ドメインのコンフィグレーションについて

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WebLogic Server ドメインについて

以下の節では、WebLogic Server ドメインとその内容について紹介します。

 


ドメインとは

WebLogic Server の管理ドメインは、WebLogic Server リソースの論理的に関連したグループです。ドメインには、管理サーバと呼ばれる特殊な WebLogic Server インスタンスが含まれます。管理サーバでは、ドメイン内のすべてのリソースを一元的にコンフィグレーションおよび管理します。通常は、管理対象サーバと呼ばれる WebLogic Server インスタンスも含めてドメインをコンフィグレーションします。Web アプリケーション、EJB、その他のリソースは管理対象サーバにデプロイし、管理サーバはコンフィグレーションや管理の目的にのみ使用します。

複数の管理対象サーバをクラスタにグループ化することができます。それによって、重要なアプリケーションでロード バランシングとフェイルオーバを利用できると同時に、1 つの管理サーバを使用することで、管理対象サーバ インスタンスの管理が容易になります。

WebLogic Server のシステム管理は J2EE Management モデルに基づいています。このモデルでは、Web アプリケーション サーバ リソース タイプの各インスタンスは J2EE 管理対象オブジェクト (JMO) によって表現されます。WebLogic Server では、各 JMO は対応する MBean のラッパーです。JMX を直接使用するか、WebLogic Administration Console や WebLogic Scripting Tool (WLST) のような JMX クライアントを使用して MBean にアクセスすることで、WebLogic Server のさまざまな管理タスクを行います。詳細については、『J2EE 管理 API によるモニタと管理』および『WebLogic Server MBean Reference』を参照してください。

 


ドメインの構成

インストールされた WebLogic Server をどのようなドメインに構成するかは、ビジネス上のニーズによって異なります。システム管理者の責任範囲、アプリケーションの境界、サーバを実行するマシンの設置場所などに応じて、複数のドメインを定義できます。また、ドメインを 1 つにして、すべての WebLogic Server 管理アクティビティを一元化することも可能です。

特定のビジネス上のニーズやシステム管理者の慣習に応じて、次のような条件に基づいてドメインの構成を決定することができます。

ドメインは、1 つの管理サーバと 1 つまたは複数の管理対象サーバで構成することも、管理サーバとして機能し、デプロイされたアプリケーションも実行する 1 つのスタンドアロン サーバで構成することもできます。

注意 : プロダクション環境では、ドメイン内の管理対象サーバだけにアプリケーションをデプロイすることをお勧めします。管理サーバは管理タスク専用にしてください。

 


ドメインの内容

ドメインの範囲と目的は多種多様ですが、ほとんどの WebLogic Server ドメインには、この節で説明するコンポーネントが含まれます。

以下の図に、管理サーバ、3 つのスタンドアロンの管理対象サーバ、3 つの管理対象サーバを含むクラスタで構成されたプロダクション環境を示します。

管理サーバ

各 WebLogic Server ドメインには、管理サーバとして機能する 1 つのサーバ インスタンスが必要です。その管理サーバを、プログラム的に、または Administration Console や WLST を通じて使用し、ドメイン内の他のすべてのサーバ インスタンスとリソースをコンフィグレーションします。

管理サーバの役割

ドメイン内の管理対象サーバを起動するには、まず管理サーバを起動します。スタンドアロンのまたはクラスタ化された管理対象サーバを起動すると、その管理対象サーバは管理サーバにアクセスしてコンフィグレーション情報を取得します。このように、管理サーバはドメイン全体のコンフィグレーションの一元的な制御エンティティとして動作します。

管理サーバが起動すると、ドメインの config.xml ファイルがロードされます。ドメイン作成時に別のディレクトリを指定しない限り、config.xml は以下の場所に格納されます。

BEA_HOME/user_projects/domains/mydomain/config

mydomain はドメインに固有のディレクトリで、その名前はドメインと同じです。config.xml ファイルは、ドメインの config ディレクトリのサブディレクトリにある、他のコンフィグレーション ファイルを参照しています。

管理サーバが正常に起動するたびに、config-booted.jar という名前のバックアップ コンフィグレーション ファイルがドメイン ディレクトリに作成されます。サーバ インスタンスの有効期間中に万一コンフィグレーション ファイルが破損した場合、このファイルを使用して以前のコンフィグレーションに戻すことができます。

管理サーバに障害が発生した場合

ドメインの管理サーバで障害が発生しても、ドメイン内の管理対象サーバの動作には影響しません。管理対象のサーバ インスタンスが (クラスタ化されているかいないかには関係なく) 動作しているときにドメインの管理サーバが使用できなくなっても、その管理対象サーバは処理を続けます。ドメインにクラスタ化されたサーバ インスタンスがある場合は、管理サーバに障害が発生しても、ドメイン コンフィグレーションでサポートされているロード バランシングおよびフェイルオーバ機能を使用できます。管理サーバが実行を停止して、そのドメインの管理対象サーバは実行を続けた場合、各管理対象サーバは、管理サーバに定期的に再接続しようとします。

ホスト マシン上のハードウェアまたはソフトウェアに障害が発生したために管理サーバに障害が発生した場合、同じマシン上の他のサーバ インスタンスも同様に影響を受けることがあります。ただし、管理サーバ自体で障害が発生しても、ドメイン内の管理対象サーバの動作には影響しません。また、管理サーバが動作していない場合でも管理対象サーバを起動できます。その場合、管理対象サーバは、起動時のコンフィグレーションとしてコンフィグレーション ファイルのローカル コピーを使用し、その後で、管理サーバに定期的に接続しようとします。接続したら、コンフィグレーションの状態を管理サーバのものと同期させます。

管理サーバを再起動する手順については、『サーバの起動と停止の管理』の「サーバ障害の回避とサーバ障害からの回復」を参照してください。

管理対象サーバと管理対象サーバ クラスタ

ドメイン内にある管理サーバ以外のサーバは、すべて管理対象サーバと呼ばれます。管理対象サーバは、アプリケーションを構成するコンポーネントと関連するリソース (JSP や EJB など) をホストします。管理対象サーバは、起動時にドメインの管理サーバに接続して、コンフィグレーション設定とデプロイメント設定を取得します。

注意 : 管理サーバが利用できない場合、ドメイン内の管理対象サーバは管理サーバとは独立して起動できます。詳細については、『サーバの起動と停止の管理』の「管理対象サーバ独立モード」を参照してください。

複数の管理対象サーバを WebLogic Server クラスタとしてコンフィグレーションすると、アプリケーションのスケーラビリティと可用性を向上させることができます。WebLogic Server クラスタ内では、ほとんどのリソースとサービスが (単一の管理対象サーバではなく) 各管理対象サーバに同じようにデプロイされています。その結果、フェイルオーバとロード バランシングが可能になります。1 つのドメインには、クラスタとしてコンフィグレーションされていない管理対象サーバだけでなく、複数の WebLogic Server クラスタを含めることができます。クラスタ化された管理対象サーバとクラスタ化されていない管理対象サーバの主な違いは、フェイルオーバとロード バランシングのサポートです。これらの機能は、管理対象サーバのクラスタでしか利用できません。WebLogic Server クラスタのメリットと機能については、『WebLogic Server クラスタ ユーザーズ ガイド』の「WebLogic Server のクラスタ化について」を参照してください。

リソースとサービス

ドメインには、管理サーバと管理対象サーバだけでなく、管理対象サーバやドメイン内にデプロイされたアプリケーションで必要となるリソースとサービスも含まれます。

ドメイン コンフィグレーションには、ドメインが動作しているネットワーク コンピュータ環境に関する次のような情報が含まれています。

ドメイン コンフィグレーションには、ドメインでホストされているアプリケーションに関連付けられたリソースやサービスに関する情報も含まれています。そのようなリソースとサービスの例を以下に示します。

リソースとサービスは、ドメイン全体で使用するのではなく、ドメイン内の 1 つまたは複数の管理対象サーバに制限することができます。リソースとサービスは、選択した管理対象サーバまたはクラスタにデプロイできます。

 


ドメインの制限事項

WebLogic Server 環境は、アプリケーションをホストするために必要なすべての管理対象サーバを含む単一のドメインで構成することも、複数のドメインで構成することもできます。組織上の単位、システム管理者の責任範囲、アプリケーションの境界、その他の考慮事項に基づいて分割した、複数のドメインを作成することができます。ドメイン コンフィグレーションを設計する際には、以下の制限事項に注意してください。

複数のドメインを作成した場合、各ドメインは、そのドメイン専用のデータベース スキーマを参照する必要があります。コンフィグレーションしたリソースまたはサブシステムをドメイン間で共有することはできません。たとえば、あるドメインで JDBC 接続プールを作成した場合、別のドメインの管理対象サーバまたはクラスタでその接続プールを使用することはできません代わりに、2 番目のドメインで同様の接続プールを作成する必要があります。また、2 つ以上のシステム リソースに同じ名前を付けることはできません。


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