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Oracle TimesTen In-Memory Database APIおよびSQLリファレンス・ガイド
リリース6.0
B25770-01
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ttXactAdmin

説明

ttXactAdminユーティリティは、未処理の各トランザクションの所有者、ステータス、ログおよびロックの情報を表示します。また、ttXactAdminユーティリティを使用すると、XAトランザクション・ブランチのコミット、強制終了または消去を経験則的に実行できます。

構文
ttXactAdmin  [-h | -help] 
ttXactAdmin [-V | -version]  
ttXactAdmin [-v verbosity] [-lsn]
            [-mt maxTrans] [-ml maxLocks] [-pid id]
            [-xact id] [-tbl [owner.]tableName]
            [-row rowid] [-interval seconds] [-count <number>]
            {DSN | -connstr <connStr>} 
ttXactAdmin -latch
            [-interval <seconds>] [-count <number>]
            {DSN | -connstr connStr} 
ttXactAdmin -latchstats [clear | off |on | show]
            [-interval seconds] [-count number]
            {DSN | -connstr connStr} 
ttXactAdmin -connections 
            [-pid id]
            [-interval seconds] [-count number]
            {DSN | -connstr connStr} 
ttXactAdmin -xactIdRollback xid {DSN | -connstr connStr} 
ttXactAdmin {-HCommit id | -HAbort id | -HForget id}
            {DSN | -connstr connStr} 
オプション

ttXactAdminには次のオプションがあります。

-connections 
データ・ストアへの現在の接続をすべて表示します。-connectionsオプションとともに実行する場合、ttXactAdmin自体はデータ・ストアへ実際の接続を確立せず、ラッチを要求しません。このことは、フリーズしたシステムを診断するときに役立つことがあります。
-connStr 
connection_string 
データ・ストア名、サーバー名とDSN(必要に応じて)および関連する接続属性を含むODBC接続文字列。
-count number 
レポートを生成する回数を指定します。-intervalオプションが指定されない場合は、1秒間隔で生成されます。
DSN 
管理するデータ・ストアのODBCデータソース名を示します。
-h 
-help 
使用方法のメッセージを出力して終了します。
-HAbort id 
TimesTenのXAトランザクション・ブランチを経験則的に強制終了します。idには、ローカルTimesTenのTransIDを指定する必要があります。
-HCommit id 
TimesTenのXAトランザクション・ブランチを経験則的にコミットします。idには、ローカルTimesTenのTransIDを指定する必要があります。
-HForget id 
TimesTenのXAトランザクション・ブランチを経験則的に消去します。idには、ローカルTimesTenのTransIDを指定する必要があります。
 -interval seconds 
指定した秒数一時停止しながら、レポートの生成を繰り返します。-countオプションが指定されない場合は、永続的に繰り返します。
-latch 
このオプションは、オラクル社カスタマ・サポート・センターによってのみ使用されます。このオプションは、指定したデータ・ストアのラッチ情報のみを表示します。
-latchstats
[clear | off | on |
show] 
このオプションは、オラクル社カスタマ・サポート・センターによってのみ使用されます。このオプションは、リクエストしたlatchstat処理を実行します。
-latchstatsが使用される場合、その他のすべてのオプションは無視されます。
clear: すべてのlatchstat情報を0(ゼロ)にリセットします。
off: latchstatsの収集をオフにします。
on: latchstatsの収集をオンにします。
show: アクセス・カウントおよびその他のstatsを含むラッチ情報を表示します。処理が指定されない場合は、デフォルトになります。
-lsn 
トランザクションによって書き込まれた、最初と最後のログ・レコードのログ順序番号を表示します(存在する場合)。両方のLSN値が-1である場合は、そのトランザクションが読取り専用であることを示しています。
SELECT権限またはデータ・ストア・オブジェクトの所有権が必要です。
-ml maxLocks 
トランザクションごとのロックの最大数です。デフォルトは6000です。
-mt maxTrans 
表示する最大トランザクション数を指定します。デフォルトは、未処理のトランザクションすべてが表示されます。
-pid id 
指定したpidのプロセスによって開始されたトランザクションのみを表示します。Linuxでは、接続をオープンしたスレッドのpidです。
-row rowid 
指定した行のロック情報を表示します。
SELECT権限またはデータ・ストア・オブジェクトの所有権が必要です。
-tbl
[owner.]tableName 
指定した表のロック情報を表示します。
SELECT権限またはデータ・ストア・オブジェクトの所有権が必要です。
-V | -version  
ttXactAdminのリリース番号を出力して終了します。
-v verbosity 
冗長レベルを指定します。冗長レベルは、次のいずれかになります。
0: 行ロックの表の名前を表示しません。この場合、ttXactAdminの実行がより高速になります。
1: (デフォルト)行ロックの表の名前を表示します。
-xact id 
指定されたトランザクションの情報を表示します。指定されたトランザクションのLSNは、自動的に出力に含まれます。
SELECT権限またはデータ・ストア・オブジェクトの所有権が必要です。
-xactIdRollback
xid 
トランザクションをロールバックできます。このことは、特に長時間実行トランザクションで有効である可能性があります。このパラメータxidは、トランザクションIDを表します。
トランザクションにかわって現在実行している処理を停止してから、TimesTen内にトランザクションをロールバックします。
ADMIN権限またはデータ・ストア・オブジェクトの所有権が必要です。

出力

ttXactAdminは次の出力を生成します。

Program File
Name 
トランザクションを所有するプロセスの実行可能ファイル名です。
PID 
トランザクションを所有するアプリケーションのプロセスIDです。Linuxでは、これは接続をオープンしたスレッドのPIDです。
Context 
単一のマルチスレッド・プロセスによる、データ・ストアへの複数の接続で区別するための内部識別子です。
TransId 
TimesTenによって内部的に使用される、一意のトランザクション識別子です。識別子は2つの部分で構成されます。最初の部分は比較的小さな値(2048未満)で、同時にアクティブであるトランザクションを区別するために使用されます。2つ目の部分は大きな値(符号なし整数)になる可能性が高く、最初の部分が続けて使用される場合にそれらを区別するために使われます。この値は、必要に応じて始めに戻ります。このため、識別子4.100および4.200は同時には存在しません。4.100が出現し、その次に4.200が出現する場合、これはトランザクション4.100が完了(コミットまたはロールバック)したことを示しています。
TransStatus 
トランザクションの現在のステータスです。次のいずれかのステータスになります。
Active: アクティブなトランザクション。
Committing: コミット中のトランザクション。ロックが解放されています。
Ckpointing: チェックポイントを実行しているトランザクション。
Rep-Wait-Return: RETURN RECEIPT/コミットを待機している、レプリケートされたトランザクション。
Idle: データに現在アクセスしていないトランザクション・ブランチ。
Prepared: 準備されたトランザクション・ブランチ。
Heur-Committed: 経験則的にコミットされたトランザクション・ブランチ。
Heur-Aborted: 経験則的に強制終了されたトランザクション・ブランチ。
Propagating: Oracleのコミットを待機しているTimesTenトランザクション。
Resource 
要求されているロックのタイプです。
Row: 行レベル・ロック。
HashedKey: ハッシュ索引のキー値に保持されたロック。処理でハッシュ索引を更新する必要がある場合に取得されます。
Table: 表レベル・ロック。
EndScan: 表またはttreeスキャン・ロックの終了。
Database: データ・ストア・レベル・ロック。
Command: コマンド・ロック。
Prepare: コマンドの準備中に取得されたロック。
GrpComm: グループ・コミット・ロック。
ReplHold: レプリケーション保持のロック。
XlaHold: XLA保持のロック。
ResourceId 
一意の各リソースの一意識別子。この識別子は、10進値で表示される表とCompCmdを除き、16進形式で表示されます。
Mode 

ロックが提供する同時実行性のレベルを判断するために使用される値です。

S: 共有ロック。
Sn: シリアライズ可能でない分離における共有ロック。
U: シリアライズ可能な分離における更新ロック。
Un: シリアライズ可能でない分離における更新ロック。
X: 排他ロック。
En: シリアライズ可能でない分離におけるスキャン終了ロック。
IRC: コミット読取りモードでの表の読取りのロック。表のDDLを制限します。
IS: 意図的な共有ロック。
IX: 意図的な排他ロック。
SIX: 排他ロックの設定を目的とした共有ロック。
Xn: シリアライズ可能でない分離における排他ロック。
XNi: シリアライズ可能でない分離での挿入のみにおける弱い排他ロック。
W: 更新、挿入または削除行ロック。
HMode 
待機状態のトランザクションが要求しているロックを保持する競合トランザクションのロック・モード。同時実行性レベルについては、この表の「Mode」を参照してください。
RMode 

待機状態のトランザクションがロックの保持を要求しているモードを示します。同時実行性レベルについては、この表の「Mode」を参照してください。

HolderTransId 

待機状態のトランザクションが競合しているトランザクションの識別子。

Name 
ロックが保持されている、またはロックを含む表の名前。

次のコマンドはデータ・ストア内のすべてのロックを表示します。

ttXactAdmin -connstr DSN=demodata 
Outstanding locks
PID

Context

TransId

TransStatus

Resource

ResourceId

Mode

Name

Program File Name: localtest1
10546

0x118e28

2047.000003

Active

Table

411104

IS

SYS.TABLES

 
 
 
 
Table

416480

IX

TEST1.TAB1

 
 
 
 
Row

0x00065ae0

Sn

SYS.TABLES

 
 
 
 
HashedKey

0x69cf9c36

Sn

SYS.TABLES

 
 
 
 
Database

0x01312d00

IX

 
 
 
 
 
Row

0x000eebfc

Xn

TEST1.TAB1

 
 

Program File Name: /users/smith/demo/XAtest1
XA-XID: 0xbea1-001b238716dc35a7425-64280531947e1657380c5b8d
1817

0x118e28

2046.000004

Active

Table

416480

IS

TEST1.TAB1

 
 
 
 
CompCmd

21662408

S

 
 
 
 
 
Database

20000000

IS

 
 
 
 
 
Row

0x000eebf0

Sn

TEST1.TAB1

Program File Name: /users/smith/demo/XAtest2
XA-XID: 0xbea1-001c99476cf9b21e85e1-70657473746f7265506f6f6c
27317

0x118e28

2045.000005

Prepared

Table

411104

IS

SYS.TABLES

 
 
 
 
Table

416816

IX

TEST1.TAB2

 
 
 
 
Row

0x00065c30

Sn

SYS.TABLES

 
 
 
 
Database

0x01312d00

IX

 
 
 
 
 
HashedKey

0x67fe3852

Sn

SYS.TABLES

 
 
 
 
Row

0x000ef804

Xn

TEST1.TAB2

Program File Name: /users/smith/demo/Reptest
27589

0x118e28

2044.000006

Rep-Wait-Return

 
 
 
 

Awaiting locks
PID

Context

TransId

Resource

ResourceId

RMode

HolderTransId

HMode

Name

Program File Name: /users/smith/demo/XAtest1
1817

0x118e28

2046.000004

Row

0x000eebfc

Sn

2047.000003

Xn

TEST1.TAB1

 
 

次のコマンドはトランザクション2045.000005に対するすべてのロックを表示します。

ttXactAdmin -xact 2045.000005 -connstr DSN=demodata
PID

Context

TransStatus

1st LSN

Last LSN

Resource

ResourceId

Mode

Name

Program File Name: /users/smith/demo/XAtest2
XA-XID: 0xbea1-001c99476cf9b21e85e1-70657473746f7265506f6f6c
27317

0x118e28

Prepared  

0.0116404

0.0116452

Table

411104

IS

SYS.TABLES

 
 
 
 
 
Table

416816

IX

TEST1.TAB2

 
 
 
 
 
Row

0x00065c30

Sn

SYS.TABLES

 
 
 
 
 
Database

0x01312d00

IX

 
 
 
 
 
 
HashedKey

0x67fe3852

Sn

SYS.TABLES

 
 
 
 
 
Row

0x000ef804

Xn

TEST1.TAB2

 
 

      データ・ストアへのすべての接続を表示するには、次のコマンドを実行します。

      $ ttXactAdmin -connections sample       2005-05-10 10:26:33       /datastore/terry/sample       TimesTen Release 6.0.0 ID  PID    Context            Name           Program       State TransID UID 1 29508   0x00000001001c6680  myconnection  ttIsql         Run   1.23 TERRY 2044 29505   0x0000000100165290 Worker         timestensubd   Run        TERRY 2045 29505   0x00000001001df190 Flusher        timestensubd   Run        TERRY 2046 29505   0x000000010021cc50 Monitor        timestensubd   Run        TERRY 2047 29505   0x0000000100206730 Checkpoint     timestensubd   Run        TERRY       5 connections found
注意:

コマンドで指定されたトランザクションがXAトランザクション・ブランチでなく、TimesTenのローカル・トランザクションである場合、XA-XIDは表示されません。XA-XIDはフォーマット識別子を含むC構造体で、2つのデータ長フィールドと1つのデータ・フィールドを持ちます。データ・フィールドは、グローバル・トランザクション識別子(gtrid)およびブランチ修飾子(bqual)という、最大2つの連続するコンポーネントから構成されます。2つのデータ長フィールドは、gtridおよびbqualのバイト数(1-64)をそれぞれ指定します。詳細は、X/Openの文書『Distributed Transaction Processing』のXA仕様(c193)に関する項を参照してください。

RModeにおいては、待機状態のトランザクションはPIDおよびContextによってソートされます。リストにはロック・リクエストの順番は反映されません。

ロック・リクエスト・キュー内で、互換性のあるモードのリクエストの前に互換性のないモードの別のロック・リクエストがあるため、HModeのロック保持者と互換性のあるRModeのロック・リクエストが待機することがあります。