1 IBM DB2 Databaseプラグインの概要および前提条件

この章では、IBM DB2 Database用のシステム監視プラグインについて説明し、使用可能な機能のリストを示します。Enterprise Manager Cloud Controlによる監視のためにIBM DB2 Databaseを構成する前に、必要な前提条件のサマリーを参照してください。

この項の内容は次のとおりです。

IBM DB2 Databaseプラグインの概要と機能のサマリー

System Monitoring Plug-in for IBM DB2 Databaseは、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを拡張して、Linux、UNIXおよびWindows (LUW)データベース・インスタンス用のIBM DB2 Universal Database (UDB)を管理できるようにするためのプラグインです。Cloud Control環境にプラグインをデプロイすると、次の管理機能を取得できます。

  • DB2 Databaseインスタンスの監視。

  • DB2データベース・インスタンスの構成データの収集および構成の変更の追跡。

  • 監視ターゲットおよび構成データに設定されたしきい値に基づくアラートおよび違反の表示。

  • 収集データに基づいた豊富なレポートの提供。

  • リモート・エージェントによる監視のサポート。ローカル・エージェントは、DB2データベースと同じホストで稼働するエージェントです。リモート・エージェントは、DB2データベースが稼働するホストとは異なるホストで稼働するエージェントです。

  • IBM DB2 DatabaseのCPU時間と実行数を含む最上位SQL文とそれらに関連する統計を収集および表示します。

  • IBM DB2の表別の最上位待機数および最上位待機時間を含む最上位ロック待機イベントに関する情報を収集および表示します。

  • IBM DB2 Databaseを起動および停止するためのCloud Controlジョブの使用率。これらのジョブは、Cloud Controlジョブ・ライブラリからのみでなく、IBM DB2プラグインのUIのホームページからもアクセスできます。

  • 使いやすいチャートや表の形式で重要なIBM DB2 Databaseのメトリックを公開します。

このリリースでの新機能

Oracle Enterprise Cloud Control 13c用のIBM DB2 Databaseプラグインのこのリリースには、IBM DB2環境の可視性を高めるための数多くの新機能が含まれています。強調表示された次の機能は、このリリースに含まれる新機能です。

最新状態のサポートの更新

Oracle Enterprise Manager Cloud Control 13cのIBM DB2 Databaseプラグインは、IBM DB2 Databaseの最新リリースで最新のものに更新されました。これには、IBM DB2、9.7、10.0、10.5、11.1および11.5に対して追加されたサポートが含まれます。

IBM DB2の高可用性障害回復(HADR)機能を使用すると、監視メトリックを追加することによって最新状態をサポートできるようになります。

更新されたユーザー・インタフェース

ユーザー・インタフェースが更新され、パフォーマンス・ページが追加され、ホームページに新しいリンクが追加されました。

ホームページ(図1-1)が拡張され、「サマリー」セクションにパフォーマンス・ページへのリンクが追加されました。これにより、プラグイン全体でより効率的なナビゲーションが可能になりました。

図1-1 IBM DB2ターゲットのホームページ


IBM DB2ターゲットのホームページ

まったく新しいパフォーマンス・ページ(図1-2)がプラグインに追加され、選択した期間内で監視対象のIBM DB2のキー・パフォーマンス・インジケータ(KPI)に対する洞察力が高まりました。これには、キャッシュと接続のKPI、記憶域とI/OのKPI、およびSQL実行のKPIが含まれます。

図1-2 IBM DB2のパフォーマンス・ページ


IBM DB2のパフォーマンス・ページ

IBM DB2の即時利用可能なモニタリング・テンプレート

このリリースでは、3つの即時利用可能なモニタリング・テンプレート(図1-3)が追加され、IBM DB2 Databaseの構成が簡素化されました。これには、必要に応じて使用できる基本、I/Oおよびロック・モニタリング・テンプレートが含まれます。

図1-3 IBM DB2プラグインのモニタリング・テンプレート


IBM DB2のプラグイン・モニタリング・テンプレート

IBM DB2メトリックのしきい値

また、このリリースでは、追加のメトリックしきい値(図1-4)を有効にして、IBM DB2 Databaseのユーザー制御を改善できます。これには、エージェント監視、データベース監視、待機ロック、データベース・ヘルス・メトリック、およびその他多くのしきい値が含まれます。

図1-4 IBM DB2プラグイン・メトリックのしきい値


IBM DB2プラグイン・メトリックのしきい値

Business Intelligence Publisherレポート

このリリースでは、IBM DB2プラグインの以前のリリースに含まれるInformation Publisherレポートは、BI Publisherレポートに移行されました。BI Publisherレポートにより、複雑さが解消され、レポートの開発およびメンテナンスが簡略化されます。

これらのレポートの使用方法の詳細は、「IBM DB2 Databaseプラグインのメトリックおよびレポート」を参照してください。

サポートされるプラットフォーム

プラグインでは、IBM DB2 Universal Databaseのインストールが可能なすべてのプラットフォームでIBM DB2 Universal Database (LUW)の監視をサポートします。

サポートされているバージョン

IBM DB2 Databaseプラグインでは、次のバージョンの製品がサポートされます。

  • Enterprise Manager Cloud Control 13c:

    • このプラグインは、Oracle Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース5 (13.1.0.1)以上(Oracle Management Server (OMS)およびOracle Management Agent)の最新のリリースで動作保証されています。

  • Linux、UNIXおよびWindows (LUW)用の単一のパーティションのIBM DB2 Universal Database (UDB)のバージョン9.1、9.5、9.7、10.1および10.5。

  • 高可用性災害時リカバリ(HADR)用に構成されたIBM DB2。

IBM DB2 Databaseプラグインの前提条件

プラグインを使用する前に、次の前提条件を満たす必要があります。

  1. 次のソフトウェアをインストールします。
    • Enterprise Manager Cloud Control 13c (13.1.0.1)以上(Oracle Management ServiceおよびOracle Management Agent)。

    • My Oracle Support (https://support.oracle.com)から入手できるインベントリおよび使用状況パッチ(20692416)をインストールします。

    • IBM DB2 Universal JDBC Type 4ドライバfor IBM DB2 Database (「JDBCドライバの設定」を参照)

    • IBM DB2 Universal Database

  2. IBM DB2で使用されるテーブル・ファンクションにアクセスするための適切なオペレーティング・システム・ユーザーを作成します。ユーザーの作成の詳細は、「適切なオペレーティング・システム・ユーザーの使用と認可レベルおよび権限の割当て」を参照してください。
  3. データベースの監視メトリックのメトリック収集エラーを回避するために、表STMG_DBSIZE_INFOを作成します。詳細は、「データベースの監視メトリックのメトリック・コレクション・エラーを回避するために必要な構成」を参照してください。
  4. IBM DB2の診断ログ・ファイル(db2diag.log)を使用してアラートを生成するよう管理エージェントを構成するには、次のようにします。
    • $ORACLE_HOME/sysman/admin/scripts/emx/ibm_db2_database/にあるDiag_log_file_match_pattern_file.txtファイルに一致パターンを定義します。

    • $ORACLE_HOME/plugins/oracle.em.sidb/scripts/emx/ibm_db2_database/にあるDiag_log_file_no_match_pattern_file.txtファイルに無視パターンを定義します。

    • 監視するIBM DB2データベースに対応するデータベース・マネージャ(インスタンス)のDIAG_PATH構成パラメータを設定します。

    • パフォーマンス上の理由から、このメトリックが有効になっている場合は、診断ログ・ファイルの最大サイズである100 MBに設定する必要があります。次のコマンドを使用して最大ファイル・サイズを設定できます。

      db2 update dbm cfg using diagsize 100

    2つのファイルに定義したパターンに基づいて、IBM DB2のSystem Monitoring Plug-inは診断ログ・ファイルを解析し、条件を満たす場合にアラートを生成します。まず、プラグインは、パターンが定義されているかどうかを確認するため、2つのファイルを検証します。パターンが定義されていないと、プラグインは診断ログ・ファイルを解析しません。一致パターンが定義されていないが無視パターンは定義されている場合、プラグインは診断ログ・ファイルのすべてのエントリを解析して、無視パターンと合致するかどうかをチェックします。一致パターンも定義されている場合は、プラグインは、まず一致パターンに合致するエントリのみ解析し、次に合致したエントリに対して、無視パターンが合致するかどうかをチェックします。

    また、収集内に同じファンクション名の複数のログ・エントリがある場合、ファンクション名を示すアラートが1つのみ生成されます。このアラートは、診断ログ・ファイルにある共通ファンクション名を含む最後のログ・エントリに基づきます。

    ノート:

    この機能はローカル監視についてのみサポートされています。ローカル監視では、IBM DB2データベースと同じホストで稼働するOracle Management AgentによってDB2データベースが監視されます。

  5. IBM DB2 DatabaseのSQL文のパフォーマンス、IBM DB2 Databaseのアプリケーション・ロック・パフォーマンスのレポート、およびエージェントの監視メトリックで、アプリケーション名とともにSQL文のテキストを表示するには、インスタンス構成パラメータDFT_MON_STMTを有効にします。そうしないと、列にデータが表示されません。
  6. JDBC URLの一部として、IPアドレスもホスト名も使用できます。ホスト名がネットワークで一貫して解決されることを確認します。nslookupやtracerouteなどの標準TCPツールを使用してホスト名を検証できます。プラグインをデプロイする管理エージェントで次のコマンドを使用して検証します。
    • nslookup <host name>

      IPアドレスと完全修飾ホスト名が返されます。

    • nslookup <IP>

      IPアドレスと完全修飾ホスト名が返されます。

JDBCドライバの設定

JDBCドライバはIBMから入手可能です。JDBCドライバは次のファイルで構成されており、エージェントからこれらのファイルへのアクセスを可能にする必要があります。

  • db2jcc.jar

  • db2jcc_license_cu.jar

IBM DB2 Universal Type 4 JDBCドライバにAGENT_BASE_DIRディレクトリを設定するには:

  1. 存在しない場合は、ディレクトリ$AGENT_BASE_DIR/plugins/dependencies/oracle.em.sidb/jdbcdriver/を作成します。
  2. 3つのJDBCドライバ・ファイルをディレクトリ$AGENT_BASE_DIR/plugins/dependencies/oracle.em.sidb/jdbcdriver/にコピーします。

ノート:

アクセス権を持っていないか、db2jcc.jarドライバを見つけられない場合は、IBMのサポート・サイトからコピーをダウンロードできます。

http://www-01.ibm.com/support/docview.wss?uid=swg21363866

プラグインのデプロイ

Enterprise Manager Cloud Controlコンソールを使用して、またはEnterprise Manager Command-Line Interface (EMCLI)を使用して、プラグインをOracle Management Serviceインスタンスにデプロイできます。コンソールでは一度に1つのプラグインをデプロイできますが、コマンドライン・インタフェース・モードでは一度に複数のプラグインをデプロイでき、デプロイメント時間と、該当する場合は停止時間が短くなります。

プラグインのデプロイの手順については、Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイドプラグインの管理の章を参照してください。

プラグインのアップグレード

自己更新機能は、新規または更新機能が使用可能になるたびに、Enterprise Managerコンポーネントを更新してEnterprise Managerの機能を拡張できます。更新プラグインはEnterprise Managerストアから使用でき、この外部サイトは、ダウンロード可能な更新についての情報を得るためにEnterprise Manager Cloud Controlによって定期的にチェックされます。プラグインを更新するステップは、Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイドCloud Controlの更新の章を参照してください。

プラグインのアンデプロイ

プラグインをアンデプロイするステップは、Oracle Enterprise Manager Cloud Control管理者ガイドプラグインの管理の章を参照してください。