9 Siebelメトリック

この章では、Siebelのすべてのメトリック・カテゴリについて説明し、各カテゴリに関連するメトリックとその説明を表に示します。

Siebelメトリックは、次のカテゴリから構成されます。

Siebelコンポーネントのメトリック

表9–1に、Siebelコンポーネントのメトリックに関する詳細を示します。

表9-1 Siebelコンポーネントのメトリック

メトリック 説明およびユーザー・アクション データ・ソース

Object Managerの平均レスポンス時間(ミリ秒)

このメトリックは、オブジェクト・マネージャに送信されたリクエストの処理に要する平均時間を示します。双方向性ユーザー・セッションの応答性に対応します。このメトリックは、主に長期のパフォーマンス傾向と容量計画を確立する場合に役立ちます。アプリケーション・パフォーマンスが低下すると、メトリック値は上昇します。

レスポンス時間は、コードやアプリケーション構成の効率性、サーバーのCPUおよびメモリーの容量、エンドユーザーの動作、データ量などの要因に影響されるため、アクションを実行する前に、まずレスポンス時間の低下の根本原因を特定する必要があります。詳細は、Siebelパフォーマンス・チューニング・ガイドを参照してください。

オブジェクト・マネージャの平均レスポンス時間 = 全オブジェクト・マネージャ・セッションにおける全リクエストのオブジェクト・マネージャの合計レスポンス時間/全オブジェクト・マネージャ・セッションのリクエストの合計数

Object Managerセッションの平均接続時間(秒)

オブジェクト・マネージャとの双方向セッションを確立する際に、オブジェクト・マネージャは、認証、初期化および必要なリソースの割当てなど多くのタスクを実行する必要があります。これらのアクティビティをすべて実行するために要する時間が接続時間です。オブジェクト・マネージャ・セッションの平均接続時間は、コンポーネントが起動してから特定のオブジェクト・マネージャへの接続を確立するまでに要する平均時間です。このメトリックは、主に接続パフォーマンスの超過を評価する際に役立ちます。

平均接続時間 = 合計接続時間/接続の合計数

各オブジェクト・マネージャ・セッションの平均リクエスト数

ユーザーは、レコードの問合せ、レコードの更新、ボタンのクリックなどの複数のアクションを実行して、単一セッションでコマンドを発行できます。各アクションは、ユーザーのブラウザからオブジェクト・マネージャに送信される1つ以上のリクエストに相当します。各オブジェクト・マネージャ・セッションの平均リクエスト数は、Siebelエンタープライズの起動後に記録されたすべてのオブジェクト・マネージャ・セッションでオブジェクト・マネージャに送信されたリクエスト数の平均です。

このメトリックは、情報提供のみを目的としています。このメトリックを使用してユーザーの使用パターンを追跡し、1つのセッションで生成される処理負荷量を確認できます。この情報は、一定期間で特に役立ちます。このメトリックの長期傾向と、オブジェクト・マネージャの合計セッション数を組み合せると、時間の経過に伴う処理負荷の増加または減少を確認できます。この情報は、キャパシティ・プランニングの決定にも使用できます。

各オブジェクト・マネージャの平均リクエスト数 = 全オブジェクト・マネージャ・セッションの合計リクエスト数/オブジェクト・マネージャのセッション数

応答メッセージの平均サイズ(バイト)

このメトリックは、オブジェクト・マネージャへのユーザー発行リクエストに対するレスポンスのサイズを示します。サイズが大きいほど、渡されるデータが大きいことを示しています。

このメトリックの主な目的は、長期間でのパフォーマンス傾向を記録することです。このメトリックが上昇傾向にある場合、渡されるデータが増加していることを示します。この状況は、データ量の増加、多くのデータを戻すユーザー発行の問合せ、アプリケーション構成の変更などの要因で発生する可能性があります。この傾向に対処するには、根本原因を特定する必要があります。詳細は、Siebelパフォーマンス・チューニング・ガイドを参照してください。

このメトリックを算出するには、オブジェクト・マネージャ起動後の全リクエストに対するすべての応答メッセージの合計サイズをリクエスト数で除算します。

リクエスト・メッセージの平均サイズ(バイト)

このメトリックは、オブジェクト・マネージャへのユーザー発行リクエストに対するリクエストのサイズを示します。サイズが大きいほど、リクエストの発行時に渡されるデータが多いことを示します。

このメトリックの主な目的は、長期間でのパフォーマンス傾向を記録することです。このメトリックが高くなると、渡されるデータが大きくなっていることを示し、アプリケーション構成の変更などの要因で発生する可能性があります。この傾向に対処するには、根本原因を特定する必要があります。詳細は、Siebelパフォーマンス・チューニング・ガイドを参照してください。

このメトリックを算出するには、オブジェクト・マネージャ起動後の全リクエストに対するすべてのリクエスト・メッセージの合計サイズをリクエスト数で除算します。

CPU使用率

このメトリックは、このSiebelコンポーネントで消費されるCPU時間を示します。CPUデータは、OSレベル(Oracle Agentで収集されるプロセスベースの統計)とSrvrmgr統計の2つの異なるソースに基づきます。

このメトリックの主な目的は、長期間でのパフォーマンス傾向を記録することです。このメトリックの値が時間の経過とともに増える場合、このコンポーネントのアプリケーション・サーバーで発生する集中処理が増加していることを示します。この変化は、アプリケーション構成の変更や基盤となるSiebelソフトウェアの変更が原因で生じる可能性があります。この傾向に対処するには、根本的な原因を特定する必要があります。詳細は、Siebelパフォーマンス・チューニング・ガイドを参照してください。

このメトリックを算出するには、Siebelサーバーの起動後に実行される、該当コンポーネントのすべてのコンポーネント・タスクのCPU時間を加算します。

最大MTS

このメトリックは、マルチスレッド・シェルの最大数を設定するパラメータです。「MTSプロセスを実行中」メトリックを定期的に確認して、実行中のプロセスのレベルを把握する必要があります。実行中のMTSの数が「最大MTS」に設定された上限を超えそうになることが多い場合、「最大MTS」の値を増やすことを検討してください。一方で、MTSの数が常に上限とはほど遠い場合は、「最大MTS」の値を減らすことを検討してください。

このメトリックは、Siebelコンポーネントで設定します。

コンポーネント・プロセスの失敗数

このメトリックは、エラーが発生したコンポーネント・タスクの数を表します。コンポーネント・タスクのエラー発生には、操作対象の適切なビジネス・データが存在しないことからソフトウェアでの不具合まで、様々な理由があります。このような失敗の数が大幅に増加する場合、不具合を調査する必要があります。アラート・ログおよびSiebelサーバー・マネージャを確認して、エラーが発生したタスクを見つけることから始めます。

エラーが発生したコンポーネント・タスクは計算されます。

実行状態

このメトリックは、コンポーネントの現在のステータスを示します。コンポーネントが予期せず停止または使用不可になった場合、コンポーネントを再起動するか、またはSiebelサーバー・マネージャを使用してコンポーネントを使用可能にする必要があります。また、コンポーネントのログ・ファイルを確認して、コンポーネントが動作しない原因を調べます。

このメトリックの値は、サンプリング期間ごとに更新されます。

MTSプロセスを実行中

このメトリックは、実行中のマルチスレッド・シェル(MTS)のプロセスの数を示します。このメトリックは情報提供を目的とするもので、長期傾向で使用してコンポーネントの使用状況を分析できます。MTSプロセスの数が上昇傾向にある場合、コンポーネントの使用率が増加していることを示します。チューニングまたは容量の調整が必要になる場合があります。

このメトリックの値は、サンプリング期間ごとにSiebelサーバーからの問合せが実行されます。

開始時間

このメトリックは情報提供を目的とするもので、診断時に使用してコンポーネントの開始時間を確認します。

コンポーネントの開始時間。このメトリックは、サンプリング期間ごとにSiebelサーバーから収集されます。一般的に、コンポーネントを再起動しないと変わりません。

現行のタスク数

このメトリックは、コンポーネントの現在の実行タスク数を示します。タスクの最大数が「最大タスク数」で制限されるため、このパラメータは間接的に残りのタスク数を表します。タスクの数が「最大タスク」と比較して多すぎる場合、収拾のつかないタスクがあるか、または「最大タスク」に設定した値が低すぎないかを確認する必要があります。

「現行のタスク数」の値は、Siebelサーバーに問い合せることでサンプリング期間ごとに更新されます。

最大タスク

このメトリックは、Siebelサーバー・コンポーネントに対して実行可能な最大タスク数を決定します。現在実行中のタスク数が最大タスクと等しい場合、新しいタスクは生成できません。双方向性オブジェクト・マネージャでは、新規ユーザーがログインできないことを意味します。「最大タスク」は、特定の時間に実行される予想最大タスク数よりも高いレベルに必ず設定することが非常に重要です。詳細は、Siebelシステム管理ガイドを参照してください。

タスクの使用状況のレベルに関して、定期的に現行タスク・メトリックを確認する必要があります。実行中のタスク数が「最大タスク」に設定された上限を超えそうになることが多い場合、「最大タスク」の値を増やすことを検討してください。一方で、タスクの数が常に上限とはほど遠い場合は、「最大タスク」の値を減らすことを検討してください。

このメトリックは、Siebelサーバー・マネージャで設定します。

SQL実行操作の平均時間(秒)

このメトリックは、SQL文の解析後にデータベースがSQL文の処理に要する平均時間を示します。メトリックは、EIMなどの古いSiebelコンポーネントにのみ適用でき、オブジェクト・マネージャのリクエストの処理に要する時間は示されません。

このメトリックの主な目的は、長期間でのパフォーマンス傾向を記録することです。このメトリックの値が時間の経過とともに増える場合、より複雑な操作を含むSQL文が実行されているか、リクエストの処理でデータベースの効率が悪くなっていることを示しています。これらはアプリケーションに対する変更、データ量の増加またはデータベースのチューニングの変更が原因である可能性があります。この傾向に対処するには、根本原因を特定する必要があります。詳細は、Siebelパフォーマンス・チューニング・ガイドを参照してください。

このメトリックを算出するには、コンポーネント起動後の全リクエストのSQL実行の合計時間をリクエスト数で除算します。

SQL解析操作の平均時間(秒)

このメトリックは、データベースに渡されるSQL文の解析にデータベースが要する平均時間を示します。メトリックは、EIMなどの古いSiebelコンポーネントにのみ適用でき、オブジェクト・マネージャのリクエストの処理に要する時間は示されません。

このメトリックの主な目的は、長期間でのパフォーマンス傾向を記録することです。このメトリックの値が時間の経過とともに増える場合、SQL文の複雑さが増していることを示します。SiebelではすべてのSQL文が動的に生成されるため、基礎となるSiebel製品への変更、ビジネス・コンポーネントの複雑さへの変更、定義した問合せの仕様が原因でこの変化が生じる可能性があります。この傾向に対処するには、根本原因を特定する必要があります。詳細は、Siebelパフォーマンス・チューニング・ガイドを参照してください。

このメトリックを算出するには、Siebelサーバー起動後の該当コンポーネントの全リクエストのSQL文を解析する合計時間をリクエスト数で除算します。

SQL実行操作の合計数

このメトリックは、実行されたSQL文の合計数を示します。この数は、完了したコンポーネント・タスクから集計されます。つまり、現在アクティブなセッションで実行されるSQL文は反映されません。

このメトリックの主な目的は、長期間でのパフォーマンス傾向を記録することです。このメトリックの値が時間の経過とともに増える場合、データベースへのアクセスが増えていることを示していて、チューニングまたは容量調整が必要である可能性があります。

SQLフェッチ操作の合計数

このメトリックは、コンポーネントのSQLフェッチ操作の合計数を示します。

このメトリックは、サンプリング期間ごとにSiebelサーバーからの問合せが実行されます。

SQL解析操作の合計数

このメトリックは、解析されたSQL文の合計数を示します。メトリックは、EIMなどの古いSiebelコンポーネントにのみ適用でき、オブジェクト・マネージャのリクエストの処理に要する時間は示されません。SQL解析操作の平均時間の算出に使用されます。

このメトリックの主な目的は、長期間でのパフォーマンス傾向を記録することです。このメトリックの値が時間の経過とともに増える場合、データベースへのアクセスが増えていることを示していて、チューニングまたは容量調整が必要である可能性があります。

このメトリックは、サンプリング期間ごとにSiebelサーバーからの問合せが実行されます。

平均CPU時間

平均CPU時間は、リクエストの処理に要する平均時間を示します。CPU時間が長いほど、CPU集中処理が多いことを表します。

このメトリックは、主に長期のパフォーマンス傾向とキャパシティ・プランニングの確立に役立ちます。メトリックが上昇傾向にある場合、CPU集中処理が増えていることを示します。この状況が続く場合は、処理容量を追加するか、アプリケーション構成をチューニングする必要があります。

このメトリックを算出するには、コンポーネント起動後の全リクエストの合計CPU時間を、コンポーネント起動後のリクエストの合計数で除算します。平均CPU時間 = 合計CPU時間/リクエスト数

平均レスポンス時間

平均レスポンス時間は、エンドユーザー処理への応答に要する平均時間を示します。測定期間における双方向性ユーザー・セッションの応答性に対応します。このメトリックは、短期間の監視および長期間のパフォーマンス傾向の確認に便利です。アプリケーション・パフォーマンスが低下すると、メトリック値は上昇します。

レスポンス時間は、コードやアプリケーション構成の効率性、サーバーのCPUおよびメモリーの容量、エンドユーザーの動作、データ量などの要因に影響されるため、アクションを実行する前に、まずレスポンス時間の低下の根本原因を特定する必要があります。詳細は、Siebelパフォーマンス・チューニング・ガイドを参照してください。

このメトリックは、サーバー・コンポーネントのメトリックとは対照的に、SARMデータから算出します。平均レスポンス時間 = 全リクエストの合計レスポンス時間/測定期間中のリクエストの合計数

メモリー使用量

メモリー使用量は、コンポーネントの実行中のタスクによって消費される合計メモリー量を測定します。このメトリックは主に情報提供を目的とするもので、特にメモリー関連の問題を診断する際に使用します。メモリー使用量が増加し続ける場合、メモリー・リークの可能性があります。

すべてのコンポーネント・プロセスのメモリー消費は、オペレーティング・システムから取得されます。

リクエスト数

このメトリックは、Siebelサーバーの起動後にコンポーネントに対して発行されるリクエストの合計数を示します。このメトリックは、その他の概要メトリックを算出する際の基準として使用されます。

この値は情報提供を目的とするもので、長期傾向で使用してコンポーネントの使用状況を分析できます。リクエスト数が上昇傾向にある場合、コンポーネントの使用率が増加していることを表します。チューニングまたは容量の調整が必要になる場合があります。

「リクエスト数」の値は、Siebelサーバーに問い合せることでサンプリング期間ごとに更新されます。

ステータス

このメトリックは、コンポーネントの現在のステータスを示します。コンポーネントの可用性のバイナリ表現です(1: 使用可能、0: 停止)。コンポーネントが予期せず停止または使用不可になった場合、コンポーネントを再起動するか、またはSiebelサーバー・マネージャを使用してコンポーネントを使用可能にする必要があります。また、コンポーネントのログ・ファイルを確認して、コンポーネントが動作しない原因を調べます。

このメトリックの値は、サンプリング期間ごとに更新されます。

合計CPU時間

このメトリックは、コンポーネントの起動後にそのコンポーネントについて完了したすべてのタスクで使用されるCPUの集計時間を示します。このメトリックは、情報提供のみを目的としています。ほとんどの場合、現在のCPU消費とCPU消費の傾向は情報提供を目的とします。これらは、「CPU使用率」メトリックで確認できます。

このメトリックは、Siebelサーバーから収集されます。

合計レスポンス時間

このメトリックは、コンポーネントの合計レスポンス時間を示します。

このメトリックは、srvrmgr統計から導出されます。

プロセスID

Siebelサーバーは、Siebelサーバー上で動作している各Siebelサーバー・コンポーネントの状態を監視および制御するシステム・サービスとして実行されます。各Siebelサーバーは、現在のSiebel Enterpriseサーバー内のSiebelサーバー・システム・サービスをインスタンス化したものです。Siebelサーバーは、Windows環境ではWindowsサービスとして、UNIX環境ではデーモン・プロセスとして実行されます。Siebelサーバーに関連付けられているシステム・プロセスは、Windowsではsiebsvc.exe、UNIXではsiebsvcです。実行中の各Siebelサーバーには、対応するSiebelサーバー・システム・プロセスがあります。これは、プロセスIDと呼ばれます。

このメトリックは、siebsvcおよびsiebsvc.exeの統計から導出されます。

Siebelコンポーネント・グループ・ターゲットのメトリック

表9–2に、Siebelコンポーネント・グループ・ターゲットのメトリックに関する詳細を示します。

表9-2 Siebelコンポーネント・グループ・ターゲットのメトリック

メトリック 説明およびユーザー・アクション データ・ソース

開始時間

このメトリックは、コンポーネントの開始時間を示します。このメトリックは情報提供を目的とするもので、診断時に使用してコンポーネントの開始時間を確認します。

このメトリックは、サンプリング期間ごとにSiebelサーバーから収集されます。一般的に、コンポーネントを再起動しないと変わりません。

ステータス

このメトリックは、コンポーネントの現在のステータスを示します。「実行中」、「オンライン」、「停止」など、状態の文字列表現です。コンポーネントが予期せず停止または使用不可になった場合、コンポーネントを再起動するか、またはSiebelサーバー・マネージャを使用してコンポーネントを使用可能にする必要があります。また、コンポーネントのログ・ファイルを確認して、コンポーネントが動作しない原因を調べます。

このメトリックの値は、サンプリング期間ごとに更新され、srvrmgrを使用して取得されます。

Siebelゲートウェイ・ターゲットのメトリック

表9–3に、Siebelゲートウェイ・ターゲットのメトリックに関する詳細を示します。

表9-3 Siebelゲートウェイ・ターゲットのメトリック

メトリック 説明およびユーザー・アクション データ・ソース

レスポンス

このメトリックは、Siebelゲートウェイのレスポンス時間を示します。

srvrmgrを使用して取得されます。

ステータス

このメトリックは、Siebelゲートウェイ・ターゲットの現在のステータスを示します。

srvrmgrを使用して取得されます。

Siebelサーバー・ターゲットのメトリック

表9–4に、Siebelサーバー・ターゲットのメトリックに関する詳細を示します。

表9-4 Siebelサーバー・ターゲットのメトリック

メトリック 説明およびユーザー・アクション データ・ソース

ファイルシステム使用状況(%)

このメトリックは、選択したファイル・システムに使用されるディスク領域の割合を示します。対象となるファイル・システムは、Siebelインストール・ディレクトリ、Siebelログ・ディレクトリ、およびSiebelサーバー間でのドキュメントの共有に使用されるSiebelファイル・システムです。いずれかのファイル・システムが枯渇寸前の場合(95%に達した場合など)、管理者は各ファイル・システムのクリーン・アップやディスク領域の追加を検討する必要があります。

ファイル・システムの監視

ファイルシステム使用状況(KB)

このメトリックは、選択したファイル・システムに使用されるディスク領域の絶対量を示します。対象となるファイル・システムは、Siebelインストール・ディレクトリ、Siebelログ・ディレクトリ、およびSiebelサーバー間でのドキュメントの共有に使用されるSiebelファイル・システムです。

ファイル・システムの監視

Object Managerセッションの平均接続時間(秒)

オブジェクト・マネージャとの双方向セッションを確立する際に、オブジェクト・マネージャは、認証、初期化および必要なリソースの割当てなど多くのタスクを実行する必要があります。オブジェクト・マネージャがこれらのアクティビティをすべて実行するために要する時間が接続時間です。オブジェクト・マネージャ・セッションの平均接続時間は、コンポーネントが起動してから特定のオブジェクト・マネージャへの接続を確立するまでに要する平均時間です。Siebelサーバー内で実行中のすべてのアクティブなオブジェクト・マネージャのメトリックが、Siebelサーバー・レベルに集計され、このメトリックが提供されます。このメトリックは、主に接続パフォーマンスの超過を評価する際に役立ちます。

平均接続時間 = 合計接続時間/接続の合計数

各オブジェクト・マネージャ・セッションの平均リクエスト数

ユーザーは、レコードの問合せ、レコードの更新、ボタンのクリックなどの複数のアクションを実行して、単一セッションでコマンドを発行できます。各アクションは、ユーザーのブラウザからオブジェクト・マネージャに送信される1つ以上のリクエストに相当します。各オブジェクト・マネージャ・セッションの平均リクエスト数は、Siebelエンタープライズの起動後に記録されたすべてのオブジェクト・マネージャ・セッションでオブジェクト・マネージャに送信されたリクエスト数の平均です。Siebelサーバー内で実行中のすべてのアクティブなオブジェクト・マネージャのメトリックが、Siebelサーバー・レベルに集計され、このメトリックが提供されます。

このメトリックは、情報提供のみを目的としています。このメトリックを使用してユーザーの使用パターンを追跡し、1つのセッションで生成される処理負荷量を確認できます。この情報は、特に長期間で役立ちます。このメトリックの長期傾向と、オブジェクト・マネージャの合計セッション数を組み合せると、時間の経過に伴う処理負荷の増加または減少を確認できます。この情報は、キャパシティ・プランニングの決定にも使用できます。

各オブジェクト・マネージャの平均リクエスト数 = 全オブジェクト・マネージャ・セッションの合計リクエスト数/オブジェクト・マネージャのセッション数

Object Managerの平均レスポンス時間(ミリ秒)

このメトリックは、オブジェクト・マネージャに送信されたリクエストの処理に要する平均時間を示します。双方向性ユーザー・セッションの応答性に対応します。Siebelサーバー内で実行中のすべてのアクティブなオブジェクト・マネージャのメトリックが、Siebelサーバー・レベルに集計され、このメトリックが提供されます。

このメトリックは、主に長期のパフォーマンス傾向と容量計画を確立する場合に役立ちます。アプリケーション・パフォーマンスが低下すると、メトリック値は上昇します。レスポンス時間は、コードやアプリケーション構成の効率性、サーバーのCPUおよびメモリーの容量、エンドユーザーの動作、データ量などの要因に影響されるため、アクションを実行する前に、まずレスポンス時間の低下の根本原因を特定する必要があります。詳細は、Siebelパフォーマンス・チューニング・ガイドを参照してください。

オブジェクト・マネージャの平均レスポンス時間 = このサーバーの全オブジェクト・マネージャ・セッションにおける全リクエストのオブジェクト・マネージャの合計レスポンス時間/全オブジェクト・マネージャ・セッションのリクエストの合計数

応答メッセージの平均サイズ(バイト)

このメトリックは、オブジェクト・マネージャへのユーザー発行リクエストから送信されたレスポンスのサイズを示します。サイズが大きい場合、大量のデータが渡されていることを示します。Siebelサーバー内で実行中のすべてのアクティブなオブジェクト・マネージャのメトリックが、Siebelサーバー・レベルに集計され、このメトリックが提供されます。

このメトリックの目的は、長期間でのパフォーマンス傾向を記録することです。このメトリックが上昇傾向にある場合、渡されるデータが増加していることを示します。この状況は、データ量の増加、多くのデータを戻すユーザー発行の問合せ、アプリケーション構成の変更などの要因で発生する可能性があります。この傾向に対処するには、問題の根本原因を特定する必要があります。

このメトリックを算出するには、サーバー起動後の全リクエストから送信されたすべての応答メッセージの合計サイズをリクエスト数で除算します。

リクエスト・メッセージの平均サイズ(バイト)

このメトリックは、オブジェクト・マネージャへのユーザー発行リクエストに対するリクエストのサイズを示します。サイズが大きいほど、リクエストの発行時に渡されるデータが多いことを示します。Siebelサーバー内で実行中のすべてのアクティブなオブジェクト・マネージャのメトリックが、Siebelサーバー・レベルに集計され、このメトリックが提供されます。

このメトリックの主な目的は、長期間でのパフォーマンス傾向を記録することです。このメトリックが上昇傾向にある場合、渡されるデータが増加していることを示します。この状況は、アプリケーション構成の変更などの要因で発生する可能性があります。この傾向に対処するには、根本的な原因を特定する必要があります。詳細は、Siebelパフォーマンス・チューニング・ガイドを参照してください。

このメトリックを算出するには、サーバー起動後の全リクエストのすべてのリクエスト・メッセージの合計サイズをリクエスト数で除算します。

SQL実行操作の平均時間(秒)

このメトリックは、SQL文の解析後にデータベースがSQL文の処理に要する平均時間を示します。メトリックは、EIMなどの古いSiebelコンポーネントにのみ適用でき、オブジェクト・マネージャのリクエストの処理に要する時間は示されません。Siebelサーバー内で実行中のすべてのアクティブなオブジェクト・マネージャのメトリックが、Siebelサーバー・レベルに集計され、このメトリックが提供されます。

このメトリックの主な目的は、長期間でのパフォーマンス傾向を記録することです。このメトリックの値が時間の経過とともに増える場合、より複雑な操作を含むSQL文が実行されているか、リクエストの処理でデータベースの効率が悪くなっていることを示しています。これらはアプリケーションに対する変更、データ量の増加またはデータベースのチューニングの変更が原因である可能性があります。この傾向に対処するには、根本的な原因を特定する必要があります。詳細は、Siebelパフォーマンス・チューニング・ガイドを参照してください。

このメトリックを算出するには、サーバー起動後の全リクエストのSQL実行の合計時間をリクエスト数で除算します。

SQLフェッチ操作の平均時間

このメトリックは、SQL文の解析後にデータベースがSQL文によってレコードをフェッチするために要する平均時間を示します。メトリックは、EIMなどの古いSiebelコンポーネントにのみ適用でき、オブジェクト・マネージャのリクエストの処理に要する時間は示されません。Siebelサーバー内で実行中のすべてのアクティブなオブジェクト・マネージャのメトリックが、Siebelサーバー・レベルに集計され、このメトリックが提供されます。

このメトリックの主な目的は、長期間でのパフォーマンス傾向を記録することです。このメトリックの値が時間の経過とともに増える場合、より複雑な操作を含むSQL文が実行されているか、リクエストの処理でデータベースの効率が悪くなっていることを示しています。これらはアプリケーションに対する変更、データ量の増加またはデータベースのチューニングの変更が原因である可能性があります。この傾向に対処するには、根本的な原因を特定する必要があります。詳細は、Siebelパフォーマンス・チューニング・ガイドを参照してください。

このメトリックを算出するには、サーバー起動後の全リクエストのSQL実行の合計時間をリクエスト数で除算します。

SQL解析操作の平均時間(秒)

このメトリックは、データベースに渡されるSQL文の解析にデータベースが要する平均時間を示します。メトリックは、EIMなどの古いSiebelコンポーネントにのみ適用でき、オブジェクト・マネージャのリクエストの処理に要する時間は示されません。

このメトリックの主な目的は、長期間でのパフォーマンス傾向を記録することです。このメトリックの値が時間の経過とともに増える場合、SQL文の複雑さが増していることを示します。SiebelではすべてのSQL文が動的に生成されるため、基礎となるSiebel製品への変更、ビジネス・コンポーネントの複雑さへの変更、定義した問合せの仕様が原因でこの変化が生じる可能性があります。この傾向に対処するには、根本的な原因を特定する必要があります。詳細は、Siebelパフォーマンス・チューニング・ガイドを参照してください。

このメトリックを算出するには、Siebelサーバー起動後の該当コンポーネントの全リクエストのSQL文を解析する合計時間をリクエスト数で除算します。

CPU使用率

このメトリックは、このSiebelコンポーネントで消費されるCPU時間を示します。このメトリックの主な目的は、長期間でのパフォーマンス傾向を記録することです。このメトリックの値が時間の経過とともに増える場合、このコンポーネントのアプリケーション・サーバーで発生する集中処理が増加していることを示します。この変化は、アプリケーション構成の変更や基盤となるSiebelソフトウェアの変更が原因で生じる可能性があります。この傾向に対処するには、根本的な原因を特定する必要があります。詳細は、Siebelパフォーマンス・チューニング・ガイドを参照してください。

このメトリックを算出するには、Siebelサーバー起動後の該当コンポーネントの全コンポーネント・タスクのCPU時間を加算します。

ファイルシステム空き領域(KB)

このメトリックは、選択したファイル・システムで現在使用可能な空きディスク領域の絶対量を示します。対象となるファイル・システムは、Siebelインストール・ディレクトリ、Siebelログ・ディレクトリ、およびSiebelサーバー間でのドキュメントの共有に使用されるSiebelファイル・システムです。空きディスク領域の絶対量が非常に少なくなると(500MB未満など)、ファイル・システムがすぐに一杯になる危険性があります。これは、Siebelサーバーの可用性に影響します。この値が低くなりすぎる場合は、ファイル・システムをクリアするか、ディスク領域を追加する必要があります。

ファイル・システムの監視

メモリー使用量

メモリー使用量は、Siebelサーバーの一部として実行されているプロセスで消費されるメモリーの合計量を測定したものです。このメトリックは主に情報提供を目的とするもので、特にメモリー関連の問題を診断する際に使用します。メモリー使用量が増加し続ける場合、メモリー・リークの可能性があります。

すべてのSiebelサーバー・プロセスのメモリー消費は、オペレーティング・システムから取得されます。

コンポーネント・プロセスの失敗数

このメトリックは、エラーが発生したコンポーネント・タスクの数を表します。コンポーネント・タスクのエラー発生には、操作対象の適切なビジネス・データが存在しないことからソフトウェアでの不具合まで、様々な理由があります。このような失敗の数が大幅に増加する場合、決定的ななんらかの不具合があるため、調査する必要があります。アラート・ログおよびSiebelサーバー・マネージャを確認して、エラーが発生したタスクを見つけることから始めます。

エラーが発生したコンポーネント・タスクは計算されます。

コンポーネント・プロセスの再起動数

このメトリックは、エラーが発生したコンポーネント・タスクの数を表します。コンポーネント・タスクのエラー発生には、操作対象の適切なビジネス・データが存在しないことからソフトウェアでの不具合まで、様々な理由があります。このような失敗の数が大幅に増加する場合、決定的ななんらかの不具合があるため、調査する必要があります。アラート・ログおよびSiebelサーバー・マネージャを確認して、エラーが発生したタスクを見つけることから始めます。

エラーが発生したコンポーネント・タスクは計算されます。

DB接続損失による再試行数

データベースとの接続が失われると、Siebelサーバーは停止して問題をレポートする前に操作を再試行します。このメトリックは、再試行の回数を示します。再試行の回数が大幅に増加する場合、データベースまたはネットワークに問題があることを示します。管理者はこれらのコンポーネントを調査して、データベースに接続できない原因を確認する必要があります。

使用不可

デッドロックのロールバックによる再試行数

データベースとの接続が失われると、Siebelサーバーは停止して問題をレポートする前に操作を再試行します。このメトリックは、再試行の回数を記録します。再試行の回数が大幅に増加する場合、データベースまたはネットワークに問題があることを示します。管理者はこれらのコンポーネントを調査して、データベースに接続できない原因を確認する必要があります。

使用不可

すべての再試行数を消費した回数

このメトリックは、失敗した再試行の回数、つまりSiebelサーバーがデータベースとの通信試行を中止する回数を示します。Siebelサーバーがデータベースと通信できない原因を見つけるには、データベース管理者に連絡する必要があります。

使用不可

開始時間

このメトリックは、Siebelサーバーの開始時間を示します。

実行中のSiebelサーバーからsrvrmgrによって取得されます。

ステータス

このメトリックは、Siebelサーバーの現在のステータス(使用可能または停止)を示します。Siebelサーバーのステータスが使用不可を示す場合、管理者はその問題の原因を確認して、Siebelサーバーの再起動を試みる必要があります。

Siebelサーバーのステータスは、srvrmgrコマンドライン・ユーティリティを実行することで決定します。

使用可能なディスク領域(KB)

このメトリックは、選択したファイル・システムで使用可能なディスク領域の絶対量を示します。対象となるファイル・システムは、Siebelインストール・ディレクトリ、Siebelログ・ディレクトリ、およびSiebelサーバー間でのドキュメントの共有に使用されるSiebelファイル・システムです。

ファイル・システムの監視

コンポーネント・タスクの合計CPU時間(秒)

コンポーネント・タスクの合計CPU時間(秒単位)。

使用不可

レベル0と1のエラーの合計数

このメトリックは、Siebelサーバーでの致命的エラーおよび定期的エラーの数を表します。Siebelサーバーでは、常に少数のエラーがあります。ただし、この数が上昇傾向にある場合、管理者はアラート・ログとエラー・ログを確認する必要があります。

使用不可

ログ追跡メトリック

このメトリックは、ミドルウェア関連のログ・ファイルに特定のパターンが見つかった場合、オンコールの管理者へのアラート通知の送信に使用します。

使用不可

Siebelワークフロー・ターゲットのメトリック

表9–5に、Siebelワークフロー・ターゲットのメトリックに関する詳細を示します。

表9-5 Siebelワークフロー・ターゲットのメトリック

メトリック 説明

過去1時間に完了したプロセス・インスタンスの合計数

このメトリックは、過去1時間に完了したワークフロー・プロセス・インスタンスの合計数を示します。収集頻度は15分ごとです。

待機状態にあるワークフロー・ポリシー・インスタンスの合計数

このメトリックは、キュー内で待機しているワークフロー・ポリシー・インスタンスの合計数を示します。収集頻度は15分ごとです。

待機状態にあるワークフロー・プロセス・インスタンスの合計数

このメトリックは、キュー内で待機しているワークフロー・プロセス・インスタンスの合計数を示します。収集頻度は15分ごとです。

失敗状態にある監視対象プロセス・インスタンスの数

このメトリックは、失敗したワークフロー・プロセス・インスタンスの数を示します。収集頻度は15分ごとです。

待機状態にある監視対象プロセス・インスタンスの数

このメトリックは、キュー内で待機しているワークフロー・プロセス・インスタンスの合計数を示します。収集頻度は15分ごとです。