5 Oracle Exadata Deployment Assistantの使用

この章では、Exadataだけでなく、Zero Data Loss Recovery Applianceおよびその他のOracle Engineered Systemでも使用されるOracle Exadata Deployment Assistantの使用方法について説明します。入力する情報は、リカバリ・アプライアンス構成ファイルの作成に使用されます。これらのファイルは、インストール・ユーティリティと連携して、インストール・プロセスを自動化します。

Oracle Exadata Deployment Assistantの概要

Oracle Exadata Deployment Assistant (OEDA)を使用して、システム構成の詳細を指定し、システム構成プロセスを実行します。

OEDAには、構成詳細を収集してZDLRAラック構成ファイルを作成するためのグラフィカル・ユーザー・インタフェースが用意されています。構成ファイルにより、ZDLRAラックの自動的なインストールおよび構成プロセスが進められます。

OEDAコマンドライン・インタフェース(OEDACLI)を使用すると、ZDLRAラックのライフサイクル管理タスクを実行することもできます。

最新バージョンのOEDAは、Exadata Database MachineおよびExadata Storage Serverのサポートされているバージョン (Doc ID 888828.1)からダウンロードできます。OEDAは、Oracle Technology Networkから入手することもできます。

OEDAは、ZDLRAラックに加えてOracle Zero Data Loss Recovery ApplianceおよびOracle SuperClusterに対しても使用されます。

Oracle Exadata System Softwareリリース19.1.0では、OEDA用のWebベースのインタフェースが導入されています。ただし、ここで説明する全体的なプロセスは、WebベースまたはJavaベースのどちらのユーザー・インタフェースを使用するかに関係なく同じです。

  • エンジニアド・システムが到着する前に、次の手順を実行します。
    1. ネットワーク管理者およびデータベース管理者と連携して、現在のIPアドレスの使用状況やネットワーク構成など、現在のネットワーク設定を評価します。OEDAはIPv6アドレスをサポートします。
    2. ネットワーク構成やバックアップ方法などのラックの設定を定義します。
    3. Oracle Technology NetworkからOEDAの最新バージョンをダウンロードします。
    4. サポートされているプラットフォームで構成スクリプトを解凍して実行し、構成するシステムのタイプを選択します。
    5. OEDAのすべてのページにアクセスして、すべての必須フィールドに値を指定します。必須の値をすべて指定するまで、次のページに進めません。命名の詳細とDNS、NTPおよびネットワークの詳細を指定する必要があります。
    6. OEDAとの対話の後に、構成ファイルがクライアント上に生成されます。ファイルは、OEDAによって生成されるInstallationTemplate.htmlファイルの下部にもリストされます。エンジニアド・システムおよび構成に応じて、OEDAは次のファイルのすべてまたは一部を生成します。

      • databasemachine.xml
      • CustomerName-rackname.xml
      • CustomerName-rackname-preconf_GUID.csv
      • CustomerName-rackname-InstallationTemplate.html
      • CustomerName-rackname-platinum.csv
      • CustomerName-rackname-checkip.sh
      • CustomerName-rackname.zip
      • pkey_GUID.csvおよびpkey_racknamehostname_GUID.csv — 仮想環境でInfiniBandパーティション化を有効にした場合

      CustomerName-hostname.zipファイルには、生成されたすべてのファイルが含まれます。

    7. InstallationTemplate.htmlファイルを確認して構成全体を確認し、すべての情報が正しく入力されたことを確認します。
  • エンジニアド・システムが到着する少し前、または構成するようスケジュールされているときに、Oracleの指示に従ってネットワーク構成を検証します。ラックの構成前のネットワーク構成の確認を参照してください。
  • エンジニアド・システムが到着した後、構成ファイルがデータベース・サーバーにコピーされ、検証とインストールが完了します。unresolvable-reference.html#GUID-01C85D18-A5AE-4285-97C3-DE246FC0BE79を参照してください。

アクセシビリティのノート: WindowsでOracle Exadata Deployment Assistantを補助テクノロジで使用している場合(アクセシビリティ向け)、Java Access Bridgeを有効にする必要があります。

OEDAの使用に関する考慮事項および要件

Oracle Exadata Deployment Assistant (OEDA)を使用する前に、この情報を確認します。

  • リカバリ・アプライアンスは、Oracle Linuxオペレーティング・システムがサーバーにインストールされた状態で出荷されます。

  • ラック接頭辞を使用して、すべてのコンポーネントのホスト名を生成します。たとえば、ラック接頭辞にdbm0を指定した場合は、次のようになります。

    • データベース・サーバーのホスト名はdbm0db01のようになります
    • ストレージ・サーバーのホスト名はdbm0cel01のようになります
    • 他の名前は、このホスト名と(セル・ディスクおよびカタログの)特定の指定を組み合せることで作成され、32文字の制限がありますが、ホスト名が16文字を超えるとその制限を超えるため、ホスト名は16文字以下にする必要があります。
    • InfiniBand Network Fabricスイッチの名前はdbm0sw-iba1のようになります
    • RoCE Network Fabricスイッチの名前はdbm0sw-rocea1のようになります。

    ノート:

    ラック接頭辞には、文字と数字を最大20文字含めることができます。空白および記号は使用できません。たとえば、感嘆符(!)、ハイフン(-)などです。

    複数のラックがある場合、各ラック接頭辞はラックを識別する一意の値にする必要があります。1台目のラックにdbm01、2台目にdbm02、3台目にdbm03といったように名前を付けることをお薦めします。

  • 使用するバックアップ方法および冗長性保護レベルによって、インストール中に作成されるOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)ディスク・グループのサイズが決まります。

    • 内部バックアップを構成する場合、データベース・バックアップはデータベースのRECOディスク・グループの高速リカバリ領域のディスクに作成されます。高速リカバリ領域には、アーカイブREDOログおよびフラッシュバック・ログ・ファイルも含まれます。DATAディスク・グループとRECOディスク・グループの間のディスク領域の区分は、それぞれ40%と60%となります。

    • 外部バックアップを構成する場合、データベース・バックアップは、現在デプロイされているリカバリ・アプライアンスの外部にあるディスクまたはテープ・メディアに作成されます。高速リカバリ領域には、アーカイブREDOログやフラッシュバック・ログ・ファイルなどのオブジェクトのみが含まれます。

  • リカバリ・アプライアンスのインストール時には、有効なタイムゾーン名が必要となります。リカバリ・アプライアンスおよびOracle Linuxに提供されるタイムゾーン値は、タイムゾーン・データベースから取得されます。TZ環境変数を使用して、各サーバーに対して有効なタイムゾーン名を指定する必要があります。変数値は地域/場所の形式です。たとえば、America/New_Yorkは有効なTZ値であり、ESTEDTおよびUTC-4は無効な値です。

OEDAブラウザベース・ユーザー・インタフェースの開始

OEDAアプリケーション・サーバーは、Linux、OSXおよびWindowsで使用できます。

ノート:

OEDA Webベースのユーザー・インタフェースはOracle SuperClusterをサポートしていません。かわりに、configssc.shコマンドを使用します。

2018年10月以降のOEDAリリースでは、Oracle Exadata Deployment Assistant (OEDA) Webベースのユーザー・インタフェースが提供されます。OEDA Webベース・インタフェースでは、Javaベース・バージョンのOEDAで作成された以前のOEDA XML構成ファイルをインポートできます。

ノート:

OEDA Webベース・インタフェースは、ChromeおよびFirefoxブラウザでのみサポートされています。

OEDAアプリケーション・サーバーを設定し、Webベースのユーザー・インタフェースを起動するには、次のステップを実行します。

  1. My Oracle Supportノート888828.1から最新のOEDAリリースをダウンロードし、OEDAアプリケーション・サーバーを実行するシステムにアーカイブをコピーします。

  2. OEDAアプリケーション・サーバーを実行するシステムで、ダウンロードした圧縮ファイルの内容を抽出します。抽出されたコンテンツは、オペレーティング・システムに応じてlinux-x64macosx-x64windows-i586などのディレクトリに書き込まれます。これをOEDA_HOMEディレクトリと呼びます。

  3. OEDAアプリケーション・サーバー(OEDA_HOMEディレクトリにあります)を起動します。

    • Linux、OSXおよびUNIXの場合は、次を実行します。

      installOedaServer.sh [-p port-number] [-g]
    • Microsoft Windowsの場合は、次を実行します。

      installOedaServer.cmd [-p port-number] [-g]

    コマンドの内容は次のとおりです。

    • -p port-number — オプションで、OEDAアプリケーション・サーバーのポート番号を指定します。

      指定しない場合、デフォルト・ポート番号は7072です。ただし、未使用であれば任意のポート番号を指定できます。1024未満のポート番号を使用することはお薦めしません。

    • -g — オプションで、OEDAアプリケーション・サーバーが使用可能なすべてのネットワーク・インタフェースで接続を受け入れることを指定します。

      指定しない場合、OEDAアプリケーション・サーバーはlocalhostインタフェース(127.0.0.1)でのみリスニングします。

    権限のないOSユーザー・アカウントを使用してinstallOedaServerプログラムを実行できます。OS管理者としてログインする必要はありません。

    installOedaServerプログラムを実行すると、最新のOEDAアプリケーション・サーバー・バージョンを起動する前に、以前のOEDAアプリケーション・サーバー・インスタンスが停止および削除されます。

  4. OEDA Webベースのユーザー・インタフェースにアクセスします。

    OEDAアプリケーション・サーバーを起動した後、ブラウザを開いて次のURLを入力してWebベースのインタフェースにアクセスできます。

    http://host-name:port-number/oeda

    URL:

    • host-nameは、アプリケーション・サーバーのホスト名です。

    • port-numberは、installOedaServerプログラムを起動したときに指定したネットワーク・ポート番号です。たとえば、7072

    OEDAアプリケーション・サーバーの起動時に-gオプションを指定しなかった場合は、OEDAアプリケーション・サーバーと同じホストでブラウザを実行し、アプリケーション・サーバーのホスト名としてlocalhostを指定する必要があります。

ブラウザベース・バージョンのOracle Exadata Deployment Assistantの使用

既存のデプロイメントに追加する場合は、初期構成にデプロイメント・アシスタントを使用します。新しいラックやコンポーネントを追加する場合は、既存の構成をインポートできます。

デプロイメント・アシスタントを実行する前に、次を使用できるようにしておきます。

  • IPアドレス
  • マシン名
  • DNS情報
  • ラックのNTP情報

OEDAのドロップダウン・メニューには次のオプションがあります。

  • 情報: OEDAのバージョン情報を表示します。
  • 新規: 新しい構成を開始します。
  • インポート: 既存の構成ファイルをインポートします。ファイル形式はXMLです。
  • コマンド・コンソール: OEDAコマンドライン・インタフェース(OEDACLI)のコマンド・コンソールを開きます。
  • 保存: 現在の構成をXMLファイルに保存します。
  • 診断: OEDA Webインタフェースに関する問題のトラブルシューティングと診断に使用できるZIPファイルを作成します。
  • プリファレンス: Webインタフェースの動作に関するプリファレンスを指定します。
  • 検証: 現在の構成で完全性と正確性を確認します。
  • IPのチェック: IPアドレスをチェックします。
  • インストール・テンプレート: 現在の構成を要約するインストール・テンプレート・レポートを生成します。
  • ヘルプ: OEDA Webインタフェースで提供されるオプションおよびコントロールについて説明します。

次のリストでは、OEDA Webインタフェースの構成フローについて説明します。OEDA Webインタフェースで提供されるオプションおよびコントロールの詳細を表示するには、ヘルプメニュー・オプションを使用します。

  1. 「ハードウェアの選択」ページでデプロイするハードウェアを選択します。また、このページには顧客情報も入力します。
  2. ラック・ネットワーク・ページに管理ネットワークおよびプライベート・ネットワーク情報を入力します。
  3. 「ユーザー」ページでユーザーおよびグループ構成を指定します。デフォルト、役割区分またはカスタム構成から選択できます。
  4. 各クラスタについて「クラスタ」ページでクラスタを定義します。
  5. 「ディスク・グループ」ページでディスク・グループのレイアウトを定義します。
  6. データベース・ホームの作成ページで、各OracleホームのOracle Databaseホーム情報を入力します。
  7. 「データベース」ページでデータベースとその属性を指定します。

    ノート:

    Exadataでデータベースを作成するには、Oracle Exadata Deployment Assistant (OEDA)またはOEDAコマンドライン・ユーティリティ(OEDACLI)を使用することをお薦めします。どちらのユーティリティもExadataシステム構成の最新のExadataベスト・プラクティス構成設定を実装します。Oracle Database Configuration Assistant (DBCA)は、Oracle Databaseソフトウェア・バンドルでも使用できます。ただし、DBCAは、OEDA XML構成ファイルと統合されず、推奨されるExadata固有の構成設定を実装しない可能性があるため、Exadataでの新規データベース作成にはお薦めしません。

  8. 「クラスタ・ネットワーク」ページで、クライアントおよびバックアップ・ネットワーク情報を入力します。

    収集ネットワークまたはレプリケーション・ネットワークが必要な場合は、その情報をクラスタ・ネットワーク・ページで指定します。

  9. 「アラート」ページで、電子メール・アラート、SNMPアラート、自動サービス・リクエスト、Oracle Config ManagerおよびEnterprise Managerのアラートを構成します。
  10. 構成に関する質問に回答し、「コメント」ページのテキスト・フィールドにデプロイメントに関する追加情報を入力します。このフィールドに入力した情報は、InstallationTemplate.htmlファイルの下部に表示されます。
  11. 保存およびダウンロードをクリックして構成ファイルを作成します。ZIPファイルを保存するローカル・コンピュータ上の場所を選択するよう求められます。
  12. Oracle Exadataラックの最初のデータベース・サーバー上のディレクトリにZIPファイルをコピーします。/u01のサブディレクトリ(/u01/oedaディレクトリなど)を使用します。これらのファイルは、フィールド・エンジニアがOracle Exadataラックを構成する際に使用します。