-13)。

    図 4-13 [Aspects to persist] パネル

    [Aspects to persist] パネル


     
  3. 永続化する側面を選択します。
  4. [OK] をクリックします。
  5. 選択した側面の値がファイルに保存されます。「履歴データの表示」で説明するように、その値をチャートで確認することができます。

永続ディレクトリの指定 永続化する側面のプリファレンス設定の他に、側面の値が含まれるファイルの保存先 (「永続ディレクトリ」) も指定できます。次の手順に従います。

  1. ([Persistence directory] フィールドの横の) [Choose] をクリックします。
  2. BEA JRockit JVM に接続している場合は、切断するように求められます。[Yes] をクリックして続行します。標準の [Open] ダイアログ ボックスが表示されます。

  3. ファイルを保存するディレクトリを見つけて、[Open] をクリックします。
  4. [Open] ダイアログ ボックスが閉じられ、[Preferences] ダイアログ ボックスに戻ります。

  5. [OK] をクリックします。
  6. 新しい永続ディレクトリがフィールドに表示されます。

永続化された値のログの消去 最後に、[Clear all aspect logs] をクリックすると、永続化された値のすべてのログを消去できます。確認のメッセージが表示されたら [Yes] をクリックします。このボタンをクリックして永続化された値のログをすべて削除すると、<USER_HOME>/console/data directory に格納されたその他のファイルも削除されることに注意してください。

表示のカスタマイズ

この節で説明するように、コンソールをカスタマイズして、モニタ データの表示方法を変更することができます。

ゲージとバーのカスタマイズ

ゲージとバーは、メモリとプロセッサの使用率を示すグラフィカルな手段です (図 4-14)。

図 4-14 ゲージとバー

ゲージとバー


 

チャートのカスタマイズ

Management Console には BEA JRockit に関する特定の情報を表すチャートが表示されます。

設定ファイルの使用

JRockit Management Console を編集すると、設定は consolesettings.xml というファイルに自動的に保存されます。このファイルは次のフォルダにあります。

<user home directory>¥ManagementConsole

ユーザのホーム ディレクトリの実際のパスはプラットフォームによって異なります。Windows では ¥Documents and Settings¥<username> のようになります。次に例を示します。

C:¥Documents and Settings¥jsmith¥ManagementConsole

このディレクトリに設定ファイルがない場合は、次に Management Console が閉じられるときに自動的に作成されます。

警告 : このファイルは手動で編集しないでください。編集すると、ファイルが使用できなくなり、Management Console が起動時にクラッシュする可能性があります。

設定ファイルに問題が発生した場合は、いつでもファイルを削除して、Management Console に新しいファイルを作成させることができます。

 


Console の使い方

JRockit Management Console は BEA JRockit JVM のさまざまな「側面」をモニタします。側面とは、使用されるヒープ サイズや VM のアップタイムのような測定可能なデータです。

情報タブ

情報タブは、モニタされる BEA JRockit JVM のさまざまな領域に関する詳細が含まれるページです。タブを表示するには、タブをクリックするか [View] メニューにアクセスします。この節では、JRockit Management Console で使用できるタブについて説明します。

[Overview] タブ

[Overview] タブ (図 4-19) には選択した接続の概要が表示されます。複数の接続を選択するには、表示する接続が含まれるフォルダを選択します。複数の接続が同時に表示されます。ページは、ゲージのある上部の「ダッシュボード」と、下部のチャートに分かれています。

図 4-19 [Overview] タブ

[Overview] タブ


 

[Memory] タブ

[Memory] タブ (図 4-20) にはシステムのメモリの状態に関する情報が表示されます。

図 4-20 [Memory] タブ

[Memory] タブ


 

ページの下部には以下のテキスト情報が表示されます (KB 単位)。

[Memory] タブの機能

[Memory] タブから JVM のメモリに関する特定の側面を操作できます。その側面について表 4-1 で説明します。

表 4-1 [Memory] タブの機能

機能

手順

ヒープ サイズの操作

以下のいずれかの方法でヒープ サイズを操作できます。

  • ヒープのサイズをリセットするには、[New heap size] フィールドに数値を入力して [Suggest heap size] をクリックします。ここで設定するサイズは MB 単位であり、最大ヒープ サイズではなく現在のヒープ サイズを表します。

  • 現在のサイズを最大ヒープ サイズにするには、[lock heapsize] をクリックします。

ヒープ サイズの要件については、「ヒープ サイズの設定」を参照してください。

ナーサリ サイズの変更

世代別ガベージ コレクタを実行している場合、[New nursery size] に新しい値を入力して [Suggest nursery size] をクリックすると、ナーサリのサイズをリセットできます。

注意 : 世代別コレクタを実行していない場合、これらのフィールドは無効になります。

ナーサリ サイズの要件については、「ナーサリのサイズの設定」を参照してください。

メモリ不足エラーの際の終了

メモリ不足 (OOM) エラーが発生したら JVM を終了する場合は、[exit on OOM] を選択します。


 

[Processor] タブ

[Processor] タブ (図 4-21) にはシステムのプロセッサの状態に関する情報が表示されます。

図 4-21 [Processor] タブ

[Processor] タブ


 

ページの下部には以下のテキスト情報が表示されます。

[System] タブ

[System] タブ (図 4-22) にはシステムの状態に関するさまざまな情報が表示されます。

図 4-22 [System] タブ

[System] タブ


 

[Notification] タブ

[Notification] タブ (図 4-23) を使用して、特定のイベントが発生した場合にユーザに通知する警告を定義します。さまざまなトリガに基づき、オプションで制約を指定して、所定の通知で警告する独自の通知ルールを作成することができます。この節では、これらのルールの作成方法について説明します。

カスタム アクションおよび制約の作成

Management Console を初めて起動すると、consolesettings.xml というファイルが <user_home> ディレクトリの ¥ManagementConsole ディレクトリに作成されます。このファイルの中に、デフォルトのアクションと制約のエントリがあります。カスタムのアクションと制約をプログラムで作成することができます。それらもこのファイルに格納されます。追加されたアクションと制約は Management Console の [Notification] タブに表示されます。カスタム通知アクションおよび制約の作成の詳細については、「カスタム通知アクションおよび制約の追加」を参照してください。

図 4-23 [Notification] タブ (ルールが定義されていない状態)

[Notification] タブ (ルールが定義されていない状態)


 

通知トリガとして、BEA JRockit JVM への接続が失われた場合や、ある側面が特定の値に達した場合 (たとえば、メモリ使用率が 95% に達した場合) などの特定のイベントを指定できます。通知の制約では、たとえば夜間や特定の日付に警告を送信しないようにして、ルールがトリガされる時間を制限することができます。

通知アクションは、ユーザへのアラートの通知方法です。以下のいずれかになります。

新しいルールの作成

ルールは通知をいつどのように発行するかを決定するものです。新しいルールを作成するには、次の手順に従います。

  1. [New Rule] をクリックします。
  2. [Name your rule] ダイアログ ボックスが表示されます (図 4-24)。

    図 4-24 [Name your rule] ダイアログ ボックス

    [Name your rule] ダイアログ ボックス


     
  3. [Rule name:] に新しいルールの名前を入力して、[Next] をクリックします。
  4. [Select trigger] ダイアログ ボックス (図 4-25) が表示されます。

    図 4-25 [Select trigger] ダイアログ ボックス

    [Select trigger] ダイアログ ボックス


     
  5. トリガを選択します (右側のパネルで個々のトリガが説明されます)。
  6. 必要な場合は、トリガのリストの下にあるテキスト ボックスにしきい値を入力します (図 4-26)。このボックスの表示は、選択したトリガのタイプによって [Min value] または [Max value] になります。
  7. 図 4-26 トリガのしきい値とオプションのテキスト ボックス

    トリガのしきい値とオプションのテキスト ボックス


     
  8. [Option] タブの下で追加のオプションを選択します。たとえば、図 4-26 では、側面の値がどのように変化した場合に通知をトリガするのかを選択する必要があります。
  9. [Next] をクリックします。
  10. [Select action] ダイアログ ボックス (図 4-27) が表示されます。

    図 4-27 [Select action] ダイアログ ボックス

    [Select action] ダイアログ ボックス


     
  11. アクションを選択し、必要に応じて設定データを入力します。
  12. 必要に応じて、ルールに制約を追加します。この手順は省略可能です。制約を追加しない場合は手順 9 に進みます。
    1. [Next] をクリックします。
    2. [Select constraint(s)] ダイアログ ボックス (図 4-28) が表示されます。

      図 4-28 [Select constraint(s)] ダイアログ ボックス

      [Select constraint(s)] ダイアログ ボックス


       
    3. 制約を選択して、[Add] をクリックします
    4. 図 4-29 のように、制約名が追加リストに表示されます。

      図 4-29 制約を追加した状態

      制約を追加した状態


       
    5. 制約リストの下のテキスト フィールドに制約の設定を入力します (図 4-29)。
  13. [Finish] をクリックします。
  14. 図 4-30 のように、新しいルールが [Notification] タブの [All available rules] リストに表示されます。

    図 4-30 リストに表示された新しいルール

    リストに表示された新しいルール


     
  15. BEA JRockit JVM へのルールの追加」で説明するように、接続にルールを追加します。

ルールの編集

ルールを編集するには、次の手順に従います。

  1. [Available rules] リストで、編集するルールを選択して [Edit Rule] をクリックします。
  2. ルールの名前を確認し、必要に応じて編集して、[Next] をクリックします。
  3. トリガとトリガ設定を確認し、必要に応じて編集して、[Next] をクリックします。
  4. アクションとアクション設定を確認し、必要に応じて編集します。
  5. ルールの編集を続ける場合は、次の手順に従います (省略可能。制約を追加しない場合は手順 6 に進みます)。
    1. [Next] をクリックします。
    2. 制約と制約設定を確認します。必要に応じて編集します。
  6. ルールの編集を終了するには、[Finish] をクリックします。

BEA JRockit JVM へのルールの追加

BEA JRockit JVM にルールを追加するには、次の手順に従います。

  1. [Available rules] リストで、追加するルールを選択します。
  2. [Add to JRockit] をクリックします。
  3. 図 4-31 のように、[Active rules for this connection] リストにルールが表示されます。

    図 4-31 [Active rules for this connection] リストに追加されたルール

    [Active rules for this connection] リストに追加されたルール


     

BEA JRockit JVM からのルールの削除

BEA JRockit JVM からルールを削除するには、次の手順に従います。

  1. [Active rules for this connection] リストで、削除するルールを選択します。
  2. [Remove from JRockit] をクリックします。
  3. これで [Active rules for this connection] リストからルールが削除されます。

ルールの削除

[Available rules] リストからルールを削除するには、次の手順に従います。

  1. 削除するルールを選択します。
  2. [Remove Rule] をクリックします。
  3. 削除を確認するダイアログ ボックスが表示されます。

  4. [Yes] をクリックします。
  5. [Available rules] リストからルールが消えます。

履歴データの表示

履歴データ ウィンドウには側面の履歴データを参照できるチャートが表示されます。BEA JRockit JVM で動作するサーバの負荷のピーク時を見つけるなどの、時間による傾向を観察するのに便利です。

このウィンドウを開くには、次の手順に従います。

  1. データを表示する接続を選択します。
  2. [View] メニューを開いて [View Historical Data] を選択します。
  3. 図 4-32 のように、履歴データを表示する側面を選択します。
  4. 図 4-32 履歴データのサブメニューが開かれた [View] メニュー

    履歴データのサブメニューが開かれた [View] メニュー


     

    選択した側面の履歴データが表示されます (図 4-33)。

    図 4-33 履歴データ ([CPU Load] を選択した場合)

    履歴データ ([CPU Load] を選択した場合)


     
  5. 時間を移動するには、[Chart display settings] で矢印を使用するか開始時刻を変更します。

履歴データを表示するには、BEA JRockit JVM の側面のデータが永続化されている (ファイルに書き込まれている) 必要があります。永続性を有効または無効にするには、「その他のプリファレンスの設定」を参照してください。以下の側面は永続化できるため、その履歴データを表示することができます。

接続中の接続でデータが作成されたら、すぐに履歴の観察に使用できます。

Console の高度な機能の使い方

この節では、Management Console のより高度な機能について説明します。一部の機能は開発者モードで実行している場合にのみ使用できます。「操作モードの設定」を参照してください。

スレッド スタック ダンプの表示

スタック ダンプには BEA JRockit JVM で動作中のすべてのスレッドのリストが含まれています。メソッド呼び出しのスタック トレースがスレッドごとに示されます。

スレッド スタック ダンプを表示するには、[Tool] メニューを開いて [View Thread Stack Dump] を選択します。スタック ダンプを含むダイアログ ボックスが表示されます (図 4-34)。

図 4-34 [Thread Stack Dump] ダイアログ ボックス

[Thread Stack Dump] ダイアログ ボックス


 

[Method Profiler] タブ

注意 : この節で説明するタスクを実行する前に、開発者操作モードにする必要があります。開発者操作モードに入る方法については、「操作モードの設定」を参照してください。

[Method Profiler] タブを使用すると、開発者はメソッドの実行を非侵入的な方法でモニタできます。メソッド プロファイラは、選択したメソッドにかかった平均時間とメソッドの呼び出し回数に関する情報を提供します。

メソッド テンプレートはさまざまな接続で再利用できるメソッドの集合です。デフォルトのテンプレートがありますが、新しいテンプレートを作成することもできます。

テンプレートへのメソッドの追加

テンプレートにメソッドを追加するには、次の手順に従います。

  1. 変更するテンプレートを [Select template] リストから選択します。
  2. [Add Method] をクリックします。
  3. [Enter class name] ダイアログ ボックス (図 4-35) が表示されます。

    図 4-35 [Enter class name] ダイアログ ボックス

    [Enter class name] ダイアログ ボックス


     
  4. テキスト フィールドに完全修飾クラス名 (java.util.Vector など) を入力して、[Next] をクリックします。
  5. [Select method] ダイアログ ボックス (図 4-36) が表示されます。

    図 4-36 [Select method] ダイアログ ボックス

    [Select method] ダイアログ ボックス


     
  6. テンプレートに追加するメソッドを選択して、[Finish] をクリックします。
  7. 図 4-37 のように、メソッド名が [Method profiling information] リストに表示されます。

    図 4-37 メソッドが追加された [Method profiling information] リスト

    メソッドが追加された [Method profiling information] リスト


     

テンプレートからのメソッドの削除

テンプレートからメソッドを削除するには、次の手順に従います。

  1. [Select template] リストから、変更するテンプレートを選択します。
  2. [Method profiling information] リストから、テンプレートから削除するメソッドを選択します。
  3. [Remove Method] をクリックします。

新しいテンプレートの作成

新しいテンプレートを作成するには、次の手順に従います。

  1. [New template] をクリックします。
  2. [New template] ダイアログ ボックスが表示されます (図 4-38)。

    図 4-38 [New template] ダイアログ ボックス

    [New template] ダイアログ ボックス


     
  3. テキスト フィールドに新しいテンプレートの名前を入力します。
  4. [OK] をクリックします。

テンプレートの削除

テンプレートを削除するには、次の手順に従います。

  1. [Select template] リストから、削除するテンプレートを選択します。
  2. [Remove] をクリックします。
  3. 確認のダイアログ ボックスが表示されます。

  4. [Yes] をクリックします。

メソッド プロファイリングの開始と停止

メソッド プロファイリングを開始するには、次の手順に従います。

  1. [Select template] リストから、開始するテンプレートを選択します。
  2. [Start] または [Stop] をクリックします。
  3. [Start] を選択すると、メソッド呼び出しが行われるたびに、各メソッドの [Invocation count] セルの数字が増加します。[Stop] を選択すると、このアクティビティが停止します。

メソッド プロファイリングの設定

メソッド プロファイリングのテーブルでは、メソッドの完全修飾名または短い名前の使用を切り替えることができます。

[Exception Count] タブ

[Exception Count] タブ (図 4-39) には、BEA JRockit JVM で送出される例外が表示されます。特定のタイプの例外が送出された回数をカウントします。

図 4-39 [Exception Count] タブ

[Exception Count] タブ


 

例外の追加

観察する例外を追加するには、次の手順に従います。

  1. ページ上部のテキスト フィールドに例外の完全修飾名 (「java.io.IOException」など) を入力します。
  2. [Include all subclasses] チェックボックスを選択または選択解除して、その例外のすべてのサブクラスをカウントに含めるかどうかを選択します。
  3. [Add] をクリックします。BEA JRockit JVM にロードされている java.lang.Throwable のサブクラスのみを追加できます。また、接続中にのみ例外を追加できます。

例外がテーブルに表示されます。

例外カウントの開始、停止、削除

例外カウントを開始するには、[Start] をクリックします。カウントされている例外の名前の横に結果が表示されます。同様に、例外カウントを停止するには、[Stop] をクリックします。

カウントから例外を削除するには、削除する例外を選択して、[Remove] をクリックします。

 


JRA 記録の作成

BEA JRockit Runtime Analyzer (JRA) は、BEA JRockit とその上で動作する Java アプリケーションの実行時のパフォーマンスを分析するために、BEA JRockit の開発チームが使用する内部的なツールです。このツールは、開発チームにとって有用な BEA JRockit の内部情報と、BEA JRockit 全般に関する情報を提供します。

JRA の一部は JVM の内部で動作し、JVM とそこで現在動作している Java アプリケーションについての情報を記録します。このツールは、以降の手順で説明するように、Management Console から起動します。記録された情報はファイルに保存され、アナライザ ツールで表示できます。『JRockit Runtime Analyzer ユーザーズ ガイド』を参照してください。

記録を作成するには、次の手順に従います。

注意 : 記録を作成するには、開発者モードで作業している必要があります。「操作モードの設定」を参照してください。

  1. [Plugins] メニューを開いて [Make a JRA recording] を選択します。
  2. [JRA Recording] ダイアログ ボックス (図 4-40) が表示されます。

    図 4-40 [JRA Recording] ダイアログ ボックス

    [JRA Recording] ダイアログ ボックス


     
  3. [Filename] フィールドに、記録のわかりやすい名前を入力します。この名前でファイルが保存されます。
  4. 必要に応じて、以下の項目も選択できます。

  5. [Start recording] をクリックします。
  6. [JRA Recording Progress] ダイアログ ボックス (図 4-41) が表示されます。

    図 4-41 [JRA Recording Progress] ボックス


     

    [JRA Recording Progress] ボックス


     
  7. 記録が完了したら、[Done] をクリックします。

記録を表示するには、アナライザ ツールを使用します。「BEA JRockit Runtime Analyzer の使い方」を参照してください。

 


Console の終了

JRockit Management Console を閉じてすべての接続を切断するには、[Connection] メニューを開いて [Exit] を選択します。ウィンドウ右上隅の [X] をクリックして JRockit Management Console を閉じることもできます。

 


ヘッドレス モードでのコンソールの起動と実行

Management Console とその通知サブシステムやユーザ アクションを、GUI を使用せずに実行することができます。この機能をコンソールの「ヘッドレス」モードでの実行といいます。この機能により、BEA JRockit の実行に必要となるシステム オーバーヘッドを大幅に削減できます。

ヘッドレスな Management Console の実行

コンソールをヘッドレス モードで実行するには、通常と同じようにコンソールを起動しますが (詳細については、「JRockit Management Console を起動する」を参照)、次の例のように -headless コマンドライン オプションを追加します。

java -jar ManagementConsole.jar -headless

表 4-2 で説明するコマンドライン オプションを使用すると、コンソールの動作を制御できます。

実行中、Management Console に関連付けられている JVM の統計をファイルに書き込むことができます。統計が書き込まれるファイルは、データを保存、つまり「永続化」することにした場合にのみ自動的に作成されます。ファイルは選択したディレクトリに作成されます。

XML 設定ファイルに設定することで、どの JVM 統計を永続化するかを制御できます。GUI モードで実行しているときにアプリケーションを終了すると、設定ファイルが自動的に作成されます。デフォルトでは、<user_home>/.ManagementConsole ディレクトリに作成されます。-settings コマンドライン オプションを使用すると、別の場所にある別のファイルを指定できます。

コマンドライン オプションによるコンソールの制御

表 4-2 に示すコマンドライン オプションを使用して、ヘッドレスな Management Console の動作を制御できます。

注意 : これらのオプションはコンソールをヘッドレス モードで実行する場合だけでなく、GUI で実行するときにも有効です。

表 4-2 ヘッドレスな Management Console のコマンドライン オプション

オプション

説明

-headless

コンソールをヘッドレス モードで起動します (GUI 関連のクラスはロードしません)。

-settings <settings file>

指定された設定ファイルを使用してコンソールを起動します。GUI モードで起動していてこのファイルが存在しない場合は、アプリケーションを閉じるとファイルが作成されます。

-connectall

設定ファイルで使用可能になっているすべての接続 (つまり、GUI を使用して以前に追加されたもの) を確立します。

-connect <connection 1> <connection 2> <...>

GUI を使用して以前に追加され、設定ファイルで使用可能になっている指定の接続に接続します。

-autoconnect

JDP が有効な管理サーバを実行している JVM に自動的に接続します。

-uptime <time in seconds>

指定された時間だけコンソールを実行した後、自動的に停止します。

-jrockitmode

コンソールを JRockit モードで起動します (GUI モードでのみ有効)。

-useraction <name> <delay in seconds> <period (optional)>

指定した遅延時間の経過後に、指定したユーザ アクションを実行します。間隔を指定しない場合、アクションは 1 回実行されます。間隔を指定した場合は、<period (optional)> 秒ごとに実行されます。

-version

Management Console のバージョンを出力してから終了します。

以下に例を示します。

java -jar ManagementConsole.jar -headless -settings
C:¥Headless¥consolesettings.xml -connectall -autoconnect -uptime 3600
-useraction ctrlbreak 30 60

この例では次のような動作になります。

特定の接続に以前に追加された通知ルールはすべてアクティブになります。

 

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