Oracle Databaseのアップグレード方法の選択

エンタープライズの複雑さに対応するため、データベースをアップグレードするための様々な方法が提供されています。

Oracle Databaseのアップグレードのグラフィカル・ユーザー・インタフェースのメソッド

Database Upgrade Assistant (DBUA)は、対話形式でアップグレード処理のステップを実行し、新しいOracle Databaseリリースのデータベースを構成します。

DBUAは、一部の構成設定をアップグレードに必要な値に修正するアップグレード前情報ツールを起動します。たとえば、このツールは、初期化パラメータをアップグレードに必要な値に変更できます。このツールにより、アップグレードを続行する前に手動で修正可能な項目のリストも提供されます。

手動、コマンドラインでOracle Databaseをアップグレードする方法

手動アップグレードでは、アップグレード・プロセスに対してよりきめ細やかな制御が可能です。

手動アップグレードでは、コマンドラインからSQLスクリプトおよびユーティリティを実行して、データベースを新しいOracle Databaseリリースへアップグレードします。

アップグレードの前に

  • アップグレード前情報ツールを使用して、データベースを分析します。

    アップグレード前情報ツールは、Oracle Databaseに付属するJava JARファイルです。ツールを起動すると、そのツールは自己抽出し、診断を実行するSQLスクリプトを実行します。ツールでは、発生の可能性があるアップグレードの問題、これらの問題が発生する理由、およびこれらを解決するために実行する必要があるアクションに関する情報が表示されます。また、一部の問題について修正スクリプトも生成されます。

  • 新しいOracleホームを準備します。

  • データベースのバックアップを実行します。

アップグレードするOracle Databaseのリリースによっては、さらにアップグレード前のステップを実行する必要がある場合もあります。こうしたステップにはアップグレードのパラメータ・ファイルの調整、サポート対象外となった初期化パラメータの削除、アップグレードで問題の原因となる可能性のある初期化パラメータの調整などがあります。

Oracle Databaseのアップグレード時のデータの移行でエクスポート/インポートする方法

Oracle Data Pumpを使用してデータのエクスポートとインポートを実行できます。

トピック:

アップグレードしたOracle Databaseでのエクスポート/インポートの影響

エクスポート/インポートによるデータ移行のメリットを理解するには、このトピックを参照してください。

エクスポート/インポートによるデータ移行方法では、現行のデータベースが変更されないため、データベースはアップグレード処理を通して常に使用可能な状態です。ただし、一貫性のあるデータベースのスナップショットが必要な場合(データの整合性保持またはその他の目的のため)、データベースは、制限モードで実行するか、またはエクスポート手順の実行中は変更禁止にする必要があります。現行のデータベースを使用可能な状態にしておくことができるため、たとえば、既存の本番データベースを実行しながら、新しくアップグレードしたOracle Databaseのデータベースの作成とエクスポート/インポートを同時に行うことができます。このアップグレード処理中にデータベースの完全な一貫性を維持するには、新しくアップグレードしたOracle Databaseのデータベースにも同じ変更を加えないかぎり、データベースのデータを変更できないようにします。

最も重要なことは、エクスポート/インポート操作の結果として、新しいデータベースが作成されることです。現行のターゲット・データベースには最終的に指定した移行済のデータのコピーが含まれますが、アップグレードしたデータベースは、元のソース・データベースとは異なる方法で運用される可能性があります。エクスポート/インポートにより、データベースと同一のコピーが作成されても、他の要因により、想定外のパフォーマンス問題が発生する可能性があります。(ディスクのデータ配列、調整パラメータの未設定など)。

Oracle Databaseのデータ移行でのエクスポート/インポートの利点

Oracle Databaseのアップグレード時にOracle Data Pumpエクスポート/インポートを使用してデータを移行すると、パフォーマンスを向上できるメリットがあります。

Oracle Data Pumpエクスポートおよびインポートを使用してデータを移行すると、次のメリットがあります。

  • データの断片化を解消できます。インポートされたデータを圧縮することによって、パフォーマンスを向上できます。

  • データベースを再構築できます。新しい表領域を作成したり、既存の表、表領域、またはインポートしたデータを移入するパーティションを変更することができます。

  • 完全に新しいデータベースが作成されるため、以前のリリースの(現在の) Oracle Databaseと新しいリリースのOracle Databaseの比較テストを行うことができます。

  • 指定されたデータベース・オブジェクトまたはユーザーをコピーできます。オブジェクト、ユーザーおよびその他の必要な項目のみをインポートすると、本番データのサブセットにのみ新規ソフトウェアのテスト環境を確立する場合に役に立ちます。Oracle Data Pumpエクスポートおよびインポートでは、INCLUDEやEXCLUDEなどのデータのサブセット化機能を柔軟に使用できます。これらの機能を使用することで、インポートするオブジェクトのリストを絞り込むことができます。QUERYパラメータを使用することで、エクスポート時およびインポート時に表の行をフィルタ処理で除外できます。

  • バックアップ・アーカイブとして機能します。データベースの全体エクスポートを現行のデータベースのアーカイブとして使用できます。

  • 以前のリリースのデータベースが配置されているプラットフォームとは異なるオペレーティング・システムまたはハードウェア・プラットフォームにアップグレード後のデータベースを構築できます。

  • ネットワークベースのOracle Data Pumpインポートによって、以前のリリースのOracle Databaseで使用されているネットワーク全体に新しいリリースのOracle Databaseを直接ロードできます。ネットワークベースのOracle Data Pumpインポートを使用することで、介在するダンプ・ファイルを使用する必要がなくなります。

エクスポート/インポートを使用したデータ移行の時間要件

Oracle Data Pumpを使用したデータ移行にかかる時間を理解します。

エクスポート/インポートを使用したOracle Data Pumpの使用によるOracle Database全体の移行には、特にDBUAを使用する場合または手動アップグレードを実行する場合と比較して、時間が長くかかる場合があります。Oracle Data Pumpを使用してデータを移行する場合、ピーク時以外に移行をスケジュールするか、アップグレード時に現在のデータベースに対して行われる変更を新しいデータベースに伝播するようにプロビジョニングします。