Essbase 11g On-Premiseからの移行の準備

既存のEssbase 11g On-Premiseアプリケーションとキューブを移行する場合は、次の考慮事項と前提条件を確認してください。

Essbase 11gとEssbase 21cとの違い

移行のタスク・フロー

ノート:

  • Essbase 11g On-Premiseで外部セキュリティ・プロバイダを構成するためにEPM Shared Servicesを使用していた場合は、次のステップ1は不要です。構成時に選択したセキュリティ・モードに基づき、Essbase 11g On-Premiseで使用されているのと同じ外部セキュリティ・プロバイダを使用するようにターゲットのEPMインストールまたはWebLogicを構成する必要が生じる場合があります。

  • Oracle Identity Cloud Serviceを使用する場合は、Essbase 11g On-Premiseで使用していたものと同じ外部セキュリティ・プロバイダを使用するように構成します。

  1. ソースのEssbase 11g On-Premise EPM Shared Servicesから、Oracle Identity Cloud Service (OCIデプロイメントの場合)またはEPM Shared Services/WebLogic LDAP (独立デプロイメントの場合)に、ユーザーとグループを移行します。11gのユーザーとグループの移行に関する項を参照してください。

  2. 非UnicodeのEssbase 11g On-Premiseアプリケーションを移行する場合は、そのアプリケーションをUnicodeに変換する必要があります。
    1. 11g LCMエクスポート・ユーティリティを実行する前に、サーバー、Essbaseアプリケーションのバックアップ・コピーの順にAlter Systemを使用して、Essbase自体がUnicodeアプリケーションをサポートできるようにします。
    2. 非Unicodeのブロック・ストレージ・アプリケーションの場合は、エクスポート・コマンドで"-converttoutf8"オプションを使用してアプリケーションをエクスポートします。11gエクスポート・ユーティリティのオプションに関する項を参照してください。

      非Unicodeの集約ストレージ・キューブ・アプリケーションについては、Unicodeモードへの非Unicode集約ストレージ・キューブ・アプリケーションの変換に関する項に記載された手動のUnicode変換の手順を実行してください。

  3. 11gアプリケーションを移行します。
    1. ターゲットの21cインスタンスからダウンロードした11g LCMエクスポート・ユーティリティを使用してEssbaseアプリケーションをエクスポートし、Essbase 11g On-Premiseがインストールされているコンピュータでユーティリティを実行します。

      ノート:

      11g LCMエクスポート・ユーティリティを使用するには、Java Development Kit (JDK) 8以降がインストールされている必要があります。また、JAVA_HOME環境変数、shellターミナルのEPM_ORACLE_HOME変数とEPM_ORACLE_INSTANCE変数が設定されている必要があります。
    2. Essbase 21cインスタンスからダウンロードしたEssbaseコマンドライン・インタフェース(CLI)を使用して、Essbaseアプリケーションをインポートします。このユーティリティは、エクスポートしたzipファイルごとに実行します。

サポートされているEssbaseのバージョンとパス

移行がテスト済のリリースは、11.1.2.3.0nn、11.1.2.4.0nn、12.2.1以降です。

ノート:

11.1.2.3からの移行はサポートされていますが、すべてのアプリケーションを11.1.2.3から21cに移行できるわけではありません。21cへの移行を試す前に、11.1.2.3.0.n.nから11.1.2.4.0.n.nにアップグレードすることをお薦めします。

次の移行パスはサポートされていません。
  • Oracle Analytics Cloud - EssbaseからWindows上のEssbase 21c (独立デプロイメント)
  • OCI上のEssbase 19cまたは21c (Marketplaceデプロイメント)からWindows上のEssbase 21c (独立デプロイメント)
  • Linux上のEssbase 21c (独立デプロイメント)からWindows上のEssbase 21c (独立デプロイメント)

移行される11gのアーティファクト

移行についてサポートされる11gアーティファクトを確認します。「移行される21cのアーティファクト」を参照してください。

サポートされていないアプリケーションおよびデータベース設定

次のアプリケーションレベルの設定とデータベースレベルの設定は、移行でサポートされていません: ディスク・ボリューム。

構成についての注意事項

  • ハイブリッド・モード

    デフォルトの計算および問合せプロセッサは、ハイブリッド・モードです。ハイブリッド・モードでは、ブロック・ストレージ・キューブが上位レベルの動的疎メンバー、および完全な動的問合せと計算を含むことができます。更新後に、バッチ計算を実行しないで即座にデータを問い合せることができます。ハイブリッド・モードでは、動的計算を上位レベルの疎メンバーに適用しないことにした場合、キューブへの影響はありません。注意: 計算スクリプトを使用している場合、ハイブリッド・モードはデフォルトではありません。計算スクリプトに多数のスパース依存関係が含まれている場合は、計算スクリプトでもハイブリッド・モードを有効にすることを検討してください。

  • 暗黙の共有

    Essbase 11g On-PremiseアプリケーションでIMPLIED_SHARE構成設定を使用している場合は、混乱を最小限に抑えるため、ご使用の暗黙共有設定が移行されます。Essbase 21cでの暗黙の共有のデフォルト値について詳しくは、IMPLIED_SHARE_ON_CREATEの構成のトピックを参照してください。

  • 構成設定

    一部のデフォルト構成値は、Essbase 11g On-Premiseでの値と異なります。構成リファレンスを確認してください。

    INDEXCACHESIZEおよびDATACACHESIZEの設定は、すべてのEssbaseキューブ(集約ストレージ・キューブを除く)のキャッシュ・サイズを制御するようになりました。以前は、これらの設定では、新規に作成したキューブまたは移行したキューブのみに影響がありました。

    アプリケーションレベルの構成設定のデフォルト値を変更するには、Essbase Webインタフェースを使用します。アプリケーションレベルの構成プロパティの設定を参照してください。

    ほとんどの構成は、アプリケーション・レベルで管理することをお薦めします。アプリケーションを移行する際、アプリケーション・レベルの構成は、LCMのエクスポートおよびインポートのプロセス時に保持されます。ただし、一部の構成はEssbaseサーバーにのみ適用されます。これらのサーバー構成のほとんどは、Essbaseの構成時に構成ツールを使用して指定しますが、必要に応じて、essbase.cfgを使用してサーバー構成のデフォルト値を変更することもできます。

一般的な注意事項

  • EPMアプリケーションのアップグレード- 計算およびフィルタ

    EPMアプリケーションをEssbase 21.5にアップグレードした後は、EPM Shared Servicesコンソールから計算やフィルタのためにメンバーをプロビジョニングできません。メンバーを割り当てるには、Essbase Webインタフェースを使用する必要があります。関連項目: 『Oracle Essbaseデータベース管理者ガイド』のフィルタの割当て、および『Oracle Essbaseの使用』の計算へのアクセス

  • パーティション

    LCMのインポート操作を実行するときは、ターゲット・アプリケーションの前にソース・アプリケーションをインポートします。ターゲット・アプリケーションの前にソース・アプリケーションをインポートしない場合、パーティション定義が機能しないため、ソース・アプリケーションをインポートした後にパーティション定義を再作成する必要があります。

    OPatchをロールバックした後、透過パーティションおよびレプリケート・パーティションを再作成し、パーティションを再検証する必要がある場合があります。

  • LCM以外のアプリケーション作成オプション

    LCMによるエクスポート済アプリケーションの移行に加えて、次のようにアプリケーションを作成することもできます。

    • Excelのアプリケーション・ワークブックを使用してインポートします
    • Smart Viewでキューブ・デザイナの拡張機能を使用します
    • MaxLのcreate application
  • ロケーション別名

    LCMではロケーション別名の資格証明移行はサポートされません。Essbase 11g On-Premiseからアプリケーションを移行した後、ロケーション別名を置き換える必要があります。次の自動化された方法、またはMaxLによる手動の方法を使用できます。

    ロケーション別名を置き換えるための自動化された方法

    1. LCMでエクスポートしたzipを解凍します。
    2. {ApplicationName} \Databases{dbName}\Location Aliasesに移動します。
    3. このディレクトリでファイルを開きます。これはXML形式のファイルであり、userNameおよびpasswordフィールドは空です。資格証明を指定できます。
    4. ディレクトリを再度圧縮します。
    5. zipディレクトリを使用してアプリケーションをインポートします。

      サンプルxmlファイル

      <?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
      <java version="$VERSION$" class="java.beans.XMLDecoder">
      <object class="oracle.essbase.lcm.essbase.EssbaseLocationAlias">
      <void property="aliasAppName">
      <string>
      {appName}
      </string>
      </void>
      <void property="aliasCubeName">
      <string>
      {dbName}
      </string>
      </void>
      <void property="aliasHostName">
      <string>localhost</string>
      </void>
      <void property="password">
      <string>password</string>
      </void>
      <void property="userName">
      <string>lauser</string>
      </void>
      </object>
      </java>

    MaxLを使用して手動でロケーション別名を置き換える方法

    代替オプションである手動の方法では、MaxLを使用します。CLIのLCMImportジョブを実行してソース・アプリケーションをインポートした後で、ロケーション別名の作成に関する項を使用して、ロケーション別名を再作成します。

  • カスタム定義の関数とマクロ

    独立デプロイメントの場合 - カスタム定義の計算関数とマクロに使用するカスタムのjarがある場合、それらは11g LCMエクスポート・ユーティリティでは移行されません。それらは手動で移行する必要があります。これを行う手順は、次のとおりです。

    1. Essbase 21c<Essbaseパス><アプリケーション・ディレクトリ>(ARBORPATH)の場所をメモします。わからない場合は、Essbaseプラットフォームの各環境の場所を参照してください。

    2. ソース・インスタンスの<Essbaseパス>/java/udfにある.jarファイルを、ターゲットEssbaseインスタンスの<Essbaseパス>/java/udfにコピーすることで、グローバル(システムレベル)関数を移行します。

    3. ソース・インスタンスのアプリケーション・ディレクトリにある.jarファイルを、ターゲットEssbaseインスタンスのアプリケーション・ディレクトリにコピーすることで、ローカル(アプリケーションレベル)関数を移行します。言い換えると、11gサーバーの<ARBORPATH>/app/<app_name>にある.jarファイルを、21cサーバーの<Application directory>/app/<app_name>にコピーします。

    4. ターゲットEssbaseインスタンスで、essbase.cfgJVMMODULELOCATIONを追加し、システムのJVMライブラリへのパスを引数として指定します。

  • クライアント・サービスのURL

    独立デプロイメントの場合 - Essbase 11gでは、Provider Servicesは、Java API、Smart ViewおよびXML for Analysis (XMLA)の各クライアントに対応するOracle Essbaseへの中間層のデータソース・プロバイダです。

    Provider Services機能は、WebLogicと統合されます。クライアントURLを現在の形式に更新します。

    クライアント 指定したクライアントにProvider Servicesから接続するための以前のURL Essbase 21cの新しいURL
    Java API http://server_name:port/aps/JAPI http://server_name:port/essbase/japi
    Smart View http://server_name:port/aps/SmartView http://server_name:port/essbase/smartview
    XML for Analysis (XMLA) http://server_name:port/aps/XMLA http://server_name:port/essbase/xmla
  • アウトライン解決順序および使用可能な型付きメジャー

    OCI Marketplaceデプロイメントの場合 - EssbaseアプリケーションをEssbase 11g On Premisesサーバーから、OCIにデプロイされたEssbaseにMarketplace経由で移行した後、アウトライン解決順序を変更する前に、アウトラインの型付きメジャーを有効にする必要があります。

    OCIにデプロイされたEssbaseで、「使用可能な型付きメジャー」アウトライン・プロパティは、デフォルトでFALSEに設定されています。解決順序を変更するには、最初に「使用可能な型付きメジャー」プロパティをTRUEに変更する必要があります。このプロパティを変更するには、『Oracle Essbaseデータベース管理者ガイド』型付きメジャーに関する項を参照してください。