Enterprise Manager Cloud Controlのアーキテクチャ

この項では、Enterprise Manager Cloud Controlのアーキテクチャの概要を示し、この製品のコア・コンポーネントについて説明します。次の項が含まれます:

Enterprise Manager Cloud Controlのアーキテクチャ

Enterprise Manager Cloud Controlには、次のコンポーネントが含まれています。

  • Oracle Management Agent

  • Oracle Management Service

  • Oracle Management Repository

  • プラグイン

  • Enterprise Manager Cloud Controlコンソール

図1-2はEnterprise Manager Cloud Controlの構成の一例を示したもので、これらのコア・コンポーネントがアーキテクチャにどのように組み込まれているのかを示しています。

図1-2 Enterprise Manager Cloud Controlのアーキテクチャ


Enterprise Manager Cloud Controlのアーキテクチャ

ノート:

図1-2にはロード・バランサと複数のOracle Management Service (OMS)インスタンスが示されていますが、これらはあくまでも大規模な組織におけるEnterprise Manager Cloud Controlのアーキテクチャの構成例を示したものです。Enterprise Managerシステムのインストールの前提条件または要件ではありません。ロード・バランサがなければ、管理エージェントはOMSインスタンスと直接通信します。

Oracle Management Agentについて

管理エージェントは組み込まれたソフトウェア・コンポーネントで、Enterprise Managerシステムで管理対象外ホストを管理対象ホストに変換できます。管理エージェントはプラグインと連携することにより、管理対象ホスト上で実行されているターゲットをモニターします。

初めてOracle Management Service (OMS)をインストールすると、セントラル・エージェントと呼ばれる管理エージェントがデフォルトで提供されます。セントラル・エージェントは、最初のOMSホスト、最初のOMS、および最初のOMSホストで実行されている他のターゲットのモニタリングにのみ使用されます。他のホストや、これらのホスト上の他のターゲットをモニターするには、これらのホストそれぞれに個別のスタンドアロン管理エージェントをインストールする必要があります。

Oracle Management Service (OMS)について

Oracle Management Service (OMS)はWebベースのアプリケーションであり、管理エージェントおよびプラグインと連携してターゲットを検出し、そのモニターと管理を行い、将来の参照および分析のために収集した情報をリポジトリに格納します。OMSは、Enterprise Manager Cloud Control用のユーザー・インタフェースもレンダリングします。

OMSはミドルウェア・ホームにデプロイされます。ミドルウェア・ホームは、Oracle WebLogic Server、OMS、プラグイン、Java Development Kit (JDK)、Oracle WTディレクトリ、Oracle Common、およびその他関連する構成ファイルやディレクトリが含まれる親ディレクトリです。OMSのインストール中、Enterprise Manager Cloud Controlインストール・ウィザードによってOracle WebLogic ServerおよびJDKが自動的にインストールされるため、デフォルトでWebLogic Server管理コンソールが使用可能になります。

Oracle Management Repositoryについて

Oracle Management Repository (管理リポジトリ)は、管理エージェントによって収集されたすべての情報が格納される記憶域の場所です。データベース・ジョブ、パッケージ、プロシージャ、ビュー、表領域などのオブジェクトから構成されます。

OMSは管理エージェントから受け取ったモニタリング・データを管理リポジトリにアップロードします。その後、管理リポジトリは、データをOMSで検索したり、Enterprise Manager Cloud Controlコンソールで表示できるように構成します。データは管理リポジトリに格納されるため、Enterprise Manager Cloud Controlにアクセスする任意の数の管理者間で共有できます。

インストール時に、Enterprise Manager Cloud Controlのインストール・ウィザードによって、既存の認証済データベース内に管理リポジトリが構成されます。ただし、このウィザードで新規データベースはインストールされません。

プラグインについて

プラグインは、特定のターゲット・タイプにあわせてカスタマイズされた特別な管理機能を提供する、プラガブル・エンティティです。Enterprise Managerのこれまでのリリースとは異なり、Enterprise Manager Cloud Controlでは、プラグインはOMSおよび管理エージェントと連携して機能し、環境内の各ターゲットのモニターを行います。したがって、OMSと管理エージェントの両方にデプロイされます。以前のリリースでは、プラグインでのモニターはサード・パーティ・ターゲットに限定されていましたが、Enterprise Manager Cloud Controlでは環境内のすべてのターゲット・タイプをモニターすることができます。

プラグインには個別のリリース・サイクルがあるので、新しいOracle製品バージョンがリリースされるたびに、その新製品をEnterprise Manager Cloud Controlでモニタリングするために新しいプラグイン・バージョンがリリースされます。独立したリリース・サイクルにより新しい製品バージョンのサポートのためにEnterprise Managerシステムのアップグレードを待つ必要がなくなり、プラグインをアップグレードして新しい製品バージョンをモニターできるので、作業が簡単になります。

表1-1は、新しいEnterprise Managerシステムにインストールされるデフォルトのプラグインを示しています。これらのプラグイン以外に、ソフトウェア・キット(DVD、ダウンロードしたソフトウェア・バンドルなど)に含まれている他のプラグインをオプションでインストールできます。オプションのプラグインを選択してインストールできる画面がインストーラで用意されています。

表1-1 Enterprise Manager Cloud Controlとともにインストールされるデフォルトのプラグイン

名前 説明

Oracle Database

Oracle DatabaseおよびOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)、Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)などの関連ターゲットを検出、モニターおよび管理できます。

Oracle Fusion Middleware

Oracle WebLogic Domain、Oracle WebLogic AdminServer、Oracle WebLogic Server、Oracle SOA Suite、Oracle Web TierなどのOracle Fusion Middleware製品を検出、モニターおよび管理することができます。

Oracle Exadata

Oracle Exadataターゲットを検出、モニターおよび管理できます。

Oracle Cloud Framework

Database as a Service (DBaaS)およびInfrastructure as a Service (IaaS)などのクラウド・サービス間で共通の基本機能にアクセスできます。

システム・インフラストラクチャ

Oracleハードウェア・システムとSuper Clusterエンジニアド・システム(サーバー・ハードウェア、シャーシ、ラック、電力配分装置、ネットワーク機器、オペレーティング・システム、仮想ソフトウェアおよびクラスタリング・ソフトウェアを含む)の検出、モニターおよび管理を可能にします。

Oracle Enterprise Managerで使用可能なプラグインの完全なリストは、Enterprise Manager Cloud Controlリリース・ノートこのリリースに含まれるプラグインを参照してください。

Oracle JVMDエンジンについて

Java仮想マシン診断(JVMD)エンジンを使用すると、本番環境におけるJavaアプリケーションのパフォーマンス問題を診断できます。問題を再現する必要性がなくなることにより、こうした問題解決に必要な時間が短縮されるため、アプリケーションの可用性とパフォーマンスが向上されます。

Oracle Enterprise Manager 13c以降、Oracle Fusion Middlewareプラグインのデプロイメントの一部として、デフォルトでJVMDエンジン1つがOMSにインストールされて構成されるようになりました。デプロイする追加OMSごとに、そのOMSとともにデフォルトで1つのJVMDエンジンが提供されます。

JVMDエンジンはデフォルトではOMSホストにインストールされますが、JVMDエージェントはターゲットのJVMに手動でデプロイする必要があります。

Oracle Analytics Serverについて

Oracle Enterprise Manager (EM) 13.5以降、Oracle Business Intelligence (BI) PublisherはEMインストールにバンドルされず、EMユーティリティのEMCTLおよびEMCLIによって管理されません。BI Publisherは、Oracle Analytics Server (OAS) v5.5.0以降としてブランド名が変更され、EMから独立してインストールし、OASユーティリティで管理する必要があります。BI PublisherのVerbを参照するすべてのEMCTLまたはEMCLIスクリプトを更新します。

Enterprise Manager Cloud Controlコンソールについて

Enterprise Manager Cloud Controlのコンソールは、Enterprise Manager Cloud Controlをインストールすると表示されるユーザー・インタフェースです。図1-1を参照してください。このコンソールでは、コンピューティング環境全体のモニターおよび管理をネットワーク上の1箇所から行うことができます。エンタープライズ・アプリケーション・システム、データベース、ホスト、ミドルウェア・アプリケーション・サーバー、リスナーなどのすべてのシステムおよびサービスを、単一の場所から簡単に管理できます。

EMCTLについて

EMCTLは、OMSおよび管理エージェントで特定のタスクを実行するためのコマンドライン・ツールです。これは、OMSインスタンスの起動および停止、OMSインスタンスのプロパティの設定、特定の管理エージェントがモニターするターゲットのリストの取得などのタスクに使用できます。EMCTLコマンドは、特定のOMSまたは管理エージェントから実行します。

EM CLIについて

Enterprise Managerコマンドライン・インタフェース(EM CLI)は、従来型のプログラミング言語構成を介してアクセス可能なコマンドライン・ツールであり、コマンドラインまたはプログラムによってタスクを作成および実行できます。EM CLIにより、各種オペレーティング・システムのテキスト・ベースのコンソール(シェルおよびコマンドライン・ウィンドウ)からEnterprise Manager Cloud Control機能にアクセスできます。