3 Oracle Spatial Studioの使用

ユーザーは、1つ以上のプロジェクトを作成でき、各プロジェクトでは様々な空間操作を実行する1つ以上の空間データセットを定義できます。

  • プロジェクトには、意図された用途に論理的に関連するSpatial Studioオブジェクト(データセットなど)が含まれています。たとえば、プロジェクトにはNew England Sales Territories、Sales Territories and CustomersまたはOhio Airports and Countiesという名前を付けることができます。プロジェクトを作成する際には、地理的領域で空間データを識別および分析する目的を知っておく必要があります。
  • データセットとは、特定の使用タイプおよびジオメトリ・タイプの空間機能のコレクションです。たとえば、データセットには、多角形ジオメトリによって表される空港、LRS線ストリング・ジオメトリによって表される道路、または点ジオメトリによって表される事故が含まれています。
  • 接続では、目的の空間データがあるOracle Databaseスキーマに接続するための情報を指定します(ユーザー名、パスワード、システム、ポート、データベース名など)。(これはSQL Developerの接続と似ています)

(これらの用語、およびSpatial Studioの用語で定義されている用語を理解しておいてください。)

プロジェクト、データセットおよび接続のページには、それぞれ対応するタイプのStudioオブジェクトを作成できる「作成」ボタンがあります。

図3-1 「作成」ボタン

図3-1の説明が続く
「図3-1 「作成」ボタン」の説明

Spatial Studioには、ツールの概要とチュートリアル・リソースへのリンクがある初期(メイン)ページ、および主なユーザー操作のためのいくつかのページがあります。次の図はメイン・ページを示しています。ナビゲーション・ドロワーが展開され、作業可能な主要オブジェクトの左側のメニューが表示されています。

図3-2 Spatial Studioのメイン・ページ

図3-2の説明が続く
「図3-2 Spatial Studioのメイン・ページ」の説明

ナビゲーション・ドロワー (ハンバーガーのようなアイコン、左上):

  • プロジェクト(最初に選択されています): 既存のプロジェクトおよび公開プロジェクトが含まれています。
  • データセット: このページには、現在のユーザーが使用できるすべての既存のデータセットがリストされます。
  • 接続: このページには、現在のユーザーが使用できるすべての既存の接続(データ・ソース)がリストされます。
  • コンソール: 「設定」、「システム・ステータス」および「情報」の各タブで、Spatial Studioのステータスおよびアクティビティを監視できます。
  • タスク: 様々なタスク(Spatial Studioによって開始されてユーザー・リクエストを実装するバックグラウンド・ジョブ)のタブ

3.1 Spatial Studioの使用開始

Spatial Studioには、ツールの使用を開始するために役立つ情報およびリンクが記載されたページがあります。

このページを表示するには、ほとんどのページの右上の領域(「作成」ボタンの上)にある小さい疑問符アイコン(?)をクリックします。Spatial Studioの開始ページには、次のものが含まれています。

  • 概要を見る: このビデオを視聴することは、ユーザー・インタフェースを理解し、使用可能なアクションの実行方法を確認するための最もよい方法です。
  • データの準備: マッピングおよび空間分析のためにビジネス・データを有効にします。
  • 視覚化および分析: ビジネス・データの地理的パターンおよび関係を調査します。
  • 詳細: Oracle Spatial Cloudについてより詳しく学ぶには、ビデオ・ライブラリをご覧ください。

3.2 Spatial Studioの「プロジェクト」ページおよび「アクティブ・プロジェクト」

「プロジェクト」ページには、作成されたすべてのプロジェクト(未公開と公開済の両方)がリストされます。

プロジェクトで作業したり、プロジェクトに関する詳細を確認するには、そのアイコンをクリックして「アクティブ・プロジェクト」にします。Oracle Spatial Studioリリース20.1以降、個別の「アクティブ・プロジェクト」ページはなくなりました。既存のプロジェクト・ページをクリックして開くと、プロジェクト・リスト・ページが置き換えられます。

レイヤー・リスト -「データ」: 選択したアクティブなプロジェクトに追加されたデータセットのリストが表示されます。任意のデータ項目を右クリックして、コンテキスト・メニューを表示します(空間分析、レイヤーにズーム、「切取り」、前に貼付け、後に貼付け、「削除」、記号のスタイル、ヒートマップのスタイル、「プロパティ」を含む)。

データ・レイヤー関連のオプションを表示するには、レイヤー名の横にあるメニュー・セレクタをクリックして、使用可能なオプションを表示します。

  • 設定: 「スタイル」、「相互作用」および「凡例」の表示オプションを示します。
  • 空間オプション: 多くの空間操作(すべて、またはタイプによってフィルタ処理(フィルタ、結合、変換、測定))を実行できます。たとえば、指定した間隔のバッファの追加、他の形状と空間関係を持つ形状の取得、領域の計算などです。
  • レイヤーにズーム: レイヤー全体にあわせて表示をズームします(ズーム・アウトまたはズーム・イン)。
  • レイヤーのリフレッシュ: レイヤーをリフレッシュしてすべてのユーザー・アクションを反映します。
  • 削除: プロジェクトからレイヤーを削除します。

図3-3 「アクティブ・プロジェクト」ページ

図3-3の説明が続きます
「図3-3 「アクティブ・プロジェクト」ページ」の説明

「アクティブ・プロジェクト」表示の右上の領域には、アクティブ・プロジェクト用の「保存」「名前を付けて保存」「共有」(公開用)、プロジェクト設定(「名前」、「作成者」、「説明」)および「閉じる」のアイコンがあります。

図3-4 「アクティブ・プロジェクト」ページのアイコン

図3-4の説明が続きます
「図3-4 「アクティブ・プロジェクト」ページのアイコン」の説明

3.3 Spatial Studioの「データ」ページ

「データ」ページでは、既存のデータセットの表示と編集、および新しいデータセットの作成を行うことができます。

次の図は「データ」ページを示しています。

図3-5 ドロップダウン・メニューを含む「データ」ページ

図3-5の説明が続きます
「図3-5 ドロップダウン・メニューを含む「データ」ページ」の説明

新しいデータセットを作成するには、「データセットの作成」をクリックします。データセットは次のものから作成できます。

  • スプレッドシート・ファイル
  • シェープファイル
  • GeoJSONファイル
  • 接続
  • 3D Tilesのtilesetファイル

表示されているデータセットの「最終変更日」の後ろの下向き矢印をクリックすると、次の項目から選択できます。

  • プロパティ: データセットのプロパティを表示または変更します。
  • プロジェクトの作成: 新しいプロジェクトを作成します。
  • データセットの削除: このデータセットを削除します。
  • データセットのエクスポート: このデータセットをエクスポートします(GeoJSONまたはCSVファイル形式)。
  • 準備: (住所、エンリッチメントのクリア、緯度/経度索引の作成、緯度/経度索引の削除)

3.4 Spatial Studioコンソール

コンソールでは、Spatial Studioのステータスおよびアクティビティを監視できます。サーバー・ログの表示、グローバル・システム構成の変更、カスタム・ベースマップの管理および安全ドメインのホワイト・リストの作成を行うことができます。

コンソールを表示するには、次の図に示すように、ナビゲーション・ドロワーから「コンソール」セクションを選択します。

ノート:

Spatial Studioの管理者としてログインする必要があります。

図3-6 Studioのコンソール・ページ

図3-6の説明が続く
「図3-6 Studioのコンソール・ページ」の説明
Studioのコンソール・ページには、次のセクションがあります。

設定

  • 一般: このセクションでは、Studioサーバーで使用されるWebプロキシであるGeoCodingサービスURLを変更できます。また、アプリケーションのフロントエンド・ブランド領域をカスタマイズすることもできます。
  • 安全ドメイン: このセクションでは、Studioアプリケーションから様々なタイプのリソースを安全にロードできるとみなされるドメイン(ホスト名またはIPアドレス)のホワイト・リストを管理できます。通常、Studioのコンテンツ・セキュリティ・ポリシー・ディレクティブにカスタム・ベースマップのドメインを追加するために使用されます。安全ドメイン・リストに変更を加えた後、ブラウザ・ページを再ロードまたはリフレッシュして、新しいコンテンツ・セキュリティ・ポリシーを再ロードする必要があります。
  • ベースマップ: このセクションでは、既存のカスタム・ベースマップをすばやく表示し、新しいカスタム・ベースマップを追加できます。カスタム・ベースマップは、ラスター・タイルまたはベクター・タイルのいずれかで構成でき、通常はサード・パーティのタイル・サーバーでホストされます。
  • Cesiumベースマップ: このセクションでは、3D Cesiumマップのビジュアライゼーション専用に使用される既存のカスタム・ベースマップをすばやく表示できます。また、3Dマップのビジュアライゼーションで使用される新しいベースマップを追加することもできます。

メンテナンス

  • WKText索引の再構築: このセクションは、リポジトリ・データベース・スキーマでサポートされている空間参照ウェル・ノウン・テキスト定義のテキスト索引を再構築する必要がある場合にのみ使用します。シェープファイル・アップロードでは、このウェル・ノウン・テキスト索引を使用して最適なSRIDが自動的に照合されます。
  • メタデータのキャッシュのリフレッシュ: Spatial Studioでは、通常、データセット、接続およびプロジェクトの定義などの、頻繁に使用されるすべてのメタデータがキャッシュされます。まれなイベントで一部のキャッシュされたメタデータが失効したり、同期しなくなったりした場合に、キャッシュ全体をリフレッシュする必要がある場合があります。

モニタリング

  • システム・ステータス: このセクションには、Spatial Studioサーバーの一般的な状態およびシステム・ステータスに関する読取り専用情報が表示されます。クラスタ・デプロイメントでは、このセクションには現在のセッションが接続されている特定のStudioインスタンスの情報のみが表示されます。
  • サービス・ログ: このセクションでは、必要な数のサーバー側ログをロードおよび表示できます。乱雑さを減らすために、目的のロギング・レベルを使用して結果をフィルタ処理できます。

3.5 Spatial Studioのリポジトリ・スキーマ・パスワードが変更されている場合

Spatial Studioのリポジトリ・スキーマ・パスワードが変更されている場合は、次のようにsgtech_config.json構成ファイルを更新する必要があります。

  1. このファイルのバックアップ・コピーを作成します。たとえば、~/.sgtech/sgtech_config.json~/.sgtech/sgtech_config.json_backupにコピーします。
  2. Spatial Studioの計算ノードで、ファイル~/.sgtech/sgtech_config.jsonを編集します。
  3. metadata_schemaセクションで、database_passwordを必要な値に更新します。
  4. ファイルを保存してSpatial Studioデプロイメントを再起動します。クイック・スタート・キットを使用している場合に再起動するには、クイック・スタートのREADMEファイルを参照してください。WebLogic Serverデプロイメントの場合は、WebLogic Serverコンソールを使用して再起動します。
  5. Spatial Studioアプリケーションを開きます。ログインできる必要があります。

必要に応じて編集できる他の(リポジトリ以外の)接続も含め、作成したすべてのアーティファクトが残ります。