WebLogic Web サービスのセキュリティ

     前  次    新しいウィンドウで目次を開く     
ここから内容の開始

Web サービス セキュリティの概要

この章では、Web サービス セキュリティをコンフィグレーションする方法について説明します。

 


Web サービス セキュリティの概要

WebLogic Web サービスを保護するには、以下の 3 種類の異なるセキュリティを 1 つまたは複数コンフィグレーションします。

表 1-1 Web サービス セキュリティ
セキュリティのタイプ
説明
メッセージレベルのセキュリティ
SOAP メッセージのデータをデジタル署名または暗号化する。認証用の ID トークンを含めることもできる。「メッセージレベルのセキュリティのコンフィグレーション」を参照。
転送レベルのセキュリティ
SSL を使用してクライアント アプリケーションと Web サービスの間の接続を保護する。「転送レベルのセキュリティのコンフィグレーション」を参照。
アクセス制御のセキュリティ
Web サービスにアクセスできるロールを指定する。「アクセス制御セキュリティのコンフィグレーション (JAX-RPC のみ)」を参照。

 


どのタイプのセキュリティをコンフィグレーションすべきか

メッセージレベルのセキュリティでは、SSL のすべてのセキュリティ上のメリットに、柔軟性と機能が追加されます。メッセージレベルのセキュリティはエンド ツー エンドです。つまり、SOAP メッセージは転送の過程でいくつ仲介機能があっても保護されます。接続だけでなく、SOAP メッセージ自体がデジタル署名および暗号化されます。また、メッセージの個々の部分や要素のみを署名または暗号化したり、必須にするよう指定できます。これに対し、転送レベルのセキュリティでは接続そのものしか保護されません。つまり、クライアントと WebLogic Server の間にルータやメッセージ キューなどの仲介機能がある場合、その仲介機能は SOAP メッセージをプレーン テキストで取得します。仲介機能から次の送信先にメッセージが送信されたとき、その受信側では元々そのメッセージがどこから来たのかわかりません。また、SSL で使用される暗号化は「オール オア ナッシング」です。つまり、SOAP メッセージの全体が暗号化されるか、あるいはまったく暗号化されないかのいずれかになります。SOAP メッセージの一部だけを選択して暗号化することはできません。メッセージレベルのセキュリティには認証用の ID トークンを含めることができます。

転送レベルのセキュリティでは、クライアント アプリケーションと WebLogic Server の間の接続がセキュア ソケット レイヤ (SSL) で保護されます。SSL では、ネットワーク接続している 2 つのアプリケーションが互いの ID を認証できるようにするとともに、アプリケーション間でやりとりされるデータを暗号化することでセキュアな接続が実現します。認証を使用すると、サーバは (場合によってはクライアントも) ネットワーク接続の相手側アプリケーションの ID を検証できます。クライアント証明書 (双方向 SSL) を使用してユーザを認証できます。

ネットワーク経由で送信されるデータは暗号化されるので、予定されている宛先以外には解釈できません。

転送レベルのセキュリティには SSL だけでなく HTTP 基本認証が含まれます。

アクセス制御のセキュリティは、「誰が何を実行できるか」という質問の回答となります。まず、Web サービスへのアクセスが許可されているセキュリティ ロールを指定します。セキュリティ ロールとは、特定の条件に基づいてユーザまたはグループに付与される特権です。次に、クライアント アプリケーションが Web サービスのオペレーションを呼び出そうとするときに、そのクライアントは WebLogic Server に対して自身を認証し、権限がある場合はその呼び出しを続行することができます。アクセス制御セキュリティは、WebLogic Server のリソースのみを保護します。つまり、アクセス制御のセキュリティしかコンフィグレーションされていない場合は、クライアント アプリケーションと WebLogic Server の接続が保護されず、SOAP メッセージはプレーン テキストになります。


  ページの先頭       前  次