移行ユーティリティを使用したアプリケーションの移行
Essbaseサービス管理者として、移行ユーティリティ(migrationTools.jar
)を使用して、Essbaseインスタンス全体(すべてのアプリケーション、ユーザーとグループ、およびその他のアーティファクト)をあるクラウド・インスタンスから別のクラウド・インスタンスに単一のプロセスで移行できます。
移行ユーティリティを使用すると、ソース・アプリケーションや要素をOracle Analytics Cloud - Essbaseデプロイメントや、Marketplaceを介したOCI上の他のEssbaseデプロイメントから移行できます。ユーティリティにより、一度に複数のアプリケーションが移行されます。また、アーティファクト、ルール、ユーザーおよびグループも移行されます。
Essbaseコマンドライン・インタフェース(CLI)のコマンドlcmimport
およびlcmexport
では、ユーザーおよびグループは移行されない点に注意してください。
移行ユーティリティを使用する前に、前提条件SSL証明書の設定を完了してください。
移行ユーティリティのユースケース
移行ユーティリティを使用した移行に関するいくつかのユースケースを次に示します。
- ソースのWebLogic LDAPからターゲットのOCI Identity and Access Management (IAM)またはOracle Identity Cloud Service (IDCS)にEssbaseユーザーを移行します。
- カスタマイズしていない基本デプロイメントには、移行ユーティリティを使用します。デプロイメントにカスタマイズ(カスタムのシングル・サインオン・ソリューションなど)が含まれる場合は、移行ユーティリティではなくCLIを使用します。
- ソースEssbaseデプロイメントの元が次の場合
- Oracle Analytics Cloud - Oracle Cloud Infrastructure上にあり、IDCSネイティブ・セキュリティを使用している、または
- Oracle Analytics Cloud - Oracle Cloud Infrastructure Classic上にあり、IDCSネイティブ・セキュリティを使用している、または
- Oracle Analytics Cloud - Oracle Cloud Infrastructure Classic上にあり、組込みLDAPを使用している
- Essbase Marketplace - Oracle Cloud Infrastructure上にあり、OCI Identity and Access Management (IAM)またはOracle Identity Cloud Service (IDCS)を使用している、または
- Essbase Marketplace - Oracle Cloud Infrastructure上にあり、組込みLDAPを使用している
import.properties
でホストおよびIAM/IDCSの詳細を変更し、ターゲットEssbaseインスタンスを指すようにします。
移行ユーティリティを使用してクラウド・アプリケーションおよびユーザーを移行するステップ
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移行ユーティリティを使用する前に、まだ行っていない場合は、ソースEssbaseインスタンスにパッチを適用して最新バージョンにします。
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Java SE Development Kit (JDK) 8がまだインストールされていない場合は、Oracle Technology Networkからダウンロードしてインストールします。
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JDKインストール・フォルダを指すようにJAVA_HOME環境変数名をシステムに設定します。インストール・パスに空白が含まれる場合、
"C:\Program Files\Java\jdk1.8.0_171"
のように、変数値のパスを引用符で囲みます。 -
ターゲットEssbase Webインタフェースにサインインし、コンソールに移動します。
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「コンソール」で、「デスクトップ・ツール,」に移動して、「コマンド・ライン・ツール」を展開します。
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「移行ユーティリティ」の横にある「ダウンロード」をクリックします。
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移行ユーティリティのzipファイルをローカル・ドライブにダウンロードします。最適な結果を得るためには、
C:\Oracle
のように、空白が含まれないパスを選択します。 -
zipファイルを解凍し、
migrationTools
フォルダで解凍されたファイル(properties、jarおよびreadme)を確認します。 -
移行ユーティリティのエクスポートを実行する前に、ユーティリティと同じディレクトリにある
export.properties
ファイルを編集します。移行元のEssbaseソース・インスタンスの詳細を指定します。エクスポート・プロパティ 説明 userName 必須。Essbase管理者のユーザー名。 password 必須。Essbase管理者のパスワード。 host 必須。ロード・バランサのIPアドレス(Essbaseデプロイメント中にロード・バランサが構成されている場合)。それ以外の場合は、EssbaseパブリックIPアドレスに対応するホスト名またはIPアドレス。 port オプション。ソースEssbaseインスタンスのHTTPリスニング・ポート。ソース・インスタンスがセキュア(TLS)モードで構成されており、 isTLS
=trueポート443が想定されている場合。ソース・インスタンスがLDAPアイデンティティ・プロバイダで構成されている場合は、ポートを80に設定します。isTLS オプション: trueまたはfalse。trueの場合、ソース・インスタンスは、指定された port
値を使用してセキュア(TLS)モードで構成されます。proxy オプション。HTTPプロキシ・ホスト・アドレス(ソースEssbaseインスタンスへの接続にプロキシが必要な場合)。プロキシ・ホストとプロキシ・ポートはコロンで区切られます。プロキシ・ポートを省略すると、その値は80とみなされます。ポートを省略した例: www-proxy-example.com
。ポートを含む例:www-proxy-example.com:80
skiprole オプション。デフォルトはfalseです。ソース・インスタンスがOracle Analytics Cloud - Essbaseで、IDCSロールを移行する場合にのみ、trueに設定します。それ以外の場合、空のままにします。 skipdata オプション。デフォルトはfalseです。Essbaseアプリケーションのスキーマのみをエクスポートする場合は、trueに設定します。 skipUser オプション: trueまたはfalse。ユーザーまたはグループ(あるいはその両方)をエクスポートする必要がない場合にのみ、trueに設定します。デフォルト値はFALSEです。 idcsHost Marketplaceを介してOCIにデプロイされたインスタンスからユーザーまたはグループ(あるいはその両方)を移行する場合にのみ必要です。ソースIAMまたはIDCSアイデンティティ・ドメイン・ホスト。アイデンティティ・ドメインURL (例: https://idcs-<string_of_numbers_and_letters>.identity.oraclecloud.com)
)から、文字列の後にドメイン部分のみを抽出します。例:identity.oraclecloud.com
idcsTenant Marketplaceを介してOCIにデプロイされたインスタンスからユーザーまたはグループ(あるいはその両方)を移行する場合にのみ必要です。IAMまたはIDCSのソース・ホストのアイデンティティ・ドメイン・テナンシ識別子。アイデンティティ・ドメインURL (例: https://idcs-<string_of_numbers_and_letters>.identity.oraclecloud.com)
)から、idcs-<string_of_numbers_and_letters>
のみを抽出します。clientId Marketplaceを介してOCIにデプロイされたインスタンスからユーザーまたはグループ(あるいはその両方)を移行する場合にのみ必要です。統合機密アイデンティティ・アプリケーションにある、OAuth認可のソース・ホストのクライアント識別子。 clientSecret Marketplaceを介してOCIにデプロイされたインスタンスからユーザーまたはグループ(あるいはその両方)を移行する場合にのみ必要です。OAuth認可のソース・ホストのクライアント・シークレット。統合機密アイデンティティ・アプリケーションにあります。 appId Marketplaceを介してOCIにデプロイされたインスタンスからユーザーまたはグループ(あるいはその両方)を移行する場合にのみ必要です。OCIアイデンティティ・ドメイン(IAMまたはIDCS)上の統合機密アイデンティティ・アプリケーションの識別子。このアイデンティティ・アプリケーションは、ユーザーおよびグループに付与可能なアプリケーション・ロールで構成する必要があります。このプロパティを使用すると、移行されたユーザーおよびグループにロールを付与できます。 -
ユーティリティと同じディレクトリにある
import.properties
ファイルを編集します。移行先のEssbaseターゲット・インスタンスの詳細を指定します。インポート・プロパティ 説明 userName 必須。ターゲット・インスタンスのEssbase管理者ユーザー名。 password 必須。ターゲット・インスタンスのEssbase管理者のパスワード。 host 必須。ロード・バランサのターゲット・インスタンスのIPアドレス(Essbaseデプロイメント中にロード・バランサが構成されている場合)。それ以外の場合は、EssbaseパブリックIPアドレスに対応するホスト名またはIPアドレス。 port オプション。ターゲットEssbaseインスタンスのHTTPリスニング・ポート。ターゲット・インスタンスがセキュア(TLS)モードで構成されており、 isTLS
=trueポート443が想定されている場合。ソース・インスタンスがLDAPアイデンティティ・プロバイダで構成されている場合は、ポートを80に設定します。isTLS オプション: trueまたはfalse。trueの場合、ターゲット・インスタンスは、指定された port
値を使用してセキュア(TLS)モードで構成されます。userPassword オプション。ユーティリティがIAMまたはIDCSの統合アイデンティティ・アプリケーションに移行する新規ユーザーに割り当てる初期パスワード。移行後にパスワードを変更するには、OCIコンソールを使用します。 proxy オプション。HTTPプロキシ・ホスト・アドレス(ターゲットEssbaseインスタンスへの接続にプロキシが必要な場合)。プロキシ・ホストとプロキシ・ポートはコロンで区切られます。プロキシ・ポートを省略すると、その値は80とみなされます。ポートを省略した例: www-proxy-example.com
。ポートを含む例:www-proxy-example.com:80
skipUser オプション: trueまたはfalse。ユーザーまたはグループ(あるいはその両方)をインポートする必要がない場合にのみ、trueに設定します。デフォルト値はFALSEです。 idcsHost Marketplaceを介してOCIにデプロイされたインスタンスにユーザーまたはグループ(あるいはその両方)を移行する場合にのみ必要です。ターゲット・アイデンティティ・ドメイン・ホスト。アイデンティティ・ドメインURL (例: https://idcs-<string_of_numbers_and_letters>.identity.oraclecloud.com)
)から、文字列の後にドメイン部分のみを抽出します。例:identity.oraclecloud.com
idcsTenant Marketplaceを介してOCIにデプロイされたインスタンスにユーザーまたはグループ(あるいはその両方)を移行する場合にのみ必要です。ターゲット・ホストのアイデンティティ・ドメイン・テナンシ識別子。アイデンティティ・ドメインURL (例: https://idcs-<string_of_numbers_and_letters>.identity.oraclecloud.com)
)から、idcs-<string_of_numbers_and_letters>
のみを抽出します。clientId Marketplaceを介してOCIにデプロイされたインスタンスにユーザーまたはグループ(あるいはその両方)を移行する場合にのみ必要です。統合機密アイデンティティ・アプリケーションにある、OAuth認可のターゲット・ホストのクライアント識別子。 clientSecret Marketplaceを介してOCIにデプロイされたインスタンスにユーザーまたはグループ(あるいはその両方)を移行する場合にのみ必要です。統合機密アイデンティティ・アプリケーションにある、OAuth認可のターゲット・ホストのクライアント・シークレット。 appId Marketplaceを介してOCIにデプロイされたインスタンスにユーザーまたはグループ(あるいはその両方)を移行する場合にのみ必要です。OCIアイデンティティ・ドメイン(IAMまたはIDCS)上の統合機密アイデンティティ・アプリケーションの識別子。このアイデンティティ・アプリケーションは、ユーザーおよびグループに付与可能なアプリケーション・ロールで構成する必要があります。このプロパティを使用すると、移行されたユーザーおよびグループにロールを付与できます。 overwrite オプション。インポートするアプリケーションがターゲットにすでに存在し、上書きする場合は、trueに設定します。デフォルト値はFALSEです。 certificates オプション。すべてのTLS/SSLサーバーのすべての信頼証明書ファイルへのフルパス。Windowsの場合は、バックスラッシュを別のバックスラッシュでエスケープします。例: C:\\migrationTools\\all_certs.pem
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エクスポート・コマンドを使用してJavaで移行ユーティリティを実行し、すべてのアプリケーション、ユーザーおよびグループをEssbaseソース・インスタンス・カタログから圧縮ファイルにエクスポートします。
java -jar -Dhttps.proxyHost=<proxy-url> -Dhttps.proxyPort=<nn> migrationTools.jar export export.properties <new_tar_file>
例:
java –jar -Dhttps.proxyHost=www-proxy-abcdef.example.com -Dhttps.proxyPort=80 migrationTools.jar export export.properties export.tar.gz
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インポート・コマンドを使用してJavaで移行ユーティリティを実行し、圧縮ファイルをターゲット・インスタンスにインポートします。
java -jar -Dhttps.proxyHost=<proxy-url> -Dhttps.proxyPort=<nn> migrationTools.jar import import.properties <existing_tar_file>
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インポートを実行すると、データがターゲット・インスタンスのEssbaseカタログに移行されます。