6 Oracleソフトウェアの削除
この章では、Oracleホーム・ディレクトリからすべてのOracleデータベース、インスタンスおよびソフトウェアを完全に削除する方法について説明します。この章の内容は、次のとおりです。
概要
すべてのOracleデータベース、インスタンスおよびソフトウェアをOracleホーム・ディレクトリから完全に削除するには、次のタスクを実行する必要があります。
- Oracleホームに関連付けられているすべてのインスタンスの識別
- データベースおよび自動ストレージ管理インスタンスの削除
- プロセスの停止
- Oracle Cluster Synchronization Servicesデーモンの再構成(必要な場合)
- Oracleソフトウェアの削除
すべてのインスタンスの識別
削除するOracleホームに関連付けられているインスタンスをすべて識別するには、次のコマンドを入力します。
$ more /etc/oratab
このコマンドの出力には、次のようなエントリが含まれます。
+ASM:/u01/app/oracle/product/10.2.0/db_1:N
CUST:/u01/app/oracle/product/10.2.0/db_1:N
これらのエントリは、+ASM
自動ストレージ・マネージャ・インスタンスとCUST
Oracleデータベース・インスタンスが、/u01/app/oracle/product/10.2.0/db_1
Oracleホーム・ディレクトリに関連付けられていることを示します。
Oracle Databaseの削除
Oracle Databaseソフトウェアを完全に削除するには、インストール済のデータベースをすべて削除する必要があります。Oracleデータベースを削除する手順は、次のとおりです。
注意
Oracleデータベースを削除すると、データベース内のデータもすべて削除されます。このデータを保存する必要がある場合は、削除前にデータベースのバックアップを作成してください。
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oracle
ユーザーとしてログインします。
$ su - oracle
- 次のように
oraenv
またはcoraenv
スクリプトを実行して、削除するデータベースの環境を設定します。
- プロンプトに対して、削除するデータベースのSIDを指定します。
- 次のように入力してDatabase Configuration Assistantを起動します。
$ dbca
「ようこそ」ウィンドウが表示されます。
- 「次へ」をクリックします。
「操作」ウィンドウが表示されます。
- 「データベースの削除」を選択して「次へ」をクリックします。
- 削除するデータベースを選択して「終了」をクリックします。
- 表示されるウィンドウで、そのデータベースを削除することを確認します。
- Database Configuration Assistantでデータベースを削除すると、別の操作を実行するかどうかを選択するプロンプトが表示されます。「はい」をクリックして「操作」画面に戻るか、または「いいえ」をクリックしてDatabase Configuration Assistantを終了します。他のデータベースを削除する場合は、「はい」をクリックして手順6〜8を繰り返します。
自動ストレージ管理インスタンスの削除
Oracleデータベース・ソフトウェアを完全に削除するには、Oracleホームで実行しているすべての自動ストレージ管理インスタンスも削除する必要があります。自動ストレージ管理インスタンスを削除する手順は、次のとおりです。
- 必要な場合は、
oracle
ユーザーとしてログインします。
$ su - oracle
- 次のように
oraenv
またはcoraenv
スクリプトを実行して、削除する自動ストレージ管理インスタンスの環境を設定します。
- プロンプトに対して、削除する自動ストレージ管理インスタンスのSIDを指定します。
- 自動ストレージ管理インスタンスにSYSユーザーとして接続します。
$ sqlplus "SYS/SYS_PASSWORD AS SYSDBA"
- 次のコマンドを入力して、自動ストレージ管理インスタンスを使用中のOracleデータベースがあるかどうかを判断します。
SQL> SELECT INSTANCE_NAME FROM V$ASM_CLIENT;
このコマンドを実行すると、この自動ストレージ管理インスタンスを使用中のデータベース・インスタンスがすべて表示されます。
注意
このコマンドで表示されるのは、実行中のデータベース・インスタンスのみです。この自動ストレージ管理インスタンスには、実行中でない他のインスタンスが関連付けられている可能性があります。
このOracleホームからデータベースを削除しても、このコマンドの出力にこの自動ストレージ管理インスタンスが他のOracleホームにあるデータベース・インスタンスをサポートしていることが示される場合は、自動ストレージ管理インスタンスまたはOracleホームを削除しないでください。
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- この自動ストレージ管理インスタンスにデータベース・インスタンスが関連付けられていない場合は、次のようにこのインスタンスに関連付けられているディスク・グループを削除します。
注意
自動ストレージ管理ディスク・グループを削除すると、ディスク・デバイスが必要に応じて他の自動ストレージ管理インスタンスで使用可能になります。ただし、そのディスク・グループのデータはすべて失われます。ディスク・グループを削除する前に、そのデータを必要とする他のデータベース・インスタンスが存在しないことを確認してください。
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- 自動ストレージ管理インスタンスに関連付けられているディスク・グループを識別します。
SQL> SELECT NAME FROM V$ASM_DISKGROUP;
- 削除するディスク・グループごとに、次のようなコマンドを入力します。
SQL> DROP DISKGROUP name INCLUDING CONTENTS;
- 次のコマンドを入力して自動ストレージ管理インスタンスを停止します。
SQL> SHUTDOWN
/etc/oratab
ファイルから自動ストレージ管理インスタンスのエントリを削除します。
Oracle Cluster Synchronization Servicesの再構成
Oracle Cluster Synchronization Services(CSS)は、自動ストレージ管理インスタンスの構成時に、root.sh
スクリプトによって構成されるデーモン・プロセスです。このプロセスは、システム・ブートのたびに起動するように構成されています。このデーモン・プロセスは、Oracle Automatic Storage Managementとデータベース・インスタンス間の同期をとるために必要です。Oracleデータベースがデータベース・ファイルの記憶域に自動ストレージ管理を使用している場合は、このプロセスの実行が必要です。
注意
Oracle Real Application Clusters(RAC)がインストールされているクラスタ・システムの場合、CSSデーモンはOracle Clusterwareのインストール時に構成されます。Oracle CRSが実行されているシステムでRACまたはOracle Clusterwareを削除する方法は、『Oracle Real Application Clustersインストレーションおよび構成』を参照してください。
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Oracle Database 10gのOracleホームを削除する前に、そのOracleホームからCSSデーモンが実行されているかどうか、および他のOracle Database 10gのOracleホームがシステムに存在しているかどうかを判断する必要があります。
- 削除するOracle Database 10gのOracleホームがシステムにインストールされている唯一のOracle Database 10gである場合は、CSSデーモンの構成を削除できます。
- 削除するOracle Database 10gのOracleホームからCSSデーモンが実行されており、システム上に他のOracle Database 10gがインストールされている場合は、別のOracle Database 10gのOracleホームからCSSデーモンを実行するように再構成する必要があります。
次の各項では、各タスクの実行方法について説明します。
Oracle Database 10gのOracleホームの識別
Oracle Database 10gのすべてのOracleホーム・ディレクトリを識別するには、次のコマンドを入力します。
$ more /etc/oratab
出力から、Oracle Database 10gがインストールされているOracleホーム・ディレクトリを識別します。通常、Oracle Database 10gが含まれているOracleホームは、次のようなパスになります。ただし、異なるパスが使用されることもあります。
/mount_point/app/oracle/product/10.2.0/db_n
Oracle Database 10gが含まれているOracleホーム・ディレクトリが1つのみ存在している場合に、Oracle CSSデーモン構成を削除する方法は、「Oracle CSSデーモン構成の削除」を参照してください。
複数のOracle Database 10gのOracleホーム・ディレクトリが識別された場合は、次のOracle CSSデーモンの再構成の項を参照してください。
Oracle CSSデーモンの再構成
削除しないOracleホームからOracle CSSデーモンが実行されるように、Oracle CSSデーモンを再構成する手順は、次のとおりです。
- システム上のすべてのOracleホーム・ディレクトリで、Oracle Automatic Storage Managementインスタンスと、自動ストレージ管理をデータベース・ファイル記憶域に使用しているOracle Databaseインスタンスをすべて停止します。
- ユーザーを
root
に切り替えます。
- 次のコマンドを入力して、CSSデーモンの実行に使用しているOracleホーム・ディレクトリを識別します。
# more /etc/oracle/ocr.loc
このコマンドの出力は、次のようになります。
ocrconfig_loc=/u01/app/oracle/product/10.2.0/db_1/cdata/localhost/local.ocr
local_only=TRUE
ocrconfig_loc
パラメータには、CSSデーモンが使用するOracle Cluster Registry(OCR)の位置を指定します。cdata
ディレクトリへのパスは、CSSデーモンが実行されているOracleホーム・ディレクトリ(この例では、/u01/app/oracle/product/10.2.0/db_1
)です。
注意
local_only パラメータの値がFALSEの場合、このシステムにはOracle Clusterwareがインストールされています。
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関連項目
Oracle Real Application ClustersまたはOracle Clusterwareを削除する方法は、『Oracle Real Application Clustersインストレーションおよび構成』を参照してください。
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このOracleホーム・ディレクトリが削除対象のOracleホームでない場合は、「Oracleソフトウェアの削除」に進んでください。
- ディレクトリを、削除しないOracle Database 10gインストール用のOracleホーム・ディレクトリに変更します。
- ORACLE_HOME環境変数を設定して、このOracleホーム・ディレクトリへのパスを指定します。
- 次のコマンドを入力し、このOracleホームから実行されるようにCSSデーモンを再構成します。
# $ORACLE_HOME/bin/localconfig reset $ORACLE_HOME
このコマンドによってOracle CSSデーモンが停止し、新しいOracleホームで再構成された後、システムを再起動します。システムを起動すると、CSSデーモンは新しいOracleホームから自動的に起動します。
- 元のOracleホーム・ディレクトリを削除するには、「Oracleソフトウェアの削除」を参照してください。
Oracle CSSデーモン構成の削除
Oracle CSSデーモン構成を削除する手順は、次のとおりです。
注意
CSSデーモン構成は、他のOracle Database 10gインストールでCSSデーモンを必要としないことが明確な場合のみ削除します。
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- このOracleホームに関連付けられているデータベースまたは自動ストレージ管理インスタンスを削除します。これらのタスクの実行方法については、前述の各項を参照してください。
- ユーザーを
root
に切り替えます。
- ディレクトリを削除するOracleホーム・ディレクトリに移動します。
- ORACLE_HOME環境変数を設定して、このOracleホーム・ディレクトリへのパスを指定します。
- 次のコマンドを入力し、このOracleホームからCSSデーモン構成を削除します。
# $ORACLE_HOME/bin/localconfig delete
このスクリプトによってOracle CSSデーモンが停止し、CSSデーモン構成が削除されます。システムを起動しても、CSSデーモンは起動されません。
Oracleソフトウェアの削除
Oracle Universal Installerを使用してOracleホームからOracleソフトウェアを削除する手順は、次のとおりです。
注意
Oracleソフトウェアの削除には、必ずOracle Universal Installerを使用します。Oracle Universal Installerを使用して先にソフトウェアを削除してから、Oracleホーム・ディレクトリを削除してください。
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- 必要な場合は、
oracle
ユーザーとしてログインします。
$ su - oracle
- ORACLE_HOME環境変数を設定し、削除するOracleホーム・ディレクトリのパスを指定します。
- このOracleホームに関連付けられているデータベース・インスタンスまたは自動ストレージ管理インスタンスを削除して、Oracle CSSデーモンを削除または再構成します。
これらのタスクの実行方法については、前述の各項を参照してください。
- このOracleホームで実行中のプロセスを停止します。
- 次のように入力してOracle Universal Installerを起動します。
$ $ORACLE_HOME/oui/bin/runInstaller
- 「ようこそ」ウィンドウで「製品の削除」をクリックします。
「インベントリ」画面が表示され、システム上のOracleホームがすべて表示されます。
- 「インベントリ」画面で、削除するOracleホームと製品を選択して「削除」をクリックします。
注意
Oracle JVMを削除対象として選択すると、Oracle Universal Installerでは、Oracle JVMに依存するインストール済製品がOracle Database 10gを含めてすべて削除されます。
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製品および依存コンポーネントの削除を確認する確認ウィンドウが表示されます。
- 「はい」をクリックします。
ソフトウェアの削除中には処理の進捗を示すインジケータが表示されます。
- 「インベントリ」画面で「閉じる」をクリックします。
- 製品が削除された後、「取消」をクリックしてOracle Universal Installerを終了してから「はい」をクリックします。