パーティションの設計要件

この項の情報を利用して、慎重にEssbaseパーティションを設計してから、パーティションを実装してください。

パーティション化の利点

Essbaseキューブをパーティション化すると、データの同期とナビゲーションの利点がさらに得られます。

  • ブロック・ストレージ・データベースの場合、パーティションは複数のデータベースにわたるデータ同期を提供します。

    Essbaseによってパーティション内のデータ値に加えられた変更が追跡され、関連パーティション内のデータ値を更新するためのツールが提供されます。

  • パーティションを使用すると、ユーザーはディメンションが異なるデータベース間を移動できます。

    ユーザーは、新しいデータベースにドリルすることで、より詳細なデータにドリルダウンできます。

パーティション化の戦略

ユーザー要件に基づいて、トップダウン、ボトムアップまたはデータベースの属性に基づくEssbaseキューブのパーティション化戦略を選択します。

トップダウン方式によるアプリケーションのパーティション化。

トップダウンのパーティション化を使用して、複数のプロセッサ、サーバーまたはコンピュータにデータベースを分割することにより、データベースの拡張性、信頼性およびパフォーマンスを改善できます。トップダウンのパーティション化で最適な結果を実現するには、パーティション・データベースごとに別々のアプリケーションを作成します。

ボトム・アップ方式によるアプリケーションのパーティション化。

ボトムアップのパーティション化を使用して、関連する複数のデータベース間のデータ・フローを管理することにより、データベース内のデータの品質とアクセスを改善できます。

属性に基づいたアプリケーションのパーティション化。

基本ディメンションに関連付けられる属性値に従った、データベースのパーティション化(基本ディメンションは、1つ以上の属性ディメンションに関連付けられる標準のディメンションです)。

この戦略を使用すると、ディメンションの特性(種類やサイズなど)に基づいてデータを抽出できます。

ノート:

属性ディメンションはパーティション化できません。「Essbaseパーティションの属性」を参照してください。

データベースのパーティション化の決定要素

データの使用および更新が場所または組織単位による区分化によって改善される場合は、Essbaseデータベースにパーティション(複製または透過)を実装することを検討してください。

  • 次の場合に、複製パーティションまたは透過パーティションを実装することを検討してください:

    • データを使用者により近い場所に置く必要があります。

    • 単一の障害が重大な結果につながる状況です。

    • 新規データをロードした後の計算の実行にかかる時間が長すぎ、複数のプロセッサまたはコンピュータに計算を分散して、パフォーマンスを改善する必要があります。

    • 異なるアプリケーション・コンテキストのデータをユーザーが参照できるようにし、かつ、ユーザーがデータベース間をナビゲートする方法を制御する必要があります。

    • 様々なソースの情報を同期する必要があります。

    • 新しい組織単位を追加し、それら独自のデータベースを持つメリットが生かされるようにする予定です。

    • 他のユーザーがデータベースにアクセスしているときに、ユーザーが待機することを強いられています。

    • ユーザーにリモート・ロケーションに保管されているデータへのアクセスを許可して、ディスク・スペースを節約する必要があります。

    • データを複製していくつかの場所に置くことで、ネットワーク・トラフィックを減らす必要があります。

    • データベース・アウトラインの制御を集中管理する必要があります。

  • データベースをパーティション化しないことが望ましい場合:

    • ディスク・スペース、ネットワーク帯域幅および管理リソースについて懸念があります。

    • 部門レベルの予算額を総額から導出する、複雑な配分法を適用しています。

    • すべてのデータベースを常時オンラインにしておく必要があります。

      複数のタイム・ゾーンにデータベースがあると、ユーザー負荷がピークになる時間帯がタイム・ゾーンによって異なる可能性があるため、データベースを常にオンラインにすることが困難になる場合があります。リンク・パーティションや透過パーティションを使用すると、この問題は悪化しますが、複製パーティションを使用すると役立つことがあります。

    • データベースによって、使用言語やUnicode関連モードが異なっています。

      Essbaseでは、各データベースが同じ言語を使用している場合、または各データベースが同じUnicodeモードまたは非Unicodeモードを使用している場合にかぎり、データベースをパーティション化できます。

データのパーティション化に関する考慮事項

パーティション化されたEssbaseデータベース戦略を設計する場合は、各パーティションに含めるデータの決定に役立つデータ使用要件について質問してください。

  • どのデータベースをデータソースまたはデータ・ターゲットとして使用しますか。データを所有するキューブをソース・キューブに指定してください。データは、このソース・キューブで更新されます。また、ほとんどの詳細データはここに保管されます。

  • データベースの他の部分に比べて頻繁にアクセスされる部分がありますか。

  • サイト間でどのデータを共有できますか。

  • 各場所で、どのくらいの粒度のデータが必要ですか。

  • データはどのくらいの頻度でアクセス、更新または計算されますか。

  • ディスク・スペース、CPUおよびネットワーク・リソースのうち、どのリソースを使用できますか。

  • どのくらいの量のデータをネットワーク経由で転送する必要がありますか。転送時間はどのくらいですか。

  • データは1箇所に保管されていますか。それとも複数の場所に保管されていますか。

  • データには1箇所からアクセスしますか。それとも複数の場所からアクセスしますか。

  • 中央からアクセスする必要がある情報が別々のデータベースに保管されていますか。関連データ・グループはどのくらい緊密ですか。

パーティション・データベースのセキュリティ

Essbaseパーティションにアクセスするユーザーは、複数のキューブに保管されているデータの表示が必要になる場合があります。ユーザーが不適切なデータを表示または変更しないようにセキュリティを設定します。

パーティションのセキュリティを設定するには、

  1. ソース・キューブとターゲット・キューブへのアクセス権をユーザーに付与します。

  2. フィルタを設定して(ソースおよびターゲットのキューブで)、ユーザー・アクセスをパーティション化されたスライスのみに制限します。

    「セキュリティ・フィルタを使用したデータベース・セルへのアクセスの制御」を参照してください。

  3. 複製パーティションを作成する場合、データ・ターゲット側の複製パーティションの変更をユーザーに許可するかどうかを決定します。更新設定(更新を許可するか許可しない)は、ユーザーにデータの更新を許可するユーザー・フィルタを上書きします。

    create replicated partition MaxL文を使用して複製パーティションを作成するときに、update allow文法を指定しない場合、デフォルトでは複製パーティションを更新できません。