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WebLogic Enterprise Connectivity の概要

 

以下の節では、WebLogic Enterprise Connectivity について概説します。

 


BEA Tuxedo の CORBA 環境

BEA Tuxedo は、エンタープライズ向けコンポーネントベース ソリューションの構築、デプロイメント、および管理を可能にするソフトウェア製品です。BEA Tuxedo を使用すると、Common Object Request Broker Architecture(CORBA)の Object Request Broker(ORB)とアプリケーション トランザクション モニタ インタフェース(ATMI)で使用できるオンライン トランザクション処理(OLTP)の機能を組み合わせることができます。これにより、高度に管理された環境でスケーラブルかつセキュリティが確保されたトランザクション e-コマース アプリケーションを提供するためのプラットフォームが実現します。

以下の節では、BEA Tuxedo CORBA の専門用語をいくつか解説します。

 


BEA Tuxedo 製品の CORBA オブジェクト

CORBA は、分散ソフトウェア アプリケーションの構築と統合に対するオブジェクト指向アプローチを促進する、特定の言語に依存しない仕様です。ビジネス ロジックを CORBA オブジェクトとしてさまざまな言語で実装することができます。BEA Tuxedo の CORBA 環境では、C++、Automation、および Java 用の言語バインディングをサポートしています。たとえば、銀行業務アプリケーションには、顧客口座のオブジェクトが存在することがあります。これらの顧客口座オブジェクトは、預け入れ、引き出し、および残高照会を行うための処理を持つことができます。

CORBA オブジェクトを記述するには、Object Management Group(OMG)のインタフェース定義言語(IDL)を使用します。CORBA オブジェクトの OMG IDL 記述を作成してから、その OMG IDL をコンパイラにかけます。このコンパイラによって、スタブとスケルトンが生成されます。

CORBA ファクトリは、別の CORBA オブジェクトへのオブジェクト参照を作成するための操作を提供するオブジェクトです。サーバ アプリケーションは CORBA ファクトリを使用して、クライアント アプリケーションがそのサーバ アプリケーションに実装されている CORBA オブジェクトにアクセスできるようにします。クライアント アプリケーションは、サーバ アプリケーションで管理される CORBA オブジェクトへの参照を取得しなければならない場合には、通常、CORBA ファクトリからオブジェクト参照を取得します。

Object Request Broker (ORB)は、サーバ アプリケーションによって管理される分散オブジェクトとクライアント アプリケーションの通信を可能にする通信バスです。CORBA 環境では、アプリケーションは、通信のためのネットワークやオペレーティング システムに関する情報を持っている必要はありません。その代わり、異質なクライアント アプリケーションとサーバ アプリケーションが ORB と通信するのです。ORB は、クライアントの要求を適切なサーバ アプリケーションに届け、サーバの応答を要求元のクライアント アプリケーションに返します。

 


ドメイン、トランザクション、およびトランザクション コンテキスト

BEA Tuxedo ドメインは、管理の単位となる一群のオブジェクト、サービス、マシン、およびリソースのことです。ドメインは、アプリケーション機能、セキュリティ上のニーズ、地理的な位置といった特性に基づいて設定できます。たとえば、ある銀行が、顧客口座用のオブジェクト、サービス、マシン、およびリソースから構成されているドメインを持っているとします。この場合、その銀行はその従業員と支払給与のリソース用に別個のドメインを持つことができます。

トランザクションは、ビジネス ルールに基づく一連の操作のことです。これらの操作は、たとえ地理的に分散していたとしても 1 つの論理単位となります。1 つの単位として機能することで、そのトランザクションのすべての操作が正常に完了する(この場合、トランザクションは正常に完了する)か、すべての操作がロールバックされる(トランザクションは失敗する)かのどちらかになります。たとえば、1 つのトランザクションで、ある顧客の口座から現金を引き出してそれを別の顧客の口座に入金するとします。このトランザクションは 2 つの操作から構成されます。トランザクションが成功するには、両方の操作が正常に完了しなければなりません。

トランザクション コンテキストは、トランザクションのスコープを定義するもので、そのトランザクションに参加しているオブジェクトによって共有されます。トランザクション コンテキストは、ローカル変数、ロック、カーソル位置、ファイル制御ブロックなどのさまざまなタイプのデータから構成されます。

 


環境オブジェクト

BEA Tuxedo 製品の CORBA 環境では、クライアント アプリケーションから CORBA サービスを利用するための以下の環境オブジェクトを提供します。

 


IIOP と IIOP リスナ/ハンドラ

Internet Inter-ORB Protocol (IIOP)は、ORB 間の相互運用に関する CORBA 仕様に定義されている標準プロトコルです。BEA Tuxedo CORBA 環境では、IIOP リスナ/ハンドラが、ORB および CORBA クライアント アプリケーション間の接続を処理します。IIOP リスナ(ISL)は、送られてくる通信データを、リモートの CORBA クライアントに代わって管理します。各 ISL には、1 つまたは複数の IIOP ハンドラ(ISH)が関連付けられています。ISL は、クライアント アプリケーションを ISH に割り当て、クライアントから生じる負荷を ISH 間で分散します。ISH は、クライアント アプリケーションと CORBA オブジェクトの間の通信リンクです。リモート クライアントをサポートする各 BEA Tuxedo ドメインには、ISL が少なくとも 1 つ存在します。

図 1-1 に、IIOP の概要を示します。

図1-1 BEA Tuxedo システムでの IIOP の機能


 

 


BEA Tuxedo の CORBA 環境に関する詳細情報

BEA Tuxedo 製品における CORBA 環境についての詳細は、BEA Tuxedo のマニュアルを参照してください。BEA Tuxedo 製品を初めて使用する場合は、『BEA Tuxedo Product Overview』を一読されることをお勧めします。

 


WebLogic Enterprise Connectivity とは

WebLogic Enterprise Connectivity は、WebLogic Server のコンポーネントの 1 つです。WLEC を使用すると、WebLogic Enterprise Connectivity 接続プール(Administration Console では WLEC 接続プールと呼ばれます)を使用して、WebLogic Server クライアント(サーブレット、EJB、JSP、および RMI オブジェクト)から BEA Tuxedo CORBA オブジェクトを呼び出すことができます。

 


WebLogic Enterprise Connectivity の主要な機能

WebLogic Enterprise Connectivity コンポーネントの主要な機能は以下のとおりです。

 


WebLogic Enterprise Connectivity システム アーキテクチャ

図 1-2 に、WebLogic Enterprise Connectivity システム アーキテクチャと、その WebLogic Server と BEA Tuxedo システムとの関係を示します。

図1-2 WebLogic Enterprise Connectivity システム アーキテクチャ


 

BEA Tuxedo ドメインごとに、WebLogic Server は WLEC 接続プールを 1 つ作成します。WLEC 接続プールは、WebLogic Server の Administration Console でコンフィグレーションされます。WebLogic Server クライアントは、その WLEC 接続プールを使用して、BEA Tuxedo ドメイン内の CORBA オブジェクトにアクセスします。それらのオブジェクトは、リモート マシン上にあっても、ファイアウォールの向こうにあっても、あるいはその両方であってもかまいません。

 


WebLogic Enterprise Connectivity コンポーネントにおけるクライアントとサーバ

インターネット クライアントは、WebLogic Server 上のアプリケーションからサービスを受けます。これらのアプリケーションは、WebLogic Enterprise Connectivity を介して BEA Tuxedo ドメインのクライアントとして動作します。BEA Tuxedo ドメインは要求された CORBA オブジェクトを提供し、その結果を WebLogic Server クライアントに送り返します。すると WebLogic Server クライアントは、その結果を処理し、その他の処理を実行して、その結果をインターネット クライアントに送信します。

 


WLEC 接続プール

WebLogic Enterprise Connectivity コンポーネントは、WLEC 接続プールを使用して WebLogic Server クライアントが BEA Tuxedo ドメインに接続できるようにします。WLEC 接続プールとは、BEA Tuxedo ドメインへの IIOP 接続の集合のことです。WebLogic Server は、起動時に WLEC 接続プールを作成し、必要に応じて WebLogic Server クライアントに接続を割り当てます。限られた数の接続で多数のユーザにサービスを提供できるため、WLEC 接続プールは効率的です。接続を作成するためのオーバーヘッドは起動時に処理されるため、WebLogic Server は CORBA オブジェクトとそれらの操作にすばやくアクセスできます。

WebLogic Enterprise Connectivity 接続プールは、以下の機能を備えています。

 


WebLogic Enterprise Connectivity コンポーネントがサポートする BEA Tuxedo セキュリティ機能

WebLogic Enterprise Connectivity コンポーネントは、以下の BEA Tuxedo セキュリティ機能を提供します。

注意: WebLogic Enterprise Connectivity コンポーネントは、BEA Tuxedo では CORBA セキュリティのアプリケーション プログラミング インタフェース(API)をサポートしていません。

 


セキュリティ コンテキストの伝播

WebLogic Enterprise Connectivity を使用すると、WebLogic Server で確立されたセキュリティ コンテキストを使用して、BEA Tuxedo ドメインのセキュリティ ID を確立できます。このようにセキュリティ資格を渡すことを、セキュリティ コンテキストの伝播と呼びます。

セキュリティ コンテキストの伝播には、WLEC 接続プールが必要です。WLEC 接続プールでは、各ネットワーク接続は、WebLogic Server のシステム管理者によって定義されたユーザ ID により認証されます。WLEC 接続プールを確立するには、パスワードまたは証明書に基づく認証を使用します。

図 1-3 に示すように、WLEC 接続プールを使用すると、クライアントから WebLogic Server を経て BEA Tuxedo 製品の CORBA 環境までセキュリティ情報を伝播できるようになります。

図1-3 セキュリティ コンテキストの伝播


 

 


接続障害の処理

WebLogic Enterprise Connectivity コンポーネントは、WLEC 接続プールごとに 2 つの ISL アドレス リスト(プライマリ リストとフェイルオーバ リスト)を使用して、接続障害を処理します。WebLogic Enterprise Connectivity コンポーネントは、以下の場合に接続障害を処理します。

 

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