WebLogic jCOM プログラマーズ ガイド
アップグレードに関する考慮事項
以下の節では、WebLogic jCOM 6.1 から WebLogic jCOM 8.1 へのアップグレードについて説明します。
WebLogic jCOM 7.0 から WebLogic jCOM 8.1 にアップグレードする場合は、わずかな変更だけで済みます。詳細については、「jCOM 7.0 から jCOM 8.1 へのアップグレード」を参照してください。
jCOM 6.1 と比較した jCOM 8.1 のメリット
WebLogic jCOM 8.1 は、WebLogic jCOM 6.1 に比べて非常に簡単に実装できるようになりました。理由は、以下のとおりです。
ブリッジの書き込みやインストールが必要ありません。jCOM ランタイムは WebLogic Server に組み込まれています。WebLogic Server をインストールするときに、jCOM 機能が自動的にインストールされます。
COM マシンで必要なソフトウェアは、WebLogic Server インストール ディレクトリから .dll
ファイルと .exe
ファイルをコピーして取得します。
jCOM が自動的に有効になります。つまり、リスン ポート上で COM の呼び出しをリスンするように WebLogic Server が自動的にコンフィグレーションされます。
jCOM プロパティは、WebLogic Server の Administration Console だけでコンフィグレーションできるようになりました。
COM コードへの変更
jCOM 6.1 から WebLogic Server 8.1 にアップグレードすると、COM アプリケーション コードに次のような影響があります。
ゼロ クライアント アプリケーションを実行している場合は、WebLogic Server で実行中のサーブレットからプログラムによってオブジェクト参照モニカ (object reference moniker: ORM) を取得できます。また、従来のように com.bea.jcom.GetJvmMoniker
を実行して取得することもできます。
ORM をサーブレットから取得するには、WebLogic Server で Web ブラウザを開いて http://[wlshost]:[wlsport]/bea_wls_internal/com に移動します。
COM コードから、個別の jCOM ブリッジへの参照をすべてパージします。
セキュリティの変更
以前は jCOM 固有のソフトウェアで処理されていたセキュリティが、WebLogic Server のロールおよびポリシーのセキュリティ メカニズムによって実装されるようになります。つまり、COM クライアントが WebLogic Server オブジェクトにアクセスできるようにするには、COM クライアントが使用できるようにそれらのオブジェクトをエクスポートする必要があります。この処理は、WebLogic Server Administration Console で行います。
詳細については、「COM クライアント アプリケーションから WebLogic Server への呼び出し」の「アクセス制御のコンフィグレーション」を参照してください。
コンフィグレーションの変更
プロパティはコマンドラインではなくコンソールでコンフィグレーションされるようになり、多くのプロパティが廃止されました。次の表は、6.1 のプロパティと 8.1 のプロパティの関係を示しています。
6.1 のプロパティ
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8.1 での処理
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ENABLE_TCP_NODELAY
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必要ない。
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JCOM_DCOM_PORT
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必要ない。ポート WebLogic Server に対する新しいポートのデフォルトは、通常 7001 でリスンする。
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JCOM_COINIT_VALUE
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WebLogic Server Console の [アパートメント スレッド] プロパティでコンフィグレーションする。
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JCOM_INCOMING_CONNECTION_TIMEOUT
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Administration Console の [サーバ|プロトコル|全般|詳細オプション] を選択し、 [完了メッセージ タイムアウト] プロパティを使用してコンフィグレーションする。
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JCOM_OUTGOING_CONNECTION_TIMEOUT
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指定したミリ秒数の間使用されていない送信接続 (WebLogic jCOM ランタイムが開始する接続) を切断する。コマンドラインで、(たとえば、WebLogic Server 起動スクリプトの Java オプションに)「JCOM_OUTGOING_CONNECTION_TIMEOUT = [ミリ秒数]」パラメータを追加してコンフィグレーションする。
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COM.BEA.JCOM.SERVER
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WebLogic Server のリスン ポートを使用する。
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JCOM_MAX_REQUEST_HANDLERS
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jCOM スレッディングは WebLogic Server スレッド プールと統合されたので、この設定値は WebLogic Server 用にコンフィグレーションされるスレッドの数に一致する。
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JCOM_NATIVE_MODE
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WebLogic Server Administration Console の [ネイティブ モードを有効化] プロパティでコンフィグレーションする。
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JCOM_NOGIT
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必要ない。
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JCOM_NTAUTH_HOST
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WebLogic Server Administration Console の [NT 認証ホスト] プロパティでコンフィグレーションする。
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JCOM_LOCAL_PORT_START
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必要ない。この範囲に対しては WebLogic Server のリスン ポートを使用する。
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JCOM_LOCAL_PORT_END
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必要ない。この範囲に対しては WebLogic Server のリスン ポートを使用する。
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JCOM_PROXY_PACKAGE
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必要ない。
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JCOM_SKIP_CLOSE
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必要ない。WebLogic Server は [完了メッセージ タイムアウト] プロパティの値に基づいて接続をクローズする。
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JCOM_WS_NAME
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必要ない。WebLogic jCOM は、CreateObject 文で起動されたサーバ インスタンスの名前を使用する。
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jCOM 7.0 から jCOM 8.1 へのアップグレード
jCOM 7.0 から jCOM 8.1 へのアップグレードにはコードの変更は必要ありません。ただし、COM パケット タイムアウト値と COM メッセージ パケットの最大長は、Administration Console の異なる場所でコンフィグレーションします。
これらの変更点を以下の表にまとめます。
値
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7.0 でのコンフィグレーション
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8.1 でのコンフィグレーション
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COM パケット タイムアウト値
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Administration Console の [サーバ|接続|jCOM] を選択し、[COM メッセージ タイムアウト ] プロパティを設定する。
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Administration Console の [サーバ|プロトコル|全般|詳細オプション] を選択し、[完了メッセージ タイムアウト ] プロパティを設定する。
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COM メッセージ パケットの最大長
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Administration Console で、[サーバ|接続|jCOM] の [最大 COM メッセージ サイズ ] プロパティを設定する。
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Administration Console の [サーバ|プロトコル|全般|詳細オプション] を選択し、[最大メッセージ サイズ ] プロパティを設定する。
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