WebLogic Server アプリケーションの開発

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WebLogic Server アプリケーション開発の概要

以下の節では WebLogic Server® アプリケーションと基本概念について概説します。

 


ドキュメントの内容と対象読者

このマニュアルは、Sun Microsystems の Java Platform, Enterprise Edition 5 を使用して WebLogic Server e- コマース アプリケーションをビルドするアプリケーション開発者を対象としています。Web 技術、オブジェクト指向プログラミング技術、および Java プログラミング言語について読者が精通していることを前提としています。

WebLogic Server アプリケーションは、Java プログラマ、Web デザイナ、アプリケーション アセンブラによって作成されます。プログラマとデザイナは、アプリケーションのビジネス ロジックとプレゼンテーション ロジックを実装するモジュールを作成します。アプリケーション アセンブラは、WebLogic Server にデプロイ準備完了のアプリケーションにモジュールをアセンブルします。

 


WebLogic Server と Java EE プラットフォーム

WebLogic Server は、Java Platform, Enterprise Edition (Java EE) バージョン 5.0 の技術を実装しています。Java EE は、Java プログラミング言語に基づいた多層エンタープライズ アプリケーションを開発するための標準プラットフォームです。Java EE を構成する技術は、BEA Systems をはじめとするソフトウェア ベンダと Sun Microsystems によって共同開発されました。

Java EE プログラミング モデルの重要な点は、メタデータ アノテーションが導入されたことです。アノテーションを使用すると、コンテナ内でのアプリケーション コンポーネントの動作、依存性注入の要求方法などを Java クラス自体の中で指定でき、アプリケーションの開発プロセスを簡略化できます。アノテーションは、エンタープライズ アプリケーションの以前のバージョン (J2EE 1.4 以前) で必要だったデプロイメント記述子に代わるものです。

Sun では、次のように説明しています。「Java EE 5 の焦点は、開発の容易さにあります。Java EE 5 では、記述するコードが少なくなっています。定型コードの多くは削除され、可能な限りデフォルト値が使用され、アノテーションを広範に使用することによって、デプロイメント記述子の必要性が低減されています。」

WebLogic Server Java EE アプリケーションは、標準化され、モジュール化されたコンポーネントに基づいています。WebLogic Server では、これらのモジュール用にあらゆるサービスが用意され、細かなアプリケーションの動作を、プログラミングを必要とせずに自動的に処理します。 Java EE では、モジュールの動作とパッケージ化が汎用的で移植性の高い方法で定義されています。このため、実行時コンフィグレーションはモジュールを実際にアプリケーション サーバにデプロイするときに行います。

Java EE には、Web アプリケーション、EJB モジュール、Web サービス、エンタープライズ アプリケーション、クライアント アプリケーション、およびコネクタ用のデプロイメント仕様が含まれています。Java EE では、どのようにアプリケーションを対象サーバにデプロイするかは指定されておらず、標準のモジュールまたはアプリケーションをパッケージ化する方法だけが指定されています。モジュールのタイプごとに、この仕様には必要なファイルとそれらのディレクトリ構造上の格納場所が定義されています。

注意 : Java EE には下位互換性があるため、WebLogic Server 8.1 以降で引き続き Java EE アプリケーションを実行できます。

Java はプラットフォームに依存しないので、任意のプラットフォームでコードの編集とコンパイルを行い、別のプラットフォームで稼働する開発用 WebLogic Server でアプリケーションをテストできます。たとえば、WebLogic Server アプリケーションを Windows または Linux が動作している PC で開発する場合、そのアプリケーションが最終的にどこにデプロイされるかを考慮する必要はありません。

詳細については、Java EE 仕様 (http://java.sun.com/javaee/5/docs/api/) を参照してください。

 


Java EE アプリケーションとモジュールの概要

BEA WebLogic Server Java EE アプリケーションは、WebLogic Server 上で動作する以下のモジュールまたはアプリケーションのいずれかを含みます。

WebLogic アプリケーションには、以下の WebLogic 固有のモジュールを含めることもできます。

 


Web アプリケーション モジュール

WebLogic Server の Web アプリケーションには、以下のファイルが含まれています。

サーブレット

サーブレットは WebLogic Server で実行される Java クラスであり、クライアントからリクエストを受け取り、そのリクエストを処理して、必要に応じてクライアントに応答を返します。HttpServlet は主に、Web ブラウザのリクエストに応えて動的な Web ページを生成するために使用します。

JavaServer Pages

JavaServer Pages (JSP) は、Java コードを Web ページに埋め込むことができる拡張 HTML で記述された Web ページです。JSP では、HTML に似たタグを使用して、タグ ライブラリと呼ばれるカスタム Java クラスを呼び出すことができます。appc コンパイラは、JSP をコンパイルし、サーブレットに変換します。WebLogic Server では、サーブレット クラス ファイルが存在しないか、または JSP ソース ファイルよりもタイムスタンプが古い場合に JSP が自動的にコンパイルされます。「wlappc を使用したモジュールおよびアプリケーションのビルド」を参照してください。

サーバでのコンパイルを避けるために、あらかじめ JSP をコンパイルし、サーブレット クラスを Web アプリケーション (WAR) ファイルにパッケージ化することもできます。サーブレットおよび JSP では、Web アプリケーションと共にデプロイするヘルパー クラスがさらに必要な場合があります。

Web アプリケーション モジュールの詳細

以下のドキュメントを参照してください。

 


エンタープライズ JavaBean モジュール

エンタープライズ JavaBean (EJB) は、ビジネス タスクまたはエンティティを実装するサーバサイド Java モジュールで、EJB 仕様に基づいて記述されています。EJB には、セッション Bean、エンティティ Bean、およびメッセージ駆動型 Bean の 3 種類があります。

エンタープライズ JavaBeans (EJB) 3.0 は、コンポーネント ベースのビジネス アプリケーションを開発およびデプロイするための Java EE 5 技術です。EJB 2.X 以前の EJB は強力で有用な技術ですが、プログラミング モデルは複雑で分かりにくく、非常に単純な EJB でも複数の Java ファイルとデプロイメント記述子を作成する必要がありました。このような複雑さが、EJB の普及を妨げていました。

そのため、EJB 仕様バージョン 3.0 では、EJB をより簡単にプログラムできるようにすることが目標の 1 つになっています。具体的には、必要となるプログラミング アーティファクトの数を減らし、Bean ファイルをより簡単かつ直感的にプログラミングできるようにする EJB 固有のメタデータ アノテーションのセットが導入されています。EJB 3.0 仕様のもう 1 つの目標は、永続性フレームワークを標準化し、エンティティ Bean プログラミング モデルとオブジェクト リレーショナル (O/R) マッピング モデルの複雑さを軽減することです。

Enterprise JavaBeans 3.0 の詳細については、「エンタープライズ JavaBeans 3.0 について」を参照してください。

Enterprise JavaBeans 2.X の詳細については、「エンタープライズ JavaBean について」を参照してください。

EJB の概要

セッション Bean は、単一のセッション時に単一のクライアントに代わって特定のビジネス タスクを実行します。セッション Bean は、ステートフルにもステートレスにもなりますが、永続的ではありません。クライアントでセッション Bean の利用が終わると、その Bean は消えてなくなります。

エンティティ Bean は、データ ストア (通常はリレーショナル データベース システム) のビジネス オブジェクトを表します。永続性 (データのロードと保存) は、Bean で管理される場合とコンテナで管理される場合があります。データ オブジェクトをメモリ内で表現するだけではなく、エンティティ Bean にはそれらが表すビジネス オブジェクトの動作をモデル化するメソッドがあります。エンティティ Bean は、複数のクライアントで同時にアクセスでき、当然ながら永続的です。

コンテナは、メッセージ駆動型 Bean のインスタンスを作成するか、またはインスタンスをプールから割り当てて、メッセージを処理します。JMS 送り先でメッセージが受信されると、メッセージ駆動型 Bean ではメッセージを処理するためにそれ自身のインスタンスがプールから割り当てられます。メッセージ駆動型 Bean は、クライアントとは関連付けられません。メッセージ駆動型 Bean では、到着したメッセージが処理されるだけです。

EJB と WebLogic Server

Java EE では、EJB 仕様をサポートする EJB サーバの間でモジュールを確実に移植できるように、開発とデプロイメントのロールが明確に区別されます。WebLogic Server に EJB をデプロイするには、その EJB のセキュリティ、トランザクション、およびライフ サイクルの各ポリシーを実行するクラスを生成する WebLogic Server appc コンパイラが動作している必要があります。「wlappc を使用したモジュールおよびアプリケーションのビルド」を参照してください。

Java EE 指定のデプロイメント記述子 ejb-jar.xml では、EJB アプリケーションにパッケージ化されたエンタープライズ Bean が記述されます。この記述子では、Bean のタイプと名前、そしてホーム インタフェースとリモート インタフェースおよび実装クラスの名前が定義されます。また、ejb-jar.xml デプロイメント記述子では、Bean のセキュリティ ロールおよび Bean のメソッドのトランザクション動作も定義されます。

追加のデプロイメント記述子では、WebLogic 固有のデプロイメント情報が提供されます。コンテナ管理のエンティティ Bean 固有の weblogic-cmp-rdbms-jar.xml デプロイメント記述子では、Bean がデータベースのテーブルにマップされます。weblogic-ejb-jar.xml デプロイメント記述子では、クラスタ化やキャッシュのコンフィグレーションといった WebLogic Server 環境に固有の追加情報が提供されます。

 


コネクタ モジュール

コネクタ (リソース アダプタとも呼ぶ) には Java、および必要に応じて、エンタープライズ情報システム (EIS) と対話するために必要なネイティブ モジュールが含まれています。WebLogic Server 環境にデプロイされたリソース アダプタを使用すると、Java EE アプリケーションでリモート EIS にアクセスできるようになります。WebLogic Server アプリケーションの開発者は、HTTP サーブレット、JavaServer Pages (JSP)、エンタープライズ JavaBean (EJB)、およびその他の API を使用して、EIS のデータとビジネス ロジックを使う統合アプリケーションを開発できます。

WebLogic Server にリソース アダプタをデプロイするには、まず WebLogic Server 固有のデプロイメント記述子である weblogic-ra.xml ファイルを作成してコンフィグレーションし、これをデプロイメント ディレクトリに追加する必要があります。WebLogic Server へのリソース アダプタのデプロイは、スタンドアロン モジュールとしてでも、エンタープライズ アプリケーションの一部としてでも行えます。「エンタープライズ アプリケーション」を参照してください。

コネクタの詳細については、『WebLogic リソース アダプタ プログラマーズ ガイド』を参照してください。

 


エンタープライズ アプリケーション

エンタープライズ アプリケーションは、1 つまたは複数の Web アプリケーション モジュール、EJB モジュール、およびリソース アダプタで構成されています。また、クライアント アプリケーションが含まれていることもあります。エンタープライズ アプリケーションは必要に応じて、エンタープライズ アプリケーションの標準 J2EE デプロイメント記述子である application.xml ファイルによって定義できます。

Java EE プログラミング モデル

Java EE プログラミング モデルの重要な点は、メタデータ アノテーションが導入されたことです。アノテーションを使用すると、コンテナ内でのアプリケーションの動作、依存性注入の要求方法などを Java クラス自体の中で指定でき、アプリケーションの開発プロセスを簡略化できます。アノテーションは、エンタープライズ アプリケーションの以前のバージョン (1.4 以前) で必要だったデプロイメント記述子に代わるものです。

Java EE アノテーションの使用により、標準の application.xml および web.xml デプロイメント記述子は省略可能になりました。Java EE プログラミング モデルでは、EJB、サーブレット、Web アプリケーション、JSP などの Web コンテナに対して JDK 5.0 アノテーション機能を採用しています。「Java EE アノテーションと依存性注入の使用」を参照してください。

WebLogic Server 固有の拡張機能が含まれているアプリケーションの場合は、さらに weblogic-application.xml でも定義されます。クライアント モジュールを含むエンタープライズ アプリケーションには、application-client.xml デプロイメント記述子と WebLogic 実行時クライアント アプリケーション デプロイメント記述子も備わっています。「エンタープライズ アプリケーションのデプロイメント記述子の要素」を参照してください。

パッケージ化とデプロイメントの概要

プロダクション目的の場合と開発目的の場合の双方において、スタンドアロンの Web アプリケーション、EJB、およびリソース アダプタであっても、エンタープライズ アプリケーションの一部としてパッケージ化およびデプロイすることをお勧めします。それにより、アプリケーション開発を大幅に容易化する BEA の新しい分割開発ディレクトリ構造を利用できるようになります。「分割開発ディレクトリ環境の作成」を参照してください。

エンタープライズ アプリケーションは、Web アプリケーション モジュール、EJB モジュール、およびリソース アダプタで構成されています。これは次のようにパッケージ化できます。

省略可能な META-INF/application.xml デプロイメント記述子には、各 Web アプリケーション、EJB、およびコネクタ モジュールの要素のほか、セキュリティ ロールやアプリケーション リソース (データベースなど) を記述するための追加の要素があります。この記述子が存在する場合、WebLogic デプロイヤは、この記述子からモジュールのリストを選択します。ただし、この記述子が存在しない場合、コンテナは POJO (プレーンな従来型 Java オブジェクト) クラスで定義されるアノテーションから、モジュールを推測します。「エンタープライズ アプリケーションのデプロイメント記述子の要素」を参照してください。

 


WebLogic Web サービス

Web サービスは、分散型 Web ベース アプリケーションのモジュールとして共有され、使用されます。これらのサービスは一般的に、CRM (カスタマ リレーションシップ マネージメント) システム、注文処理システムなどの既存のバックエンド アプリケーションと連携します。Web サービスは別々のコンピュータ上に常駐でき、多様なテクノロジを使用して実装することができますが、HTTP などの標準の Web プロトコルを使用してパッケージ化され転送されます。そのため、Web 上のどのようなユーザでも簡単にアクセスできます。『WebLogic Web サービス入門』を参照してください。

Web サービスは、次のモジュールで構成されています。

 


JMS および JDBC モジュール

JMS および JDBC のコンフィグレーションは、それぞれ weblogic-jmsmd.xsd および weblogic-jdbc.xsd スキーマに準拠する XML ファイルによって定義されたモジュールの形で格納されます。これらのモジュールは、標準の Java EE モジュールに似ています。管理者は、グローバルなシステム リソースとして、Java EE アプリケーションと共にパッケージ化されるモジュール (パッケージ化されたリソース) として、またはグローバルに使用可能なスタンドアロンのモジュールとして、JMS および JDBC モジュールを作成したり管理したりできます。

JMS および JDBC リソースのモジュール形式のデプロイメントを利用すると、エンタープライズ アプリケーション ファイル (EAR ファイルなど) や JMS または JDBC のスタンドアロン モジュールを開いたり、JMS や JDBC の手動による膨大な再コンフィグレーションを行わずに、アプリケーションと必要な JMS または JDBC コンフィグレーションを、ある環境から別の環境に (たとえば、テスト環境からプロダクション環境に) 移行できます。

アプリケーション開発者は、エンタープライズ レベルの IDE または XML ファイルの編集に対応した開発ツールでアプリケーション モジュールを作成し、その JMS または JDBC モジュールをアプリケーションの一部としてパッケージ化して、そのアプリケーションをデプロイするために WebLogic 管理者に渡します。

詳細については、以下を参照してください。

 


WebLogic 診断フレームワーク モジュール

WebLogic 診断フレームワーク (WLDF) では、BEA WebLogic Server インスタンスおよびサーバ インスタンスにデプロイされたアプリケーションから診断データを生成、収集、解析、永続化できます。サーバ スコープの診断では、一部の WLDF 機能は、ドメインのコンフィグレーションの一部としてコンフィグレーションされます。その他の機能は、サーバ (またはクラスタ) を対象指定できるシステム リソース記述子としてコンフィグレーションされます。アプリケーション スコープの診断では、診断機能は、アプリケーションのリソース記述子としてコンフィグレーションされます。

アプリケーション スコープのインスツルメンテーションは、診断システム モジュールによく似た診断モジュールとしてコンフィグレーションおよびデプロイされます。ただし、アプリケーション モジュールは、アプリケーション アーカイブでパッケージ化された weblogic-diagnostics.xml という XML コンフィグレーション ファイルでコンフィグレーションされます。

アプリケーション用にインスツルメンテーションをコンフィグレーションする詳細な手順については、「アプリケーション スコープのインスツルメンテーションのコンフィグレーション」を参照してください。

 


XML デプロイメント記述子

「デプロイメント コンフィグレーション」は、特定の WebLogic Server ドメインにエンタープライズ アプリケーションをデプロイするために必要となるデプロイメント記述子の値を定義するプロセスです。アプリケーションまたはモジュールに関するデプロイメント コンフィグレーションは、Java EE デプロイメント記述子、WebLogic Server 記述子、および WebLogic Server デプロイメント プランという、3 種類の XML ドキュメントに格納されます。この節では、Java EE および WebLogic 固有のデプロイメント記述子について説明します。デプロイメント プランについては、「デプロイメント プラン」を参照してください。

Java EE プログラミング モデルでは、EJB、サーブレット、Web アプリケーション、JSP などの Web コンテナに対して JDK 5.0 アノテーション機能を採用しています。アノテーションを使用すると、コンテナ内でのコンポーネントの動作、依存性注入の要求方法などを Java クラス自体の中で指定でき、アプリケーションの開発プロセスを簡略化できます。アノテーションは、以前のバージョンの Web アプリケーション (2.4 以前)、エンタープライズ アプリケーション (1.4 以前)、およびエンタープライズ JavaBean (2.x 以前) で必要だったデプロイメント記述子に代わるものです。「Java EE アノテーションと依存性注入の使用」を参照してください。

しかしながら、デプロイメント記述子は、エンタープライズ アプリケーションで完全にサポートされます。ただし、J2EE 標準のデプロイメント記述子は必須ではありません。たとえば、従来の EJB 2.x プログラミング モデルを使用したい場合や、後々の開発やデプロイメントの段階でより細かくカスタマイズできるようにしたい場合、メタデータ アノテーションに加えて (またはメタデータ アノテーションの代わりに) 標準のデプロイメント記述子を作成できます。

モジュールとアプリケーションには、ディレクトリまたは JAR ファイルの内容を記述したデプロイメント記述子という XML ドキュメントが組み込まれています。デプロイメント記述子は、XML タグでフォーマットされたテキスト ドキュメントです。Java EE 仕様では、Java EE モジュールおよびアプリケーション用の標準的で移植性の高いデプロイメント記述子が定義されています。BEA では、モジュールまたはアプリケーションを WebLogic Server 環境にデプロイするときに使用する WebLogic 固有のデプロイメント記述子をさらに定義しています。

表 1-1 に、モジュールとアプリケーションのタイプと、それらの Java EE 標準および WebLogic 固有のデプロイメント記述子を示します。

注意 : 次の表にリストされている WebLogic デプロイメント記述子の XML スキーマには、WebLogic 固有のすべてのデプロイメント記述子で共有される要素を記述する weblogic-javaee.xsd スキーマの要素も含まれています。
表 1-1 Java EE と WebLogic のデプロイメント記述子
モジュールまたは
アプリケーション
スコープ
デプロイメント記述子
Web アプリケーション
Java EE
web.xml
WebLogic
weblogic.xml
『WebLogic Server Web アプリケーション、サーブレット、JSP の開発』の「weblogic.xml デプロイメント記述子の要素」を参照。
エンタープライズ Bean 3.0
Java EE
ejb-jar.xml
WebLogic
weblogic-ejb-jar.xml
persistence-configuration.xml
エンタープライズ Bean 2.1
J2EE
ejb-jar.xml
WebLogic
weblogic-ejb-jar.xml
『WebLogic エンタープライズ JavaBeans (EJB) プログラマーズ ガイド』の「weblogic-ejb-jar.xml デプロイメント記述子のリファレンス」を参照。
weblogic-cmp-rdbms-jar.xml
『WebLogic エンタープライズ JavaBeans (EJB) プログラマーズ ガイド』の「weblogic-cmp-jar.xml デプロイメント記述子のリファレンス」を参照。
Web サービス
Java EE
webservices.xml
WebLogic
weblogic-webservices.xml
『WebLogic Web サービス リファレンス ガイド』の「WebLogic Web サービス デプロイメント記述子要素のリファレンス」を参照。
リソース アダプタ
Java EE
ra.xml
WebLogic
weblogic-ra.xml
『WebLogic リソース アダプタ プログラマーズ ガイド』の「weblogic-ra.xml スキーマ」を参照。
エンタープライズ アプリケーション
Java EE
application.xml
WebLogic
weblogic-application.xml
クライアント アプリケーション
Java EE
application-client.xml
WebLogic
weblogic-appclient.xml
『スタンドアロン クライアント プログラマーズ ガイド』の「Java EE アプリケーション クライアント (シン クライアント) の開発」を参照。
JMS モジュール
WebLogic
FileName-jms.xmlFileName には任意の名前を指定する。
『WebLogic JMS のコンフィグレーションと管理』の「JMS アプリケーション モジュールのデプロイメントのコンフィグレーション」を参照。
JDBC モジュール
WebLogic
FileName-jdbc.xmlFileName には任意の名前を指定する。
『WebLogic JDBC のコンフィグレーションと管理』の「JDBC アプリケーション モジュールのデプロイメントのコンフィグレーション」を参照。
WLDF モジュール
WebLogic
weblogic-diagnostics.xml
『WebLogic 診断フレームワークのコンフィグレーションと使い方』の「WLDF アプリケーション モジュールのデプロイメント」を参照。

モジュールまたはアプリケーションをパッケージ化する場合は、デプロイメント記述子を格納するディレクトリ (WEB-INF または META-INF) を作成し、次にそのディレクトリ内に XML デプロイメント記述子を作成します。

デプロイメント記述子の自動生成

WebLogic Server では、デプロイメント記述子を自動生成するためのさまざまなツールを用意しています。これらについては、これ以降の節で説明します。

EJBGen

EJBGen は、Javadoc マークアップを使用して EJB デプロイメント記述子ファイルを生成するエンタープライズ JavaBeans 2.x のコード ジェネレータ (コマンドライン ツール) です。Bean クラス ファイルに Javadoc タグでアノテーションを付け、EJBGen を使用してリモート クラスとホーム クラス、および EJB アプリケーション用のデプロイメント記述子ファイルを生成し、EJB .java および記述子ファイルの編集および管理が必要なファイルを 1 つに減らせます。『WebLogic エンタープライズ JavaBeans (EJB) プログラマーズ ガイド』の「EJBGen リファレンス」を参照してください。

Java ベースのコマンドライン ユーティリティ

WebLogic Server には、Web アプリケーションやエンタープライズ アプリケーションの標準 Java EE デプロイメント記述子と WebLogic 固有のデプロイメント記述子の双方を自動的に生成する Java ベースのコマンドライン ユーティリティがあります。

これらのコマンドライン ユーティリティは、ステージング ディレクトリにアセンブルしたクラスを検証し、サーブレット クラスなどを基に適切なデプロイメント記述子を構築します。以下のようなユーティリティがあります。

たとえば、DDInit では、Web アプリケーションを構成する JSP ファイルやその他のオブジェクトを含む c:\stage というディレクトリを作成したものの、web.xml および weblogic.xml デプロイメント記述子を作成していない場合があります。それらを自動的に生成するには、次のコマンドを実行します。

   prompt> java weblogic.marathon.ddinit.WebInit c:\stage

ユーティリティによって web.xml および weblogic.xml デプロイメント記述子が生成され、WEB-INF ディレクトリに配置されます (WEB-INF ディレクトリがない場合は DDInit によって作成されます)。

以前のリリースの J2EE および WebLogic Server のデプロイメント記述子のアップグレード

WebLogic Server の新しいリリースにアプリケーションを移行する場合は、現行の Java EE 仕様と WebLogic Server のリリースの機能をアプリケーションで利用できるように、必ずデプロイメント記述子をアップグレードしておくことをお勧めします。

J2EE アプリケーションとモジュールのデプロイメント記述子をアップグレードするには、まず weblogic.DDConverter ツールを使用して、アップグレードした記述子を一時ディレクトリに生成します。アップグレードしたデプロイメント記述子を調べて、その記述子が正しいことを確認したら、新しいデプロイメント記述子ファイルを持つ J2EE モジュール アーカイブまたは展開されたディレクトリを再パッケージ化します。

次のコマンドで weblogic.DDConverter を呼び出します。

prompt> java weblogic.DDConverter [options] archive_file_or_directory

archive_file_or_directory は、エンタープライズ アプリケーション、Web アプリケーション、EJB、リソース アダプタのアーカイブ ファイル (EAR、WAR、JAR、RAR) または展開されたディレクトリです。

次の表では、weblogic.DDConverter コマンド オプションを説明します。

表 1-2 weblogic.DDConverter コマンド オプション
オプション
説明
-d <dir>
記述子が作成されるディレクトリを指定する。
-help
標準の使い方メッセージを出力する。
-quiet
エラー メッセージを除く出力メッセージをオフにする。
-verbose
デバッグで使用する追加出力をオンにする。

次の例では、weblogic.DDConverter コマンドを使用して、my.ear エンタープライズ アプリケーションのアップグレードされたデプロイメント記述子をカレント ディレクトリのサブディレクトリ tempdir に生成する方法を示します。

prompt> java weblogic.DDConverter -d tempdir my.ear

 


デプロイメント プラン

「デプロイメント プラン」は、特定の WebLogic Server 環境のためのアプリケーションの WebLogic Server デプロイメント コンフィグレーションを定義する、XML ドキュメントです。デプロイメント プランは、アプリケーションのアーカイブ ファイルの外部にあり、アプリケーションの既存の WebLogic Server デプロイメント記述子に格納されているデプロイメント プロパティに対して変更を適用することができます。デプロイメント プランを使用すると、Java EE や WebLogic 固有の既存のデプロイメント記述子を修正することなく、特定の環境についてのアプリケーションの WebLogic Server コンフィグレーションを簡単に変更できます。複数のデプロイメント プランを使用すると、単一のアプリケーションを、複数のさまざまな WebLogic Server 環境にデプロイされるように再コンフィグレーションできます。

プログラマは、アプリケーションのプログラミングが完了したら、デプロイメント コンフィグレーションをエクスポートして、アプリケーションを新しい WebLogic Server 環境にデプロイするために管理者が使用できる、カスタム デプロイメント プランを作成します。そして、アプリケーションを環境に合わせてコンフィグレーションするための青写真としてデプロイメント プランを使用するデプロイヤ (たとえば、テスト管理者、ステージング管理者、またはプロダクション管理者) に、アプリケーション デプロイメント ファイルとカスタム デプロイメント プランの双方を配布します。

BEA WebLogic Server では、アプリケーションのデプロイメント コンフィグレーションのエクスポートを支援するための以下のツールを用意しています。

デプロイメント プランの作成と使用方法の詳細については、以下を参照してください。

 


開発ソフトウェア

この節では、WebLogic Server アプリケーションを開発するための必須ツールや省略可能なツールについて説明します。

Apache Ant

WebLogic Server によるアプリケーションのビルド方法としては、Apache Ant が最適です。Ant は、Java ベースのビルド ツールです。Ant の利点の 1 つは、これがシェルベースのコマンドではなく、Java クラスで拡張されていることです。WebLogic Server 分割開発ディレクトリ環境を使用してアプリケーションをコンパイル、ビルド、デプロイ、パッケージ化するためのさまざまな Ant 拡張クラスを利用できます。

もう 1 つの利点は、Ant がクロスプラットフォーム ツールであるということです。開発者は、eXtensible Markup Language (XML) で、Ant によるスクリプトを作成します。XML タグは構築対象、対象間の依存性、および対象を構築するための実行タスクを定義します。Ant ライブラリは WebLogic Server に付属していて、製品パッケージから Java アプリケーションを簡単に構築できるようになっています。

Ant を使用するには、まず WL_SERVER\samples\domains\wl_server ディレクトリ (WL_SERVER は WebLogic Server インストール ディレクトリ) にある setExamplesEnv.cmd (Windows) または setExamplesEnv.sh (UNIX) コマンドを実行して、環境を設定する必要があります。

Ant の機能の包括的な説明については、http://jakarta.apache.org/ant/manual/index.html を参照してください。

注意 : Apache Jakarta の Web サイトでは、Ant の最新バージョンに関するオンライン ドキュメントのみを公開しています。この Ant は、WebLogic Server に同梱されているものとはバージョンが異なる可能性があります。WebLogic Server に同梱されている Ant のバージョンを調べるには、WebLogic 環境の設定後、次のコマンドを実行します。
注意 : prompt> ant -version
注意 : 特定のバージョン (たとえば、WebLogic Server に含まれるバージョン) の Ant のドキュメントを参照するには、http://archive.apache.org/dist/ant/binaries/ から Ant の zip ファイルをダウンロードして、ドキュメントを展開します。

クロスプラットフォーム スクリプトをコンパイルする Ant の使い方、または Ant によって処理可能な XML スクリプトを作成するクロスプラットフォーム スクリプトの使い方については、WL_HOME/samples/server/examples/src/examples/ejb20/basic/beanManaged/build.xml などの任意の WebLogic Server サンプルを参照してください。

また、Ant を使ってサンプルを構築する方法を説明した WebLogic Server ドキュメント (WL_HOME/samples/server/examples/src/examples/examples.html) も参照してください。

サード パーティ バージョンの Ant を使用する

WebLogic Server に同梱されている Ant が不十分な場合は、独自のバージョンの Ant を使用できます。WebLogic Server に同梱されている Ant のバージョンを判断するには、WebLogic 環境の設定後、次のコマンドを実行します。

   prompt> ant -version

別のバージョンの Ant を使用する予定がある場合は、WL_HOME\server\lib\ant ディレクトリの適切な JAR ファイルを更新されたバージョンのファイルで置き換えるか、新しいファイルを CLASSPATH の前に追加します。なお、WL_HOME は、WebLogic のメイン インストール ディレクトリ (c:\bea\wlserver_10.0 など) です。

Ant のヒープ サイズを変更する

デフォルトでは、環境スクリプトは 128 MB のヒープ サイズを Ant に割り当てます。ローカル環境変数 ANT_OPTS-X オプションを設定すると、この値を独自のプロジェクトに合わせて増減できます。次に例を示します。

   prompt> setenv ANT_OPTS=-Xmx128m

ヒープ サイズを永続的に設定する場合は、環境を設定するスクリプトの MEM_ARGS 変数を追加または更新し、WebLogic Server を起動するなどの操作を行います。次の、WebLogic Server インスタンスを起動する Windows コマンド スクリプトの抜粋を参照してください。

   set MEM_ARGS=-Xms32m -Xmx200m

MEM_ARGS 変数の使用例については、WL_HOME/server/bin のスクリプトとコマンドを参照してください。

ソース コード エディタまたは IDE

Java ソース ファイル、コンフィグレーション ファイル、HTML または XML ページ、および JavaServer Pages の編集には、テキスト エディタが必要です。Windows と UNIX の行末の違いを適切に処理するエディタが望ましいですが、それ以外に特別な要件は何もありません。HTML/XML ページおよび JavaServer Pages は、通常のテキスト エディタか、または DreamWeaver などの Web ページ エディタで編集できます。XML ページの場合、DTD 検証機能を備えたエンタープライズ レベルの IDE、または XML ファイルの編集をサポートするその他の開発ツールを使用できます。

データベース システムと JDBC ドライバ

データベース システムは、ほぼすべての WebLogic Server アプリケーションで必要となります。標準 JDBC ドライバを介してアクセスできる任意の DBMS を使用できますが、WebLogic Java Message Service (JMS) などのサービスでは、Oracle、Sybase、Informix、Microsoft SQL Server、IBM DB2、または PointBase をサポートする JDBC ドライバが必要です。サポート対象のデータベース システムと JDBC ドライバについては、「サポート対象のコンフィグレーション」を参照してください。

Web ブラウザ

ほとんどの Java EE アプリケーションは、Web ブラウザ クライアントによって実行されるように設計されています。WebLogic Server は HTTP 1.1 仕様をサポートしており、Firefox および Microsoft Internet Explorer ブラウザの現行バージョンでテストされています。

作成するアプリケーションの条件を書き出す場合、どの Web ブラウザ バージョンをサポートするかに留意してください。テスト プランは、サポートするバージョンごとに作成します。バージョン番号とブラウザ コンフィグレーションは明確に指定します。作成するアプリケーションはセキュア ソケット レイヤ (SSL) プロトコルをサポートしますか。ブラウザの代替セキュリティ設定をテストして、サポートしているセキュリティをユーザに知らせることができるようにします。

アプリケーションがアプレットを使用する場合、さまざまなブラウザに埋め込まれている JVM の違いのために、サポートするブラウザのコンフィグレーションをテストすることが特に重要です。解決策の 1 つは、Sun から Java Plug-in をインストールするようユーザに指示して、すべてのユーザが同じ Java ランタイム バージョンを持つようにすることです。

サード パーティ ソフトウェア

サード パーティのソフトウェア製品を使用して、WebLogic Server 開発環境を強化することができます。「BEA WebLogic Developer Tools Resources」を参照してください。このページには、BEA アプリケーション サーバをサポートする製品の開発者ツール情報が記載されています。

これらのツールをダウンロードするには、「ユーティリティ & ツール」を参照してください。

注意 : ソフトウェア ベンダに問い合わせて、使用しているプラットフォームと WebLogic Server のバージョンにソフトウェアが対応しているかどうかを確認してください。

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