B Oracle Database Applianceストレージのデフォルト

この項を確認して、Oracle Database Applianceのストレージのアーキテクチャとオプション、および使用可能なストレージを判別する方法を理解します。

Oracle Database Applianceのストレージについて

Oracle Database Applianceでは、データベースおよび仮想マシン・ファイルの格納にOracle Automatic Storage Management Cluster File System (Oracle ACFS)を使用します。

Oracle ACFSは両方のサーバーに、Oracle Database Appliance上の一部またはすべての共有ストレージへの同時アクセスを提供します。Oracle ACFSは、Oracle Database Appliance内でデータベースおよび仮想マシンの高速プロビジョニングを可能にする、領域効率のよいストレージ・スナップショットをサポートしています。

Oracle Database Applianceと一緒に使用されるストレージ・システム

Oracle Database Applianceでは、3つのタイプのOracle ACFSファイル・システムが使用されています。

  • データベース・ファイル・システム

  • 共有リポジトリ

  • 汎用ストレージ

データベース・ファイル・システムについて

データベース・ファイル・システムはデータベース・ファイルの格納のみに使用され、データベース・データ・ファイルとフラッシュ・キャッシュ・ファイルを格納するFLASHファイル・システム、データベース・データ・ファイル用のDATAファイル・システム、アーカイブ・ファイルとバックアップを格納するRECOファイル・システム、およびREDOログ・ファイルを格納するREDOファイル・システムが含まれます。

共有リポジトリについて

共有リポジトリはOracle Database Appliance仮想化プラットフォーム上に作成されたファイル・システムで、仮想マシン・テンプレート、実行時イメージ、仮想ディスクの格納に使用されます。

汎用ストレージについて

デフォルトで、すべてのOracle Database Applianceで汎用クラスタ・ファイル・システムが作成されます。そのクラスタ・ファイル・システムは、cloudfsと呼ばれます。cloudfsファイル・システムは、サーバー間で共有する必要があるファイルの汎用ストレージで使用できます。たとえば、データ・ロードのステージングにcloudfsファイル・システムを使用できます。

すべてのOracle ACFSファイル・システムは、共有ディスク・ストレージ・プールで作成されたASMディスク・グループからプロビジョニングされたOracle ASM動的ボリュームで作成されます。ベア・メタル・デプロイメントでは、これらのファイル・システムは、データベースをホストするオペレーティング・システムに直接マウントされます。仮想化デプロイメントでは、これらのファイル・システムは、ODA_BASEで直接管理およびマウントされます。

Oracle ACFSマウント・ポイントおよび記憶領域

Oracle Database ApplianceのOracle ASM Cluster File System (ACFS)のマウント・ポイントについて示します。

基本のOracle Database Appliance X6-2-HAシステムのストレージ・シェルフは、データ・ストレージ用の10台のソリッドステート・ドライブ(SSD)によって半分埋められており、RAWストレージ容量は合計12TBとなります。基本システムのストレージ・シェルフには、パフォーマンスと信頼性を向上させるために、データベースREDOログ用の4台の200 GBの高耐久性SSDもあります。REDOログ・ファイルのREDOディスクグループから、別のACFSファイル・システムが作成されます。基本システムに10台のSSDを追加して、合計20台のSSDと24 TBのRAWストレージ容量を実現します。

追加のストレージが必要な場合は、オプションのストレージ拡張シェルフを使用できます。オプションのストレージ拡張シェルフを使用すると、RAWデータ・ストレージ容量が合計48TBに増加します。拡張シェルフには、データベースREDOログのストレージ容量を拡張するための4台の200 GBのSSDが含まれています。また、オンライン・バックアップ、データ・ステージングまたは追加のデータベース・ファイルに、アプライアンスの外部NFSストレージを使用できます。

表B-1 Oracle ACFSマウント・ポイントと、関連のOracle ASMディスク・グループおよびボリューム情報

ファイル・システム Oracle ASMディスク・グループ Oracle ASM動的ボリューム マウント・ポイント

DATA

+DATA

/dev/asm/datdbname-nnn

例: /dev/asm/datodacn-123

/u02/app/oracleuser/oradata/dbname

例: /u02/app/example/oradata/odacn

RECO

+RECO

/dev/asm/reco-nn

/u03/app/oracleuser

fast_recovery_areaおよびredoログに対するこのマウント・ポイントは、すべてのデータベースによって共有されます。

fast_recovery_areaの場合のパス: /u03/app/oracleuser/fast_recovery_area/db_name

Redoログの場合のパス: /u03/app/oracleuser/redo/db_name

例B-1 Oracle ACFSの記憶領域

Oracle ACFSファイル・システムが作成されると、当初はアプライアンス内のすべての記憶域が消費されるわけではありません。追加のリポジトリのために、または場合によってはOracle ASMに直接格納されるデータベース・ファイルのために領域を残しています。次の例に示すように、オペレーティング・システム・コマンドdf -kを実行して、ファイル・システム内の使用可能な記憶領域を確認できます。

# df -k 
Filesystem                            1K-blocks   Used         Available  Use%   Mounted on 
/dev/mapper/VolGroupSys-LogVolRoot    30963708    14203568     15187276   49%     / 
tmpfs                                 65952292      647800     65304492    1%     /dev/shm 
/dev/sda1                               495844       43872       426372   10%     /boot 
/dev/mapper/VolGroupSys-LogVolOpt     61927420    18594420     40187272   32%     /opt 
/dev/mapper/VolGroupSys-LogVolU01    103212320    49621560     48347880   51%     /u01 
/dev/asm/reco-62                      76546048     1469676     75076372    2%     /u03/app/oracle
/dev/asm/datrdb2-268                 104857600     3872368    100985232    4%     /u02/app/oracle/oradata/rdb2
/dev/asm/datndb11-268                104857600      247160    104610440    1%     /u02/app/oracle/oradata/ndb11
/dev/asm/datndb12-268                104857600      247160    104610440    1%     /u02/app/oracle/oradata/ndb12

マウント済ディスクの詳細の表示

Oracle Database Applianceのマウント済ディスク・グループおよびその情報を表示するには、Oracle Automatic Storage Managementのlsdgコマンドを使用します。

特定のディスク・グループに関する情報を表示するには、コマンドでそのディスク・グループを指定します。
  1. gridユーザーとしてログインします。
  2. Oracle Automatic Storage Managementのlsdgコマンドを実行します。

例B-2 DATAディスク・グループのストレージの判別

ASMCMD [+] > lsdg data

State    Type    Rebal  Sector  Block       AU  Total_MB  Free_MB  Req_mir_free_MB  Usable_file_MB
MOUNTED  NORMAL  N         512   4096  4194304     12288     8835             1117            3859

(continued)
Offline_disks  Voting_files  Name
            0             N  DATA

Oracle Database Appliance X6-2-HAの使用可能なストレージの判別

Oracle Database Appliance X6-2-HAで使用可能なディスク容量と、容量の導出方法を確認します。

Oracle Database Appliance X6-2-HAは、パフォーマンスのために1.2TBにフォーマットされた、1.6TBのrawソリッドステート・ドライブを使用します。使用可能なデータ容量は、ディスク・ハードウェアのTB数(1KB=1,000バイト)をソフトウェア・ストレージのTB数(1KB=1,024バイト)に換算し、使用可能な容量をOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)ディスク・グループに分割することによって計算されているため、変動します。

使用可能な各SSDのストレージは約1.1TBです。これは、ドライブの使用可能ストレージ容量をTBに変換することにより算出されます(1.2TBを1.0244で除算 = 1.1TB)。

次の表に、Oracle Database Appliance X6-2-HAの、DATAおよびRECOディスク・グループ用に使用可能な領域のだいたいの容量を示します。

Oracle Database Appliance X6-2-HAの使用可能ディスク容量

次の表に、Oracle Database Appliance X6-2-HAの使用可能な領域のだいたいの容量を示します。

表B-2 Oracle Database Appliance X6-2-HAの使用可能ディスク容量

説明 X6-2-HAのサイズ設定(SSDドライブ数10) X6-2-HAのサイズ設定(SSDドライブ数20) X6-2-HAのサイズ設定(SSDドライブ数40)
SSDドライブの数

10

20

40

合計使用可能容量

10.9TB

22TB

44TB

予約済容量(標準冗長性)

1.4TB

2.4TB

3.0TB

合計使用可能(標準(双方向ミラー化) Oracle ASM冗長性)

4.7TB

9.8TB

20.5TB

DATAディスク・グループ(標準冗長性)、外部バックアップ(80%使用可能)

3.8TB

7.8TB

16.4TB

RECOディスク・グループ(標準冗長性)、外部バックアップ(20%使用可能)

0.9TB

2.0TB

4.1TB

DATAディスク・グループ(標準冗長性)、内部バックアップ(40%使用可能)

1.9TB

3.9TB

8.2TB

RECOディスク・グループ(標準冗長性)、内部バックアップ(60%使用可能)

2.8TB

5.9TB

12.3TB

予約済容量(高冗長性)

2.9TB

5.4TB

8.9TB

合計使用可能(高(3方向ミラー化) Oracle ASM冗長性)

2.6TB

5.5TB

11.9TB

DATAディスク・グループ(高冗長性)、外部バックアップ(80%使用可能)

2.0TB

4.4TB

9.5TB

RECOディスク・グループ(高冗長性)、外部バックアップ(20%使用可能)

0.6TB

1.1TB

2.4TB

DATAディスク・グループ(高冗長性)、内部バックアップ(40%使用可能)

1.0TB

2.2TB

4.7TB

RECOディスク・グループ(10%使用可能)

1.6TB

3.3TB

7.2TB

予約済容量(フレックス冗長性) 2.9TB 5.4TB 8.9TB
合計使用可能(フレックスOracle ASM冗長性) 2.6TBから4.7TB 5.5TBから9.8TB 11.9TBから20.5TB
DATAディスク・グループ(フレックス冗長性)、外部バックアップ(80%使用可能) 2.0TBから3.8TB 4.4TBから7.8TB 9.5TBから16.4TB
RECOディスク・グループ(フレックス冗長性)、外部バックアップ(20%使用可能) 0.6TBから0.9TB 1.1TBから2.0TB 2.4TBから4.1TB
DATAディスク・グループ(フレックス冗長性)、内部バックアップ(40%使用可能) 1.0TBから1.9TB 2.2TBから3.9TB 4.7TBから8.2TB
RECOディスク・グループ(60%使用可能) 1.6TBから2.8TB 3.3TBから5.9TB 7.2TBから12.3TB

予約済容量の値は、ディスク障害が生じた場合に完全冗長性を維持するのに必要なストレージ容量です。

REDOディスク・グループは、800GBのrawソリッドステート・ドライブつまり0.8TBの合計使用可能容量を使用します。REDOディスク・グループは、データベースredoログのために約0.3TBの使用可能領域が確保される高冗長性を使用します。

ノート:

非CDBデータベースの場合、REDOディスク・グループには、50%の空きディスク容量があります。

CDBデータベースの場合、Oracle ASMクラスタ・ファイル・システム(ACFS)マウント・ポイントは、テンプレート・ログ・ファイル・サイズに基づいてCDBデータベースごとに作成されます。これが単一インスタンス(SI)データベースの場合は、3倍します。データベースがOracle RACデータベースの場合は、4倍します。

Oracle ASMの計算

Oracle ASMが使用可能空き領域を計算する際に、ディスク障害に備えて予約する領域の量が決定されます。Oracle ASMまたはOracle Database Applianceコマンドによる問合せを実行して使用可能なストレージ容量を表示すると、usable_File_MB値に負の数が返されることがあります。

表B-3 Oracle ASM計算

ドライブの数 冗長性 Total_MB Free_MB Req_mir_free_MB Usable_file_MB 名前

2

NORMAL

4894016

4893372

2441888

1220644

DATA/

4

NORMAL

1231176

1230996

610468

305150

RECO/

ノート:

ノート: 1TB = MB/10242

次の表は、Oracle ASMおよびOracle Database Applianceの容量に関する用語がどのように定義されるかを示しています。

表B-4 用語の定義

用語 Oracle ASMの定義 Oracle Database Applianceの定義
Total_MB

ディスク・グループのサイズ(MB)

合計使用可能ストレージ。たとえば、2つのNVMeドライブの場合、合計使用可能ストレージは5.8TBです。

Free_MB

冗長性考慮なしの、ディスク・グループの空き容量(MB)。

Oracle ASMディスク・グループにフォーマット後の合計使用可能ストレージ。たとえば、2つのNVMeドライブの場合、合計使用可能ストレージは5.8TBです。

Req_mir_free_MB

ディスク・グループにおいて許容される最悪の障害の後に完全冗長性を復元するためにディスク・グループで必要となる容量。

完全冗長性を復元するために必要な使用可能容量。usable_file_MB値より多くのストレージが消費されている場合、この数は負の値となります。

Usable_file_MB

新しいファイルのために使用可能な、ミラーリング用に調整された空き容量。

ミラーリング・レベルを考慮に入れた合計使用可能容量。Oracle ASMも必要な容量を計算します。

Oracle ACFS領域管理

Oracle ACFSファイル・システムは、Oracle Database Applianceでのデータベースの作成時に自動的に作成されます。

データベース・ストレージにOracle ACFSを使用すると、次のものが作成されます。

  • 各データベースに+DATAディスクグループから100G ACFSが作成されます。このOracle ACFSは必要に応じて領域を自動的に拡張します。

  • +RECOディスクグループの25%で共通のOracle ACFSが自動拡張付きで作成されます。このファイル・システムは、すべてのデータベースに対する高速リカバリ領域およびRedoログに使用されます。

Oracle ACFSファイル・システムが作成されると、当初はアプライアンス内のすべての記憶域が消費されるわけではありません。追加のリポジトリのために、または場合によってはOracle ASMに直接格納されるデータベース・ファイルのために領域を残しています。次の例に示すように、オペレーティング・システム・コマンドdf -kを実行して、ファイル・システム内の使用可能な記憶領域を確認できます。

# df -k 
Filesystem                            1K-blocks   Used         Available  Use%   Mounted on 
/dev/mapper/VolGroupSys-LogVolRoot    30963708    14203568     15187276   49%     / 
tmpfs                                 65952292      647800     65304492    1%     /dev/shm 
/dev/sda1                               495844       43872       426372   10%     /boot 
/dev/mapper/VolGroupSys-LogVolOpt     61927420    18594420     40187272   32%     /opt 
/dev/mapper/VolGroupSys-LogVolU01    103212320    49621560     48347880   51%     /u01 
/dev/asm/reco-62                      76546048     1469676     75076372    2%     /u03/app/oracle
/dev/asm/datrdb2-268                 104857600     3872368    100985232    4%     /u02/app/oracle/oradata/rdb2
/dev/asm/datndb11-268                104857600      247160    104610440    1%     /u02/app/oracle/oradata/ndb11
/dev/asm/datndb12-268                104857600      247160    104610440    1%     /u02/app/oracle/oradata/ndb12