WebLogic のアプリケーション環境のアップグレード

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はじめに

このドキュメントでは、現在のアプリケーション環境を WebLogic 10g リリース 3 (10.3) にアップグレードする手順について説明します。アプリケーション環境には、アプリケーション、デプロイされた WebLogic ドメイン、およびそのドメインに関連するすべてのアプリケーション データが含まれ、場合によってはデータベース サーバ、ファイアウォール、ロード バランサ、LDAP サーバなどの外部リソースも含まれます。

WebLogic Server 10.3 には、ドメイン、カスタム セキュリティ プロバイダ、およびカスタム ノード マネージャをアップグレードする WebLogic アップグレード ウィザードなど、アプリケーション環境のアップグレードに役立つ強力なツールがあります。

ほとんどの WebLogic Server アプリケーションは、修正を加えることなく WebLogic Server 10.3 の新たなアプリケーション環境で動作します。

以下の節では、この章で説明するトピックについて概説します。

 


重要な用語

次のトピックに進む前に、次の用語の説明をお読みください。

 


アップグレード プロセスの概要

アプリケーション環境のアップグレードに必要なプロセスは、アプリケーション スコープにより異なります。アプリケーション環境は、WebLogic ドメインとそれに関連付けられているアプリケーションおよびアプリケーション データで構成されます。また、アプリケーション環境には、ファイアウォール、ロード バランサ、LDAP サーバなどの外部リソースも含まれます。図 1-1 に、WebLogic のアプリケーション環境の例を示します。

図 1-1 WebLogic のアプリケーション環境の例

WebLogic のアプリケーション環境の例

表 1-1 に、図 1-1 に示されている WebLogic アプリケーション環境のコンポーネントとそのアップグレード要件を示します。

表 1-1 図 1-1 に示されている WebLogic のアプリケーション環境のコンポーネントのアップグレード要件
コンポーネント
説明
アップグレード要件
WebLogic ドメイン
管理サーバ (AS) と必要に応じて 1 台または複数の管理対象サーバ (MS1、MS2、MS3、MS4 など) で構成される。ドメイン内のサーバは、複数のマシンにまがたる場合がある。さらに、重要なアプリケーションにロード バランシングとフェイルオーバ保護を適用できるよう管理対象サーバをクラスタとしてグループ化することができる。WebLogic ドメインの詳細については、『ドメインのコンフィグレーションについて』の「WebLogic Server ドメインについて」を参照。
ドメイン内のすべてのマシンのドメイン ディレクトリをアップグレードする。
カスタム セキュリティ プロバイダ
カスタム セキュリティ要件をサポートする。カスタム セキュリティ プロバイダの開発については、『WebLogic セキュリティ プロバイダの開発』を参照。
ドメイン内のすべてのマシンのカスタム セキュリティ プロバイダをアップグレードする。
ノード マネージャ
管理対象サーバで高可用性を実現する。ノード マネージャの詳細については、『ノード マネージャ管理者ガイド』の「ノード マネージャの概要」を参照。
ドメイン内のすべてのマシンのカスタム ノード マネージャをアップグレードする。
アプリケーション
Web アプリケーションや EJB などを含むすべての Java EE アプリケーション。一般的に、アプリケーションはドメイン内の 1 つまたは複数の管理対象サーバにデプロイされる。デプロイメント方法に応じて、アプリケーションはマシン上にローカルに配置されたり、共有ディレクトリからアクセスされる。さらに、外部クライアント アプリケーションがファイアウォールの外側からアプリケーション環境にアクセスすることも可能である。
ほとんどの WebLogic Server アプリケーションは、修正を加えることなく WebLogic Server 10g リリース 3 (10.3) の新たなアプリケーション環境で動作する。詳細については、「旧リリースとの相互運用性および互換性」を参照。
外部リソース
ドメインとアプリケーション データを格納するためのデータベース、ロード バランサ、ファイアウォールなどのソフトウェア コンポーネント。
すべての外部リソースが WebLogic Server 10.3 と互換性があることを確認する。詳細については、以下を参照。

 


アップグレード ウィザードによる容易なアップグレード プロセス

WebLogic アップグレード ウィザードは、WebLogic Server 7.0 または 8.1 に対応の WebLogic ドメインを、WebLogic Server 10.3 アプリケーション環境で実行できるようアップグレードするために必要な手順を、ウィザードに従って進めることができます。アップグレード プロセスの一部として、ドメインで使用されているカスタム セキュリティ プロバイダおよびノード マネージャもアップグレードする必要があります。

また、WebLogic アップグレード ウィザードを使用して、WebLogic Server 9.x または 10.0 と互換性のある WebLogic ドメインを 10.3 にアップグレードすることもできますが、これは任意です。この種類のドメインは、変更せずに WebLogic Server 10.3 で実行できます。

アップグレード プロセスは、グラフィカル ユーザ インタフェース (GUI) を使用して対話形式で実行、またはスクリプトを作成してメッセージを通知しない形式で実行することができます。サイレント モードは、WebLogic Server ドメインのアップグレードでのみサポートされています。

 


旧リリースとの相互運用性および互換性

WebLogic Server 10.3 で動作するアプリケーション環境は、WebLogic Server 7.0、8.1、9.x、または 10.0 で構築されたアプリケーション環境と相互運用できます。

ほとんどの既存の WebLogic Server アプリケーションは、修正を加えることなく WebLogic Server 10.3 の新たなアプリケーション環境で動作します。実際の環境においてアプリケーションが機能変更の影響を受けるかどうかについては、「WebLogic Server 10.3 の旧リリースとの互換性」で互換性情報を確認してください。アプリケーションで非推奨になった API または削除された API が使用されている場合は、実行時に警告または例外が発生するおそれがあります。


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