スマート・フォームのシナリオ例

スマート・フォームの原型はアド・ホック・グリッドです。

アド・ホック・グリッドは、アド・ホック分析用にPlanningFinancial Consolidation and CloseまたはTax Reportingのフォームを開くか、キューブ・レベルでアド・ホック分析を開始することで作成されます(図12-1を参照)。

図12-1 アド・ホック分析用に開いたフォーム


アド・ホック分析用に開いたPlanningフォームを示しています

行13のセルA13とB13で、「エンティティ」ディメンションに「entity2」、「勘定科目」ディメンションに「accountX」と入力し、行に2つのグリッド・ラベルを作成して行を追加します。セルC13:F13は、計算されるセルになります。グリッド・ラベルとして使用するために、メンバー名の「entity2」「accountX」は、どのディメンションにも存在していないことと、どの別名表にも同じ名前の別名が存在しないことが必要です。ただし、前述の基本のアド・ホックではentity2がメンバー名であるため、entity2はメンバーとして扱われる点に注意してください。

図12-2 セルA13とB13に追加したグリッド・ラベル


セルA13とB13に追加したグリッド・ラベル

グリッド・ラベル行13の実際の列ディメンション・メンバーの交差部に作成されるセルC13:F13に、Excel式形の式とビジネス計算を追加します。図12-3は、セルC13に入力して実行された計算と同じ計算がセルD13にコピーされていることを示しています。

図12-3 セルC13とD13からセルF13までに追加したビジネス計算


セルC13とD13からF13までに追加したビジネス計算=SUM(D10:D12)は、セルC13からF13に適用されます。

図12-4は、Excelの式バーのビジネス計算を示しています。

図12-4 Excelの式バーのビジネス計算


Excelの式バーのビジネス計算

リフレッシュすると、セルA13のentity2にメンバーのプロパティが取り込まれ、セルB13のaccountXにグリッド・ラベルのプロパティが取り込まれ、セルC13とD13にビジネス計算セルのプロパティが取り込まれます。

ノート

  • Excel形式の式と関数のビジネス計算が含まれるアド・ホック・グリッドを保存するには、グリッド・ラベルを入力する必要があります。

  • グリッド・ラベルのかわりに空白を入力したときのグリッドの動作は一般的なアド・ホックのルールによって決定されます。たとえば、空のメンバーは、このディメンションの同じメンバーに置き換えられます。また、グリッドが不正な形式になる場合はエラーが表示されます。

  • グリッド・ラベルは、軸に対してどのディメンションの場所(最も内側、最も外側または中央の任意の場所)でも入力できます。

  • ビジネス計算は、グリッド・ラベルで作成した行と列にのみ入力できます。

  • メンバー名はグリッド・ラベル行に入力できますが、正しいディメンションに配置する必要があります。不適切な場所にメンバー名が入力されたときに、そのメンバー名がすでに別のディメンションでアプリケーション・データ・プロバイダによって使用されている場合は、リフレッシュ時にラベル名の変更を求めるメッセージが表示されます。

この時点で、「スマート・フォームの作成」で説明したように、アド・ホック・グリッドをスマート・フォームとして保存できます。そうすると、グリッド・ラベルとビジネス計算も適切なデータ・プロバイダに保存されます。

プロバイダでは、リフレッシュ時にアド・ホックの「コメント」行または列(背景が空白のセル)として「accountX」を表示することで、グリッド・ラベルとして識別するようになります。「entity2」ラベルは、このメンバー名がすでにプロバイダ・データベースに存在しているため、グリッド内の別のentity2メンバーと同じプロパティが採用されます。

その他の例

ここでは、Visionサンプル・アプリケーションを使用したスマート・フォームの例を示します。これは、アド・ホック・グリッドから保存したものをOracle Smart View for Officeのフォームとして開いたスマート・フォームです。

図12-5では、FY13とFY14の2年間の四半期ごとの平均粗利益と合計の平均粗利益を示すビジネス計算が作成されています。また、グリッド・ラベルとビジネス計算のセルにセル・スタイルが適用されていることも示しています。

図12-5 当初のアド・ホック・グリッドがスマート・フォームとして保存されてSmart Viewのフォームとして開かれたもの


スマート・フォームとして保存されてからフォームとして開かれたアド・ホック・グリッド(グリッド・ラベルとビジネス計算のセルにセル・スタイルが適用されていることを示しています)。

図12-6は、アド・ホック・グリッドとして開いたスマート・フォームを示しています。グリッド・ラベルとビジネス計算はグリッドの中央に追加されていて、セル・スタイルが適用されています。

図12-6 Smart Viewでアド・ホック・グリッドとして開かれたスマート・フォーム


グリッド・ラベルとビジネス計算がグリッドの中央に追加されているアド・ホック・グリッド。

図12-7は、スマート・フォームとして保存した同じアド・ホック・グリッドをフォームとして開いたものです。

図12-7 Smart Viewのフォームとして開いたスマート・フォーム


グリッド・ラベルとビジネス計算がグリッドの中央に追加された同じアド・ホック・グリッドをフォームとして開いたもの。

図12-8は、グリッド・ラベル行に入力されたメンバー名と、2つのグリッド・ラベルおよびビジネス計算のセルの式を示しています。このフォームでは、手動入力のメンバー名がメンバーを表しています。

図12-8 グリッド・ラベル行にメンバー名が入力されているスマート・フォーム


メンバーとしてSales Callsが含まれていて、Sales Callsがグリッド・ラベル行の列Aにも手動入力されているスマート・フォーム

図12-9では、新しい列のセルF1とF2にグリッド・ラベルが含まれます。列Gには、セルG1の繰返し手動入力したメンバー名と、セルG2のグリッド・ラベル(セルG3のメンバーとビジネス計算の間)が含まれています。

図12-9 メンバー間のグリッド・ラベル


セルF1とF2にグリッド・ラベルがあり、セルG1に有効なメンバー名があり、セルG2に別のグリッド・ラベルがあります。

図12-10は、グリッド・ラベルで有効なメンバーを囲むことができる場合を示しています。

図12-10 グリッド・ラベルの間でグリッド・ラベルの下にあるメンバー


セルB7のNo Productメンバーは、セルA7とC7のグリッド・ラベルの間、セルB6のグリッド・ラベルの下にあります。

図12-11は、メンバーがグリッド・ラベルの間またはグリッド・ラベルで囲まれた場所に配置できない場合を示しています。メンバーが正しい位置にないことを示すメッセージが表示されます。

図12-11 グリッド・ラベル行の正しい位置にないメンバー


前の図と同じようなシナリオですが、セルB7のBaseDataメンバーが、セルA7とC7のグリッド・ラベルの間、セルB6のグリッド・ラベルの下にあります。メンバーの位置が正しくないことを示すメッセージが表示されます。