はじめに

この章では、レポート・テンプレートでXMLデータをレイアウト要素に関連付ける概念について説明します。また、複雑で高度な条件付きレポート・フォーマットを作成するための基本的な技術と高度な技術について説明します。

RTFテンプレートの作成にMicrosoft Wordを使用している場合は、この章を読み進める前に、Template Builder for Wordを使用したRTFテンプレートの作成を参照してください。Template Builderインストールで提供されるデモとサンプルは、Microsoft Wordでテンプレートを作成するプロセスを身に付けるのに役立ちます。

RTFテンプレートを作成するためにMicrosoft WordやTemplate Builderは必要ないため、この章では、Template Builderを使用せずにコンポーネントを追加する方法について説明します。この章で説明するレイアウト・コンポーネントの多くは、Template Builderを使用したテンプレートにも挿入できます。

この項の内容は次のとおりです。

RTFテンプレートとは

リッチ・テキスト・フォーマット(RTF)は、Microsoft Wordなどの一般的な文書処理アプリケーションで使用されている仕様です。

RTFは、文書を保存するときに選択できるファイル・タイプ・オプションの1つです。

Publisherでは、RTFファイル・タイプとして保存されたドキュメントがXSL-FOに変換されるため、多くの標準的なワード・プロセッサの機能を使用して、レポート・レイアウトを作成できます。

設計時には、Publisherの簡略化されたXSL式用のタグを使用して、データ・フィールドと他のマークアップをテンプレートに追加します。これらのタグは、XMLレポート・データをレポート・レイアウトに関連付け、他の処理に関する指示を組み込みます。

また、Publisherでは、ワード・プロセッサの書式設定機能に加えて、条件付き書式設定、動的データ列、累積合計、チャートなどの拡張レポート機能もサポートされます。

XSLをよく理解していて、単純化されたタグを使用しない場合、Publisherでは、テンプレートでの純粋なXSL要素の使用もサポートされます。テンプレートにコードを直接組み込む場合は、任意のXSL要素、多数のFO要素、およびPublisherによって拡張された一連のSQL表現を含めることができます。

テンプレート設計の前提条件

テンプレートを設計する前に、次のタスクを実行する必要があります。

テンプレートを設計する際には、次の前提条件を満たす必要があります。

  • ソース・レポートからのデータに適用されるビジネス・ルールを認識しておきます。

  • レポート・データ・モデルからサンプル・データを生成します。

    Microsoft Wordの書式設定機能に習熟している必要があります。

XSLT互換性の概要

PublisherではOracle XDK 11.1.0.7.0によって提供されるXSLTプロセッサを使用し、このプロセッサではW3C XSL Transformations 1.0勧告がサポートされています。

また、このプロセッサはXSLTおよびXPath 2.0標準の現在の作業草案も実装しています。

デフォルトでは、PublisherはXSLT 1.0と互換性があります。XSLTおよびXPath 2.0の機能をテンプレートで使用する場合は、XSLT 1.0の互換性を無効にする必要があります。この構成はテンプレート・レベルで実行されます。テンプレート・レベルの設定は、サーバーの設定より優先されます。

XSLTの互換性は、Template Builder for Wordではビルド・オプションとして設定されます。「UI」オプションの設定を参照してください。

主要な概念

テンプレート・レイアウトを設計するときは、XML入力ファイルをレイアウトに関連付ける方法を理解する必要があります。

この章では、XML入力ファイルを使用したテンプレート・レイアウトのサンプルを提示して、マークアップ・タグをテンプレートに追加するための適切な関連付けを行う方法を説明します。

テンプレート・レイアウトの設計

設計を作成するには、使用しているワード・プロセッサの書式設定機能を使用します。

次に例を示します。

  • テキストのサイズ、フォントおよび配置の選択

  • 箇条書きと番号の挿入

  • 段落ごとの境界線の描画

  • 透かしの挿入

  • イメージ(jpg、gifまたはpng)の挿入

  • 表の自動書式設定機能の使用

  • ヘッダーとフッターの挿入

Publisherコードの追加について

RTFテンプレートの作成時に、PublisherコードをRTFドキュメントに追加します。次のいずれかの方式に従ってコードを追加します。

Publisherでは、コードを追加するために次の方法がサポートされています。

  • 基本RTF方式

    Publisherの簡略化された構文を使用してテンプレートを設計するには、RTFバージョン1.6(以降)のライターをサポートしているワード・プロセッサを使用します。

  • フォーム・フィールド方式

    Microsoft Wordのフォーム・フィールド機能を使用することで、テンプレートの設計に直接配置するのではなく、非表示のフォーム・フィールドに構文を配置できます。

    簡略化された構文ではなくXSLまたはXSL-FOコードを使用する場合は、フォーム・フィールド方式を使用する必要があります。

この章では、前述の方式を使用してRTFテンプレートを作成する方法について説明します。

Microsoft Wordを使用している場合は、Publisher Template Builder for Wordを使用してPublisherコード・フィールドを簡単に挿入できます。