Oracle Database プラットフォーム・ガイド 10gリリース2(10.2) for Microsoft Windows(32-bit) B25020-03 |
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この章では、Oracle Databaseをインストールした後、データベース・コンフィギュレーション・アシスタントまたはコマンドライン・ツールを使用してデータベースを作成する方法を説明します。
この章の項目は次のとおりです。
ネットワークにマウントされたOracle Databaseサーバーすべてに一意のデータベース名が付けられている必要があります。データベースの作成時にデータベースと名前が対応付けられ、その制御ファイルに名前が格納されます。データベース・キーワードがCREATE DATABASE
文で指定されている場合、またはデータベース・コンフィギュレーション・アシスタントで要求されたときに指定された場合は、その値がそのデータベースの名前になります。
同じデータベース名のOracle Databaseサーバーを2つマウントしようとすると、2番目のサーバーのマウント時に次のエラーが表示されます。
ORA-01102: データベースを排他モードでマウントすることができません。
同じコンピュータの異なるOracleホームに、複数のOracle Databaseサーバーがある場合は、次の規則が適用されます。
既存のデータベース名を変更するにはCREATE CONTROLFILE
文を使用し、制御ファイルを再作成して新しいデータベース名を指定する必要があります。
注意 この章のディレクトリ・パスの例は、Optimal Flexible Architecture(OFA)のガイドラインに準拠しています。インストール時にOFAに準拠していないディレクトリを指定した場合、ディレクトリ・パスは異なったものになります。 |
制御ファイル、データファイル、オンラインREDOログ・ファイルおよびアーカイブ・ログファイルの場所は、汎用命名規則(UNC)を使用して指定できないことに注意してください。
データベース作成の方法としては、データベース・コンフィギュレーション・アシスタントを使用する方が簡単であるため、この方法をお薦めします。データベース・コンフィギュレーション・アシスタントのインタフェースと動作は、サポートされているすべてのプラットフォームで同じであるため、ここでは詳細な手順やスクリーン・ショットを示しません。
データベース・コンフィギュレーション・アシスタントを使用すると、次のことができます。
初期化パラメータ・ファイルは、パラメータを含むASCIIテキスト・ファイルです。コマンドライン・ツールを使用してデータベースを作成および変更する場合に使用できます。データベース・コンフィギュレーション・アシスタントを使用してデータベースを作成すると、サーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)が初期化パラメータ・ファイルから作成され、初期化パラメータ・ファイルの名前が変更されます。Oracleは、名前変更されたファイルを初期化パラメータ・ファイルとして認識せず、インスタンスの開始後には使用しません。
データベース・コンフィギュレーション・アシスタントで作成されたインスタンスを起動後に変更するには、ALTER SYSTEM
文を使用する必要があります。SPFILEは、テキスト・エディタを使用して参照または表示できないバイナリ・ファイルであるため、このファイル自体は変更できません。新規に作成されたSPFILEの場所は、ORACLE_BASE
¥
ORACLE_HOME
¥database
です。SPFILEファイル名は、spfile
SID
.ora
です。
この項では、新しいデータベースを手動で作成する方法について説明します。データベース・ソフトウェア・ファイルの一部として、Oracle Databaseではサンプル・データベース作成スクリプトおよびサンプル初期化パラメータ・ファイルが用意されており、どちらも必要に応じて編集できます。既存のスクリプトがある場合は、それをデータベースの手動作成にそのまま使用できます。また、サンプル・データベース作成スクリプトをガイドとして使用し、既存のスクリプトを編集することもできます。
データベースの作成方法は、次の3種類です。
表3-1は、前述の各データベース作成カテゴリにおける、新しいデータベースを作成する作業を示しています。各手順は、この後の各項で詳しく説明しています。
作業 | 既存のデータベースをコピーし、古いデータベースを削除 | 既存のデータベースをコピーし、古いデータベースを保持 | データベースがシステムに存在しない場合、新しいデータベースを作成 |
---|---|---|---|
○ |
○ |
○ |
|
○ |
必要な場合あり1 |
該当なし |
|
○ |
× |
該当なし |
|
○ |
○ |
○ |
|
○ |
○ |
○ |
|
× |
○ |
○ |
|
○ |
○ |
○ |
|
○ |
○ |
○ |
|
○ |
必要な場合あり2 |
該当なし |
|
× |
デフォルトの |
○ |
|
○ |
○ |
○ |
1
データを既存のデータベースから新しいデータベースにコピーする場合にのみ必要で、それ以外の場合は不要です。 2 既存のデータベースからエクスポートされた表および他のオブジェクトをインポートする場合にのみ必要で、それ以外の場合は不要です。 |
後述の各項では、1つの例を使用して、データベースを作成する方法について説明します。この例では、既存のデータベースはSID
がorcl
の初期データベースで、ディレクトリC:¥oracle¥product¥10.2.0¥oradata¥orcl
にあります。orcl
を、ディレクトリC:¥oracle¥product¥10.2.0¥oradata¥prod
にある、データベース名とSID
がprod
の新しいデータベースにコピーします。次に、初期データベースorcl
を削除します。
次のディレクトリを作成します。これらのディレクトリには、新しいデータベースprod
の管理ファイルおよびデータベース・ファイルを配置します。
C:¥oracle¥product¥10.2.0¥admin¥prod
C:¥oracle¥product¥10.2.0¥admin¥prod¥bdump
C:¥oracle¥product¥10.2.0¥admin¥prod¥pfile
C:¥oracle¥product¥10.2.0¥admin¥prod¥udump
C:¥oracle¥product¥10.2.0¥oradata¥prod
エクスポートは、既存のデータベースの内容を新しいデータベースにコピーする場合にのみ必要です。以前のリリースのOracleのデータを処理している場合は、この作業にエクスポートを使用できます。Oracle Database 10gリリース1(10.1)以上のデータを使用している場合は、Data Pump Exportを使用することをお薦めします。Data Pump ExportではOracle Database 10gリリース1(10.1)以上の新機能(浮動小数点など)をサポートしているためです。
Data Pump Exportまたはエクスポートは、パラメータ・モードまたは対話形式モードのどちらでも起動できますが、パラメータ・モードをお薦めします。対話形式モードは、パラメータ・モードよりも機能が制限されています。対話形式モードは、下位互換性のためにのみ用意されています。
Data Pump Exportのパラメータ・モードの構文は次のとおりです。
C:¥> expdp SYSTEM/password DUMPFILE=myexp.dmp FULL=y LOGFILE=myexp.log
Data Pump Exportの対話形式モードの構文は次のとおりです。
C:¥> expdp SYSTEM/password
expdp
SYSTEM
/password
コマンドのみを入力すると、対話形式セッションが開始され、Data Pump Exportにより必要な情報の入力を求められます。
エクスポートのパラメータ・モードの構文は次のとおりです。
C:¥> exp SYSTEM/password FILE=myexp.dmp FULL=y LOG=myexp.log
エクスポートの対話形式モードの構文は次のとおりです。
C:¥> exp SYSTEM/password
exp
SYSTEM
/password
コマンドのみを入力すると、対話形式セッションが開始され、エクスポートにより必要な情報の入力を求められます。
既存のデータベースからすべてのデータを新しいデータベースにエクスポートするには、次のようにします。
ORACLE_SID
を、エクスポートするデータベースのデータベース・サービスに設定します。たとえば、エクスポートするデータベースが初期データベースorcl
の場合は、コマンド・プロンプトで次のように入力します。等号文字(=
)の両側にはスペースを入れないでください。
C:¥> set ORACLE_SID=orcl
C:¥> expdp SYSTEM/password DUMPFILE=myexp.dmp FULL=y LOG=myexp.log
これで、初期データベースorcl
の全データベースのエクスポートがmyexp.dmp
ファイルに作成されました。Data Pump Exportからのすべてのメッセージは、myexp.log
ファイルに記録されます。
C:¥> exp SYSTEM/password FILE=myexp.dmp FULL=y LOG=myexp.log
これで、初期データベースorcl
の全データベースのエクスポートがmyexp.dmp
ファイルに作成されました。エクスポートからのすべてのメッセージは、myexp.log
ファイルに記録されます。
データベース・ファイルの削除は、既存のデータベースを新しいデータベースにコピーし、古いデータベースと置き換える場合にのみ必要です。初期データベースorcl
のデータベース・ファイルを削除する例を次に示します。
データベース・ファイルを削除するには、次のようにします。
orcl
を停止します。
C:¥> oradim -SHUTDOWN -SID orcl -SHUTTYPE inst -SHUTMODE immediate
C:¥oracle¥product¥10.2.0¥oradata¥orcl
から次のファイルを削除します。新しいデータベースの基礎として初期データベースorcl
を使用するには、最初にORACLE_BASE
¥admin¥orcl¥pfile¥init.ora
をコピーします。次に、コピーをORACLE_BASE
¥admin¥prod¥pfile¥init.ora
に置きます。さらに、この項で説明されているようにファイルを変更します。
システムに既存のデータベースがない場合は、既存の初期化パラメータ・ファイルをコピーして、新しい初期化パラメータ・ファイルの基礎として使用することはできません。しかし、次の場所に用意されているサンプル初期化パラメータ・ファイルinitsmpl.ora
を使用することができます。
ORACLE_BASE¥ORACLE_HOME¥admin¥sample¥pfile
このファイルをデータベースprod
の初期化パラメータ・ファイルの基礎とすることができます。
initsmpl.ora
を初期化パラメータ・ファイルの基礎として使用する場合、次のパラメータを示されている値に設定する必要があります。設定しなかった場合は、データベースprod
を起動できません。
DB_NAME=prod.domain
パラメータDB_NAME
は、データベースの名前を示します。このパラメータの値は、「CREATE DATABASE文のスクリプトへの書込み」にあるCREATE DATABASE
文で使用する名前と同じにする必要があります。データベースには、それぞれ一意のデータベース名を付けます。データベース名は最大8文字です。この名前は、データベース・サービスのSIDと一致している必要はありません。
INSTANCE_NAME=prod.domain
SERVICE_NAMES=prod.domain
CONTROL_FILES = ( "C:¥oracle¥product¥10.2.0¥oradata¥prod¥control01.ctl", "C:¥oracle¥product¥10.2.0¥oradata¥prod¥control02.ctl", "C:¥oracle¥product¥10.2.0¥oradata¥prod¥control03.ctl")
パラメータCONTROL_FILES
は、データベース制御ファイルをリストします。この時点ではファイル・システムに制御ファイルはありません。制御ファイルはCREATE DATABASE
文を実行するときに作成されます。ドライブ名を含めて、完全なパスとファイル名が指定されていることを確認してください。
BACKGROUND_DUMP_DEST = C:¥oracle¥product¥10.2.0¥admin¥prod¥bdump
USER_DUMP_DEST = C:¥oracle¥product¥10.2.0¥admin¥prod¥udump
DB_FILES=100
初期化パラメータDB_FILES
の変更は必須ではありませんが、パフォーマンスを最適化するために変更することをお薦めします。このパラメータにはCREATE DATABASE
文のMAXDATAFILES
オプションの値と同じ数値を設定します。この例では100
を使用します。
データベースをマウントせずにインスタンスを起動します。
STARTUP NOMOUNT
この例では、初期化パラメータ・ファイルがデフォルトの場所に格納されているため、PFILE
句の指定は不要です。この時点で、データベースはありません。新規データベースを作成する準備として、SGAのみ作成され、バックグラウンド・プロセスが起動します。
Oracle Databaseサービスの作成および開始は、次のいずれかを行う場合にのみ必要です。
データベースを作成する前に、そのデータベースを実行するWindowsサービスを作成します。このサービスはOracle Databaseプロセス(oracle.exe
)で、Windowsサービスの形式でインストールされます。
サービスは、ORADIMを使用して作成します。作成が終了すると、サービスは自動的に開始されます。ORADIMの使用方法は、「ORADIMによるOracle Databaseインスタンスの管理」を参照してください。
Oracle Databaseサービスを作成して開始するには、次のようにします。
C:¥> oradim -NEW -SID prod -STARTMODE manual -PFILE "C:¥oracle¥product¥10.2.0¥admin¥prod¥pfile¥init.ora"
すでに作成した初期化パラメータ・ファイルが、ドライブ名を含めて、フルパスで指定されていることに注意してください。サービスが開始されたかどうかは、「コントロール パネル」の「サービス」ウィンドウで確認できます。
ORACLE_SID
をprod
と等しくなるように設定します。等号文字(=)の両側にはスペースを入れないでください。
C:¥> set ORACLE_SID=prod
CREATE DATABASE
文は、データベースを作成するSQL文です。この文が含まれるスクリプトは、データベースを作成するときにいつでも使用できます。
CREATE DATABASE
文には、次のパラメータがあります。
CREATE DATABASE
文を実行すると、Oracle Databaseは、CREATE DATABASE
文で指定されている句または設定した初期化パラメータに基づいて複数の処理を実行します。
データベースprod
を作成するには、script_name
.sql
というファイルに次の文をコピーして保存します。
CREATE DATABASE prod MAXLOGFILES 5 MAXDATAFILES 100 DATAFILE 'C:¥oracle¥product¥10.2.0¥oradata¥prod¥system01.dbf' SIZE 325M REUSE AUTOEXTEND ON NEXT 10240K MAXSIZE UNLIMITED UNDO TABLESPACE "UNDOTBS" DATAFILE 'oracle¥product¥10.2.0¥oradata¥prod¥undotbs01.dbf' SIZE 200M REUSE AUTOEXTEND ON NEXT 5120K MAXSIZE UNLIMITED CHARACTER SET WE8MSWIN1252 logfile 'C:¥oracle¥product¥10.2.0¥oradata¥prod¥redo01.log' size 100M reuse, 'C:¥oracle¥product¥10.2.0¥oradata¥prod¥redo02.log' size 100M reuse, 'C:¥oracle¥product¥10.2.0¥oradata¥prod¥redo03.log' size 100M reuse;
SQLスクリプトを使用してデータベースを作成するには、次のようにします。
OracleServicePROD
で、その「状態」列には「開始」と表示されます。「開始」になっていない場合は、サービス名を選択して「開始」をクリックします。また、コマンド・プロンプトで次のように入力して、サービスの状態を確認することもできます。
C:¥> net START
システムで現在実行されている、すべてのWindowsサービスのリストが表示されます。リストにOracleServicePROD
がない場合は、次のように入力します。
C:¥> net START OracleServicePROD
PROD
を現在のSID
にします。
C:¥> set ORACLE_SID=PROD
ORACLE_BASE
¥
ORACLE_HOME
¥bin
をPATH
環境変数に追加します。
set PATH=ORACLE_BASE¥ORACLE_HOME¥bin;%PATH%
C:¥> sqlplus /NOLOG SQL> CONNECT / AS SYSDBA
「connected
」というメッセージが表示されます。
SQL> SPOOL script_name.log
script_name
.sql
を実行します。
SQL> @C:¥oracle¥product¥10.2.0¥db_1¥rdbms¥admin¥script_name.sql;
データベースの作成が正常に終了した場合は、インスタンスが開始され、「Statement
processed
」というメッセージが数回表示されます。
Data Pump Import(Oracle Database 10gリリース1(10.1)以上のデータの場合)またはインポート(旧データの場合)を使用して、「既存のデータベースのエクスポート」で作成した全エクスポートを新しいデータベースにインポートできます。Data Pump Importまたはインポートは、パラメータ・モードまたは対話形式モードのいずれかを使用して起動できますが、パラメータ・モードの方が多くの機能があるため、パラメータ・モードを使用することをお薦めします。対話形式モードは、下位互換性のためにのみ用意されています。
Data Pump Importのパラメータ・モードの構文は次のとおりです。
C:¥> impdp SYSTEM/password DUMPFILE=myexp.dmp FULL=y LOG=myexp.log
Data Pump Importの対話形式モードの構文は次のとおりです。
C:¥> impdp SYSTEM/password
impdp
SYSTEM/
password
のみを入力すると、対話形式のセッションが開始され、Data Pump Importにより必要な情報の入力を求められます。
インポートのパラメータ・モードの構文は次のとおりです。
C:¥> imp SYSTEM/password FILE=myexp.dmp FULL=y LOG=myexp.log
インポートの対話形式モードの構文は次のとおりです。
C:¥> imp SYSTEM/password
imp
SYSTEM/
password
のみを入力すると、対話形式のセッションが開始され、インポートにより必要な情報の入力を求められます。
注意 エクスポート・ファイルの生成元のデータベースに、新しいデータベースにはない表領域が含まれている場合、インポートはその表領域とそれに関連付けられたデータファイルを作成しようとします。 簡単な解決方法は、両方のデータベースに同じ表領域が含まれるようにすることです。データファイルは、同一である必要はありません。重要なのは表領域の名前のみです。 |
これがシステムの最初のデータベースである場合、または新しいデータベースをデフォルトのデータベースにする場合は、レジストリを変更する必要があります。
C:¥> regedt32
「レジストリ エディタ」ウィンドウが表示されます。
¥HKEY_LOCAL_MACHINE¥SOFTWARE¥ORACLE¥HOME0
を選択します。同一コンピュータ上の別のOracleホームに対する後続インストールの場合は、パスは¥HKEY_LOCAL_MACHINE¥SOFTWARE¥ORACLE¥HOME
ID
です。IDは、Oracleホームを識別する一意の数値です。ORACLE_SID
を探します。
prod
)に変更します。
これがシステムでの最初のデータベースで、まだパラメータORACLE_SID
がない場合は、このパラメータを作成する必要があります。
パラメータORACLE_SID
を作成するには、次のようにします。
「値の追加」ダイアログが表示されます。
ORACLE_SID
と入力します。
データ型に対応する「文字列エディタ」ダイアログが表示されます。
レジストリ エディタにより、パラメータORACLE_SID
が追加されます。
レジストリ エディタが終了します。
注意 バックアップを行わずに新しいデータベースを操作していて、問題が生じた場合は、データベース作成手順を繰り返す必要があります。データを失ってしまうことがないように、データベースはここでバックアップしてください。 |
新しいデータベースをバックアップするには、次のようにします。
C:¥> oradim -SHUTDOWN -SID prod -SHUTTYPE srvc,inst -SHUTMODE immediate
データベース・ファイルは、初期化パラメータ・ファイル、制御ファイル、オンラインREDOログ・ファイルおよびデータファイルから構成されます。
バックアップが完了したら再びデータベースを起動し、必要に応じてユーザーとオブジェクトを作成し、必要な変更を行って、データベースを使用することができます。
データベースに重要な変更(アーカイブ・モードを切り替える、表領域またはデータファイルを追加する、など)を行った後は、データベースをバックアップしてください。
ORADIMは、Oracle Databaseで使用できるコマンドライン・ツールです。ORADIMが必要になるのは、手動でデータベースを作成、削除または変更する場合のみです。この目的で使用するツールとしてはデータベース・コンフィギュレーション・アシスタントの方が簡単です。
後述の項では、ORADIMのコマンドおよびパラメータについて説明します。各コマンドの前には必ずダッシュ(-
)が付きます。ORADIMパラメータのリストを表示するには、次のように入力します。
oradim -? | -h | -help
ORADIMを使用すると、oradim.log
と呼ばれるログ・ファイルがORACLE_BASE
¥
ORACLE_HOME
¥database
またはORA_CWD
レジストリ・パラメータで指定したディレクトリにオープンされます。すべての処理(正常の場合も異常の場合もすべて)がこのファイルに記録されます。このファイルをチェックして、処理が成功したかどうかを検証する必要があります。
Oracle DatabaseサービスをWindows 2000にインストールした場合は、開始モードを「自動」に設定してSYSTEMユーザー(LocalSystem)としてログオンした際に、Oracle Databaseサービスは開始されますが、データベースが自動的には起動しない可能性があります。次のエラー・メッセージがディレクトリORACLE_BASE
¥
ORACLE_HOME
¥database
のORADIM.LOG
ファイルに書き込まれます。
ORA-12640: Authentication adapter initialization failed
Oracle Enterprise Management Agent、Oracle Enterprise Manager Management ServerおよびOracle Internet Directoryも、同じ理由でデータベースに接続できないため失敗することがあります。対処方法は次のとおりです。
SQLNET.ORA
の変更SQLNET.ORA
は、次の行を削除することにより変更できます。
sqlnet.authentication_services=(NTS)
または、この行を次のように変更します。
sqlnet.authentication_services=(NONE)
Oracle Databaseサービスを開始した後で、SQL*Plusを使用し、SYSDBA
として接続することにより、データベースを手動で起動できます。
ORADIMを使用してインスタンスを作成するには、次のように入力します。
oradim -NEW -SID SID | -SRVC service_name | -ASMSID SID | -ASMSRVC service_name [-SYSPWD password] [-STARTMODE auto | manual] [-SRVCSTART system | demand] [-PFILE filename | -SPFILE] [-SHUTMODE normal | immediate | abort] [-TIMEOUT secs] [-RUNAS osusr/ospass]
それぞれの意味は次のとおりです。
-NEW
は、新しいインスタンスを作成することを示します。これは必須パラメータです。
-SID
SID
は、作成するインスタンスの名前です。
-SRVC
service_name
は、作成するサービスの名前(OracleService
SID
)です。
-ASMSID
SID
は、作成する自動記憶域管理(ASM)インスタンスの名前です。
-ASMSRVC
service_name
は、作成するASMサービスの名前です。
-STARTMODE
auto
| manual
は、Oracle Databaseサービスの開始時に、インスタンスを起動するかどうかを示します。デフォルトはmanual
です。
-SRVCSTART system | demand
は、コンピュータの再起動時にOracle Databaseサービスを開始するかどうかを示します。
-PFILE
filename
は、このインスタンスで使用する初期化パラメータ・ファイルです。このファイルは、ドライブ名を含めて、フルパス名を指定する必要があります。
-SPFILE
は、起動時にPFILEのかわりにサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)を使用することを指定します。
-TIMEOUT
secs
は、特定のSID
のサービスが停止するまでの最大待機時間(秒単位)を設定します。
たとえば、PROD
というインスタンスを作成するには、次のように入力します。
C:¥> oradim -NEW -SID prod -STARTMODE auto -PFILE C:¥oracle¥product¥10.2.0¥admin¥prod¥pfile¥init.ora
ORADIMを使用してインスタンスを起動し、サービスを開始するには、次のように入力します。
oradim -STARTUP -SID SID | -ASMSID SID [-SYSPWD password] [-STARTTYPE srvc | inst | srvc,inst] [-PFILE filename | -SPFILE]
それぞれの意味は次のとおりです。
-STARTUP
は、既存のインスタンスを起動することを示します。これは必須パラメータです。
-SID
SID
は、起動するインスタンスの名前です。
-ASMSID
SID
は、起動するASMインスタンスの名前です。
-STARTTYPE
srvc
、inst
は、サービスまたはインスタンスのどちらを起動するかを示します。片方または両方を指定できます。指定しない場合は、現在の設定がレジストリで確認されます。-STARTTYPE srvc
は、コマンドラインからnet start oracleservice<sid>
を実行することと同じです。
-STARTTYPE inst
は、SQL*Plus内でstartup
を実行することと同じです。
-PFILE
filename
は、このインスタンスで使用する初期化パラメータ・ファイルです。このファイルは、ドライブ名を含めて、フルパス名を指定する必要があります。
-SPFILE
は、起動時にPFILEのかわりにサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)を使用することを指定します。
たとえば、puma
というインスタンスを起動するには、次のように入力します。
C:¥> oradim -STARTUP -SID puma -STARTTYPE inst -PFILE C:¥oracle¥product¥10.2.0¥admin¥prod¥pfile¥init.ora
Enterprise Database Controlサービス(OracleDBConsole
SID
)は、Oracle Databaseサービス(OracleService
SID
)に依存します。Enterprise Database Control依存サービスは、(インストールされている場合)ORADIM
を実行してデータベース・インスタンス・サービスを停止する前に、停止する必要があります。
ORADIMを使用してインスタンスを停止するには、次のように入力します。
oradim -SHUTDOWN -SID SID | -ASMSID SID [-SYSPWD password] [-SHUTTYPE srvc | inst | srvc,inst] [-SHUTMODE normal | immediate | abort]
それぞれの意味は次のとおりです。
-SHUTDOWN
は、インスタンスの停止を示します。これは必須パラメータです。
-SID
SID
は、停止するインスタンスの名前を指定します。
-ASMSID
SID
は、停止するASMインスタンスの名前です。
-SHUTTYPE
srvc
、inst
は、サービスまたはインスタンスのどちらを停止するかを示します。片方または両方を指定できます。指定しない場合は、現在の設定がレジストリで確認されます。
-SHUTMODE
は、インスタンスの停止方法を指定します。これはオプション・パラメータです。インスタンスの停止方法を指定しない場合は、normal
がデフォルト・モードです。
たとえば、puma
というインスタンスを停止するには、次のように入力します。
C:¥> oradim -SHUTDOWN -SID puma -SHUTTYPE srvc,inst
既存のインスタンスを編集すると、インスタンス名、起動モード、停止モード、停止タイプなどの値を変更できます。ORADIMを使用してインスタンスを変更するには、次のように入力します。
oradim -EDIT -SID SID | -ASMSID SID [-SYSPWD password] [-STARTMODE auto | manual] [-SRVCSTART system | demand] [-PFILE filename | -SPFILE][SHUTMODE normal | immediate | abort] [SHUTTYPE srvc | inst | srvc,inst]
それぞれの意味は次のとおりです。
-EDIT
は、インスタンスの変更を示します。これは必須パラメータです。
-SID
SID
は、変更するインスタンスの名前を指定します。これは必須パラメータです。
-ASMSID
SID
は、変更するASMインスタンスの名前です。
-STARTMODE
は、Oracle Databaseサービスの開始時にインスタンスを起動するかどうかを示します。デフォルトはmanual
です。
-SRVCSTART system | demand
は、コンピュータの再起動時にOracle Databaseサービスを開始するかどうかを示します。
-PFILE
filename
は、このインスタンスで使用する初期化パラメータ・ファイルを指定します。このファイルは、ドライブ名を含めて、フルパス名を指定する必要があります。
-SPFILE
は、起動時にPFILEのかわりにサーバー・パラメータ・ファイル(SPFILE)を使用することを指定します。
-SHUTMODE
は、インスタンスの停止方法を指定します。これはオプション・パラメータです。インスタンスの停止方法を指定しない場合は、normal
がデフォルト・モードです。
-SHUTTYPE
は、サービスまたはインスタンスのどちらを停止するかを示します。片方または両方を指定できます。指定しない場合は、現在の設定がレジストリで確認されます。
たとえば、インスタンスprod
に対して新しい初期化パラメータ・ファイルを指定するには、次のように入力します。
C:¥> oradim -EDIT -SID prod -PFILE C:¥oracle¥product¥10.2.0¥admin¥lynx¥pfile¥init.ora
Enterprise Database Controlサービス(OracleDBConsole
SID
)は、Oracle Databaseサービス(OracleService
SID
)に依存します。Enterprise Database Control依存サービスは、(インストールされている場合)ORADIM
を実行してデータベース・インスタンス・サービスを削除する前に、停止する必要があります。
ORADIMを使用してインスタンスを削除するには、次のように入力します。
oradim -DELETE -SID SID | -ASMSID SID | -SRVC service_name | -ASMSRVC service_name
それぞれの意味は次のとおりです。
-DELETE
は、インスタンスまたはサービスの削除を示します。これは必須パラメータです。
-SID
SID
は、削除するSIDの名前を指定します。
-SRVC
service_name
は、削除するサービスの名前を指定します。
-ASMSID
SID
は、削除するASMインスタンスの名前です。
-ASMSRVC
service_name
は、削除するASMサービスの名前です。
たとえば、prod
というインスタンスを削除するには、次のように入力します。
C:¥> oradim -DELETE -SID prod
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