ナビゲーションをスキップ

WebLogic Server 9.0 アプリケーションのデプロイメント

  前 次 前/次ボタンと目次ボタンとの区切り線 目次  

プロダクション デプロイメントのためのアプリケーションのコンフィグレーション

次の節では、アプリケーションをプロダクション WebLogic Server 環境にデプロイするためのコンフィグレーション方法について説明します。

 


デプロイメント コンフィグレーションの概要

開発または品質保証チームから、新しいアプリケーションまたは新しいバージョンのアプリケーションを受け取った時点で、通常、そのアプリケーションは、開発環境またはテスト環境用のコンフィグレーションが行われています。これはつまり、アプリケーションでは、そのアプリケーションのデプロイメントが最後に行われた開発環境または QA 環境で使用された対象サーバ上で利用可能なリソースに一致する特定のリソース名およびパフォーマンス チューニング設定が使用されている可能性があります。

開発環境およびテスト環境は、アプリケーションが最終的にデプロイされるプロダクション環境とは著しく異なっている可能性があるため、管理者はプロダクション環境について有効かつ適切なリソース名およびパフォーマンス チューニング パラメータを使用するように、アプリケーションをコンフィグレーションする必要があります。

アプリケーションのデプロイメント記述子について

アプリケーションの基本的なデプロイメント コンフィグレーションは、デプロイメント記述子として知られる複数の XML ドキュメントで定義されます。これらは、デプロイメント用に提供されるアプリケーション アーカイブ ファイルの一部として用意されています。デプロイメント記述子ファイルは、別個の 2 つのカテゴリに分類されます。

プロダクション デプロイメントを行うためには、J2EE と WebLogic Server の双方のデプロイメント記述子を、開発チームが所有するアプリケーションのソース コードの一部として扱う必要があります。プロダクション環境にデプロイするアプリケーションのコンフィグレーションを行うために、アプリケーション デプロイメント記述子を編集することはしないでください。代わりに、Administration Console を使用してコンフィグレーションの変更を WebLogic Server デプロイメント プラン (次の節で説明) 内に永続化します。

WebLogic Server デプロイメント プランについて

WebLogic Server デプロイメント プランとは、アプリケーション アーカイブの外部に存在する任意の XML ドキュメントで、特定の WebLogic Server 環境へのデプロイメントのためにアプリケーションをコンフィグレーションするものです。デプロイメント プランでは、アプリケーションの WebLogic Server デプロイメント記述子で通常定義するようなデプロイメント プロパティ値を設定したり、WebLogic Server デプロイメント記述子で既に定義されているプロパティ値をオーバーライドしたりします。

デプロイメント プランは、特定の環境の管理者またはデプロイヤによって作成および所有され、アプリケーション アーカイブまたは展開されたアーカイブ ディレクトリの外部に格納されます。ベスト プラクティスとしては、単一のアプリケーションの各デプロイメント プランを、アプリケーションのルート ディレクトリにおける、それぞれの専用 plan サブディレクトリに格納することをお勧めします (「アプリケーションのインストール ディレクトリの作成」を参照してください)。

デプロイメント プランを使用すると、管理者はアプリケーション アーカイブに含まれているデプロイメント記述子ファイルを変更することなく、アプリケーションを複数のさまざまな WebLogic Server 環境にデプロイするための WebLogic Server コンフィグレーションを簡単に変更できます。たとえば、デプロイメント プランにより、アプリケーションをさまざまなコンフィグレーションを備える複数のドメイン、または同じドメイン内の複数の対象サーバおよびクラスタにデプロイできます。アプリケーションを新しい環境にデプロイするには、管理者は単に必要に応じて、新しいデプロイメント プランを作成または使用します。

図 4-1 複数のデプロイメント環境のためのアプリケーションのコンフィグレーション

複数のデプロイメント環境のためのアプリケーションのコンフィグレーション


 

図 4-1 に、新しいバージョンのアプリケーションのリリース時に、デプロイメント プランが通常どのように使用されるかを示します。開発中、プログラマは、J2EE デプロイメント記述子と WebLogic Server デプロイメント記述子を両方とも作成し、デプロイメント環境に繰り返しデプロイするためのコンフィグレーションをアプリケーションに対して行います。この時点で、アプリケーションは一般に、編集と再デプロイメントが簡単にできるようにするため、アーカイブ ファイルではなく分割開発ディレクトリからデプロイされます。デプロイメント プランは、デプロイ中は不要です。開発者は、アプリケーションのデプロイメント記述子に対し全面的にアクセスでき、開発環境は単純な、単一サーバ ドメインだからです。図 4-1 では、開発サーバがデプロイメントに「DevDataSource」という名前の単純な PointBase データベースを使用しており、weblogic-ejb-jar.xml 記述子がリソースを識別していることを示しています。開発者はアプリケーションの基本的なセマンティクスと動作に注力しているため、アプリケーション チューニング パラメータは、開発コンフィグレーションでは定義されません。

アプリケーションの新しいバージョンをリリースするには、開発者はアプリケーションをアーカイブ ファイルにパッケージ化し、それを品質保証チームの管理者またはデプロイヤに配信します。この時点で、組み込みのデプロイメント記述子は、開発者が使用する開発環境について有効であるが、アプリケーションのデプロイ先とするテスト環境では有効でないコンフィグレーションを提供します。図 4-1 では、テスト環境が、開発中に使用されていたものとは異なるデータソース名を使用していることを示しています。アプリケーションをデプロイするため、テスト環境の管理者はアプリケーションの組み込みデプロイメント記述子でコンフィグレションされたデータソース名をオーバーライドするよう、デプロイメント プランを生成します。図 4-1 では、アプリケーションが「QADataSource」という名前のリソースを使用するようデプロイメント プランでコンフィグレーションされていることを示しています。

同様に、アプリケーションがプロダクションへリリースされると、ステージングまたはプロダクション環境の管理者は、別のデプロイメント プランを作成または使用して、アプリケーションをコンフィグレーションします。図 4-1 では、プロダクション デプロイメント プランが、新しい JDBC データソース名を識別するように再びアプリケーション デプロイメント記述子をオーバーライドしていることを示しています。この環境の場合、デプロイメント プランはチューニング パラメータも定義して、プロダクション ドメインで使用可能なその他のリソースをより有効に活用しています。

プロダクション デプロイメント コンフィグレーションの目標

管理者にとって、アプリケーションをプロダクション デプロイメント用にコンフィグレーションする際の第一の目標は、対象 WebLogic Server 環境に適した有効な新しいデプロイメント プランを生成することです。具体的には、デプロイメント プランはすべての外部リソース参照を解決し、アプリケーションが対象環境において使用可能である有効なリソースを参照するようにする必要があります。アプリケーションのコンフィグレーションで対象サーバについて有効な外部リソースが定義されていなければ、アプリケーションはデプロイできません。

デプロイメント プランでは、必要に応じて WebLogic Server チューニング パラメータを定義またはオーバーライドして、対象環境におけるリソースの理想的な使い方を実現できます。チューニング パラメータの定義は、アプリケーションのデプロイを正常に実行するために必須というわけではありません。アプリケーションのデプロイメント記述子とデプロイメント プランで、チューニング パラメータが定義されていなければ、WebLogic Server はデフォルト値を使用します。

 


アプリケーションをコンフィグレーションするための新しいデプロイメント プランの作成

Administration Console は、ドメインにインストールしたアプリケーションのデプロイメント プロパティを対話形式で変更すると、アプリケーションの有効な XML デプロイメント プランを自動的に生成 (または更新) します。生成されたデプロイメント プランを後のデプロイメントにおけるアプリケーションのコンフィグレーションに使用することもできるし、デプロイメント プロパティを繰り返し編集および保存することで新しいバージョンのデプロイメント プランを生成することもできます。

Administration Console を使用してのデプロイメント プランの生成は、次の手順を伴います。

各手順については、以下の節で説明します。

デプロイメント ファイルを準備する

WebLogic.Server のインストール時に、WebLogic.Server サンプル アプリケーションをインストールしなかった場合は、この節に記載の次の指示に従ってください。WebLogic.Server のインストール時に WebLogic Server サンプル アプリケーションをインストール済みである場合は、次の節に進んでください。

  1. サンプル アプリケーションをデプロイするための新しいルート ディレクトリを作成します。たとえば、次のようになります。
  2. mkdir c:\sample_root
    mkdir c:\sample_root\app
    mkdir c:\sample_root\plan
  3. WebLogic.Server のインストール時に WebLogic Server サンプル アプリケーションをインストールしなかった場合は、http://e-docs.bea.com/wls/docs90/jspExpressionEar.ear から jspExpressionEar.ear サンプル アプリケーションをダウンロードします。ファイルを手順 1 で作成した c:\sample_root\app ディレクトリに保存します。WebLogic Server のインストール時に WebLogic Server サンプル アプリケーションをインストール済みの場合は、次の手順に進みます。

アプリケーション アーカイブをインストールする

Administration Console は、新しいアプリケーションをインストールしてコンフィグレーションおよび WebLogic Server 環境へのデプロイメントを行うのに役立つ、アプリケーション インストール アシスタントを使用します。インストール アシスタントは、デプロイメント ファイルを管理サーバにコピーし、アプリケーションのデプロイ先である対象 WebLogic Server インスタンスを選択します。アプリケーションまたはモジュールがインストールされると、デプロイメント ファイルは WebLogic Server ドメインで使用可能になり、必要に応じてコンフィグレーション、分散、およびデプロイできます。

サンプル サーバ ドメインにサンプル アプリケーションをインストールするには、次の手順に従います。

  1. Windows の [スタート] メニューを使用して、または WL_HOME\samples\domains\wl_server\startWebLogic.cmd スクリプトを実行して、サンプル サーバを起動します。
  2. ブラウザで http://localhost:7001/console を指定して Administration Console にアクセスします。
  3. Administration Console にログインします。
  4. Administration Console オンライン ヘルプの「アプリケーションおよびモジュールのインストール 」に記載の手順に従い、前の節 (「デプロイメント ファイルを準備する」) でダウンロードした jspExpressionEar.ear サンプル アプリケーションをインストールします。

デプロイメント プランにコンフィグレーションの変更を保存する

Administration Console オンライン ヘルプの「Web アプリケーションのコンフィグレーション」に記載の手順に従い、前の節 (「アプリケーション アーカイブをインストールする」) でインストールした Web アプリケーションのデプロイメント コンフィグレーション プロパティを編集し、コンフィグレーションをデプロイメント プランに保存します。オンライン ヘルプで説明されているように、以下の作業を必ず実行してください。

  1. [コンフィグレーション] ページで、1 つまたは複数のコンフィグレーション プロパティを編集します。たとえば、[セッション無効化間隔] を 80 秒に、[セッション タイムアウト] を 8000 秒に変更します。
  2. [保存] をクリックして変更を保存します。Administration Console は、コンフィグレーションの変更を新しいデプロイメント プランに格納します。ルート ディレクトリからサンプル アプリケーションをデプロイした場合、Administration Console は新しいデプロイメント プランを自動的にルート ディレクトリの \plan サブディレクトリに入れます。たとえば、c:\sample_root\plan\Plan.xml となります。
  3. [変更のアクティブ化] ボタンをクリックします。

 


デプロイメント プランの内容について

アプリケーションをコンフィグレーションするための新しいデプロイメント プランの作成」で生成したデプロイメント プランには、「サンプル デプロイメント プラン」に示すエントリが含まれています。

コードリスト 4-1 サンプル デプロイメント プラン

<deployment-plan xmlns="http://www.bea.com/ns/weblogic/90">
  <application-name>sample_root</application-name>
    <variable-definition>
    <variable>       <name>SessionDescriptor_InvalidationIntervalSecs_11029744771850</name>
      <value>80</value>
    </variable>
    <variable>
      <name>SessionDescriptor_TimeoutSecs_11029744772011</name>
      <value>8000</value>
    </variable>
    </variable-definition>
  <module-override>
    <module-name>jspExpressionEar.ear</module-name>
    <module-type>ear</module-type>
    <module-descriptor external="false">
      <root-element>weblogic-application</root-element>
      <uri>META-INF/weblogic-application.xml</uri>
    </module-descriptor>
    <module-descriptor external="false">
      <root-element>application</root-element>
      <uri>META-INF/application.xml</uri>
    </module-descriptor>
  </module-override>
  <module-override>
    <module-name>jspExpressionWar</module-name>
    <module-type>war</module-type>
    <module-descriptor external="false">
      <root-element>weblogic-web-app</root-element>
      <uri>WEB-INF/weblogic.xml</uri>
      <variable-assignment>
        <name>SessionDescriptor_InvalidationIntervalSecs_11029744771850</name>
        <xpath>/weblogic-web-app/session-descriptor/invalidation-interval-secs</xpath>
      </variable-assignment>
      <variable-assignment>
        <name>SessionDescriptor_TimeoutSecs_11029744772011</name>
        <xpath>/weblogic-web-app/session-descriptor/timeout-secs</xpath>
      </variable-assignment>
    </module-descriptor>
    <module-descriptor external="false">
      <root-element>web-app</root-element>
      <uri>WEB-INF/web.xml</uri>
    </module-descriptor>
  </module-override>
  <module-override>
    <module-name>sample_root</module-name>
    <module-type>ear</module-type>
    <module-descriptor external="false">
      <root-element>weblogic-application</root-element>
      <uri>META-INF/weblogic-application.xml</uri>
    </module-descriptor>
    <module-descriptor external="false">
      <root-element>application</root-element>
      <uri>META-INF/application.xml</uri>
    </module-descriptor>
  </module-override>
  <config-root>C:\sample_root\plan</config-root>
</deployment-plan>

デプロイメント プラン内の基本要素は、以下の関数に対する処理を行います。

WebLogic Server デプロイメント プランの内容の詳細については、「デプロイメント プランのリファレンスおよびスキーマ」を参照してください。

 


既存のデプロイメント プランを使用したアプリケーションのコンフィグレーション

デプロイメントのために受け取ったアプリケーションはさまざまなレベルのコンフィグレーション情報を伴っていると考えられます。アプリケーションの既存のデプロイメント プランがある場合は、単純に「デプロイメント ファイルを準備する」で説明したようにアプリケーションを準備し、デプロイメント プランをアプリケーション ルートの plan サブディレクトリに入れます。その後、「アプリケーション アーカイブをインストールする」に記載の手順でアプリケーションをインストールします。Administration Console は、アプリケーションのルート ディレクトリの \plan サブディレクトリ内に plan.xml という名前のデプロイメント プランがあれば、それを自動的に使用します。アプリケーション用に使用できるプランが複数ある場合、それらはそれぞれ専用の \plan サブディレクトリ (たとえば \plan1 および \plan2) に入れられ、Administration Console ではそれらを識別することができません。したがって、config.xml の中で、使用するプランを指定する必要があります。config.xml については、『コンフィグレーション ウィザードを使用した WebLogic ドメインの作成 』を参照してください。

新しいアプリケーションおよび既存のデプロイメント プランをインストール後、Administration Console はデプロイメント プランのコンフィグレーションを、インストールの際に選択された対象サーバおよびクラスタと比較して検証します。デプロイメント プランに、空 (null) の変数が格納されている、またはデプロイメント プランでコンフィグレーションされた値の中に、対象サーバ インスタンスについて有効でないものがある場合は、デプロイメント プランをオーバーライドしてからでなければ、アプリケーションをデプロイすることはできません。また、「デプロイメント プランにコンフィグレーションの変更を保存する」で説明したように、アプリケーションをデプロイする対象環境に、よりよく適合させるため、チューニング パラメータをコンフィグレーションすることも可能です。アプリケーションのコンフィグレーションに対して加えた変更は、新しいデプロイメント プランに保存されます。

アプリケーションのコンフィグレーションがデプロイ先の環境に対して完全に適合している有効なデプロイメント プランがある場合は、アプリケーションおよびデプロイメントに使用するプランの識別に、Administration Console と weblogic.Deployer ユーティリティのどちらでも使用できます。weblogic.Deployer ユーティリティと共に使用するデプロイメント プランはいずれも完全なものであり、対象サーバについて有効であることが必要です。weblogic.PlanGenerator で、プラン内で定義されている個々のデプロイメント プロパティを設定またはオーバーライドすることはできません。weblogic.Deployer を使用して、新しいアプリケーションおよび既存のデプロイメント プランをデプロイするには、「デプロイメント プランによるアプリケーションのデプロイ」を参照してください。

 


追加のコンフィグレーション タスク

その他のデプロイメント コンフィグレーション タスクについては、次の節を参照してください。

 


アプリケーション コンフィグレーション管理のベスト プラクティス

 

フッタのナビゲーションのスキップ  ページの先頭 前 次