3 カスタム永続ストアの使用

この章では、WebLogic Server永続ストアを構成およびモニターする方法について説明します。永続ストアは、永続性を必要とするWebLogic Serverのサブシステムおよびサービスに対し、組込みの高性能なストレージ・ソリューションを提供します。

カスタム・ファイル・ストアとJDBCストアとは

デフォルトのファイル・ストアを使用するだけでなく、特定のニーズに合わせてファイル・ストアやJDBCストアを構成することもできます。デフォルト・ファイル・ストアと同様、カスタム・ファイル・ストアもディレクトリに格納された一連のファイルにデータを保持します。一方、カスタム・ファイル・ストアを作成して、特定のストレージ・デバイスにデータを保持したり、ファイル・ストアにアクセスするJMSサービスがクラスタ内の別のサーバー・メンバーにストアを移行できるようにしたりすることも可能です。ファイル・ストアのディレクトリを構成する場合は、そのファイル・ストアが配置されているサーバー・インスタンスにアクセスできるディレクトリを設定する必要があります。

JDBCストアは、リレーショナル・データベースをストレージとして使用している場合に構成できます。JDBCストアを使用することで、指定のJDBCデータ・ソースを介してアクセスできる標準のJDBC対応データベースに永続メッセージを格納できます。JDBCストアのデータベース表に格納されたデータには、WLStoreという論理名が付けられます。データベースの高可用性とパフォーマンスを構成するかどうかは、データベース管理者の判断です。JDBCストアでは、JMSサービスを自動または手動で移行する移行可能ターゲットをサポートすることもできます。

「カスタム永続ストアを使用すべき状況」を参照してください。

カスタム永続ストアを使用すべき状況

WebLogic Serverでは、カスタム・ファイル・ストアやJDBC対応のストアを作成するための構成オプションが用意されています。たとえば、次のような操作を一時的に行う場合があります。

  • ファイル・ストアのファイルを特定のデバイスに配置します。

  • 特定のサーバー・インスタンスで、ファイル・ストアの代わりにJDBCストアを使用します。トランザクション・ログを保持する場合は、JDBC TLOGストアを使用します。「JDBC TLogストアの使用」を参照してください

  • クラスタ内のすべての物理ストアで同じ論理名を共有します。

  • 異なるサービスを論理的に分けて、別々のファイルや表を使用します。(これにより、パフォーマンスは下がりますが、管理や保守は容易になります。)

  • 移行可能なJMS関連サービスでは、デフォルトの永続ストアは使用できません。したがって、カスタム・ストアを構成し、移行可能なJMSサービスと同じ移行可能なターゲットにターゲット指定する必要があります。Oracle WebLogic Serverクラスタの管理サービスの移行を参照してください。

カスタム永続ストアの作成方法

カスタム永続ストアは、次の方法で構成できます。

  • WebLogic Server管理コンソールを使用する。カスタム・ファイル・ストアまたはJDBCストアを構成する場合は、Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプ永続ストアの構成を参照してください。JDBC TLOGストアを構成する場合は、Oracle WebLogic Server管理コンソール・オンライン・ヘルプトランザクション・ログ・ストアの構成を参照してください。

  • 永続ストアをホストするサーバー・インスタンスの構成ファイル(config.xml)を直接編集します。

  • WebLogic Java Management Extensions (JMX)を使用して永続ストアを作成します。JMXはネットワーク上のリソースをモニターおよび管理するためのJava EEソリューションです。『Oracle WebLogic Server JMXによるカスタム管理ユーティリティの開発』を参照してください。

  • WebLogic Scripting Tool (WLST)を使用して永続ストアを作成します。WLSTは、WebLogic Serverインスタンスとドメインに対して、相互作用や構成のために使用するコマンド行スクリプト・インタフェースです。『WebLogic Scripting Toolの理解』を参照してください。

  • WebLogic構成ウィザードを使用して、デフォルト永続ストアのオプションを変更します。構成ウィザードを使用して永続ストアを構成する方法の詳細は、WebLogic構成ウィザードによるドメインの作成WebLogicドメインの作成を参照してください。

カスタム永続ストアのパラメータの変更

JDBCストアの接頭辞やファイル・ストアのディレクトリなど、特定のカスタム・ストアの構成オプションの変更において次を実行する場合、サーバーの再起動は必ずしも必要ではありません。

  1. (カスタム・ストアを使用するJMSサーバーなど)依存するサービスのターゲットをnullに設定し、カスタム・ストアのターゲットをnullに設定します。(サービスのターゲットをnullに設定すると、暗黙的にサービスが停止します。)

  2. カスタム・ストアのターゲットを元の値に戻し、依存するリソースのターゲットを元の値に戻すことによってプロセスを元に戻します。

カスタム・ストアとJMSサーバーが移行可能ターゲットを共有する場合、移行可能ターゲットを管理的に再起動することができます。