17 Autonomous DatabaseでのOracle GoldenGateの使用

Oracle GoldenGateを使用すると、Oracle Autonomous Data Warehouse (ADW)およびAutonomous Transaction Processing (ATP)にデータをレプリケートできます。

内容は次のとおりです。

17.1 Autonomous Databaseを使用したデータのキャプチャとレプリケートについて

Autonomous Databases on Shared Infrastructure (ADB)およびAutonomous Database Direct (ADB-D)から変更を取得して、Oracle GoldenGateがサポートする任意のターゲット・データベースまたはプラットフォーム(別のOracle Autonomous Databaseなど)にレプリケートできます。

ユースケース: Autonomous DatabaseにOracle GoldenGateを使用する場合

Autonomous DatabaseでOracle GoldenGateを使用すると、次のシナリオをAutonomous Database環境でサポートするように構成できます。
  • スケーラブルなアクティブ/アクティブ型アーキテクチャ: ワークロードをスケール・アウトするために複数のデータベースにわたる変更を同期して、複数のデータ・センターまたはリージョン間でのリジリエンスとほぼ瞬時のフェイルオーバーを提供します。

  • リアルタイム・データ・ウェアハウス: Autonomous Transaction ProcessingとAutonomous Data Warehouseのシステム間で変更されたデータの連続的でリアルタイムのキャプチャと配信を提供します。

  • ビッグ・データ統合: Oracle GoldenGate for Big Dataを使用すると、Oracle Autonomous Databaseからデータをレプリケートして、Big Dataのターゲットでサポートされるすべてのプラットフォームにリアルタイム・ストリーミング統合を実現できます。

  • リアルタイム・ストリーミング分析: Oracle GoldenGateはOracle Stream Analyticsとシームレスに統合されています。ユーザーはイベント・ストリームに対して問合せを実行することでリアルタイムで目的のイベントを識別できます。ストリーム分析に基づいたリアルタイム監視、ストリーミング・データの変換またはアラートの生成を実現するカスタム操作ダッシュボードを作成できます。

  • ハイブリッド・レプリケーション: Oracle GoldenGateは、ADBインスタンスからオンプレミスまたは別のクラウド・データベースやプラットフォームにデータをレプリケートします。

17.2 Autonomous DatabaseでのOracle GoldenGateの使用時にサポートされる内容についての理解

自律型データベースにデータをレプリケートする前に、サポートされているデータ型と制限を確認してください。

Oracle GoldenGateは、Autonomous Transaction Processing (ATP)やAutonomous Data Warehouse (ADW)など、あらゆるタイプのOracle Autonomous Databaseでサポートされています。

制約事項の理解

Oracle Autonomous Data Warehouseは、完全管理型のデータ・ウェアハウスであり、すべての標準SQLおよびビジネス・インテリジェンス(BI)ツールをサポートし、スケーラブルな分析問合せのパフォーマンスを実現するように設計されています。Oracle Autonomous Data Warehouseは、データ・ウェアハウスのワークロードに対応するようにチューニングおよび最適化された完全管理型の環境で、市場をリードするOracle Databaseのパフォーマンスのすべてを提供します。ただし、一部のデータ型、SQLコマンドおよびデータベース機能は、Oracle Autonomous Data Warehouseでは使用できません。

データベース初期化パラメータの制限事項、データベース機能の制限事項、SQLコマンドの制限事項およびデータ型の制限事項についての完全なリストは、上級Oracle Databaseユーザー向けのAutonomous Data Warehouse Cloudに関する項を参照してください。

Oracle Autonomous Transaction Processingは、高パフォーマンス・データベースの操作と保護の複雑さを排除するクラウド・データベース・サービスです。このサービスにより、データベースのプロビジョニング、構成、チューニング、スケーリング、パッチ適用、暗号化および修復が自動化されます。また、このサービスには、Real Application Cluster (RAC)、マルチテナント、パーティション化、インメモリー、高度なセキュリティ、高度な圧縮など、Oracleの高度なデータベース・オプションがすべて含まれています。このサービスは、単純なWebアプリケーションから、ビジネス運用に不可欠な大規模で高度なアプリケーションまで、あらゆるものをサポートするように構築されています。Autonomous Transaction Processingサービスは、Oracleパブリック・クラウドとExadata Cloud@Customerにある独自のデータ・センターの両方で使用できます。

自律型トランザクション処理の詳細は、「自律型トランザクション処理のスタート・ガイド」を参照してください

Oracle GoldenGateでサポートされるOracle Databaseデータ型は、Autonomous Databaseにレプリケートできます。サポートされているデータ型の完全なリストは、「サポートされるOracleデータ型およびオブジェクトの詳細」を参照してください。Oracle GoldenGateを使用してOracle Databaseにデータをレプリケートする場合に説明したサポートの制限は、Autonomous Databaseへのデータのレプリケートにも適用されます。

次の項に示すように、Autonomous Databaseにデータをレプリケートするときには追加の制限事項があります。

Autonomous Databaseに対するOracle GoldenGate Replicatの制限事項

Autonomous Databaseとの間でレプリケートするときのOracle GoldenGateの制限事項は次のとおりです。

DDLおよびDMLレプリケーションに対するデータ型の制限事項

Autonomous Databaseへのデータのキャプチャ時およびレプリケート時には、次のデータ型はサポートされません。

  • LONG

  • LONG RAW

  • XMLTYPE STORE AS OBJECT RELATIONAL

  • XMLTYPE STORE AS BINARY

  • BFILE

  • MEDIA

  • SPATIAL

統合Replicatと統合モードの並列Replicatはサポートされません。

DDLレプリケーションは、Autonomous Databaseの制限に応じてサポートされます。

17.3 Autonomous DatabaseからキャプチャするExtractの構成

従来のOracle Databaseと比較すると、Autonomous DatabaseはOracle GoldenGateとより緊密に統合されていて、Autonomous Database用にExtractを設定する場合には多くの違いがあります。

Autonomous Databaseはマルチテナント・データベースです。すべてのマルチテナント・データベースと同様に、すべてのプラガブル・データベースのトランザクションが含まれるREDOログのセットが1つのみ存在します。Autonomous Databaseセキュリティは、Extractが接続先の特定のテナントからのみ変更を取得できるようにすることで強化されています。ダウンストリームExtractはサポートされていません。

ノート:

Autonomous Databaseのキャプチャ・サポートは、Autonomous Database Shared環境のみで使用できます。また、この機能はOracle Public Cloud (OPC)サポートにのみ制限されています。Exadata Cloud @ Customer環境またはonPrem環境で実行するAutonomous Databaseでは使用できません。

始める前に

Oracle GoldenGateを使用してAutonomous Databaseからデータをキャプチャするプロセスを開始する前に、次の作業が必要です。
  1. 自律型データベースで、事前作成されたOracle GoldenGateデータベース・ユーザーggadminをロック解除します。

  2. PDBに接続するためのAutonomous Databaseクライアント資格証明を取得します。

内容は次のとおりです。

17.3.1 Oracle GoldenGate資格証明の確立

Autonomous Databaseからキャプチャする場合は、GGADMINアカウントのみが使用されます。このGGADMINアカウントは、Autonomous Databaseのプロビジョニング時にデータベース内に作成されてロックされています。Oracle GoldenGateに使用するために、そのロックを解除する必要があります。このアカウントは、Autonomous DatabaseのExtractとReplicatの両方に使用されるものとアカウントと同じです。

alter userコマンドを実行して、ggadminユーザーのロックを解除し、パスワードを設定します。「クライアント側ツールによるAutonomous Databaseのユーザーの作成」を参照してください。

このALTER USERコマンドは、Autonomous Databaseのadminアカウント・ユーザーが実行する必要があります。

alter user ggadmin identified by password account unlock;

17.3.2 Autonomous DatabaseからキャプチャするOracle GoldenGate Extractの構成の前提条件

Autonomous Databaseからキャプチャするように統合Extractプロセスを構成して開始する前に、次の要件が満たされていることを確認してください。
  • プロビジョニングされていて稼働しているOracle Autonomous Data Warehouse (ADW)環境またはAutonomous Transaction Processing (ATP)環境。

  • Autonomous Databaseレベルのサプリメンタル・ロギングは、ADMINまたはGGADMINが有効にする必要があります。

Extract用のAutonomous Databaseサプリメンタル・ロギングの構成

Autonomous Databaseインスタンスに最小限のサプリメンタル・ロギングを追加するには、GGADMINまたはADMINアカウントとしてインスタンスにログインして、次のコマンドを実行します。
ALTER PLUGGABLE DATABASE ADD SUPPLEMENTAL LOG DATA;
Autonomous Databaseレベルのサプリメンタル・ロギングをDROPするには、そのPDBからのキャプチャを停止する必要があります。
ALTER PLUGGABLE DATABASE DROP SUPPLEMENTAL
        LOG DATA;
次のSQL文を発行すると、Autonomous Databaseレベルのサプリメンタル・ロギングが正しく構成されていることを確認できます。
SQL> select minimal from dba_supplemental_logging;
この文の出力は次のとおりです。
MINIMAL
-------
YES

このAutonomous Databaseインスタンスに対してサプリメンタル・ロギングが正しく設定されている場合、MINIMAL列はYESになります。

17.3.3 Autonomous DatabaseからキャプチャするOracle GoldenGate Extractの構成

Autonomous Databaseのキャプチャを設定および実行するステップは、非マルチテナント・データベースの場合とほとんど同じです。Autonomous Databaseからキャプチャするための基本的なステップについて説明します。

次に、Autonomous Databaseからキャプチャするように統合Extractを構成するステップを示します。
  1. Autonomous DatabaseプラットフォームにOracle GoldenGate 21cをインストールします。

  2. (マイクロサービスのみ)目的のOracle GoldenGate環境にあわせたデプロイメントを作成します。これは、Autonomous Database (ADB)からデータをキャプチャするExtractの作成先デプロイメントです。デプロイメントを追加するステップは、「デプロイメントの作成方法」を参照してください。

  3. Autonomous Databaseクライアント資格証明を取得します。

    Autonomous Databaseへの接続を確立するために、Autonomous Databaseサービス・コンソールからクライアント資格証明ファイルをダウンロードします。クライアント資格証明のダウンロード(ウォレット)に関する項を参照してください。

    ノート:

    自律型データベースへの管理者アクセス権がない場合は、資格証明ファイルをダウンロードして提供するようにサービス管理者に依頼してください。

    1. Autonomous Databaseアカウントにログインします。

    2. 「Instance」ページから、自律型データベース・インスタンスのメニュー・オプションをクリックし、「Service Console」を選択します。

    3. adminのユーザー名とそれに関連付けられたパスワードを使用して、サービス・コンソールにログインします。

    4. サービス・コンソールで、「Administration」タブをクリックします。

    5. 「Download Client Credentials」をクリックします。

    6. 資格証明zipファイルを保護するためのパスワードを入力して、「ダウンロード」をクリックします。

    7. 資格証明zipファイルをローカル・システムに保存します。

    資格証明zipファイルには、次のファイルが含まれています。
    • cwallet.sso

    • ewallet.p12

    • keystore.jks

    • ojdbc.properties

    • sqlnet.ora

    • tnsnames.ora

    • truststore.jks

    Autonomous Databaseと連動するようにOracle GoldenGate On Premisesを構成するときには、sqlnet.oraファイルとtnsnames.oraファイルを参照します。
  4. Autonomous Databaseに接続するように、Oracle GoldenGateが稼働しているサーバーを構成します。

    1. Oracle GoldenGateがインストールされているサーバーにログインします。

    2. Oracle Autonomous Data WarehouseまたはOracle Autonomous Transaction Processingデータベースからダウンロードした資格証明zipファイルをOracle GoldenGateサーバーに転送します。

    3. Oracle GoldenGateサーバーで、新しいディレクトリ(たとえば、/u02/data/adwc_credentials)に資格証明ファイルを解凍します。これがキー・ディレクトリになります。

    4. 接続の詳細を構成するには、Oracle GoldenGateインスタンスのOracle Clientの場所からtnsnames.oraファイルを開きます。

    5. graphdb1_low接続文字列の例を使用して、ローカルのtnsnames.oraファイルに移動します。『Oracle Database Net Servicesリファレンス』tnsnames.oraファイルのローカル・ネーミング・パラメータに関する項を参照してください。

    6. Oracle GoldenGateインスタンスのtnsnames.oraファイルを編集して、tnsnames.oraファイルで使用可能な接続詳細がキー・ディレクトリ(Autonomous Databaseからダウンロードした資格証明zipファイルを解凍したディレクトリ)に含まれるようにします。

      Sample Connection String
      graphdb1_low = (description= 
                    (retry_count=20)(retry_delay=3)(address=(protocol=tcps)(port=1522)(host=adb-preprod.us-phoenix-1.oraclecloud.com))
                    (connect_data=(service_name=okd2ybgcz4mjx94_graphdb1_low.adb.oraclecloud.com))
                    (security=(ssl_server_cert_dn="CN=adwc-preprod.uscom-east-1.oraclecloud.com,OU=Oracle BMCS US,O=Oracle Corporation,L=Redwood City,ST=California,C=US")))
      ネットワークのタイムアウトまたは切断のためにExtractが応答しなくなった場合は、次の内容をtnsnames.oraファイルの接続プロファイルに追加してください。
      (DESCRIPTION =  (RECV_TIMEOUT=30) (ADDRESS_LIST =
            (LOAD_BALANCE=off)(FAILOVER=on)(CONNECT_TIMEOUT=3)(RETRY_COUNT=3) (ADDRESS = (PROTOCOL = TCP)(HOST = adb-preprod.us-phoenix-1.oraclecloud.com)(PORT = 1522))

      ノート:

      資格証明ファイルで提供されるtnsnames.oraファイルには、次のように識別できる3つのデータベース・サービス名が含まれています。
      ADWC_Database_Name_low
      ADWC_Database_Name_medium
      ADWC_Database_Name_high
      Oracle GoldenGateにはADWC_Database_Name_lowを使用するようにお薦めします。Autonomous Data Warehouse Cloud用に事前定義されているデータベース・サービス名に関する項を参照してください
    7. ウォレットを構成するには、Oracle GoldenGateインスタンスのOracle Clientの場所にsqlnet.oraファイルを作成します。
      cd /u02/data/oci/network/admin
      ls
      sqlnet.ora tnsnames.ora
    8. このsqlnet.oraファイルを編集して、キー・ディレクトリが含まれるようにします。

      WALLET_LOCATION = (SOURCE = (METHOD = file) (METHOD_DATA = (DIRECTORY="/u02/data/adwc_credentials"))) 
      SSL_SERVER_DN_MATCH=yes
  5. MicroservicesまたはClassic Architectureのどちらを使用しているかに応じて、Admin ClientまたはGGSCIを使用してOracle GoldenGateデプロイメントにログインします。
  6. GGADMINユーザーとパスワードを格納するための資格証明を作成します。このユーザーは、コマンドラインからAutonomous Databaseに接続して、データベース接続が必要になるコマンドを実行するために使用します。また、Extractデータベース接続のためのUSERIDALIASパラメータにも使用します。
    ADD CREDENTIALSTORE ALTER CREDENTIALSTORE ADD USER ggadmin@databasename_low PASSWORD complex_password alias adb_alias
  7. DBLOGINを使用してデータベースに接続します。DBLOGINユーザーは、adb_aliasアカウント・ユーザーであることが必要です。
    DBLOGIN USERIDALIAS adb_alias
  8. Autonomous DatabaseにExtractを登録します。たとえば、extp1という統合Extractを登録するには、次のコマンドを使用します。

    REGISTER EXTRACT ext_A DATABASE
  9. 統合Extractを追加してOracle Autonomous Databaseからキャプチャするように構成します。Extractの作成ステップは、「Extractの追加方法」を参照してください。

    Autonomous Databaseはマルチテナント・データベースですが、ExtractはAutonomous Databaseと連動しながら、割り当てられた特定のプラガブル・データベース(PDB)からのみキャプチャできるように設計されています。これは、TABLE文またはMAP文にPDB名が必要ないことも意味します。次の例では、extp1という統合Extract (ADBのキャプチャに必要なもの)を作成して、すぐに開始するように指示しています。
    ADD EXTRACT extp1, INTEGRATED TRANLOG, BEGIN NOW 
    マルチテナント・データベースには、従来の3つの部分からなるネーミング規則を使用しないでください。たとえば、Autonomous Databaseの表SCOTT.EMPからキャプチャするには、このエントリをExtractパラメータ・ファイルで使用します。
    TABLE SCOTT.EMP;
    TEST.EMPLOYEESCOTT.EMPをレプリケートする場合、map文は次のようになります。
    MAP SCOTT.EMP, TARGET TEST.EMPLOYEE;
  10. ADD TRANDATAまたはADD SCHEMATRANDATAを使用して、キャプチャする表のサプリメンタル・ロギングを構成します。PDBに直接接続しているため、これらのコマンドにPDB名を含める必要はありません。次に例を示します。
    ADD TRANDATA SCOTT.EMP
    または
    ADD SCHEMATRANDATA SCOTT

    「Autonomous DatabaseからキャプチャするOracle GoldenGate Extractの構成の前提条件」を参照してください。

  11. この時点で、Extractを起動して、Autonomous Databaseへのデータ・レプリケーションを実行できます。次に例を示します。
    START EXTRACT extp1

    これで、Autonomous Database用にExtractを構成するプロセスが完了し、その他のExtractプロセスと同様に使用できます。

17.4 Autonomous Databaseに適用するReplicatの構成

Oracle GoldenGateがサポートする任意のソース・データベースまたはプラットフォーム(Oracle Autonomous Databaseなど)からAutonomous Database (ADB)にレプリケートできます。

内容は次のとおりです。

17.4.1 Autonomous DatabaseへのOracle GoldenGate Replicatの構成の前提条件

Autonmous DatabaseへのOracle GoldenGateデータ・レプリケーションを構成するための前提条件について説明します。

次に示す詳細を用意する必要があります。
  • Oracle GoldenGate Extractプロセスが構成されていて、Autonomous Database (ADB)ターゲットにデータを適用するReplicatが実行されている場所に証跡を書き込むソース・データベース。

  • プロビジョニングされていて稼働しているOracle Autonomous Data Warehouse環境またはAutonomous Transaction Processing環境。

Oracle GoldenGateを使用してAutonomous Databaseにデータを配信するには、次のタスクを実行します。
  • Autonomous Databaseに事前作成されているOracle GoldenGateデータベース・ユーザーggadminのロックを解除して、レプリケーション用にAutonomous Databaseを構成します。このユーザーは、Oracle GoldenGateの処理に使用されるオブジェクト(チェックポイント表やハートビート・オブジェクトなど)が格納される場所になります。

  • 自律型データベース・クライアント資格証明を取得します。

  • レプリケーション用にOracle GoldenGateを構成します。

    • 自律型データベースからダウンロードしたクライアント資格証明ZIPファイルを転送します。

    • sqlnet.oraファイルを構成します。

    • tnsnames.oraファイルを構成します。

    • ggadminユーザーのuseridaliasを作成します。

  • Autonomous Databaseに配信するようにOracle GoldenGate Replicatを構成します。

17.4.2 Autonomous Database用のOracle GoldenGate Replicatの構成

Autonomous Database用にOracle GoldenGate Replicatを構成するステップについて説明します。

次に、構成タスクが完了するまでのステップを示します。

ノート:

手順については、すでにソース環境が構成されていることを前提としています。Autonomous Database (ADB)環境へのレプリケーションを確立するために必要なステップについて説明します。

  1. Oracle GoldenGateをインストールするか、対象のAutonomous DatabaseプラットフォームのOCI MarketplaceでOracle GoldenGateを使用します。Oracle GoldenGate 21cは、Marketplace for 21c ADBサービス・コンソール(ADB-S)でClassic ArchitectureおよびMicroservices Architectureの両方のAutonomous Databaseキャプチャをサポートしています。

  2. (マイクロサービスのみ)目的のOracle GoldenGate環境にあわせたデプロイメントを作成します。これは、Autonomous Database (ADB)にデータを適用するReplicatの作成先デプロイメントです。デプロイメントを追加するステップは、「デプロイメントの作成方法」を参照してください。

  3. 自律型データベースには、Oracle GoldenGate On Premises用に作成された既存のユーザーggadminがあります。ggadminユーザーには、Replicatが動作するための適切な権限のセットが付与されています。デフォルトでは、このユーザーはロックされています。ggadminユーザーのロックを解除するには、任意のSQLクライアント・ツールを使用して、ADMINユーザーとしてOracle Autonomous Data Warehouseデータベースに接続します。Autonomous Data Warehouse Cloudへの接続に関する項を参照してください。

  4. alter userコマンドを実行して、ggadminユーザーのロックを解除し、パスワードを設定します。これは、Autonomous Databaseに対するDBLOGIN操作のために、GGSCIまたはAdmin Clientで使用します。Replicatで使用して、Oracle GoldenGateがAutonomous Databaseに接続してデータを適用できるようにします。Autonomous Data Warehouse Cloudでのユーザーの作成に関する項を参照してください。
    alter user ggadmin identified by password account unlock;

17.4.3 自律型データベース・クライアント資格証明の取得

Autonomous Databaseへの接続を確立する方法について説明します。

Autonomous Databaseへの接続を確立するために、Autonomous Databaseサービス・コンソールからクライアント資格証明ファイルをダウンロードします。クライアント資格証明のダウンロード(ウォレット)に関する項を参照してください。

ノート:

自律型データベースへの管理者アクセス権がない場合は、資格証明ファイルをダウンロードして提供するようにサービス管理者に依頼してください。
  1. Oracle ADWまたはATPアカウントにログインします。

  2. 「Instance」ページから、自律型データベース・インスタンスのメニュー・オプションをクリックし、「Service Console」を選択します。

  3. adminのユーザー名とそれに関連付けられたパスワードを使用して、サービス・コンソールにログインします。

  4. サービス・コンソールで、「Administration」タブをクリックします。

  5. 「Download Client Credentials」をクリックします。

  6. 資格証明zipファイルを保護するためのパスワードを入力して、「ダウンロード」をクリックします。

  7. 資格証明ZIPファイルをローカル・システムに保存します。

資格証明ZIPファイルには次のファイルが含まれています。
  • cwallet.sso

  • ewallet.p12

  • keystore.jks

  • ojdbc.properties

  • sqlnet.ora

  • tnsnames.ora

  • truststore.jks

Autonomous Databaseと連動するようにOracle GoldenGateを構成するときには、sqlnet.oracwallet.ssoewallet.p12およびtnsnames.oraファイルを参照します。

17.4.4 Autonomous Databaseに適用するOracle GoldenGate Replicatの構成

この機能は、Autonomous Data Warehouse (ADW)とAutonomous Transaction Processing Database (ATP)の両方をサポートします。

この項では、すでにソース環境が構成されていることを前提として、Autonomous Database環境へのレプリケーションを確立するために必要なステップについて説明します。

Oracle GoldenGateインスタンスで、次の操作を実行する必要があります。
  1. 「Autonomous DatabaseへのOracle GoldenGate Replicatの構成の前提条件」に示したステップを実行します。

  2. 「Autonomous Database用のOracle GoldenGate Replicatの構成」に示したステップを実行します。

  3. 「Autonomous Databaseクライアント資格証明の取得」に示したステップを実行します。

  4. Oracle GoldenGateがインストールされているサーバーにログインします。

  5. Oracle Autonomous Data Warehouseからダウンロードした資格証明zipファイルをOracle GoldenGateインスタンスに転送します。

  6. Oracle GoldenGateインスタンスで、新しいディレクトリ/u02/data/adwc_credentialsに資格証明ファイルを解凍します。これがキー・ディレクトリになります。

  7. 接続の詳細を構成するには、Oracle GoldenGateインスタンスのOracle Clientの場所からtnsnames.oraファイルを開きます。
    cd /u02/data/adwc_credentials
    ls
    tnsnames.ora
  8. Oracle GoldenGateインスタンスのtnsnames.oraファイルを編集して、tnsnames.oraファイルで使用可能な接続詳細がキー・ディレクトリ(Oracle Autonomous Data Warehouseからダウンロードした資格証明zipファイルを解凍したディレクトリ)に含まれるようにします。

    Sample Connection String
    graphdb1_low = (description= 
                    (retry_count=20)(retry_delay=3)(address=(protocol=tcps)(port=1522)(host=adb-preprod.us-phoenix-1.oraclecloud.com))
                    (connect_data=(service_name=okd2ybgcz4mjx94_graphdb1_low.adb.oraclecloud.com))
                    (security=(ssl_server_cert_dn="CN=adwc-preprod.uscom-east-1.oraclecloud.com,OU=Oracle BMCS US,O=Oracle Corporation,L=Redwood City,ST=California,C=US")))
    ネットワークのタイムアウトまたは切断のためにReplicatが応答しなくなった場合は、次の内容をtnsnames.oraファイルの接続プロファイルに追加してください。
    (DESCRIPTION =  (RECV_TIMEOUT=120)   (ADDRESS_LIST =
          (LOAD_BALANCE=off)(FAILOVER=on)(CONNECT_TIMEOUT=3)(RETRY_COUNT=3) (ADDRESS = (PROTOCOL = TCP)(HOST = adb-preprod.us-phoenix-1.oraclecloud.com)(PORT = 1522))

    ノート:

    資格証明ファイルで提供されるtnsnames.oraファイルには、次のように識別できる3つのデータベース・サービス名が含まれています。
    ADWC_Database_Name_low
    ADWC_Database_Name_medium
    ADWC_Database_Name_high
    Oracle GoldenGateレプリケーションには、ADWC_Database_Name_lowを使用します。Autonomous Data Warehouse Cloud用に事前定義されているデータベース・サービス名に関する項を参照してください
  9. ウォレットを構成するには、Oracle GoldenGateインスタンスのOracle Clientの場所にsqlnet.oraファイルを作成します。
    cd /u02/data/oci/network/admin
    ls
    sqlnet.ora tnsnames.ora
  10. このsqlnet.oraファイルを編集して、キー・ディレクトリが含まれるようにします。

    WALLET_LOCATION = (SOURCE = (METHOD = file) (METHOD_DATA = (DIRECTORY="/u02/data/adwc_credentials"))) 
    SSL_SERVER_DN_MATCH=yes
  11. Admin Clientを使用して、Oracle GoldenGateデプロイメントにログインします。

  12. Replicatが使用するためのGGADMINユーザーとパスワードを格納する資格証明を作成します。次に例を示します。
    ADD CREDENTIALSTORE ALTER CREDENTIALSTORE ADD USER ggadmin@databasename_low PASSWORD complex_password alias adb_alias
  13. Replicatを追加してOracle Autonomous Data Warehouseに配信するように構成します。Replicatとその他のプロセスの設定方法は、「Replicatの追加方法」を参照してください。

    ノート:

    Autonomous Databaseにデータを適用するために使用するReplicatは、統合Replicatにすることはできません。つまり、クラシックReplicat、調整Replicatまたは非統合モードの並列Replicatを使用できるということです。Replicatの作成時には、前のステップで作成した別名を使用します。
  14. この時点で、Replicatを起動して、Autonomous Databaseへのデータのレプリケーションを実行できます。

    ノート:

    Oracle Autonomous Data Warehouseは、アイドル状態が60分以上のReplicatをタイムアウトにして切断します。Replicatは、アイドル状態になった後で変更を適用しようとすると(新しい変更を取得した場合)、データベース・エラーが発生して異常終了します。タイムアウト時にReplicatの手動による再起動を不要にするために、AUTORESTARTパラメータ(Classic Architecture)を使用してOracle GoldenGateを構成するか、AUTORESTARTプロファイル(Microservices Architecture)を構成することをお薦めします。