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WebLogic JSP リファレンス

 

以下の節では、JavaServer Pages(JSP)の作成に関するリファレンス情報を提供します。

 


JSP タグ

以下の表では、JSP ページで使用できる基本的なタグについて説明します。短縮形のタグには、それぞれ対応する XML タグがあります。

表3-1 JSP ページの基本タグ

JSP タグ

構文

説明

Scriptlet

<% java_code %>

. . . または対応する以下の XML タグを使用する

<jsp:scriptlet>
java_code
</jsp:scriptlet>

Java ソース コード スクリプトレットを、HTML 内に埋め込む。Java コードが実行され、その出力が、残りの HTML と一緒にページに順に挿入される。詳細については、 スクリプトレットを参照。

Directive

<%@ dir-type dir-attr %>

. . . または対応する以下の XML タグを使用する

<jsp:directive.dir_type dir_attr />

ディレクティブには、アプリケーション サーバへのメッセージが含まれる。

また、attr="value" という形式の名前/値のペアも含まれる。このペアは、アプリケーション サーバに対する追加の命令を提供する。 WebLogic JSP のディレクティブを参照。

Declarations

<%! declaration %>

. . . または対応する以下の XML タグを使用する

<jsp:declaration>
declaration;
</jsp:declaration>

ページ内のほかの宣言、スクリプトレット、あるいは式によって参照されることがある変数またはメソッドを宣言する。 宣言を参照。

Expression

<%= expression %>

. . . または対応する以下の XML タグを使用する

<jsp:expression>
expression
</expression>

ページ要求時に評価され、String に変換され、そして、JSP 応答の出力ストリームにインライン化されて送られる Java 式を定義する。を参照。

アクション

<jsp:useBean ... >

Bean をここでインスタンス化する場合は、ここに JSP 本文を入れる

</jsp:useBean>
<jsp:setProperty ... >
<jsp:getProperty ... >
<jsp:include ... >
<jsp:forward ... >
<jsp:plugin ... >

JSP の高度な機能へのアクセスを提供し、XML 構文だけを使用する。これらのアクションは、JSP 1.1 仕様に定義されているようにサポートされている。 アクションを参照。

 


暗黙的オブジェクト用の予約語

JSP では、スクリプトレットや式内の暗黙的オブジェクトのための予約語が用意されています。この暗黙的オブジェクトとは、JSP ページに有用なメソッドや情報を提供する Java オブジェクトです。WebLogic JSP は、JSP 1.1 仕様に定義されている暗黙的オブジェクトをすべて実装しています。JSP API については、Sun Microsystems の JSP ホームページにある Javadoc で説明されています。

注意: これらの暗黙的オブジェクトは、 スクリプトレットの内部でのみ使用できます。宣言で定義されるメソッドからこれらのキーワードを使用すると、未定義の変数を参照することになるため、変換時にコンパイル エラーが発生します。

request

request は、HttpServletRequest オブジェクトを表します。ブラウザからの要求についての情報が含まれ、クッキー、ヘッダ、およびセッション データを取得するために便利なメソッドも用意されています。

response

response は、HttpServletResponse オブジェクト、JSP ページからブラウザに返送される応答の設定に便利な複数のメソッドを表します。この応答の例として、クッキーとその他のヘッダ情報があります。

警告 : response.getWriter() メソッドを JSP ページ内で使用することはできません。使用した場合は、実行時に例外が送出されます。JSP 応答をブラウザに返送するには、スクリプトレット コード内で可能な限り out キーワードを使用します。WebLogic Server の javax.servlet.jsp.JspWriter の実装では、javax.servlet.ServletOutputStream を使用しています。これは、response.getServletOutputStream() を使用できることを暗黙的に表しますが、WebLogic Server に固有の実装です。しかし、この実装は WebLogic Server に固有のものであることに注意してください。コードの保守容易性および移植性を保つには、out キーワードを使用します。

out

out は、javax.jsp.JspWriter のインスタンスで、ブラウザへの出力の返送に使えるメソッドを持っています。

出力ストリームを必要とするメソッドを使用している場合、JspWriter は動作しません。この制限を回避するには、バッファ化ストリームを提供して、このストリームを out に記述します。次の例に、例外スタック トレースを out に記述する方法を示します。

ByteArrayOutputStream ostr = new ByteArrayOutputStream();
exception.printStackTrace(new PrintWriter(ostr));
out.print(ostr);

pageContext

pageContext は、javax.servlet.jsp.PageContext オブジェクトを表します。さまざまなスコープのネームスペースやサーブレット関連オブジェクトにアクセスするために便利な API で、一般的なサーブレット関連機能のためのラッパー メソッドを提供します。

session

session は、要求に対する javax.servlet.http.HttpSession オブジェクトを表します。セッション ディレクティブは、デフォルトでは true に設定されています。したがって、session はデフォルトで有効です。JSP 1.1 仕様では、セッション ディレクティブが false に設定されている場合、session キーワードを使用すると変換時に致命的なエラーが発生することが説明されています。サーブレットでのセッションの使い方については、『WebLogic HTTP サーブレット プログラマーズ ガイド』を参照してください。

application

application は、javax.servlet.ServletContext オブジェクトを表します。サーブレット エンジンやサーブレット環境に関する情報の検索に使用します。

リクエストを転送または取り込む場合は、ServletContext を使用してサーブレット requestDispatcher にアクセスできます。または、他のサーブレットへのリクエストの転送に JSP forward ディレクティブ、他のサーブレットからの出力の取り込みに JSP include ディレクティブを使用することもできます。

config

configjavax.servlet.ServletConfig オブジェクトを表し、サーブレット インスタンスの初期化パラメータへのアクセスを提供します。

page

page は、このJSPページから生成されたサーブレット インスタンスを表します。スクリプトレット コード内の Java キーワード this と同義です。

pagejava.lang.Object のインスタンスとして定義されるため、使用する際には JSP ページを実装しているサーブレットのクラス タイプにキャストする必要があります。デフォルトでは、このサーブレット クラスは JSP ファイル名を取って名付けられます。便宜上、page を使用する代わりに、Java キーワード this を使用してサーブレット インスタンスを参照し、初期化パラメータへアクセスすることをお勧めします。

基盤となる HTTP サーブレット フレームワークの詳細については、関連する開発者ガイド、『WebLogic HTTP サーブレット プログラマーズ ガイド』を参照してください。

 


WebLogic JSP のディレクティブ

関数を実行したり、JSP ページを特定の方法で解釈したりするよう WebLogic JSP に指示するには、ディレクティブを使用します。ディレクティブは、JSP ページのどこに挿入してもかまいません。通常、ディレクティブの位置は無関係で(include ディレクティブを除く)、複数のディレクティブ タグを使用できます。ディレクティブは、ディレクティブ タイプとその 1 つまたは複数の属性で構成されます。

構文は、次に示すように、短縮形と XML の 2 種類の構文を使用できます。

dir_type はディレクティブのタイプ、dir_attr はそのディレクティブ タイプの 1 つまたは複数のディレクティブ属性のリストで置き換えます。

ディレクティブには、pagetaglibinclude の 3 種類があります。

ページ ディレクティブを使用した文字エンコーディングの設定

文字エンコーディング セットを指定するには、そのページの先頭で次のディレクティブを使用します。

<%@ page contentType="text/html; charset=custom-encoding” %>

custom-encoding は、標準の HTTP スタイルの文字セット名で置き換えます

contentType ディレクティブで指定した文字セットは、JSPおよびその JSP に含まれるすべての JSP で使用される文字セットを指定します。

Web アプリケーションの WebLogic 固有のデプロイメント記述子で、デフォルトの文字エンコーディングを指定できます。詳細については、「jsp-descriptor 要素」を参照してください。

taglib ディレクティブの使い方

taglib ディレクトリを使用して、JSP ページが、タグ ライブラリに定義されているカスタム JSP タグ拡張を使用することを宣言します。カスタム JSP タグの記述方法と使い方の詳細については、『JSP Tag Extensions プログラマーズ ガイド』を参照してください。

 


宣言

宣言を使用して、生成された JSP サーブレット内のクラス スコープ レベルの変数とメソッドを定義します。JSP タグの間に記述された宣言は、JSP ページのほかの宣言やスクリプトレットからアクセスできます。次に例を示します。

<%!
int i=0;
String foo= "Hello";
private void bar() {
// ...ここに Java コード...
}
%>

クラス スコープのオブジェクトは、サーブレットの同一のインスタンス内で実行中の複数のスレッド間で共有されます。共有違反を防ぐには、クラス スコープのオブジェクトを同期させます。スレッドセーフなコードの記述に自信がない場合は、次のディレクティブを使用して、サーブレットを非スレッドセーフとして宣言することができます。

<%@ page isThreadSafe="false" %>

デフォルトでは、この属性は true に設定されています。false に設定した場合、生成されたサーブレットは javax.servlet.SingleThreadModel インタフェースを実装します。このインタフェースは、同一のサーブレット インスタンス内で複数のスレッドが実行されるのを防ぎます。isThreadSafefalse に設定すると、メモリ消費量が増えるので、パフォーマンスが低下することがあります。

 


スクリプトレット

JSP スクリプトレットは、JSP サーブレットの HTTP 応答の Java 本文を構成します。次に示すように、短縮形または XML の scriptlet タグを使用して、JSP ページ内にスクリプトレットを包含します。

短縮形 :

<%
// Java コードをここに書く
%>

XML :

<jsp:scriptlet>
// Java コードをここに書く
</jsp:scriptlet>

スクリプトレットの特長は次のとおりです。

 


JSP ファイルの中に式を含めるには、次のタグを使用します。

<%= expr %>

expr を Java 式で置き換えます。式が評価されるときに、その string 表現が HTML 応答ページ内にインラインで配置されます。このタグは次のタグの短縮形です。

<% out.print( expr ); %>

このテクニックを使用すると、JSP ページ内の HTML を読みやすくすることができます。次の節のサンプルでは expression タグの使い方を示します。

式を使用して、それ以前にユーザが入力しているデータを返すことがよくあります。ユーザが入力したデータを出力するときは常に、入力されている HTML の特殊文字をすべて削除することをお勧めします。特殊文字を削除しないと、Web サイトがクロスサイト スクリプティングに利用される危険があります。 JSP でのユーザ入力データのセキュリティ対策を参照してください。

 


HTML と埋め込み Java を使用した JSP の例

次に、HTML と埋め込み Java を使用した JSP の例を示します。

<html>
<head><title>Hello World Test</title></head>

<body bgcolor=#ffffff>
<center>
<h1> <font color=#DB1260> Hello World Test </font></h1>
<font color=navy>

<%

out.print("Java-generated Hello World");
%>

</font>
<p> This is not Java!
<p><i>Middle stuff on page</i>
<p>
<font color=navy>

<%
for (int i = 1; i<=3; i++) {
%>
<h2>This is HTML in a Java loop! <%= i %> </h2>
<%
}
%>

</font>
</center>
</body>
</html>

上に示したコードがコンパイルされると、ブラウザには次のようなページが表示されます。

 


アクション

JSP アクションを使用して、JavaBean によって表されるオブジェクトの変更、使用、または作成を行います。アクションでは、XML 構文のみが使用されます。

JSP での JavaBean の使い方

<jsp:useBean> アクション タグを使用すると、JavaBean 仕様に準拠した Java オブジェクトをインスタンス化し、それを JSP ページから参照できます。

JavaBean 仕様に準拠するには、オブジェクトに次のものが必要です。

JavaBean オブジェクトのインスタンス化

<jsp:useBean> タグは、既存の名前付き Java オブジェクトを特定のスコープから検索しようと試みます。既存のオブジェクトが見つからなければ、新しいオブジェクトをインスタンス化し、id 属性で指定された名前にそのオブジェクトを関連付けようとします。オブジェクトは、オブジェクトの可用性を決定する scope 属性で指定された位置に格納されます。たとえば、次のタグでは、examples.jsp.ShoppingCart というタイプの Java オブジェクトを、名前 cart の下の HTTP セッションから検索しようとします。

<jsp:useBean id="cart"
class="examples.jsp.ShoppingCart" scope="session"/>

そのようなオブジェクトがその時点で存在していなければ、JSP は、新しいオブジェクトを作成し、名前 cart の下の HTTP セッション内に格納しようとします。クラスは、WebLogic Server の起動に使用する CLASSPATH 内、または JSP を含む Web アプリケーションの WEB-INF\classes ディレクトリに入っている必要があります。

処理する必要がある実行時例外が存在するため、<jsp:useBean> タグと共に errorPage ディレクティブを使用するようにしてください。errorPage ディレクティブを使用しない場合、JavaBean で参照されるクラスを作成できず、InstantiationException が送出され、ブラウザにエラー メッセージが返されます。

Java 内で有効な型キャスト操作であれば、type 属性を使用して、その JavaBean タイプを他のオブジェクトまたはインタフェースにキャストできます。class 属性なしで type 属性を使用する場合、JavaBean オブジェクトは、指定したスコープ内に既に存在している必要があります。有効でない場合は、InstantiationException が送出されます。

JavaBean インスタンス化のセットアップ作業

<jsp:useBean> タグ構文には、別の形式もあります。これを使用すると、オブジェクトがインスタンス化されるときに実行する JSP コードの本文を定義することができます。名前付き JavaBean が指定したスコープ内に既に存在する場合、本文は実行されません。この形式を使用すると、オブジェクトが最初に作成されるときのプロパティを設定することができます。次に例を示します。

<jsp:useBean id="cart" class="examples.jsp.ShoppingCart"
scope=session>
Creating the shopping cart now...
<jsp:setProperty name="cart"
property="cartName" value="music">
</jsp:useBean>

注意: class 属性なしで type 属性を使用すると、JavaBean オブジェクトはインスタンス化されません。したがって、本文を含めるようなタグ形式は使用しないでください。代わりに、単一のタグ形式を使用します。この場合、JavaBean が指定したスコープ内に存在していなければなりません。存在していない場合は InstantiationException が送出されます。errorPage ディレクティブを使用して、潜在的な例外を処理します。

JavaBean オブジェクトの使い方

JavaBean オブジェクトをインスタンス化したら、Java オブジェクトのように、JSP ファイルでその id 名により参照できます。スクリプトレット タグや式評価タグ内で、その JavaBean オブジェクトを使うことができます。<jsp:setProperty> タグを用いてその setXxx() メソッドを呼び出すこともできます。<jsp:getProperty> タグを用いて getXxx() メソッドを呼び出すこともできます。

JavaBean オブジェクトのスコープの定義

scope 属性を使用して、JavaBean オブジェクトの可用性とライフスパンを指定します。スコープは以下のいずれかです。

page

JavaBean に対するデフォルトのスコープです。オブジェクトは現在のページの javax.servlet.jsp.PageContext に格納されます。この JSP ページの現在の呼び出しからのみ使用可能です。インクルードされた JSP ページでは使用できません。このページ要求の完了時には破棄されることになっています。

request

request スコープを使用すると、オブジェクトは現在の ServletRequest 内に格納されます。同一の要求オブジェクトに渡された、インクルードされたほかの JSP ページで使用可能です。現在の要求が完了したときに破棄されます。

session

複数の HTTP ページにわたって JavaBean オブジェクトを追跡できるよう、session スコープを使用して HTTP セッション内に JavaBean オブジェクトを格納できます。JavaBean への参照は、このページの HttpSession オブジェクトに格納されます。このスコープを使用するには、JSP ページがセッションに参加できなければなりません。つまり、この page ディレクティブで、sessionfalse に設定しないようにします。

application

application- スコープ レベルでは、JavaBean オブジェクトは Web アプリケーションに格納されます。このスコープを使用すると、同じ Web アプリケーション内で実行中のほかのサーブレットや JSP ページからも、この JavaBean オブジェクトが使用可能になります。

JavaBean の使い方については、JSP 1.1 仕様を参照してください。

リクエストの転送

どのような種類の認証を使用している場合でも、<jsp:forward> タグでリクエストが転送されるときには、ユーザを再認証する必要がありません(デフォルト設定)。この動作を変更して、転送されたリクエストの認証を実行するには、<check-auth-on-forward/> 要素を WebLogic 固有のデプロイメント記述子(weblogic.xml)の <container-descriptor> 要素に追加します。次に例を示します。

<container-descriptor>
<check-auth-on-forward/>
</container-descriptor>

WebLogic 固有のデプロイメント記述子の編集方法については、「WebLogic 固有のデプロイメント記述子(weblogic.xml)の記述」を参照してください。

リクエストのインクルード

<jsp:include> タグを使用すると、JSP に別のリソースを含めることができます。このタグは、次の 2 種類の属性を取ります。

page

ページ属性は、含めるリソースを指定するために使用します。次に例を示します。

<jsp:include page="somePage.jsp"/>

flush

この属性を true に設定すると、ページ出力をバッファに格納し、リソースに含める前にそのバッファをフラッシュします。

<jsp:include> タグが JSP ページの別のタグの中に存在し、含めるリソースをそのタグで処理したい場合は、flush="false" に設定すると便利です。

 


JSP でのユーザ入力データのセキュリティ対策

式やスクリプトレットを使うと、JSP でユーザからデータを受け取ったり、ユーザが入力したデータを返したりすることができます。たとえば、 コード リスト 3-1 の JSP のサンプルでは、文字列を入力するようにユーザに促し、入力された文字列を userInput というパラメータに代入し、
<%= javax.servlet.ServletRequest.getParameter("userInput")%> という式を使ってデータをブラウザに返しています。

コード リスト 3-1 ユーザが入力した内容を返すための式の使用

<!DOCTYPE HTML PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.01 Transitional//EN">
<html>
  <body>
    <h1>My Sample JSP</h1>
      <form method="GET" action="mysample.jsp">
          Enter string here:
          <input type="text" name="userInput" size=50>
          <input type=submit value="Submit">
       </form>
    <br>
    <hr>
    <br>
    Output from last command:
    <%= javax.servlet.ServletRequest.getParameter("userInput")%>
  </body>
</html>

このようにユーザが入力したデータを返す機能があると、クロスサイト スクリプティングと呼ばれるセキュリティ上の弱点が発生し、ユーザのセキュリティ認可を盗むために利用される危険があります。クロスサイト スクリプティングの詳細については、http://www.cert.org/tech_tips/malicious_code_mitigation.html の「Understanding Malicious Content Mitigation for Web Developers」 (CERT によるセキュリティ勧告) を参照してください。

このようなセキュリティ上の弱点を排除するには、ユーザが入力したデータを返す前に、 表 3-2 に示したような HTML の特殊文字がデータに含まれるかどうかを調べます。特殊文字がある場合は、それを HTML の実体参照または文字参照に置き換えます。文字を置き換えることで、ユーザが入力したデータをブラウザが HTML として実行することを防止できます。

表3-2 置き換える必要がある HTML の特殊文字

置き換える必要のある特殊文字

置き換える実体/文字参照

<

&lt;

>

&gt;

(

&40;

)

&41;

#

&35;

&

&38;

WebLogic Server ユーティリティ メソッドの使用

WebLogic Server には、ユーザ入力データに含まれる特殊文字を置換するための weblogic.servlet.security.Utils.encodeXSS() メソッドが用意されています。このメソッドを使用するには、入力としてユーザ入力データを渡します。次に例を示します。
<%= weblogic.servlet.security.Utils.encodeXSS(
javax.servlet.ServletRequest.getParameter("userInput"))%>

アプリケーション全体を保護するには、ユーザ入力データを返すすべての箇所で encodeXSS() メソッドを使用する必要があります。先に示したのは encodeXSS() メソッドを使用しなければならないことが明白な場所の例ですが、他にも 表 3-3 に挙げたような場所において encodeXSS() メソッドの使用を検討する必要があります。

表3-3 ユーザ入力データを返すコード

ページのタイプ

ユーザ入力データ

エラー ページ

誤った入力文字列、無効な URL やユーザ名

ユーザ名がアクセスを許可されていない」ことを示すエラー ページ

ステータス ページ

ユーザ名、それ以前のページにおける入力の要約

それ以前のページでの入力の確認を求める要約ページ

データベース表示

データベースからの表示データ

それ以前にユーザが入力しているデータベース エントリのリストを表示するページ

 


JSP でのセッションの使い方

WebLogic JSP 内のセッションは、JSP 1.1 仕様に従って動作します。次に、セッションの使い方に関連する留意事項を挙げます。

 


JSP からのアプレットのデプロイメント

JSP を使用すると、適切なクライアント ブラウザ タグを含む HTML を生成することによって、Web ページに Java Plug-in を簡単に組み込むことができます。Java Plug-in では、クライアントの Web ブラウザにより実装された JVM の代わりに、Sun Microsystems から提供されている Java Runtime Environment(JRE)を使用することができます。この機能により、アプレットと特定の種類の Web ブラウザとの間の非互換性の問題が回避できます。Java Plug-in は、Sun の Web サイト(http://java.sun.com/products/plugin/)から入手できます。

Internet Explorer と Netscape では使用している構文が異なるため、<jsp:plugin> アクションから生成されたサーブレット コードは、動的にブラウザ クライアントの種類を調べ、適切な <OBJECT> タグか、<EMBED> タグをその HTML ページに送ります。

<jsp:plugin> タグは、<APPLET> タグの属性と似た多くの属性、および使用する Java Plug-in のバージョンを設定するその他の属性を使用します。アプレットがサーバと通信する場合、アプレット コードを実行する JVM は WebLogic Server を実行する JVM と互換性がなければなりません。

次のサンプルでは、plugin アクションを使用してアプレットをデプロイします。

<jsp:plugin type="applet" code="examples.applets.PhoneBook1"
codebase="/classes/" height="800" width="500"
jreversion="1.1"
nspluginurl=
"http://java.sun.com/products/plugin/1.1.3/plugin-install.html"
iepluginurl=
"http://java.sun.com/products/plugin/1.1.3/
jinstall-113-win32.cab#Version=1,1,3,0" >

<jsp:params>
<param name="weblogic_url" value="t3://localhost:7001">
<param name="poolname" value="demoPool">
</jsp:params>

<jsp:fallback>
<font color=#FF0000>Sorry, cannot run java applet!!</font>
</jsp:fallback>

</jsp:plugin>

上のサンプルの JSP 構文は、ブラウザに対して、(すでにダウンロードされていなければ)Java Plug-in バージョン 1.3.1 をダウンロードし、code 属性で指定したアプレットを、codebase で指定された位置から実行するように指示しています。

jreversion 属性は、アプレットが要求している Java Plug-in のバージョンを同定します。Web ブラウザは、このバージョンの Java Plug-in を使おうとします。プラグインがブラウザにまだインストールされていなければ、nspluginurl 属性および iepluginurl 属性が URL を指定し、そこで、Sun の Web サイトからその Java Pug-in をダウンロードできます。一度プラグインが Web ブラウザにインストールされれば、再度そのプラグインをダウンロードする必要はありません。

WebLogic Server では Java 1.3.x VM を使用するため、<jsp:plugin> タグ内に、Java Plug-in バージョン 1.3.x を指定する必要があります。上のサンプル コードで 1.3 JVM を指定するには、対応する属性値を次のように置き換えます。

jreversion="1.3"
nspluginurl=
"http://java.sun.com/products/plugin/1.3/plugin-install.html"
iepluginurl=
"http://java.sun.com/products/plugin/1.3/jinstall-131-win32.cab"

プラグイン アクションのほかの属性は、<APPLET> タグの属性に相当します。アプレット パラメータは、<params> タグのペアで指定し、<jsp:plugin> タグと </jsp:plugin> タグでネストします。

<jsp:fallback> タグでは、<jsp:plugin> アクションでサポートされていないブラウザ用に HTML を置換することができます。<fallback> タグと </jsp:fallback> タグでネストされた HTML が、プラグイン構文の代わりに送られます。

 


WebLogic JSP コンパイラの使い方

JSP サーブレットは自動的に WebLogic JSP コンパイラを呼び出して JSP ページを処理するので、通常は直接コンパイラを呼び出す必要はありません。しかし、デバッグする場合など、状況によっては、コンパイラを直接呼び出した方が便利です。この節はコンパイラのリファレンスです。

WebLogic JSP コンパイラでは、JSP ファイルを解析して .java ファイルに変換し、生成された .java ファイルを標準の Java コンパイラを使用して Java クラスにコンパイルします。

JSP コンパイラの構文

JSP コンパイラは、ほかの WebLogic コンパイラ(RMI コンパイラや EJB コンパイラなど)とほとんど同じ方法で動作します。JSP コンパイラを起動するには、次のコマンドを入力します。

$ java weblogic.jspc -options fileName

fileName をコンパイルする JSP ファイルの名前で置き換えます。対象の fileName の前か後に options を指定することもできます。次の例では、-d オプションを使用して myFile.jsp をコンパイルし、出力先ディレクトリ weblogic\classes に出力します。

$ java weblogic.jspc -d /weblogic/classes myFile.jsp

注意: Web アプリケーションの一部で、Web アプリケーションのリソース(JSP タグ ライブラリなど)を参照している JSP をプリコンパイルする場合は、-webapp フラグを使用して Web アプリケーション の場所を指定する必要があります。-webapp フラグは JSP コンパイラ オプションの次のリストで説明します。

JSP コンパイラ オプション

以下のオプションを任意に組み合わせて使用することができます。

-classpath

希望する CLASSPATH となるディレクトリのリストを(Windows NT/2000 プラットフォームではセミコロンで区切り、UNIX プラットフォームではコロンで区切って)追加します。JSP に必要なすべてのクラスを格納するディレクトリを含めます。次に例を示します(実際には 1 行で入力します)。

$ java weblogic.jspc
   -classpath java/classes.zip;/weblogic/classes.zip
   myFile.JSP

-charsetMap

JSP contentType ディレクティブで使用される IANA または非公式の文字セット名から java 文字セット名へのマッピングを指定します。次に例を示します。

-charsetMap x-sjis=Shift_JIS,x-big5=Big5

最も一般的なマッピングは、JSP コンパイラに組み込まれています。このオプションは、希望の文字セット マッピングが認識されない場合にのみ使用します。

-commentary

JSP コンパイラが、生成された HTML ページに JSP からのコメントを含めます。このオプションを省略すると、コメントは生成された HTML ページには表示されません。

-compileAll

カレント ディレクトリ、または -webapp オプションで指定したディレクトリ内のすべての JSP を再帰的にコンパイルします。(このオプション リストにある -webapp の説明を参照してください)。サブディレクトリ内の JSP もコンパイルされます。

-compileFlags

1 つまたは複数のコマンドライン フラグをコンパイラに渡します。複数のフラグはスペースで区切り、引用符で囲みます。次に例を示します。

java weblogic.jspc -compileFlags "-g -v" myFile.jsp

-compiler

生成された Java ソース コードからクラス ファイルをコンパイルする際に使用する Java コンパイラを指定します。デフォルトでは、コンパイラとして javac が使われます。コンパイラの絶対パスを明示的に指定する場合を除いて、Java コンパイラ プログラムは PATH の下になければなりません。

-compilerclass

Java コンパイラを、ネイティブ実行ファイルとしてではなく、Java クラスとして実行します。

-d <dir>

コンパイルされた出力(クラス ファイル)の出力先ディレクトリを指定します。このオプションは、コンパイルされたクラスを、既に CLASSPATH に入っているディレクトリに置くためのショートカットとして使用します。

-depend

JSP の以前に生成されたクラス ファイルのタイム スタンプが、JSP ソース ファイルよりも新しい場合、JSP は再コンパイルされません。

-debug

デバッグ モードでコンパイルします。

-deprecation

生成された Java ソース ファイルをクラス ファイルにコンパイルしているときに、ソース ファイル中で非推奨のメソッドの使用があるとこれを警告します。

-docroot directory

-webapp を参照してください。

-encoding default|named character encoding

有効な引数は、(a)JDK のデフォルト文字エンコーディングの使用を指定する default、または(b)8859_1 などの名前付き文字エンコーディングです。-encoding フラグが指定されない場合、バイト配列が使用されます。

-g

クラス ファイルにデバッグ情報も入れるよう、Java コンパイラに指示します。

-help

JSP コンパイラで使用可能なオプションをすべて表示します。

-J

コンパイラに渡されるオプションのリストを取得します。

-k

1 つのコマンドで 複数の JSP をコンパイルする場合、1 つまたは複数の JSP がコンパイルに失敗しても、コンパイルを続行します。

-keepgenerated

コンパイル処理の途中で作成された Java ソース コード ファイルを削除せずに残します。通常、このファイルはコンパイル後に削除されます。

-noTryBlocks

JSP ファイルに、多数のまたは深くネストしたカスタム JSP タグが含まれていて、コンパイル時に java.lang.VerifyError 例外が発生する場合、JSP を正しくコンパイルするためにこのフラグを使用します。

-nowarn

Java コンパイラからの警告メッセージが出力されないようにします。

-O

最適化スイッチをオンにして、生成された Java ソース ファイルをコンパイルします。このオプションは、-g オプションをオーバーライドします。

-package packageName

生成された Java HTTP サーブレットのパッケージ名の前に追加するパッケージ名を設定します。デフォルトは jsp_servlet です。

-superclass classname

生成されたサーブレットによって拡張されたスーパークラスのクラス名を設定します。スーパークラスの名前は、HttpServlet または GenericServlet から派生したものでなければなりません。

-verbose

compiler フラグで指定された Java コンパイラに、verbose フラグを渡します。詳細については、コンパイラのマニュアルを参照してください。デフォルトはオフです。

-verboseJavac

指定した JSP コンパイラによって生成されたメッセージを出力します。

-version

JSP コンパイラのバージョンを出力します。

-webapp directory

展開ディレクトリ形式で Web アプリケーション が含まれるディレクトリ名。JSP タグ ライブラリやその他の Java クラスなど、Web アプリケーション内のリソースへの参照が JSP に含まれる場合、JSP コンパイラはそのリソースをこのディレクトリで探します。Web アプリケーションのリソースを要求する JSP をコンパイルする場合、このフラグを省略するとコンパイルに失敗します。

JSP のプリコンパイル

web.xml デプロイメント記述子の <jsp-descriptor> 要素の precompile パラメータを true に設定すると、Web アプリケーションをデプロイまたは再デプロイしたとき、あるいは WebLogic Server を起動したときに JSP をプリコンパイルするようにコンフィグレーションできます。

展開された Web アプリケーションの場合は、プリコンパイルは管理サーバ上で行われます。アーカイブされた Web アプリケーションのプリコンパイルは、管理サーバ上だけでなく、管理対象サーバ上でも最初のデプロイメント時に 1 回行われます。

web.xml デプロイメント記述子の詳細については、『Web アプリケーションのアセンブルとコンフィグレーション』を参照してください。

 

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