B obtar

ファイルシステム・バックアップおよびリストア操作の主要なユーザー・インタフェースは、Oracle Secure Backup Webツールとobtoolです。Oracle Secure Backupでデータのバックアップおよびリストアに使用される基礎となるエンジンはobtarです。obtarコマンドライン・インタフェースは直接使用できますが、これは上級ユーザーのみにお薦めします。

この付録の内容は、次のとおりです。

obtarの概要

obtarは、Berkeley UNIX tar(1)コマンドをオリジナルとする派生コマンドです。obtarコマンドライン・インタフェースは、次の点でUNIXコマンドラインのPOSIX 1003.2標準に準拠しています。

  • オプションは、先頭にダッシュが付いた単一文字です(例: -c)。

  • オプションに引数が必要な場合、引数はオプションの後ろに続き、スペースでオプションと区切られます(例: ‐c argument)。

  • 複数のオプションが引数を必要とするのでなければ、1つのダッシュの後ろに複数のオプションをまとめて指定できます。引数を必要とするオプションが1つしかない場合、このオプションはオプションのグループの最後に配置する必要があります。たとえば、-cに引数を使用する場合、‐vPZc argumentのように指定する必要があります。

表B-1では、obtarの基本モードについて説明します。各モードの説明には、最も一般的なオプションが含まれています。その他のオプションについては、obtarのオプションを参照してください。

表B-1 obtarのモード

オプション 説明

obtar -c

コマンドラインに指定されたディレクトリおよびファイルのワンタイム・バックアップ・イメージを作成する。

obtar -x

ディレクトリおよびファイルをリストアする。

obtar -t

バックアップ・イメージのコンテンツをリストする。

obtar -zz

ボリュームに含まれるバックアップ・イメージのリストを表示する。

-Gオプションや-Nオプションを使用する場合など、必要なOracle Secure Backupカタログ・データが生成されるようにディレクトリおよびファイルをバックアップする場合は、obtoolまたはOracle Secure Backup Webツールを使用すると、カタログの参照やファイルのリストアが可能です。しかし、カタログ・ファイルを生成しない場合でも、RAWリストア操作を実行できます。

obtarを最大限に利用する方法

この項では、obtarを最大限に利用する方法について説明します。また、obtarのより高度なバックアップ機能の一部について情報を示します。

この項の内容は、次のとおりです。

obtarによって作成されたバックアップ・イメージとのtarの使用

デフォルトでは、obtarは、tarと完全な互換性があるバックアップ・イメージを生成します。この項では、obtarを使用して作成されたバックアップ・イメージとともにtarを使用するためのヒントを示します。

obtar -gを使用してバックアップ・イメージを作成すると、バックアップ・イメージに関する情報を提供する複数のファイルがバックアップ・イメージ内に作成されます。obtarでは、これらのファイルは特殊ファイルと認識され、バックアップ・イメージから実際のファイルとして抽出されることはありません。tarでは、これらのファイルは通常ファイルとして表示されます。つまり、tarを使用してバックアップ・イメージを抽出すると、接頭辞###が付いた複数のファイルが作成されます。obtar -xを使用してバックアップ・イメージをリストアすると、これらのファイルは作成されません。

次のobtarオプションはいずれも使用でき、tarとの互換性も維持されています。

-b, -B, -c, -f, -h, -l, -m, -t, -v, -x

複数のボリュームにまたがるバックアップ・イメージの抽出にtarを使用する場合は、複数のボリュームにまたがるバックアップ・イメージの各セクションが有効なtarファイルとなります。obtarでは、バックアップ・イメージのコンテンツを正しく抽出できますが、tarでは、バックアップ・イメージの最初のセクションを抽出した後、早々にend-of-file条件が検出されます。この時点で抽出されているのは、ボリューム・ブレークをまたいで続くファイルのデータの最初の部分のみです。ファイルを完全にリストアするには、次のようにします。

  1. 抽出を続行するため、最初のファイルの断片を上書きされない場所に移動します。
  2. 次のボリュームをロードして抽出を続行します。2番目のファイルの断片が抽出されます。
  3. UNIXのcatコマンドを使用し、2番目のファイルの断片を最初のファイルの断片の最後に追加して完全なファイルを取得します。次に、例を示します。
    cat first_frag second_frag > complete_file
    
  4. ファイルの断片を削除します。

RAWファイル・システムのバックアップおよびリストア

通常、obtarでは、ツリーのバックアップ時に特殊ファイルが見つかると、特殊ファイルの名前および属性のみがバックアップ・イメージに書き込まれます。特殊ファイルがバックアップ・ツリーのトップ・レベルに明示的にまたはワイルドカードを使用して指定されている場合は、obtarバックアップ・ファイル名、属性およびコンテンツがバックアップされます。この項では、ブロック特殊ファイルおよび文字特殊ファイルの両方を対象としています。

ノート:

Oracle Secure Backupでは、文字特殊ファイルの内容のバックアップやリストアはサポートされていません。

たとえば、次のコマンドは、/devディレクトリ内のすべての特殊ファイル名で構成されるバックアップ・イメージを作成しますが、特殊ファイルのオープンも読取りも行いません。

obtar -cvf tape0 /dev

一方、次のコマンドを実行すると、/dev/sd0a/dev/sd13a/dev/sd13bなどが開き、基礎となるRAWファイル・システムのコンテンツ全体がバックアップ・イメージに書き込まれます。

obtar -cvf tape0 /dev/sd0a /dev/sd13*

このようなアクセスはネイティブのLinuxまたはUNIXファイル・システムを経由しないため、LinuxまたはUNIXデータ以外のデータが格納されているRAWファイル・システム(データベースが格納されているディスク・パーティションなど)のバックアップに使用できます。

obtarでは、RAWファイル・システム上でどのブロックが使用または未使用であるかがわからないため、常にファイル・システム全体が保存されます。これは、使用中のブロックのみを保存する、ベンダー提供のLinuxまたはUNIXファイル・システムを使用するバックアップとは異なります。

データをRAWファイル・システムにリストアする場合、リストア先のファイル・システムのサイズは、バックアップされたファイル・システムのサイズ以上である必要があります。RAWファイル・システムをリストアする場合、ファイル・システム上に現存するデータはすべて失われます。バックアップ・イメージのデータによって完全に上書きされます。

RAWファイル・システムをリストアするには、RAWファイル・システムをmkfsmkvolなどのツールを使用してフォーマットしておき、RAWファイル・システムを参照する特殊ファイルが存在している必要があります。それ以外の場合は、データは通常ファイルとしてリストアされます。

ノート:

マウントされたファイル・システムをバックアップまたはリストアしないでください。ファイル・システムがマウントされると、バックアップまたはリストア中に他のプロセスによるアクティビティでファイル・システムが変更され、内部的な不整合が発生する原因となる可能性があります。

RAWパーティションのバックアップ

obtoolを使用すれば、RAWパーティションをバックアップできます。バックアップ中にRAWファイル・システムをマウントしないでください。データセットにデバイス・ファイルのパスを含めることでブロック・デバイス・ファイルをバックアップすることができます。

RAWパーティションをバックアップするには:

  1. RAWパーティション用のデータセットを作成します。

    たとえば、次のようにrawpart.dsという名前のデータセットを作成できます。

    include host brhost2
    {
      include path /dev/sda3
    }
    
  2. パーティションをバックアップします。

    次のobtoolコマンドにより、前ステップで作成されたデータセットを使用してバックアップが行われます。

    ob> backup -D rawpart.ds --restriction lib1 --go
RAWパーティションのリストア

obtoolを使用すれば、RAWパーティションをリストアできます。リストア操作中にRAWファイル・システムをマウントしないでください。

RAWパーティションをリストアするには:

  1. obtoolを使用してリストア先となるホストを設定します。

    たとえば、次のようにcdコマンドを実行してホストをbrhost2に設定します。

    ob> cd --host brhost2
    
  2. パーティションをリストアします。

    次のobtoolコマンドは、パーティション/dev/sda3をリストアします。

    ob> restore --select latest /dev/sda3 –-go

増分バックアップの基準の変更

通常、obtarでは、増分バックアップの対象にするファイルを決定する際に、ファイルのmtime (ファイルのコンテンツが最後に変更された時間)が使用されます。mvまたはcp -pを使用してファイルがディレクトリに追加されると、その変更時間が元のファイルの変更時間のままであるためにバックアップされないことがあります。この問題には、増分バックアップの対象の基準として mtimeではなくctime (ステータス変更時間)を使用するようにobtarに指示することで対処できます。ファイルのステータス変更時間とは、ファイルのinodeが最後に変更された時間です。

ctimeを使用すると、mtimeを使用して選択されたすべてのファイルと、ディレクトリに移動またはコピーされたすべてのファイルが選択されます。このオプションを指定するには、コマンドラインで-Xuse_ctimeを指定します。スケジュール済バックアップの場合は、backupoptionsポリシーに-Xuse_ctimeを指定できます。

-Xuse_ctimeの使用には、難点があります。mtime基準を使用する場合、バックアップ後に各ファイルのatimeはリセットされます。atimeとは最終アクセス時間です。ファイルのバックアップという動作では、ファイルのatimeは変更されません。ctimeを選択基準として使用する場合、最終アクセス時間はリセットできません(ファイルの変更時間がリセットされるため)。したがって、増分バックアップはすべて全体バックアップになります。つまり、-Xuse_ctimeを指定すると、-Xupdtuもオンになります。

重要な点は次のとおりです。

  • -Xuse_ctimeを指定しない場合、増分の基準はmtimeです。atimesは変更されないままで、移動されたファイルは欠落する可能性があります。

  • -Xuse_ctimeを指定する場合、増分の基準はctimeです。atimesはバックアップの時間を反映し、移動されたファイルは取得されます。

マウント・ポイントを横断したバックアップ

ローカル・マウント・ポイントはローカル・ファイルシステムをマウントします。リモート・マウント・ポイントは、ネットワークを介してアクセスされるファイルシステムのローカル・マウントです。デフォルトでは、obtarでは、マウント・ポイントを明示的に指定しないかぎり、ローカルまたはリモート・マウント・ポイントを横断しません。

マウント・ポイントの動作は、次のobtarのオプションを使用すると制御できます。

  • -Xchkmnttab

    デフォルトでは、stat(2)操作を実行してファイルがマウント・ポイントであるかどうかを判別します。リモートでマウントされたファイル・システムが停止または応答しない場合、stat(2)操作が原因でobtarプロセスがハングする可能性があります。

    -Xchkmnttabオプションは、これらのstat(2)操作を実行する前にローカルのマウント表/etc/mnttabを参照し、リモート・マウント・ポイントだと判明したディレクトリをスキップするようにobtarに指示します。ローカル・マウント・ポイントはスキップされません。

    -Xchkmnttabは、コマンドラインまたはbackupoptionsポリシーに指定できます。-Xchkmnttabオプションは、-Xcrossmpによって無効にされます。

  • -Xcrossmp

    -Xcrossmpオプションは、-Xchkmnttabオプションが指定されている場合でも、すべてのマウント・ポイントを横断するようにobtarに指示します。-Xcrossmpオプションは、コマンドラインまたはbackupoptionsポリシーに指定できます。

関連項目:

backupoptions

obtar -c

用途

obtar -cは、単一のバックアップ・イメージを作成する場合に使用します。obtar -cを使用すると、オンデマンド・バックアップを実行することや、別のサイトに転送可能なボリュームにデータをバックアップすることが可能です。

NDMPバックアップでは、そのデータ・サービスに設定されているデフォルトのNDMPバックアップ・タイプが使用されます。この設定を上書きするには、ホスト・レベルでバックアップ・タイプを指定するか、NDMPポリシーを使用します。obtarでは、バックアップ操作で使用するデータ・サービスに対してユーザー固有のバックアップ・タイプが有効かどうかを確認します。ただし、obtarによる比較では大文字と小文字が区別され、小文字の値のみが認識されます。このため、バックアップ・タイプを大文字で指定すると、有効なバックアップ・タイプとして認識されないため、バックアップ操作にはデフォルトのNDMPバックアップ・タイプが使用されます。

バックアップ対象のファイルのユーザーID (UID)またはグループID (GID)が2097151を超える場合、tarヘッダー・ファイル内のUIDまたはGIDの値は60002で置き換えられ、警告が返されます。これは、POSIX標準によって定義されているように(拡張tar形式)、UIDおよびGIDの最大値が2097151であるからです。そのため、このバックアップをリストアする場合、リストアされたファイルのUIDまたはGIDは60002になります。

構文

obtar -c::=

obtar -c [ -f device ]
[ -H host ] [ -G ]
[ -v [ -v ]  ] [ -z ]
{ [ -C directory ] pathname... }...

意味

obtar -cには、複数のオプションを指定できます。この項では、使用する可能性が最も高いオプションについて説明します。obtar -cのその他のオプションについて学習するには、obtarのオプションを参照してください。

-f device

テープ・デバイスの名前を指定します。-fを指定しない場合は、TAPE環境変数(定義されている場合)によって指定されたテープ・デバイスに書き込まれます。

-H host

バックアップするデータが格納されているホストを指定します。-Hを指定しない場合、ローカル・ホスト上のデータが検索されます。

-G

バックアップ・イメージのコンテンツの索引をカタログに書き込み、ボリューム・ラベルを生成します。カタログ・データには、バックアップ・イメージに書き込まれたすべてのファイルおよびディレクトリの名前が含まれています。obtoolはこの情報を使用して、リストアするデータが含まれるバックアップ・イメージを検索します。

obtar -cを使用してバックアップ・イメージを作成する場合、カタログ・ファイルまたはボリュームIDは通常生成されません。しかし、-Gを使用してこれらを生成することは可能です。

-v

バックアップするファイルおよびディレクトリのパス名を表示します。-v -v (または-vv)を指定すると、バックアップするファイルおよびディレクトリのパス名、権限、所有者、サイズおよび最終変更日が表示されます。

-z

ラベルが付いたバックアップ・イメージを作成します。

-C directory

後続のファイルまたはディレクトリをバックアップする前に、指定されたディレクトリに移動します。このオプションを使用して、バックアップ・イメージに保存されるパス名情報を制御します。

pathname

バックアップする1つ以上のファイルまたはディレクトリを指定します。指定したファイルのコンテンツがバックアップ時に変更されると、警告メッセージが発行されます。

作成するバックアップ・イメージには、データとパス名情報が含まれます。データをリストアする場合、リストアするデータの場所としてpathnameが使用されます。データをリストアするときに使用するobtar -xコマンドには、リストアするデータの場所として別のhostまたはdirectoryを指定するためのオプションが用意されています。

pathnameがローカルまたはリモート・ファイル・システムをマウントして使用可能になるデータを参照する場合、obtar -cは、-Xcrossmpを指定しないかぎり、このマウント・ポイントを横断しません。

また、-Cオプションを使用して、バックアップ・イメージの作成時に記録されるpathname情報を変更することもできます。

例B-1 ボリュームへのバックアップ

ボリュームにバックアップ・イメージを作成するには、-fオプションを使用してテープ・デバイス名を指定します。この例では、テープ・デバイスtape0にロードされたボリュームにディレクトリ/docをバックアップしています。

obtar -c -f tape0 /doc

例B-2 複数のファイルのバックアップ

一度にバックアップするディレクトリまたはファイルを複数指定できます。この例では、ファイル/jane/abcとファイル/bob/xyzをバックアップしています。

obtar -c -f my_tape /jane/abc /bob/xyz

例B-3 ディレクトリ情報の変更

-Cオプションを使用すると、バックアップ・イメージに保存されるパス名情報を制御できます。-Cを使用して、後続のパス名を含んだ上位ディレクトリを指定します。そのディレクトリは、パス名情報の一部としてバックアップ・イメージに保存されません。

この例では、ディレクトリ/home/jane/currentをバックアップしています。-vオプションを使用して、バックアップするデータのパス名を表示しています。

obtar -cv -f tape1 -C /home/jane current

current/
current/file1
current/file2

-vオプションによって表示された情報が示すように、バックアップ・イメージに記録されるパス名情報は、相対パス名currentの内容です。後でディレクトリをリストアする場合、別の指定をしないかぎり、現行ディレクトリを基準としたcurrentという名前のディレクトリにリストアされます。

例B-4 ディレクトリ情報の変更

この例では、ファイル/test/proj3/trial7/test1および/test/proj3/trial7/test2をバックアップしています。

obtar -cv -f /dev/nrwst1 -C /test/proj3 trial7/test1 trial7/test2

trial7/test1
trial7/test2 

バックアップ・イメージに記録されるパス名情報は、相対パス名のtrial7/test1およびtrial7/test2です。後でファイルをリストアする場合、別の指定をしないかぎり、それらはディレクトリtrial7内の現行の作業ディレクトリにリストアされます(trial7が存在しない場合は、最初に作成されます)。

obtar -x

用途

obtar -xは、バックアップ・イメージからファイルを抽出する場合に使用します。バックアップ・イメージのコンテンツ全体を抽出することも、バックアップ・イメージの一部のみを抽出することもできます。

独自のディレクトリにデータをリストアする場合、特別な権限は必要ありません。rootとしてディレクトリにデータをリストアする場合、rootとしてログインするか、obtarコマンドに-Rオプションを指定する必要があります。

構文

obtar -x::=

obtar -x [ -kpORvzZ ]
[ -f device ]...
[ -F { cur|file-number } ]
[ -H destination-host ]
[ -s,prefix,[replacement,] ] [ pathname ]...

意味

obtar -xには複数のオプションを指定できます。この項では、使用する可能性が最も高いオプションについて説明します。obtar -xのその他のオプションについて学習するには、obtarのオプションを参照してください。

pathname

バックアップ・イメージから抽出するファイルまたはディレクトリのパス名を指定します。ディレクトリを指定すると、そのディレクトリのコンテンツが再帰的に抽出されます。パス名を指定しない場合は、バックアップ・イメージのコンテンツ全体が抽出されます。

-f device

データが格納されているテープ・デバイスの名前を指定します。-fを指定しない場合は、TAPE環境変数(定義されている場合)によって指定されたテープ・デバイスから読み取られます。

-F {cur|file-number}

ボリューム・セットにおけるバックアップ・イメージの番号を指定します。-Fを指定しない場合は、ボリュームの現在位置にあるバックアップ・イメージが抽出されます。curを指定した場合は、ボリュームの現在位置にあるバックアップ・イメージが抽出されます。これがデフォルトです。file-numberを指定した場合は、指定したファイル位置にあるバックアップ・イメージが抽出されます。

-H destination-host

データのリストア先のホストを指定します。-Hを指定しない場合、データはローカル・ホストにリストアされます。

-s,prefix,[replacement,]

抽出したファイルおよびディレクトリの配置先を指定します。このオプションを使用は、バックアップ・イメージからファイルを抽出し、ファイルのバックアップ元の場所とは異なる場所に配置する場合に使用します。

-sを使用すると、リストア対象のパス名のprefixreplacement文字列で置き換えられます。prefixには、元のパス名の最初の部分を含める必要があります。たとえば、ディレクトリ/home/jane/testをバックアップし、データを/home/tmp/testにリストアする場合は、この文字列を次のように指定します。

-s,/home/jane,/home/tmp

replacement文字列を省略すると、NULL文字列とみなされ、prefixは、検出されたすべてのpathnameから削除されます。構文内でカンマ(,)として示されているデリミタ文字は、prefixまたはreplacement文字列で使用されていない任意の文字にすることができます。

-sを使用すると、ファイルまたはディレクトリの名前はリストア時に表示されます。

-k

バックアップ・イメージ内のファイルと同名の既存ファイルを上書きできないようにします。つまり、既存でないファイルのみがリストアされます。

-O

リクエストしたファイルのリストア後にobtarを停止します。-Oを指定しない場合は、リクエストしたファイルの後続のコピーがないかバックアップ・イメージ全体が検索されます。

-R

rootアクセス権を使用してobtarを実行します。-Rを使用するには、特権ユーザーとしてのリストア実行(perform restores as privileged user)権を備えたクラスのメンバーである必要があります。rootとしてログインしている場合は、-Rを使用する必要はありません。

-v

リストアするファイルおよびディレクトリのパス名を表示します。-v -v (または-vv)を指定すると、リストアするファイルおよびディレクトリのパス名、権限、所有者、サイズおよび最終変更日が表示されます。

-z

バックアップ・イメージのボリューム・ラベル(存在する場合)を表示します。

-Z

-Zを使用して以前に圧縮したデータを圧縮解除できないようにします。-Zを指定しない場合は、-Zを使用して以前に圧縮したデータが圧縮解除されます。

例B-5 バックアップ・イメージからのファイルの抽出

この例では、テープ・デバイスtape1にロードされたボリューム上にあるバックアップ・イメージ4のコンテンツを抽出しています。

obtar -x -f tape1 -F 4

例B-6 バックアップ・イメージのコンテンツの表示

この例では、-vオプションを使用して、バックアップ・イメージのコンテンツを抽出時に表示しています。

obtar -x -v -f tape1 -F 4

doc/
doc/chap1
doc/chap2
test/
test/file1
test/file2

例B-7 ボリューム・ラベルの表示

この例では、-zオプションを使用して、抽出するボリュームのボリューム・ラベルを表示しています。

obtar -x -z -f tape1 -F 4

例B-8 別の場所へのデータの抽出

-sオプションを使用して、抽出したデータを元の場所とは異なる場所に配置します。このオプションは、データのバックアップ時に絶対パス名を指定した場合に特に役に立ちます。-sを使用しない場合は、データは元のディレクトリにリストアされ、同名の既存データは上書きされます。この例では、/docディレクトリを抽出し、/tmp/docという名前のディレクトリに配置しています。

obtar -x -f tape1 -s,/doc,/tmp/doc, /doc

例B-9 ファイルの上書きの禁止

この例では、バックアップ・イメージ内のファイルと同じ名前を持つ/docディレクトリ内のファイルを上書きできないようにしています。

obtar -x -f tape1 -k /doc

例B-10 RAWファイルシステム・パーティションのリストア

この例では、RAWファイルシステム・パーティションのコンテンツをリストアしています。このパーティションは以前にフォーマット済であり、現在はアンマウントされているものとします。

obtar -x -f tape0 /dev/rdsk/dks0d10s1

obtar -t

用途

obtar -tは、バックアップ・イメージに含まれるファイルおよびディレクトリの名前をリストする場合に使用します。バックアップ・イメージのコンテンツ全体をリストすることも、一部のみをリストすることも可能です。バックアップ・イメージをカタログに追加するには、-Gtを指定します。obtar -tでは、NDMPバックアップはリストまたはインポートされません。

構文

obtar -t::=

obtar -t [ -f device ]
[ -F { cur | file-number } ]
[ -Gvz ]
[ pathname ]...

意味

obtar -tには複数のオプションを指定できます。この項では、使用する可能性が最も高いオプションについて説明します。obtar -tのその他のオプションについて学習するには、obtarのオプションを参照してください。

-f device

テープ・デバイスの名前を指定します。-fを指定しない場合は、TAPE環境変数(定義されている場合)によって指定されたテープ・デバイスから読み取られます。

-F {cur | file-number}

ボリューム・セットにおけるバックアップ・イメージの番号を指定します。現在ロードされているものとは異なるボリューム上にファイルがある場合、必要なボリューム変更を行うように要求されます。-Fを指定しない場合は、ボリュームの現在位置にあるバックアップ・イメージが読み取られます。

curを指定した場合は、ボリュームの現在位置にあるバックアップ・イメージが読み取られます。これがデフォルトです。

file-numberを指定する場合は、指定したファイル位置にあるバックアップ・イメージが読み取られます。

-v

バックアップ・イメージのコンテンツに関する追加情報を表示します。この出力は、UNIXのls -lコマンドと似ています。追加情報には、ファイルとディレクトリの権限、所有者、サイズおよび最終変更日が含まれます。

-z

バックアップ・イメージのボリューム・ラベルを表示します。

pathname

リストするファイルまたはディレクトリのパス名を1つ以上指定します。ディレクトリを指定すると、そのディレクトリのコンテンツが再帰的にリストされます。パス名の引数を指定しない場合は、ボリュームの現在の場所か、-Fオプションで指定した場所にあるバックアップ・イメージのコンテンツがすべてリストされます。

例B-6 バックアップ・イメージのコンテンツの表示

この例では、テープ・デバイスtape1にロードされたボリュームの現在位置にあるバックアップ・イメージのコンテンツを表示しています。

# obtar -t -f tape1

project/
project/file1
project/file2
project/file3

例B-12 ボリューム・セットにあるバックアップ・イメージのコンテンツの表示

ボリューム・セット上にある特定のバックアップ・イメージのコンテンツを表示するには、-Fオプションを使用します。この例では、バックアップ・イメージ4のコンテンツを表示しています。

# obtar -t -f tape1 -F 4

doc/
doc/chap1
doc/chap2
test/
test/file1
test/file2

例BF-13 バックアップ・イメージに関する追加情報の表示

バックアップ・イメージに関する追加情報を表示するには、-vオプションを使用します。この例では、-vオプションを使用して、バックアップ・イメージ4に関する追加情報に表示しています。

# obtar -t -v -f tape1 -F 4

drwxrwxr-x jane/rd       0 Feb 24 16:53 2000 doc/
-rw-r--r-- jane/rd     225 Feb 24 15:17 2000 doc/chap1
-rwxrwxr-x jane/rd     779 Feb 24 15:17 2000 doc/chap2
drwxrwxr-x jane/rd       0 Feb 24 16:55 2000 test/
-rwxrwxr-x jane/rd     779 Feb 24 16:54 2000 test/file1
-rw-r--r-- jane/rd     225 Feb 24 16:54 2000 test/file2

例B-14 イメージ内のファイルに関する情報の表示

バックアップ・イメージに含まれる特定のファイルまたはディレクトリに関する情報を表示するには、ファイルまたはディレクトリの名前をコマンドラインの最後の引数として含めます。この例では、バックアップ・イメージ4に含まれるディレクトリtestに関する情報を表示しています。

# obtar -t -f tape1 -F 4 test

test/
test/file1
test/file2

例B-15 複数のディレクトリに関する情報の表示

バックアップ・イメージに含まれているパス名を複数指定できます。この例では、ディレクトリtestおよびdocに関する情報を表示しています。各ディレクトリは、バックアップ・イメージ内と同じ順序でリストされます。

# obtar -t -f tape1 -F 4 test doc

doc/
doc/chap1
doc/chap2
test/
test/file1
test/file2

例B-16 ファイルシステム・バックアップ・イメージのカタログへの追加

-Gオプションは、バックアップ・イメージのコンテンツをカタログに追加する場合に使用します。この例では、テープ・ドライブtape1にロードされたボリューム上のバックアップ・イメージ1をカタログに追加しています(出力の一部のみ表示)。この例でイメージに含まれているのは、1つのファイルシステム・バックアップです。一度にカタログに追加できるバックアップ・イメージは1つのみです。

# obtar -f tape1 -tG -F 1

Volume label:
    Volume tag:         DEV100
    Volume ID:          VOL000001
    Volume sequence:    1
    Volume set owner:   root
    Volume set created: Tue Nov 22 15:57:36 2012

Archive label:
    File number:        1
    File section:       1
    Owner:              root
    Client host:        osbsvr2
    Backup level:       0
    S/w compression:    no
    Archive created:    Tue Nov 22 15:57:36 2012

/home/someuser/
/home/someuser/.ICEauthority
/home/someuser/.Xauthority
/home/someuser/.aliases
/home/someuser/.bash_history
/home/someuser/.bash_logout
/home/someuser/.bash_profile
/home/someuser/.bashrc
.
.
.

例B-17 RMANバックアップ・イメージのカタログへの追加

この例でも、テープ・ドライブtape1にロードされたボリューム上のバックアップ・イメージ1をカタログに追加しています。この例でイメージに含まれているのは、アーカイブREDOログ・ファイルのRMAバックアップです。

# obtar -f tape1 -tG -F 1

Volume label:
    Volume tag:         ADE202
    Volume ID:          RMAN-DEFAULT-000002
    Volume sequence:    1
    Volume set owner:   root
    Volume set created: Mon Feb 13 10:36:13 2006
    Media family:       RMAN-DEFAULT
    Volume set expires: never; content manages reuse
 
Archive label:
    File number:        1
    File section:       1
    Owner:              root
    Client host:        osbsvr1
    Backup level:       0
    S/w compression:    no
    Archive created:    Mon Feb 13 10:36:13 2006
    Backup piece name:  05hba0cd_1_1
    Backup db name:     ob
    Backup db id:       1585728012
    Backup copy number: non-multiplexed backup
    Backup content:     archivelog

obtar -zz

用途

obtar -zzは、ボリューム上のすべてのOracle Secure Backupラベルを表示する場合に使用します。

構文

obtar -zz::=

obtar -zz [ -f device ]

意味

obtar -zzには複数のオプションを指定できます。この項では、使用する可能性が最も高いオプションについて説明します。obtar -zzのその他のオプションについて学習するには、obtarのオプションを参照してください。

-f device

バックアップ・イメージ・ファイルまたはテープ・デバイスの名前を指定します。-fオプションを省略した場合は、TAPE環境変数(定義されている場合)によって指定されたテープ・デバイスから読み取られます。

例B-18 ボリューム上のすべてのバックアップ・イメージのラベルの表示

例B-18に示すように、-zzを使用して、ボリューム上のすべてのバックアップ・イメージのラベルを表示できます。

obtar -zzf tape0

Seq  Volume    Volume    Backup Image    Client    Backup    Backup Image Create
#    ID        Tag       File Sect       Host      Level     Date & Time
1    VOL000003             1   1         campy       0       05/01/00 14:08:23
1    VOL000003             2   1         phred       0       05/01/00 15:37:00
1    VOL000003             3   1         mehitibel   0       05/01/00 15:38:08

obtarのオプション

obtarのオプションをアルファベット順にリストしたものが、表B-2の各行です。各列は、オプションを指定できるobtarのモードを示しています。

表B-2 obtarのオプション

オプション -c -t -x -zz

-A

x

-b

x

x

x

-B

x

x

-C

x

-e

x脚注1

x

x

-E

x脚注2

-f

x

x

x

x

-F

x

x

x

-G

x

x

-h

x

-H

x

x

-J

x

x

x

x

-k

x

-K

x

x

-l

x

x

-L

x

-m

x

-M

x

-O

x

-P

x

-q

x

x

-R

x

x

x

x

-s

x

-u

x

-U

x

-v

x

x

x

-V

-w

x

x

-Xallowdiffspldev

x

-Xcatalog        

-Xchkmnttab

x

x

-Xcleara

x

-Xcrossmp

x

x

-Xdepth

x

x

x

-Xfamily

x

-Xhighlatency

x

-Xhome

x

x

-Xincrrestore

x

-Xinstance        

-Xkv

x

-Xmarkerfiles

x

-Xnice

x

x

x

x

-Xno_mod_chk

x

-Xnochaselinks

x

-Xnostat

x

-Xow

x

-Xupdtu

x

-Xuq

x

-Xuse_ctime

x

-Xverifyarchive

x

-Xww

x

-y

x

-Z

x

x

脚注1

-Gも指定されている場合

脚注2

-Gも指定されている場合

-A

アクセス制御リスト(ACL)、コンテキスト依存ファイル(CDF)、およびHP社プラットフォーム(HP-UXオペレーティング・システム)でバックアップされたファイルのその他の拡張ファイルシステム属性を保存しません。デフォルトでは、各ファイルのすべてのファイルシステム属性が保存されます。HP社プラットフォームにこれらのファイルをリストアすると、拡張属性もリストアされます。

その他のプラットフォームでこれらのファイルをリストアすると、ACL情報は無視されます。

Windows、LinuxおよびUNIXプラットフォームの場合、-Aフラグを使用すると、拡張属性およびACLを除く、各ファイルに関連付けられたプライマリ・データ・ストリームのみがobtarで保存されます。

関連項目:

拡張属性およびアクセス制御リストでバックアップおよびリカバリを実行する方法の詳細は、拡張属性およびアクセス制御リストのOracle Secure Backupサポートを参照してください

-b blocking-factor

blocking-factorに512バイトを乗算した値であるブロック・サイズでデータを書き込みます。デフォルトでは、blockingfactorメディア・ポリシーによって指定されたブロッキング・ファクタが使用されます。ファイルをリストアする場合、データのバックアップ時に使用されたブロック・サイズが自動的に設定されます。

-B

読取りを複数回実行してブロックを埋めます。obtarをUNIXのパイプまたはソケットとともに使用している場合、UNIX read関数は、さらにデータを受け取っている場合でもデータのブロックの一部を戻すことがあります。

たとえば、Oracle Secure Backupがインストールされていないホストに接続されているテープ・デバイスからデータをリストアするとします。次のコマンドを実行すると、ホストloganに接続されているテープ・デバイスから/docディレクトリがリストアされます。

rsh logan cat /dev/nrst0 | obtar -x -B -f - /doc

-fオプションを使用してリモート・テープ・デバイスを指定する場合は、-Bを使用する必要はありません。これは、obtarのネットワーク・プロトコルによって全ブロックの読取りおよび書込みが保証されるためです。

-C directory

バックアップするファイルに関連付けられたディレクトリ構造を変更します。このオプションにより、obtarの作業ディレクトリがdirectoryに変更され、関連ファイルがバックアップされます。コマンドラインで次の-Cオプションを実行するまでは、directoryが現行ディレクトリとして使用されます。ファイルをリストアする場合、これらのファイルは、directoryからの相対パスを使用してリストアされます。

-e volume-id

バックアップ時にはこのバックアップ・イメージボリューム・ラベルvolume-idを使用し、リストア時にはボリューム・ラベルのvolume-idを検索します。ボリュームIDは、英数字の任意の組合せで31文字まで指定できますが、最後の6文字は数字である必要があります。バックアップ時にボリュームIDを指定しない場合、管理ディレクトリにあるボリューム順序ファイル内のボリュームID (デフォルト)か、-Eオプションで指定したボリュームIDが使用されます。

通常、-eを使用するのは、スクリプトからobtar -xまたはobtar -tを実行する際に、リストアするボリュームが正しいかどうかを検証するためです。obtarは、ボリュームIDとラベルのボリュームIDを突き合せ、これらが一致しない場合には終了します。索引付けまたはリストアを行うデータの元となるテープ・ドライブテープ・ライブラリに内包されている場合、コマンドラインに-eを指定すると、操作を開始する前に、そのボリュームのテープ・ドライブへのロードが試行されます。

-E volume-id-file

ボリューム・ラベルのvolume-id-file内のボリュームIDを使用します。管理サーバー上の管理ディレクトリにあるvolume-id-fileが検索されます。このオプションを指定しない場合、ボリューム順序(デフォルトのボリュームIDファイル)のボリュームIDが使用されます。

-f device

バックアップ・イメージを作成するテープ・デバイスの名前を指定します。-fのdevice引数は、管理ドメインのテープ・ドライブに割り当てた名前です。

-fオプションを指定しない場合は、TAPE環境変数(定義されている場合)によって指定されたテープ・デバイスが使用されます。

大量のデータをバックアップする場合、obtarは、必要に応じて、あるボリュームから次のボリュームにバックアップ・イメージを引き継がせようとします。テープ・ドライブがテープ・ライブラリ内にある場合、自動的に現行のボリュームがアンロードされ、バックアップを引き継がせるために適した別のボリュームを求めてテープ・ライブラリのインベントリが検索されます。テープ・デバイスがテープ・ライブラリ内にあるとobtarが考えるかどうかは、obtarのインストールおよび構成の方法によって決定されます。

スタンドアロンのテープ・ドライブを使用している場合、ボリュームが終わっても書き込む必要があるデータがまだある場合、テープは巻き戻されてアンロードされます。オペレータ・ホストには次のようなメッセージが表示されます(vol-idは、ボリューム・セット内の次のボリュームを示す)。

End of tape has been reached. Please wait while I rewind and unload the tape. The
Volume ID of the next tape to be written is vol-id.
The tape has been unloaded.
Please insert new tape on device
and press <return> when ready:

バックアップは次のボリュームに引き継がれます。

-F {cur | end | file-number}

ボリュームの現在位置(デフォルト)ではなく、ボリューム・セット内の指定位置で、バックアップ・イメージの書込みまたは読取りを行います。このオプションを使用するのは、テープ・デバイスに対して書込みまたは読取りを行う場合のみです。テープ位置は、ボリューム・セット内の指定ファイルに設定されます。このファイルがロードされていないボリューム上にある場合は、必要なボリュームをロードするように要求されます。

位置をcurと指定すると、ボリュームの現在位置でバックアップ・イメージの書込みまたは読取りが行われます。

endを指定すると、ボリューム・セットの既存の最終バックアップ・イメージの直後に新しいバックアップ・イメージが書き込まれます。

file-numberを指定すると、指定したファイル位置にバックアップ・イメージが書き込まれます。ボリューム・セット上の各バックアップ・イメージには、1から始まる番号が順に付けられます。

ノート:

指定したボリューム位置にバックアップ・イメージを作成する場合、ボリュームに他のバックアップ・イメージがすでに含まれていても、バックアップ・イメージが最終バックアップ・イメージになります。たとえば、11のバックアップ・イメージが含まれるボリューム上で位置6にバックアップ・イメージを書き込むと、バックアップ・イメージ7から11は事実上消去されます。obtar -tおよびobtar -xを使用する場合は、このオプションのかわりに-qオプションを使用できます。

-G

バックアップ・イメージのコンテンツの索引をカタログに書き込み、ボリューム・ラベルを生成します。このコンテンツには、ファイルシステム・バックアップまたはRecovery Manager (RMAN)バックアップを指定できます。この情報を使用して、リストアするデータが含まれるバックアップ・イメージが検索されます。

-h

通常、バックアップ対象データにシンボリック・リンクが含まれる場合、リンク・テキストのみがバックアップされ、リンクが指し示すデータはバックアップされません。-hオプションを使用すると、リンク・テキストだけでなくデータもバックアップできます。

obtar -cを使用する際に明示的なリンク・パス名を指定すると、-hオプションの使用に関係なく、そのリンクによって指定されたデータはバックアップされます。明示的に指定されたリンクがたどられないようにするには、-Xnochaselinksを指定します。

-H host

ローカル・ホスト(デフォルト)ではなく、hostに対してデータのバックアップまたはリストアが行われます。

-J

実行時にデバッグ出力を作成します。

-k

存在していないファイルのみがリストアされます。つまり、既存のファイルはバックアップ・イメージ内のバージョンによって上書きされません。デフォルトでは、既存のファイルはすべて上書きされます。

-K mask

デバイス・ドライバのデバッグ・オプションを指定します。maskは、次の表B-3に示す値のビット単位の包含的ORです。

表B-3 maskの値

意味

800

オープンする前でのデバッグ・モードの有効化

400

BOTで行う書込みの1回のみの許可

200

書込みエラーの送信

100

カーネル・ドライバのデバッグ

080

タイムアウトの有効化

040

タイムアウトの無効化

020

EOMでのデバッグの有効化

010

早期EOTの発行

008

DMAアクティビティのトレース

004

その他の情報のトレース

002

エラーのトレース

001

ドライバ・コールのトレース

ノート:

このオプションを使用すると大量の出力が生成される可能性があるため、通常は、Oracleサポート・サービスによって指示された場合のみ使用してください。

-l

バックアップまたはリストア時に、ファイル・システムのマウント・ポイントの横断を禁止します。

デフォルトでは、バックアップ記述ファイルにマウント・ポイント文を明示的に指定しないかぎり、マウント・ポイントを横断しません。-lを指定すると、この明示的な上書き設定が無視され、マウント・ポイントを横断しません。

-Xchkmnttabも指定する場合、-lを指定すると、リモート・マウント・ポイントを横断しないようにマウント表(/etc/mnttab)が参照されます。

Windows 2000でNTファイル・システム(NTFS)パーティションをバックアップまたはリストアする場合、名前のサロゲートの再解析ポイント(ディレクトリ・ジャンクションなど)がマウント・ポイントとして扱われます。

このオプションを-vオプションとともに使用すると、スキップするファイルの名前が標準エラーに書き込まれます。

-L {full | incr | exincr | offsite | n | date-time}

全体バックアップ(デフォルト)のかわりに指定のバックアップ・レベルを使用します。

fullは、全体バックアップを指定します。この場合、obtar -cコマンドで指定されたすべてのデータが保存されます。

incrは、増分バックアップを指定します。この場合、最終バックアップ以降に変更されたデータのみが保存されます。

exincrは、拡張増分バックアップを指定します。この場合、最終の全体バックアップ以降に変更されたデータのみが保存されます。

offsiteを使用すると、全体および増分バックアップの後続のスケジュールには影響を及ぼさないオンデマンド・バックアップが生成されます。

また、数値バックアップ・レベルn (0から9の数値で、最終バックアップ以降に変更された下位レベルのデータのみを保存)を指定することもできます。バックアップ・レベル0はfullと同じレベルで、レベル1はexincrと同じレベルです。

date-time引数を使用すると、その日時以降に変更されたデータのみが保存されます。date-time引数は後続の増分バックアップの参照ポイントとしては使用できないため、この引数を使用しても正しい増分バックアップは作成されません。date-time引数は、obtarを実行するロケールに適した書式で設定する必要があります。米国の場合、次の書式でdate-timeを指定します。

mm/dd[/yy] [hh[:mm[:ss]]]

hhhh:mmまたはhh:mm:ssdate-timeの一部として指定する場合、date-timeを引用符で囲む必要があります。年(/yy)を指定しない場合、直前の12か月が使用されます。hh:mmは指定してもssは指定しない場合、hh:mm:59が使用されます。

-m

バックアップ・イメージに保存されている時間(デフォルト)ではなく現在の時間を、最終変更時間(last time modified)のタイムスタンプとして使用します。

次の例では、/oldディレクトリ内のすべてのディレクトリおよびファイルに対するタイムスタンプが現在の日時に変更されています。

obtar -x -m -f tape0 /old
-M parameter:value

-Mを使用すると、ハードウェア圧縮をサポートしているテープ・デバイスのハードウェア圧縮をオンまたはオフにできます。デフォルトでは、ハードウェア圧縮はオンに設定されます。ハードウェア圧縮を設定する場合、ハードウェア圧縮はオンにするにはonを、ハードウェア圧縮はオフにするにはoffを指定します。

-M compress:{on|off}

ハードウェア圧縮をオンにすると、データの圧縮はリストア時に自動的に解除されます。ハードウェア圧縮は-Zオプションと同時に使用しないでください。

-O

リストアするファイルの初回出現後にリストア操作を終了します。通常、obtar -xでは、リストアする各ファイルの複数のコピーを探してバックアップ・イメージ全体がスキャンされます。-Oを指定すると、すべてのファイルが1回リストアされた後にリストアが停止します。

-P

スパース・ファイルは、決して書き込まれることがない領域があるファイルです。通常、スパース・ファイルの特殊処理は一切行われません。obtar -cを使用してバックアップ・イメージを作成する際に-Pオプションを指定すると、バックアップ・イメージ内のスパース・ファイルはすべて圧縮されます。後でこのバックアップ・イメージをリストアする場合、スパース・ファイルは元の形式でリストアされます。

ノート:

Windows 2000では、スパース・ファイルは常にスパース形式でバックアップおよびリストアされるため、このオプションは適用されません。

-q position-string

ブロックへの直接位置指定をサポートするテープ・デバイスを使用している場合、-qオプションを使用するとボリューム上にある特定のデータを高速で探すことができます。-qに対する引数は、obtoolのls --backup --positionコマンドから取得する位置文字列です。-qを使用すると、ボリュームは指定した場所に直接位置指定されます。

たとえば、obtoolのlsコマンドを使用すると、ファイル/home/gms/output/test001の位置を特定できます。

obtool ls --backup --position /home/gms/output/test001

test001
Backup Date & Time ID  Volume ID Volume Tag File Sect  Level Position
2006/01/11.10:16:28 3  VOL000106   00000110   11    0    000045020008

位置データを取得すると、次の例に示すように-qオプションをobtar -tに指定できます。

obtar -t -f tape1 -q 000045020008
-R

rootアクセス権を使用してobtarを実行します。-Rを使用するには、特権ユーザーとしてのファイル・システム・リストア実行権または特権ユーザーとしてのファイル・システム・バックアップ実行権を備えたクラスのメンバーである必要があります。rootとしてログインしている場合は、-Rを指定する必要はありません。

-s,prefix,[replacement,]

リストア対象のすべてのパス名でprefixが出現するたびにreplacementで置き換えます。prefixには、元のパス名の最初の部分を含める必要があります。replacementを省略すると、リストア対象のすべてのパス名に出現するprefixがすべて削除されます。カンマ(,)のかわりにデリミタとして使用できる文字は、prefixまたはreplacement文字列のどちらにも含まれていない文字です。このオプションを使用すると、バックアップ・イメージからファイルを抽出し、バックアップ元とは異なる場所に配置できます。

-u

ファイルをリストアする際に、明示的に指定されないかぎり既存のファイルは上書きされます。ファイルのロックをサポートするシステムでは、現在使用中のファイルに対してでさえ、このような既存ファイルの置換が発生します。現在使用中のファイルを上書きしないようにするには、obtarコマンドラインに-uを指定します。

-U

管理ディレクトリにあるバックアップ日付ファイルを更新します。このオプションは、autohistory操作ポリシーの設定に優先します。

-v

ファイルに関する詳細情報を標準出力または標準エラーに書き込みます。

このオプションをobtar -cとともに使用すると、バックアップするファイルの名前およびボリューム・ラベル(作成されている場合)が標準エラーに書き込まれます。

このオプションをobtar -tとともに使用すると、ファイル名のみ(デフォルト)でなく、ファイルに関する追加情報が、標準出力に書き込まれます。この追加情報は、ls -lコマンドの出力と似ています。

このオプションをobtar -xとともに使用すると、リストアするファイルの名前が標準出力に書き込まれます。-vvを指定すると、ファイルに関する追加情報(ls -lコマンドの出力と同様)が標準エラー(obtar -c)または標準出力(obtar -x)に書き込まれます。

ノート:

-vオプションによってレポートされるユーザーID(UID)またはグループID(GID)は、ファイルの実際のUIDまたはGIDと一致しない場合があります。UIDおよびGIDの最大値は、POSIX標準によって定義されます(拡張tar形式)。バックアップ操作中に、tarヘッダー内に収まる最大値(2097151)を超えるUIDまたはGIDのファイルが見つかった場合、UIDまたはGIDは60002に置き換えられ、警告が返されます。このような警告の存在は、バックアップの終了ステータスに反映されます。

-V

obtarのバージョンを出力し、終了します。

-w

ファイルをバックアップまたはリストアする前にアドバイザ・ファイルのロックをチェックして受け入れます。ロックが設定されている場合、警告メッセージが表示され、ファイルはスキップされます。

-Xallowdiffspldev

デフォルトで、RAWパーティションのリストア先として使用できるのは、パーティションのバックアップ先のブロック・デバイスと同じメジャー番号またはマイナー番号を持つブロック・デバイスのみです。パーティションのバックアップ先のブロック・デバイスとはメジャー番号またはマイナー番号が異なるブロック・デバイスにRAWパーティションをリストアするには、-Xallowdiffspldevオプションを使用します。

ノート:

Xallowdiffspldevオプションを使用できるのは、Oracle Secure Backup 10.3.0.2.0以降のみです。

-Xcatalog
ディスク・プールまたはクラウド・コンテナ・デバイスから単一インスタンスをカタログに追加できます。このオプションを-Xinstanceオプションとともに使用して、インポートされるインスタンスUUIDを指定します。
-Xchkmnttab

stat(2)操作を実行する前にローカルのマウント表(/etc/mnttab)を参照し、リモート・マウント・ポイントだと判明したディレクトリをスキップします。ローカル・マウント・ポイントはスキップされません。このオプションが適用されるのはLinuxおよびUNIXのみです。

-Xchkmnttabオプションにより、停止しているかまたは応答がないリモート・ホストが原因となるハングを回避できます。-Xchkmnttabオプションは、-Xcrossmpによって無効にされます。

関連項目:

backupoptions操作ポリシーに-Xchkmnttabオプションを指定する手順は、backupoptionsを参照してください

-Xcleara

正常にバックアップされた各ファイルのアーカイブ・ファイル属性ビットをクリアします。このオプションを使用しない場合、アーカイブ・ファイル・ビットは変更されないまま残ります。このオプションが適用されるのはWindowsのみです。

-Xcrossmp

-lまたは-Xchkmnttabオプションの指定の有無を問わず、すべてのマウント・ポイントを横断します。デフォルトでは、マウント・ポイントを横断しません。

-Xcrossmpオプションは、backupoptions操作ポリシーに指定できます。

-Xdepth:levs

表示する索引レベルの最大数を指定します。

-Xfamily[:family]

ラベルを付けるボリュームがメディア・ファミリfamilyに属すことを指定します。

-Xhighlatency

再解析ポイントが指し示すデータをフェッチします。通常、再解析ポイントで待機時間が長いと、再解析ポイントはバックアップされますが、基礎となるデータはバックアップされません。このオプションが適用されるのはWindowsのみです。

-Xhome:dir

バックアップを開始する前にクライアント・ホスト上のホーム・ディレクトリをdirに設定します。

-Xincrrestore

ネットワーク接続ストレージ(NAS)デバイスに対して増分ネットワーク・データ管理プロトコル(NDMP)リストアを実行します。

-Xinstance
ディスク・プール・デバイスまたはクラウド・コンテナ・デバイスからカタログに追加する単一バックアップ・イメージ・インスタンスUUIDを指定します。このオプションは、-Xcatalogオプションとともに使用する必要があります。次に、メディア・サーバーに発行される、Xinstanceオプションを使用するサンプル・コマンドを示します。
# obtar -Xcatalog -Xinstance:8d866afc-c1cf-1034-a202-0021f618cfbf -f disk1
-Xkv:time_spec

ボリュームの保存時間を指定します。time_specは、disabled (保存時間なし)、foreverまたはn tuで、tuは、secs (秒)、mins (分)、hrs (時間)、days (日)、wks (週)、mos (月)またはyrs (年)のいずれかです。このオプションが有効なのは、ボリュームの最初のファイルに書き込む場合のみです。

-Xmarkerfiles

バックアップ時に見つかった索引マーカー・ファイルを受け入れます。現在、定義されている索引マーカー・ファイルは.ob_no_backupのみです。‐Xmarkerfilesを指定した場合、この名前のファイルがディレクトリにあると、このディレクトリまたはそのサブディレクトリはバックアップされません。

ノート:

XmarkerfilesオプションはOracle Secure Backupリリース18.1では非推奨であり、将来のリリースではサポートされなくなる可能性があります。
-Xnice:val

バックアップまたはリストア・プロセスのnice(1)値をvalに設定します。この値は、リクエストされた操作を実行するためにobtarによって生成されたローカルおよびリモート・サブプロセスに伝播されます。

Windowsの場合、指定されたvalは次のルールに従ってWindowsプロセスの優先度の値にマップされます。

  • val >= -20かつval <= -6の場合、値はABOVE_NORMAL_PRIORITY_CLASSに変換されます。

  • val >= -5かつval <= 4の場合は、NORMAL_PRIORITY_CLASSに変換されます。

  • val >= 5かつval <= 19の場合は、BELOW_NORMAL_PRIORITY_CLASSに変換されます。

  • 値が前述の範囲に当てはまらない場合は、警告が発行され、その値は無視されます。

-Xno_mod_chk

ファイルのバックアップ時に変更チェックを省略します。通常は、ファイルがバックアップされた後で、バックアップ中にファイルが変更されたかどうかチェックされます。ファイルが変更されていた場合は、警告メッセージが出力されます。このオプションを設定すると、パフォーマンスが向上します。

-Xnochaselinks

リンクがコマンドラインに明示的に指定されていても、リンクをたどらないようにします。

-Xnostat

ファイルの状態データ(所有権、権限、サイズ)を索引ファイルに含めません。デフォルトでは、このデータは索引ファイルに書き込まれ、後でカタログにインポートされます。

-Xow

ボリューム・ラベルの有効期限を無視します。有効期限がまだ切れていないボリュームを上書きしようとする場合は、-Xowを指定しないかぎり、操作が失敗します。

-Xupdtu

ファイルをバックアップした後にファイルのアクセス時間をリセットしません。通常、ファイルがバックアップされた後、ファイルのアクセス時間(atime)は、バックアップ開始前のアクセス時間にリセットされます。ファイルをバックアップしても元のatimeは変更されません。バックアップでファイルのatimesが変更されてもかまわない場合、このオプションを指定すると、バックアップのパフォーマンスが若干向上します。

-Xuq:n

utimeヘルパーのキューのサイズを指定します。データのバックアップ時には、ヘルパー・プロセスを使用してutime(2)コールが実行され、バックアップするファイルのアクセス時間がリセットされます。このパラメータにより、utimeヘルパーの入力キューのサイズを制御します。このオプションが適用されるのはLinuxおよびUNIXのみです。

-Xuse_ctime

増分バックアップの実行時に、バックアップに含めるファイルの基準としてmtimes (変更時間)ではなくctimes (inode変更時間)を使用します。このオプションを使用することは-Xupdtuも使用することを意味します。

-Xverifyarchive

バックアップ・セクションの完了時にテープをセクションの先頭に巻き戻し、コンテンツを読み取ります。

-Xww:time_spec

ボリュームの書込みウィンドウの有効期限を指定します。time_specは、-Xkvオプションの場合と同じように指定します。入力した時間指定がボリュームの作成時間に加算され、ボリュームに対する追加書込みの有効期限が決定されます。このオプションが有効なのは、ボリュームの最初のファイルに書き込む場合のみです。

-y status-file

バックアップ・セッションに関するステータス情報をstatus-fileに書き込みます。これらの統計は、retainbackupmetricsポリシーを設定することで、メディア・サーバーのobservicedログ・ファイルに保存できます。

関連項目:

retainbackupmetrics

-Z

バックアップ時にデータを圧縮します。または、リストア時にデータを圧縮したままにします。-Zを使用してバックアップ・イメージを作成する場合、ファイルは、バックアップ・イメージに書き込まれる前に、UNIXのcompress(1)ユーティリティと同じアルゴリズムを使用して圧縮されます。ファイルがすでに圧縮されている場合や、圧縮してもファイルが縮小されない場合、obtarではファイルは圧縮しません。圧縮されているファイルをリストアすると、-Zを指定して圧縮解除を抑止しないかぎり、自動的に圧縮解除されます。

使用可能な場合は、テープ・ドライブのハードウェア圧縮機能を使用することをお薦めします。

ノート:

Oracle Secure Backup 12.2.0.1では、新規バックアップで-Zオプションを使用してデータを圧縮できません。-Zオプションは、以前に圧縮された古いバックアップをrestoreコマンドを使用してリストアする際に使用するためにのみ保持されています。