8 Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース5にアップグレードした後のアップグレード後タスク
この章では、実行する必要があるインストール後のタスクについて説明します。特に、次の内容について説明します。
カスタム構成の再実行
13cリリース5へのアップグレードはアウトオブプレース・アップグレードであるため、旧リリースのEnterprise Managerシステムで行われたカスタム構成、および旧リリースのEnterprise Managerシステムで構成されているWebLogic Serverで行われたカスタマイズはすべて、アップグレード・プロセスによって継承されません。アップグレードしたシステムで、カスタマイズを再実行する必要があります。
追加OMSのアップグレード後の管理エージェントの再起動
最初のOMSのアップグレード後、エージェント・アップグレード・コンソールまたはEM CLIを使用した13cリリース5への中央エージェントまたはスタンドアロン管理エージェントのアップグレードの説明に従って、そのホストの中央エージェントをすぐにアップグレードすることをお薦めします。
ただし、そのホストの中央エージェントをアップグレードせずに追加OMSの13cリリース5へのアップグレードを続行した場合は、そのアップグレード済の追加OMSのバージョンを管理サービスページで確認します。これを実行するには、「設定」メニューから、「Cloud Controlの管理」、「管理サービス」の順に選択します。OMSバージョンを確認します。
まだアップグレードされたバージョンではなく古いバージョンが表示されている場合は、追加OMSホストの管理エージェントを再起動します。
遅延データ移行ジョブのステータスの追跡
ここでは、以下の項目について説明します。
遅延データ移行ジョブについて
遅延データ移行は、旧リリースのEnterprise Managerに格納されているデータのフォーマットを、アップグレード後のEnterprise Managerシステムと互換性のあるフォーマットに移行する、アップグレード後アクティビティの1つです。この移行アクティビティは基本的に、Oracle Management Repositoryのアップグレード時に発行されるEnterprise Managerのジョブであり、アップグレード後のEnterprise Managerシステムが機能し始めるときバックグラウンドで実行するようにスケジュールされます。
Enterprise Manager Cloud Controlに格納されているデータのフォーマットは、旧リリースのEnterprise Managerに格納されていたデータのフォーマットと異なります。
そのため、旧リリースのEnterprise ManagerからEnterprise Manager Cloud Controlにアップグレードするときは、データ・フォーマットが、Enterprise Manager Cloud Controlと互換性のあるフォーマットに自動的に変換または移行されます。
ただし、データ・フォーマットの移行にかかる時間は、旧リリースのEnterprise Managerで使用できるデータの大きさによって異なります。したがって、大量のデータがある場合には移行に長時間かかるため、アップグレード・プロセスが完了するまでの時間も長くなります。アップグレード・プロセスが完了するまで、1システム・アップグレード方式(ローカル・ホスト上でも、別のリモート・ホスト上でも)を使用する場合は特に、既存のEnterprise Managerシステムは使用できなくなる可能性があります。
この点を考慮してオラクル社は、別々の2段階でデータ・フォーマットを移行するようにアップグレード・プロセスを調整しました。
第1フェーズでは、Enterprise Managerシステムを停止してアップグレードし、短い停止時間で新しいシステムが動作を開始できるように、Enterprise Manager Cloud Controlの機能に必要な最も重要なデータを短時間のうちに移行します。この時点では一部の履歴データしか利用できませんが、アップグレード後のEnterprise Managerシステムでターゲットのモニタリングを開始し、アップグレード後のOracle Management Agentによって生成される新しいアラートを確認することができます。
第2フェーズでは、アップグレード後のEnterprise Managerシステムが動作を開始した後で、残りのデータを移行します。
Enterprise Manager Cloud Controlの動作開始後、第2フェーズでフォーマットが移行されるデータを遅延データと呼び、この旧フォーマットから新フォーマットへの移行プロセスを遅延データ移行と呼びます。
ノート:
実行中のDDMPジョブの取消しまたは停止は、推奨されません。
警告:
DDMPジョブの実行中は、OMSまたは管理リポジトリを停止または再起動しないでください。
Oracle Exalogic Systemターゲットのアップグレード
Oracle Exalogic Systemターゲットを必ずアップグレードしてください。
- これを実行するには、「エンタープライズ」メニューから「ジョブ」を選択し、「ライブラリ」を選択します。
- 「ジョブ・ライブラリ」ページで、ジョブ名UPGRADE EXALOGIC SYSTEMS TO FUSION MIDDLEWARE 12.1.0.3.0 MODELを選択し、「送信」をクリックします。
ジョブを正常に実行してOracle Exalogic Systemターゲットをアップグレードするには、12.1.0.3以上のバージョンのOracle Fusion Middlewareプラグインが含まれるように、これらのターゲットをモニタリングする管理エージェントが次のサポートされるリリースにすでにアップグレード済である必要があります。
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Enterprise Manager Cloud Control 12cリリース5 (12.1.0.5)からのアップグレードで、12cリリース5 (12.1.0.5)へのアップグレード時にこのステップを実行していない場合は、ここで13cリリース2でこのステップを実行します。この場合、管理エージェントが13c リリース3、13c リリース2、13c リリース1、12c リリース5 (12.1.0.5)、または12c リリース4 (12.1.0.4)のいずれかであることを確認します。
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Enterprise Manager Cloud Control 12cリリース4 (12.1.0.4)からのアップグレードで、12cリリース4 (12.1.0.4)へのアップグレード時にこのステップを実行していない場合は、ここで13cリリース2でこのステップを実行します。この場合、管理エージェントが13c リリース3、13c リリース2、13c リリース1、または12c リリース4 (12.1.0.4)のいずれかであることを確認します。
これらの1つ以上の管理エージェントをサポートされるこれらのリリースにまだアップグレードしていない場合、ジョブが失敗し、Oracle Exalogic Systemターゲットはアップグレードされません。このような状況で問題を解決するには、最初に対象の管理エージェントをアップグレードしてから、Oracle Exalogic Systemターゲットをアップグレードするためのこのジョブを再発行します。
(オプション) 古いOMSホームの削除
Enterprise Managerシステム(フル・リリースまたは追加OMS)を完全にアップグレードした後で、古いOMSホームの削除を選択できます。手順は、古いOMSホームの削除を参照してください。
CDBおよびPDBで構成されたデータベースへのSYSMANスキーマの移行
CDBおよびPDBで構成されたデータベースにSYSMANスキーマを移行する計画の場合、次の要件を満たしていることを確認します。
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非CDBベースのデータベースへのアップグレード。データベース・アップグレード・プロセスの中で、非CDBベースのデータベースの文字セットがCDBと同じであることを確認します。その後、アップグレード済の非CDBベースのデータベースからCDB内の新しいPDBへSYSMANスキーマを移行します。
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更新済のデータベースの詳細で接続識別子を修正します。これを実行するには、各OMSインスタンスで次のステップを実行します。
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OMSを停止します。
emctl stop oms
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最初のOMS上で管理サーバーを起動します。環境内の他のすべてのOMSでこの指示に従っている場合は、このステップをスキップします。
emctl start oms -admin_only
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管理リポジトリの接続識別子を変更します。
emctl config oms -store_repos_details -repos_conndesc "(DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=<host_name>)(PORT=<port>))(CONNECT_DATA=(SERVER=DEDICATED)(SERVICE_NAME=<service_name>)))"
たとえば、
emctl config oms -store_repos_details -repos_conndesc "(DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=dbhost.example.com)(PORT=1522))(CONNECT_DATA=(SERVER=DEDICATED)(SERVICE_NAME=pdb2.example.com)))"
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すべてのOMSインスタンスを停止して起動します。
emctl stop oms -all
emctl start oms
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OMSのモニタリング構成および管理リポジトリのターゲットを修正します。
emctl config emrep -conn_desc "<TNS_connect_descriptor>"
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古いOMSに関連付けられたままのJVMターゲットの管理
古いOMSに関連付けられているJVMターゲットがある場合は、WebLogicドメインをリフレッシュした後も、古いOMSに関連付けられているJVMターゲットがWebLogicドメインのホームページに引き続き表示されます。これは予測されている動作です。

履歴データの表示のためにこれを保持するか、削除することを選択できます。削除するには、孤立したJVMターゲットを右クリックして、「ターゲットの削除」を選択します。
Enterprise Managerシステムのアップグレード前にスキップしたジョブ・タイプのアップグレードの有効化
Enterprise Managerシステムの停止時間を短縮するためのジョブ・タイプの更新の選択的なスキップの説明に従って特定のジョブ・タイプのアップグレードを選択してスキップまたは後回しにした場合は、Enterprise Managerシステムのアップグレード後にMGMT_PARAMETERS表に挿入した値を必ず消去します。
そのためには、SYSMANユーザーとしてOracle Management Repositoryを格納しているデータベースにログインし、次の問合せを実行します。
DELETE FROM MGMT_PARAMETERS WHERE parameter_name LIKE 'mgmt_job_skip_job_type_upg%');
COMMIT;
また、SYSMANユーザーとしてOracle Management Repositoryに対するSQLPlusセッションを作成し、次のコマンドを実行します。
警告:
ジョブ・タイプPropagateTarget
およびExecLoaderCallbacks
はリストに含めないでください。
BEGIN
FOR c IN (SELECT job_type_id
FROM MGMT_JOB_TYPE_MAX_VERSIONS
WHERE job_type IN ('<job type 1>', '<job type 2>', ...))
LOOP
MGMT_JOB_ENGINE.reschedule_on_new_jobtype_ver(c.job_type_id);
COMMIT;
END LOOP;
END;
TLSv1.2でのOMRデータベースの構成
TLSv1.2でOMRデータベースを構成するには、『Enterprise Manager Cloud Controlセキュリティ・ガイド』のEnterprise Managerリポジトリとの通信のためのTLSv1.2の構成に関する項を参照してください。
OEMで構成された外部認証プロバイダの再構成
Enterprise Managerを任意の外部認証プロバイダまたはシングル・サインオン・ソリューション(SSO)で認証する場合は、Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース4にアップグレードした後で、外部認証プロバイダまたはSSOを再構成する必要があります。
詳細は、『Oracle Enterprise Manager Cloud Controlセキュリティ・ガイド』の認証の構成に関する項を参照してください。
Oracle HTTP Server Webgateの再構成
Oracle Enterprise Manager Cloud Controlリリース5へのアップグレード後、Oracle HTTP Server Webgateは自動的に再構成されないため、再構成する必要があります。
Oracle Enterprise Manager Cloud Controlリリース5には、Webgateバージョン12.2.1.4がバンドルされています。
Webgate 12.2.1.4を構成するための前提条件を確認するには、Oracle HTTP Server Webgateを構成するための一般的な前提条件を参照してください。
Webgateを再構成するには、Oracle HTTP Server WebGateの構成を参照してください。
emctl config auth oam [-sysman_pwd <pwd>] -oid_host <host> -oid_port <port>
-oid_principal <principal> [-oid_credential <credential>]
-user_base_dn <dn> -group_base_dn <dn>
-oam_host <host< -oam_port <port> [-logout_url <url>] [-user_dn <dn>] [-group_dn <dn>]
(オプション) Oracle Enterprise Manager App for Grafanaの構成
Enterprise Manager 13cリリース4 Update 3 (13.4.0.3)以降にアップグレードした後、Oracle Enterprise Manager App for Grafanaを構成できます。
Oracle Enterprise Manager App for Grafanaを使用すると、EMメトリック・データをGrafanaに統合して表示できます。EMは、様々な管理対象ターゲットから広範なメトリック・データを収集しており、このアプリケーションを使用すると、このデータをユースケースに活用できます。目的のEMメトリックを参照して選択するか、または高度なユースケースの場合にはEMリポジトリのSDKビューまたはターゲット・データベースに対してSQLクエリを実行することにより、カスタムEMベースのGrafanaダッシュボードを作成できます。Appは、Grafanaによってサポートされる追加のダッシュボード・カスタマイズに対してEMのデータ・ビジュアライゼーション機能を拡張するものです。Oracle Enterprise Manager App for Grafanaはダウンロードできます。このアプリケーションのインストール、有効化および使用の詳細は、Oracle Enterprise Manager App for Grafanaユーザーズ・ガイドを参照してください。
Enterprise Manager WebLogicドメイン・ターゲットの更新
Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース5以降、BI PublisherはEnterprise Managerのアップグレード・プロセスの一部ではなくなりました。詳細は、Enterprise Manager Cloud Control 13cリリース5へのアップグレードと並行したOracle BI Publisherのアップグレードを参照してください。
- Enterprise Manager 13.5コンソールにログインし、「ターゲット」 > 「ミドルウェア」に移動して、GCDomainにナビゲートします。
- WebLogicドメインをリフレッシュし、失効したターゲットを削除します。
「WebLogicドメイン」メニューに移動して、WebLogicドメインのリフレッシュをクリックし、「ターゲットの削除」をクリックします。
ターゲットの検索中 - 「進行中」プロセスが開始されます。削除されるターゲットを表示するには「閉じる」をクリックします
- 残りの失効したBIPターゲットを削除します。
メイン・メニューに移動し、「ターゲット」 > 「すべてのターゲット」をクリックし、
bip
を検索しますターゲットごとに次を実行します。
- ターゲットを右クリックします。
- 「ターゲット設定」を選択します。
- 「ターゲットの削除」を選択します。
- 削除を確認します。
- 確認を受信します。
Enterprise Managerを使用したOracle Analytics Serverの詳細は、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlを使用したOracle Analytics Serverのインストールと構成を参照してください。