9.3.3.3 tfactl diagcollect

tfactl diagcollectコマンドを使用して、オンデマンドの診断収集を実行します。

AHF 23.8

AHF 23.8以降では、事前認証済(PAR) URLにアップロードできます。AHFインサイト・レポートをアップロードすると、Oracle Cloud Operationsでベスト・プラクティス構成におけるシステム・ヘルス問題点および相違点を迅速かつ効率的に特定、調査、追跡および解決するために役立ちます。

Oracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure (ExaDB-D)およびOracle Base Database Service

AHFインサイト・レポートをPARの場所にアップロードするには、次を実行します。
tfactl diagcollect -insight -last 1h -par <par_url>
tfactl insight -last 1h -par <par_url>

Oracle Trace File Analyzer Collectorでは、次の3種類のオンデマンド収集を実行できます。

  • デフォルト収集
  • イベントドリブンのサポート・サービス・リクエスト・データ収集(SRDC)の収集
  • カスタム収集

構文

tfactl diagcollect [ [-insight | -noinsight] [component_name1] [component_name2] ... [component_nameN] | [-srdc <srdc_profile>] | [-defips]] 
[-sr <SR#>] 
[-node <all|local|n1,n2,..>] 
[-tag <tagname>] 
[-z <filename>] 
[-acrlevel <system,database,userdata>] 
[-last <n><m|h|d>| -from <time> -to <time> | -for <time>] 
[-nocopy] 
[-notrim] 
[-dryrun] 
[-silent] 
[-cores]
[-collectalldirs]
[-collectdir <dir1,dir2..>]
[-collectfiles <file1,..,fileN,dir1,..,dirN> [-onlycollectfiles]] 
[-par <par_url>] 
[-onlyinsights] 
[-request_from <requestor>] 
[-examples]
[-singlearchive]
コンポーネント:
-ips|-database|-asm|-crsclient|-dbclient|-dbwlm|-tns|-rhp|-procinfo|-cvu|-afd|-crs|-cha|-wls|-emagenti|-emagent|-oms|-omsi|-ocm|-emplugins|-em|-acfs|-install|-cfgtools|-os|-ashhtml|-ashtext|-awrhtml|-awrtext|-sosreport|-qos|-ahf|-dataguard|-syslens|-hami|-asr|-oda

各コンポーネントの詳細なヘルプは、tfactl diagcollect [component_name1] [component_name2] ... [component_nameN] -helpを使用します

パラメータ

各オプションの先頭にマイナス記号(-)を付けます。

オプション 説明

[ [-insight | -noinsight] [component_name1] [component_name2] ... [component_nameN] | [-srdc srdc_profile] | [-defips]]]

収集を取得するコンポーネントのリストを指定するか、SRDC名を指定するか、デフォルト収集にOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)、Oracle ClusterwareおよびOracle Databasesのインシデント・パッケージング・サービス(IPS)パッケージを含めるように指定します。

-insight: AHFインサイト・レポートを診断収集に含めるように指定します。

-noinsight: AHFインサイト・レポートを診断収集に含めないように指定します。

[-defips]: ASM、CRSおよびデータベースのIPSパッケージをデフォルト収集に含めるように指定します。

[-sr SR#]

Oracle Trace File Analyzerがすべての収集を自動的にアップロードするサービス・リクエスト番号を指定します。

-node all|local|n1,n2,...

指定したノードから診断を収集します。

ノードのカンマ区切りリストを指定します。指定しない場合、コマンドはデフォルトですべてのノードの診断を収集します。

例: tfactl diagcollect -node node1

-tag description

このパラメータを使用して、Oracle Trace File Analyzerリポジトリ内に、収集結果用のサブディレクトリを作成します。

-z file_name

このパラメータを使用して、出力ファイル名を指定します。

[-last nh|d | -from time -to time | -for time]

  • -lastパラメータを指定すると、過去の特定の時間(h)または日数(d)の関連データを含むファイルを収集します。さらに、デフォルトでは、このパラメータを指定してコマンドを使用すると、大きいファイルは切り捨てられ、特定の間隔のファイルのみが表示されます。

    -lastと同じ機能を持つ-sinceを使用することもできます。このオプションは下位互換性のために含まれています。

  • -from-toのパラメータを指定して(この2つのパラメータは一緒に使用する必要があります)、特定の時間間隔内の関連データを含むファイルを収集し、ファイルが大きい場合、この時刻より前のデータが切り捨てられます。

    サポートされている時間書式は次のとおりです。

    "Mon/dd/yyyy hh:mm:ss"

    "yyyy-mm-dd hh:mm:ss"

    "yyyy-mm-ddThh:mm:ss"

    "yyyy-mm-dd"

  • -forパラメータを指定して、指定した時刻の関連データを含むファイルを収集します。tfactlによって収集されるファイルには、-forの後に指定した時間が間に含まれるタイムスタンプがあります。このオプションでは、データの切捨ては行われません。

    サポートされている時間書式は次のとおりです。

    "Mon/dd/yyyy"

    "yyyy-mm-dd"

ノート:

日付と時刻の両方を指定する場合、両方の値を二重引用符("")で囲む必要があります。日付のみまたは時刻のみを指定する場合は、単一の値を引用符で囲む必要はありません。

-nocopy

このパラメータを指定すると、結果のトレース・ファイルの収集が開始ノードにコピーされません。ファイルは、実行ノード上のOracle Trace File Analyzerリポジトリに残ります。

-notrim

このパラメータを指定して、収集されたファイルの切捨てを停止します。

-dryrun

収集されるすべてのファイルのリストと、収集を実際に実行せずに特定のdiagcollectコマンドで実行するスクリプトを含むテキストファイルを作成します。

-silent

このパラメータを指定して、診断収集をバックグラウンド・プロセスで実行します

-cores

このパラメータを指定して、通常は収集されないコア・ファイルを収集します。

-collectalldirs

このパラメータを指定して、Collect Allフラグがtrueに設定されているディレクトリからすべての情報を収集します。

-collectdir dir1,dir2,...dirn

ディレクトリのカンマ区切りリストを指定すると、指定したコンポーネントに加えてタイプと時間の制約に関係なく、それらのディレクトリのすべてのファイルが収集に含まれます。

[-collectfiles file1,..,fileN,dir1,..,dirN [-onlycollectfiles]]

ファイルとディレクトリのカンマ区切りリストを指定すると、指定したコンポーネントに加えてファイルおよびディレクトリが収集に含まれます。

-onlycollectfilesも使用されている場合は、他のコンポーネントは収集されません。

[-acrlevel system,database,userdata]

このパラメータを使用して、リダクションのACRレベルを指定します。

ACRは、次の3つのレベルをサポートしています。
  • system: ホスト名、IP、ポート、ユーザー名などのエンティティ・タイプの場合。
  • database: dbnametbsnamesvcnamesqlstmtなどのエンティティ・タイプの場合。
  • userdata: ブロック・ダンプおよびREDOログ・ダンプの場合。

-sanitize

ノート:

Oracle Autonomous Health Framework 24.1以降、Oracle Trace File Analyzerマスキング機能は非推奨になり、将来のリリースでサポートされなくなる可能性があります。

詳細は、「リリース24.1で非推奨になったOracle Trace File Analyzerマスキング」を参照してください

Adaptive Classification and Redaction (ACR)を使用して、収集内の機密性の高い値をサニタイズします。

このオプションにより、収集を完了するために必要なプロセッサの経過時間と実際の時間が大幅に増加します。

-mask

ノート:

Oracle Autonomous Health Framework 24.1以降、Oracle Trace File Analyzerマスキング機能は非推奨になり、将来のリリースでサポートされなくなる可能性があります。

詳細は、「リリース24.1で非推奨になったOracle Trace File Analyzerマスキング」を参照してください

Adaptive Classification and Redaction (ACR)を使用して、収集内の機密性の高い値をマスクします。

このオプションにより、収集を完了するために必要なプロセッサの経過時間と実際の時間が大幅に増加します。

-examples

このパラメータを指定して、diagcollectの使用例を表示します。

-singlearchive

このパラメータを指定して、リモートzipファイルを開始ノード上の単一のzipファイルにマージします。

例9-91 tfactl diagcollect -onlycollectfiles -collectfiles

tfactl diagcollect -onlycollectfiles -collectfiles
/tmp/tfa/tracedir,/tmp/tfa/tracedir/trace1.log,/tmp/tfa/tracedir2/trace2_dir2.log
-node local -since 1h
Collecting data for local node(s).

TFA is using system timezone for collection, All times shown in UTC.

Collection Id : 20210721225241<hostname>

Detailed Logging at :
/opt/oracle.ahf/data/repository/collection_Wed_Jul_21_22_52_46_UTC_2021_node_local/diagcollect_20210721225241_<hostname>.log
2021/07/21 22:52:51 UTC : NOTE : Any file or directory name containing the
string .com will be renamed to replace .com with dotcom
2021/07/21 22:52:51 UTC : Collection Name : tfa_Wed_Jul_21_22_52_44_UTC_2021.zip
2021/07/21 22:52:51 UTC : Getting list of files satisfying time range
[07/21/2021 21:52:51 UTC, 07/21/2021 22:52:51 UTC]
2021/07/21 22:52:51 UTC : Collecting additional diagnostic information...
2021/07/21 22:52:53 UTC : Collecting ADR incident files...
2021/07/21 22:53:15 UTC : Completed collection of additional diagnostic
information...
2021/07/21 22:53:18 UTC : Completed Local Collection
2021/07/21 22:53:18 UTC : Redacting the collection...
2021/07/21 22:55:06 UTC : Redacted masked Host name :owlo000037-vm1
2021/07/21 22:55:06 UTC : Successfully redacted the collection
.-------------------------------------------.
|             Collection Summary            |
+----------------+-----------+-------+------+
| Host           | Status    | Size  | Time |
+----------------+-----------+-------+------+
| <hostname> | Completed | 1.6MB |  27s |
'----------------+-----------+-------+------'

Logs are being collected to:
/opt/oracle.ahf/data/repository/collection_Wed_Jul_21_22_52_46_UTC_2021_node_local
/opt/oracle.ahf/data/repository/collection_Wed_Jul_21_22_52_46_UTC_2021_node_local/owlo000037-vm1.tfa_Wed_Jul_21_22_52_44_UTC_2021.zip

9.3.3.3.1 Oracle Supportによるサービス・リクエストの解決の迅速化に役立つスマート問題分類

AHF診断収集では、スマート問題分類を使用して、診断収集が実行されている特定の問題を特定できるようになりました。

多くの場合、すべてのコンポーネントの汎用コレクションを広範囲の時間にわたって収集する必要があります。診断収集の一環として収集されたログは、多くの場合、複数のタイプの問題の証拠を明らかにします。そのため、ログ・ファイルの処理と分析にかなりの時間がかかるため、自動ログ分析の有効性は制限されます。

スマート問題分類では、実行されている収集のタイプに関連する検出されたイベントのリストをインテリジェントに表示することで、リストから問題を選択して問題を識別できます。

AHFは、問題のタイプを記録するのみでなく、時間と場所も記録します。この情報は、Oracle Supportがサービス・リクエストを迅速に解決できるように提供されます。正しいターゲット収集が行われるように、探している問題が表示されない場合は、問題カテゴリ別にドリルダウンできます。

スマート問題分類は、tfactl diagcollectを実行するとデフォルトで有効になります。ただし、必要に応じて無効にできます。

ノート:

現在、スマート問題分類は、AIXおよびMicrosoft Windowsオペレーティング・システムを実行しているシステムでは有効になっていません。

スマート問題分類の使用方法

  1. 診断収集を開始すると、Oracle Trace File Analyzerは、指定した時間範囲内に発生した収集のタイプに関連するイベントを問い合せます。時間範囲を指定しない場合、Oracle Trace Files Analyzerは、デフォルトで過去4時間の間に発生したイベントを問い合せます。
  2. Oracle Trace Files Analyzerに、選択するイベントのリストが表示されます。
    1. リストからイベントを1つ選択します。Oracle Trace Files Analyzerは選択したイベントのデータを収集する処理を開始します。
    2. 新しい時間範囲を入力すると、Oracle Trace Files Analyzerによって新しい時間範囲の入力が求められ、ステップ2にリダイレクトされます。
    3. 問題カテゴリの表示を選択すると、Oracle Trace Files Analyzerにカテゴリのリストが表示されます。いずれかを選択すると、サブカテゴリが表示されます。(ある問題に関する)必要な情報を取得すると、Oracle Trace File Analyzerから次の詳細を入力するように求められます。
      1. 時間範囲
      2. 問題がデータベースにマップされる場合は、データベースの名前。

    これを設定すると、提供した詳細のSRDCがトリガーされます。

    メニューから「X」を選択して、いつでも分類プロセスを終了できます。

ノート:

次の収集オプションは、スマート問題分類に対応していません。
  • 収集スイッチ: [-ips-syslens-ahf-awrhtml-awrtext-sosreport-ashhtml-ashtext]
  • 収集モジュール: [-srdc-insight-em-emagenti-emagent-oms-omsi]

例9-92 スマート問題分類 - 例

スマート問題分類が有効か無効かを確認するには、次のようにします。
# tfactl get smartprobclassifier
.---------------------------------.
|              node1              |
+-------------------------+-------+
| Configuration Parameter | Value |
+-------------------------+-------+
| smartprobclassifier     | ON    |
'-------------------------+-------'
スマート問題分類が有効な場合に診断を収集するには、次のようにします。
# tfactl diagcollect -last 1h

AHF has detected following events from 2022-11-04 12:01:56.768 to 2022-11-04 13:01:56.768
All events are displayed in UTC time zone

Choose an event to perform a diagnostic collection:
1  . 2022-11-04 13:01:43.000 [RDBMS.orcl.orcl1] ORA-00600: internal error code, arguments: [kjb], [ch11], [ch24], [], ...
2  . Show problem categories
3  . Enter a different event time
X  . Exit
Please choose the option [1-3]:2

Problem Categories:
1  . ACFS
2  . ASM Configuration
3  . ASM Errors/Other
4  . ASM Instance Crash
5  . CRS Client
6  . CRS Errors/Other
7  . Clusterware Installation
8  . Clusterware Patching
9  . Clusterware Startup
10 . Clusterware Upgrade
11 . Database Corruption
12 . Database Errors/Other
13 . Database Install
14 . Database Instance Eviction/Crash
15 . Database Internal Error
16 . Database Memory
17 . Database Patching
18 . Database Performance
19 . Database RMAN
20 . Database Storage (ASM)
21 . Database Streams/AQ
22 . Database Upgrade
23 . Dataguard
24 . GoldenGate
25 . Node Eviction/Reboot
26 . Problem not listed, provide problem description
X  . Exit
Please select the category of your problem [1-26]:
...
...
スマート問題分類をバイパスするには、次のようにします。
# tfactl diagcollect -last 1h -noclassify
Collecting data for all nodes
TFA is using system timezone for collection, All times shown in UTC.
Collection Id: 20221104125517stbm000004-vm15
スマート問題分類をバイパスするには、フラグ-silentおよび-noclassifyを使用します。
# tfactl diagcollect -last 1h -silent
Smart Problem Classifier is ON. Since -silent is passed, Problem Classifier is not processing the request.
スマート問題分類を無効にするには、次のようにします。
# tfactl set smartprobclassifier=off
Successfully set smartprobclassifier=OFF
.---------------------------------.
|               node1             |
+-------------------------+-------+
| Configuration Parameter | Value |
+-------------------------+-------+
| smartprobclassifier     | OFF   |
'-------------------------+-------'
スマート問題分類を有効にするには、次のようにします。
# tfactl set smartprobclassifier=on
Successfully set smartprobclassifier=ON
.---------------------------------.
|               node1             |
+-------------------------+-------+
| Configuration Parameter | Value |
+-------------------------+-------+
| smartprobclassifier     | ON    |
'-------------------------+-------'