WLI アプリケーション ライフ サイクルのベスト プラクティス
付録 : ユース ケースと要件の分析
機能的および非機能的な要件の評価には、次に示す SMART 条件を使用できます。
具体性 (Specific) : 要件があいまいでなく、一貫した用語が使用され、単純かつ適切なレベルで詳細なものであるか。
測定可能性 (Measurable) : 当該要件を満たしていることが検証可能であるか。要件を満たすことを検証するため、どのようなテストの実施、またはどのような条件の合致が必要とされるか。
達成可能性 (Attainable) : 要件の技術的な実現可能性について、どのような専門的判断を下せるか。
現実性 (Realistic) : 要件が所定のリソースにおいて現実的なものであるか。適切なスタッフがいるか。技術が備わっているか。必要不可欠な開発インフラストラクチャにアクセスできるか。必要な実行時インフラストラクチャにアクセスできるか。十分な時間があるか。
追跡可能性 (Traceable) : 要件がその概念から仕様、その後の設計、実装、テストの段階に至るまで連続したものであるか。
ソリューション ドメインの場合、堅牢性分析でユース ケースを分類します。
堅牢性分析では、ユース ケースを次の 4 種類のオブジェクトに分割できます。
アクター : ユース ケースの外部にあるオブジェクト。アクターは、人間やその他の外部オブジェクト (システム、アプリケーション、デバイスなど) の場合があります。アクターはメッセージの送受信によってユース ケースと対話します。
境界オブジェクト : ユース ケースの対外的な面。アクターは境界オブジェクトを使用してユース ケースと対話します。境界オブジェクトの例には、ユース ケースのユーザ インタフェース要素やパブリック API などがあります。
エンティティ オブジェクト : ユース ケースにおいて長期間持続するオブジェクト。エンティティ オブジェクトの例には、発注書、請求書、顧客などがあります。
コントローラ オブジェクト : 境界要素とエンティティ オブジェクトをつなぐもの。ユース ケースの特定の機能 (ユーザの検証、作成、取得、更新、および削除 (CRUD) など) を実行するメソッドが含まれます。
図 A-1 に、ユース ケースを複数のオブジェクトに分割する方法を示します。
図 A-2 に、堅牢性分析のルールを示します。
これは次のようなルールです。
ユース ケースには、アクター、境界オブジェクト、コントローラ、エンティティ オブジェクトを 1 つまたは複数含められる。
アクターは境界オブジェクトとのみ対話できる。
境界オブジェクトはコントローラおよびアクターとのみ対話できる。
エンティティ オブジェクトはコントローラとのみ対話できる。
コントローラは境界オブジェクト、エンティティ オブジェクト、他のコントローラと対話できるが、アクターとは対話できない。
注意 : |
ユース ケースおよび堅牢分析の技法は、イバー ヤコブソン博士が開発したものです。同博士はユース ケースの父として知られ、最初の UML 仕様の作者陣の 1 人でもあります。 |