6 Oracle Textでの問合せ
6.1 問合せの概要
Oracle Textの基本的な問合せでは、問合せ式を入力します。式は、通常はワードで、演算子を併用する場合と併用しない場合があります。式を満たすすべてのドキュメント(事前に索引付け済)が、各ドキュメントの関連性スコアとともに戻ります。スコアを使用して、結果セット内のドキュメントを順序付けできます。
Oracle Textの問合せを入力するには、SQLのSELECT
文を使用します。索引のタイプに応じて、WHERE
句にCONTAINS
演算子またはCATSEARCH
演算子のいずれかを使用します。これらの演算子は、PL/SQLカーソル内など、SELECT
文を使用できる状況であれば、いつでもプログラムで使用できます。
CTXRULE
索引を使用してドキュメントを分類するには、MATCHES
演算子を使用します。
6.1.1 CONTAINSによる問合せ
CONTEXT
索引タイプを作成する場合は、CONTAINS
演算子を使用して問合せを入力する必要があります。この索引は、大量のまとまったドキュメントのコレクションを索引付けする場合に適しています。
CONTAINS
演算子では、複数の演算子を使用して検索条件を定義できます。これらの演算子によって、論理、近接、ファジー、ステミング、シソーラスおよびワイルドカードの各検索を入力できます。また、適切に構成された索引を使用すると、HTMLやXMLのような内部構造を持つドキュメントに対してセクション検索を入力することもできます。
CONTAINS
では、ABOUT
演算子を使用して、ドキュメント・テーマを検索できます。
6.1.1.1 CONTAINS SQL例
SELECT
文では、CONTAINS
演算子を使用してWHERE
句で問合せを指定します。また、ヒットリストのヒットごとにスコアを戻すには、SCORE
演算子を指定します。次の例では、問合せの入力方法を示します。
SELECT SCORE(1), title from news WHERE CONTAINS(text, 'oracle', 1) > 0;
次のように、ORDER
BY
句を使用して、結果を最も高いスコアのドキュメントから最も低いスコアのドキュメントに順序付けることができます。
SELECT SCORE(1), title from news WHERE CONTAINS(text, 'oracle', 1) > 0 ORDER BY SCORE(1) DESC;
CONTAINS
演算子の後には、> 0構文が必要です。この構文は、CONTAINS
演算子によって戻されるスコアの値が、戻される行に対してゼロより大きい必要があることを指定します。
SELECT
文でSCORE
演算子がコールされた場合、CONTAINS
演算子は、前述の例に示すように、3番目のパラメータでスコア・ラベルの値を参照する必要があります。
6.1.1.2 CONTAINS PL/SQL例
PL/SQLアプリケーションでは、カーソルを使用して問合せ結果をフェッチできます。
次の例では、CONTAINS
問合せをNEWS
表に対して入力し、ワードoracleを含むすべての記事を検索します。ヒットしたもののうち上位10個のタイトルとスコアが出力されます。
declare rowno number := 0; begin for c1 in (SELECT SCORE(1) score, title FROM news WHERE CONTAINS(text, 'oracle', 1) > 0 ORDER BY SCORE(1) DESC) loop rowno := rowno + 1; dbms_output.put_line(c1.title||': '||c1.score); exit when rowno = 10; end loop; end;
この例では、カーソルFOR
ループを使用して、ヒットしたもののうち上位10個を取り出します。SCORE
演算子の戻り値に対して、別名scoreが宣言されています。スコアとタイトルがカーソル・ドット表記法を使用して出力として表示されます。
6.1.1.3 CONTAINSによる構造化問合せの例
構造化問合せは複合問合せとも呼ばれ、テキスト列を問い合せる1つのCONTAINS
述語と、構造化データ列を問い合せる別の述語を持つ問合せです。
構造化問合せを入力するには、SELECT
文のWHERE
条件に構造化句を指定します。
たとえば、次のSELECT
文は、1997年10月1日以降に書かれた、ワードoracleを含む記事をすべて検索します。
SELECT SCORE(1), title, issue_date from news WHERE CONTAINS(text, 'oracle', 1) > 0 AND issue_date >= ('01-OCT-97') ORDER BY SCORE(1) DESC;
ノート:
CONTAINS
で構造化問合せを入力できる場合でも、CTXCAT
索引を作成し、CATSEARCH
で問合せを発行することを検討してください。その方が構造化問合せのパフォーマンスが向上します。
6.1.2 CATSEARCHによる問合せ
CTXCAT
索引タイプを作成する場合は、CATSEARCH
演算子を使用して問合せを入力する必要があります。この索引は、使用しているアプリケーションで、テキスト列に短いテキスト断片を格納し、関連列に関連情報を格納する場合に適しています。
たとえば、オンライン・オークション・サイトを提供しているアプリケーションの場合、表のテキスト列に品目の説明を格納し、その他の列に日付と価格情報を格納するという具合です。CTXCAT
索引を使用すると、1つ以上の列にBツリー索引を作成できるため、複雑な問合せに対する問合せのパフォーマンスが通常高速になります。
CATSEARCH
問合せに使用できる演算子は、AND
やOR
などの論理演算に制限されています。構造化基準を定義するには、より大きい、より小さい、等価、BETWEEN
、IN
の各演算子を使用します。
6.1.2.1 CATSEARCH SQL問合せの例
CATSEARCH
による一般的な問合せの例として、ワードcameraを含むすべての行を検索してbid_close
の日付順にソートする次の構造化句などがあります。
SELECT FROM auction WHERE CATSEARCH(title, 'camera', 'order by bid_close desc')> 0;
入力できる構造化問合せのタイプは、サブ索引の作成方法によって異なります。
関連項目:
前述の例のように、CATSEARCH
問合せの構造化部分を指定するには、3番目のstructured_query
パラメータを使用します。構造化式の列には、対応するサブ索引が必要です。
たとえば、category_id
とbid_close
には、AUCTION
表のctxcat
索引内にサブ索引があるとします。この場合は、次のような構造化問合せを入力します。
SELECT FROM auction WHERE CATSEARCH(title, 'camera', 'category_id=99 order by bid_close desc')> 0;
6.1.2.2 CATSEARCH例
次の例は、CTXCAT
索引に対するフィールド・セクション検索を示しています。これは、CATSEARCH
問合せの問合せテンプレートでCONTEXT
構文を使用します。
-- Create and populate table create table BOOKS (ID number, INFO varchar2(200), PUBDATE DATE); insert into BOOKS values(1, '<author>NOAM CHOMSKY</author><subject>CIVIL RIGHTS</subject><language>ENGLISH</language><publisher>MIT PRESS</publisher>', '01-NOV-2003'); insert into BOOKS values(2, '<author>NICANOR PARRA</author><subject>POEMS AND ANTIPOEMS</subject><language>SPANISH</language> <publisher>VASQUEZ</publisher>', '01-JAN-2001'); insert into BOOKS values(1, '<author>LUC SANTE</author><subject>XML DATABASE</subject><language>FRENCH</language><publisher>FREE PRESS</publisher>', '15-MAY-2002'); commit;
-- Create index set and section group exec ctx_ddl.create_index_set('BOOK_INDEX_SET'); exec ctx_ddl.add_index('BOOK_INDEX_SET','PUBDATE'); exec ctx_ddl.create_section_group('BOOK_SECTION_GROUP', 'BASIC_SECTION_GROUP'); exec ctx_ddl.add_field_section('BOOK_SECTION_GROUP','AUTHOR','AUTHOR'); exec ctx_ddl.add_field_section('BOOK_SECTION_GROUP','SUBJECT','SUBJECT'); exec ctx_ddl.add_field_section('BOOK_SECTION_GROUP','LANGUAGE','LANGUAGE'); exec ctx_ddl.add_field_section('BOOK_SECTION_GROUP','PUBLISHER','PUBLISHER'); -- Create index create index books_index on books(info) indextype is ctxsys.ctxcat parameters('index set book_index_set section group book_section_group'); -- Use the index -- Note that: even though CTXCAT index can be created with field sections, it -- cannot be accessed using CTXCAT grammar (default for CATSEARCH). -- We need to use query template with CONTEXT grammar to access field -- sections with CATSEARCH select id, info from books where catsearch(info, '<query> <textquery grammar="context"> NOAM within author and english within language </textquery> </query>', 'order by pubdate')>0;
6.1.3 MATCHESによる問合せ
CTXRULE
索引タイプを作成する場合は、MATCHES
演算子を使用してドキュメントを分類する必要があります。CTXRULE
索引は、本来は分類を定義する問合せのセットに作成される索引です。
たとえば、ドキュメントの着信ストリームをドキュメントの内容に基づいて分類する必要がある場合は、カテゴリを定義する問合せのセットを作成できます。この問合せは、テキスト列の行として作成します。このタイプの表を作成するには、CTX_CLS.TRAIN
プロシージャを使用します。
次に、CTXRULE
索引を作成するために表を索引付けします。ドキュメントの着信時に、MATCHES
演算子を使用して各ドキュメントを分類します。
関連項目:
6.1.3.1 MATCHES SQL問合せ
MATCHES
問合せでは、指定したドキュメントに一致する問合せ表内のすべての行を検索します。querytable
表がCTXRULE
索引に関連付けられている場合、次の問合せを入力します。
SELECT classification FROM querytable WHERE MATCHES(query_string,:doc_text) > 0;
:doc_text
バインド変数には、分類されるCLOB
ドキュメントが含まれています。
次に、その単純な例を示します。
create table queries ( query_id number, query_string varchar2(80) ); insert into queries values (1, 'oracle'); insert into queries values (2, 'larry or ellison'); insert into queries values (3, 'oracle and text'); insert into queries values (4, 'market share'); create index queryx on queries(query_string) indextype is ctxsys.ctxrule; select query_id from queries where matches(query_string, 'Oracle announced that its market share in databases increased over the last year.')>0
この問合せでは、問合せ1 (ドキュメントにoracleというワードが出現)および4 (ドキュメントにmarket shareという句が出現)が返され、問合せ2 (larryおよびellisonというワードは出現しない)および3 (ドキュメント内にテキストがないため問合せに一致しない)は返されません。
この例では、簡略化するために、ドキュメントを文字列として渡しています。通常、ドキュメントはバインド変数で渡されます。
MATCHES
問合せで使用されるドキュメント・テキストは、VARCHAR2
またはCLOB
です。BLOB
入力は受け入れないため、フィルタ処理されたドキュメントを直接照合することはできません。かわりに、AUTO_FILTER
を使用してバイナリ・コンテンツをCLOB
にフィルタ処理する必要があります。次の例では、次の2つのことを前提としています。
-
ドキュメント・データは、
:doc_blob
バインド変数にあります。 -
CTX_DOC.POLICY_FILTER
で使用できるmy_policy
をすでに定義しています。
次にその例を示します。
declare doc_text clob; begin -- create a temporary CLOB to hold the document text doc_text := dbms_lob.createtemporary(doc_text, TRUE, DBMS_LOB.SESSION); -- create a simple policy for this example ctx_ddl.create_preference(preference_name => 'fast_filter', object_name => 'AUTO_FILTER'); ctx_ddl.set_attribute(preference_name => 'fast_filter', attribute_name => 'OUTPUT_FORMATTING', attribute_value => 'FALSE'); ctx_ddl.create_policy(policy_name => 'my_policy', filter => 'fast_filter); -- call ctx_doc.policy_filter to filter the BLOB to CLOB data ctx_doc.policy_filter('my_policy', :doc_blob, doc_text, FALSE); -- now do the matches query using the CLOB version for c1 in (select * from queries where matches(query_string, doc_text)>0) loop -- do what you need to do here end loop; dbms_lob.freetemporary(doc_text); end;
テキストをCLOB
に取り込んでMATCHES
問合せを入力する必要があるため、CTX_DOC.POLICY_FILTER
プロシージャによりBLOB
をCLOB
データにフィルタ処理します。これは、CTX_DDL.CREATE_POLICY
を使用してすでに作成されたポリシーの名前を1つの引数として受け取ります。
関連項目:
CTX_DOC.POLICY_FILTER
の詳細は、『Oracle Textリファレンス』を参照してください
ファイルがデータベース文字セット内のテキストである場合、BFILE
を作成し、DBMS_LOB.LOADFROMFILE
ファンクションを使用してCLOB
にロードするか、UTL_FILE
を使用して、ファイルを一時的なCLOB
ロケータに読み込むことができます。
ファイルがAUTO_FILTER
フィルタ処理を必要とする場合は、ファイルをBLOB
にロードして、前述のように、CTX_DOC.POLICY_FILTER
をコールします。
関連項目:
拡張された分類の例は、「Oracle Textでのドキュメントの分類」を参照してください
6.1.3.2 MATCHES PL/SQL例
次の例では、問合せのプロファイル表が
CTXRULE
索引に関連付けられていることを前提としています。また、newsfeed
表に分類対象の記事のセットが含まれていることも前提となります。
この例では、newsfeed
表内をループし、MATCHES
演算子を使用して各記事を分類します。結果は、results
表に格納されます。
PROMPT Populate the category table based on newsfeed articles PROMPT set serveroutput on; declare mypk number; mytitle varchar2(1000); myarticles clob; mycategory varchar2(100); cursor doccur is select pk,title,articles from newsfeed; cursor mycur is select category from profiles where matches(rule, myarticles)>0; cursor rescur is select category, pk, title from results order by category,pk; begin dbms_output.enable(1000000); open doccur; loop fetch doccur into mypk, mytitle, myarticles; exit when doccur%notfound; open mycur; loop fetch mycur into mycategory; exit when mycur%notfound; insert into results values(mycategory, mypk, mytitle); end loop; close mycur; commit; end loop; close doccur; commit; end;
次の例では、分類された記事をカテゴリ別に表示します。
PROMPT display the list of articles for every category PROMPT set serveroutput on; declare mypk number; mytitle varchar2(1000); mycategory varchar2(100); cursor catcur is select category from profiles order by category; cursor rescur is select pk, title from results where category=mycategory order by pk; begin dbms_output.enable(1000000); open catcur; loop fetch catcur into mycategory; exit when catcur%notfound; dbms_output.put_line('********** CATEGORY: '||mycategory||' *************'); open rescur; loop fetch rescur into mypk, mytitle; exit when rescur%notfound; dbms_output.put_line('** ('||mypk||'). '||mytitle); end loop; close rescur; dbms_output.put_line('**'); dbms_output.put_line('*******************************************************'); end loop; close catcur; end;
関連項目:
拡張された分類の例は、「Oracle Textでのドキュメントの分類」を参照してください
6.1.4 ワード問合せと句問合せ
ワード問合せは、ワードまたは句に対する問合せです。たとえば、テキスト表でワードdogを含むすべての行を検索するには、問合せ語句として、dogを指定して問合せを入力します。
ワード問合せは、SQL演算子のCONTAINS
とCATSEARCH
の両方で入力できます。ただし、句問合せは、異なる方法で解釈されます。
-
CONTAINS句問合せ: 問合せ式に複数のワードが空白のみ(演算子なし)で区切られて含まれている場合、そのワードの文字列は句とみなされます。Oracle Textでは、問合せ中に文字列全体が検索されます。たとえば、句international lawを含むすべてのドキュメントを検索するには、句international lawを指定して問合せを入力します。
-
CATSEARCH句問合せ:
CATSEARCH
演算子では、句のワード間にAND
演算子を挿入します。たとえば、international lawの問合せでは、international AND lawとして解釈されます。
6.1.5 ストップワードの問合せ
ストップワードは、索引エントリが作成されないワードです。これは、通常、検索の対象とならない、その言語の一般的なワードです。
Oracle Textには、使用言語のデフォルトのストップワード・リストが組み込まれています。このリストは、ストップリストと呼ばれます。たとえば、英語では、ワードthisおよびthatは、デフォルトのストップリストでストップワードとして定義されています。このデフォルトのストップリストを変更したり、CTX_DDL
パッケージを使用して新しいストップリストを作成できます。また、索引を作成した後で、ALTER INDEX
文でストップワードを追加することもできます。
ストップワードまたはストップワードのみで構成されている句に対する問合せは発行できません。たとえば、thisがストップワードとして定義されている場合は、ワードthisを問い合せても、ヒットは戻りません。
Oracle Textの索引では、ストップワードの索引エントリは作成しませんが、ストップワードの位置は記録しているため、this boy talks to that girlといった索引付け可能なワードに加えてストップワードを含む句を問い合せることができます。
問合せ句内にストップワードが含まれている場合、このストップワードは任意のワードに一致します。たとえば、次の問合せではwasがストップワードであると想定しています。この場合、Jack is bigやJack grew bigなどの句が一致します。また、ストップワードではありませんが、grewにも一致します。
'Jack was big'
Oracle Database 12cリリース2 (12.2)以降、ストップワードとストップワードの単項演算子が問合せ結果の初期段階で無視されるため、前のリリースと異なる問合せ結果になります。たとえば、次の問合せでは、the
がストップワードで、問合せ処理中に$
演算子とストップワードが無視されるため、ドキュメントは返されません。
SQL> select count(1) from tabx where contains(text,'$the')>0;
.
COUNT(1)
----------
0
次の問合せでは、the
ストップワードと$
演算子が無視されるため、first
が含まれているドキュメントは返されます。
SQL> select count(1) from tabx where contains(text,'first and $the')>0;
.
COUNT(1)
----------
2
6.1.6 ABOUT問合せおよびテーマ
ABOUT
問合せは、ドキュメント・テーマに対する問合せです。ドキュメント・テーマは、テキスト内で詳しく展開されている概念のことです。たとえば、US politicsのABOUT
問合せでは、アメリカの大統領選挙や外交政策に関する情報を含むドキュメントが戻る可能性があります。戻るドキュメントには、US politicsと正確に一致する句が含まれている必要はありません。
索引付け時に、ドキュメント・テーマはナレッジ・ベースから導出され、このナレッジ・ベースには、一般的な知識を表すカテゴリと概念が階層式にリストされています。たとえば、ナレッジ・カタログのテーマには、jazz music、football、Nelson Mandelaなどの具体的な概念もあります。また、テーマには、happinessやhonestyなどの抽象的な概念もあります。
索引付け中に、システムでは、ドキュメント内で詳しく展開されているが、ナレッジ・ベースには存在しないドキュメント・テーマも識別し、索引付けすることができます。
ナレッジ・ベースは、業界または問合せアプリケーション固有の概念や用語を定義して補強できます。補強した場合は、追加した概念に対するABOUT
問合せの精度が向上します。
索引内にテーマ・コンポーネントを作成すると、ABOUT
問合せのパフォーマンスが最も向上します。テーマ・コンポーネントは、英語とフランス語ではデフォルトで作成されます。
関連項目:
ストップテーマの問合せ
ABOUT
演算子を使用すると、テーマを問い合せることができます。ストップテーマは、索引付けされていないテーマです。ストップテーマは、CTX_DDL
パッケージを使用して追加および削除できます。また、索引を作成した後で、ALTER INDEX
文でストップテーマを追加することもできます。
6.2 Oracle Text問合せの機能
Oracle Textには、様々な問合せ機能があります。これらの問合せ機能を問合せアプリケーションで使用できます。
6.2.1 問合せ式
問合せ式とは、CONTAINS
演算子またはCATSEARCH
演算子のtext_query
引数内で一重引用符で囲まれたものを指します。CONTAINS
問合せ内の問合せ式の内容は、CATSEARCH
演算子の内容とは異なります。
6.2.1.1 CONTAINS演算子
CONTAINS
の問合せ式には、論理検索、近接検索、シソーラスを使用した検索、ファジー検索およびワイルド・カード検索を行う問合せ演算子を含めることができます。ストアド式を使用した問合せも可能です。問合せ式内でグループ化文字を使用すると、演算子の優先順位を変更できます。このマニュアルでは、このような演算子をCONTEXT
文法と呼びます。
CONTAINS
では、ABOUT
問合せを使用して、ドキュメント・テーマを問い合せることもできます。
関連項目:
6.2.1.2 CATSEARCH演算子
CATSEARCH
演算子では、text_query
引数を使用して問合せ式を指定し、structured_query
引数を使用してオプションの構造化基準を指定できます。text_query
引数を使用すると、ワードと句を問い合せることができます。AND、ORおよびNOTなどの論理操作を使用できます。このマニュアルでは、このような演算子をCTXCAT
文法と呼びます。
CONTEXT
文法によりサポートされているさらに豊富な演算子を使用する場合は、CATSEARCHで問合せテンプレート機能を使用できます。
structured_query
引数では、構造化基準を指定します。次のSQL操作を使用できます。
-
=
-
<=
-
>=
-
>
-
<
-
IN
-
BETWEEN
また、ORDER BY
句を使用して出力を順序付けできます。
関連項目:
「CTXCAT構文」
6.2.2 大/小文字を区別する検索
Oracle Textでは、ワード問合せとABOUT
問合せで大/小文字区別がサポートされています。
ワード問合せでは、デフォルトで大/小文字を区別していません。たとえば、語句dogを問い合せると、テキスト表のワードdogを含む行が検出されますが、DogまたはDOGを含む行は検出されません。
BASIC_LEXER
索引プリファレンスのMIXED_CASE
属性を使用すると、大/小文字を区別する検索の有効/無効を切り替えることができます。大/小文字を区別する索引の場合は、大/小文字を正確に区別して問合せを入力する必要があります。たとえば、Dogへの問合せは、Dogを含むドキュメントのみと一致します。dogまたはDOGを含むドキュメントは、ヒットとして戻りません。
大/小文字を区別しない検索を有効にするには、BASIC_LEXER
索引プリファレンスのMIXED_CASE
属性をNOに設定します。
ノート:
ワード問合せで大/小文字区別を有効にし、ストップワードと索引付け可能なワードを含む句を問い合せる場合は、ストップワードの大/小文字の区別を正確に指定する必要があります。たとえば、theがストップワードとして定義されている場合は、the dogを問い合せても、The Dogを含むテキストは戻りません。
問合せの正規化はナレッジ・カタログに基づいているため、問合せが適切な大/小文字で形成されている場合は、ABOUT
問合せによって最良の結果が得られます。ナレッジ・カタログでは、大/小文字が区別されます。大文字/小文字によって意味が異なるワードの場合は、特に注意が必要です(たとえば、turkeyは鳥の名で、Turkeyは国名です)。
ただし、ABOUT
問合せの関連結果を取得するために、大/小文字を正確に区別して問合せを入力する必要はありません。システムが、最適な方法で問合せを解釈します。たとえば、ORACLE
という問合せを入力し、この概念がナレッジ・カタログで検索されない場合、システムは検索用の関連概念としてOracleを使用する場合があります。
6.2.3 問合せのフィードバック
フィードバックには、CONTEXT
索引で指定した問合せに対する上位語、下位語および関連語の情報が含まれています。フィードバック情報は、CTX_QUERY.HFEEDBACK
プロシージャを使用してプログラムで取得します。
上位語、下位語および関連語の情報は、他の問合せ語句を問合せアプリケーションのユーザーに提示する場合に役立ちます。
戻されるフィードバック情報はナレッジ・ベースから取得され、索引中にも存在する語句のみを含みます。このプロセスによって、HFEEDBACK
プロシージャから戻された語句が、現在索引付けされているドキュメント・セットよりヒットする可能性が高くなります。
6.2.4 問合せの実行計画
実行計画情報では、CONTAINS
問合せ式の解析ツリーがグラフィカルに表示されます。実行計画情報は、CTX_QUERY.EXPLAIN
プロシージャを使用してプログラムで取得できます。
実行計画情報を使用すると、問合せを実行しなくても、問合せの拡張方法や解析方法がわかります。実行計画情報を取得すると、STEM、ワイルド・カード、シソーラス、FUZZY、SOUNDEX、ABOUT
などの特定の問合せの拡張方法がわかります。解析ツリーには、次の情報も表示されます。
-
実行の順序
-
ABOUT
問合せの正規化 -
問合せ式の最適化
-
ストップワード変換
-
サポート対象言語の複合語トークンの分類
6.2.5 問合せでのシソーラスの使用
Oracle Textでは、問合せアプリケーションのシソーラスを定義し、問合せをよりインテリジェントに処理できます。
トピックを表現するワードがユーザーにはわからない場合があるため、予想される問合せ語句にシノニムまたは下位語を定義できます。シソーラス演算子を使用すると、シソーラス語句を含むように問合せを拡張できます。
関連項目:
6.2.6 ドキュメントのセクション検索
セクション検索を使用すると、テキスト問合せをドキュメント内のセクションに絞り込むことができます。
セクション検索は、HTMLやXMLのドキュメントのように、ドキュメントに内部構造がある場合に実現できます。たとえば、<H1>タグに対してセクションを定義すると、WITHIN
演算子を使用してこのセクション内を問い合せることができます。
XMLドキュメントからセクションを自動的に作成するようにシステムを設定できます。
また、属性セクションを定義して、XMLドキュメントの属性テキストを検索できます。
ノート:
セクション検索がサポートされているのは、CONTEXT
索引によるワード問合せのみです。
6.2.7 問合せテンプレートの使用
問合せテンプレートは、既存の問合せ言語の代替として使用できます。問合せ文字列をCONTAINS
またはCATSEARCH
に渡すのではなく、問合せ文字列をタグ付き要素内に含む、構造化ドキュメントを渡します。この構造化ドキュメントまたは問合せテンプレートでは、次に示すその他の問合せ機能を使用できます。
6.2.7.1 問合せリライト
問合せアプリケーションは、エンド・ユーザー問合せを解析し、異なる演算子の組合せを使用して、1つ以上の方法で問合せ文字列を解釈することがあります。たとえば、ユーザーがkukui nutという問合せを入力すると、アプリケーションでは、再コールを増やすために、{kukui nut}問合せおよび{kukui or nut}問合せが入力されます。
クエリー・リライト機能を使用すると、元の問合せをリライトされたバージョンに拡張する単一の問合せを発行できます。これにより、重複のない結果が戻されます。
問合せテンプレート機能を使用して、リライトの順序を指定します。リライトされた問合せのバージョンは、CONTAINS
またはCATSEARCHの単一のコールを使用して、効率的に実行されます。
次のテンプレートは、クエリー・リライトの順序を定義します。問合せ{kukui nut}は、次のようにリライトされます。
{kukui} {nut}
{kukui} ; {nut}
{kukui} AND {nut}
{kukui} ACCUM {nut}
次に、これらの変換に対する問合せリライト・テンプレートを示します。
select id from docs where CONTAINS (text, '<query> <textquery lang="ENGLISH" grammar="CONTEXT"> kukui nut <progression> <seq><rewrite>transform((TOKENS, "{", "}", " "))</rewrite></seq> <seq><rewrite>transform((TOKENS, "{", "}", " ; "))</rewrite></seq> <seq><rewrite>transform((TOKENS, "{", "}", "AND"))</rewrite></seq> <seq><rewrite>transform((TOKENS, "{", "}", "ACCUM"))</rewrite></seq> </progression> </textquery> <score datatype="INTEGER" algorithm="COUNT"/> </query>')>0;
6.2.7.2 問合せ緩和
問合せ緩和機能を使用すると、アプリケーションでは、最も制限されたバージョンの問合せを最初に実行して、必要なヒット数を得るまで、問合せを徐々に緩和できます。
たとえば、アプリケーションが最初にblack penを検索した後、より多くのヒットを得るため、問合せがblack NEAR penに緩和されます。
次の問合せテンプレートは、問合せ緩和の順序を定義します。問合せblack penが順に入力されます。
{black} {pen}
{black} NEAR {pen}
{black} AND {pen}
{black} ACCUM {pen}
次に、これらの変換に対する問合せ緩和テンプレートを示します。
select id from docs where CONTAINS (text, '<query> <textquery lang="ENGLISH" grammar="CONTEXT"> <progression> <seq>{black} {pen}</seq> <seq>{black} NEAR {pen}</seq> <seq>{black} AND {pen}</seq> <seq>{black} ACCUM {pen}</seq> </progression> </textquery> <score datatype="INTEGER" algorithm="COUNT"/> </query>')>0;
アプリケーションが結果を必要とするかぎり、問合せのヒットは、この順序で重複なしで戻されます。
アプリケーションが問合せの上位N個のヒット数を必要とする場合、問合せ緩和が最も効率的です。このヒット数は、DOMAIN_INDEX_SORT
またはPL/SQLカーソルで取得できます。
問合せテンプレートを使用した問合せの緩和の方が、問合せの再実行よりも効率的です。
6.2.7.3 問合せ言語
MULTI_LEXER
を使用して、異なる言語の文書を含む列を索引付けする場合、問合せ中に使用する言語レクサーを指定できます。これを実行するには、問合せパラメータでlang
パラメータを使用し、そこでドキュメントレベル・レクサーを指定します。
select id from docs where CONTAINS (text, '<query><textquery lang="french">bon soir</textquery></query>')>0;
関連項目:
ALTER INDEXとドキュメント・サブレクサーを使用するLANGUAGE
およびlang
の詳細は、『Oracle Textリファレンス』を参照してください
6.2.7.4 SDATAセクションによる並替え
問合せテンプレートの<order>
および<orderkey>
要素を使用すると、SDATA
セクションの内容に応じて問合せ結果を並べ替えることができます。
次の例では、第1レベルの並替えがSDATA
price
セクションに基づいて実行され、昇順でソートされます。第2レベルと第3レベルの並替えはSDATA
pub_date
セクションとスコアに基づいて実行され、どちらも降順でソートされます。
select id from docs where CONTAINS (text, ' <query> <textquery lang="ENGLISH" grammar="CONTEXT"> Oracle </textquery> <score datatype="INTEGER" algorithm="COUNT"/> <order> <orderkey> SDATA(price) ASC </orderkey> <orderkey> SDATA(pub_date) DESC </orderKey> <orderkey> Score DESC </orderkey> </order> </query>', 1)>0;
ノート:
-
索引に
SDATA
セクションを追加できます。『Oracle Textリファレンス』で、ALTER INDEX
のADD SDATA SECTION
パラメータ文字列に関する項を参照してください。 -
SDATA
セクションを追加する前に索引付けされたドキュメントには、この新しいプリファレンスは反映されません。この場合は索引を再構築してください。
関連項目:
問合せテンプレートの<order>
および<orderkey>
要素の構文は、『Oracle Textリファレンス』を参照してください。
6.2.7.5 代替スコアリングおよびユーザー定義スコアリング
問合せテンプレートを使用して、代替スコアリング・アルゴリズムを指定できます。これらのアルゴリズムは、CONTAINS
のスコアリング方法をカスタマイズする場合に役立ちます。また、SDATA
をスコアリング式の一部として使用できるようになります。このようにして、事前定義済スコアリング・コンポーネントのみでなくSDATA
コンポーネントを使用してスコアリング式を数学的に定義できます。
代替のユーザー定義スコアリングを使用して、次のことを指定できます。
-
語句のスコアリング式では、次を使用して、問合せのスコアリング方法を定義する演算式を定義します
-
事前定義済スコアリング・アルゴリズム:
DISCRETE
、OCCURRENCE
、RELEVANCE
およびCOMPLETION
-
算術操作: 加算、減算、乗算、除算
-
算術関数:
ABS(n)
、n ;LOG(n)
の絶対値の検索、10を底とするnの対数値の検索 -
数値リテラル
-
-
語句レベルでのスコアリング式
-
スコアの計算時に考慮に入れない語句
-
OR
演算子およびAND
演算子の子要素によるスコアをどのようにマージするか -
使用
また、数値を格納するSDATA
またはDATETIME
値を使用して、ドキュメントの最終スコアに影響を与えることができます。
次の例では、代替スコアリング・アルゴリズムを指定します。
select id from docs where CONTAINS (text, '<query> <textquery grammar="CONTEXT" lang="english"> mustang </textquery> <score datatype="float" algorithm="DEFAULT"/> </query>')>0
次の問合せテンプレート例には、SDATA
値が、最終スコアの一部として含まれています。
select id from docs where CONTAINS (text, '<query> <textquery grammar="CONTEXT" lang="english"> mustang </textquery> <score datatype="float" algorithm="DEFAULT" normalization_expr ="doc_score+SDATA(price)"/> </query>')>0"
6.2.8 問合せ分析
Oracle Textを使用すると、問合せのログを作成して、問合せを分析できます。たとえば、大型動物のデータベースを検索するアプリケーションがあり、その問合せを分析したところ、ユーザーがマウスというワードで検索していることがわかったとします。この分析は、失敗した検索を返さないようにアプリケーションをリライトすることが望ましいことを示しています。かわりに、ユーザーがマウスを検索した場合は、小型動物のデータベースにリダイレクトするようにします。
問合せ分析では、次のことがわかります。:
-
発行された問合せ
-
成功した問合せ
-
失敗した問合せ
-
各問合せの発行回数
これらの要素を様々な方法で組み合せ、たとえばアプリケーションで失敗した問合せの上位50位までを調べることが可能です。
問合せのロギングを開始するには、CTX_OUTPUT.START_QUERY_LOG
を使用します。CTX_OUTPUT.END_QUERY_LOG
プロシージャが入力されるまで、プログラムで使用しているすべてのCONTEXT
索引に対するすべての問合せが問合せログに書き込まれます。問合せのレポートを取得するには、CTX_REPORT.QUERY_LOG_SUMMARY
を使用します。
6.2.9 その他の問合せ機能
問合せアプリケーションでは、近接検索などのその他の問合せ機能を使用できます。表6-1は、これらの問合せ機能のいくつかを示しています。
表6-1 Oracle Textのその他の問合せ機能
機能 | 説明 | 実装 |
---|---|---|
大/小文字を区別する検索 |
問合せに入力したとおりに、ワードまたは句を正確に検索できます。たとえば、Romanの検索は、Romanを含み、romanを含まないドキュメントを戻します。 |
索引作成時に |
基本文字変換 |
ティルデ、アクセント、ウムラウトなどの発音区別符号に関係なく、ワードを問い合せます。たとえば、スペイン語の基本文字索引を使用すると、energíaの問合せでは、energíaおよびenergiaが含まれているドキュメントが一致します。 |
索引作成時に |
ワード分割処理 (ドイツ語およびオランダ語) |
指定した語句が複合語の要素として含まれているワードを検索できます。 |
索引作成時に |
代替スペル (ドイツ語、オランダ語およびスウェーデン語) |
ワードの代替スペルを検索します。 |
索引作成時に |
近接検索 |
相互に近接しているワードを検索します。 |
問合せ入力時に |
|
特定の問合せに基づいてドキュメントをクランプに分割します。各クランプはプライマリ機能に基づいて分類され、2次機能に基づいてスコア付けされます。最終的なドキュメント・スコアにはクランプ・スコアが追加され、プライマリ機能の順序によってドキュメント・スコアの初期の順序が決まります。 |
問合せ入力時に |
ステミング |
指定した語句と同じ語幹を持つワードを検索します。 |
問合せ入力時に$演算子を使用します。 |
ファジー検索 |
指定した語句に類似するスペルを持つワードを検索します。 |
問合せ入力時に |
問合せの実行計画 |
問合せの解析情報を生成します。 |
索引作成後にPL/SQLプロシージャ |
階層問合せフィードバック |
問合せに対する上位語、下位語および関連語の情報を生成します。 |
索引作成後にPL/SQLプロシージャ |
索引のブラウズ |
索引内のシード・ワードに関するワードをブラウズします。 |
索引作成後にPL/SQLプロシージャ |
ヒット数のカウント |
問合せのヒット数をカウントします。 |
索引作成後にPL/SQLプロシージャ |
ストアド・クエリー式 |
後で別の問合せで再利用するために、問合せ式のテキストを保存します。 |
索引作成後にPL/SQLプロシージャ |
シソーラスを使用した問合せ |
シソーラスを使用して問合せを拡張します。 |
(シソーラスのメンテナンスには |