15 Xenベース・システムの直接モニタリング

この章では、Xenベース・システムを検出およびモニターする手順について説明します。

内容は次のとおりです。

直接モニタリングの概要

Xenベースのハイパーバイザ、ベアメタル・マシン、オペレーティング・システム、およびモニタリング・ソフトウェアに依存しない仮想マシンを直接モニターできます。これらのターゲットのモニタリングには、次のものが含まれます。

  • Xen 4.1.2以上に基づくOracle Virtual Server (ハイパーバイザ上で稼働するゲストOSまたはDomU)ターゲットの直接モニタリング

  • Oracle Server (物理サーバー)の直接モニタリング

  • Oracle Virtual Server (Xenベースのハイパーバイザ)の直接モニタリング

  • Oracle Virtual Platformまたはハイパーバイザ・マシンのホスト・オペレーティング・システムの直接モニタリング

ノート:

Xenベースのハイパーバイザの直接モニタリングを有効化するには、Oracle Virtual Infrastructure 12.1.0.2プラグインがManagement Serverにデプロイされている必要があります。このプラグインは、ハイパーバイザが登録されると管理エージェント上に自動的にデプロイされます。

次の図に、アーキテクチャの概要を示します。

図15-1 直接監視のアーキテクチャ


直接モニタリングのアーキテクチャ

ハイパーバイザ・ターゲットの検出

前提条件:

  • ハイパーバイザ・ターゲットを検出するには、管理者が次の権限を持っている必要があります。

    • 任意のターゲットの追加

    • ジョブの作成

    • ハイパーバイザ・ターゲットをモニタリングする管理エージェントに対するオペレータ権限

ハイパーバイザを検出するには、次のステップに従います。

  1. 前述の権限を持つユーザーとしてEnterprise Managerにログインします。
  2. 「設定」メニューから、「ターゲットの追加」「ターゲットの手動追加」の順にクリックします。
  3. ターゲットの手動追加ページで、「ガイド付きプロセスを使用してターゲットを追加(関連ターゲットも追加)」を選択して、「ターゲット・タイプ」ドロップ・ダウン・リストから「Oracle Virtual Platform」を選択します。
  4. 「ガイド付きプロセスを使用した追加」をクリックしますOracle Virtual Platformの検出ページが表示されます。

    図15-2 仮想プラットフォームの検出


    仮想プラットフォームの検出

  5. 「デフォルトのモニタリング・エージェントおよび資格証明」リージョンで、次の詳細を入力します。

    ノート:

    このリージョンに指定された資格証明は、デフォルトで、このプロセスを通じて検出されたすべてのOracle Virtual Platformターゲットに適用されます。これらの資格証明は、特定のOracle Virtual Platformターゲットについてオーバーライドできます。

    • モニタリング・エージェント: 「検索」アイコンをクリックし、ターゲットをモニターするデフォルトのLinuxベース・モニタリング・エージェントを選択します。

    • フェイルオーバー・モニタリング・エージェント: 「検索」アイコンをクリックし、ターゲットをモニターするLinuxベースのフェイルオーバー・モニタリング・エージェントを選択します。

      ノート:

      大規模環境でハイパーバイザとそれに関連するターゲットのモニターをスムーズに行うには、Javaヒープ・サイズについて次の推奨事項に従う必要があります。

      • ターゲットの合計数(Oracle Virtual Platform、Oracle ServerおよびOracle Virtual Serverターゲットを含む)が300個以下の場合、管理エージェントのJavaヒープ・サイズを128MBに設定する必要があります。

      • さらに300個のターゲットを追加するたびに、Javaヒープ・サイズを128MBずつ増加する必要があります。

    • 特権ユーザー: このフィールドは、特定の特権コマンドに対するアクセス権をユーザーに付与する場合に使用します。このアクセス権は、rootユーザーによって、またはここで指定する権限委任オプションを通じて使用できます。

      • はい: 「はい」を選択する場合、ルート・アクセス権が必要とされる次のxl / xmコマンドを実行できるユーザーである必要があります。

        /usr/sbin/xl list*,/usr/sbin/xl info*,/usr/sbin/xl network-list*,

        /usr/sbin/xl uptime*,/usr/sbin/xl vcpu-list*,/usr/sbin/dmidecode,

        /usr/sbin/xentop,/usr/bin/xenstore-read,/usr/bin/xenstore-list,

        /usr/bin/xenstore-ls,/sbin/ethtool

        これらのコマンドによって、実行時に仮想化メトリックを収集できます。xlコマンドがシステムに存在しない場合、次のコマンドが使用されます。

        /usr/sbin/xm list*,/usr/sbin/xm info*,/usr/sbin/xm network-list*,

        /usr/sbin/xm uptime*,/usr/sbin/xm vcpu-list*,/usr/sbin/dmidecode,

        /usr/sbin/xentop,/usr/bin/xenstore-read,/usr/bin/xenstore-list,

        /usr/bin/xenstore-ls,/sbin/ethtoo

      • いいえ: 「いいえ」を選択すると、xl/xmコマンドは実行できず、Oracle Virtual Platformターゲットの仮想化および構成メトリックは収集されません。

    • 資格証明タイプ: 検出するターゲットの資格証明を指定します。「ホスト資格証明」または「SSHキー資格証明」を選択できます。選択内容に応じて、「資格証明プロパティの設定」の説明に従って、資格証明プロパティを入力する必要があります。

  6. 「ホスト名とIPアドレス」リージョンで「追加」をクリックします。「ホスト/IPアドレスの追加」ウィンドウで、1つ以上のホスト名、IPアドレスまたはIPアドレス範囲を入力し、「追加」をクリックします。複数のホスト名、IPアドレスまたは範囲は、改行で区切る必要があります。追加したホスト名がOracle Virtual Platformの検出ページに表示されます。
  7. デフォルト・エージェントおよび資格証明を使用するか、「オーバーライド」をクリックしてそれらをオーバーライドするかを選択できます。フェイルオーバー・モニタリング・エージェントの資格証明もオーバーライドできます。モニタリング・エージェントと資格証明のオーバーライド・ウィンドウで、モニタリング・エージェントおよび資格証明プロパティを入力し、「オーバーライド」をクリックします。これによりモニタリング資格証明がオーバーライドされ、指定した新しいエージェントおよび資格証明が適用されます。
  8. オプションで、グローバル・ターゲット・プロパティも指定できます。Enterprise Managerのターゲット・プロパティでは、連絡先や場所などの説明的なターゲット情報を格納することが可能で、さらにそれらを動的/管理グループの定義、レポート、インシデント・ルールおよび通知に使用できます。グローバル・ターゲット資格証明リージョンでは、このプロセスを使用して検出されたすべてのターゲットに適用されるターゲット・プロパティの値を指定できます。
  9. 「送信」をクリックします。登録情報が検証され、ジョブが発行されます。ジョブの完了時に、Xenベースのハイパーバイザを実行しているホストで次のターゲットが検出されます。
    • Oracle Server: ハイパーバイザを実行しているベアメタル・ボックス。

    • Oracle Virtual Platform: ハイパーバイザ・プロセスを表すホスト・オペレーティング・システム。

    • Oracle Virtual Server: ハイパーバイザ・ドメインによって管理される仮想マシン。

    ノート:

    グループ内のこれらのターゲットのモニタリングを容易にするため、ターゲットの登録中に、または既存の登録済ターゲットを編集し、グローバル・ターゲット・プロパティを指定して動的グループを作成できます。

    たとえば、本番ライフサイクル・ステータスを持つ動的グループに、すべての本番仮想プラットフォームを含めることができます。

ターゲットの削除

検出されたターゲットを削除するには、最初にOracle Virtual Platformターゲットを削除する必要があります。このターゲットを削除すると、関連するすべてのOracle Virtual ServerおよびOracle Serverターゲットが削除されます。

ターゲットを削除するには、次のステップに従います。

  1. 「ターゲット」メニューから「すべてのターゲット」を選択し、「すべてのターゲット」ページに移動します。
  2. 「すべてのターゲット」ページの左側のパネルで、「サーバー」、「記憶域」および「ネットワーク」ターゲット・タイプの下で「Oracle Virtual Platform」を選択します。使用可能なOracle Virtual Platformターゲットのリストが表示されます。
  3. いずれかのターゲットをクリックして、「Oracle Virtual Platform」ホームページに移動します。「Oracle Virtual Platform」メニューから「ターゲット設定」、「ターゲットの削除」の順に選択します。確認メッセージが表示されます。「はい」をクリックしてOracle Virtual Platformターゲットとその関連ターゲットを削除します。

資格証明プロパティの設定

検出する仮想プラットフォーム・ターゲットの資格証明を指定できます。資格証明タイプとして「ホスト資格証明」または「SSHキー資格証明」を選択できます。これらの各資格証明は、SudoまたはPowerBrokerの権限委任オプションを使用して統合できます。

図15-3 Oracle Virtual Platformの検出: 資格証明の設定


Oracle Virtual Platformの検出: 資格証明の設定

ホスト資格証明

「ホスト資格証明」を選択した場合、次の資格証明プロパティを指定する必要があります。

  • ユーザー名: ターゲットにアクセスするために必要なユーザー名。

  • パスワード: ターゲットにアクセスするために必要なパスワード。

  • 実行権限: 次のいずれかです。

    • なし: 実行権限は不要です。このオプションは、ユーザーがrootで、「特権ユーザー」オプションが「はい」に設定されている場合に使用します。

    • Sudo: 「Sudo」を選択する場合、次の項目を指定する必要があります。

      • sudoコマンド: Sudoでは、許可されたユーザーがスーパーユーザーまたはsudoersファイルに指定された他のユーザーとしてコマンドを実行できます。/usr/bin/sudo -S -u %RUN_AS% %COMMAND%の形式でコマンドを入力します。/usr/bin/sudoはsudo実行可能ファイルへのパス、RUN_ASはコマンドを実行しているユーザーの名前、そしてCOMMANDはSudoコマンドが実行されていることを示します。

      • 別名実行: rootユーザーとしてこのコマンドを実行するためにrootを指定します。

      • 疑似ターミナルの有効化: sudoコマンドでユーザーが実端末(tty)にログインする必要がある場合、このチェック・ボックスを選択します。このフラグが設定されている場合、sudoユーザーは、別個の端末を通じてマシンにログインする必要があります。

    • PowerBroker: 「PowerBroker」を選択する場合、次の項目を指定する必要があります。

      • PowerBrokerコマンド: /usr/bin/pbrun -l -u %RUN_AS% %COMMAND%の形式でコマンドを入力します。/usr/bin/pbrunはPowerBroker実行可能ファイルへのパス、RUN_ASはコマンドを実行しているユーザーの名前、そしてCOMMANDはPowerBrokerコマンドが実行されていることを示します。

      • パスワード・プロンプト: パスワードが指定された際に表示されるプロンプトです。

      • 別名実行: rootユーザーとしてこのコマンドを実行するためにrootを指定します。

      • プロファイル: このコマンドを実行するために使用するユーザー・プロファイルを指定します。

SSHキー資格証明

「SSHキー資格証明」を選択した場合、ユーザー名、秘密および公開キー、パスフレーズ(今後の暗号化のため)、および実行権限を指定する必要があります。

「実行権限」フィールドで「Sudo」または「PowerBroker」を選択する場合、「ホスト資格証明」のリストに従って追加の詳細を入力してください。

「Oracle Server」ホームページの表示

「Oracle Server」ホームページを表示するには、次のステップに従います。

  1. 「ターゲット」メニューから「すべてのターゲット」を選択し、「すべてのターゲット」ページに移動します。
  2. 「すべてのターゲット」ページの左側のパネルで、「サーバー」、「記憶域」および「ネットワーク」ターゲット・タイプの下で「Oracle Server」を選択します。使用可能なOracle Serverターゲットのリストが表示されます。
  3. いずれかのターゲットをクリックして、「Oracle Server」ホームページに移動します。

図15-4 「Oracle Server」ホームページ


Oracleサーバー・ホームページ

このページには、次のリージョンがあります。

  • 一般: このリージョンには、Oracle Virtual Platformターゲット、ターゲットの名前、CPUソケット、CPUコア、合計メモリーおよびローカル・ディスク領域など、一般の詳細が提供されます。

  • 可用性: このリージョンのチャートには、ターゲットの過去24時間のステータスが表示されます。

  • インシデントと問題の概要: このリージョンには、Oracle Serverターゲットに関連するすべてのインシデントと問題が表示されます。

「Oracle Virtual Platform」ホームページの表示

「Oracle Virtual Platform」ホームページを表示するには、次のステップに従います。

  1. 「ターゲット」メニューから「すべてのターゲット」を選択し、「すべてのターゲット」ページに移動します。
  2. 「すべてのターゲット」ページの左側のパネルで、「サーバー」、「記憶域」および「ネットワーク」ターゲット・タイプの下で「Oracle Virtual Platform」を選択します。使用可能なOracle Virtual Platformターゲットのリストが表示されます。
  3. いずれかのターゲットをクリックして、「Oracle Virtual Platform」ホームページに移動します。

図15-5 「Oracle Virtual Platform」ホームページ


Oracle Virtual Platformホームページ

このページには、次のリージョンがあります。

  • 一般: このリージョンには、Oracle Serverターゲット、プラットフォーム・バージョン、ターゲット名、Dom0に割り当てられたVCPU、Oracle Virtual Serverターゲットに割り当てられた合計VCPUなどの一般的な詳細が表示されます。また、これが特権ユーザーであるかどうかも示します。仮想化メトリックは、特権ユーザーの場合のみ収集されます。

  • メンバー: このリージョンには、この仮想プラットフォームに属する仮想サーバー、ステータス、および各仮想サーバーへの割当てメモリーがリストされます。

    管理エージェントが仮想サーバー上に存在する場合、Oracle Virtual Serverターゲットに対応するホスト名も表示されます。デフォルトでは、この列は表示されません。「表示」ドロップダウン・メニューを使用してこの列を選択できます。

  • ネットワーク・アクティビティ: このリージョンは、この24時間の総スループット(MB/秒)を示します。

  • インシデントと問題の概要: このリージョンには、Oracle Serverターゲットに関連するすべてのインシデントと問題が表示されます。

  • チャート: CPU使用率、メモリー使用率、ネットワークおよびディスク・アクティビティ・チャートには過去24時間のアクティビティが表示されます。CPUとメモリー使用状況の傾向を示します

  • 可用性: このリージョンのチャートには、ターゲットの過去24時間のステータスが表示されます。

Oracle VMインスタンス・ホームページの表示

Oracle VMインスタンス・ホームページを表示するには、次のステップに従ってください。

  1. 「ターゲット」メニューから「すべてのターゲット」を選択し、「すべてのターゲット」ページに移動します。
  2. 「すべてのターゲット」ページの左側のパネルで、「サーバー」、「記憶域」および「ネットワーク」ターゲット・タイプの下で「Oracle VMインスタンス」を選択します。使用可能なOracle VMインスタンス・ターゲットのリストが表示されます。
  3. Oracle VMインスタンス・ホームページに移動するには、ターゲットの1つをクリックします。

    図15-6 Oracle VMインスタンス・ホームページ


    Oracle VMインスタンスのホームページ

このページには、次のリージョンがあります。

  • 一般: このリージョンには、Oracle ServerおよびOracle Virtual Platformターゲット、ターゲット名、割当てメモリーなどの一般的な詳細が表示されます。

  • 可用性: このリージョンのチャートには、ターゲットの過去24時間のステータスが表示されます。

  • インシデントと問題の概要: このリージョンには、Oracle Serverターゲットに関連するすべてのインシデントと問題が表示されます。

  • チャート: CPU使用率、メモリー使用率、ネットワークおよびディスク・アクティビティ・チャートには過去24時間のアクティビティが表示されます。