サポート・ワークベンチを使用した問題の監視

Enterprise Managerサポート・ワークベンチを使用すると、問題(クリティカル・エラー)を調査および報告でき、解決できる場合もあります。最初の障害診断データの収集、サポート・リクエスト番号の取得およびOracleサポートへの診断データのアップロードを実行できます。また、サポート・ワークベンチでは、データ破損の問題などを解決できるOracleアドバイザへの容易なアクセスをお薦めおよび提供します。

Fusion Middlewareコンポーネントとの互換性

サポート・ワークベンチを使用して、次の操作を実行できます。

  • Oracle WebLogic Server

  • SOAインフラストラクチャ

注意:

サポート・ワークベンチは、Java Required Files (JRF)テンプレートが適用されたWebLogic Serverドメインのみで使用可能です。

サポート・ワークベンチの基本的なワーク・フロー

サポート・ワークベンチを使用して2つの基本的な方法で問題を管理できます。

  • 関連する問題をパッケージして、それらを解決するためにOracleサポートにアップロードすることによって、アラート通知に応答します。

  • 監視対象の問題を事前にパッケージして、それらを解決するためにOracleサポートにアップロードします。

アラートを受信して、サポート・ワークベンチを使用するプロセスは次のとおりです。

  1. Enterprise Managerエージェントが、設定されたしきい値を超えている1つ以上のメトリックを収集しました。
  2. アラート・ログがインシデントを生成し、管理者に保留中のアラートが通知されます。
  3. サポート・ワークベンチ内の問題を検索して表示します。
  4. My Oracleサポートにアクセスしてこの問題または類似している問題を検索し、この問題を解決する適切なアクションを決定します。検索が十分でない場合は、次のステップに進みます。
  5. 外部ファイルや実行したダンプなどのサポート資料を含む、My Oracleサポート用のパッケージを作成します。
  6. サービス・リクエストを作成します。
  7. パッケージをMy Oracleサポートにアップロードできます。

事前に問題を監視してOracleサポートにアップロードするプロセスは、前述のステップ3から7と同じですが、ステップ5に進む前に、ユーザー報告の問題を開始してください。

この後の各項では、これらのタスクを実行する手順について説明します。

サポート・ワークベンチへのアクセスおよびログイン

次の各項では、サポート・ワークベンチにアクセスして、ログインする方法について説明します。

サポート・ワークベンチへのアクセス

サポート・ワークベンチにアクセスするには、次の手順に従います。

  1. ミドルウェアのホームページの「詳細」表で、「Oracle WebLogicドメイン」「Oracle WebLogicクラスタ」「Oracle WebLogicサーバー」のいずれかをクリックします。
  2. 「Oracle WebLogicドメイン」または「Oracle WebLogicサーバー」メニューから、「診断」を選択し、次に、「サポート・ワークベンチ」を選択します。

ログイン

ログインには、すでに設定してある優先資格証明または名前付き資格証明を使用します。あるいは、「新規資格証明」オプションを選択して、2つのログイン・オプションをオーバーライドできます。

  • 前提条件

    • ホスト資格証明には、ターゲットのAdrHomeの場所への書込み権限が必要です。

      AdrHomeはWebLogicサーバーがインシデントを格納する場所です。詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』の診断フレームワーク・コンポーネントに関する項を参照してください。

      ソフトウェア・ワークベンチにログインするには、AdrHomeの読取り権限のみが必要です。読取り権限があれば、ソフトウェア・ワークベンチにログインして、問題やインシデントを確認し、ユーザー報告の問題を作成し、追加の診断ダンプを実行できます。パッケージの作成には書込み権限が必要です。

    • WebLogic資格証明は、WebLogic Serverに対するモニター権限を持つ必要があります。

  • 優先資格証明の選択

    優先資格証明ページで優先資格証明としてすでに登録されている資格証明を使用する場合、これを選択します。

    優先資格証明により、ターゲットのログイン資格証明が管理リポジトリに格納され、管理対象ターゲットへのアクセスが簡素化されます。優先資格証明が設定されている場合、ターゲットへのログインは要求されず、自分の資格証明が認識されるEnterprise Managerターゲットにアクセスできます。優先資格証明はユーザーごとに設定されるため、管理されるエンタープライズ環境のセキュリティが保証されます。

  • 名前付き資格証明の選択

    名前付き資格証明ページで作成した名前付きプロファイルの資格証明を使用する場合は、これを選択します。

    このオプションを使用してホストまたはWebLogic Serverの優先資格証明をオーバーライドできます。名前付き資格証明は、システムでのユーザーの認証情報を指定します。名前付き資格証明にはユーザー名/パスワード、公開キーと秘密キーのペア、またはX509v3証明書を使用できます。

  • 新規資格証明の選択

    「新規資格証明」オプションを使用すると、定義済の優先資格証明または名前付き資格証明をオーバーライドできます。新しい資格証明を入力するとき、資格証明を保存して名前を付けることができます。このような資格証明は名前付き資格証明になります。

    注意:

    「新規資格証明」オプションを選択すると、サポート・ワークベンチにより資格証明を保存するよう求められます。資格証明を保存することで、長時間実行するソフトウェア・ワークベンチ操作(問題のパッケージ化など)のためのEnterprise Managerジョブを発行できます。Oracleはこれらの操作を実行するために、保存された資格証明にアクセスする必要があります。

Fusion Middlewareサポート・ワークベンチの使用

後続の各項では、これらの診断タスクについて説明します。

診断の表示

この手順は、WebLogic Serverでインシデントが発生し、アラート通知が受信されたことを想定しています。問題を解決する適切なアクションを決める必要があります。

  1. ドメイン・ホームページのドロップダウンメニューから、「モニタリング」を選択し、「インシデント・マネージャ」を選択します。
  2. 調査するインシデントの「ターゲット」列のリンクをクリックします。
  3. 表示されるページの「モニタリングと診断」セクションで、「サポート・ワークベンチの問題」番号付きリンクをクリックします。

集計診断サマリーの表示

Fusion Middlewareは複数のシステムにデプロイされているため、インシデントは複数の自動診断リポジトリ・ホームに記録されます。次の手順は、インスタンス、製品ファミリまたはクラスタ・アプリケーションによって集計されたすべてのターゲットおよび自動診断リポジトリ・ホームにわたる診断データのクイック・サマリーを取得する方法を示します。

この手順は、Fusion Middlewareのコンテキスト内のWebLogicドメインおよびWebLogicクラスタに適用されます。この手順は、WebLogicドメインにデプロイされているサーバー上で、複数のFusion Middlewareインシデントが発生したことを想定しています。

  1. 関連するターゲットからアラートを受信した後、Fusion Middlewareインスタンス、製品ファミリまたはクラスタ・アプリケーションのホームページにアクセスします。
  2. ドロップダウン・メニューから、「診断」を選択し、次に、「サポート・ワークベンチ」を選択します。

    サポート・ワークベンチのホームページが表示され、アプリケーション別に集計された問題およびインシデントのサマリー表が表示されます。

    図2-3 集計診断サマリー



  3. 表をソートし、問題およびインシデントの数が最も多いWebLogic Serverを確認します。
  4. 個別のサーバーのサポート・ワークベンチ・ページをドリルダウンし、サーバーに関する詳細な診断情報(問題やインシデントなど)を表示します。

問題の検索

次の手順は、すでに問題がEnterprise Manager内に記録されていることを前提としています。

  1. サポート・ワークベンチのホームページで、「問題キーによるフィルタ」フィールドに検索基準を入力し、次に「実行」をクリックします。

    検索基準には、日付範囲、SR番号、バグ番号などの検索に使用するキーワードが含まれます。

あるいは、「拡張検索」リンクをクリックして検索基準を指定し、次に「検索」をクリックします。

問題に関する注釈の追加

問題に関して短いメモを追加して、この問題を他の管理者にも通知しておくような場合があります。

  1. ドメイン・ホームページのドロップダウンメニューから、「モニタリング」を選択し、「インシデント・マネージャ」を選択します。

    インシデント・マネージャ・ページが表示され、表内にオープンなインシデントが表示されます。

  2. インシデント・マネージャ・ページの右下で、「コメントの追加」リンクをクリックします。
  3. 表示されたポップアップにコメントを追加して、「OK」をクリックします。

    このコメントはEnterprise Managerによって記録され、この管理者または他の管理者がこの問題を調べる場合に再表示されます。

ファイルの追加

診断ダンプなどの診断に使用できる情報をさらにインシデントに追加する場合があります。

  1. サポート・ワークベンチのホームページで、診断を追加する問題の「ID」リンクを選択します。
  2. インシデントの詳細ページで、関連するインシデントの「ID」をクリックします。
  3. 「追加の診断」タブを選択します。
  4. 表内のリストから診断を選択して、「実行」をクリックします。
  5. ユーザー処理を実行ページで必要なパラメータに値を入力し、実行スケジュールを設定して、次に「送信」をクリックします。
  6. 確認メッセージが表示された「OK」をクリックします。

    診断ダンプが実行され、結果がインシデントに追加されます。

パッケージの作成

パッケージを作成するには2つのオプションがあります。次の操作を実行できます:

  • アラート通知から開始されるパッケージを作成します。

  • 監視対象の問題からパッケージを事前に作成します。

アラート通知から開始されるパッケージを作成するには、次の手順を実行します。

  1. サポート・ワークベンチのホームページで、パッケージする問題の「ID」リンクを選択します。

  2. 表示される「問題の詳細」ページで、「クイック・パッケージ」をクリックします。

    「クイック・パッケージング」ウィザードが表示されます。

  3. ウィザードで必要な情報入力し、「送信」をクリックします。

    このウィザードのほとんどは説明を必要としません。次のウィザード・ステップは、入力が必要です。

    • 新規パッケージの作成

      • パッケージ名: システム提供の名前を使用するか、任意の説明的な名前を指定します。

      • パッケージの説明: このパッケージに含まれる内容の確認用に任意の長さの説明を指定します。

      • Oracleサポートに送信: このオプションを有効にすると、処理が完了した場合に、パッケージ用のアップロード・ファイルが正常に生成されたことを示す確認メッセージが表示され、また、そのファイルの場所も表示されます。

        すぐにパッケージをOracleサポートに送信しない場合、後でパッケージの詳細ページから実行できます。「いいえ」を選択すると、アップロード・ファイルは生成されますが、Oracleに送信されません。

      • サービス・リクエスト番号: このパッケージに関連するSRを入力します。これは、アップロードする場合のみ必要です。

    • スケジュール

      • 即時/後で: すぐにではなく、後でアップロード・ファイルを生成する場合に、データベース・タイムゾーン、OMSタイムゾーンなど、別のタイムゾーンで時間を指定しないかぎり、タイムゾーンを変更する必要はありません。

      • ホスト資格証明: 要求されるホスト資格証明は、ターゲット・データベースを起動するために使用される資格証明と同じである必要があります。

監視対象の問題からパッケージを事前に作成するには、次の手順を実行します。

  1. サポート・ワークベンチのホームページの「関連リンク」セクションで、「ユーザー報告の問題の作成」をクリックします。
  2. 表示されるページで、問題のタイプを選択して「問題の作成の続行」をクリックします。
  3. 前述のステップ2と3の指示に従います。

ファイルの追加

外部ファイルなどの追加の情報をパッケージに追加する場合があります。この手順は、パッケージが作成されていて、問題に関して追加の診断が生成されていることを想定しています。

  1. サポート・ワークベンチのホームページで、変更するパッケージの「パッケージ済」列で、「はい」をクリックします。
  2. パッケージ・ページで、パッケージ名のリンクをクリックします。
  3. パッケージの詳細ページで「パッケージのカスタマイズ」をクリックします。

    パッケージのカスタマイズ・ページが表示され、このページでパッケージのコンテンツを編集し、追加の診断データを生成および含め、またはユーザー・データを修正できます。

Oracleサポートへのパッケージのアップロード

  1. 前述の項で説明しされているパッケージの詳細ページで、「アップロード・ファイルの生成」をクリックします。
  2. パッケージ・ファイル・タイプを指定し、スケジュールを選択して、「送信」をクリックします。
  3. 確認メッセージが表示されたら、「OK」をクリックします。
  4. 「Oracleに送信」をクリックします。
  5. 既存のSRを選択するか、またはパッケージをアップロードするための新規のSRを作成します。

サービス・リクエストの作成

問題を作成してOracleサポートにアップロードした後、Oracleサポートを通じて問題に対応するためにサービス・リクエストを作成する場合があります。

  1. Cloud Controlコンソールの「エンタープライズ」メニューから、「My Oracle Support」を選択してから、「サービス・リクエスト」を選択します。

    シングル・サインオン資格証明を入力すると、My Oracle Supportサイトの「サービス・リクエスト」が開きます。

  2. 「「問合せ」SRの作成」をクリックします。
  3. 表示されるウィザードで必要な入力を行い、「送信」をクリックします。

問題の解決の管理

問題が解決したら、自動診断リポジトリ(ADR)が問題に必要なメモリーをパージできるように、問題をクローズします。

  1. サポート・ワークベンチのホームページで、管理する問題の「ID」リンクをクリックします。
  2. 問題の詳細ページの「調査と解決」セクションで、「問題解決の管理」をクリックします。

    表示されるインシデント・マネージャ・ページでは、いくつかの管理オプションが使用できます。

Enterprise Managerでのインシデントの管理の詳細は、Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイドインシデント管理の使用を参照してください。