2 このアクセシビリティ・ガイドについて

このガイドは、アシスティブ・テクノロジおよびキーボードを使用してOracle Application Expressにアクセスするための一般的な説明と、すべてのユーザーがアクセスしやすく、非常に使いやすいOracle Application Expressアプリケーションを開発するためのガイドラインの、2つの項で構成されています。

「オラクル社は、職場環境全体を向上させ、従業員、当社のお客様および当社のお客様のお客様の生産性に貢献する、アクセスしやすいテクノロジおよび製品の制作に取り組んでいます。」 — オラクル社、最高経営責任者、Safra Catz

アクセシビリティの概要

Webアクセシビリティとは、障害を持った方々がWebを効果的に使用してWebに参加できることを意味しています。障害を持ったの方々が確実にOracle Application Expressを使用できるようにするには、よりアクセスしやすいWebアプリケーションおよびソフトウェアを設計および開発する必要があります。

アクセシビリティはチェックリストのみではなく、継続中の計画された取り組みです。このガイドの目的は、プロセス計画を開始し、Oracle Application Expressを使用してアクセスしやすいアプリケーションを構築する方法を理解できるようにすることです。

Oracle Application Expressのアクセシビリティについて

Oracle Application Expressは、SQLおよびPL/SQLを使用してWebアプリケーションを開発するためのOracleの主要ツールです。Webブラウザのみを使用して、デスクトップおよびモバイル・デバイス用のプロフェッショナルなWebベースのアプリケーションを開発およびデプロイできます。Oracle Application Expressは、Oracle Databaseの無償オプションとして完全にサポートされています。デフォルトでOracle Databaseのすべてのエディションにインストールされています。

Oracle Application Expressは、ユニバーサル・テーマ(UT)を含み、WCAG 2.0のAAレベルまで、および第508条の該当基準に基づいたOracleの企業Webアクセシビリティ・ガイドラインに従っています。Oracle Application Expressがこれらの基準にどの程度正確に満たしているかについては、これらのガイドラインへの準拠についてのフレームワークを明記した、Oracle Application Express用のVPATに記載されています。

2.1 Webアクセシビリティとは

このガイドでは、Web Content Accessibility Guidelines 2.0 (WCAG 2.0)を参照して、関連する基準でガイドラインの一部を補強し、詳しい解説を示します。

W3Cによると、Webアクセシビリティとは、障害を持った方々がWebに対して認識、理解、ナビゲーションおよび対話でき、Webに貢献できることを意味しています。Webへのアクセスに影響のある障害は、視覚、聴覚、発話、認知、身体、神経の障害に分類できます。Webアクセシビリティの目的は、障害を持ったユーザーに平等なアクセスを提供することです。つまり、開発者はよりアクセスしやすいWebアプリケーションおよび製品を構築することに重点を置く必要があります。障害を持った方々以外にも、身体的機能の低下した高齢の方や制限された状況にいる方(たとえば、低速のインターネット接続、音声がないなど)も、アクセスしやすいアプリケーションおよび製品の恩恵を受けることができます。

アクセシビリティの原則

W3Cによって策定されたWCAG 2.0は、アクセシビリティの4つの原則を次のように定義しています。
  • 知覚可能: 情報およびユーザー・インタフェース・コンポーネントは、ユーザーが知覚できる方法でユーザーに提示可能でなければならない。つまり、ユーザーは提示された情報を知覚できなければならない。
  • 操作可能: ユーザー・インタフェース・コンポーネントおよびナビゲーションは操作可能でなければならない。つまり、ユーザーはインタフェースを操作できなければならない。
  • 理解可能: 情報およびユーザー・インタフェースの操作は理解可能でなければならない。
  • 堅牢: コンテンツは、アシスティブ・テクノロジを含む様々なユーザー・エージェントが確実に解釈できるように十分に堅牢でなければならない。

各原則には、原則を扱うガイドラインのリストがあり、計12のガイドラインがあります。各ガイドラインには、1つ以上のテスト可能な成功基準(A、AAおよびAAAの3つのレベル)があります。これらの原則、ガイドラインおよび成功基準についてさらに学習するには、Web Content Accessibility Guidelines 2.0 (WCAG 2.0)を参照してください。

2.2 アクセシビリティが重要な理由

世界人口の16%に達する人々が出生、高齢化、病気、事故などによる障害を持っています。アクセスしやすい製品を提供することで、企業と既存のお客様および見込みのあるお客様との間の障害が取り除かれます。アクセシビリティにより、雇用者は幅広い才能の人材の中から採用活動を行うことができます。総じて、アクセシビリティにより、一般的にすべての人向けの製品(ユニバーサル・デザイン)が向上されます。

アクセスのしやすい製品の開発は、企業が次のような調達および差別に関する法律に従うために非常に重要になります。
  • 1973年のリハビリテーション法第508条
  • Mandate 376 (E.U.)
  • Accessibility for Ontarians with Disabilities Act (カナダ)
  • Americans with Disabilities Act (米国)
  • Disability Discrimination Act, and Equality Act (英国)
  • Twenty-First Century Communications and Video Accessibility Act (米国)

2.3 アクセシビリティに対応した構築について

アクセシビリティの構築とは、基準に合せたコーディングのことであり、特定のテクノロジのことではありません。基準にあわせて構築すると、多くの場合、良好で標準化されたHTMLやクリーンなコードになります。Oracleでのアクセスしやすいアプリケーションの構築のプロセスには、開発サイクルのすべての段階において多くの時間およびリソースが必要とされます。アクセシビリティのガイドラインおよび基準は、Voluntary Product Accessibility Template (VPAT、米国連邦リハビリテーション法第508条に従った製品の記述)を使用して検討、実装および確認されます。

Chief Corporate Architectの監督下であるOracle Accessibility Program Officeは、アクセシビリティについての会社基準を定義し、すべての従業員がこれらの基準を満たした製品を正常に制作できるように従業員をトレーニングする資料を開発する責任があります。OracleのAccessibility Programについてさらに学習するには、Oracleのアクセシビリティ情報およびリソースを参照してください。

Oracleでは、VPATを使用して、第508条、WCAG 1.0およびWCAG 2.0を含む様々なアクセシビリティの基準およびガイドラインへの準拠の程度を表します。製品の開発およびリリースのタイミングによって、異なる基準がリストされている場合があります。