Oracle Fail Safeでは、クラスタ内のリソースを管理する手段として、Oracle Fail Safe Managerに加えて、コマンドライン・インタフェースが提供されます。たとえば、「コマンド プロンプト」でFSCMD
コマンドを使用して、Oracleリソースをオフライン化、またはオンライン化できます。FSCMD
コマンドは、バッチ・プログラムやスクリプトからOracleリソースを管理する場合に便利です。
Oracle Fail Safe Managerを使用して実行する操作のうちの多くは、FSCMD
コマンドによって実行できます。FSCMD
コマンドを実行するには、Oracle_Home
\fs\fsmgr\bin\fscmd.exe
のように、Oracle Fail Safe Managerがインストールされている場所から始まるフルパスを指定してください。
このパスを使用しない場合、Windowsオペレーティング・システムではFSCMD
コマンドを検出できません。
書式
FSCMD
コマンドを使用するときは、「コマンド プロンプト」ウィンドウを開いて、次の構文を使用したFSCMD
コマンドラインを入力します。
FSCMD action name /CLUSTER=cluster-name [qualifier]
注意: わかりやすくするために、この章では構文および例からFSCMD へのフルパス表記を省略します。 |
説明
Oracle Fail Safeには、Oracle Fail Safe Managerで実行可能な機能の多くをスクリプトで使用できるFSCMD
コマンドがあります。たとえば、FSCMD
コマンドを使用して、夜間バックアップを実行する前にクラスタ・リソースをオフライン化し、バックアップの完了後にリソースを再びオンライン化できます。
FSCMD
コマンドは、Oracle Fail Safe Managerがインストールされているシステムで実行できます。(FSCMD
ソフトウェアはOracle Fail Safe Managerのコンポーネントです。)
FSCMD
コマンドを実行する場合、長時間実行する操作の結果を取得するログ・ファイルの名前を指定できます。
次に、コマンド・パラメータの一部を示します。
グループ、リソースまたはクラスタに適用できるアクションを指定します。次の表で説明するアクションのいずれかを使用します。
action
パラメータは、FSCMD
コマンドに対する第1引数としてください。
FSCMD
コマンドで処理するリソースまたはグループの名前です。たとえば、PERSONNEL.world
は、シングルインスタンス・データベースのリソースとして有効な名前です。
このパラメータは、actionパラメータの次に指定します。nameパラメータは、DUMPCLUSTER
、VERIFYALLGROUPS
およびVERIFYCLUSTER
を除くすべてのFSCMD
コマンド・アクションに必要です。
コマンド修飾子
次に、コマンド修飾子の一部を示します。
FSCMD
コマンドを実行するクラスタの名前を指定します。
この修飾子は必須です。
DUMPCLUSTER
、MOVEGROUP
、VERIFYCLUSTER
、VERIFYGROUP
またはVERIFYALLGROUPS
アクションの実行時に、長時間実行する操作によって作成されるログ・ファイルの場所を指定します。LOGFILE
修飾子を指定しない場合、ログ・ファイルは現行の出力デバイス(一般的にはシステム・コンソール)に書き込まれます。
この修飾子はオプションです。
この修飾子は、MOVEGROUP
アクションでのグループの移動先ノード名を指定するときにかぎり使用します。
この修飾子は、MOVEGROUP
アクションを指定する場合に必要となります。
この修飾子は、OFFLINERESOURCE
アクションを指定して、Oracleリソースをオフラインにする場合にかぎり使用します。Oracleデータベースでは、次の表にあげたオフライン・オプション・モードの1つを指定しないと、そのリソースはimmediateモード(デフォルト)でオフライン化されます。
次に、FSCMD
コマンドの使用上の注意の一部を示します。
actionパラメータは、FSCMD
コマンドに対する第1引数としてください。
これらの修飾子(ドメイン、ユーザー名およびパスワード)のうち1つでも入力されない修飾子があると、構文エラーが発生します。これらの修飾子は、Oracle Services for MSCSに接続するためのアカウント情報となります。
パーサーでは、コマンド修飾子間のデリミタとしてスラッシュ(/)またはハイフン(-)が認められます。
コマンド・パラメータおよび修飾子では大文字と小文字が区別されないため、大文字か小文字のいずれか、または両方を組み合せて使用できます。
グループ名またはリソース名に1つ以上の空白が含まれる場合は、引用符で囲み、たとえば、"Sales Group"のようにします。
コマンドラインでは、修飾子の間に空白を入力する必要があります。次に、コマンドラインにおける空白の正しい使用例と誤った使用例を示します。
正しい使用例:
FSCMD onlineresource salesdb.world /CLUSTER=ntclu-160 /USER=smith /PWD=smithpwd /DOMAIN=newengland
誤用例:
FSCMD onlineresource salesdb.world/CLUSTER=ntclu-160/USER=smith/PWD=smithpwd/DOMAIN=newengland Invalid number of parameters.
Windowsイベント ビューアを使用して、FSCMD
コマンドの処理中に報告されていたイベントを表示します。
次に、コマンド例の一部を示します。
例1
次のコマンドでは、salesdb.world
というOracleデータベースをオンライン化します。
FSCMD onlineresource salesdb.world /CLUSTER=ntclu-160 /USER=smith /PWD=smithpwd /DOMAIN=newengland
例2
次のコマンドでは、クラスタNTCLU-160上のすべてのグループが検証され、検証操作の出力がログ・ファイルC:\temp\fsverify.log
に書き込まれます。
FSCMD verifyallgroups /LOGFILE=c:\temp\fsverify.log /CLUSTER=ntclu-160 /USER=smith /PWD=smithpwd /DOMAIN=ORANT
例3
次のコマンドでは、Oracleデータベースを即時にオフライン化します。
FSCMD offlineresource salesdb.world /CLUSTER=NTCLU-160 /USER=smith /PWD=smithpwd /DOMAIN=ORANT /OFFLINE=immediate
例4
次のコマンドでは、Disk Group 1というグループをオフライン化します。
FSCMD offlinegroup "Disk Group 1" /CLUSTER=ntclu-160 /USER=smith /PWD=smithpwd /DOMAIN=ORANT
スクリプトの例
次のスクリプトでは、db.world
というデータベースのオンライン・バックアップを実行します。この例では、db.worldデータベースがFS Group1というグループに含まれ、NTCLU-141ノード上のNTCLU-140というクラスタで稼働しているものとします。(データベースのクローズ状態のバックアップを実行する場合、Is Aliveポーリングを使用不可にしてから使用可能にするのではなく、FSCMD offlineresource
コマンドを使用して手順2でデータベース・リソースをオフライン化し、FSCMD onlineresource
コマンドを使用して手順6でオンライン化します。)
REM This script shows an example of performing an online backup operation REM on an Oracle Fail Safe database. REM REM 1. Move the group FS Group1 that contains the database to the node on REM which the backup operation will run. Alternatively, you can create file REM share resources for each cluster disk to let the backup software REM access the drives through a virtual server address regardless of which REM cluster node currently owns them. fscmd movegroup "FS Group1" /node=NTCLU-141 /cluster=NTCLU-140 /USER=smith /PWD=smithpwd /DOMAIN=ORANT REM 2. Disable Is Alive polling for the database resource. This step allows REM you to keep the database online during the backup operation, but REM prevents Oracle Fail Safe from attempting to fail over the database REM during the online backup operation. fscmd disableisalive db.world /cluster=NTCLU-140 /USER=smith /PWD=smithpwd /DOMAIN=ORANT REM 3. Mark the beginning of the online tablespace backup operation for each REM database tablespace. In this example there are two tablespaces, users REM and indx. The database must be in ARCHIVELOG mode to back up the REM tablespaces. (If you use Recovery Manager (RMAN) for the online REM backup operation, you are not required to mark the beginning REM and end of the tablespace backup operations, nor would you copy the REM database files, as described in steps 3, 4, and 5.) SQL> ALTER TABLESPACE users BEGIN BACKUP; SQL> ALTER TABLESPACE indx BEGIN BACKUP; REM 4. When you are certain the previous operations have completed, begin the REM backup operation. As an example, the following lines REM copy files using the copy function of the operating system. copy e:\ofsdb\ofs1\data\*.ora e:\backup\data copy e:\ofsdb\ofs1\log\*.ora e:\backup\log copy e:\ofsdb\ofs1\param\*.ora e:\backup\param REM 5. Indicate the end of the online backup operation of each tablespace. SQL> ALTER TABLESPACE users END BACKUP; SQL> ALTER TABLESPACE indx END BACKUP; REM 6. Reenable Is Alive polling for the database resource. fscmd enableisalive db.world /cluster=ntclu-140 /USER=smith /PWD=smithpwd /DOMAIN=ORANT REM The backup operation is complete.