4 WebLogic Serverドメイン
WebLogic Serverドメインとは、論理的に関連するWebLogic Serverインスタンスのグループ、およびその上で実行され、それに接続されているリソースのことであり、それを単一の管理単位として管理できます。
この章の内容は次のとおりです。
ドメインの理解
WebLogicドメインのコアは管理サーバーで構成され、管理サーバーはドメイン内のすべてのリソースを構成および管理する中心点です。
通常、管理対象サーバーと呼ばれるWebLogic Serverの追加インスタンスを含めて、ドメインを構成します。Webアプリケーション、EJB、Webサービスなどのリソースは管理対象サーバーにデプロイし、管理サーバーは構成や管理の目的にのみ使用します。
ドメインの整理
WebLogicドメインはWebLogic Serverインストールとは異なります。単一のWebLogic Serverインストールを使用して複数のドメインを作成して実行するか、複数のインストールを含む単一のドメインを作成できます。ドメインをどのように編成するかは、ユーザーのニーズに基づきます。
図4-1は、WebLogic ServerインストールとWebLogicドメインの関係を示しています。
インストールされたOracle WebLogic Serverをどのようなドメインに構成するかは、ビジネス上のニーズによって異なります。システム管理者の責任範囲、アプリケーションの境界、サーバーを実行するマシンの設置場所などに応じて、複数のドメインを定義できます。また、ドメインを1つにして、すべてのOracle WebLogic Server管理アクティビティを一元化することも可能です。
特定のビジネス上のニーズやシステム管理者の慣習に応じて、次のような条件に基づいてドメインの構成を決定することができます。
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アプリケーションの論理的な区分。たとえば、ショッピング・カートのようなエンドユーザー機能専用のドメインと、バックエンドの会計アプリケーション専用のドメインを持つことができます。
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物理的な場所。企業の所在地や支店ごとに別々のドメインを作成できます。物理的な場所ごとに、別々のOracle WebLogic Serverインストールが必要です。
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サイズ。ドメインをより効率的に管理したり、別々のシステム管理者が管理したりできるように、ドメインを小さな単位で構成することができます。一方、1つのドメインや少数のドメインにした方が、構成の一貫性を保ちやすくなります。
単一のサーバー・インスタンスから構成される簡単なドメインを作成できます。この単一のインスタンスは管理サーバーとして動作し、開発中のアプリケーションをホストします。通常、単一のサーバー・ドメインは開発環境やテスト環境で使用されますが、このドメイン・タイプは本番使用を完全にサポートし、負荷の軽いアプリケーションに適している場合があります。Oracle WebLogic Serverと一緒にインストールできるwl_serverドメインはこのタイプのサンプル・ドメインです。
ドメインの内容
ドメインの範囲と目的は多種多様ですが、ほとんどのOracle WebLogic Serverドメインには、この節で説明するコンポーネントが含まれます。
次のトピックでは、オプションの管理対象CoherenceサーバーおよびCoherenceクラスタを含む、ドメインの主要コンポーネントについて説明します。
管理サーバー
管理サーバーは、ドメイン全体の構成の一元的な制御エンティティとして動作します。ドメインの構成ドキュメントを管理し、構成ドキュメントでの変更を管理対象サーバーに配布します。また、ドメイン内のすべてのリソースを一元的にモニタリングするための場所として使用することもできます。
管理サーバーと対話するには、システム管理ツールおよびAPIのサマリーに記載されている任意の管理ツールを使用できます。ドメインの構成変更については、システム管理を参照してください。
各Oracle WebLogic Serverドメインには、管理サーバーとして機能する1つのサーバー・インスタンスが必要です。
管理サーバーおよびOracle WebLogic Server JMX管理システムにおける管理サーバーの役割の詳細は、システム管理を参照してください
管理対象サーバーと管理対象サーバー・クラスタ
管理対象サーバーは、ビジネス・アプリケーション、アプリケーション・コンポーネント、Webサービス、およびそれらに関連付けられたリソースをホストします。また、パフォーマンスを最適化するため、ドメインの構成ドキュメントの読取り専用のコピーを保持します。管理対象サーバーを起動すると、その構成ドキュメントを管理サーバーに保持されているドキュメントと同期させるため、そのドメインの管理サーバーに接続します。
アプリケーションのパフォーマンス、スループット、または高可用性を向上させる必要のあるプロダクション環境では、複数の管理対象サーバーがクラスタとして動作するように構成できます。クラスタは、同時に動作し、連携して高度なスケーラビリティと信頼性を実現する複数のOracle WebLogic Serverインスタンスで構成されます。クラスタ内では、ほとんどのリソースとサービスが(単一の管理対象サーバーではなく)各管理対象サーバーに同じようにデプロイされています。1つのドメインには、クラスタとして構成されていない複数の管理対象サーバーだけでなく、複数のOracle WebLogic Serverクラスタを含めることができます。クラスタリングされた管理対象サーバーとクラスタリングされていない管理対象サーバーの主な違いは、フェイルオーバーとロード・バランシングのサポートです。これらの機能は、管理対象サーバーのクラスタでしか利用できません。Oracle WebLogic Serverクラスタのメリットと機能の詳細は、Oracle WebLogic Serverクラスタの管理のWebLogic Serverのクラスタリングの理解を参照してください。
管理対象CoherenceサーバーとCoherenceクラスタ
管理対象Coherenceサーバーでは、アプリケーション向けのインメモリー分散キャッシングを提供します。Coherenceクラスタ・メンバーとして構成されている管理対象サーバーが、管理対象Coherenceサーバーです。Coherenceは、WebLogic Serverにコンテナ・サブシステムとして統合されます。コンテナを使用すると、Coherenceメンバーのライフサイクルを管理対象サーバーのライフサイクルにあわせることができます。サーバーJVMを起動または停止すると、Coherenceクラスタ・メンバーも起動または停止します。
ドメインには、複数のWebLogic Serverクラスタに関連付け可能な単一のCoherenceクラスタを含めることができます。WebLogic Serverクラスタの一部である管理対象Coherenceサーバーは、WebLogic ServerクラスタからそのCoherence設定を継承します。WebLogic Serverクラスタは、通常、管理対象CoherenceサーバーをCoherenceクラスタ内のその役割に基づいて編成するCoherence層の設定に使用されます。
Coherenceクラスタの構成と管理の詳細は、『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』のCoherenceクラスタの構成と管理に関する項を参照してください。
リソースとサービス
ドメインには、管理サーバーと管理対象サーバーだけでなく、管理対象サーバーやデプロイされたアプリケーションで必要となるリソースとサービスも含まれます。
管理対象サーバーでは、次のリソースを使用できます。
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マシン定義 - 特定の物理的なハードウェアを識別します。マシン定義によって、コンピュータとそのコンピュータがホストする管理対象サーバーが関連付けられます。ノード・マネージャは、障害の発生した管理対象サーバーを再起動する際に、この情報を使用します。また、クラスタリングされた管理対象サーバーは、レプリケートされたセッション・データを格納する最適な場所を選択する際に、この情報を使用します。ノード・マネージャの詳細は、Oracle WebLogic Serverノード・マネージャの管理のノード・マネージャの概要を参照してください。
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ネットワーク・チャネル - 管理対象サーバーがクライアントとの通信に使用するデフォルトのポート、プロトコル、およびプロトコル設定を定義します。ネットワーク・チャネルを作成したら、ドメイン内の任意の数の管理対象サーバーとクラスタに割り当てることができます。『Oracle WebLogic Serverサーバー環境の管理』のネットワーク・リソースの構成に関する項を参照してください。
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仮想ホスト - Oracle WebLogic Serverインスタンス(サーバー)またはクラスタが応答するホスト名のセットを定義します。仮想ホスト機能を使用する場合、DNSを使用して、サーバーまたはクラスタのIPアドレスにマップする1つまたは複数のホスト名を指定します。また、それぞれの仮想ホストによって提供されるWebアプリケーションを指定します。
アプリケーションでは、次のリソースおよびサービスを使用できます。
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セキュリティ・プロバイダ - 認証や認可など、セキュリティの特定の側面を処理するモジュール・コンポーネントです。
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リソース・アダプタ - エンタープライズ情報システム(EIS)に固有のシステム・ライブラリで、EISへの接続性を提供します。
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診断およびモニター・サービス。
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JDBCデータ・ソース - アプリケーションからデータベースへの接続を可能にします。
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メール・セッション。
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XMLパーサーおよびトランスフォーマ・ファクトリのXMLエンティティ・キャッシュおよびレジストリ。
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メッセージング・サービス(JMSサーバー、ストア・アンド・フォワード・サービスなど)。
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永続ストア - データ(永続JMSメッセージなど)を格納する物理リポジトリです。具体的には、JDBC対応のデータベースまたはディスク・ベースのファイルのどちらかです。
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起動クラス - システム全体のカスタム・サービスをアプリケーションに提供するために作成するJavaプログラムです。
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ワーク・マネージャ - ユーザーが定義したルールに基づいて、アプリケーションが実行する作業の優先順位を決定し、実行時の実際のパフォーマンスをモニタリングします。Oracle WebLogic Serverドメイン全体のワーク・マネージャを作成したり、特定のアプリケーション・コンポーネントのワーク・マネージャを作成したりできます。
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ワーク・コンテキスト - アプリケーションからリモート・コンテキストに、プロパティをリモート呼出しに含めずに渡すことを可能にします。
WebLogic Serverドメインの理解のためのロードマップ
WebLogic Serverのドキュメント・セットには、WebLogicドメインの作成、構成および管理方法の理解に役立つ、いくつかの入門的なトピック、手順的なトピック、リファレンス的なトピックがサンプルとともに含まれています。
表4-1 WebLogic Serverドメインの理解のためのロードマップ
主要なタスク | サブタスクと追加情報 |
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WebLogic Serverドメインについてもっとよく知る |
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ドメインの作成 |
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ドメインの構成 |
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ドメイン・テンプレートの操作 |
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サンプル |
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リファレンス |