フェイルオーバー・クラスタでのEssbaseサーバーの構成

Essbase 11gオンプレミスのデプロイメントでは、アクティブ-パッシブ・フェイルオーバー・ソリューションが一般的です。Essbase 21cへと移行するユーザーは、WebLogicおよびロード・バランサを使用してEssbaseエージェントに対してアクティブ-パッシブ・フェイルオーバー・クラスタを実装することもできます。

Essbaseフェイルオーバーを構成する目的は次のとおりです。
  • Essbaseエージェントに対してフェイルオーバー・モード(またはアクティブ-パッシブ・モード)を設定します。
  • Essbase Webインタフェース、RESTエンドポイントおよびProvider Servicesに対してアクティブ-アクティブ・モードを設定します。これらは常に単一のアクティブなEssbaseノードに接続されます。

アクティブ-パッシブEssbaseクラスタは2つ以上のEssbaseインタフェース(各ノードに1つずつ)で構成されます。これらのインタフェースでは、構成およびデータ用の共通のストレージが共有されます。ストレージは2つ以上のサーバーで共有されるため(たとえば、SANを使用)、管理者はストレージを同期する必要がなく、読取り専用のサポートによる制約もありません。Essbaseでは、書込み時のデータ破損を回避するために、データベース表を使用して、1つのエージェントおよびそのエージェントに関連付けられたサーバーのみをアクティブにします。インストールおよび構成中には、クラスタ内の構成およびアプリケーションのデータに関する情報を保持するために表が作成されます。

Essbase 11gオンプレミスではEssbaseのフェイルオーバーは外部エージェント(OPMN)によって管理されますが、Essbase 21cでは、WebLogicアーキテクチャがEssbaseのフェイルオーバーを一元化されたリクエスト・リース・システムを使用してサポートします。リースを取得したEssbaseインスタンスはアクティブ・ノードになります。他のノードはループ内で待機し、リースの取得を試みます。

インストール・タイプ コンポーネント Essbase 11.1.2.4 Essbase 21c
単一ノード Provider Services
  • Provider Servicesは常にアクティブである単一の管理対象サーバーで実行されます。
  • 障害が発生した場合、当該の管理対象サーバーはWebLogicノート・マネージャによって再起動されます。
11.1.2.4と同様
- Essbaseエージェント
  • Essbase Agentプロセスの単一インスタンス。
  • 障害が発生した場合は、OPMNによって同じノード上でそのエージェントのインスタンスが再起動されます。
  • Essbase Java Agentはアクティブ・ノードと見なされる単一の管理対象ノードで実行されます。
  • 管理対象サーバーで障害が発生した場合は、ノード・マネージャによってその管理対象サーバーが再起動されます。
- Essbaseアプリケーション・サーバー。 Essbaseアプリケーション・サーバーで障害が発生した場合、そのサーバーは次のサーバー・リクエスト時にEssbaseエージェントによって再起動されます。 11.1.2.4と同様。
マルチノード(アクティブ/パッシブ) Provider Services
  • Provider Servicesは、クラスタ内の各ノードとともにデプロイされます。
  • すべての管理対象サーバーは同時に稼働中です。
  • Provider Servicesはノード間のセッションを共有できません。
11.1.2.4と同様。
- Essbaseエージェント
  • フェイルオーバーのみがサポートされ、Essbaseのロード・バランシングはサポートされません。
  • EssbaseのライフライクルはOPMNによって管理されます。
  • OPMN管理対象のアクティブ-パッシブ・ソリューション。
  • 共有のARBORPATH (NFS)またはOPMNによってマウントまたはマウント解除されるブロック・ストレージ。
  • アクティブ・ノードで実行されているEssbaseが到達不可能(OPMNPing)な場合は常に、OPMNはEssbaseを別のノードで再起動します。
  • 新しく起動されたEssbaseインスタンスでは、ホストの詳細情報を使用してリース表が更新されます。
  • 以前のノードで実行されていた既存のEssbaseアプリケーションはアンロードされます。アンロード・プロセスが完了するまで、新しいノードにあるエージェントではこれらのアプリケーションを起動できません。
  • ESSBASEプロセスは別のノードで開始されるため、AGENTLEASEEXPIRATIONTIME秒後、数秒間のダウンタイムが発生する可能性があります。
  • OPMNは、以前のノード(そのノードが有効な場合)でブロック・ストレージのアンマウント・コマンドを実行し、現在のアクティブ・ノードでマウント・コマンドを実行します。
  • フェイルオーバーのみがサポートされ、Essbaseのロード・バランシングはサポートされません。
  • Essbaseのライフ・サイクルはWebLogicによって管理され、すべてのWebLogicインスタンスはノード・マネージャによって管理されます。
  • 自己管理型のアクティブ-パッシブ・ソリューション。
  • 共有のEssbaseアプリケーション・ディレクトリ(以前のARBORPATH) (NFS)+共有のEssbase用の共有リレーショナル・データベース。
  • Essbase Java Agentは、すべてのアクティブ・ノードでProvider Servicesと同じ管理対象サーバーにデプロイされます。Essbase Java Agentのインスタンスではリース・アルゴリズムを使用して、どの時点においても実行されるノードが1つのみになるようにします。Essbase Java Agentはすべてのノードで稼働していますが、処理に利用できるのは1つのみです。残りのEssbase Java Agentインスタンスはスタンバイ・モードのままになり、いずれのEssbaseリクエストもリスニングしません。
  • アクティブ・ノードがリースを更新できない場合は常に、パッシブ・ノードにある別のEssbase Java Agentインスタンスが有効化されます。
  • 新しく起動されたEssbaseが、そのホストの詳細情報を使用してリース表を更新します。
  • 以前のノードで実行されていた既存のEssbaseアプリケーションはアンロードされます。アンロード・プロセスが完了するまで、新しいノードにあるエージェントを処理に使用することはできません。
  • フェイルオーバーが発生すると、Essbase Java AgentインスタンスがAGENTLEASEEXPIRATIONTIME秒後に即時に引き継ぎを行います。
  • Essbase Java Agent (WebLogic内)は以前のアクティブ・ノードでブロック・ストレージのアンマウント・コマンドを実行し(そのノードが有効であり、リース・リリースが正常であった場合)、現在のアクティブ・ノードでマウント・コマンドを実行します。
- Essbaseアプリケーション・サーバー
  • 障害が発生した場合は常に同じシステムで再起動されます。
  • Essbaseエージェントが失敗または停止した場合、サーバーはシャット・ダウンされます。シャットダウンが完了するまで、同じアプリケーションを新しいアクティブ・ノードで起動することはできません。
  • Essbaseサーバー・プロセスではリース表が使用されます。
サーバー・レベルのリースを除き、11.1.2.4と同様。