リスク(P6 Professionalのみ)

リスクとは、発生するとプロジェクトの目標にプラスまたはマイナスの影響を与える不確実なイベントまたは状況です。

統合化されたリスク管理機能を使用して、リスクの識別と分類や、リスク優先度の設定、潜在的な各リスクへの所有者(リスクの管理責任者)の割当、リスクの影響を受けるアクティビティへのリスクの割当、各プロジェクト・リスクに対する定性分析を実行します。リスクに対応したり、関連するリスク対応を作成できます。

リスクの管理

リスクは識別されると、自動的に開示中プロジェクトに割り当てられます。複数のプロジェクトが開示されていると、リスクが割り当てられるプロジェクトは現在のグループ分けによって決まります。それからリスクを、影響を受けるアクティビティに割り当てることができます。リスクをアクティビティに割り当てたりアクティビティをリスクに割り当てることで、リスク割当が作成されます。1つのリスクを複数のアクティビティに割り当てることができ、同様に1つのアクティビティを複数のリスクに割り当てることもできます。

アプリケーションでは、リスクごとに定義できるリスク割当と影響パラメータに基づいて、リスクの深刻度評価に使用できる全体的なリスク・スコア(後述)などのデータが生成されます。その他のデータとしては、リスクの予想開始日、予想終了日、予想コストなどが含まれます。次のサブセクションでは、予想コストの判断に使用する計算について説明します。

リスクの定性分析に基づいて、次に説明するように、リスクに対応したり、対応を開発できます。

リスク・スコアの計算方法

アプリケーションでは、全体的なリスク・スコアが計算されます。実際には、全体的なリスク・スコアとして、「リスク」、「影響」タブの「対応前」セクションに表示される「スコア」フィールドと、そのタブの「対応後」セクションに(リスクに対応して「対応後」の各フィールドを完成した場合に)表示される「スコア」フィールドの2つのフィールドがあります。「対応前スコア」フィールドと「対応後スコア」フィールドは同じ等式を使用して計算されるため、以下のディスカッションでは両方を「スコア」フィールドと表記します。

「スコア」フィールドは、(同じタブにある)「確率」、「コスト」および「スケジュール」の3つのフィールドで選択する値に基づいて計算されます。これらのフィールドのうち、「コスト」および「スケジュール」の2つのフィールドは影響フィールドと呼ばれます。

「確率」フィールドおよび各「影響」フィールドで指定できる値は、「非常に高い」、「高」、「中」、「低」、「非常に低い」およびわずかです。アプリケーションでは、「コスト」および「スケジュール」フィールドで選択された最も高い値が、全体的な影響値として使用されます。次の表に示すように、アプリケーションでは、「確率」に入力した値によって全体的な影響値を割り出すことで、「スコア」が決定されます。

たとえば、「コスト」の値として「低」、「スケジュール」の値として「中」を入力した場合、アプリケーションでは、2つのうちの高い方、つまり「中」が全体的な影響値として使用されます。続いてアプリケーションでは、下の表を使用して、全体的な影響および「確率」の値を割り出すことで、「スコア」の値が決定されます。この表の各列は全体的な影響値(わずかから「非常に高い」まで)を表しており、各行は「確率」の値(「非常に高い」からわずかまで)を表します。アプリケーションでは、適切な「影響」列および「確率」行の交差した場所にある数値がスコアとして決定されます。したがって、引き続き例で説明すると、「確率」の値として「高」を入力した場合、「影響」の「中」の列が「確率」の「高」の行と交差する場所の数値14がスコアとなります。

 

「影響」わずか

「影響」「非常に低い」

「影響」「低」

「影響」「中」

「影響」「高」

「影響」「非常に高い」

「確率」「非常に高い」

0

5

9

18

36

72

「確率」「高」

0

4

7

14

28

56

「確率」「中」

0

3

5

10

20

40

「確率」「低」

0

2

3

6

12

24

「確率」「非常に低い」

0

1

1

2

4

8

「確率」わずか

0

0

0

0

0

0

予想コストの計算方法

アプリケーションでリスクの予想コストが計算されます。予想コストは、「リスク」、「全般」タブの「対応前コスト・エクスポージャ」フィールドと「対応後コスト・エクスポージャ」フィールドに表示されます。(「対応後コスト・エクスポージャ」フィールドは、「影響」タブの「対応後」の各フィールドを使用して、リスクへの対応が行われた後にのみ表示されます。)「対応前コスト・エクスポージャ」フィールドと「対応後コスト・エクスポージャ」フィールドは同じ等式を使用して計算されるため、以下のディスカッションでは両方を「コスト・エクスポージャ」フィールドと表記します。

「コスト・エクスポージャ」フィールドの値は、「リスク」、「影響」タブにある「確率」および「コスト」フィールドで選択した値、およびリスクまたはプロジェクトに割り当てられたアクティビティに関連付けられたコストの金額(アクティビティ割当が行われていない場合)に基づいています。

アプリケーションでは、次の等式を使用して「コスト・エクスポージャ」の値が計算されます。コスト・エクスポージャ= 計画合計コスト/計画合計コスト* (確率中間値 * コスト中間値)

計画合計コスト/計画合計コストは、リスクに割り当てられた各アクティビティの計画コスト/計画コストの値の合計です(アクティビティがリスクに割り当てられていない場合は、計画プロジェクト・コスト)。

確率中間値は、選択したリスクの「確率」フィールド値の中間値です。コスト中間値は、選択したリスクの「コスト」フィールド値の中間値です。それぞれの計算方法を次に示します。

注意: わずかという値の「コスト」および「確率」の中間値は常にゼロであるため、わずかという値は次のディスカッションに関連していません。

確率中間値およびコスト中間値の計算の等式は、「確率」および「コスト」フィールドで選択する値によって次のように異なります。

このため、計画合計コスト/計画合計コストが$700,689.00であり、確率中間値が「中」(40%)、コスト中間値が「非常に高い」(90%)の場合は、「コスト・エクスポージャ」は次のように計算されます。$700,689.00 * (.4 * .9) = $252,248.00

リスクへの対応

リスクの定性分析に基づいて、リスクに対応する必要があると判断した場合は、対応を選択して、対応の詳細記述を追加することでリスクに対応できます。リスクが脅威である場合は、リスクを許可、回避、転送または低減することを選択できます。リスクが機会である場合は、リスクを強化、活用、促進または却下することを選択できます。

対応を計画することにより、リスクを管理するために使用する方法を特定および文書化できます。リスク対応を使用して、最も好ましい結果を促すために行うことができるアクションを判定します。リスクの詳細記述を入力してから、アプリケーションがスコアおよびコスト・エクスポージャを計算するために使用する、「確率」、「スケジュール」、および「コスト」フィールドの対応後の値を選択できます。



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最終発行 2021年7月1日