2 このリリースの新機能
この章では、Oracle GoldenGateの特長、機能拡張および変更箇所について説明します。ソフトウェアのリリース後、リリース・ノートは定期的に更新されます。このドキュメントは発行された時点において正確です。
2.1 リリース21c (21.1.0): 初期リリース2021年5月
- Oracle GoldenGate Microservices ArchitectureがOracleおよび異種データベースで使用可能
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Oracle GoldenGate 21cは次のデータベースをサポートしています。
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Oracle Database
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DB2 z/OS
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MySQL
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SQL Server
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- Oracle Database
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- 統合ビルド・サポート
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Oracle GoldenGateでは、Oracle GoldenGateの一部として最新のOracleデータベース・クライアント・ライブラリを含めることにより、サポートされているオペレーティング・システムの複数のメジャーOracle Databaseバージョンからのキャプチャおよびこれらへの適用に単一の統合ビルドを使用します。
- サプリメンタル・ロギングを使用する表の自動Extractのサポート
- Oracle GoldenGateには、論理レプリケーションが有効になっているすべての表の変更をキャプチャする新しい
auto_capture
モードが用意されています。LIST TABLES AUTO_CAPTURE
コマンド・オプションを使用して、自動キャプチャが有効な表をリストできます。自動キャプチャを設定するには、TRANLOGOPTIONS ENABLE_AUTO_CAPTURE
オプションを使用します。このパラメータがExtractで有効になっている場合、サプリメンタル・ロギングを使用する表はExtractによって自動的にキャプチャされるため、表を
TABLE
パラメータとして追加する必要がありません。ALTER TABLE ... ENABLE LOGICAL REPLICATION ALL KEYS
、ALTER TABLE ... ENABLE LOGICAL REPLICATION ALLOW NOVALIDATE KEYS
、CREATE TABLE ... ENABLE LOGICAL REPLICATION ALL KEYS
またはCREATE TABLE ... ENABLE LOGICAL REPLICATION NOVALIDATE KEYS
の新しいDDLオプションを使用すると、サプリメンタル・ロギングを表に追加し、Oracle GoldenGateが自動的にキャプチャできるようになります。これには、Oracle Database 21c以上である必要もあります。
- OracleネイティブJSONデータ型のサポート
- Oracle GoldenGateのキャプチャおよび適用プロセスでは、Oracle Database 21c以上でサポートされている新しいネイティブJSONデータ型がサポートされるようになりました。
- Oracle Database 21cの自動競合検出および解決が使用可能
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この機能は、Oracle Database 21cおよびOracle GoldenGateで自動CDRを拡張し、以下をサポートします。
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最も古いタイムスタンプの解決
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常に削除を優先
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サイト優先順位による競合解決
これらの機能は、
DBMS_GOLDENGATE.ADD_AUTO_CDR
プロシージャで有効にできます。 -
- Oracle Cloud Infrastructure Key Management Service (OCI KMS)統合が使用可能
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Oracle GoldenGateでは、トレイル・ファイルの暗号化のためにOCI KMSとの統合がサポートされているため、Oracle GoldenGateクラウド・デプロイメントの保護が簡略化されます。
- Autonomous Database Extractのサポート
- Oracle GoldenGateは、OCIのAutonomous Databaseからキャプチャできるようになりました。この機能により、共有環境内の他のデータへのアクセスを許可することなく、安全に特定のAutonomous環境からデータをキャプチャできます。詳細は、Oracle DatabaseのためのOracle GoldenGateの使用のプラガブル・データベースからのキャプチャを参照してください。
- Replicat互換性制約
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この機能を使用すると、異なるトレイル・ファイル形式でのReplicatの互換性が保証されます。Replicat互換性制約は、プライマリExtractによってレコード(LCR)に関連付けられ、トレイル・ファイル形式バージョンをバンプせずに、特定のレコードがOracle GoldenGate 21c以上のリリースの特定バージョンのReplicatによって適用されるように制限します。この機能は、LogDumpユーティリティによって表示されます。
- 証明書管理がMicroservices Architecture Web UIから使用可能
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サーバー証明書と複数のクライアント証明書が、サービス・マネージャから管理できます。各デプロイメントには、デプロイメント用のセキュアな通信チャネルを設定する際に使用されるサーバー、クライアント証明書およびCA証明書を保持する証明書ストアがあります。
- wssプロトコルの複数のクライアント証明書のサポートが使用可能
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複数のクライアント証明書を証明書ストアに格納し、配布パスおよびターゲット開始パスの認証メカニズムのタイプを明示的に指定できます。
資格証明、クライアント証明書またはOAuht2.0 (Oracle GoldenGate 21.3.0で使用可能)の3つの認証メカニズムのいずれかを選択できます。クライアント証明書認証メカニズムを選択した場合は、特定のクライアント証明書を選択できます。
- ハートビート表を含むDB_UNIQUE_NAME
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ハートビート表を含む
DB_UNIQUE_NAME
を使用すると、ユーザーはハートビートのソースを一意に識別できます。DB_UNIQUE_NAME
を使用すると、アクティブ/アクティブ環境でハートビート表をより適切に使用できます。この環境では、通常、すべてのレプリカのDB_NAME
が同じですが、DB_UNIQUE_NAME
を使用して各レプリカ・サイトを一意に識別します。
- トレイル・ファイルのヘッダーを含むDB_UNIQUE_NAME
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DB_UNIQUE_NAME
がDB_NAME
とともにトレイル・ファイル・ヘッダーに追加されます。これは、アクティブ/アクティブ環境でのレプリケーションのトラブルシューティングに役立ちます。ほとんどの場合、すべてのレプリカのDB_NAME
は同じですが、DB_UNIQUE_NAME
を使用して各レプリカ・サイトを一意に識別します。 - Oracle GoldenGateのアップグレードの簡略化
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Oracle GoldenGate 21cにアップグレードするプロセスはさらにシンプルになりました。管理者が最新のOracle GoldenGateリリースにアップグレードするために必要なステップが少なくなります。これには、トレイル・ファイル形式のアップグレード後のReplicatの自動再配置が含まれます。
- パーティション名のフィルタリング
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「パーティション・フィルタリング」オプションは、表のパーティション名で明示的にフィルタ処理します。データは、Extract、Pump、分散サービスおよびReplicatのソース・パーティション名に基づいてフィルタ処理できます。
- バインドされたリカバリ・チェックポイント・パフォーマンス
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バインドされたリカバリ(BR)チェックポイントは、ExtractがREDOログのマイニングを続行し、BRチェックポイント中にトレイル・ファイルを生成できるように拡張されており、BR間隔が減少し、Extractの再起動時間が改善されます。
- Active Data Guard (ADG)リダイレクト
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ADGがカスケード・モードで構成され、REDOログがダウンストリーム・データベースに転送される場合、Oracle GoldenGateは、REDOが発生したデータベースに接続するかわりに、
REGISTER
コマンドのソース・データベースとしてADGに接続できます。Extractの登録に必要なソース・データベース接続がありません。 - 新しいReplicatパラメータINCLUDETAG
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Oracle用のOracle GoldenGateでは、既存の
EXCLUDETAG
パラメータに加えてINCLUDETAG
がサポートされるようになり、マルチウェイ・レプリケーション・トポロジをより柔軟に構成できます。
親トピック: このリリースの新機能
2.2 非推奨になったかサポートが終了した機能およびパラメータ
この項では、Oracle GoldenGateの非推奨になった機能とサポートされなくなった機能について説明します。
2.2.1 リリース21c (21.1.0) - 初期リリース2021年5月
- Oracle Database: Oracle GoldenGateクラシックExtractのサポート終了
- Oracle GoldenGateは、クラシックExtractをサポートしていません。Oracle GoldenGate 21cにアップグレードする前に、クラシックExtractプロセスをすべて統合Extractに移動する必要があります。
- Oracle Database: Oracle GoldenGate Classic Architectureの非推奨
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Oracle DatabaseのためのOracle GoldenGate Classic Architectureは将来のリリースで非推奨になり、サポートされず使用できなくなる可能性があります。Oracle GoldenGate Microservices Architectureの使用をお薦めします。
- Distribution ServerとReceiver Server間のUDTプロトコルのサポート終了
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Oracle GoldenGate Microservices Architecture 21c (21.1.0)では、Distribution Serverでトレイル・ファイルの送信に使用されるUDTプロトコルがサポートされなくなりました。
この機能は次の主要なOracle GoldenGateリリースではサポート対象外となるため、UDTのかわりに
wss
、ws
またはogg
プロトコルを使用してください。
- RMTTASKのサポート終了および非推奨
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RMTTASK
パラメータは、Oracle GoldenGate Microservices Architectureでのサポートが終了しました。このパラメータはClassic Architectureでは非推奨であり、今後のリリースではClasssic Architectureでサポートされなくなります。
親トピック: 非推奨になったかサポートが終了した機能およびパラメータ
2.3 デフォルト動作の変更
この項では、最新リリースに関してOracle GoldenGateのデフォルト動作の変更について説明します。
2.3.1 リリース21c (21.1.0) - 初期リリース2021年5月
- Oracle GoldenGateバイナリが共有ドライブにインストール不可
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ベスト・プラクティスとして、Oracle GoldenGateバイナリ(
OGG_HOME
)を常にローカル・ファイル・システムにインストールすることをお薦めします。このリリース以降、これは要件です。バイナリはローカル・ドライブにインストールする必要があります。詳細は、MOSノートDOC ID 2689857.1を参照してください。
- Oracle Databaseのハートビート管理の簡素化
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ハートビート表の管理操作は、
DBLOGIN
ユーザーのスキーマでのみ実行されます。GGSCHEMA
は、CDBルートExtractでのみ必須になりました。
- Oracle GoldenGate 19cから21cにアップグレードしてデータベースがMySQL 8.0であるときに有効になる完全なメタデータのロギング
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この変更は、MySQL 8.0でOracle GoldenGate 19cから21cにアップグレードする場合に適用されます。
- デフォルトの順序でIDENTITY列を含む表を主キーを使用して作成する必要
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Oracleデータベースの場合、アイデンティティ列を含む表を主キーを使用して作成する必要があります。そうしないと、Replicatは次のようなエラーで異常終了します。
2020-02-07 08:17:53 ERROR OGG-00516 Fatal error executing DDLreplication: error [Error code [1430], ORA-01430: column being added already exists intable]
- すべてのOracle Databaseバージョンをサポートする1つのshiphome
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Instant Client 21cは、Oracle GoldenGateにバンドルされています。Oracleデータ・レイヤーの依存性を使用してOracle GoldenGate実行可能ファイルを起動する場合、バンドルされているインスタント・クライアントの接続性、ライブラリおよびツールを使用する必要があります。
親トピック: デフォルトの動作変更