OLAPとマルチディメンショナル・データベース

データ・セットのマルチディメンショナル・ビューにより、データ・カテゴリ間の関係を分析でき、財務、販売および小売、マーケティング、製造、CRM、人事、事業運営、ITなどの無限のアプリケーションを使用できます。Essbaseの計算およびタイム・インテリジェンス機能により、柔軟なデータ・モデリングおよび分析に最適な選択肢となります。

財務部門では、予算計画、活動基準原価計算(配賦)、財務実績分析、財務モデリングなどの用途にOLAPを使用します。販売部門では、売上の分析と予測にOLAPを使用します。マーケティング部門では、市場調査分析、販売予測、プロモーション分析、顧客分析および市場/顧客セグメンテーションにOLAPを使用します。一般的な製造部門でのOLAPの用途には、生産計画や欠陥分析などがあります。

これらの用途のいずれにおいても、組織の戦略的方向性に関する効果的な意思決定のためにマネージャが必要とする情報を提供できることが重要です。適切にOLAPアプリケーションを使用することで、必要な情報が得られます。つまり、効果的な意思決定のためにジャストインタイムの情報が提供されます。

このような情報を提供するためには、基本レベル以上の詳細データが必要です。ジャストインタイムの情報は、通常、複雑な関係を反映した計算データであり、多くの場合オンザフライで計算されます。複雑な関係の分析とモデリングは、応答時間が一貫して短い場合にのみ実用的です。また、データ関係の性質が事前にわかっているとは限らないため、データ・モデルは柔軟である必要があります。データ・モデルが真に柔軟であると、OLAPシステムは効果的な意思決定のために変化の激しいビジネス要件に必要に応じて対応できるようになります。

OLAPアプリケーションは、多岐にわたる職務分野で広く利用されていますが、すべての分野で次の主要機能が必要です。

  • データのマルチディメンショナル・ビュー

  • 計算集約機能

  • タイム・インテリジェンス

OLAPシステムで鍵となるのは、マルチディメンショナル・データベースです。これは、データを集計および計算するだけでなく、様々なデータ・サブセットを取得して計算することもできます。マルチディメンショナル・データベースでは、データ・カテゴリ間の関係を分析する必要があるユーザーのために、データ・セットの複数のビューがサポートされています。たとえば、マーケティング・アナリストは次の質問を尋ねることができます。

  • 製品Aの先月の売上はどのくらいか。この数字は過去5年間の同月の売上と比べてどうか。支店、地域、テリトリごとの製品の売上はどのくらいか。

  • この製品は特定の地域でよりよく売れるか。地域によるトレンドはあるか。

  • 去年は顧客から製品Aの返品があったか。返品の理由は製品の不具合か。その製品は特定の工場で製造されたものか。

  • コミッションおよび価格設定は、販売担当者の製品販売方法に影響を与えたか。売上を伸ばした販売担当者はいるか。

マルチディメンショナル・データベースでは、データ・ビューの数がデータベース・アウトライン(データベースのすべての要素を定義する構造)によってのみ制限されます。ユーザーは、データをピボットして異なるビューポイントから情報を参照したり、ドリルダウンしてさらに詳細な情報を探したり、ドリルアップして概要を参照することができます。