JMX によるカスタム管理ユーティリティの開発

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WebLogic Server サブシステム MBean の概要

以下の節では、WebLogic Server のさまざまなサブシステムの管理に使用できる MBean について説明します。

さらに、WebLogic のセキュリティ管理に使用できる MBean については、「セキュリティ MBean の階層について」を参照してください。

 


ドメインおよびサーバ ロギングのコンフィグレーション

WebLogic Server ドメインでは、複数の MBean がロギング サービスをコンフィグレーションします。表 3-1 にそれらの MBean を示し、図 3-1 にコンフィグレーション MBean 階層内での MBean の場所を示します。

表 3-1 ドメインおよびサーバ ロギングの MBean
MBean
コンフィグレーションする対象
LogMBean
  • ログ出力に対するフィルタ設定および重大度のしきい値。
  • Log4j の実装またはデフォルトの Java ロギング API のどちらをベースにしてサーバのロギングを行うか。
  • JVM の標準出力および標準エラー出力を登録済みのログ送り先にリダイレクトするかどうか。
管理サーバはドメイン全体のメッセージ ログに対する LogMBean のインスタンスを保持し、各サーバ インスタンスはローカル サーバ ログに対する独自のインスタンスを保持する。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「LogMBean」を参照。
LogFileMBean
ログ メッセージの格納時に WebLogic Server インスタンスで使用されるログ ファイル名と場所、ファイル ローテーション条件、およびファイル数。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「LogFileMBean」を参照。
LogFilterMBean
登録されたログの送り先にサーバ インスタンスが送信するメッセージを決定するログ フィルタ。各ログ フィルタは LogFilterMBean の独自のインスタンスで表現される。
ログ フィルタは、ドメイン レベルでもサーバ レベルでも定義できる。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「LogFilterMBean」を参照。
ServerMBean
サーバの JTA トランザクション ログ ファイルのパス プレフィックス。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「ServerMBean」を参照。
WebServerMBean
ロギング HTTP リクエスト。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「WebServerMBean」を参照。
VirtualHostMBean
ユーザが定義した仮想ホストのロギング HTTP リクエスト。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「VirtualHostMBean」を参照。
JMSServerMBean
この JMS サーバのメッセージ ログ ファイル。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「JMSServerMBean」を参照。

図 3-1 ロギングの MBean

ロギングの MBean

 


JMS サーバおよび JMS システム モジュールのコンフィグレーション

WebLogic Server ドメインでは、複数の MBean が JMS サーバおよび JMS システム モジュール リソースをコンフィグレーションします。JMS サーバはドメインの config.xml ファイルに保持され、クラスタ内のさまざまな WebLogic Server インスタンスで複数の JMS サーバをコンフィグレーションできます (独自の名前が付けられている場合)。JMX を使用して JMS システム モジュールが作成される場合、ドメイン ディレクトリの config\jms サブディレクトリに JMS システム モジュール記述子ファイルが作成され、ドメインの config.xml ファイルに JMSSystemResource 要素としてそのモジュールへの参照が追加されます。この参照には、JMS システム モジュール ファイルへのパス、およびこのシステム モジュールがデプロイされるサーバとクラスタのリストが含まれます。

表 3-2 にそれらの MBean を示し、図 3-2 にコンフィグレーション MBean 階層内での MBean の場所を示します。

表 3-2 JMS サーバおよび JMS システム モジュール リソースの MBean
MBean
コンフィグレーションする対象
JMSServerMBean
JMS サーバは、JMS システム モジュール内の対象送り先リソース (キューおよびトピック) の管理コンテナとして機能するコンフィグレーション エンティティ。JMS サーバの最も重要な役割は、JMS サーバの送り先で受信されるすべての永続メッセージ用の永続ストアに関する情報を管理することと、JMS サーバの送り先で作成される恒久サブスクライバの状態を管理すること。また、対象送り先のコンテナとして、JMS サーバに対して加えられたコンフィグレーションの変更または実行時の変更をすべての送り先に対して有効にできる。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「JMSServerMBean」を参照。
JMSSystemResourceMBean
JMS システム リソースは、その定義がアプリケーションではなく、システム コンフィグレーションの一部であるリソース。リソースの記述子は、WebLogic コンフィグレーション ファイルを介してリンクされるが、別の記述子ファイル内に存在する。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「JMSSystemResourceMBean」を参照。
SubDeploymentMBean
サブデプロイメントを使用すると、JMS モジュール内の一部のリソースを JMS サーバへ、その他の JMS リソースをサーバ インスタンスまたはクラスタへデプロイできる。スタンドアロンのキューまたはトピックでは、1 つの JMS サーバのみを対象として指定できる。一方、接続ファクトリ、共通分散送り先 (uniform distributed destination:UDD)、および外部サーバでは、1 つまたは複数の JMS サーバやサーバ インスタンス、またはクラスタを対象として指定できる。このため、サブデプロイメントに複数の JMS サーバを対象とするメンバーが含まれる場合、スタンドアロンのキューまたはトピックをそのサブデプロイメントに関連付けることはできない。しかし、UDD はこのようなサブデプロイメントにも関連付けることができる。UDD の目的は、そのメンバーをドメイン内の複数の JMS サーバに分散することだからである。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「SubDeploymemtMBean」を参照。
JMSBean
JMS モジュール Bean ツリーの最上位。すべての JMS モジュールはルート Bean (親のない Bean) として JMSBean を持つ。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「JMSBean」を参照。
DestinationKeyBean
送り先が受信メッセージに適用できる、ユニークなソート順を定義する。デフォルトでは、メッセージのソート順は、各メッセージのユニークな JMSMessageID に基づいて昇順にソートが行われる、FIFO (先入れ先出し) になる。ただし、LIFO (後入れ先出し) など、送り先に対して別のソート方式を使用するように送り先キーをコンフィグレーションすることもできる。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「DestinationKeyBean」を参照。
DistributedQueueBean
複数の JMS サーバに分散されるが、単一の論理キューとして JMS クライアントにアクセス可能な、一連のキューを定義する。分散キューは、ロード バランシングおよび負荷分散に役立ち、スタンドアロンのキューと同じプロパティを多く持つ。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「DistributedQueueBean」を参照。
DistributedTopicBean
複数の JMS サーバに分散されるが、単一の論理トピックとして JMS クライアントにアクセス可能な、一連のトピックを定義する。分散トピックは、ロード バランシングおよび負荷分散に役立ち、スタンドアロンのトピックと同じプロパティを多く持つ。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「DistributedTopicBean」を参照。
ForeignServerBean
現在のドメインの一部ではない、外部のメッセージング プロバイダまたはリモート WebLogic Server インスタンスを定義する。これは、他のベンダの JMS 製品と統合を行う際、またはローカル WebLogic JNDI ツリーにおいて他のクラスタまたはドメイン内の WebLogic Server のリモート インスタンスを参照する際に、役立つ。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「ForeignServerBean」を参照。
JMSConnectionFactoryBean
JMS クライアントに対する接続の作成に使用される、一連の接続コンフィグレーション パラメータを定義する。接続ファクトリは、JMS クライアントへ返される接続のプロパティをコンフィグレーションできるほか、デフォルトの配信、トランザクション、およびメッセージ フロー制御パラメータについてコンフィグレーション可能なオプションを提供する。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「JMSConnectionFactoryBean」を参照。
QueueBean
非同期のピア通信に使用される、ポイント ツー ポイント送り先のタイプを定義する。キューに配信されたメッセージは、1 つのコンシューマにのみ配信される。しきい値、ロギング、配信オーバーライド、配信エラーのオプションなど、キューの動作を多面的にコンフィグレーションできる。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「QueueBean」を参照。
QuotaBean
送り先で使用できるシステム リソースの割り当てを制御する。たとえば、送り先で格納できるバイト数を Quota リソースを使ってコンフィグレーションできる。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「QuotaBean」を参照。
SAFRemoteContextBean
JMS 送り先のエクスポート元であるリモート サーバ インスタンスまたはクラスタの URL を定義する。また、リモートのサーバ インスタンスまたはクラスタで認証および認可されるためのセキュリティ資格も含まれる。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「SAFRemoteContextBean」を参照。
SAFErrorHandlingBean
SAF サービスがリモート送り先へのメッセージの転送に失敗した場合に行う処理を定義する。コンフィグレーション オプションには、エラー処理ポリシー (リダイレクト、ログ、破棄、または常に転送)、ログ フォーマット、および送信の再試行に関するパラメータが含まれる。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「SAFErrorHandlingBean」を参照。
SAFImportedDestinationsBean
インポート済みのストア アンド フォワード (SAF) 送り先の集合を定義する。SAF 送り先は、ローカル サーバ インスタンスまたはクラスタがリモート サーバ インスタンスまたはクラスタにメッセージを送信できるよう、ローカル クラスタまたはサーバ インスタンスにインポートされるリモート サーバ インスタンスまたはクラスタにおけるキューまたはトピックを表す。送り先の SAF エクスポートのパラメータが明示的に無効になっていない限り、デフォルトでは、すべての JMS 送り先が自動でエクスポートされる。SAF のインポートされた送り先の各集合は、リモート SAF コンテキスト リソース、また必要に応じて SAF エラー処理リソースに関連付けられている。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「SAFImportedDestinationsBean」を参照。
TemplateBean
複数の送り先について、一連のデフォルト コンフィグレーション設定を定義する。送り先でテンプレートが指定されているが、パラメータの値が明示的に設定されていない場合、そのパラメータは、指定済みのテンプレートからその値を取得する。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「TemplateBean」を参照。
TopicBean
非同期のピア通信に使用される、パブリッシュ/サブスクライブ送り先のタイプを定義する。トピックに配信されたメッセージは、すべてのトピック コンシューマに配信される。しきい値、ロギング、配信オーバーライド、配信エラー、マルチキャストのパラメータなど、トピックの動作を多面的にコンフィグレーションできる。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「TopicBean」を参照。
UniformDistributedQueueBean
共通のコンフィグレーションが行われた分散キューを定義する。このキューのメンバーは、特に重み付け、セキュリティ、永続性、ページング、および割り当てに関する、すべての分散キュー パラメータについて一貫したコンフィグレーションを備えている。これらの共通分散キュー メンバーは、共通分散キューの対象指定に基づき、JMS サーバ上に作成される。共通分散キューは、メッセージのロード バランシングおよび配信に役立つものであり、しきい値、ロギング、配信オーバーライド、および配信エラーのパラメータを含めて、スタンドアロン キューと同じプロパティを多く備えている。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「UniformDistributedQueueBean」を参照。
UniformDistributedTopicBean
共通のコンフィグレーションが行われた分散トピックを定義する。このトピックのメンバーは、特に重み付け、セキュリティ、永続性、ページング、および割り当てに関する、すべての共通分散トピック パラメータについて一貫したコンフィグレーションを備えている。これらの共通分散トピック メンバーは、共通分散トピックの対象指定に基づき、JMS サーバ上に作成される。共通分散トピックは、メッセージのロード バランシングおよび配信に役立つものであり、しきい値、ロギング、配信オーバーライド、および配信エラーのパラメータを含めて、スタンドアロン トピックと同じプロパティを多く備えている。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「UniformDistributedTopicBean」を参照。

図 3-2 JMS サーバおよび JMS システム リソースの MBean

JMS サーバおよび JMS システム リソースの MBean

 


JDBC リソースのコンフィグレーション

JDBC リソース (データ ソースまたはマルチ データ ソース) を、Administration Console または WebLogic Scripting Tool (WLST) を使って作成すると、WebLogic Server はドメイン ディレクトリのサブディレクトリ config/jdbc に JDBC モジュールを作成し、ドメインのコンフィグレーション ファイル (config.xml) にモジュールへの参照を追加します。

表 3-3 にそれらの MBean を示し、図 3-3 にコンフィグレーション MBean 階層内での MBean の場所を示します。

表 3-3 JDBC リソースの MBean
MBean
コンフィグレーションする対象
JDBCSystemResourceMBean
データ ソース モジュールから作成された JavaBean のコンテナ。ただし、JDBC データ ソースに対する JMX のアクセスは、すべて JDBCSystemResourceMBean 経由で行われる。データ ソース モジュールから作成された個々の JavaBean に直接アクセスすることはできない。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「JDBCSystemResourceMBean」を参照。
JDBCDataSourceBean
JDBC データ ソース Bean ツリーの最上位。すべての JDBC データ ソースは、ルート Bean (親のない Bean) として JDBCDataSourceBean を持つ。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「JDBCDataSourceBean」を参照。
JDBCDriverParamsBean
データ ソースのドライバ パラメータを格納する。データ ソースで使用される JDBC ドライバ用のコンフィグレーション パラメータは、ドライバ パラメータ Bean を使用して指定する。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「JDBCDriverParamsBean」を参照。
JDBCConnectionPoolParamsBean
データ ソースの接続プール パラメータを格納する。データ ソースの接続プールのコンフィグレーション パラメータは、接続プールのパラメータ Bean を使用して指定する。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「JDBCDConnectionPoolParamsBean」を参照。
JDBCDataSourceParamsBean
データ ソースの基本使用パラメータを格納する。データ ソースの基本使用のためのコンフィグレーション パラメータは、データ ソースのパラメータ Bean を使用して指定する。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「JDBCDataSourceParamsBean」を参照。
JDBCXAParamsBean
データ ソースの XA 関連パラメータを格納する。データ ソースの XA 関連動作用のコンフィグレーション パラメータは、XA パラメータ Bean を使用して指定する。
『WebLogic Server MBean リファレンス』の「JDBCXAParamsBean」を参照。

図 3-3 JDBC リソースの MBean

JDBC リソースの MBean


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