WebLogic 診断フレームワークのコンフィグレーションと使い方

     前  次    新しいウィンドウで目次を開く     
ここから内容の開始

式でのワイルドカードの使用

WLDF では、<harvested-instance> 要素内のインスタンス名にワイルドカードを使用できます。また、<harvested-attribute> 要素の属性指定でドリルダウン機能とワイルドカード機能を使用できます。

ハーベスタの監視ルールではインスタンス名に同じワイルドカード機能を使用できるだけでなく、複合属性も指定できます。

これらの機能については、以下の節で説明します。

 


ハーベスタ インスタンス名にワイルドカードを使用

<harvested-instance> 要素内でインスタンス名を指定する場合、以下の処理が可能です。

コード リスト C-1 におけるインスタンスの指定では、WorkManagerRuntimeMBean のすべてのインスタンスが収集されることを示しています。これは、<harvested-type> 宣言内でインスタンス名修飾を 1 つも指定しないのと同じです。

コード リスト C-1 MBean のすべてのインスタンスの収集
<harvested-type>
  <name>weblogic.management.runtime.WorkManagerRuntimeMBean</name>
  <harvested-instance>*<harvested-instance>
  <known-type>true</known-type>
  <harvested-attribute>PendingRequests</harvested-attribute>
</harvested-type>

コード リスト C-2 の例では、JMX ObjectName パターンを <harvested-instance> 値として示しています。

コード リスト C-2 JMX ObjectName パターンの使用
<harvested-type>
  <name>com.acme.CustomMBean</name>
  <harvested-instance>adomain:Type=MyType,*</harvested-instance>
  <known-type>false</known-type>
</harvested-type>

コード リスト C-3 の例では、ObjectName プロパティ リストの一部の値でワイルドカードが指定されています。

コード リスト C-3 プロパティ リストでのワイルドカードの使用
<harvested-type>
  <name>com.acme.CustomMBean</name>
  <harvested-instance>adomain:Type=My*,Name=*,*</harvested-instance>
  <known-type>false</known-type>
</harvested-type>

コード リスト C-4 の例では、com.acme.CustomMBean のすべてのインスタンス (名前に「Name=mybean」で指定した文字列が含まれるインスタンス) の収集可能なすべての属性が収集されることを示しています。

コード リスト C-4 複数のインスタンスのすべての属性の収集
<harvested-type>
  <name>coma.acme.CustomMBean</name>
  <harvested-instance>*Name=mybean*</harvested-instance>
  <known-type>true</known-type>
</harvested-type>

 


ハーベスタの複合属性およびネストされた属性の指定

ハーベスタは、MBean の複合属性内にネストされたメトリック値にアクセスできます。複合属性とは、マップ、リスト オブジェクト、単純な POJO、またはこれらのオブジェクトがさまざまな形でネストされたものを指します。次に例を示します。

さらに、リスト インデックスやマップ キーにワイルドカードを使用して、これらの集合内の複数の要素を指定することができます。以下のワイルドカードを使用できます。

また、カンマ区切りのリストを使用して個々のキー値のセットを指定することもできます。

次に例を示します。

最後の例では、リストのインデックスとして、およびネストされたマップ オブジェクトに対するキー値としてワイルドカード「*」が使用されており、ネストされた値の配列が返されます。

次のように、カンマ区切りのマップ キー リストにワイルドカード「*」を埋め込むこともできます。

  aList[*](key1,*,keyN)

これは、すべてのマップ キーを指定しているのと同じです。

  aList[*](*)
注意 : 先頭または末尾のスペースは、マップ キーを二重引用符で囲まない限りマップ キーから取り除かれます。
注意 : マップ キー パターンを使用すると、大量の要素がスキャンまたは返される場合があります。マップ内の要素数に応じて、パターン マッチがパフォーマンスに与える影響も大きくなります。
注意 : パターン マッチの複雑度に応じて、処理時間も長くなります。

ServerRuntime MBean の HealthState 属性のネストされた State プロパティを収集するドリルダウン構文を使用するには、次の診断記述子を使用します。

コード リスト C-5 ドリルダウン構文の使用
<harvester>
  <sample-period>10000</sample-period>
  <harvested-type>
    <name>weblogic.management.runtime.ServerRuntimeMBean</name>
    <harvested-attribute>HealthState.State</harvested-attribute>
  </harvested-type>
</harvester>

配列またはリストの要素を収集するために、ハーベスタでは、配列またはリスト内のインデックス位置に基づいて値が参照される添え字表記法がサポートされています。たとえば、ServletRuntimeMBeanURLPatterns 配列属性内の最初の要素を参照するには、URLPatterns[0] と指定します。ワイルドカードを使用して URLPatterns のすべての要素を参照するには、次のように指定します。

コード リスト C-6 ワイルドカードによるすべての配列要素の参照
<harvester>
  <sample-period>10000</sample-period>
  <harvested-type>
    <name>weblogic.management.runtime.ServletRuntimeMBean</name>
    <harvested-attribute>URLPatterns[*]</harvested-attribute>
  </harvested-type>
</harvester>

マップの要素を収集するには、キーを括弧で囲んで個々の値を参照します。複数のキーもカンマ区切りのリストで指定することができます。この場合、マップ内の指定したキーに対応する値が収集されます。

次のサンプル コードは、キー Foo を持つマップから値を収集します。

<harvested-attribute>MyMap(Foo)</harvested-attribute>

次の例は、キー Foo および Bar を持つマップから値を収集します。

<harvested-attribute>MyMap(Foo,Bar)</harvested-attribute>

次の例は、キーの指定で % 文字を使用し、先頭が Foo で末尾が Bar のキーを持つマップからすべての値を収集します。

<harvested-attribute>MyMap(Foo%Bar)</harvested-attribute>

次の例は、* 文字を使用してマップからすべての値を収集します。

<harvested-attribute>MyMap(*)</harvested-attribute>

次の例では、MBean に JavaBean 属性 MyBean があり、この属性にマップ型属性 MyMap がネストされています。このサンプル コードは、キーが Foo のマップからこの値を収集します。

<harvested-attribute>MyBeanMyMap(Foo)</harvested-attribute>

 


収集された複合属性またはネストされた属性に関するアクセサの使用

ハーベスタや監視および通知のコンフィグレーションでは、単一の式で多数の複合属性やネストされた属性を指定できますが、実際のメトリックは各メトリックが個別に収集されるように保持されます。

たとえば、次のような属性の指定を考えます。

  mymap(*).(a,b,c)

これは、以下の実際のネストされた属性にマップされます。

  mymap(key1).a
  mymap(key1).b
  mymap(key1).c
  mymap(key2).a
  mymap(key2).b
  mymap(key2).c

これらの 6 つの各メトリックは HarvestedDataArchive に個別のレコードとして格納され、ここに示した属性の名前が、対応する各レコードの ATTRNAME カラムに格納されます。アーカイブからレコードを取得する際は、この ATTRNAME カラム内の値をアクセサのクエリで指定する必要があります。

以下にサンプル クエリをいくつか示します。

  NAME=”foo:Name=MyMBean” ATTRNAME=”mymap(key1).a”
  NAME=”foo”Name=MyBean” ATTRNAME LIKE “mymap(%).a”
  NAME=”fooName=MyMBean” ATTRNAME MATCHES “mymap\((.*?)\).a”

 


監視ルール インスタンス名にワイルドカードを使用

ハーベスタの監視ルールでは、「*」ワイルドカードを使用して ObjectName の一部を指定でき、複数の型の複数のインスタンスを監視することができます。

たとえば、名前が managed で始まるServerRuntimeMBean のすべてのインスタンスの OpenSocketsCurrentCount 属性を指定するには、次の構文を使用します。

  ${com.bea:*Name=managed*Type=ServerRuntime*//OpenSocketCurrentCount}

または、次のように JMX ObjectName クエリ パターンを使用することもできます。

  ${mydomain:Key1=MyMBean,*//simpleAttribute}
注意 : ハーベスタでサポートされる ObjectName クエリ パターン構文は、基底の JMX 実装でサポートされているものになります。上記の例では、バージョン 5 以降の JDK でサポートされている構文を示しています。サポートされている完全な構文についてサーバを実行するために使用されている JDK の具体的なバージョンについては、Javadoc の javax.management.ObjectName を参照してください。

 


ハーベスタの監視ルールでの複合属性の指定

ハーベスタの監視ルール式では複合属性 (集合、配列型、または組み込みの属性型がネストされているオブジェクト) を指定できます。複合属性は複数の方法で指定できます。

次の例では、複合型のネストされた属性へのドリルダウンを示しており、それが 0 より大きいかどうかを確認しています。

${somedomain:name=MyMbean//complexAttribute.nestedAttribute} > 0 

ワイルドカードを使用すると、複数のマップ キーを指定することもできます。複合属性の指定には以下のワイルドカードを使用できます。

また、カンマ区切りのリストを使用すると、個々のキー値のセットを指定することができます。

次に例を示します。

${[com.bea.foo.BarClass]//aList[*].(some%partialKey%).(aValue,bValue)} > 0

このルールでは、com.bea.foo.BarClass のすべてのインスタンスの aList 属性の要素がすべて調査され、some で始まり、その後に partialKey の文字列が含まれる名前のキーを持つネストされたマップへのドリルダウンが行われます。これによってマップ インスタンスが返され、この戻り値からキー aValue とキー bValue の値が比較され、これらが 0 より大きいかどうかが確認されます。

WLDFInstrumentationRuntime 型の MethodInvocationStatistics 属性を使用する際、システムは変数の型を特定する必要があります。属性式の評価時にこの型を特定できない場合、その式は機能しません。次のような式があるとします。

${ com.bea:Name=myScope, * //MethodInvocationStatistics.(...).(...) 

この式は機能しません。この場合、次のサンプル コードに示すように、ネストされたマップ構造へドリルダウンする型を明示的に宣言する必要があります。

$(com.bea:Name=hello,Type=WLDFInstrumentationRuntime,*//MethodInvocationStatistics(*)(*)(*)(count)) >= 1

  ページの先頭       前  次